DESIGN TIPS

DESIGN TIPS
International
Rectifier
DESIGN TIPS
DT 92-4AJ
・APPLICATION ENG・
・233 KANSAS ST.・
・EL SEGUNDO,CA.90245・
・TEL(310)
)322-3331・
・FAX(310)
)322-3332
INTERNATIONAL RECTIFIER・
簡単なハイサイドドライブによる
高周波スイッチングおよび連続オンタイム
Laszlo Kiraly
はじめに
一般に、低電力用途におけるハイサイドスイッチには、ゲー
ト駆動回路が簡単な P チャンネルパワー MOSFET が使用され
る。Pチャンネルデバイスの場合、電圧・電流ともそのパワー
レベルを上げると、ON 抵抗を高くして電圧範囲を限定し、し
かも複雑なゲート駆動回路を構成しなければならないため、
このデバイスの利点が急速に無くなってしまう。これを N
チャンネルデバイスに切り換えると、上記 P チャンネルの問
題は解決するが、ゲート駆動回路はさらに複雑な構成を採用
しなければならない。パワーレベルを高くするには、ハイサ
イドスイッチとして IGBT を使用するのが最もよい解決法で
あるが、現時点で利用できる IGBT はすべて N チャンネルデ
バイスである。本論文では、特殊設計の IC1 個と受動部品数
個を用いて、N チャンネルゲート駆動回路の問題を解決する
回路設計について述べる。
専用のハイサイドドライバで問題解決
IR 社の < コントロール IC> ドライバは、スイッチング用途時
に最大動作電圧 DC500V で動作する MOSFET あるいは IGBT
に対し、グランドリファレンス型ロジックレベル入力および
図1
高速スイッチング、連続オンタイムおよびスイッチング
高エネルギー低インピーダンス型ゲートドライブを実現する
デバイスの保護を実現するハイサイドドライブ回路
IC である。この < コントロール IC> は、ブートストラップ方
式により M O S ゲートデバイスのゲート電圧を発生させ、ハ
イサイドドライバのフローティング部を励起するものである。
ブートストラップ回路の利点は、簡単な構成と高速スイッチ
ングにあるが、ブートストラップ用コンデンサをチャージ状
態に維持するには M O S ゲートデバイスを一定時間ごとに
OFF しなければならないという問題が残る。そこで、簡単な
チャージポンプを付加することにより、ブートストラップ回
路の高速スイッチングおよびチャージポンプ回路の連続オン
タイム両性能を達成することが出来た。
Page1
DESIGN TIPS
回路および試験結果
起動時の回路波形を図 2 に示す。IGBT が ON になると、ブー
トストラップダイオードが + 1 2 V 電源に接続されている
この回路の概略図を図 1 に示す。チャージポンプとブートス
IR2125のリード8から切り離され、その結果、ブートストラッ
トラップ回路を協調動作させるためにIR2125コントロールIC
プコンデンサの電圧が降下し始める。同時に、555 タイマの
を選定した。IR2125 は、このほかにも過電流シャットダウン
リード 1 とグランド間に接続されている 100k Ω抵抗が 100nF
機能をもっており、MOS ゲートデバイスに対して保護の役割
コンデンサの充電を開始し、CMOS(MAXIM 社 ICL715551PA)
を分担している。なお、この IC に低動作電流条件を与えるた
タイマの電源電圧を発生する。この電源電圧の上昇に伴って
め、チャージポンプには 555CMOS タイマを使用している。
チャージポンプの出力電圧も上昇する。チャージポンプは、
この電圧をブートストラップコンデンサ内に維持し、IR2125
IGBT が OFF 時には、ブーストラップコンデンサが 10DF6 ダ
の不足電圧限界レベル以下にならないようにしている。
イオードと負荷抵抗を介して充電される。また、ON 時には、
100k Ω接地抵抗によって、555 タイマのリード 1 ∼ 8 間に接続
設計上の考慮事項
した 100nF コンデンサを充電し、IR2125 のリード 5 基準電圧 15V を発生する。チャージポンプは、1N4148 ダイオード 2 個
と 10nF コンデンサ 1 個で構成され、555 タイマのリード 3 に
おける 7.5kHz 方形波を Vs 基準電圧 +15V に変換し、ブートス
トラップコンデンサを充電する。
-
555 の絶対最大電圧は18Vである。この値をツェナーダイ
オードとその許容値の選定時に考慮する。
- IR2125 の VB ピン(IQBS)における電源電流は温度上昇に
比例して増大する。
- 100k Ω 1W 抵抗は、IR2125 のハイサイドにおける最大電
源電流、最小動作電源電圧およびタイミング条件に応じ
て決定される。
結論
本論文で紹介した簡単かつ低コストのチャージポンプ回路
は、ブートストラップ回路における最大オンタイム限界値の
問題を解決することができる。この回路は、ブートストラッ
プとチャージポンプ両者の特長を生かして、すぐれたスイッ
チングスピードと定常動作を保証するので、N チャンネル
M O S ゲートパワーデバイスをハイサイドスイッチとして使
用できる。結果として、システム全体の効率が向上し、電圧
範囲が広くとれるだけでなく、必要なパワーデバイスのコス
ト低減につながるものである。
図 2 起動時波形
Page2