ジュニパーは、変革の最中にあるサービス

WHITE PAPER
SDN と NFV: サービス プロバイダ
組織の変革
ビジネスの変革に包括的なアプローチで取り組む
プロバイダは、将来、株主に利益をもたらす
Copyright © 2014, Juniper Networks, Inc.
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WHITE PAPER - SDN と NFV:サービス プロバイダ組織の変革
目次
概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
はじめに. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
業務プロセス. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .3
役割と責任. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .5
新しいソフトウェア スキル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
文化 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
まとめ. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
参照文献 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
ジュニパー ネットワークスについて. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
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WHITE PAPER - SDN と NFV:サービス プロバイダ組織の変革
概要
従来の電気通信事業者は、俊敏性に優れた競合企業が市場に参入する中、激化する競争と変化し続ける顧客の要求に迅速に対応する必要
があります。迅速な対応ができれば、競争上の優位性を維持でき、顧客との関係を継続しつつ、
より質の高い利益を生むことができます。
こう
した変革に消極的だと、業界内での評価や顧客との関係に影響し、収益低下につながるリスクがあります。
歴史を見ればわかるように、技術の進化は、業界やセグメント内で事業を展開する企業の将来に対して、プラス面とマイナス面の両方で大
きな影響力を持っています。生き残りと今後の成長を賭けて従来の事業運営モデルやビジネス モデルを変革しなければならないほど、新
しい技術の影響が強い場合もあります。企業は変革を成功させるために、新しい技術を取り入れるだけでなく、関連業務プロセス、組織構
造、スキル セット、文化を変化させて、企業の方向性を転換する必要があります。電気通信事業者は、現在まさにこうした課題に直面してい
ます。
こうした変革を後押しする技術が、NFV(Network Functions Virtualization)
とSDN(Software-Defined Networking)です。組織の
基盤の一部としてこれらの技術を取り入れることが、
これまで以上に重要な意味を持つようになってきました。実際、従来の電気通信事業者
に与える影響は、
これまでになく大きなものと言えるでしょう。Web ベースの技術、サービス提供プラットフォーム、スマート デバイス、自動
化が主流を占めるようになるにつれ、市場に参入するハードルが低くなり、新しい競合企業が市場に参入してくるため、業界の構造1は今後
も変わっていくことが予想されます。
はじめに
これまで、長期にわたりネットワーク インフラストラクチャに投資する必要があることや、関連する運用プロセスが複雑化していることが、電
気通信事業に参入するうえで障害となってきました。ピーク時のトラフィック負荷 2、
トラフィック タイプ、幅広いアプリケーションおよびサー
ビス、ユーザー数、地理的な遠さといった要素のすべてが、ネットワーク インフラストラクチャのコストを増加させています。カスタマー プ
ロビジョニング、ネットワーク管理、カスタマー ケア、ネットワーク保守、サービス提供、エンジニアリングに伴う手動プロセスの頻度と複雑さ
は、運用コストに影響を及ぼします。現在、一般的に行われている運用では、別々のサイロでサービスが展開され、それを実行するために複
雑で技術性の高いプロセスが使われています。
NFV と SDN を組み合わせると、
このサービス サイロ モデルを終了させて、既成のハードウェアとソフトウェア、
リソース プール、ネットワー
クの可視化、分析を活用しながら、資産の関連コストを引き下げることができます。さらに、簡素化、自動化、分析によって、手動プロセスや
複雑なプロセスに伴うコストを削減でき、運用上のメリットが生まれます。ネットワークベースのサービスを提供するコストと複雑さが軽減
されると、新たな競合企業が市場に参入し、採算のとれる顧客を奪い、最も大きな利益をさらおうとすることが予想されます。こうした企業
は、
(すでに多くの消費者サービスで見られるように)ネットワークの接続を過小評価し、
より価値の高い企業顧客に提供する最も戦略的な
クラウドベースのサービスを支配しようとする可能性があります。
このことが電気通信事業に与える計り知れない影響を見過ごすわけにはいきません。サービス プロバイダが迅速に対応できなければ、顧
客はすぐに他の新規参入企業のサービスを利用しはじめるでしょう。そのわかりやすい例として、SMS の売上に影響を与えた OTT(Overthe-Top)メッセージング アプリケーションの普及が挙げられます。混乱は突然やってきました。新興企業は、従来の電気通信事業者が築い
た価値を基に、企業から高い評価を受け、新しいビジネス モデルの可能性も認められるようになりました。
そのため、サービス プロバイダが、顧客の需要に素早く対応する能力、継続的で深い顧客関係を構築する能力という 2 つの基本的な能力
を身につけることができるかどうかによって、将来的な成長と、場合によっては生き残りの可能性が決定します。前者は言い換えれば俊敏性
であり、後者は顧客との関係を構築および維持する能力です。こうした能力を身につけるには、密接に関係し合う次の 4 つの組織的要素に
対する影響を考える必要があります。
• 業務プロセス
• 役割と責任
• 新しいソフトウェア スキル
• 文化
組織上の変革には多くの課題が存在しますが、
この 4 つは最も入念に検討しなければならない組織の運用モデルの要素です。本書で
は、SDN および NFV が保証するメリットを取り入れ、活用するために必要な変革と、その内容について説明します。重要なのは、通信事業
者がいかにこの変革のリスクに対処し、進化しながら選択性を維持するかです。それによって、他の戦略的メリットをもたらすイノベーション
を取り入れることができます。それが最終的には、持続的な競争上の優位性につながるのです。
業務プロセス
従来の業務プロセスを変更する場合は、主にネットワークを抽象化します。
これによって、ソフトウェア プロセスは、専用ハードウェアや独自
開発のハードウェアで過去に提供された機能を提供することが可能になります。SDN を導入すると、ユーザー アプリケーション用の基本ネ
ットワークの自動オーケストレーションが可能になり、NFVを導入すると、必要に応じて仮想マシン(VM)でネットワーク サービスを展開で
きます。こうした仮想サービスは、送信元アドレス、宛先アドレス、アプリケーション タイプなどのさまざまな要素に基づいてパケット フロー
を転送できるように、ポリシーでチェイニングさせることができます。
これはサービス チェイニングとして知られるプロセスを通じて実行しま
す。
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一般的には、投資の集中レベルを指す。
静的ネットワークは、ピーク時のトラフィック負荷を実行するキャパシティに応じて構築され、最適化のために規模を簡単に拡大縮小できない。
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NFV は新しい機器アーキテクチャで、SDN は新しいネットワーク アーキテクチャです。NFV を導入すると、サービス開発チームや製品チ
ームは、仮想機能を使用しながら、短期間で新規サービスを構築できます。ネットワーク機能を仮想化することで、複雑で価値の高いサービ
スを構築するタスクを簡素化できるためです。SDN は、サービスの有効化および管理のためのワークフローを定義する際の複雑なタスク
をさらに簡素化します。利益が出る方法でサービスを迅速に提供するうえで、簡素化は必須です。
SDN と NFV がもたらす変化は、
「ミドルウェア管理」の役割と運用サポート システム(OSS)制御を、ボックスではなくソフトウェア オブジェ
クトを制御する新しいモデルへと転換します。データ センターで初めて導入されたこの手法は、もはや Web サービス モデルやデータ セ
ンターだけに限定されるものではありません。今ではサービス プロバイダやグローバル ネットワークに広がっています。
この影響を評価するために、
ここでは TM Forum が発行した Business Process Framework(eTOM)を使用します(tmForum、2014
年)。このフレームワークは青写真です。実際の実装は各キャリアによって異なり、
このフレームワークは、サービス重視のビジネス モデル
をサポートするために特別に作成された基本的な業務プロセスを示しているにすぎません。
戦略、インフラストラクチャ、製品
戦略と
コミット
ネットワーク運用
インフラストラ
クチャ ライフ
サイクル管理
運用のサポー
トと準備態勢
製品ライフ
サイクル管理
マーケティング
とサービス管理
顧客関係管理
サービス開発管理
サービスの管理
と運用
リソース開発管理
リソースの管理
と運用
サプライ
チェーン開発
サプライヤ/
パートナー管理
フルフィルメント
保証
請求
出典:inCode Consulting、TM Forum
図 1. Business Process Framework で見た NFV と SDN の影響
仮想化がプロセスに与える影響を図 1 に示しています。影響を受ける領域については、影響の範囲や度合いを色の濃さで示しています。
これはコンセプトから収益までの戦略とアイデアを反映した主
Business Process Framework3 では、7 つのプロセスを定義しています。
要業務プロセスで、図の上部に左から右にかけて表示されています。さらに、相互に関係し合う 4 つの機能が、
「スイム レーン」のように水
平に表示されています。一番上にはマーケティングおよびセールスの市場対応機能および顧客対応機能を、その下にはサービスの開発お
よび管理に関する内部機能、続いてネットワークのエンジニアリングおよび管理、そして一番下にはサプライヤ対応機能とパートナー対応
機能が配置されています。
この観点で見ると、大半の機能と業務プロセスにある程度色が付いていますが、フルフィルメントと保証は特に濃い色で強調されています。
色の濃さは、想定する影響の広がりを示しています。つまり、色が濃いほど、その影響は大きいということです。本書では、
このフレームワー
クや下位レベルのプロセスの詳細には触れません。ただし、従来の機能やプロセスにどんなことが起こるか検討できるように、サンプルとな
る質問をいくつか紹介します。次がその例です。
• どのようにして、仮想リソースの「在庫管理」をしますか ?
• 顧客獲得、サービスの有効化、
フルフィルメントにはどのような影響がありますか ?
• 仮想的に提供されるサービスをどのように保証しますか ?
• コンピューティング リソースの利用率はどのように管理されていますか ?
• サプライヤのビジネス モデルを変更することで、
どのような影響がありますか ?
• カスタマー サポートは、サービスを提供する複数のパートナーと連携することで、
どのように進化しますか ?
• 新しい請求ポリシーと価格設定ポリシーはどのような内容ですか ? 使用量ベースの価格設定は、供給側と消費側の両方にどのような影響
を与えますか ?
• 仮想サービスの価値を顧客に認めてもらうには、
どのようなことが役立ちますか ?
こうした影響を理解し、技術発展のロードマップに従って業務プロセスの合理化と最適化を進めることが、
これらの技術がもたらすビジネス
上のメリットを最大限に引き出すための第一歩です。まずは、自動化とソフトウェア制御を簡単にサポートできる方法で、
これらのプロセス
を実際に導入する必要があります。
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Business Process Framework は、主要プロセス領域として企業管理も挙げているが、本書では取り上げていない。戦略、インフラストラクチャおよび製品、運用プロセスの各領域に影響がある
もののみを紹介している。
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WHITE PAPER - SDN と NFV:サービス プロバイダ組織の変革
役割と責任
変化の激しい環境に対応するには、ネットワーク プロバイダの組織構造を変える必要があります。新しいサービスと連動する際、従来のネ
ットワーク エンジニアリングとキャパシティ管理は(相対的に)あまり重要ではなく、新しいアプリケーションやサービスを展開するスピード
が重要になるという認識を持つことが大切です。図 1 を見ると、多くのサービス プロバイダでは、CTO がネットワークの運用、サービスの提
供、新規サービスの開発を担当しています。IT とネットワーク インフラストラクチャが、展開されているサービスと密接に関係し、多くの場
合、表裏一体の関係にあるような環境では、
この役割分担は当然と言えます。
基本的なネットワークを抽象化し、サービス提供から分離すると、サービス提供のための開発プラットフォームを構築できます。基本ネット
ワークは「具体化」され、ソフトウェア開発手法の使用が可能になります。サービス プロバイダは、サービス提供スピードを加速させる方法
として、
「アジャイル開発」、
とくに DevOps のコンセプトを取り入れる必要があります。それにより、運用サポート、フルフィルメント、保証、
請求(FAB)の各プロセスにおいて、従来の IT と CIO の影響範囲が広がります。
ここで焦点を当てるのは、
レポーティング構造や、CIO 組織や CTO 組織を 1 つにまとめることではありません。変革における役割と責任を
明確にし、説明責任を負う組織を決めることです。主な変革は次のとおりです。
• CTO は、
さらに将来にフォーカスします。CTO は責任を持って次の点に重点的に取り組みます。1)変化に対応し、技術戦略の策定や技術評
価に参加することによる標準の開発。2)新しい技術や新しいサービス、
アプリケーション、機能の最適な構築方法を取り入れることで、ビジネ
スやネットワークに与える影響。3)SDN と NFV へ移行する調整機能を含む、
レガシー要素の移行。
• CIO は、
より運用にフォーカスします。CIO は、
フルフィルメントや保証など、
より多くの運用責任を引き受けます。DevOps を使用することで
これが実現します。DevOps は、サービス開発環境の中心であり、Web サービス コミュニティではすでに広く普及しています。
• CMO は、技術と機能にさらにフォーカスします。CMO は、CIO 組織と密接に連携し、
さまざまなサービス要件など技術的な変更に対応する
必要があります。接続ではなく、サービスやソリューションの提供や売り込みに重点的に取り組みながら、有線および無線のネットワーク イン
フラストラクチャを網羅するサービスや、接続料など、別途料金が請求されないサービスについて検討する必要もあります。
• 営業は、
ソリューションにさらにフォーカスします(ネットワークにはあまりフォーカスしません)。営業チームは、有線および無線アクセス ネット
ワークに導入できる、顧客に特化した SDN および NFV 対応パッケージを販売する必要があります。
この場合、サービスやアプリケーション
のエンドツーエンドの管理や説明責任に重点を置きます。こうしたサービスは、技術に関係なく、個々の優先度に応じて構築します。
ここで重要となるのは、何を実行する必要があり、
どのような説明責任があるかを明確にすることです。組織の名前は、機能がフォーカスす
る領域ほど重要ではありません。大切な原則は、
リーダーシップの観点から説明責任を果たし、組織の効率性と有効性を高めることです。
新しいソフトウェア スキル
サービス プロバイダが推進すべき最も大きな変革の 1 つは、ソフトウェア開発スキルの習得です。サービス プロバイダは、
トラフィック処
理施設の管理と保守を実行する必要があるため、ネットワーク エンジニアリングがサービス プロバイダのコア コンピテンシであり続けるこ
とが予想されます。しかし、現在、サービスはプログラム可能なプラットフォームで提供されているため、サービス プロバイダは、SDN に対
応できるスタッフ、特に DevOps を理解するスタッフに投資する必要があります。IP と IT を融合させる必要があります。
DevOps は、計画立案、ユース ケース開発、フレームワーク統合、コード生成、バージョン管理、自動システム チェック、自動テストおよびコー
ド チェック、ロール フォワードとロール バック処理、自動リリース構築のような、サービス提供に必要な機能を網羅するスパイラル型開発に
重点を置いています。このプロセスによって、長い準備期間を費やしてサービスを提供する必要がなくなり、数日あるいは数分でサービスを
提供することが可能になります。DevOps を採用すると、ネットワーク サービスにクラウド サービス モデルを使用できます。この場合、サ
ービス プロバイダには次の新しい役割が必要になります。
• IT ゼネラリスト:広範囲にわたる NFV コンピテンシを含め、仮想スタック全般の責任を担います。
• SDN エンジニアリング:下位レベルのエンジニアリング スキルと設計スキル、
フロー アーキテクチャの設計および管理など。
• クラウド オーケストレーション:ブローカー機能やクリアリングハウス機能を提供するサード パーティを含みます。
• パートナーおよびチャネル ビジネス開発:コンテンツの提供、XaaS のような、顧客向けソリューションに組み込まれるクラウド サービスな
ど、サービス用の API を使用して確立します。
パートナーおよびチャネルの役割の目的は、サービス プロバイダが顧客に提供する価値を最大限に高めることです。サービス プロバイダ
のネットワークから顧客が利用できるパートナーやアプリケーションが多いほど、ネットワーク サービスの価値は高まります4。
企業の IT 環境、アプリケーション開発会社、Web サービス会社との競争が予想されるため、
こうしたスキルの取得が大きな課題になるでし
ょう。この課題に取り組むためには、
こうしたスキルを備えた人材を引きつける文化を築く必要があります。
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文化
文化の特性や定義は多数ありますが、ConnerおよびSmith(Smith、2011)は、
「人々の考え方や行動の仕方」
と簡潔に定義しています。基
本的に、サービス プロバイダの文化は、ソフトウェア会社のような考え方や行動に変化していかなければなりません。
「ソフトウェア中心」の
考え方に転換するには、サービス プロバイダのブランドの土台である顧客の信用、ネットワークの信頼性、品質を維持しながら、Web サー
ビス企業、コンテンツ制作企業、メディア企業の文化を模倣するのがよいでしょう。
これを達成すると、独自のサービス プロバイダ文化を築く
ことができます。
サービス プロバイダが事業を展開する市場の外部環境の特性、そして、組織の望ましい行動に影響を及ぼす内部環境の特性に、文化がど
の程度即しているかを評価することが重要です。顧客や組織外の人との相互交流も、ブランドの確立に影響を及ぼします。一方、内部文化
は、成果や実績に影響を及ぼします。
NFV と SDN によってもたらされる変革では、サービス提供と顧客対応を変化させることが求められます。最も根本的な変革は、接続中心
の考え方から、顧客体験に焦点を当てたソリューション プロバイダという考え方に移行することです。それぞれの顧客(企業でも消費者で
も)のニーズにフォーカスし、ハイレベルの説明責任を伴いながら、カスタマイズしたサービスを迅速に提供することで、鍵となるブランド特
性が生まれます。外部向け文化を特徴付ける主な特性は次のとおりです。
• ソリューション プロバイダ:接続ソリューションから、E2E ソリューションへの転換が必要です。
• 顧客重視:セルフサービス、パーソナライゼーション、素早い対応など、顧客体験に集中的に取り組みます。
• サービスの俊敏性:変化しやすい顧客のニーズにすぐに反応し、カスタムベース(ジョブの発注ベース)で迅速にサービスを立ち上げます。
• 説明責任:パートナーが担当する部分を含め、エンドツーエンドのソリューションについて説明します。
内部向け文化には、イノベーション中心の考え方を採用します。
これは、ベータ版でサービスを立ち上げ、その場でテストし、早期に失敗でき
るようにすることで、ある程度実現できます。ソフトウェアに移行するには、すでに定着しているサイロを解消し、
グループ全体の協力体制を
強化する必要があります。内部環境の変革に必要とされる主な特性は、次のとおりです。
• イノベーション:主流ビジネスの一部として定着させる必要があります。起業支援やベンチャーへの投資も含みます。
• 実験的試み:
「ベータ」モードで新規サービスを立ち上げ、サービスの立ち上げには早期に失敗して対応するための「ファスト フェイル」
アプ
ローチをサポートする環境作りをします。
• 人材の確保と維持:新しい人材採用方法を開発し、若い専門家を採用します。
• 従業員の能力開発:ソフトウェアと
「アジャイル開発」手法のスキルを習得させます。
• コラボレーション:組織の垣根を取り除き、外部パートナーとも協力体制を築きます。
• 説明責任:失敗を回避しようとする現在の考え方を改め、失敗を受け入れる考え方に発展させます。
文化は、気を配り育てていく必要がある無形資産であり、ビジネスの成功との因果関係以上の意味を持ちます。適切な企業文化を確立する
ことで、人材を引きつけて定着させ、意思決定を後押しし、企業戦略の実行と連動した説明責任を担える環境作りが実現します。
まとめ
サービス プロバイダが NFV と SDN へ移行する場合、COT(Central Office Terminal)ハードウェアの性能を踏まえてネットワーク機能を
仮想化するため、組織ごとに達成しやすい「簡単な目標」を設定することから始めます。CPE(Customer Premises Equipment)の仮想ネット
ワークに対応可能なエッジ ネットワークや、短期間で売上が加算的に増えていくマネージド セキュリティ サービスにアップグレードするこ
となどが、
これに該当します。モバイル プロバイダは、規模拡大のためにパケットのコア機能を仮想化することに加え、モバイル デバイスへ
のコンテンツ配信を最適化するCDN(Contents Delivery Network)機能を模索しています。短期的には、従来の機能やプロセスの強化機
能が増えていくことが予測されます。
ただし、本書では、電気通信業界全体が今後 5~10 年間で経験する転換を、長期的な視野で考察しています。
これまで懸念されてきた市場
に参入する際のハードルが取り除かれたり、顧客の行動が変化するなど、市場の構造全体が大きく変化しています。顧客との関係や顧客に
対する姿勢については、差別化されたアプローチが必要になるでしょう。
現在、業界内の大半の議論は、サービス プロバイダの進化したツールキットがもたらす技術的メリットに終始しています。ビジネスの変革
に包括的なアプローチを取り入れるサービス プロバイダは、
これまでの機能を最大限活用しながら、将来、株主に利益をもたらすことがで
きるでしょう。
参照文献
Smith、R. C.(2011)、
『Change the Culture, Change the Game』、NYC: Penguin Books, Ltd.
tmForum(2014 年 7 月 9 日)、Business Process Framework、2014 年 7 月 9 日、tmForum.org:
http://www.tmforum.org/Overview/13763/home.html
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メトカルフェの法則
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