各地のユース育成の取り組み - JFA Community

各地のユース育成の取り組み
関東、九州地域の
活動から
▼
▼
日本サッカーの強化・発展を目的とし、個を高
めていくことを目標とする「トレセン活動」と
リーグの創出。
ナショナルトレセンをはじめ、全国各地でさま
ざまな形のトレセン活動やリーグ化の取り組み
が行われています。
今号では、関東と九州地域の取り組みをご紹介
します。
関東
神奈川県のトレセン活動
【報告者】川名勝巳
( 神奈川県サッカー協会第 3 種技術委員長 )
神奈川第3 種トレセン
セントラルトレセン U -13・14 の取り組み
前述の県トレセンの実施と同時に、県の代表であるセントラルト
レセンも開設した。これは10 地区の県トレセンから推薦していた
42
九州
神奈川県は、4 つの J クラブ(横浜 F・マリノス、川崎フロンター
レ、湘南ベルマーレ、横浜 FC)
、他クラブチーム63チーム、中体
連所属 316 チームが神奈川県サッカー協会に加盟しているという、
大家族を抱える地域である。
その中で 2006 年のトレセン改革を機に、県トレセン部会を中心
に「プレーヤーズファースト」を掲げ、
「より質の高い指導を、より
多くの優れた選手に提供できるように」と改革を行った。今まで東
西の 2 地区に分けていた県トレセンを、J クラブを除いた全チーム
の選手を対象に、10地区に分けて開設。U-13・14・15 の各カテ
ゴリーで約 20 〜 25 名の選手を招集している。それに対してスタッ
フは、2 種・4 種の協力をいただき、各カテゴリー 5名程度が指導
にあたっているので、県全体で選手約 750 名、スタッフ約150名の
理解と協力を得て組織され、運営されている。
活動は各地区の実情に合わせて行っているが、基本的には月2 回
のトレーニングとマッチデーを利用した各地区対抗戦を実施してい
る。会場は各地区の学校やナイター付きの公共施設を利用させてい
ただいている。
指導内容は、日本サッカー協会の指針をもとに、関東トレセンス
タッフのご協力を仰ぎ、年 2 回指導者講習会を実施しながら、指導
の質の向上やベクトル合わせを行い、各指導者の共通理解を図って
いる。また、その他にも各地区でクラブや中体連独自のトレセン活
動も実施され、県トレセンとリンクしながら、すそ野を広げる活動
や事業が展開され、充実した取り組みがなされている。
さらに GKプロジェクトも定期的に開催され、年間 7 回のトレー
ニングと講習会を各カテゴリー 30人前後の選手( 計 90人)に10
人のスタッフ( 計 30人)で実施し、
「選手 3人に対してコーチ 1人」
という充実した環境で行われている。
トレセン改革から 4 年間、反省を繰り返し、少しずつ改善しなが
ら良い方向に向かっているのも、各選手、指導者、各関係者の情熱
と理解や協力がなければ成り立たないことと深く感じている。
だいた選手の中から 20名程度を選考し、8月から月 1 回のペースで
トレーニングを行い、マッチデーに実施される関東交流戦に臨むと
いうパターンで活動している。また、選考会後に伸びた選手や埋も
れていた選手がいれば年度途中でも追加招集して参加できる柔軟な
体制で運営されている。
トレーニングは、ヘッドコーチが関東交流戦の結果を受けて課題
を抽出し、現在のチームの状況に合ったメニューを考え、事前にメー
ルで各スタッフに送り、全員が内容を把握しトレーニング前にス
タッフミーティングを行ってから臨むようにしている。また、年に
1 回は、
「選手・スタッフのモチベーションを上げる」
、
「トレーニン
グ内容の充実」等の目的から日本サッカー協会から指導スタッフを
招いて、トレーニングの実技指導をしていただいている。
さらに今年度からこの年代(U-14)に良い経験をさせ、
レベルアッ
プを図るために 3月に韓国遠征を企画し、準備を進めている。
また、この活動を運営していて強く感じることは、セントラルに
かかわっているスタッフだけが携わるだけでなく、県全体の指導者
がかかわっているという意識を持つことが大切だと考えている。そ
こで活動状況を共有するためにセントラル活動報告(トレーニング
メニューや試合の結果)をマッチデー後に各地区スタッフ、チーム
指導者、関係者に配信し、できるだけ多くの方に理解していただけ
るように努めている。
この活動を始めてから 4 年間、神奈川は国体少年の部において準
優勝 1 回、優勝 2 回という今までにないすばらしい成績を残してい
る。もちろん Jクラブが多く、その力に頼るところはあるが、トレ
セン活動がこの結果に少しでも影響し、神奈川全体のレベルアップ
につながっていてくれるとしたら、これほどうれしいことはない。
宮崎県延岡市サッカー協会の取り組み
【報告者】都甲尚生(延岡市サッカー協会技術委員長、
宮崎県立延岡高校)
現在、延岡市サッカー協会では育成に関して下記のような事業を
行っている。
①サッカークリニック
ジュニアユース(U-13 〜 U-15)対象の事業。
②延岡スペシャルトレーニング
ジュニア(U-11)からユース(U-16)対象の事業。
③県北 GK スクール
ジュニアからユース対象の GK 育成事業。
これらの活動について事業を行うまでの経緯や成果・課題等につ
いて紹介する。
①サッカークリニック
私は日ごろ U-16 〜 U-18(高校生)
を対象に部活動指導を行って
いる。かつては延岡から全国大会に出場するチームがあったが、こ
こ数年は県大会でも上位進出するチームが少なく、やや低迷傾向に
あった。また、ここ数年、高校生年代における競技人口の減少も気
になるところだった。
そこで、私はまず、個々のレベルアップと競技人口の拡大を目指
し、2006年 1 月、U-13(中学 1 年生)の指導に取り組むことにし
た。当時、延岡市内の中学校に赴任されてきた河野靖司先生(東海
中学校)にこの事業について話すと快く協力していただき、2006
年 4月のスタートを目指して準備を進めた。この事業を進めるにあ
たり、まずは中学校(ジュニアユース)の指導者と事業の詳細を決
定していった。この中でどれくらいの頻度でトレーニングを行うか
についていくつかの提案があったが「どうせ実施するなら」という
意見で年間を通して毎週金曜日19 時半から21時の時間帯で行うこ
とで決定した。その後、少年団(ジュニア)の指導者に趣旨説明を
行い、協力を求めた上で参加者を募った。初年度は約60名の参加
申し込みがあり、各カテゴリーからも指導者が集まり、順調なスター
トを切ることができた。
これまで一貫指導の必要性は感じていたが、なかなか思うように
実現できずにいた。しかしこの事業の開催にあたり、カテゴリーの
枠を越えて指導者とディスカッションを行うことで一貫指導の基盤
ができたように感じる。
翌 2007年には U-13(中学 1 年生)の指導の継続性と部活動を終
えた U-15(中学 3 年生)のトレーニングの機会の確保が話題になっ
たため、U-13 のサッカークリニックと並行して 4月から 9月までを
前期として U-14
(中学 2 年生)
、10月から3月までの後期をU-16
(中
学 3 年生 )の指導も行うことにした。
この事業を進めていく上で大きな課題はグラウンドの確保にあっ
たが、2008年以降は延岡市体育協会のスポーツ教室に認定され、
優先的にグラウンドの確保をしていただいている。また、毎週金曜
日19 時半から21時という日程・時間帯に実施するという点につい
ても移動等や金曜日が週末の試合前ということで不安視されていた
が、各チームの指導者や保護者の方々の理解や協力もあり、大きな
問題もなく実施されている。
現在の課題は 2 つある。一つは「指導内容の精選 」である。サッ
カークリニックはボールコントロールの力を上げようということで
スタートした事業であるが、やや単調なトレーニングになりつつあ
る傾向がある。スタートして 4 年間を迎える現在、年間を通してあ
るいは長期的な視野に立って系統的な指導内容を再編する時期に
来ているように感じる。2 つ目は「指導者の質の向上 」である。育
成年代では、世界と戦うためにはというコンセプトで長い視野で選
手を育成するかが問われていると考える。私も昨年度公認 B 級を
取得したが、世界のサッカーの進歩を確認することができ、大変勉
強になった。今年度もこの事業にかかわる清水則吉氏(延岡市サッ
カー協会フットサル委員長/フォルトゥナ延岡 )が B 級を取得中で
ある。
②延岡スペシャルトレーニング
この事業は 2007年12月に熊本県(大津)で行われたナショナル
トレセン U-12 の指導者講習会で行われたグループ発表がスタート
の発端であった。延岡から私以外に甲斐裕逸氏(延岡市サッカー協
会技術委員会事務局/城山少年団)と湯浅憲治氏(延岡東少年団)
も参加した。そこで静岡県清水市で風間八宏氏が中心になって行わ
れていた小学生(ジュニア)から高校生(ユース)までが同じピッチ
で同じトレーニングを行う「スペシャルトレーニング」を参考に「延
岡から世界に通用する選手の育成を図るために」というタイトルで
全体発表を行った。その全体発表を具現化したものが延岡スペシャ
ルトレーニングである。その趣旨は下記の通りである。
●種別を越えた選手間でトレーニングを行うことで小中学生に高い
技術と判断力を習得させる。
●模範となる高校生のプレーを見ることで小中学生の選手の技術向
上を図る。
●高校生や中学生が下級生を指導することでサッカーに対する知識
をさらに深化させる。
●指導者が各年代の選手を見ることでそれぞれの年代に対する指導
の問題点や課題が明確になり、系統的な一貫性のある指導が図れ
るようになる。
●種別・組織の枠を越えて、指導者間の交流を深めることで指導者
のレベルアップを図る。
これらのコンセプトの下、第 2 金曜日19 時〜 21時に上記のサッ
カークリニックと同会場を使用し、実施していくことにした。前年
度にスタートさせたサッカークリニックがベースとなってそれを発
展させる形でこの事業を実施していった。対象をU-11
( 小学 5 年生)
〜 U-17(高校 2 年生)の各学年 8名程度にしたため、選考会も実施
した。
このスペシャルトレーニングを行うにあたり吉武博文氏(U-15 日
本代表監督、ナショナルトレセンコーチ)を招聘し、指導・助言を
していただいた。また、各カテゴリーの指導者を対象にこれからの
選手育成の在り方について講演をしていただいた。講演会では多数
の指導者が集まり、その後の懇親会も含めて大変な熱気であったの
を覚えている。吉武氏にはこの後も選手を対象にした指導実践、さ
らには指導者を対象にした講習会と毎年のように延岡に足を運んで
いただいている。
スペシャルトレーニングの課題として、やはり体格差の違いによ
るトレーニングのやりづらさを感じる。しかし、上記のコンセプト
を踏まえた上で育成という長い視野に立ってトレーニングを工夫
し、実践していくことが大切だと考えている。
このような事業を進めていく上でどうしても必要不可欠だったの
が技術委員会の存在である。これまで延岡市サッカー協会には技術
委員会が存在しなかったため、特に育成事業に対する取り組みが進
まなかった傾向にあった。そこでこれまでの事業でつくり上げてき
た指導者の方々とともに技術委員会を協会内に設立することを要請
し、2008 年からは技術委員会の事業としてさまざまな取り組みを
行うことができるようになってきた。市サッカー協会の中に技術委
員会が設立されたのもこれらの事業の成果の一つだと言える。
③ 県北 GKスクール
これまでの 2 つの事業を進めていく中で、さらに県の事業である
GK スクールを合同で行うという提案が出された。このGKスクー
ルは清山和美氏(県GK 育成担当/城山少年団)が中心になって行っ
ている事業であり、小学生から高校生までの幅広い年齢層のGK が
第 2・4 金曜日19 時〜 21時までトレーニングを行っているもので
ある。この事業をサッカークリニックやスペシャルトレーニングと
同時に開催することでお互いに刺激し合い、より良いものをつくり
上げていこうと考えている。この GKスクールは小学生 8 名を含め
現在38名で活動しており、上記 3つの事業が行われる第 2 金曜日
の夜はサッカーコート 1 面に所狭しとサッカーボールを追いかける
姿が見られる。
延岡では一つの事業をきっかけにさまざまな形で各カテゴリーの
指導者が結びつき、
「世界に通用する選手を育成する」という大き
な目標に向かって歩んでいる。これらの事業が継続して行われるこ
とにより、延岡から 1 人でも多くの「世界に通用する選手」が出て
くることを目指して今後も取り組んでいきたいと考えている。
43
今月の人
育成の現場をたずねて…
写真左から岩下稔氏、小野剛 JFA 技術委員長(育成担当)
、
寺中氏、廣田さん
このコーナーでは、小野剛技術委員長
が全国各地で育成に携わっている指導
者をたずねて、紹介していきます。
岩下 稔
minoru iwashita
(星稜中学校サッカー部監督)
例年初秋になると、われわれナショナルスタッ
フの研修で夏期に行われた国内外の大会のTSG
報告、そして分析が行われる。現状を把握し、
今後の舵取りに不可欠な作業である。その中で
U-15年代のサッカーで何度も名前が挙がったチー
ムがあった。全国中学校サッカー大会に出場、16
得点、無失点ながらPK敗退してしまったのだが、
そのはつらつとしたサッカーはビデオでしか見る
ことができなかった私も非常に強い印象を持た
せてもらった。今日はそのチーム、石川県の星
稜中学校のトレーニングに訪れ、岩下稔監督に
話を聞かせてもらうことにした。
金沢の町を車で少し走っていくと人工芝のピッ
チから元気な声が溢れてきた。ピッチ半面を 3 つ
をしに行った覚えがあります。
出られなかったんです。高 2 では出場することがで
きたのですが、先輩たちの力で「連れて行ってもらっ
小野:布さんもよく覚えていましたよ。自分のこと
た」全国大会。
「自分たちで行く」というのを積み
を率直に振り返ることのできる指導者はなかなかい
残してきてしまった思いが強くあるんです。だから
ないと。それだけに今回の躍進はうれしかったみた
今でも最上級生には「君たちは今しかない」と常に
いです。
口にしています。それと、大学では B チームだった
のですが「蹴鞠団」といって、自分たちでトレーニ
岩下:そんなこんなで戦術を当てはめるのではなく、
ングを考えて、自分たちでつくっていくチームだっ
個々の技術とともに戦術的な理解を高めていくには
たのが指導という面で自分の思いを駆り立ててくれ
どうしたらいいだろうと。そんな試行錯誤をしてい
たような気がします。
る中では、全国になかなか行けない時期も続きまし
たが、
全国に「行かせてもらった」最初の 2 年よりは、
小野:石川県の中で全国レベルの選手を育てていく
上にいって通用する選手は逆に多くなってきたなと
こと、それには多くの苦労もあったと思いますが。
いう実感はわいてきたのです。そんな中、ここ 2 年
のグループがほぼフル回転で、実に効率的にしか
ほど中日本のナショナルトレセンのスタッフをさせ
岩下:石川県には Jクラブがない。すなわち良いプ
も活気のあるトレーニングを行っている。コーチ
てもらい、この年代のトップの指導に携わることが
レーとかのイメージがどうしても不足してしまうん
の 1 人は寺中くん、彼は私がサンフレッチェ広島
できました。今までもいろいろ勉強してきたつもり
です。今ではテレビで多くの試合を観られるように
の監督をしていたときにコーチ修行に来ていた懐
だったのですが、紙で得られるものと実際とはやは
なってきましたが、やはり生の迫力であったり、画
かしい顔だ。もう 1 人は、新たに立ち上げた女子
り違う。ちょっとしたヒントを持ち帰っては、それ
面に映らないところでのハードワークであったり、
チームのコーチも兼任している廣田さん。ピッチ
を現場でのフィードバックの中で噛み砕いていくこ
そんな部分を少しでも多く触れさせたいと思い、
のもう半面で高校を指導しているのはもちろん河
とが非常に役に立ちました。この 4 月からは石川の
チームの遠征のときにはできる限りレベルの高い試
トレセン指導者たちと指導実践を積みながら互いに
合を観るようにしています。石川県にそのような文
勉強する機会をつくったり、プレミアカップでの研
化を根づかせたいと思い、他のチームの選手や指導
修会のように北信越の大会でも期間中に指導者の研
者などにも声をかけてわれわれの遠征に一緒に来て
修をしようと提案したりしています。
崎護先生。トレーニングの合間につかつかと走り
寄って声をかけてくれた。いつお会いしてもこの
人柄は本当にたまらない。
小野:休んでいる時間がほとんどなかったので選手は
そして、この 2 本の線はどこかで重なっていくは
もらったりもしています。
また、U-15の北信越リーグに参加させてもらった
きつかったと思いますが、みんな楽しそうでしたね。
ずだと。すなわち個を高める延長上にチーム力の向
のも大きいですね(中学校として唯一参加)
。移動等
上も達成されるはずであると。ただそのためには、
で大変な部分はありますが、それ以上に40分ハーフ
岩下:半面しか使えないので、コーチ 2 人と十分打
自分自身が日々成長していかなくてはと強く感じて
のレベルの高い試合をコンスタントにできることと、
ち合わせをして、できるだけ伸び伸びとプレーでき
います。
そして何よりも敗戦から再びチャレンジできるのは
るようには心がけています。1 つのグループが大き
めのピッチを取ると、その分他のグループは狭いエ
選手にとってかけがえのないことだと思います。
小野:それが、今回の全中で現れてきたのですね。
小野:最後にサッカー指導のフィロソフィーと将来の
リアになってしまうのですが、その中でできること
を工夫しながら、時間で変化させるようにはしてい
岩下:そのように評価していただけるのはうれしい
るのですが。
ことですが、まだまだこれからです。
小野:全中(全国中学校サッカー大会)はお疲れさま
小野:ご自身とサッカーとの出会いを聞かせていた
かね。特に北信越の子は自己表現が少し苦手な気が
でした。われわれスタッフの間では非常に好感を持た
だけますか。
するのですが、思っていただけでは何も起こらない。
夢を聞かせてください。
岩下:う〜む、
「自己主張をしよう」ということです
れていましたよ。ずっと見ているスタッフからは、今
だからもっと自己表現しようと。
岩下:小学校 2 年生のときです。ごく単純にキャプテ
将来は、やはりこの地から日本一を出したいと思っ
ン翼へのあこがれだけでしたね。でもやってみると
ています。かつて南宇和高校(愛媛県)が地元の子
岩下:ここで指導して 12 年になるのですが、試行錯
これが楽しくて。また釜本、セルジオサッカー教室
どもたちだけで優勝したときのように、地方が頑張
誤の連続でした。最初の 2 年間は全国大会に出場さ
に参加させてもらって「こりゃすごい」と強烈な印
れば日本サッカーもさらに活気づくと信じて頑張っ
せてもらったのですが、まさに河崎先生の力で集
象を持ったことも覚えています。石川に転校したの
ています。サッカーに取り組む姿勢をさらに高める、
まってきた選手たちの力で。周りの指導者にも「自
が小 6 だったのですが、ちょうど少年団の立ち上げ
そのような自立した選手を育成できたら、その延長
分のメンバー」で全国に行けるようになって初めて
の 1 期生で、キャプテンを務めることになりました。
上に日本一も見えてくるのかなと思っています。
認めてやると言われていましたし。ただ、せっかく
当時の安井コーチ(現:石川県トレセンスタッフ)にあ
出させてもらった全国大会ですが、
河崎先生にも「戦
こがれて、結局、高校、大学と同じ道を歩むことに
術を当てはめすぎると、指導者が変わったときの応
なりました。そして中学では島野さん(現:石川県
用力に欠けてしまう」とも指摘もされました。同様
トレセンスタッフ)
、高校で河崎先生と、本当に指導
のことを、プレミアカップに参加したときにも経験
者に恵まれた現役時代だったと思います。
までとサッカーが変わってきたとも。
今年 1 月にはフットボールカンファレンスを開催
し、大きな盛り上がりをみせた金沢が、その後
も多くのサッカー仲間の情熱で非常に活気に満ち
ているのを感じることができた 1 日であった。
しました。大会の合間に布さんのレクチャーがあっ
たのですが、
「個々の判断よりもチームとしてのやり
小野:指導者を志すきっかけは。
方を重視しすぎているチームがある」と。これは自
分のことを言っているのだと感じ、講義の直後に話
44
岩下:高校 3 年生のときは県で敗退して全国大会に
岩下 稔(いわした みのる)
1974 年 11月17日生まれ
星稜高校→大阪体育大学
現在は星稜中学校サッカー部監督。
公認 A 級コーチ。
海外で活躍する指導者 ⑫
、12人目の今回
連載 「海外で活躍する指導者」
は本コーナー第 2 回にも登場したグアムで
企画 活躍している築舘範男氏からの報告です。
ファラリョン・デ・パハロス島
マウグ諸島
アスンシオン島
●プロフィール
築舘 範男(つきたて・のりお)
アグリハン島
愛知県出身。1960 年 4 月 2 日生まれ。
パガン島
愛知県立豊田西高校卒業後、当時の日本サッカーリーグ(JSL)
2 部、
トヨタ自動車工業サッカー部でプレー。その後、同サッカー部コーチを
アラマガン島
経て、1992 年に名古屋グランパスエイト(当時)
のトップチームコーチ
ググアン島
に就任。同チームユース(U-18、U-15)強化責任者、スカウトを経て日
本文理大学付属高校(大分県)監督として指導。2002 年より清水エス
サリガン島
パルスユース監督に。2005年 2月よりグアム代表チーム監督に就任。
アナタハン島
ファラリョン・デ・メディニラ島
サイパン島
アグイハン島
フィリピン海
写真左が築舘範男氏
© Kaoru Watanabe
ティニアン島
ロタ島
グアム島
■ 派遣国・地域の紹介
スペイン、アメリカ、日本の統治を経て、1950年にアメリカの自治属領(準州)
となり、
現在に至る。日本の南東約 2,500km に位置し、面積は約 549 平方キロメートルで、
日本の淡路島とほぼ同じ大きさ
(以上、グアム政府観光局 HP より)。
主な産業は観光業(旅行者は日本人、韓国人が主)。
FIFAランキングは 186 位( 2009 年 10月現在)。
代表になるまで継続した努力が良い結果を生んだことに間違いあり
ません。
「競技サッカーのメンタリティー」を植えつけることがこの
時間と継続によって生まれたのだと私の中で信じています。
2005年 2月にグアムへ赴任し、5年目を迎えた今年、2010 年の
「プレーの責任」
「 試合に対する準備 」
「パフォーマンスへのマイ
東アジアサッカー選手権の予選が 3月にグアムで、引き続いて準決
ナス行 動の抑制 」など、純粋に取り組んだ選手たちの勝利でした
勝ラウンドが 8月にチャイニーズ・タイペイの高雄で行われました。 (選手と指導者の間には多くの戦いもありました)
。以前は練習の
FIFA ランキングでは下位のグアムが、予選ラウンドでモンゴルに
優先順位は低く、家族、パーティー、恋人などに押さえ込まれて
勝ち、マカオに引き分け、A代表で公式大会における初めての勝点
最下位でしたが、粘り強く選手や家族に問いかけることで練習の
を挙げることができました。準決勝ラウンドに進出し、朝鮮民主主
優先順位が上がり、夜遊びや酒、タバコのたぐいにも手を出す選
義人民共和国、香港、チャイニーズ ・ タイペイと対戦し、3連敗を
手も減りました。国を代表して戦うプライドも芽生えました。とに
喫してしまいましたが、朝鮮民主主義人民共和国とチャイニーズ・
かく小さな継続した努力や行動がグアムの歴史を変えることにつな
タイペイからそれぞれ 2 点を奪い、わずかながらの抵抗をしたこと
がったのです。
が大変うれしく感じられました。
また、この5 年間には日本では考えられないような選手が多々い
まずはここで、今まで粘り強くグアムを支援してくださった JFA
たことも事実です。多くの選手に裏切られ、人間不信に陥りそうに
関係者の皆さんや、われわれが日本遠征時にお世話になった J ヴィ
なるのですが、選手とコーチがお互いに尊敬しあうことの重要性を
レッジや福島県サッカー協会の皆さん、さらには練習試合でお世話
感じました。所詮人間です。私が感じていることは先方(選手)に
になった Jクラブや大学関係者の方々に誌面を借りて御礼を申し上
以心伝心するものです。私がいかに頭を切り替えて怒りを抑え、人
げます。
として接することができるのかが選手の動機づけや向上心を大きく
左右することを、この歳になって選手に教えられました。
さて、大会を終えての総括ですが、2 つのことを選手に教えられ
グアムでは選手数に限りがあります。この選手たちを育てるほか
た気がします。1つ目は「継続は力なり」
、2 つ目は「サッカーをす
に手はないのです。昔は「プロの世界の中で駄目な選手は代わりを
るのは人である」の 2 点です。
探せば良い」
。そうした考えで人を粗末にする行動になりがちだっ
今年の A 代表の平均年齢は19.7 歳です。まるで U-20 の大会の
た自分を戒めてくれた気がします。
ようですが、これが今のグアムのベストメンバーです。ほとんどが
いずれにしても以上の 2 点について私の経験からの勝手な言い分
アメリカの大学生で、2005年に私が赴任したときの AFC U-16 選
ですが、この先いつも「おかげさまで」という気持ちを忘れることな
手権予選に出場した選手たちです。その後、彼らはアメリカの大学
く、サッカーの指導に携わりたいと思います。
へ進学するまで J ヴィレッジでのトレーニングキャンプや AFC U-19
最後に、グアムでは腹が立つことが多いのですが、こんな自分を
選手権予選など、数々の経験を積んできました。中学生の選手がA
鍛えてくれたグアム島に感謝です。
東アジアサッカー選手権
準決勝大会を終えて
45
JFA フィジカルフィットネスプロジェクト
年代別トレーニングの
考え方 ⑭
〜ユース年代
(U-18)その3〜
〜
© J リーグフォト㈱
U-18 年代になると、晩熟型の子どもを含め、ほとんどの子ども
たちは身長の伸びもほぼ終了します。
「大人の入り口」であるこの
年代では、基礎的な筋力アップを目的とした筋肉に負荷をかける筋
力トレーニングを本格的に始めるのに適しています。普段のピッチ
でのトレーニングと並行して日ごろから計画的に筋力トレーニング
を行うことによって、基礎的な筋力が向上すると同時に、筋肉量の
増加が期待できます。その結果、怪我をしにくい身体、またフィジ
カルコンタクト時に相手に当たり負けしない身体をつくることが可
能であると考えられます。これに加えて、
現代のサッカーではスピー
ドやスピード持久力が要求されることから、筋量をある程度増やす
ことは、その源である筋グリコーゲンを貯蔵することにも役立ちま
す。
筋力トレーニングへの取り組み
過去、サッカー界では、筋力トレーニングについて賛否両論があ
りました。当時筋力トレーニングを否定する意見としては「身体が
硬くなる」
、
「筋肉が動きの邪魔をする」
、
「筋トレに割く時間がない」
などが挙げられています。その一方で、FIFA ワールドカップやオリ
ンピックなどの世界大会に出場して結果が残せないと、そのたびに
「フィジカルの弱さ」を指摘されてきました。やはりヨーロッパや南
米などの諸外国の屈強な選手たちに打ち勝つには、日本人選手の技
術や戦術的要素などの長所を伸ばすと同時に、課題であるフィジカ
ル、特に筋力やパワーの向上は避けては通れないことが明白になり
ました。その結果を踏まえてか、現在では筋力トレーニングを否定
する指導者も減少傾向にあり、むしろその導入に肯定的な指導者の
方々が増えてきているように思われます。
この年代で筋力トレーニングを導入するにあたり、しっかりと正
しい知識や正しいフォームを身につけることが大切です。なぜなら、
将来、運よくプロ契約できればまた専門知識を持ったコーチにめぐ
り合うことができますが、高校またはクラブチームを離れて大学や
46
【報告者】菅野 淳(JFA フィジカルフィットネスプロジェクト)
社会人チームなど、次に行ったチームに専門のコーチがいなくても
自分自身で筋力トレーニングを継続して行うことができるようにな
れるからです。
サッカー選手に必要な筋力・パワー
サッカー選手に必要な筋力トレーニングは、単にボディービルダー
のようにむやみに筋量を増やしたり、やたら重たいものを持ち上げ
ることを目的とするのではなく、より機能的にサッカーの動きに即
した筋出力を上げることです。ではサッカー選手に必要な筋力やパ
ワーは試合中どんな場面で役立つのでしょうか。この限りではあり
ませんが、いくつかを以下に挙げてみました。
・より素早く動き出す。
・安定して止まる。
・安定して方向を変える。
・高く跳ぶ。
・力強くボールを蹴る。
・遠くへスローインのボールを投げる。
・自分のスペースを確保する。
・相手からコンタクトを受けてもバランスを保つ。
・スライディング、ダイビングヘッドなどのプレー時に自分の身体を
支える。
このようなパワーを発揮するために、まず行わなければならない
のがその土台となる基礎的な筋力をつけることです。しっかりとし
た土台づくりができていれば、その後あらゆるトレーニングにも活
用することができますし、何より怪我を予防することが可能になり
ます。その例は本誌 vol.28をご参照ください。
ここでは、筋力トレーニングを行う場合に知っておかなければな
らないいくつかの原則とその方法があります。
筋力トレーニングの原則
(1)過負荷の原則
筋肉に適度な負荷を与えることにより、高いトレーニング効果を
得ることができる。高すぎる負荷でも低すぎる負荷でも効果は期待
できない。
(2)漸進性の原則
過負荷の原則につながるが、負荷の設定を初めから高負荷で行う
のではなく、適応の度合いによって徐々にその負荷を上げていく。
(3)継続性の原則
トレーニングは継続しなければ効果がない。特にトレーニング効
果が表れるのには 10週間程度必要といわれている。
(4)全面性の原則
上半身だけ、または下半身だけトレーニングすればよいのではな
く、バランスよく全面的にトレーニングする。
(5)個別性の原則
すべての人に一律同じ負荷をかけてトレーニングしても同じ効果
があるとは限らないので、各個人に合ったプログラムを見つける必
要がある。
(6)意識性の原則
トレーニング中どの筋肉がどのように働いているか、またどの筋
肉がサッカーのどんなプレーに使われるのかをイメージしながら行う。
どこを鍛えるか?
サッカーは、ボールを足で操るスポーツですから、一番重要なの
は脚の筋肉のように考えられがちですが、必ずしもそうではありま
せん。一番重要なのは、腹筋・背筋などの体幹の筋肉です。いくら
強いキックをしようとしても、腹筋・背筋の筋力が弱いと、強いボー
ルは蹴れません。身体の中心に位置して、姿勢を安定させたり、腕
や脚を使って力を出すときのパワーの源になるのが腹筋・背筋です。
次に、下半身の筋肉です。その中でも、太ももの筋肉はボールを
蹴るときにとても重要です。ですから、大腿四頭筋と呼ばれる太も
もの前面の筋肉とハムストリングスと呼ばれる太ももの後面の筋肉
を鍛えることが大切です。これに加えて大切なのがふくらはぎの筋
肉です。脚がつる原因はいろいろありますが、ふくらはぎの筋力不
足も考えられますので、しっかり鍛える必要があります。
さらに、下半身の筋肉と同じくらい大切なのは上半身の筋肉です。
サッカーは腕を使っていないようでも、実はとてもたくさんの場面
で腕を使っているものです。ボールを蹴る瞬間、片方の足で立つこ
とになりますが、このとき腕を使ってバランスをとっていることに
気がつきます。また、相手を背負ってボールをトラップするときな
どには、自分のプレーエリアを確保するために相手が入れないよう
に腕を大きく広げてプレーすることからも分かります。また、転倒
したときなどにも腕を使って自分の身体を守ることにも役立ちま
す。
サッカーは全身を使うスポーツなので、全身の筋肉をバランス良
く鍛える必要があります。ある特定の筋肉をトレーニングするだけ
では、筋力トレーニングのためのトレーニングになってしまいます。
〔参考〕
ベンチプレス
ベントオーバーロー
ハーフスクワット
ラットプルダウン
レッグカール
レッグエクステンション
レッグランジ
ショルダープレス
47
© Jリーグフォト
(株)
審判員と指導者、
ともに手を取り合って・・・
C O O R D I N A T I O N
B E T W E E N
芸術的なディフェンス
私は選手として、また審判員として42 年
間、フットボールとともに過ごすことができ
ており、大変幸せな人間だと思う。20 歳か
ら 26 歳で怪我のためセミプロとしてのキャ
リアを終了させるまで、私はスライディング
タックルが何よりも好きなディフェンダー
(DF)
であった。選手時代の私は、どう猛に
タックルを仕掛けるDFだと考えられていた
が、一度も警告を受けたり退場させられた
りしたことがないことを誇りに思っている。
そこで、芸術的なディフェンスについて、と
りわけ、スライディングタックルについてを
中心にお話しさせていただこうと思う。
「芸術的なディフェンス」は、いくつかの
理由からじりじりと忘れ去られてきている
ように思う。
競技規則が変更されてアグレッ
シブなチャレンジがやり難くなったことや、
監督がウイングバックにディフェンスの能
力よりも攻撃の質を求めるようになってい
ることもその原因かもしれない。実際、最
近私が目の当たりにしたいくつかのスライ
ディングタックルを行うようなシチュエー
ションでは、
「すばらしい」というものから
スライディングタックルを行うときに DF が
誤った判断をした結果「コミカル」となっ
たり、立った姿勢のままでチャレンジした
結果、相手競技者を押したり引いたりと
いった結果になり、ファウルを取られ、フ
リーキック(FK)を相手チームに与えてし
まい、相手が有利になってしまうようなも
のまでバラエティーに富んでいた。
DF として私は、相手競技者を止める際
に、ペナルティーを受けること、すなわち
相手チームが有利になってしまうようなこ
とがあってはならないと教えられた。また、
スライディングタックルを行う際には、自
分が地面に寝そべってしまうため、立って
48
T H E
F I E L D S
O F
R E F E R E E I N G
A N D
T E C H N I C A L
アラン・ウィルキー(JFA トップレフェリーインストラクター)
いる相手競技者が有利になってしまうこと
スライディングによる挑戦は単にボール
がないよう、100 %成功する場合にしか
を鋭く足で突いてどこか遠くへやることだ
使ってはならないと教えられた。さらに、 と考えている人がいるかもしれないが、こ
競技規則に反して手や腕を利用することは
れは正しくない。よく考えられて正しいタ
簡単なことであるが、相手チームにFK と
イミングで行われたスライディングは攻撃
いうアドバンテージを与えてしまうことを
の糸口と成り得るし、少なくともボールを
強く意識させられた。
得られるのである。
サッカーの試合はどんどんスピードが速
成功しているチームの多くが、がっしり
く、クイックに、かつ長いボールが蹴られ
としてかつ有能なDFを複数抱えているの
るようになってきている。そのため DFと
は疑う余地がない。彼らは試合を読み、熟
アタッカーはともに簡単に手を使って相手
慮した上でのチャレンジができ、近づきす
競技者を押したり引っ張ったりするように
ぎることがない。彼らは彼らの腕をバラン
なっていると思う。
このことは効果的なディ
スをとるためだけに使用し、相手を押した
フェンスを少なくさせており、多くの DF
り引っ張ったりすることによって相手競技
は自チームの戦術を理解するためにもっと
者を楽にプレーさせることはない。また彼
頭を使わなければならない状況にある。
らはスライディングタックルを行うことを
私は、以下 のように DF へ 提言したい。
楽しんでいるが、彼らがスライディング
DFは相手競技者にくっつくほど近すぎる位
タックルを利用するのは自チームに利益を
置に立つと、相手競技者が DFがどこにい
もたらすときだけである。
るのか簡単に分かるようになってしまう
すべてのサッカーを楽しんでいる人と同
し、一瞬ですり抜けられてしまい、相手に
様、私もどのようなゲームが面白いと感じ
有利になってしまう。さらに、相手競技者
られるかという視点を持っている。選手と
が押されたふりをして FKを得る結果になっ
しての経験から私は、どのようなスライ
たり、ファウルを誘発するような態度をとっ
ディングタックルが良いタックルであるかを
たりすることによって DF は不利益を被る
知っている。私は選手とコーチには、現在
ことさえある。そこでそうならないような
「守備」の置かれている状況について考えて
微妙な距離感を保つことが重要である。
もらいたい。美しい試合はゴールだけでは
スライディングタックルは以下のような状
存在し得ず、正しくかつ適正な、また選手
況で利用できる。相手が利用できるスペー
の安全性に深く考慮されて行われる、確実
スが狭く、アタッカーがどちらに向かおう
にボールが取れるという状況でのフィジカ
とするかをDF が判断するために 1 〜 2 秒
ルチャレンジが欠かせない。
の時間がとれ、さらにうまくいけば相手の
私は、
「守備」が再び、技術と勇気をもっ
裏がかけるような状況。相手競技者がボー
て実行される芸術的なレベルに復活するこ
ルを受け、どちらかにターンして DFをか
とを熱望している。Jリーグには質の高い
わそうとしたときがチャンスである。タイ
DF がたくさんいる。Jリーグのコーチに求
ミングさえ合えばチームを救い、攻撃に転
められるのは、その他の DFを質の高い DF
ずることができる。
と同じレベルに導くことである。
日本からアジア、そして世界へ幅広い貢献を誓う
FIFA ゴールプログラム初のメディカルセンターが 8
月1日、J ヴィレッジ(福島県)にオープンした。
「JFA メディカルセンター」。福島県と楢葉町がスポー
ツ医療診療所として建設したこの施設は、日本サッ
カー協会が楢葉町から貸与を受けて運営していくこと
となる。
Jヴィレッジのナショナルトレーニングセンターとして
のさらなる機能の充実と、スポーツ医科学の研究お
よび教育・啓発活動の拠点として、JFA メディカル
© Jリーグフォト ㈱
センターが期待されている。
カーのさらなる強化と発展が求められる中、
1997年に日本サッカー界初のナショナルト
レーニングセンター(※1)
、J ヴィレッジ
FIFA ゴールプログラムは国際サッカー連
が楢葉町に誕生した。スポーツの発展と地
盟(FIFA)のジョセフ・S・ブラッター会長
域振興に思いをはせていた福島県、東京電
の提案によって 1999年に設置された助成
力(株)
、J リーグ、JFAの相互協力により
制度で、協会本部やテクニカルセンター、
実現した施設だった。
ピッチなどの施設等に対する、FIFA 加盟
その後、 2005年には、なでしこリーグ
協会のそれぞれの施策( FIFA ゴールプロ (日本女子サッカーリーグ)に所属する「 東
ジェクト)に助成し、プロジェクトの達成を
京電力女子サッカー部マリーゼ 」が J ヴィ
支援するための制度だ。財政的に恵まれな
レッジを拠点に活動をスタートさせた。翌
いために独自の普及・発展活動ができない
2006年には、JFAが「JFA アカデミー福島」
加盟協会をサポートすることで、各国間の
(※2)を開校。現在、男女合わせて 94人
サッカーの基盤を均衡化させ、サッカーを
のアカデミー生が寮生活を送りながら活動
普及させたいというFIFAの意図が込めら
しており、全 学 年がそろう3 年後 には約
れている。
130人に増えることになる。
2009 年 7月現在、助成を受けている加
J ヴィレッジが軌道に乗るにつれ、各カテ
盟協会は192 協会で、承認された 349のプ
ゴリー日本代表チームをはじめとする多く
ロジェクトのうち158が完成もしくは進行中
のチームの合宿や各種大会、トレセン活動、
であり、そのほかに 17 のプロジェクトが計
指導者養成講習会など、実にさまざまな活
画段階にある。日本サッカー協会(JFA)が
動が行われるようになった。サッカー以外
1 期プロジェクトとして
「メディカルセンター
にもラグビー、テニス、陸上などの各種ス
の設立 」の助成を申請したのは 2007年。 ポーツ競技の合宿や研修の場として広く活
JFA が責任を持って運営にあたるという条
用され、 J ヴィレッジはトレーニングセン
件で承認された。FIFAゴールプログラムと
ターとしての機能を十分に発揮してきた。毎
しては世界初のメディカルセンターであり、
年多くの利用者が集うようになったことで
それだけに FIFA の注目も期待も大きい。
楢葉町を含む双葉郡地区の活力にもなった。
7月17日に J ヴィレッジで開催された JFA
メディカルセンターの事業概要の記者会見
Jヴィレッジに希求された
で田嶋幸三 JFA 専務理事は「1997年に J
スポーツ医療機能
ヴィレッジが誕生したときには既に医療施
JFA メディカルセンターの設置は、JFA
設ができることを想定していた。やはり、J
にとって12 年越しの悲願だった。
ヴィレッジのような施設に医療施設がある
1993 年 5月、J リーグが開幕。日本サッ
ことは必須だった」と振り返った。しかし、
FIFA ゴールプログラム
初のメディカルセンター
50
当時それが実現できなかったのは、採算が
取れるかどうかという切実な問題に直面した
からだった。
ところが、J ヴィレッジの活性化に伴い、
医療機能の整備は急務となった。大会や合
宿で選手が怪我をした場合、医療機能が備
わっていない J ヴィレッジでは適切な処置が
できず、近隣の病院などに輸送しなければ
ならない状況にあったからだ。しかも楢葉
町には MRI(※3)のある医療機関がないた
め、時には遠方まで輸送して処置せざるを
得なかった。2002年 FIFA ワールドカップ
前の日本代表の合宿時には、重度の怪我を
負った選手にM R I 検査を受けさせるため、
東京の病院まで送り届けたこともあったと
いう。そのほか、Jヴィレッジ周辺地域では
住民の高齢化が進み、健康増進や地域医療
の充実が求められたことも J ヴィレッジに
医療機関を置くに至った理由に挙げられる。
2007年、JFAはこの背景を受けて、福島
県、楢葉町、J ヴィレッジとともに、ナショ
ナルトレーニングセンターとしての機能をさ
らに充実させるため、メディカルセンターの
設置について検討をスタートさせた。その
結果、お互いに協働して設置、運営するこ
ととなり、さらに FIFA ゴールプログラム
の援助も決定して具体的な準備が進められ
た。
※ 1:選手の育成・強化および指導者、審判養成等
の拠点となる施設。
※ 2:サッカーを越えて国際基準で社会をリードして
いける人材を育成するためにJFA が開校した
ロジング形式による中高一貫教育。
※ 3:MRIは磁器共鳴画像法の略。磁器を利用して
体内を縦横に撮影できる医療機器。
社会的価値のある
施設を目指す
プロジェクトに着手して 2 年が経った今
年、JFAが「悲願だった」とした JFAメディ
カルセンターの落成式が 7月 17日に J ヴィ
レッジで行われた。
MR Iは、国内 1号機となるオープン型 MRI
を導入。横向きの姿勢や関節を曲げた状態
などでも撮影できるため、被検者への負担
が軽減される。この MR I の導入は、整形外
科だけではなく、地域医療にも大きく貢献
できると JFAでは期待を込めている。
JFA メディカルセンターは、
「JFA2005
年宣言」の実現に向けて欠かせない事業の
一つでもあるため、
事業理念には “地域社会、
日本社会におけるスポーツ文化の醸成に寄
与” し、ひいては “国際社会に貢献する”
ことが掲げられている。そして、この理念
に基づき、3つの事業『スポーツ医療事業』
『 研究・普及事業 』
『 地域医療事業』を展開。
合宿や大会時に怪我をした選手のケアはも
ちろん、地域で整形外科を必要とする人々
の健康をサポートするほか、スポーツの競
技力向上や障害予防などに関する研究も進
め、その成果を全国へと発信していく方針
だ。JFA メディカルセンターには、スポー
ツ医科学のあらゆる分野での貢献が期待さ
れている。
能とともに、J ヴィレッジで行われる合宿や
田嶋専務理事は「世界ではスポーツを中
心とした医療が日本よりも進んでいる。逆
に日本ではそういった機関が皆無に近い。
その中でわれわれは(スポーツ医療機関の)
先駆者になるべき」だと、JFA メディカル
センターが担う役割を再確認した。
JFA は、J FA メディカルセンターが『ア
ジアそして世界に向けたスポーツメディカ
ル研究の発信拠点 』として、国内にとどま
らず海を越えて国際社会に貢献できる施設
になると確信している。すべてのスポーツ
医療施設のモデルとなるよう、日本が世界
に誇れる価値あるスポーツ医療施設を目指
す。
フィジカルチェックやメディカルチェック、
さらにはさまざまなリハビリプログラム等を
通じて蓄積したデータ等の分析・研究を進
め、競技力向上や障害予防等に関する情報
を全国に発信していくことを促進していき
たい。これらはサッカーのみならず他競技
の発展のために必要不可欠なことであり、
今後は FIFAやAFC 等と連携を強化するこ
とで各国のスポーツ医科学の発展にも寄与
したいと考えている。
8月 1日、JFAメディカルセンターのオー
プンとともに、JFAの新たな挑戦がスター
トを切った。今後は、上記の研究・発信機
大会等における選手の怪我の診察や治療を
速やかに行い、専門的な医療サービスが提
供できることで、J ヴィレッジのスポーツ施
設としての機能がさらに高まることが期待
される。
リハビリテーションルーム © Jリーグフォト ㈱
国内 1 号機となるオープン型 MRI © Jリーグフォト ㈱
JFA メディカルセンター概要(抜粋)
<理念>
人々が健康な心身で生活していくこと、そしてスポーツにおいてパフォーマ
ンスをいかんなく発揮することを、医科学の分野から積極的に支えること
により、地域社会、日本社会におけるスポーツ文化の醸成に寄与します。
スポーツ医科学の新たな役割を創成し、日本からアジア、そして世界に発
信し、国際社会に貢献します。
<事業内容>
(1)スポーツ医療事業
① 施設利用者への医療サービス
②施設を利用したリハビリプログラムの実施
③専門性の高いスタッフ(ドクターやトレーナー )によるプログラムの
実施
(2)研究・普及事業
①スポーツ医科学の研究拠点として幅広い測定、分析、研究の実施
②スポーツ医科学における研究、調査の受託
(3)地域医療事業
①地域住民への整形外科医療の貢献
②地域医療機関との連携
③地域医療+運動療法を取り入れた予防・治療等の実施
<施設・設備>
施設整備主体 楢葉町
※スポーツ医療診療所として整備し、
(財)日本サッカー協
会へ貸し付ける。
運営主体 (財)日本サッカー協会
建設地 福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字美シ森 8 番
敷地面積 2,036.57㎡
延べ床面積 517.40㎡
構造規模
木造一部鉄骨造 平屋建
諸室内容 診察室、処置室、検査室(X 線、MRI)
、リハビリテーション、
研究室ほか
主たる機器 MRI(OASIS、日立メディコ)
、X 線、バイオデックス、
呼吸ガス分析装置
※日立メディコの OASIS は日本の 1 号機となる。開放
型のオープンデザインの MRI となっており、閉所の
恐怖感や不安感をやわらげながら、自由な体位で撮像
できることが特徴となっている。
<診療体制> ・ 一般外来診療〔午前〕
地域への医療活動として、休診日を除き午前を一般外来診療日とする。
・ 予約外来診療〔午後〕
アスリート向け診察として、休診日を除き午後を予約診療日とする。
・ 地域医療
前述のほか、アスレティックトレーナーらによる地域巡回、派遣を実施
する。地域巡回や派遣を通じて、老人会や各学校の運動部、各種団体活
動等への訪問、アドバイスやプログラムを実施する。地域巡回や派遣活
動での相談は、傷害予防やケガの早期発見のきっかけの場と位置づけ、
アスリートや住民の健康維持管理に積極的にかかわっていく。
51
性別
男子
女子(※)
チーム
年齢
成人
U-19
U-17
U-15
U-13
U-11
U-9
U-7
成人
U-18
U-15
19歳以上
17、
18歳
15、
16歳
13、
14歳
11、
12歳
9、
10歳
7、
8歳
6歳
18歳以上
15、
16、
17歳
13、
14歳
フランスの 特集②
育成年代における
試合環境
※女子はU-13までは男子と同じカテゴリー分けで活動
図2.U-13リーグのグループ分け方法
前半リーグ
(地域性を考慮した任意のグループ
分け。
各グループ10チームほど)
後半リーグ
(前半リーグの成績から
レベルごとのグループ分け)
【報告者】松原英輝 (上位リーグ)
( 2004年渡 仏。Dijon FCO U-16 コーチ
上位チーム などを経て、現在は INF Clairefontaine
上位チーム
研 修 中。 フランスサッカー協 会 公 認
中位チーム DEF、UEFA A級ライセンス取得)
上位チーム
下位チーム
1
(中位リーグ)
はじめに
現在日本では年間を通したリーグや少人数
制サッカーの導入など、育成年代の試合環境
の向上を目的とした議論、活動が活発に行わ
れていると思います。
フランスをはじめヨーロッパ諸国では、育
成年代にも日本の J リーグのような年間を通
したリーグが根付いており、週末ごとに子ど
もから大人までそれぞれの年代で試合が行わ
れます。これはサッカーに限ったことではなく、
バレーボールやハンドボールなど、さまざまな
スポーツで同様の環境が存在しています。ま
た、少人数制サッカーに関してはフランスで
は40年近く前から取り組まれています。
フランスが 1998年の自国開催の FIFAワー
ルドカップで優勝した際に、
エメ・ジャケ監督
は「ワールドカップでの成功は、30 年にわた
る努力の成果である。ひとつの国がサッカー
で成功するには、ユース育成と指導者の育成
が鍵である」
と若年層育成の成果を挙げました。
そしてその後も育成環境をより良いものとする
ためにさまざまな施策が講じられています。今
回は、フランスの育成年代における試合環境
について、私自身のフランスでの体験も踏まえ
ながら紹介します。
2 フランスのサッカー環境
まず簡単にフランスでのサッカーの位置づけ、
取り組まれ方について触れておこうと思います。
フランスでは、ツール・ド・フランスで有名なサイ
クリング、
ロラン・ギャロスで有名なテニスなど、
サッ
カー以外にも多様なスポーツに関心が持たれて
います。しかし、他のヨーロッパ諸国同様にそ
の中でもやはりサッカーの人気は圧倒的に高く、
スポーツ紙ではサッカーに大きく紙面が割かれ、
協会登録者数は約 232万人(2007年)に上
り、2位テニスの約 109万人
(2007年)を大き
52
上位チーム
く上回っています。日本の協会登録者数は約
表1. クラブ内年齢カテゴリーごとの
上位チーム
中位チーム
チーム構成
131万人(2008年)ですが、フランスの総人
性別
チーム
年齢
中位チーム
口(約 6,200万人)が日本( 約1 億 2,800 万 中位チーム
成人
19歳以上
人)の半分程度であることを考慮すると、そ 下位チーム
中位チーム
U-19
17、18歳
の数はたいへん大きいものだと言えます。
・
U-17
15、16歳 ・
・
・
学校の部活動が盛んな日本とは違い、フ
U-15
13、14歳
・男子
・
U-13
11、
12歳
ランスの青少年は地域クラブに入ってサッ
・
(下位リーグ)
U-11
9、10歳
・
カーを行います。
クラブには年代ごとにチー
U-9
7、8歳
下位チーム
ムがあり、育成年代は、U-7(6歳)
、U-9(7、 上位チーム
U-7
6歳
成人
18歳以上
中位チーム
下位チーム
8歳)
、U-11
( 9、
10歳)
、U-13(11、
12歳)
、
U-15
U-18
15、16、
17歳
女子(※)
(13、14歳)
、U-17(15、16歳)
、U-19(17、 下位チーム
下位チーム
U-15
13、14歳
18歳)
と基本的に 2 歳ごとの年齢カテゴリー
※女子はU-13までは男子と同じカテゴリー分けで活動
に分けられています。19 歳以上は成人チー
図1.フランスのリーグ構成
ムに所属します
(表 1参照 )
。
成人のリーグ
そして、育成年代でもプロと同じように
プロ1部リーグ
(20チーム)
図2.U-13リーグのグループ分け方法
インシーズンとオフシーズンが存在します。
シーズンは 9月にスタートし、翌年の 6月ご
前半リーグ
ろに終了します。U-11カテゴリーまでは半
(地域性を考慮した任意のグループ
分け。
各グループ10チームほど)
公式戦のような交流試合が定期的に組まれ、
U-13 カテゴリー以上になると、シーズンを
通したリーグを戦うことになります。リーグ
上位チーム
の合間にはトーナメント形式のカップ戦にも
参加します。
中位チーム
それでは以下でもう少し詳しくフランス育成
下位チーム
年代の試合環境について触れていきます。
3 フランスのリーグ環境
プロ2部リ後半リ
ーグ
(20チーム)
ーグ
(前半リーグの成績から
レベルごとのグループ分け)
3部リーグ:
(上位リ
4部リ
ーグ:ーグ)
アマチュア全国リーグ
上位チーム
5部リーグ:
アマチュア
上位チーム
全国リーグ2部
上位チーム
州リーグ:
州により2 ∼ 4部
リーグほど存在
(中位リ
ーグ)
県リーグ:
県により2 ∼ 5部
上位チーム
中位チーム
リーグほど存在
中位チーム11歳∼ 18歳のリーグ
図 1 はリーグ構成を簡単にまとめたものです。
下位チーム
各年齢カテゴリーでピラミッド型にレベル分け
さ
れたリーグが、年間(約 9カ月)
を通して行われ
・
・
ます。 対戦は 10 〜14 チームによるホーム&
・
アウェイ形式で行われ、最終順位によって次
・
・
シーズンの昇格、降格が決定します。
上位チーム
U-13年代は県リーグのみ、U-15は州リーグ
中位チーム
まで、U-17とU-19 ではナショナルリーグまで
組織されています。ナショナルリーグは、フラ
ン
下位チーム
ス全 土を U-17 では 6 つ(6 ×14 チーム)
、
U-19では 4 つ(4 ×14チーム)の地域に分
図1.フランスのリーグ構成
成人のリーグ
プロとアマチュア混在
次年度
順位に
一から
中位チーム
ナショナルリ
ーグ:U-19と
中位チーム
U-17カテゴリーのみ。
・
フランス全土を前者は4地域、
後者は6地域に分けて実施。
・
・
州リーグ:各州で
(下位リ
ーグ)
2 ∼ 5部リーグほど存在。
(U-15、
U-17、U-19)
下位チーム
下位チーム
県リーグ:各県で
2 ∼ 5部リーグほど存在。
(U-13、U-15、
下位チーム
プロ1部リーグ
(20チーム)
U-17、
U-19)
表3.少
試
年齢カテ
U-19
U-17
U-15
U-13
U-11
U-9
U-7
成人
U-18
U-15
男子
女子
(※)
17、
18歳
15、
16歳
13、
14歳
11、
12歳
9、
10歳
7、
8歳
6歳
18歳以上
15、
16、
17歳
13、
14歳
特集② フランスの育成年代における試合環境
※女子はU-13までは男子と同じカテゴリー分けで活動
グの成績に関係なく、次シーズンの前半リーグは
またグループを一から組み直すというものです(図
次年度前半リーグは
2 参照 )
。
順位に関係なく、
U-11 カテゴリー( 9、10 歳)以下では年
一からの組み直し
間を通したリーグは組織されず、県サッカー協
会が週末ごとの対戦日程を組みます。例えば、
10月10日はAクラブのグラウンドに、
Aクラブ、
Bクラブ、
Cクラブ、
Dクラブの 4クラブが集まっ
て総当たり形式の試合を行うというように、県
内のいくつかの場所で同様の試合が計画され
ます。翌週はまた別の場所でチームの組み合
わせを変えながら行うという方法で、年間を通し
て定期的に交流試合が組まれます。
この年代でのこのような試合形式は「リーグ」
ではなく、
「Plateau」
(プラトー。直訳すると「ト
レー、テーブルなど」
)と呼ばれています。なお、
U-11 以下は、U-7(6 歳)
、U-9(7、8 歳)
、
U-11( 9、10歳 )の 3 つのカテゴリーに分か
れて活動します。
少し付け加えると、2年ほど前からは各県サッ
カー協会内に「小学生年代サッカー活動技術
委員
(Conseiller Technique d'Animation)
」
という12 歳以下のサッカーの発展、試合日程
調整、コーチ養成などを担当する専門ポスト
が設置され、この年代のサッ
カー環境をより
表3.少人数制サッカーにおける
試合形式と目的の段階的な発展
充実させるために力が注がれています。
各年代ごとの大会ガイ
ドラインは表 2 をご
年齢カテゴリー 試合形式
目的
参照く
だ
さ
い。
・できるだけ多くの子どもたちの
図2.U-13リーグのグループ分け方法
前半リーグ
(地域性を考慮した任意のグループ
分け。各グループ10チームほど)
後半リーグ
(前半リーグの成績から
レベルごとのグループ分け)
(上位リーグ)
上位チーム
上位チーム
中位チーム
上位チーム
下位チーム
上位チーム
(中位リーグ)
上位チーム
中位チーム
中位チーム
中位チーム
下位チーム
中位チーム
・
・
・
・
・
・
・
・
(下位リーグ)
上位チーム
下位チーム
中位チーム
下位チーム
下位チーム
下位チーム
図1.フランスのリーグ構成
成人のリーグ
プロ1部リーグ
(20チーム)
プロ2部リーグ
(20チーム)
3部リーグ:
プロとアマチュア混在
U-7、U-9
(6 ∼ 8歳)
4部リーグ:
アマチュア全国リーグ
5人制
5部リーグ:
アマチュア
全国リーグ2部
州リーグ:
州により2 ∼ 4部
リーグほど存在
U-11
(9、10歳)
県リーグ:
県により2 ∼ 5部
リーグほど存在
7人制
11歳∼ 18歳のリーグ
プレー機会の確保
・サッカーとの出会い、
さまざまな気づき
・祭典、
パーティーの
精神を優先
・運動能力、
知的能力、
感情の
発達過程への刺激
ここまで紹介してきたように、フランスではレ
・勝敗を気にせずに
ベル分けされた
リーグが組織されているため、
プレー
を優先
4 多くの選手が試合を
楽しめる環境
・できるだけ多く
の子どもたちの
勝敗に関係な
くどのチームも年間最低 20 試
プレー機会の確保
合ほどの公式戦を経験することができます。
・5人制サッカーから9人制
サッカーへの移行の促進
以下にさらに 4 点、フランスの育成年代の
・地域(zone)
やポジションの
選手たちを試合に参加しやすくしている条件
概念への気づき
・チームプレーの向上
を挙げたいと思います。
・基本的なルールの理解
・できるだけ多くの子どもたちの
①自由な選手交代。最近日本でもとり入れら
プレー機会の確保
・7人制サッカーから11人制
れていることですが、U-17 と U-19 年代
サッカーへの移行の促進
のナショナルリ
ーグを除き、ベンチに退いた
・より合理的なポジショ
ンバランスの
カーの促進
U-13
けて行われ、リーグ終了後は全国優勝を決定
格、
降格制度が廃止となりました。
それと同時に、 とれたサッ
選手が何度で
もゲームに復帰するこ
とが認
州リーグ:各州で
9人制 ・各ライン間(DF-MF-FW)の
(11、12歳)
2 ∼ 5部リーグほど存在。
するために各地域 1位チーム同士の対戦によ
レベルの拮抗したチーム同士の試合を確保する
められています。
より良いバラ
ンスの確保
(U-15、
U-17、
U-19)
るファイナルステージが設けられています。
ための工夫も施されています。例えば、1シーズ ・サイドプレーの向上
・攻撃的なプレーの促進
また、プロクラブや一部の強豪アマチュアク
ンを2 つ(前半リーグと後半リーグ)に区切り、 (より多く
②Bチームのリ
県リーグ:各県で
のシュート) ーグ参加。B チームは最高で
2 ∼ 5部リーグほど存在。
・状況に応じた個人プレー、
ラブは U-15 年代まで 1歳区切りでチームを持
前半
リ
ー
グは地域性を考慮
し
な
が
ら任意の
グルー
Aチームの
1 部下のリーグでプレーすること
(U-13、
U-15、
集団プレーの向上
表2.各年代の大会ガイドライン
U-17、U-19)
ち、それらのクラブ間での U-14(13 歳)リー
プ分け(各グループ 10 チームほど)によるリー
ナショナルリーグ:U-19と
U-17カテゴリーのみ。
フランス全土を前者は4地域、
後者は6地域に分けて実施。
男子
グも組織されています。
グを行います。その順位に基づき、後半リーグ
登録選手
ゴール
ボール
試合形式
ピ
ッ
チサイ
ズ
U-13リーグに関
しては、過度の勝利至上主
はあらためて上位リ
ー
グ、中位リー試合時間
グ、下位リー
サイズ
サイズ
(登録)
(交代)
義を防ぐ
グなどを構成し直して行います。そして後半リー
U-19 ため、昨シーズンからシーズンごとの昇
U-17
U-15
U-13
U-11
(※)
11対11 14人(※) 自由
9対9
7対7
自由。
フルコート
通常
半コートもしくは、
幅6m、
縦50〜75m × 横40〜55m 高さ2.1m
5号球
4号球
45分×2
40分×2
30分×2
最大50分 or 25分×2
ができます。例えば、A チームが州 1 部リー
グに所属している場合、最高で州 2 部リー
グに所属することができます。また、シーズ
ン中に A チームと B チームのメンバーを入
53
こととなります。また、コーチに加えて最低 1
人の大人がチームに帯同することが義務づけ
られているなど、フランス育成年代のリーグは
父兄の協力によって支えられていると言って
も過言ではありません。このことは昨年、私
がコーチをしていた Dijon FCO のユースディ
レクターが言った次の言葉に集約されている
と思います。
「コーチ陣、選手たち、そして父兄、私たちは
良いサッカー環境をつくるためのパートナーで、
それぞれの努力が必要です」
。
U-9の練習試合の様子
れ替えることも可能です。クラブは各年齢
カテゴリーで選手数に応じたチーム数を組
み、リーグに登録することができるので、
選手は誰もがそれぞれのレベルに合った試
合に出場するチャンスがあります。
③他クラブへの移籍。 地域クラブ主体の環
境が移籍を容易にしている一つの要因であ
ると思いますが、選手は 1 シーズンごとに、
自分が出場できるより高いレベルのチーム
を求めて移籍することができます。
④ 2 歳ごとの細かい年齢カテゴリー分け。
ただし、複数チームをリーグ参加させるこ
とや、年齢カテゴリーを細かく分けるためには、
それに応じたコーチの数が必要となります。
フランスではこれは多くのボランティアコーチ
によって支えられていると言えます。フランス
の場合、安全面や指導環境の質を保つとい
う点から、基本的にコーチ 1 人に対して選
手は 20名前後となっており、選手の数に応
じてコーチを増やします。中にはサポートコー
チとして、試合だけを担当するコーチもいま
す。また、選手が多くなり過ぎるときは、それ
以上受け入れずに他のクラブを勧めることも
あります。
を保ちやすい要因となっています。
ホームゲームに関しては、選手の家族や
友人、地域の子どもからお年寄りまでさまざま
な人々が観戦に来ます。 強豪チームとの対
戦となると応援の数も増え、小さな運動会に
でも集まったかのような雰囲気となります。規
模の大小はありますが、クラブハウスのバー
もオープンし、ハーフタイムや試合後はそこで
一杯やりながら地域の人々の交流の場とも
なっています。
アウェイゲームは、相手チームの観客の前
でプレーしなくてはいけません。 会場の雰囲
気、グラウンド状態、移動など、普段の慣れ
たホームとはまったく違う条件で、選手もコー
チもパフォーマンスを発揮することに集中しな
ければなりません。
ここで選手の父兄のことにも少し触れてお
きたいと思います。アウェイゲームの移動で
は、州リーグにおいては車で片道 3 時間かけ
て日帰りの試合もあります。U-17 や U-19
のナショナルリーグにおいては片道 4 時間以
上の試合もあり、泊りがけで移動することもあ
ります。予算のある大きなクラブであればバス
を借りることもできますが、それができない多く
のクラブはコーチや父兄の車数台で移動する
6 12歳以下は少人数制サッカーで
テクニックを磨きながらゲームを楽しむ
12 歳以下カテゴリーの活動に関しては、フ
ランスでは「Ecole de Foot」
(エコル・
ド・フッ
ト。直訳すると
「サッカー小学校 」)
と呼ばれ、
子どもたちにサッカーの楽しさに触れさせるこ
とが一番の目的となります。
試合方式は少人数制となり、フランス全
土で U-7( 6 歳)と U-9( 7、8 歳)では 5
人制、U-11
( 9、10 歳)では 7人制、U-13
(11、12 歳)では 9人制サッカーが行われま
す。この年代の少人数制サッカーのメリットと
して「通常の 1 つのグラウンドをいくつかに
区切って活動することで、一度により多くの
子どもたちをプレーさせることができること(例
えば、11 対 11のサッカーでは 22人しかプ
レーできないが、7 人制サッカーだと 1 つの
グラウンドで 28人までプレーが可能。5人制
ではもっと多くの子どもをプレーさせることがで
きる)
」、「ボールに触る機会が増え、特にテ
クニック面の向上に効果的であることと、戦
術的な要素にもより多く触れられること」が
挙げられます。
フランスで少人数制サッカーが創設される
きっかけとなったのが、1960年代のフランス
サッカーの低迷でした。その解決策の一つとし
5 ホーム&アウェイ
ホーム&アウェイは、シーズン前半で全チー
ムとの対戦をまず一巡し、後半に同じ相手と
リターンマッチを行います。2 度の対戦の間
には約 4 カ月空くため、チームの力関係が変
わっていることがあります。シーズンを通してよ
り成長したチームがリターンマッチで順位を上
げることができます。このことは選手にとって
も、コーチにとっても継続したモチベーション
54
U-17 ナショナルリーグの試合より
特集② フランスの育成年代における試合環境
表3.少人数制サッカーにおける
試合形式と目的の段階的な発展
年齢カテゴリー 試合形式
U-7、
U-9
(6 ∼ 8歳)
U-11
(9、
10歳)
U-13
(11、
12歳)
目的
5人制
・できるだけ多くの子どもたちの
プレー機会の確保
・サッカーとの出会い、
さまざまな気づき
・祭典、
パーティーの
精神を優先
・運動能力、
知的能力、
感情の
発達過程への刺激
・勝敗を気にせずに
プレーを優先
7人制
・できるだけ多くの子どもたちの
プレー機会の確保
・5人制サッカーから9人制
サッカーへの移行の促進
・地域
(zone)
やポジションの
概念への気づき
・チームプレーの向上
・基本的なルールの理解
9人制
・できるだけ多くの子どもたちの
プレー機会の確保
・7人制サッカーから11人制
サッカーへの移行の促進
・より合理的なポジションバランスの
とれたサッカーの促進
・各ライン間
(DF-MF-FW)
の
より良いバランスの確保
・サイドプレーの向上
・攻撃的なプレーの促進
(より多くのシュート)
・状況に応じた個人プレー、
集団プレーの向上
て、
1972年にジュニア年代での7人制サッカー
が誕生しました。その後、子どもの発達段階
により適したサッカーとして1982年に U-8 で
の 5 人制、1996 年に U-12 での 9人制が
導入されました(今シーズンからは U-9で 5人
制、
U-11で7人制。U-13で9人制へと変更)
。
5人制、7人制、9 人制と発展的にサッカーを
学習し、11人制サッカーへと効果的に移行し
ていくことが意図されています(表 3 参照)
。
7
リーグと並行して
行われるカップ戦
フランスでは各年代ごとのカップ戦も行われ
ています。カップ戦とは、規模の大小はあり
ますが、日本の全国高校サッカー選手権のよ
うなトーナメント形式の大会です。 全国規模
の大会は U-19 と U-13 年代で行われ、他
のカテゴリーでは、州リーグ所属チームには
州のカップ戦、県リーグ所属チームには県の
カップ戦が存在し、リーグと並行してこれらの
カップ戦が進められていきます。
例えば、最も伝統ある大会として 1954
年創設のガンバルデラカップというU-19 年
代の大会があります。日本の天皇杯に当た
る「フランスカップ(Coupe de France)
」
という成人の大会があるのですが、ガンバル
U-11 の試合より
U-11 の試合より
デラカップはその U-19 年代版と言えます。9
月のリーグ開幕とほぼ同時期に地方レベルの
1 回戦がスタートします。 選手はリーグの合
間にカップ戦を並行して戦い、決勝戦は毎
年 5 月ごろにフランスカップ決勝の前座試合
として、スタッド・
ドゥ・フランス(フランスナショ
ナル競技場)で行われます。昨年はモンペリ
エ U-19(プロ 1 部リーグ)がナント U-19
(プ
ロ 2 部リーグ)を破って優勝しました。
また、リーグやカップ戦以外の活動や試合
も行われています。フランスの学校は 1 週間
〜 2 週間単位のバカンスが年に数回ありま
す。そのバカンス期間には、選抜チームの
活動が行われたり、クラブで日本のフェスティ
バル大会のような小さな大会に参加したり、
練習試合を組んだりします。
8 まとめに代えて
フランス育成年代の試合環境について、
主な現状と特徴を紹介しました。リーグを中心
とした試合環境が組織されているジュニア年
代ではそれぞれの発達段階に配慮した 3 段
階の少人数制サッカーが体系化されているこ
となど、発展的にサッカー技能を学習しなが
ら、年齢やレベルに応じて多くの選手がサッ
カーを楽しめる環境が整備されていると言える
と思います。
このような充実した試合環境をつくり
出す要因は何かと考えていたとき、フラン
スサッカー協会( FFF)が配布する小学生
年代指導ガイドブックの巻 頭に記された
「ESPRIT DU FOOTBALL(エスプリ
」
・ドュ・
フットボール。直訳すると「サッカーのエ
スプリ、
精神」)という言葉に出会いました。
その横に載せられている詩を一部翻訳する
と次のような内容です。
「ピンチを防いだ、シュートを決めた、優勝カッ
プを掲げて勝利の喜び…その通りさ、うまい、
下手なんて関係なく、僕たちみんなの心を揺
さぶるあこがれのシーンさ。このあこがれこそ
がプロもアマチュアも関係なく、僕らをそれぞ
れの挑戦へと突き動かすんだ…」。
詩はもう少し続くのですが、つまり、うまい
下手は関係なく、誰もがそれぞれのレベルで
サッカーの持つあらゆる価値を享受することが
できるということをうたっています。これが
ESPRIT DU FOOTBALL であると思われま
す。この ESPRIT の共有こそがフランスの
試合環境をつくり出している源ではないかと
思います。
55
JFA エリートプログラム
活動報告
JFA エリートプログラム U-14
(2009 年 9月23日〜 27日/青森県岩木山総合運動公園)
この JFA エリートプログラム U -14 は、
スポーツ振興くじ助成金を受けて実施しています。
2009年度第 2 回 JFA エリートプログラム U-14 キャンプを 9 月
23日〜 27日に青森県岩木山総合運動公園で行った。今回のキャン
プは、ピッチ外カリキュラムを含め、トレーニングを中心に 2 試合
のトレーニングマッチを挟んで行った。
トレーニングマッチは、高校生との体力差、速いプレッシャーか
ら課題の意識づけを目的に野辺地西高校 2 年生と、そして地域のト
レセンとの交流とトレーニングの確認を目的に青森県 U-15トレセ
ンとそれぞれ対戦した。
1. キャンプのテーマ
“質の高い選択肢を創る・相手の選択肢を奪う” を
大テーマにして、『 常に 関わる!』
動きながらのスキルの徹底
ポゼッション(ギャップの理解)
ボールを奪いに行く
自己分析(自分を知る)
<攻撃>
①切り替えスピード( 広がりのある立ち位置)
…常にゴールから逆算する
②観ておく(状況把握)→ 観る(状況判断)
…選択肢を増やす(よりゴールを目指すポジション)
③アクションを起こす(パス&ムーブ・関わる)
、変化を起こす(ス
ペースをつくる)
<守備>
①切り替え( 攻 撃 から守備 )
…原則のポジション
②奪いに行く姿勢
…ボールに近い者から(チャレンジとカバー)
③選択肢を奪う
…ボールを中心に守備の塊を素早くつくる。
2. ピッチ外カリキュラム
①ロジカルコミュニケーションスキルは、U-13 より継続して行っ
ている。継続してキャンプに参加している選手は、物事を整理し
て思考する習慣が身につき始めている。今回は、特に「説明のス
キル」に特化してレクチャーをした。
②グループワークではテーマを与えて、グループごとに調査し、発
表準備を行い、模造紙、写真などを用いて発表した。コミュニケー
ションスキルの延長上にあるこの発表では、グループ全体がより
良い発表をしようと協力して取り組んでいた姿がすばらしかっ
た。
56
【報告者】
足達勇輔
( JFA エリートプログラム U-14監督)
3. キャンプの成果と課題
(1)食事面
食事面では、キャンプごとに質と量を確保するために選手の食事
への意識改革に取り組んでいる。
食の細い選手が多く、量を取ることにストレスを感じる者が多く
いたが、たった 5日間でも食べることの大切さを理解して積極的に
取り組む姿が印象的であった。しかし、箸を使えない、水を飲みな
がら噛まずに飲み込んでしまうなど、食事マナーにも課題が見受け
られた。家庭を交えての早い年代からの改善が今後も大切だと感じ
た。
(2)トレーニングについて
攻撃面では、すべてのトレーニングで動きながらの技術、動きな
がら観て判断することを重視して取り組んだが、5日間のトレーニ
ングでもボールを動かしながら人も動き、パスをした後も動きを続
けることはかなり表現できるようになってきた。また、ボールに多
くの選手が関わりながらの「組み立て」も同時に質が向上した。ボー
ルを受けるためだけに動いていた選手が、前を向くこと、しかけて
変化を起こさせることなど、相手を意識した判断ができるように
なってきた。その中で最後の突破の場面でのスピードアップと精度
は、今後の課題である。1 回目のキャンプ同様に動きながら意図の
あるコントロールから精度の高いパスという技術にはかなりの向上
が見られたが、全体的にまだ課題が残った。どうしてもプレーのス
タートがドリブル主体になってしまい、足元にコントロールしてか
らプレーすることがテクニックという勘違いが多く、ファーストタッ
チから意図のあるプレーを表現できない選手が多かった。彼らの将
JFA エリートプログラム活動報告
来を考えると今の時期に動きながら観る、判断する、コントロール
する、またはパスをする、ドリブルをするといったテクニックを磨
いておかなければならないとあらためて強く感じた。
切り替えの場面では、流動性を持ちながら攻撃した後の守備への
切り替えも格段に速くなってきているが、正確な守備の原則のポジ
ション理解などまだ全体として課題が残っている。
守備面では、ボールを奪いに行く姿勢はまだ習慣になっていない
選手が多いが、促すと 1 回目のキャンプに比べて反応が早く、すぐ
に連動して奪いに行くこともできるようになってきている。このこ
とが、トレーニングの質を高めてくれた。普段と異なるポジション
でプレーすると特にカバーリングの習慣が身についていない印象を
受けた。ポジションが変わっても守備の基本であるチャレンジとカ
バーは習慣として身についていないと攻撃のトレーニングの質も向
上してこないため、ぜひ非常に重要な個人戦術として身につけてお
いてほしい。
トレーニングに臨む姿勢については、日本における選抜チームの
大きな課題が、
「集合初日から力を発揮できない」選手が多いこと
を伝え、取り組みを促したところ、1 回目のキャンプよりも意識を
高く、そして非常に積極的に最初のトレーニングより取り組むこと
ができていた。
4. まとめ
1 回目のキャンプに参加した選手と初めて参加した選手の間では、
スキルへの意識の差が顕著であった。ナショナルトレセン、エリー
トプログラムと継続した取り組みが選手の成長を促していることを
あらためて確認できたキャンプであった。“スポンジが水を吸うよう
に” 吸収力の高いこの年代に触れるにつけ、この年代での取り組み
が彼らの将来を決定してしまう怖さもあらためて感じた。将来に向
けて「良い習慣」を最優先してトレーニングしていってほしい。
今回のキャンプは、選手の強化、育成が目的であると同時に地域
指導者へのプログラムの発信をもう一つの目的に前回は関西地域、
今回は東北地域で行ったが、選手のパフォーマンスやトレーニング、
ピッチ外カリキュラムを研修に訪れる東北圏の指導者が少なかった
ことは残念であった。唯一、青森県トレセンのスタッフは、トレー
ニングの視察、ミーティングへの参加など積極的にかかわっていた
だいたことにより、あらためてベクトルの確認ができたとの感想も
聞けた。地域差がなくなってきたように見えるが、それは選手のポ
テンシャルに関することであり、選手のプレーの質にはまだまだ差
があることは認めざるを得ない。この差は、特にゲーム環境と指導
者の質を上げることによってのみ埋めていくことができるのではな
いだろうか。
最後にキャンプを円滑に質の高いものにするためにご尽力いただ
いた、
リベロ津軽の佐藤氏、
青森 FA の方々にあらためて感謝します。
ゴールキーパー報告
【報告者】望月数馬(ナショナルトレセンコーチ)
1. 参加選手
●置田竣也(セレッソ大阪 U-15)
1995 年 1 月 17 日生 182cm / 71kg
●阿波加俊太(コンサドーレ札幌 U-15)
1995 年 2 月 7 日生 183cm / 72 kg
2. ゴールキーパーテーマ
●積極的なゴールキーピング
●良い準備(ポジショニング、観る、構えなど)
● DFとのコミュニケーション&コンビネーション
●効果的な攻撃への参加(パス&サポート、ディストリビューション)
3. 総括
トレーニングの流れとしては、フィールドプレーヤー(FP)と同
様にパス&コントロール、ポゼッションなどを行い、その後 GK ト
レーニングを行い、再び FPと合流する流れであった。GKトレー
ニングの内容としては、シュートストップ、ブレイクアウェイ、ク
ロスを行った。
シュートストップにおいて、キャッチングは安全確実につかむこ
とができていた。その中で、自分の判断でつかむのか弾くのかを考
えてプレーすることができていた。課題としては、構えるタイミン
グが遅れることでプレーの方向が後傾したり反応が遅れることが
あった。
ブレイクアウェイでは、ボールを奪う優先順位を考えながらプ
レーすることができ、スルーパスや相手のコントロールが大きく
なった所へ判断良く飛び出して奪うことが多かった。しかし、GK
の前に大きなスペースがあり、DF 背後へ縦方向のボールが出たと
きの判断が中途半端になることがあった。素早く状況を把握して的
確な判断ができていなかった。
クロスにおいては、状況に応じたポジションをとることができ、
広い範囲を守る意識が高かった。課題としては、パンチングの技術
とゴールライン近くからゴール前へ低いクロス(プルバック)の状
況のときの対応である。
攻撃への参加に関しては、
パス&サポート、
ディストリビューショ
ンともに、まず攻撃の優先順位を考えてプレーできていた。その中
で、多くの選択肢を持つことができ、効果的にパスを繰り出せる場
面が多々あった。
ゲームの中では、常に GK も試合に関わり続ける中で、良い準備
を意識する姿勢が見られた。状況に応じて適切なポジショニングを
とり続け、状況把握するために観る意識も高かった。今後の課題と
しては、組織的に守備をするために、より具体的なコーチングをす
ることやリスクマネジメントである。
57
JFA エリートプログラム〔女子〕
トレーニングキャンプ
JOC 日韓競技力向上スポーツ事業
1. 日時・場所
2009 年 9月19日〜 23日/ J ヴィレッジ
2. スケジュール
9月19日 集合・フィジカルチェック・トレーニング
ロジカルコミュニケーションスキル
20日 トレーニング
レクチャー「 運動・休養・食事 ~トレーニングの3本柱 」
ゲーム U-14日本女子選抜 0- 0 U-14韓国女子代表
21日 韓国チームと合同トレーニング・フィジカルトレーニング
ゲーム分析 JFAアカデミー福島U-15 4-1(2-0)U-14韓国女子代表
22日 JFAアカデミー福島と合同トレーニング
レクチャー 「食べるを学ぶ」
ゲーム U-14日本女子選抜 1- 6(1-5) JFAアカデミー福島U-15
23日 ゲーム U-14日本女子選抜 4-1(0-1) U -14韓国女子代表
解散(韓国チームは午後近郊観光・翌日離日)
3. 目的
前年度のAFC U-13ガールズフェスティバルから引き続き、育成
年代の強化、育成、人材発掘を行うとともに、韓国との交流を深め
る(この世代は 2012 年 FIFA U-17 女子ワールドカップ世代)
。
4. 内容
今回は初の日韓交流プログラムであり、手探りで進めていった部
分もあったが、U-14 年代の選手がこれから良いサッカー選手になっ
ていくために必要な要素に、積極的に取り組んだ。例えばオフ・ザ・
ピッチではコミュニケーションスキル、栄養指導、試合分析、オン・
ザ・ピッチでは韓国、JFAアカデミー福島との交流試合、合同トレー
ニングなど、少しタイトな日程と思われたが、なるべく多くとり入
れた。
5. 試合結果
9 月 20 日 vs U-14 韓国 △ 0 -0
9月 22日 vs JFA アカデミー福島 ● 1- 6(1-5)
得点:吉越
9月 23日 vs U-14 韓国 ○ 4-1(0-1)
得点:吉越・隅田・薄田・石井
6. 成果
昨年のAFC U-13 ガールズフェスティバルから約 1 年、今回はJFA
1. 日時・場所
2009 年 10月16 日〜 21日/韓国・坡州(パジュ)ナショナルフッ
トボールセンター
58
髙倉麻子
(JFA エリートプログラム女子 U -14 監督)
アカデミー福島の選手を除き、全国の各種大会視察などから選手を
選考、約半数は初めての招集となる U-14 の選手を選出した。
約 5日間という限られた時間の中で、
「すべてにおいて積極的に
取り組むこと」
、
「自分を出すこと」を要求した。タイトな日程であっ
たにもかかわらず、選手たちは、何事にも積極的に、そして真摯に
サッカーに取り組んでいた。特に、グラウンド外での知識(怪我の
予防・対処、栄養)については、その大切さを自分たちで感じ、真
剣に覚えようとしていたし、グラウンド内では、日ごろとは違う選
手とのプレーや要求に、最初は戸惑っている様子だったが、これも
キャンプ終盤では少しずつ理解し取り組んでいた。
なかなか自分のプレーを出しきれないように見えた選手たちだっ
たが、最後の韓国戦では 0-1から後半に 4 点を奪い、逆転勝ちでき
たことは非常に良かったと思う。
7. 課題
各種大会で良いプレーを見せていた選手たちだったが、基本の
ボールを止める、蹴る、という部分で、まず雑な印象であった。また、
相手を観てプレーしていないので、良い判断、良い準備がなかなか
できず、ゲームの中ではボールがスムーズにつながらない。結果、
良い形で攻撃ができなかった。またディフェンスの部分でも、浮き
球の処理、チャレンジ&カバーがうまくできず、ピンチを多く招い
てしまった。特に、JFA アカデミー福島との試合では、上記のよう
な部分で差があり、1- 6という結果になった。
ただ、アカデミーの選手は、周りをよく観て、良い判断、準備を
するということが習慣化されており、その「 習慣化」されているか
いないか、ということが大きな差を生んでいるので、ここで彼女た
ちが自覚し、これからトレーニングを積んでいくことで改善されて
いくことを期待したい。
8. 総括
今回、総監督として U-16 日本女子代表の吉田弘監督に帯同して
いただき、次のU-16 代表につながるアドバイスを多くしてもらっ
た。トレーニングでは、良い判断、準備をすることに加え、個人で
突破できる選手、ということもテーマに加えた。先の課題のところ
でも書いたが、与えられた練習をただやるのではなく、周りをよく
観て、より良い準備、判断を心がけてプレーすることで、この年代
の選手たちは飛躍的に伸びていくのではないかと思う。
今回のキャンプを彼女たちの刺激として、今後も常に上を目指し
て、真剣にサッカーに取り組んでくれたらと思う。
JFA エリートプログラム
〔女子〕
韓国遠征
JOC 日韓競技力向上スポーツ事業
【報告者】
【報告者】
髙倉麻子
(JFA エリートプログラム女子 U -14 監督)
2. スケジュール
10月16日 集合・ソウル:金浦 空港へ
トレーニング
JFA エリートプログラム活動報告
17日 トレーニング
ゲーム U-14日本女子選抜 4- 0(1-0) U-14 韓国女子代表
18日 韓国チームと合同トレーニング
KFAハウス訪問・ソウル市内観光
19日 トレーニング
ゲーム U-14日本女子選抜 7-0(1-0) U-14韓国女子代表
20日 ゲーム U-14日本女子選抜 3-2(1-0) U-14韓国女子代表
社会見学・パジュ近郊観光(韓国チームは午前で解散)
21日 東京:羽田空港へ・解散
3. 目的
前年度のAFC U-13 ガールズフェスティバルから引き続き、育成
年代の強化、育成、人材発掘を行うとともに、韓国との交流を深め
る
(この世代は 2012 年 FIFA U-17 女子ワールドカップ世代)
。
4. 選手選考
J ヴィレッジでの国内キャンプは、JFA アカデミー福島の選手を除
き、各地域トレセンや U-15 の各種大会を視察し、なるべく多くの
地域やチームから、将来性のある選手を選考した。
今回の韓国遠征では、JFA アカデミー福島の選手を含め、9 月の
キャンプのパフォーマンスから判断し、基本的に中学 2 年生を中心
に選考した。
5. 活動内容
10月16日に集合し、韓国へ移動。21日に帰国した。滞在 5日間
中、U-14 韓国女子代表と3 試合を行い、その他、合同トレーニン
グや合同観光を行うなど、積極的に韓国との交流を図った。また、
チームミーティングでは、試合の失点シーンなどから「どのように
守備をすれば良かったか?」などをグループで話し合い、みんなの
前で発表するなど、サッカーの戦術理解とともにコミュニケーショ
ンスキルの向上を目指した。
6. 試合結果
10 月 17 日 vs U-14 韓国 ○ 4-0(1- 0)
得点:三宅 2・吉越・乗松
10 月 19 日 vs U-14 韓国 ○ 7-0(1- 0)
得点:増矢 2・井上綾 2・中村み 2・石井
10 月 20 日 vs U-14 韓国 ○ 3-2(1- 0)
得点:増矢 2・中村み
8. 課題
試合は 3 戦全勝で結果としては良かったが、今後、この選手たち
が 2012 年の FIFA U-17 女子ワールドカップを目指すことを考える
と、プレーの質はまだまだ改善していかなければならない。
①ボールを蹴る、止める、ファーストタッチコントロールは、動き
ながら、また少しスピードが上がると途端にぶれ出す。動きなが
らの技術の取得、反復によるレベルアップは、日ごろからこだわっ
て意識して練習してもらいたい。
②ゲームの中で観ている所が、ボールのある所と自分だけになって
しまう選手が多い。もっと多くのものを観てプレーすること、グ
ラウンド全体を観ておくことを徹底的に習慣化し、その中からよ
り良い判断と早い判断を促していきたい。
③日ごろからしっかり指導を受け、教育もされている選手が多いと
感じたが、自分から動き出し、何かを率先してやりだす選手が少
ないと感じた。常に「指示待ち」で、“誰かがやってくれるだろう”
という雰囲気があった。現 U-16 日本女子代表のチームコンセプ
トである「観て、感じて、行動する!」は U-14 世代でも強く要
求していきたい。
9. 総括
9月に J ヴィレッジで 4 泊 5 日、10月は韓国で 5 泊 6 日、計 9 泊
11日の日韓交流プログラムは、今年からの初めての試みだったため、
いろいろな点で足りない部分もあったかと思うが、選手の頑張りと
各チームや韓国チームのご協力のもと、なんとか無事に終了するこ
とができた。U-13、14 世代の普及・育成は日韓両国のレベルアッ
プにおいて必要不可欠であり、また飛行機で 2 時間の距離の隣国な
ので、今回のように試合を重ね、よきライバルとして今後も切磋琢
磨していけたらすばらしいことだと思う。
この U-14 世代の選手は、
「自分自身がプレーする」というところ
から、少しずつ大人になり、
「チームとして自分を表現する」とい
うところに来ている。ピッチ内外で、他者を意識し、感じてほしい
と思う。その中で、自分の長所、短所を感じ、何をしなければなら
ないのかを自分で考え、行動してほしい。
今回のプログラム参加選手の中から、将来、少しでも多くの「な
でしこ」が生まれることを強く願っている。
7. 成果
今回の遠征は前回の J ヴィレッジでのキャンプとは異なり、JFA
アカデミー福島の選手を含めた現時点での U-14(中学 2 年中心)
のトップレベルの選手を選出した。海外遠征という日ごろと違う環
境、初めて一緒にプレーする選手もいる中で、
「自分自身のプレー
をきちんと表現すること」
「他人にも自分の考えを伝えること」を
要求した。選手たちはピッチ内外で前向きに取り組み、真摯にサッ
カーに取り組んでいた。
試合では、タイトな日程であったにもかかわらず、全勝すること
ができた。韓国の守備にも当たり負けすることなく、ボールを動か
しながら、
チームとして、
また「個」の力で得点を奪うことができた。
守備においては、DFのポジションに不慣れな選手もいたが、戸惑
いながらも少しずつチャレンジしてくれた。また、韓国との交流、
チームとしてのグループワークでは、初めは戸惑っていたように見
えたが、時間とともに積極性が増していったように思う。
59
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申込方法
61
A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA
62
新型インフルエンザに対しての注意
スポーツ医学委員会委員長 福林 徹
晩秋を迎え新型インフルエンザはますます猛威をふるい
手を隔離(帰宅)し、マスクをつけさせ帰宅させます。また
つつあり、休校の学校も多数出ています。このインフルエ
練習に参加した一般の選手には頻回の手洗い、うがいを奨
ンザ はメキシコで今 年 3 月ごろ発生いたしましたが、従来
励します。
のインフルエンザと異なり誰 1 人としてこのウイルスに対
それでは具体的にサッカー現場で監督・コーチはどうす
しての免疫を持っていないため、瞬く間に全世界に広がり、
ればよいか。まず選手が集合したら、体調不慮を訴える選
いまや日本でもパンデミックな状態になってしまいました。
手がいるかどうか聞く必要があります。万一体調不良、特
今回の新型インフルエンザは鳥インフルエンザに比べその
に発熱を訴えたり、咳をする選手がいる場合は、他の選手
毒性は弱いとされ、通常の場合は、発熱とそれに引き続く咳、
と離し、マスクをつけさせ体温計測を行います。発熱があ
痰、喉頭部痛等の風邪に見られるような症状が見られます
る場合は新型インフルエンザ感染を疑い、練習には参加さ
が、通常数日で緩解します。治療には抗インフルエンザ薬
せず、両親に連絡をとるとともに自宅への帰宅と、近医へ
であるタミフルやリレンザの初期投与が有効であるとされ、
の受診を促します。また元気な選手にも集合時クラブハウ
医師の診察で一週間程度の投与を受けます。しかし抵抗力
スやピッチでの手洗い(できればアルコール消毒)、うがい
の弱い糖尿病、喘息などの持病を持つ患者さんや妊婦、乳
を慣行させるとともに、チームとして体温計とマスクを常
幼児、高齢者では重症化する傾向があります。重症化しま
備しておきましょう。そのほか練習時以外でも選手や家族
すと呼吸困難になるばかりでなく、脳炎のように意識障害
と連絡をとり、選手の状態を把握する必要があります。選
を伴い、生命の危険にさらされる場合もあり、入院加療が
手の体調が悪くなった場合、できれば事前に両親や本人と
必要になります。現在このインフルエンザに有効なワクチ
連絡をとり、直接病院に行き医師の診断を受けるように指
ンの生産が行われておりますが、この秋の流行には1,500
示することも大切なことです。病院でタミフルなど抗ウイ
万人分しか製造できず、特定の人以外は予防接種を受ける
ルス剤を投与されると症状が緩解し選手はすぐ練習に参加
ことができない状態です。
したがりますが、まだ菌が体内に残存している可能性があ
サッカー現場においてもインフルエンザ 対策は今や最重
ります。選手が元気になった場合でもすぐに練習に参加さ
要の問題となりつつあります。特にサッカー現場を預かる
せず、通常 1 週間の自宅待機を行わせ、主治医の了解を取っ
監督、コーチは現場でのインフルエンザに対する適切な対
てから登校、練習への参加を許可します。また咳などが少
応が強く要求されています。インフルエンザの感染は飛沫
しでも残る場合は必ずマスクを装着させましょう。
感染と接触感染の 2 つがありますが、新型インフルエンザ
以上簡単ですが新型インフルエンザの現場での処置につ
に感染すると発熱とともに、咳、痰などの呼吸器症状が現
いて記載しました。感染した選手が複数人(チームの 1 割
れます。そのためサッカー現場で要求されることは、発熱
以上 )出た場合は、クラブ自身の 1 週間程度の練習休止や
し感染が疑われる選手を練習に参加させないことが第 1 に
試合出場の辞退も考慮すべきことと思われます。
重要なことです。万一参加した選手を見つけた場合には選
サッカー活動中の落雷事故の防止対策についての指針
1. 基本的指針
すべてのサッカー関係者は、屋外でのサッカー活動中(試合だ
けでなくトレーニングも含む)に落雷の予兆があった場合は、
を行う人間をあらかじめ明らかにしておくこと。
※トレーニングやトレセン活動なども活動中止決定者を事前に
決めてから活動を始めるものとする。
速やかに活動を中止し、危険性がなくなると判断されるまで安
※中止決定者が近くにいない状況で現象が発生したときは、そ
全な場所に避難するなど、選手の安全確保を最優先事項として
の場にいる関係者が速やかに中止を決定できることにしてお
常に留意する。特にユース年代〜キッズ年代の活動に際しては、
くこと。
自らの判断により活動を中止することが難しい年代であること
を配慮しなければならない。
※すべてのサッカー関係者とは主として指導者(部活動の顧問含
む)
、審判員、運営関係者などであるが、下記にある通り放送
局やスポンサー他、選手も含めて広義に解釈するものである。
3. 大会当日のプログラムを決める際はあらかじめ余裕を持っ
たスケジュールを組み、少しでも危険性のある場合は躊躇
なく活動を中止すること。
大会スケジュールが詰まっていたり、テレビ放送のある試合な
どでも、本指針は優先される。従って事前に関係者(放送局、
2. 基本的指針の実行のために、下記の事項について事前によ
スポンサー含む)の間において、選手・観客・運営関係者等の
く調べ、また決定を行った上で活動を行うものとする。
安全確保が優先され、中止決定者の判断は何よりも優先される
① 当日の天気予報(特に大雨や雷雲などについて)
ことを確認しておくこと。
② 避難場所の確認
③ 活動中止の決定権限を持つ者の特定、中止決定の際の連絡
フローの決定
4. 避雷針の有無(避雷針があるからといって安全が保障され
ることはないが、リスクは減る)や 避難場所からの距離、
※サッカー競技規則上では「試合の中止は審判員の判断による
活動場所の形状(例:スタジアム、河川敷 G、等)によっ
こと」となっているが、審判員が雷鳴に気付かない、審判員
て活動中止の判断時期は異なるが、特に周囲に何もない状
と他関係者との関係で必ずしも中止権限を審判員が持てない
況下においては少しでも落雷の予兆があった場合は速やか
ケース(例えばユース審判員;これに限らない)などもあり、
に活動中止の判断を行うこと。
このような場合は中止を決定する/または審判員に中止勧告
1. 目的
9. 受講料
ナショナルトレセンU-15 開催時に指導者講習会を並行開催し、 ¥10,000(税込)
ナショナルトレセンで行っているトレーニングメニューの実技講
交通費、宿泊費、食事代は受講料には含まれません。
習や講義を通じて、トレセン制度の趣旨を広く伝えるとともに、
指導者のレベルアップを図る。
10. その他
当講習会は、
公認 A・B・C 級コーチの「リフレッシュ研修会」
(40
2. 期間
ポイント)と認定してます。なお、受講時に指導者登録番号を
2009 年12月19日(土)
14:00 ~ 21日(月)
13:00(予定)
お持ちでない方は、リフレッシュポイントは加算されません。
3. 場所
Jヴィレッジ
〒979 - 0513 福島県双葉郡楢葉町山田岡美シ森 8 番
(最寄駅 : JR常磐線広野駅)
TEL 0240 - 26 - 0111 FAX 0240-26 -0112
11. お申し込み・お問い合わせ
(財)日本サッカー協会 技術部 倉田・今関
〒 113 -8311 東京都文京区サッカー通り(本郷 3-10-15)
TEL 03-3830 -1810 FAX 03 - 3830 -1814
「Kick off」の操作・入力方法に関するお問い合わせ
(財)日本サッカー協会 指導者登録窓口
4. 指導
TEL 03-6713-8180
JFAナショナルコーチングスタッフ・ナショナルトレセンコーチ
講習会についての詳細は Kickoff の申し込み画面をご確認くだ
さい。
5. 受講資格
指導者資格は問わないが、右記の全プログラムに参加できる方
のみとする。
6. プログラム(予定)
※右記の表参照。
7. 申し込み
締切:11月30日(木)
◆指導者資格をお持ちの方
・JFA Web登録サイト「Kickoff」から申込可能です。
「Kickoff」
にアクセスして、 必要事項を入力してください。なお、
「連絡
欄」には以下の内容を入力してください。
①指導チーム(日常指導チーム/トレセン等)
② 都道府県協会内での役職
③ GKコーチである はい or いいえ
④実技講習見学希望の方はその理由
・同封の申込用紙に記入の上、FAXしてください。
8. 募集定員
60名
JFA 公認指導者研修会のお知らせ
Eラーニングについて
日ごろより E ラーニングをご利用いただきまして誠にあ
りがとうございます。
さて、2009 年 7月 1日より E ラーニング問い合わせ窓
口のメールアドレスが以下の通り変更となりました。
旧メールアドレスへのお問い合わせにつきましては、
2009 年 6月 30日 をもちまして終了しておりますので、
お間違いのないようにお願い致します。
また、併せてナビダイヤルでの無料サポートにつきまし
ても 2009 年 7 月 31日 をもちまして廃止となります。
今後お問い合わせの際は、すべて下記メールにてご対応
させていただきます。
ご迷惑お掛け致しますが、宜しくお願い致します。
日
時間
内容
場所
14: 00 〜14 : 45 受付・弁当券販売 エントランスホール
19日
15 : 00 〜16 : 45 トレーニング見学
ピッチ
(土)
コンベンションホール
17 : 45 〜19 : 15
講義
9 : 00 〜11: 00 トレーニング見学
ピッチ
11: 15 〜12 : 45
実技講習
20日
昼食・休憩(各自)
(日)
14 : 30〜16 : 30
ゲーム見学
ピッチ
16 : 45〜18 : 15
実技講習
ピッチ
9 : 00〜11 : 00 トレーニング見学
21日
コンベンションホール
11 : 15 〜12 : 45
講義
(月)
13 : 00
解散
21日
14: 30 〜16: 30 トレーニング見学
(月)
ピッチ
22日
(火)
ピッチ
8: 30 〜11: 00
ゲーム見学
※21日午前で指導者講習会は終了しますが、21日午後のトレーニン
グ・22日午前のゲームもピッチサイドでの見学が可能です。
※時間・内容はあくまで予定であり、事情により変更することがあり
ます。
問い合わせ窓
口の
メールアドレ
スが変わりま
し た!!
◆リフレッシュコース
【 旧メールアドレス 】
[email protected]
【 新メールアドレス 】
[email protected]
◆ 公認 B 級コース
【 旧メールアドレス 】
[email protected]
【 新メールアドレス 】
[email protected]
A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA
2009 ナショナルトレセン女子 U-15
指導者講習会 開催要項
63
A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA
64
2009 ナショナルトレセン U -12
下記の日程で 2009 ナショナルトレセン U -12 を地域開催します。
指導者講習会開催などの詳細は、JFAのホームページをご確認ください。
北海道:10 月23日(金)〜 26 日(月) 札幌サッカーアミューズメントパーク★
東 北: 7月 18 日(土)〜 20 日(月・祝)
安比高原 ASPA サッカー場
9 月 19 日(土)〜 21日(月・祝)
安比高原 ASPA サッカー場
10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝)
岩木青少年スポーツセンター★
関 東: 9月 5 日(土)〜 6 日(日) 鹿島ハイツスポーツプラザ
12 月 26 日(土)〜 29日(火) 鹿島ハイツスポーツプラザ★
北信越:10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) アルウィン★
東 海:10 月 9 日(金)〜 12 日(月・祝) ヤマハリゾートつま恋★
関 西: 8 月 25日(火)〜 27日(木) 上富田スポーツセンター
12 月 25日(金)〜 28日(月) ビッグレイク★
中 国:12 月 25日(金)〜 28 日(月) ビッグアーチ★
四 国:12 月 19 日(土)〜 21日(月) はるのの湯★
2010 年 3 月 20 日(土)〜 22 日(月)
野外活動センター
※複数回開催する地域は、上記★印の
期 間 を 従 来 の ナ ショナルトレセン
九 州:10 月 10 日(土)〜 12 日(月・祝)
由布市湯布院スポーツセンター
U -12 として開催する。
12 月 26日(土)〜 29日(火) 大津町運動公園★
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2006 年 9 月(vol.15)からの
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価格:1,050 円(税込)
Best Regards, from JFA
日本初のナショナルトレーニングセンターである J ヴィ
レッジ(福島県)に、「JFA メディカルセンター」がオープ
ンして約 3 カ月が経ちました。
このセンターは国際サッカー連盟(FIFA)の FIFA ゴール
プログラムを利用して創設され、9月にはジョセフ・S・ブラッ
ター FIFA 会長ご出席のもと、FIFA ゴールプログラムセレ
モニーが開催され、オープンを華々しく飾っていただきまし
た。
メディカルセンターは事業テーマとして「アスリートへの
高いレベルのスポーツ医科学サポート」、
「全国・世界にスポー
ツ医学的リサーチ結果の発信」、「地域住民への医療および予
防に基づくスポーツ医学的サポート」の 3 本柱を掲げていま
す。
8 月のオープン以来、J ヴィレッジでは各種全国大会やト
レセン、各カテゴリーの代表キャンプが多数開催され、セン
ターにはジュニアからシニアまで多くのサッカー仲間に足を
運んでいただいています。センターでお会いすることは多く
の方が医学的に問題を抱えていらっしゃるわけですから、決
して良いことではないのですが、それでもサッカーを愛する
皆さまのお役に立てることに喜びを感じています。チームや
さまざまな活動で J ヴィレッジへお越しの際に、不意の怪我
をしてしまったり、何か気になることがありましたらぜひい
らしていただければと思います。
そしてご存知でしたか? メディカルセンターはサッカー選
手だけの施設ではないのですよ。テーマにあるようにスポー
ツへのサポートをその使命と考えています。いらっしゃる患
者さんは実業団の陸上選手や地域の野球少年、ジュニアオリ
ンピックに出場するようなバドミントンの選手、空手の全国
大会出場選手などさまざまです。
また、メディカルセンターでは午前中ですが一般整形外科
診療も行っており、地域の皆さんや運動選手以外の方も受診
していただいています。この地域に整形外科は少なかったの
で、皆さんからは「便利になった」と喜んでいただいて非常
にやりがいを感じています。時には町のお祭りに参加したり
と、町の皆さんとの触れ合いが増えていっています。このま
ま少しずつ地域の皆さんの生活の一部分となっていき、地域
の皆さんの健康増進のお役に立てればと思います。
また J ヴィレッジには JFA アカデミー福島があります。
さまざまなメディカルチェックやフィジカルチェックを蓄積
し、分析、研究を行い、競技力向上や障害予防について、特
に子どもたちの発育発達にかかわる分野について、さまざま
な情報発信ができるよう頑張っていきたいと思います。とい
うことで、J ヴィレッジにお越しの際は、怪我をしていなく
ても J ヴィレッジ入口のお向かいにある黄色い建物へお立ち
寄りいただければと思います。
最後になりましたが、先日、AFC U-16 選手権予選に向か
う U -15 日本代表チームの直前キャンプのサポートを行いま
した。センターとして初の代表チームのサポートでしたが、
若きサムライたちが凛々しく旅立つ後ろ姿を見て、ここから
多くの選手が世界に羽ばたいて行ってくれることを夢見てな
りませんでした。皆さんの夢のサポートをする愛される施設
となるようこれからも頑張りたいと思います。
中堀千香子(JFA メディカルセンター アスレティックトレーナー)
テクニカル・ニュース Vol.34
○発行人:小野 剛
○編集人:財団法人日本サッカー協会技術委員会・テクニカルハウス
○監 修:財団法人日本サッカー協会技術委員会
○発行所:財団法人日本サッカー協会 〒113 - 8311
東京都文京区サッカー通り( 本郷 3 -10 -15 )J FA ハウス
電話 03 - 3830 - 2004(代表)
○発行日:20 09 年 11月 20 日