資料2 中小企業基盤整備機構

5回愛媛中小企業情報化推進検討会
中小企業基盤整備機構のIT支援策概要
IT推進アドバイス事業
情報通信技術の進歩により経済社会の構造改革が急速に進み、企業にとっ
てはこれらの事項に対応せざるを得ない環境になってきていることにお気
づきと思います。中小企業基盤整備機構ではこれらの多様な課題に取り
組まれる方々への支援としてIT推進アドバイザーを派遣し、個別企業の実
態に即した支援を行っております。ITとはなにか、ITへの取り組みは、現在
のシステムでよいのか、新システムをつくるにはどうしたらよいか等、質問、
疑問にコンサルティング、システムマネジメントの実績を持った各分野の専
門家がアドバイスいたします 。
2006/11/21
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中小企業基盤整備機構のIT支援策概要
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中小企業基盤整備機構のIT支援策概要
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中小企業基盤整備機構のIT支援策概要
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(株)同志舎
製造・卸売業
(額縁)
2000万円
87人
販売管理
在庫管理
LAN
VPN
杉中 恒彦
(株)岡野製作所
製造業
(計測機器)
1000万円
29人
在庫管理
RDB
表計算
野末 泰弘
(株)神田経営研
究所
サービス業
1000万円
2人
販売管理
ホームページ
プロバイダサービ
ス
小川 祐司
田中木材工業
(株)
製造業
(木製ドア)
4800万円
39人
受発注管理
財務管理
LAN
RDB
長嶋 仁
卸売業
3600万円
9人
情報化戦略
LAN
インターネット
大塚 有希子
製造業
(金属材料)
4800万円
79人
生産管理
CIM
VPN
田中 渉
(株)山本工作所
製造業
(精密機械部品)
1000万円
16人
受発注管理
インターネット
電子商取引
中村 州男
(株)本間製作所
製造業
(業務用厨房製
品)
1000万円
52人
販売管理
インターネット
ホームページ
加藤 忠宏
小売業
1000万円
50人
販売管理
インターネット
ホームページ
池田 雅之
(株)林商会
北光金属(株)
アート(株)
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file://C:\DOCUME~ 1\SK\LOCALS~ 1\Temp\5SJSOKRT.htm
HOME > 企業事例 > IT推進アドバイス事例 > 平成17年度一覧 > (株)岡野製作所
1.企業概要
企業名
業種
資本金
所在地
取扱商品
従業員数
(株)岡野製作所
製造業
1,000万円
大阪市
真空計測機器、圧力計測機器、ピトー管式流速・流量計、環境測定機器
29人
(1) 企業活動状況
株式会社岡野製作所は、「計る」をテーマとして、真空、圧力、環境分野で長年培ってきた技術
力を背景に、回転式マクラウド真空計や排ガス中のダスト濃度測定装置など、多くの製品を産業
界に供給してきた。
品質に関しては、岡野社長の幅
広い人脈を活かして、大阪府立産
業技術総合研究所などの公的な
研究機関との連携実績、また従業
員一同の積極的な取組などで、20
03年 9 月にはISO9001(品質マ
ネジメントシステム規格)を取得し
ている。
技術的にはピトー管 ( 風速基準 ) トレーサビリティ、圧力基準器トレーサビリティ、などのトレー
サビリティやガラス加工技術に定評があり、ピトー管製作技術と豊富な技術データの蓄積からオ
ーダーメイドなどの特殊品対応ができる強みがある。こうした技術力は公的機関の評価も高く、
大阪府の「テイクオフ大阪21」事業 第1号企業認定、あるいは中小企業創造活動促進法の事業
計画認定(2000年)などを受けている。
昨年には研究開発部門に大手企業出身の研究者を採用するなど、品質、技術面の更なる強
化を図りつつ、「 OKANO 」のブランドイメージを育ててきた。
(2)経営上の問題点
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http://j-net21.smrj.go.jp/info/it_adv/h17/case_17b.html
営業面では、代理店を通して全国的な販売網を持っている強みがあるが、逆にエンドユーザー
の声が把握できにくい問題も抱えており、待ちの姿勢になりかねないなどの課題がある。また、
自慢の技術力も従業員の高齢化とともに、継承する人材の育成の遅れが自覚されてきている。
納期管理、在庫管理、調達管理などの経営管理面では、組織的な仕組みよりも対応する人に
依存する面もあり、顧客に納期面で不安を抱かせたこともある。また製品・部品の統廃合も進ん
でおらず、在庫を抱えている。
(3)情報システムの現状
経営の計数管理の面では、10年位前からオフコンによる仕入・売上金額の電子化に取り組
み、2003年からは受注・売上・発注・仕入の同一データベース化を図ってきた。現在は
PLANET システムとして、各部署で必要データを利用できる形まで発展させてきた。
しかし会計システムとの連動が行われていない点や、在庫管理が行われていないなど、課
題も抱えている。
2.相談内容
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(1)相談に至った経緯
岡野社長は先の経営課題の解決を考えられていた時に、(財)関西情報・産業活性化センター
主催の「経営革新 DoIT 」のプログラムを知り、早速申し込まれた。
経営革新 DoIT では、各社が数名からなるプロジェクトチームを組み、経営課題の確認、重要
成功要因の抽出、経営戦略の立案、さらに情報化企画立案までを行った。
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この経営革新 DoIT で作成した計画をどうするか、社内で話し合われた結果、「プロジェクトを継
続して完了させたい」とのメンバーからの強い要望が出されて継続となった。岡野社長もこの時
のメンバーの熱意をうれしく感じたと言われている。
(2)情報化テーマ
情報化テーマとしては、先に述べた経営革新 DoIT で既に決定していた。重要成功要因
( CSF )のスリム化の中から部品手配の効率化を進めていこうというわけである。
(3)アドバイス希望事項
アドバイスを経営革新 DoIT で一緒だったITコーディネータ(筆者)に依頼する際に、社長から
は二つの希望が出された。
一つは、今回の情報化プロジェクトを完成させたいので、それに協力を求めたい。
二つは、社長の黒子で動いて欲しい。 ということであった。過去にもコンサルタントを活用した
ことがあった社長は、コンサルタントがプロジェクトメンバーのみと活動を進めていくことを懸念
し、自分がプロジェクトをリードしていくことをフォローして欲しいとのことであった。この考え方は、
筆者の考え方とも合致しており、大変ありがたく、また進めやすいと感じた。
3.アドバイスの内容、アドバイスにあたって留意した事項
(1)アドバイス方針
今回の支援に当たって留意した点は、以下の3点である。
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http://j-net21.smrj.go.jp/info/it_adv/h17/case_17b.html
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【1】 社長との事前すり合わせ(実施計画作成時)
【2】 メンバーの討論と結論でプロジェクト推進
【3】 アドバイザーとしては、プロジェクト推進の調整役に徹する
まず、情報化実施計画の立案においては、事前に社長と進め方について合意を得ておき、そ
の上で、プロジェクトメンバーには全体の作業内容、進め方、大枠のスケジュ ールを理解してもら
った。
プロジェクト実施に当たっては、セッションの調整役として参加した。アドバイザーが結論を提示
して進めてもらう形でなく、全員で議論を深めてもらいながら、結論の出ない項目は次回までの
課題としてプロジェクトメンバーが持ち帰りで検討を進める形をとった。したがって、たとえば、情
報システムの機能的にはさらに改善の余地があったとしても、メンバーにそのことを伝えて議論
を重ねてもらい、最終的にはメンバーの結論にそって進めることにした。まずなによりメンバーの
合意で進めることが大切だからであり、また、次のプロジェクトでは自立的に活動をしてもらいた
いためである。
(2)アドバイス内容
業務的には基幹となるシステムであるので、業務の流れを業務フローとして新たに整理しなお
すこと、また、部品構成表を活用するシステムであるので、部品在庫管理のポイント、部品構成
表の作成方法などを中心にアドバイスを行った。しかし、何をどこまで採用していくかは、メンバ
ー間の議論の中で、結論を出していった。
4.アドバイス後の改善状況・成果
今回の情報化の効果としては、大きく部品構成表の活用と商品ごとの原価把握、利益管理が
あげられる。前者は、受注時の必要部品や数量の把握、生産に必要な部品の確認や手配が業
務部門で可能となったことなどがあり、後者は、製品ごとの原価把握、利益管理による製品の統
廃合の検討などが挙げられる。
その他の効果としては、プロジェクト遂行の過程で自主的な組織間の協力がでてきたこと、多
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忙な日常活動のなかでもプロジェクトへの積極的な参加があったことなど、経営改善への取組み
にメンバーの熱意が強くなっていったことがあげられる。さらに、メンバーの中には対外的な発表
も効果的にできるようになるなど、自分の意見をはっきりといえるようになった方もあり、「社員の
成長が今回のプロジェクトにおける一番の成果だ」と岡野社長は言われている。
5.アドバイザーから見た今後の課題、アドバイス後の感想
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今回は、もっとも複雑な部品構成を持つ分野に絞って実施したこともあり、時間的には予定より
長期間にはなった。しかし、あきらめることなくプロジェクトを全員で進めて最後のゴールに到達
できたことがうれしかった。また、岡野社長を始めとするプロジェクトメンバーとアドバイザーとの
間の一体感も感じられ、訪問する楽しさにもつながっていた。
今後の展開は、2つの方向が考えられる。
一つは今のシステムで製品の分野を拡大していく方向であり、今ひとつはシステム的な課題も
明確になってきたので、システムの改善をさらに進める方向である。プロジェクトメンバーは前者
の方向を検討しているところである。
今回のケースは社長から、「黒子で」と言う依頼であったが、このようにプロジェクトリーダーやメ
ンバーに論点を提供したり、議論を助けたりしながら、プロジェクトの推進を支援していくスタイル
は、むしろ我々が目指すべき方向とも考えられ、良い経験をさせていただいたと感謝している。
6.アドバイザーに対する企業の評価(IT推進アドバイザー利用アンケートより)
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部品構成表を活用した新システムの稼動を検討していた。これにより、調達部品や内作部品の
手配を効率化し、商品ごとの原価管理・利益管理を実現することが狙いであった。
アドバイザーの支援により、作業内容を洗い出し手順化することにより、プロジェクトメンバー内
で積極的な作業の協力体制が生まれ、最後のゴールまで到達することができた。システムの稼
動確認も業務フローに沿って確認してゆけば良いことがわかり、いろいろなケースを想定したテ
ストが可能になった。プロジェクト遂行の過程で自主的な組織間の協力がでてきたことも大きな
成果であった。
7.中小企業基盤整備機構 経営支援専門員からのコメント
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当社の場合には、10年前からオフコン等の情報システム活用の社内文化があった。このよう
な場合には、情報システム構築の目的・基本的方向性等が明確にされれば役に立つ情報システ
ムが構築できることが多い。
パソコンで表計算ソフトやメールソフトを扱えるだけではなく、基本的方向性に沿って業務シス
テムを構築できる能力も必要とされている。
<経営支援専門員:中島 正樹>
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