ブーム!さらに、様々なスポーツのトップアスリートがけん玉やお手玉を

NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
2014年10月29日放送
今回は、けん玉やお手玉といった、懐かしい「昔遊び」がテーマです。
今ではすっかりやる人も減ったかと思いきや、けん玉などはいま若者を中心に世界中で大
ブーム!さらに、様々なスポーツのトップアスリートがけん玉やお手玉を練習 に取り
入れたり、医療の現場で使われていたりと、すごく注目されているんです!
そこでガッテンが、「昔遊び」の意外な効用を科学の力で徹底研究。すると、昔遊びには、
遊んでいるだけで集中力を高めたり、脳の重要な部分を活性化させたりする、す
ごいパワーがあることを見つけちゃいました!認知症予防やうつなど病気の症状改
善にも、効果が期待できるんです。
そんな優れものの昔遊びが、誰でも簡単にみるみる上達し、ぐんぐん脳を活性化できるス
ゴ技を、大公開します!
ホント、気持ちいいんです!
今、ガッテンの制作チームでけん玉がブームです。
担当した私はもちろんのこと、プロデューサーやデスク、AD、編集マン、構成作家・・・。番
組に関わったスタッフが一様にけん玉を手に入れ、夢中になっています。
どうも、けん玉には常習性があるようで、理由はおそらく、ワザを成功させた時に得られる
独特の達成感。とにかく気持ちいいんです!やる気物質、ドーパミンのなせる技でしょう
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か?
深夜の作業でヘロヘロな時も、けん玉をすることで「よし!もう少しやるか」と前向きな気分
に。ストレス解消にもオススメです!
ただし、音がするので、職場ではほどほどに。
バルセロナオリンピックの金メダリスト・古賀稔彦さんが指導する柔道教室で、稽古前に
必ずやるのが、けん玉。
玉を乗せようとする練習が、柔道の技を成功させるための集中力を生み出すんだそうで
す。
また、ある学習塾では、勉強の合間に子どもたちにけん玉をさせたところ、塾ではもちろ
ん、家でも勉強中の集中力が増したとのこと。
果たして、けん玉には、本当に集中力を高めるパワーがあるのか。けん玉名人がけん玉を
している時の脳活動を調べてみました。すると、“脳の司令塔”とも言われる「前頭前
野」周辺の活動が、けん玉をやると抑えられることがわかりました。
じつは、集中している時の脳は、必要な部分だけが働き、余計な部分は働かないよう活
動が抑えられていたのです。スポーツ選手などが究極の集中状態の時に感じる、「ゾー
ン」といわれる状態に近いと考えられます。
けん玉をして、脳にこの「集中モード」を覚えさせることで、他のことをしている
時でも、集中モードに切り替えやすくなると考えられます。
ただし、集中モードになるのは、慣れたワザをしている時だけ。難しいワザにチャレンジす
ると、前頭前野は逆に活発に働くことがわかりました。こちらは「脳活性化モード」。前頭
前野は加齢やストレスによって衰えやすいのですが、活発に働かせることで記憶力アッ
プや認知症の予防が期待できます。
慣れたワザをやれば「集中モード」、慣れないワザにチャレンジすれば「脳活性化モー
ド」。2つの効果を自在に得られるのが、けん玉のスゴイ所なんです。
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けん玉が脳にいい刺激を与えるとはいえ、うまくできなければ、やる気も起きません。そこ
で、誰でも上達するコツを達人の技から探ると、重要なのは「ひざを2回動かすこと」と判
明!
玉をあげる前にひざを大きく1回曲げ、皿に玉が乗る瞬間に、もう1回曲げます。ひざ
を曲げることで玉の落下するエネルギーを吸収するのです。
このコツさえ知れば、けん玉を初めて目にした外国の人たちでも、あっという間に玉を皿に
乗せることができました。
さらに、より難しいワザを成功させる秘策が、「オノマトペ」と呼ばれる“擬音・擬態語”
を声に出しながらやる方法です。
けん玉の動きに合わせて、その動きにピッタリのオノマトペを口に出せば、不思議と難
しいワザでも成功しやすくなります。
たとえば、手に持った玉の穴に、一回転させた剣先を入れる「飛行機」というワザ。これに
は「ジッ、ブラーン」というオノマトペがおすすめ。
「ジッ」で糸がまっすぐに張っているのを確認し、「ブラー」で腕の力を抜きながら剣を一回
転。最後の「ン」で穴に剣先を入れます。
こうした難しいワザが成功すると、やる気物質・ドーパミンが放出され、さらに脳が活
性化されます。
日本の昔遊びのひとつ「お手玉」にも、ちょっとした工夫でぐ~んと脳を活性化させる力が
ありました。その効果は、いま医療現場でも注目を集めています。
普通、お手玉をする時は、右利きの人は右手で玉を投げて左手で受けます。それを逆に、
左手から投げて右手で受けるようにするだけで、脳の司令塔・前頭前野が大きく活性
化されるのです。
あるクリニックでは、お手玉のこの効果をうつや不安障害などの治療に活用しています。
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半年近く不眠に悩んできたAさんは、お手玉療法によって、1週間ほどでよく眠れるように
なったそうです。
また、お手玉と同様の動作をする「ジャグリング」が脳に与える影響を調べた海外の研究に
よると、6週間練習を続けると脳の神経繊維が6%増えたことがわかりました。練習を
やめて4週間後でも、効果は持続していたといいます。
お手玉で脳を活性化するには、逆回しのようにあえて難しいワザに挑戦することがポ
イントです。
「昔遊び」が脳の前頭前野周辺を活性化させる強さを調べた科学的な調査で、けん玉以上
に活性化パワーが強いものがありました。
それは折り紙です。
折り紙は、手先を使い、完成形をイメージしながら折るなど、脳の様々な部位を使って行う
ため、より脳の活性効果が高いと考えられます。そこで今回は、さらに脳の活性化パ
ワーを強めるために「紙飛行機」に挑戦します。
紙飛行機の場合、上手に折るだけでなく、「いかに長く飛ばすか」という目的をプラス
することによって、より脳が活性化されると期待されます。
紙飛行機作りの達人に、より長く飛ばすコツを聞いたところ、2つのポイントがありました。
ひとつは、翼の後ろをほんの少しひねること。
下の写真のように、翼の後ろを爪を立てるようにしてほんの少し上向きにひねります。こ
れだけで滞空時間がぐんと長くなるんです。
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2つめのポイントは、真上に投げるように飛ばすこと。
紙飛行機作りの達人が作った「スカイキング」という紙飛行機は、この2つのポイントによっ
て、4年前、室内での滞空時間を競う大会で29秒2という世界記録を樹立しました。
※「スカイキング」の作り方は、お役立ち情報をご覧ください。
脳を活性化させる昔遊びについて
最近、けん玉やお手玉などの昔遊びが、脳の司令塔とも言われる「前頭前野」という領域
の活性化に効果があることがわかってきました。
けん玉の場合、簡単にできるワザを繰り返し行うと、脳の前頭前野はグッと活動が抑えら
れ、いわゆる「ゾーン」と呼ばれるような究極の集中状態に近くなります。脳が必要な部分
以外の活動を抑えることで、高い集中力が得られると考えられ、けん玉をやっていない時
でも、集中力を発揮しやすくなるといいます。逆に難しいワザをやると、脳の前頭前野など
が活発に働き、記憶力アップや、認知症の予防の効果が期待できます。お手玉では、利き
手とは逆の手から玉を放って回すことで、脳の前頭前野が強く活性化されます。お手玉の
効果は病院の最新治療にも使われていて、うつや不安障害といった症状の改善に効果が
あるといいます。けん玉と同様、お手玉も慣れたワザをやれば集中力を高めることができ、
逆回しなど難しいワザにチャレンジすると、前頭前野を活性化することができます。
けん玉がうまくなるコツについて
けん玉がうまくなるコツは、2つあります。
コツ①ひざを2回動かす
玉をあげる前にひざを大きく1回曲げ、皿に玉が乗る瞬間にもう1回曲げます。ひざを曲げ
ることで、玉が落下するエネルギーを吸収するのがコツ。さらに、ひざを曲げながら、玉の
落下点を見定め、うまく皿に受けられるように手元を調整します。
コツ②オノマトペ
けん玉の動きに合わせて、「オノマトペ」と呼ばれる擬音語や擬態語を声に出すと、難しい
ワザでも成功しやすくなります。たとえば、玉を手に持ち、剣の方を大きく1回転させて、剣
先を玉の穴に入れる「飛行機」というワザの場合、「ジッ、ぶら〜ん」と声に出しながらやっ
てみてください。
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「ジッ」・・・玉と剣の間の糸がまっすぐに張っているのを確認し、左手で持った剣をじっと見
ます。
「ぶら〜」・・・「ら〜」という長音を口に出すことで肩や腕の力が抜け、放り出した剣の軌道を
落ち着いて見定められるようになります。
「ん」・・・「ん」の勢いで剣先を玉に入れます。
驚くほど長く飛ぶ紙飛行機の作り方
折り紙にも脳を活性化させる高い効果があります。とくに「紙飛行機」は、仕上がりをイメー
ジしながら手先を使うという以外に、上手に飛ばすという目的もあるため、より脳が活性化
すると期待できるのです。
下に、紙飛行機作りの達人直伝の作り方をご紹介します。長く飛ばすコツは、翼の後ろを
少し上向きにひねり、真上に向かって高く飛ばすこと。ぜひおためしください。
折り紙ヒコーキ 滞空時間世界一
「スカイキング」の折り方
※スカイキングは、折り紙ヒコーキ協会の会長で世界記録保持者の戸田拓夫さんが考案
したものです。
※詳しくご紹介するため、下記の作り方を示す番号は、放送で紹介したものとは異なりま
す。
1. 長方形の紙を用意する(写真1)
2.(折り目をつけるため)半分に折る
(写真2)
3. いったん紙を開き、中心の線に
沿って 左右を三角に折る(写真3)
※中心の線にぴったり合わせるので
なく、そば1本ずつくらいのすき間をあ
けるようにするのがポイント!(線に
ぴったり合わせると、折りこんでいくう
ちにムダな厚みがでてきしまうため)
4.(折り目をつけるため)先端を反対
側の縁に合わせて折る(写真4)
5.いったん戻し(写真5)、折り線に▼
の部分を合わせて折る(写真6・7)
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6.(折り目をつけるため)先端部分をさ
らに折り込む(写真8)
7. いったん戻し(写真9)、折り目に合
わせて左右を三角に折る(写真10・
11)
8. 中心の線に沿って、さらに折り込む
(写真12)
※このときも、そば1 本ずつすき間を
あけておく
9.(折り目をつけるため)先端を折りた
たむ(写真13)
10. いったん元に戻す(写真14)
11. ひっくり返して半分に折る(写真
15)
12. 先端にできた折り目に合わせ(写
真16)、指をはさみ入れながら折りた
たむ(写真17・18)
13. 表側の部分だけ、さらに半分に折
る(写真19・20)
14. 持ち上げ、先端を包み込むように
折り曲げる(写真21)
15. 線の部分に(写真22)に合わせて
翼を折る(写真23・24)
16. 翼の端を垂直に折ったら完成(写
真25・26)
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