ダニエル書研究 - TAP Bibles

北海道聖書研究学院
Studies in Daniel
ダニエル書研究
ジョン・R・ハイムズ著
By JOHN R.HIMES
ダニエル書研究
クラスの紹介
初めに 「ダニエル書研究」にようこそ!このクラスでは、ダニエル書の
預言の詳しく研究することが、目的です。そして、キリストの再臨をより深く
理解し、待ち望みましょう。ぜひ、最初のクラスよりがんばって、御言葉の知
識と知恵を通して成長しましょう。
I
教師について
ジョン
ハイムズ
A 名前 John R. Himes
B 自己紹介――1951年、アメリカのオクラホマ州生まれ。母が4才
の私をキリストに導いてくれた。1970年、説教者として召され
た。 1972 年、宣教師としての召された。1976年8月、テネシー
・テンプル大学の聖書学部を卒業。テンプル・バプテスト神学セミ
ナリーに、次いでマラナタ・バプテスト聖書大学院に行き、 2005 年
5月に聖書研究修士号を得て卒業。 1981 年5月6日、来日。 1983 年
3月31日、東京日本語学校を卒業。現在、旭川市の勝利バプテス
ト教会の牧師。
C 家族 パティー
1 妻 Patty は1955年、ミシガン州生まれ。1978年、ミドウエ
スターン・バプテスト大学を卒業。現在、ジョン・ハイムズの
愛妻、お手伝い、私のベスト・フレンド。
ポール
2 長男 Paul は1980年、アメリカのテネシー州生まれ、日本で
育った。カルバリ・バプテスト・セミナリーで、 M. Div. (神学
修士号)で2008年卒業し、現在は新約聖書ギリシャ語言語学
の博士号の論文を書いている。
D 住所――北海道旭川市豊岡7条4丁目5の1,501号,〒078−8237
E ℡――(0166)35−3789;携帯―― 080-3239-3853
II
クラスについて
A クラスの目標――ダニエル書を正しく解釈すること
B テーマ箇所――ダニエル12:3
C 教科書――講師のノート
-1-
III
A
B
C
クラスの条件
試験――期末試験があります。
暗記聖句
1 1:8,2:47,3:25,4:37,6:26,9:3,
9:25∼26,10:19,12:2∼3
2 期末試験に、こういう質問が出ます。「あなたは暗記聖句の
全部を暗記しましたか。」
読本( 期末試験までに)――預言についての本 、200ページ読んで 、
「読書リポート」を詳く書いてください。
1 200ページになるように、2冊の短い本を読んでもいいです。
2 期末試験までに、教師に渡すようにお願いします。遅ければ、
点数が下がることがあります。
がんばってください!!
-2-
がいらん
ダニエル書の概覧
I
ダニエル書はどういう書物であろうか。
A ダニエル書の目標
1 ダニエル書はダニエルの伝記でもないし、当時のイスラエルの
歴史でもない。
2 その目標は、永遠の神は世界・人間の歴史・自然界のすべてを
支配されていることを教えることである。
B ダニエル書のテーマ 、「異邦人の各時代」
C ダニエル書は大預言書の一つである 。
(残りはイザヤ書、エレミヤ書、
エゼキエル書である 。)その357節の中の162節(45%)は、
58の預言を述べる。
II
ダニエル書の著者
A 著者はイスラエル人の預言者のダニエルであった。
1 10年代(たぶん12∼15才ぐらい)のときに、捕虜として
バビロン帝国の都バビロン市へ運ばれた。
2 ダニエルはとても正しい人であり、神を喜ばした 。(エゼキエル
14:14 )そのために、天の御使いに、
「 神に愛されている人 」
と呼ばれていた 。(9::23、10:11と19)
3 聖書の人物のなかで、罪人であるのにその罪は一つも書かれてい
ない人は、ヨセフとダニエルの二人だけである。
B この書のある預言はもうすでに詳しく成就されている。たとえば、
イエス・キリストの降誕の年代はダニエルにちょうど預言された。で
あるから、真の神を信じない人々は激しくダニエルの著者や年代を
攻撃する。
1 例えば、3世紀のポルファイリというシリヤ人の未信者は、
ダニエル書は偽物であると言った。
2 また 、現代の自由主義の神学者たちもダニエルの著者を否定する 。
C しかし、ダニエルの著者を証明する証拠が十分ある。
1 バビロン帝国の時代に書かれたエゼキエル書に、ダニエルの名前
が3回出る 。(エゼキエル14:14と20、28:3)
2 イスラエルの1世紀の歴史家のジョセファスはダニエルの著者を
認めた。
-3-
3
D
E
III
A
B
キリストご自身もダニエルの著者を認められた 。(マタイ24:
15)
ダニエルの預言を認めると、その書が神に霊感されていることも認め
なければならない。
ダニエル書の大部分はヘブル語(ヘブライ語)で書かれたが、ある
部分だけはアラム語で書かれた。
ダニエル書の年代
ダニエル書の出来事は紀元前605年(捕虜としてバビロンへ)より
536年(ペルシアのクロス王の3年目)までである。
ダニエル自身はたぶん530年ごろまで生きていたので、ダニエル書
はダニエルの死ぬ前の10年間の間に書かれたと思われている。
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ダニエル書のアウトライン
I 四人の賢い青年――これはユダヤ人のバビロン捕虜時代に行われた。つま
り紀元前605∼602年ごろであった。彼らの問題は、真の神の信者はどう
やって神の正しい宗教に反対する社会に暮らすことができるか、ということで
あった。
A 外国に住む。(1:1∼7)
1 この箇所の背景――この四人の青年は、自分の国が神の御心に
よって戦争で負けたので、捕虜として外国へ運ばれた。その社会
はすべてにおいて外国のであった――言語・宗教・習慣(1∼3
節)
2 青年たちはイスラエルのエリートな者で、立派であった。
(4節)
クリスチャンも神のためにすべてでベストを尽くしてがんばるべ
きではないか。(伝道9:10、コロサイ3:23)
3 外国に住んでいるのだけではない。その外国人は青年たちのすべ
てを変えようとしている――名前・信仰など。(5∼7節)
B 外国に住んでも信じた。(1:8∼13)
1 アメリカで 、「何のためにも立たない者は、何でも信じる 。」と
言われている。しかし、ダニエルは強い立場を取った 。(8節)
2 神は、強い立場を取ったダニエルのために立ち上がられた。神は
すべてを支配されることを覚えて、結果を神に任せよう 。(9∼
10節;マタイ10:33、詩篇75:6、箴言3:35)
3 ダニエルは試してくれるように願った 。(11∼13節)日本と
いう国もキリストに栄光を捧げない。このような国に住むあなた
の信仰は、どのぐらい強いであろうか。仏教や人文主義に反対す
る立場を取るまで強く立てるか。それはもちろんダニエルのよう
に礼儀正しくしよう!(12∼13節)
C 外国で勝利を得た。(1:14∼21)
1 神はダニエルたちに食物の律法に従う方法を示された 。(14∼
16節)
2 それから、神は彼らの勉強も助けられた 。(17∼21節)青年
たちは神の助けによってバビロン帝国のエリートになったのであ
る。神の御言葉に従う者は必ず神に助けられる 。(ヨシュア1:
8、詩篇1:1∼3)
-5-
3
II
未信者の中に住みながら神と御言葉に従う決心をしてください。
ネブカデネザルの夢(2:1∼23)
A 王の命令(1∼13節)
1 王は夢を見た。これだけは珍しくないが、彼のは変わっていた夢
なので、王の心が騒いでいた。
2 王はもっとも偉い助言者たちを呼んだ 。(2∼4節)
a 呪法師と呪文師とは、宗教家として魔法・呪いなどをやって
いた。
b 呪術者とは、現代の科学者にもっとも近いのであった。しか
し、当時に科学と迷信・星占いと天文学の間の違いはほとん
どなかった。
c カルデヤ人は当時の学者であった。彼らは言語・農業・建築
に、魔法や天文学を研究していた。この時、カルデヤ人は王
への代表者であった。
3 王は夢の内容を忘れていたから、世界中の学問や宗教ができない
ものが必要であった。それは奇跡である 。(5∼11節)私たち
も神と神の力に頼って、この世の哲学に騙されないように気をつ
けよう。(コロサイ2:8)
4 王に逆らってはとても危険である!この知者たちはそうして、
自分のプライドを通して大問題を起こした 。(12∼13節)
B ダニエルの挑戦。(14∼23節)
1 ダニエルたちの命は危険であった。(14∼16節)ダニエルの
心の叫びはたぶん 、「助けて、待って 」でも、ダニエルは神の
答えを信じて、大胆に王にそう言った 。これこそ信仰である。
(ヘ
ブル11:1と6)
2 ダニエルは神の答えを待っていた。(17∼18節)謙遜であっ
たダニエルは、信仰を持っていたが、祈り続けていた。でも、
自分の祈りだけが足りなくて、 祈祷の戦士の必要があることを
認めた。
3 ダニエルは教えた。(19∼23節)ダニエルは自分の信仰の
秘密を述べた。
a 神は完全な知恵や力を持つ方で、頼りになる方である。
b 神は人間の歴史を支配し、それを変えることができる方であ
る。
-6-
c 神は真理を啓示される。私たちは御言葉に信頼ができる。
d 神は祈りに答えられる。祈りの答えは未来の信仰の土台にな
ることができる。
III
A
B
未来の謎を解けたダニエル(2:24∼49)
ダニエルは神のことを語った。(24∼30節)
1 神に夢の意味を教えられたダニエルは王のところまで連れてもら
った 。
(24∼26節 )24節に、ダニエルの哀れみから学ぼう 。
魔法や魔術を行う知者たちは死刑に値する者であったに違いな
かったが、ダニエルは彼らが滅ぼされないように願った。
2 ダニエルは神に栄光を捧げた 。(27∼28節、1コリント10
:31)
3 啓示は神からくる 。(27∼28節、2ぺテロ1:20∼21)
ある人はこう言う。「すべての真理は神の真理 。」しかし、神の
啓示の真理しか、誤り・間違いのないものはない。人間の科学・
医学・心理学などは多く間違っている。
夢を解けたダニエル 。(31∼45節)
1 夢の像はその時からの歴史の四大帝国のことを意味していた。
a 純金の帝国はバビロン帝国であった。(紀元前629∼
539年ごろ)
b 銀の帝国はペルシア帝国であった 。(紀元前539∼330
年;バビロン市は330年に倒れた。)(ダニエル5:28)
c 青銅の帝国はマセドニア帝国であった 。(紀元前330∼
167年;マセドニア市は330年に倒れた 。)(ダニエル
8:21)
d 鉄の帝国はローマ帝国であった 。(紀元前31∼紀元324
年)像は鉄の足が二本であったと同様に、ローマ帝国は二つ
の帝国に分けた。
①東方は395年にビゼンタイン帝国になった。それは
1453年にトルコ人がコンスタンチノプル市を倒したと
きまで生き残った。
②西の帝国は476年に倒れたが、その前にも、ドイツから
のビシゴス族はローマ市を一回略奪することがあった。
(410年)
③像の鉄の足は東と西の両帝国を示す。両方はいくつかの
-7-
C
D
小さくて弱い国々に分けられた。それは混じり合っている
鉄と粘土の意味である。(43節)
2 像の足を打つ石(34∼35、44∼45節)はイエス・キリス
トの王国である 。(1ぺテロ2:4∼8、など)それは、千年
王国時代に、世界を支配する「山」となる。
尊敬すべきダニエル(46∼49節)
1 ネブカデネザル王はダニエルを尊敬するようになって、神をほめ
讃えた。私たちもイエスについて歩んだら、そうなるであろう。
(マタイ5:16)
2 人を高くしたり低くしたりする方は、神であると覚えよう。
(詩篇75:4∼7)神はダニエルを高い位に上げられた。
神は、私たち人間をも、人間の歴史をも、すべてを支配されているか
ら、いつも神に信頼しよう。
IV 意味のない偶像崇拝(3:1∼30)――ネブカデネザルの許した偶像
崇拝は無意味であった。彼はもう真の神について知っていたのに、自分のプラ
イドのせいで偶像の製作を許してしまった。それは傲慢であった。しかし、聖
書の中に、ダニエルの偶像崇拝に反対する立場はとても立派であるから、彼の
経験から学ぼう。
A 王の命令(1∼7節)
1 これはとても大きい像であった。1キュビト(腕尺)は大体53
∼55センチであったので、像の高さはほとんど20メートルで
あった。
2 ネブカデネザルは帝国の指導者の皆が、彼の偶像を拝んでほし
かったのである 。(2∼6節)それは傲慢であった。
a 崇拝を要求することは傲慢であった。
b それに、拝まない人の罰を死刑にしたとは、なおさら悪かっ
た。
3 もちろん、ほとんど皆は拝んだ 。(7節)
B 信者の勇気(8∼18節)
1 信者たちの敵は王に一部始終話した 。(8∼12節)正しく行う
人は必ず敵をつくる。(2テモテ3:12)
2 王は怒った。やはり、王に逆らう人は覚悟しないといけない。
(13∼15節)
3 信者の立場は――「私たちはこのことについてあなたにお答えす
-8-
C
D
E
る必要はありません 。」つまり、彼らは前もって偶像崇拝の問題
を心のなかで解決してあった 。(16∼18節)これは使徒たち
に似ている 。(使徒5:29)
死刑にされる信者(19∼25節)
1 信者たちはすぐ死刑にされたが、兵士だけが死んだ。(19∼
23節)
2 イエスは忠実な3人といっしょにおられた 。(24∼25節)し
かし、迫害されるときに、助けがこなくても喜ぶべきである。
(マタイ5:10∼12)
王の告白(26∼30節)
1 神は栄光を受けられた 。(26∼27節)御子キリストを中心に
すると、いつもそうなる。
2 王は皆の前で神の偉大さを告白した 。(26∼27節)これは彼
の救いの助けになったであろう。
3 神は3人の若者を高い位に上げられた 。(30節)私たちも正し
い生活をし、人間を恐れないなら(箴言29:25、マタイ10
:28)、神に助けられる。
この奇跡でがっかりしたのは、神の敵だけであった。
V 狂った王の歴史(4章)――この章はユニークである。人がだんだん狂う
ことが述べてあるから、精神病の一つの原因を知ることができる。現代なら、
ネブカデネザルの精神病は壮大偏執病と呼ばれ、悪くなったら、精神異状にな
ったのである。でも実は、彼は罪のために、神に裁かれた。
A ネブカデネザルの夢(1∼18節)
1 神をほめ讃えるために自分のことを述べた 。(1∼3節)
2 知者たちは失敗した 。(4∼6節)夢を理解していたらしいが、
王に解ける勇気がなかった。
3 王はダニエルに夢を述べた 。(7∼17節)美しい木・聖い
見張りの者・獣のようになった心の変わった夢であった。
4 ダニエルの評判は、神の霊に満たされた人であった 。(18節)
B ダニエルのアドバイス(19∼27節)
1 ダニエルは本当の謙遜と哀れみをもって助言した 。(19節、ガ
ラテヤ6:1)しかし、彼ははっきりと王をせめた 。(箴言9:
8、27:5、28:23)
2 ダニエルの解釈
-9-
C
D
a 高い木は王のことであった 。(20∼22節)
b 見張りの者は神からであった 。(23節前半)
c 王は獣のようになる。(23節後半)
d 癒しは主に従うことであった 。(24∼27節)
位から落ちるネブカデネザル(28∼33節)
1 王はプライドを悔い改めなかった 。(28∼30節、箴言16:
18)
2 神はネブカデネザルを裁かれた。王は動物のようになり、草を
食べるようになった 。(31∼33節)たぶんこの間にダニエル
はバビロンを支配したであろう。
ネブカデネザルの決心。(34∼37節)
1 王はやっと神を信じる決心をして、神を祝福したりほめたたいた
り、神に栄光を捧げたりした。(34∼35節)
2 その瞬間、王は精神病から回復した 。(34∼35節)それは彼
の救いのときであったであろう。救いを通して多くの問題が解決
される。(2コリント5:17)
3 では、精神病はどういうふうに扱うべきか。
a イエスの救いに導こうとしよう。(ヨハネ14:6)
b 信者なら、主に従うように導こう。
c 謙遜をもって哀れみで愛しよう。
d 神の癒されない精神病はない。人を助けるチャンスを待って
いるか。
VI ベルシャツァル王のパーティー(5章)――ネブカデネザルはバビロン
帝国を創設した。その後は、短い間だけに、エビル・メロダク(エレミヤ52
:31)とネルガル・シャール・ウサルは王になった。その後、ナボニダスと
いう人は反乱を通して王になったが、アラビアへ旅行に行った間にこのベルシ
ャツァルを管理の王にした。それは大間違いであった。なぜなら、ベルシャツ
ァルは歴史上のもっとも大きいパーティーをした。パーティーはすべて終わる
が、このパーティーの終わり方はすごかったのである。
A ベルシャツァルのパーティー(1∼4節)
1 この宴会は1000人ぐらいの為で、紀元前539年10月29
日に行われた。
2 とても罪深い宴会であった。エルサレムの神殿の聖なる器を
使って神を冒涜するのであった。
- 10 -
3
B
C
D
罪が楽しくないと思っては勘違いである 。(ヘブル11:25)
しかし、神はいつも罪を裁かれる 。(イザヤ47:8∼11、
箴言21:17)
ベルシャツァルの恐怖(5∼12節)
1 壁に書かれた。神はこのパーティーをご覧になっておられた。
2 王にいくつかのことがなった。
a 良心に責められた。
b 恐怖になった。
c 助けを求めたが、知者たちも力がなかった。未信者は御言葉
の解釈ができない。(1コリント2:14)
3 王は神を無視していた。(10∼12節)ダニエルのことを
知っていた妻はパーティーにいなかった。彼女は信者であったか
もしれない。
ベルシャツァルの間違い(13∼23節)
1 ベルシャツァルはとうとう神の人を呼んだ 。(13∼16節)
大事な御言葉をいつも最後にしてあったから。
2 ダニエルは王に歴史を教えた。(17∼21節)
3 ダニエルは王に彼の罪を教えたが、叱責したり解釈したりしな
かった。なぜなら、裁きはもうすでにきたのである。
ベルシャツァルの裁き(24∼31節)
1 壁の御言葉はヘブル語であったであろう。知者たちは読めたが、
解釈ができなかった。酔っぱらっていたかもしれない。
2 25節の言葉の意味は 、「数えた、数えた、重さを量った、分け
た。」
3 バビロンは二つ以上に分けられて、破壊されれベきであった。
(26∼28節)
4 王は約束を守ったが、価値のないものであった。その夜、ダリヨ
ス王は川の底でバビロンの壁の下から攻撃し、ベルシャツァルを
殺した。(箴言13:15)
VII ダニエルと獅子の穴(6章)――これは非常に興味深い話である。興
奮する話で、ダニエルのすばらしい性格を見せる。ダニエルは真理と正義と宗
教の自由のために、静かに強い立場を取った。
A ダニエルの敵(1∼9節)
1 ベルシャツァルを破ってから、ダリヨスは新しい政府の制度をつ
- 11 -
B
C
くった。各州の上に知事がいて、いくつかの州の上に太守がいた。
2 ダニエルは高い位についた。彼は太守の上の三人の大臣の一人で
あった。(2∼3節)他の支配者はうらやましくなった。
3 すばらしいことは、ダニエルの敵は彼の信仰しか攻めるところを
見つけなかった 。(4∼5節;2テモテ3:13)
4 ダニエルの敵は、ダリヨスのプライドを利用て彼を騙し、新しい
法律を定めてもらった。(6∼9節)
ダニエルの勇気ある個人デボーション(10∼17節)
1 ひどい死刑でもダニエルの信仰を弱らせなかったのである。
(10節;箴言4:26∼27、マタイ10:38∼39、16
:24∼25)
2 ダニエルの敵は罠を仕掛けた。(11∼13節)
3 それから、出来事は早く進んだ 。(11∼13節)
a 王は変わらない法律を変えろうとした。しかし、メディヤの
法律の変更は禁じられていた。
b ダニエルの王に法律について講演したことは間違いで
あった。
c 王は法律の通りに行ったが、ダニエルを励んだ 。(マタイ5
:16)
d ダニエルは王の印で獅子の穴の中に封印された。
ダニエルの圧倒的な勝利(18∼28節)
1 これで王のダニエルに対する愛と尊敬が明らかになった 。(18
∼20節、箴言22:11)
a 王は眠れなかった。
b 王は喜べなかったので、音楽もほしくなかった。王はいつも
自分の音楽家を持っていた 。(たとえば、ダビデはサウロの
音楽家であった。
c 王は朝早く起きて、ダニエルを調べに行った。
2 ダニエルの返事を考えよう。彼はいつも王を尊敬していた。
(21∼22節)
3 王は新しい命令と法律を言い出した。(23∼27節)
a ダニエルを獅子の穴から出してもらった。
b 獅子はお腹が空いていた。王はダニエルの敵を穴の中へ投げ
た。
c 王はすべての民が真の神を恐れるように命じた。
- 12 -
4
神はダニエルを祝福された 。(28節)ダニエルの強い立場の
真似をしよう。
VIII ダニエルの夢(7章)――この夢はダニエルにとって遠い未来を預
言した。旧約聖書では、この章は最もヨハネの黙示録に近いのであろう。ダニ
エルの夢は黙示録と同様なことをたくさん預言した。
A ダニエルの恐い夢(1∼14節)
1 四頭の怖い獣 。(1∼7節)これらのことは地中海の回りに行わ
れる。
a 獅子は変化させた。
b 熊は食べ尽くした。
c ひょうは征服した。
d 四つ目の獣は破壊した。
2 一つの小さな角(8節)
3 力強い「年を経た方」(9∼10節)
4 小さな角の傲慢と破壊(11節)
5 四頭の獣の二つ目の機会(12節)
6 人の子の来臨(13∼14節)
B ダニエルの夢の解き明かし(15∼27節)
1 17節によると、獣たちは王である。
a 獅子はネブカデネザルであった。バビロンの軍隊の印は獅子
であった。また、バビロン市の廃墟には、羽を持つ獅子の跡
が見つかった。勉強したように、この王は本当に変わった。
b 熊は多分ゼルクシーズ(Xerxes)のことを示している
であろう。彼のメド・ペルシア軍はとても大きくて、たくさ
ん破壊した。そしてメド・ペルシアの三本の肋骨に当たる
レデヤとバビロンとエジプトは後で反乱を起こした。
c マケドニア帝国のアレクサンダール大王は、ひょうのように
征服が早かったのである。彼の死後に、帝国は四つの国に
分けられた――スレース、マケドニア、シリヤ、エジプト
d 最後の恐ろしい王はローマであった。
2 復活するローマ帝国は、「角」(国の指導者)が大勢入る。三つ
の強い国は 、「小さな角」に征服される。その小さな角とは、裁
きにふさわしい反キリストのことである。(箴言16:18、
1コリント10:12)
- 13 -
C
a 反キリストは聖徒たちと戦う 。(19∼21節)
b 彼は世界を支配する。(23∼24節)
c 彼は3年間半だけ支配する 。(25∼26節)
3 「年を経た方」とは、裁き主でおられる父なる神のことである。
(22節)
4 「いと高き方」でおられるキリストは、彼の聖徒たちに世界を
与えるために再臨をなさる 。(18、22、27節;マタイ24
:30∼31)
ダニエルが困った。
1 この夢はダニエルにとって感情的に難しかったのである。なぜな
ら、誰とでも分け合うことができなかった。クリスチャンの指導
は寂しい。
2 しかし、神は未来をすべて計画しておられる。私たちはこの預言
で困る必要はない。神に信頼することだけで良い。
IX 雄羊と雄やぎの幻( 8章 )――これはダニエルの近い未来と「 最後の日」
と言われる時代についての預言である。ダニエルや当時の誰も子の預言を解釈
することができなかったが、私たちは歴史的な成就を通して大部分の解釈がで
きるし、残りの部分も大体解釈することができる。
A ダニエルはまた夢を見る。(1∼14節)
1 彼は二本の角を持つ雄羊を見た 。(1∼4節)
a 角は同じ長さではなかった。
b しつこい雄羊であった。
c 自分の意志で偉くなったが、高ぶりは罪である。(マタイ
23:12)
2 雄やぎは激しく雄羊を攻めて殺した。(5∼7節)
3 大きな角は折れて、4本になった 。(8節)
4 4本の角な中から一本の小さな角が高ぶって、聖所を汚した。
(9
∼12節)
5 これらのことは2300日間、つまり6年間かかる。(13∼
14節)
B ガブリエルの解き明かし(15∼25節)
1 神は御使いのガブリエルが幻の意味を教えるように命じた。
(15∼16節)神は未来のすべてをご存じである。
a この幻は終わりの時のことを教えている。(19節)
- 14 -
b
C
D
雄羊はゼルクシーズのメド・ペルシア帝国のことである。
(20節)二本の角は連盟の二人の王であるが、ゼルクシー
ズの方が強かった。
c アレクサンダール大王はメド・ペルシア帝国を破壊した。
(21節)彼の死後、帝国は四つに分けられた 。(22節)
d アンチオクス・エピファネス四世は紀元前175∼164年
にシリヤを支配した。イスラエルを迫害し、神殿の祭壇の上
に豚のいけにえをした 。(24∼25節)これがために
マッカビー反乱がおこった。
2 アンチオクス・エピファネスは同様に支配する反キリストの象徴
である。
ダニエルはまた困った。
( 27節)悟れないストレスで病気になった。
神は未来をすべて計画しておられる 。御使い達はそれを理解している 。
神に信頼しよう。
X ダニエルの祈りの深さ(9章)――彼は聖書の学者であった。獅子の穴に
投げられたのは祈りのためであった。それに、彼はよく聖書を勉強していた。
例えば、エレミヤ書は書かれたばかりであったのに、ダニエルがその霊感を認
めていた。聖霊が聖書を認めさせる。
( ヨハネ14:16∼17 、15:26 、
16:13)ダニエルにとって 、エレミヤ書で読んだ箇所がショックを与えた。
A ダニエルが祈った時(1∼3節)
1 戦後すぐであったから、ダニエルにとって難しいときであった。
(1節)
2 ダニエルはエレミヤ書25:11∼13勉強していた。それによ
ると、エルサレムは70年間に神に裁かれる。ダニエルはもうす
でに70年間ぐらいバビロンにいた。それはネブカデネザルの
最初の年から(紀元前605年ごろ )、536年のクロスの勝利
までであった。(エズラ3:1∼2)
3 イスラエルの帰国の時が来たと気がついたダニエルは、国のため
にすばらしい執り成しの祈りをした。
Bダニエルが祈った理由(4∼15節)
1 罪の容赦は神のご性格から出る 。(4∼9節)
a ダニエルは神をすばらしく描いた 。(4節)
b 神の性格をイスラエルの罪に比べた。(5∼6節)
c イスラエルの恥を神の哀れみに比べた 。(7∼9節)
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2
C
罪の容赦の必要とイスラエルの罪 。(10∼15節)
a 神に逆らった。(10節)
b モーセの律法をやぶって、正義によって裁かれた 。(11∼
12節)
c 悔い改めなかった。(13節)
3 神の祝福される悔い改めはちょうどダニエルの態度であった。つ
まり 、人間の罪は正しい神から裁かれるのにふさわしいのであり 、
その裁きは人間のせいである。(14∼15節)
ダニエルの祈ったこと。(16∼19節)
1 エルサレムとユダヤ人のための哀れみを祈った 。(16節)なぜ
か。神の栄光と御名のためであった。
2 また 、「主ご自身のために」神殿の再建を祈った。(17節)
3 ダニエルは祈りを要約して、祈りの答えられる理由は人間の中に
はなく、神の義と哀れみから出る、と言った 。(18∼19節)
4 ダニエルやパウロのように、自分の民を愛しよう 。(ローマ9:
1∼5)
XI ダニエルとガブリエル(9:20∼23)――ダニエルは偉い。この四
節はクリスチャン生活を知恵深く教える。しかし、ダニエルを尊敬しながら彼
に栄光を捧げてはいけない。
A ダニエルがほしかったこと(20∼21節)
1 ダニエルの祈りに四つの部分があった。
a お話し――つまり、心の重荷をそのまま神に語った。何を
祈ればいいかわからないときにも、聖霊に助けられる。
(ローマ8:26)
b 祈り――神に物事を願った 。(マタイ7:7∼8)
c 罪を言い表すこと――神の容赦をいただいた 。(1ヨハネ1
:9)
d 「願いの祈り 」( supplication)――心の叫び声 。(ローマ10
:13)
2 ガブリエルはダニエルの祈りの途中で来た。神は私たちの祈りの
前にもうご存じである 。(イザヤ65:24)そして、私たちが
まだ罪人であったときにイエスを遣わされた 。(ローマ5:8)
B カブルエルの話し(22∼23節)
1 カブルエルは神のお知らせを伝える御使いである。メシヤ(キリ
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2
3
4
スト)についての大事なメッセージがあったときに、ガブリエル
は伝えた――
a ダニエルに(この箇所と8:16)
b ザカリヤに(ルカ1:19)
c マリヤに(ルカ1:26∼27)
ダニエルの天国での評判を考えよう。「神に愛されている人。」
(23節)私たちの天国の評判は何であろうか。ダニエルは正し
く生きるための模範である。
a アブラハム(ヤコブ2:23)とモーセ(出エジプト33:
11)は神の友であった。
b ダビデは「主…ご自分にかなう人」であった 。(1サムエル
13:14)
c 十二使徒はイエスの友であった。
( ヨハネ15:14∼15)
d ヨハネはイエスの愛する弟子であった 。
( ヨハネ13:23)
ダニエルはなぜ「神に愛されている人」と呼ばれていたのか。
a 彼は心から正しく歩みたがっていた。(エゼキエル14:
14と20)
b 心から知恵がほしかったのである 。(エゼキエル28:2∼
3)
c 心から神ご自身について歩みたがっていたのである。である
から、多く祈る習慣があった。
自分はどのような者として天国で知られているであろうか。もし
かしてガブリエルが自分にあうとすれば、何と呼んでくれるであ
ろうか。天国に着くと、名前は何となるであろうか 。(黙示2:
17)
XII 神の下さった答え(9:24∼27)――この箇所は驚くべき預言で
ある。でも 、神は完全に未来を知っておられることはびっくりするはずがない。
しかし、聖書の預言は文字通りに成就されると私たちは知りながら、このよう
なすばらしい預言を勉強するときに、驚くべきであると思うしかない。では、
ダニエルの学んだ預言を研究しよう。
A ダニエルの「七十週 」、及び490年間(24節)
1 原語はヘブル語の一般の「週」という単語ではなくて、 shavu'im
(女性形)であって、「七つ」(複数)という意味である。
従って、学者は皆この意味は年々の数で、7に70を掛ける、つ
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B
C
まり490年間という事に賛成する。
2 この預言は異邦人に関係がなく、ダニエルの国民と聖なる都市
エルサレムについてである。従って、教会時代を象徴するという
解釈は間違っている。
最初の69週(483年間)(25∼26節)
1 七つの週は49年間である。それはアルテ・ゼルクシーズ王の
エルサレムを再建しようという命令が出た紀元前444年に
始まった。最後は396年にエルサレムの再建ができたときで
あった。
2 62週、つまり434年間はちょうどイエスの十字架上の死のと
きまでである。ただし、これはユダヤ人の記録で30日間の月と
いうことである 。(創世記7:11∼24、8:3∼4)エルサ
レムは紀元70年に破壊されたので、最後の週の間に二つの事件
があった。
a メシヤ(「 油注がれた者 」)は十字架上で「断たれ 」、つまり
殺された。「彼に何も残らない 。」とは、メシヤはユダヤ人
に拒まれるという意味である。
b 「やがて来たるべき君主」とは、反キリストのことである。
彼の民であるローマ人は「町と聖所を破壊する 。」町はエル
サレムで、聖所は神殿の中にあった。ローマ帝国のテトス
将軍は70年に両方を破壊した。
c 「終わりまで戦いが続いて」とは、平和の条約を結ぶまで、
イスラエルと反キリストの間に戦争があるという意味であ
る。
ダニエルの70目の週――7年間(27節)
1 聖書の箇所を別の箇所(特にマタイ24章)に比べることによっ
て、これは7年間の艱難時代であるということがわかる。
a 反キリストはイスラエルと平和の条約を結ぶが、3年半で
条約を破る。
b その時 、「荒らす忌むべき者」である反キリストは新しい
神殿を汚す。
2 旧約聖書に預言されなかった教会時代は、69週目と70週目の
間である。これは24節の幻と預言の確証のことである。黙示録
の最後に(22:18∼19)預言が確証されたので、70年か
ら空中再臨まで成就する預言がない。
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XIII 勝利者の幻を見よう(10:1∼19)――このおもしろい話しは
預言の間にくる。これはたぶん人間と御使いのもっとも興味深い出会いであろ
う。
A ダニエルの怖い幻(1∼9節)
1 ダニエルは帝国の大臣であったから、部下もいっしょであった。
(7節)
a 部下はいっしょに断食しなかったから、たぶんユダヤ人では
なかったであろう。
b 偉い大臣になっても、ダニエルは祈ったり断食したりした。
どんなに偉くなっても人は謙遜すべきである。
2 ダニエルが会ったこの方は、他ならぬキリストご自身であった。
(黙示1:9∼20に比べてください 。)これはキリストの降誕
の前の神現であった。
B ガブリエルの説明(10∼15節)
1 弱くなって怖がるダニエルでも 、「神に愛されている人」と呼ば
れた 。神は私たちをありのまま愛しておられる。
( ローマ5:8、
詩篇103:11∼14)
2 ダニエルの祈りはなぜ答えられたか。(12節)
a 神の御言葉を理解しようとした。
b 「へりくだろうと決めた。」(ヤコブ4:6∼10)
c 断食もした 。(3と13節)
3 ガブリエルの来る理由はもう一度ダニエルに神のイスラエルのた
めのご計画を伝えることであった 。(14節)
④ しかし、神の御心を行うために、サタンと戦わなければならな
かった。御使いたちは決して霊的な戦争のことを忘れない。我々
も忘れてはいけない。(エペソ6:10∼13)
C ダニエルの深い苦しみ(15∼19節)
1 ダニエルはなぜ苦しんでいたのか 。(15∼17節)
a きっとまだ1∼2節の自分の民についての預言を考えていた
であろう。
b 私たちもダニエルやパウロのように自分の民を愛しよう。
(ローマ9:1∼3)
2 御使いはダニエルを強めてくれた 。きっと現代にもそれと同様に 、
御使いは困る信者を強めてくれるに違いない。キリストも御使い
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3
に強められたことを覚えよう。(マタイ4:11)
神は私たちをすばらしく愛しておられる。これらの事実を覚えて
がんばろう。
a 神は未来をすべてご存じである。
b イエスはダニエルに現われたと同様に、私たちの心にも来ら
れた。
c 御使いたちは力を与えるために近いのである。
XIV 変わった王たち(10:20∼11:35)――この箇所にアンチオ
クス三世と、反キリストのタイプ(象徴)になるアンチオクス四世と、反キリ
スト自身の活躍は預言されている。アンチオクス三世と四世のことを勉強しよ
う。
A アンチオクスのチャンス(10:20∼11:4)
1 ダニエルは大王クロス二世の大臣であった 。(1節)
2 他の3人の王は――
a カンビシーズ二世(紀元前527∼522年)
b 権利の主張者スメルディーズ(紀元前522年)
c ダリヨス一世と言われたヒスタスピス(紀元前522∼
485年)
3 2節の預言はゼルクシーズのギリシャ対ペルシアの戦争であっ
た 。(紀元前480∼479年)サモパイリーとサラミス湾とい
う有名な戦いはその戦争のであった。
4 ゼルクシーズの死後に、アンチオクス三世は四つの新しい王国の
一つを受け継いだ。
B アンチオクスの計画(11:5∼12)
1 プトレマイ一世はエジプトで上がったが、彼の将軍の一人であっ
たセルークス一世(ニカトール)はバビロンの独立した王国で
311年より支配していた 。(5節)
2 プトレマイ二世の娘のベルニースは、252年にアンチオクス
二世と結婚したが、彼の離婚した妻ラオダイスと彼女の息子に
殺された 。(6節)
3 ベルニースの兄弟のプトレマイ三世は北方の地方を攻撃し、略奪
した 。(7∼8節)
4 復讐のために、セルークス二世はエジプトを攻撃したが、240
年ごろにプトロマイ三世に敗られた。(9節)
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5
C
D
セルークス三世とアンチオクス三世は、アンチオクスがエジプト
のガザ地方の国境を攻撃したときに戦った 。(10節)
6 プトレマイ四世は217年に、ラフィアというところでアンチオ
クス三世の軍隊を敗ったが 、追いかけなかった。
( 11∼12節)
アンチオクスの新たな戦争。
1 アンチオクス三世は202年に新しい戦争を始めた。(13∼
17節)
a マケドニアのピリポ五世や他の国王もアンチオクスと
戦った。
b ユダヤ人も戦ったが、倒れた。プトレマイ王のスコパス将軍
はパレスチナを取り、エルサレム市を略奪した。
c スコパス将軍は198年にパネアス市でアンチオクスに負け
て、シドンの砦で降参した。
2 ローマ軍はマグネシアで190年にアンチオクス三世を敗った。
彼は3年後の探検で死んだ 。(18∼19節)
3 セルークス四世はイスラエルの神殿の物を盗もうとしたが、後で
暗殺された 。(20節;聖書に含まれていない第2マッカビー書
3章にも述べられている。)
アンチオクス四世も戦争を起こした 。(11:32∼34)
1 ユダヤ人はマッカビー族の指導で戦った。(23∼35節)
2 ユダ・マッカビー将軍は大した勝利を得た 。(2マッカビー書3
∼4章)
XV 反キリストの計画される帝国(11:36∼45)――反キリストは預
言されている。強そうな王であるが、そうでもない。その理由を勉強しよう。
A 反キリストの弱い神(11:36∼39)
1 この箇所は誰のことを示しているか。
a 一つの解釈は、これがアンチオクス四世エピファネス
(「 現われた者」という意味)であった。しかし、そうなら
詳しい解釈ができない。
b 他の解釈はこれがローマ・カトリック教の法王のことであ
る。しかしこれの詳しい解釈もできない。ただ、37節にあ
るように、法王も、「女たちの慕うものも…心にかけない。」
2 もっともいい解釈はこれが反キリストであるというのである。
a 「すべての神よりも自分を高め… 。」(37節、2テサロニ
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B
C
XVI
ケ2:1∼12)
b 「彼は、先祖の神々を心にかけず…、先祖たちの知らなかっ
た神をあがめる 。」先祖の知らなかった神とは、反キリスト
自身のことである。
c 「彼はとりでの神をあがめ… 。」(38節 )「とりで」とは、
「自然の力」という意味もできる。反キリストは結局自分を
その神と呼ぶ。(2テサロニケ2:3∼4)
d 「国土を分け与える。」(38節)これは反キリストの戦い
方である。
反キリストの戦争(11:40∼43)
1 これもアンチオクス四世エピファネスではない。なぜなら、
「終わりの時に」とあるから。(40節)
2 「南の王 」(40節)とは誰のことであろうか。たぶん何回も
イスラエルと戦ったことのあるエジプトであろう 。(42節)
3 「北の王」はきっと当時に「ロッシュ」と呼ばれていたロシアの
ことであろう。北の王は連合軍でイスラエルを攻撃する 。(40
節;エゼキエル38∼39章、特に38:1∼9ご覧ください。)
4 しかし、反キリストはこれらの軍隊を敗る 。(40節後半∼42
節)
5 それから 、反キリストはイスラエルや敗られた国々の宝物を盗む 。
(43節)
反キリストの終わり(11:44∼45)
1 反キリストはその時にキリストの再臨のことを聞いて、自分の
軍隊の準備を命じる。(44節)
2 反キリストの軍隊は、ハルマゲドン(「 メギドの谷 」という意味 )
で集まる 。(45節;黙示16:16)それはエルサレムから
北方に80キロぐらい離れている。
a ハルマゲドンはイスラエルの歴史のいろいろな有名な戦いの
場所である 。(士師記5:19、2列王記23:29など)
b しかし、反キリストは全力のキリストに勝てるわけはない。
(2テサロニケ2:8)
3 キリストは再臨なさって、歴史上の一番悪い人である反キリスト
を裁き、全世界を支配される。すばらしい時代になる!
ダニエルの預言の終わり(12章)――いつか人間の支配する時代が
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終わり、キリストの地上の王国が始まる。この箇所にダニエルはその時代を預
言する。
A 御使いミカエルの「苦難の時」(12:1、5∼7、11∼12)
1 この箇所に、7年間の艱難時代の後半に当たる「大いなる艱難
時代」が預言されている。
a ユダヤ人は救われる。「あなたの民…はすべて救われる。」
(1節;黙示20:12と15、21:27)
b 時代は歴史上の最も恐ろしい時になる。
c ミカエルはその時代にユダヤ人を守る。
2 他の二人の御使いも二つのことを語った。(5∼8節)
a 大いなる艱難は3年半かかる。それは30日間の月なら、
1260日間の長さは3年半である。
b その最後に、イスラエルは国として破壊されてしまう。
3 この箇所に 、「荒らす忌むべきもの」の事件のときもちょうど
預言されている 。(11∼12節)
a 「荒らす忌むべきもの」の事件の後は1290日間ある。
(3年7ヵ月)
b では、この1290日間とは、ちょうどキリストの栄光の
再臨を示しているであろうか。そして、1335日間(12
節)とは、千年王国時代の始まりを示しているであろうか。
聖書の学者たちは賛成しない。
B 人間の復活(12:2∼3、13節)
1 信者の復活もあれば、未信者の復活もある 。(2節――ヨハネ5
:28∼29、使徒24:15)
a 最初は「義人の復活」である 。(ルカ14:14、ヨハネ
11:23∼26、ローマ6:5、1コリント15:35∼
57、黙示20:4∼6)
b 第二復活は悪人の復活である 。(使徒24:15)それは
千年王国の後である。(黙示20:5)
2 三節は救霊獲得の祝福を語るすばらしい節である。神は必ず忠実
に伝道をする信者に報いる。
3 ダニエルも復活の日に報いを受ける 。(13節)それで旧約聖書
時代の聖徒たちも第二復活に含まれていることがわかる。
C キリストの哀れみのとき(12:4、8∼10節)
1 第二来臨(栄光の再臨)の直前に哀れみのときがある。そのとき
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D
のユダヤ人は御言葉の研究を通して預言を理解し 、知識を受ける 。
(4節)
2 教会時代は哀れみと救いの時代である。大勢の人は救われたり
失われたりする 。(8∼10節)
3 しかし、教会時代の間に御言葉はユダヤ人にとって封じられてい
る。
これでダニエル書の研究が終わる。キリストの勝利で終わることを
覚えよう。
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「ダニエル書研究」
PRINTED IN JAPAN
2006年
ジ
著者
ョ
ン
ハ
John
R.
イ
ム
ズ
Himes
発行者 北海道聖書研究学院
Hokkaido Bible Research Institute
HBRI
旭川市旭神1条5丁目5の15、〒078−8371
勝利バプテスト教会内
℡ (0166)66−2008
JAPAN
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