ジェームズ・ボンドと衆議院選挙(1)

2012 年 12 月
ジェームズ・ボンドと衆議院選挙(1)
(株)エイブルリサーチ・インターナショナル : 吉田 弘一
「007スカイフォール」はジェームズ・ボンド映画誕生50周年記念作品。「かっこよくて、知
力体力精神力、そして運が完璧」「世界最高レベルの美女が登場し、登場した途端にボンドに惚れ
る」という従来の007映画のパラダイムから脱皮を図っている。それだけに、単純なカタルシス
を求める従来のボンドファンを失望させてもいる。
「ヒーローも生身の人間で心傷つくこともあり、
悩みながら何とかやっている。そんな自分の限界を突破していく姿こそ感動がある。」という、ス
パイダーマンやバットマンと同じパラダイムに立ったということである。
英国男性のジェントルマンシップとか騎士精神というのは、貴婦人に礼儀正しく接する一方で、意
外に男尊女卑傾向を持つと聞いたことがある。従来の007映画にもそれは表れており、女王陛下
にうやうやしく献身を誓う一方、ボンドガールたちをティッシュペーパーのように使い捨てていく
ように受け取られた。
(ただし、イアン・フレミングの原作には恋人を死なせて落ち込み、アル中になり、スパイとして
使い物にならなくなるが復活するという話があったような気がする。
)
「スカイフォール」において、「ぐれた弟が逆ギレして母に刃向かうのを兄(ボンド)が父ととも
に守る」という図式が描かれる。ジェントルマンシップに基づく女王陛下や女性上司への礼儀正し
い接し方だけでなく、母への愛情が含まれたより人間的なスタンスに前進した。
また、兄は、弟が逆ギレしたできごと以上のひどい仕打ちを母から受けているのにもかかわらず、
その体験を消化している。また、追体験したことで幼時トラウマも消化した。このような精神的成
長を経て、より強いジェームズ=ボンドが再生したとのアピールが制作者側にあったと読み取れ
た。
話は転じて、2012 年 12 月 16 日の衆議院選挙に飛ぶ。
乱立した各党は政見を述べているが、原発・経済政策・道州制など簡単には適否を判断しづらいこ
と、2009 年8月総選挙の民主党マニフェストが完全に反故になったことにより、有権者は政策によ
って投票先を選択しづらいことを痛感している。
→
続く