column2

BMC branding column
BMC branding column Ⅱ
「ブランドには
3つの種類がある」
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ブランドその1.パーソナル(個人)ブランド
1-A
外部に向けた自身のビジョン・ミッションを提示する
商品の品質が市場で認知も評価もされていないアーリーステージにおいては、
売り手の差別化されたビジョンやミッション、キャラクターを打ち出すこと
が認知や安心感に結び付きやすいものです。(売り手のこだわりが伝わって
いればある消費者がその商品を仮に気に入らなかったとしても、「自分には
合わなかっただけ。これを売っている人もこの商品も素晴らしいもので、そ
れを本当に必要としている人は私以外にたくさんいるだろう。」という評価
が得られます。)
仮に商品は受け入れられなかったとしても、作り手の人格は受け入れられる
からブランド価値は落ちることはありません。むしろこちらの協力者となり
口コミを広げてくれるかもしれないでしょう。明確なビジョンとミッション
を持ち、それを伝えていくことがブランド構築には重要なのです。
より価値の高い個人ブランドを構築するには過去に輝かしい実績があること
も望まれます。自分で売り手を評価できないうちはお客は「第一印象であな
たに対してどのようなイメージを抱くか」と「他人からどのように評価され
るか」でしか判断できないからです。お客から初回購入してもらうためには
何よりもまず「信頼の構築」が必要です。品質の良し悪しは、売り手がどん
なにすすめようが実際に買って自分が使ってみなくては本当のところはわか
りません。
品質が「良さそうかどうか」「失敗のリスクは少なそうかどうか」を判断す
るには、「他人からの評価」のほかには、購入する前の段階で売り手がどん
な人物なのか、どんな思いで商売をやっているのか、どんなこだわりがある
のかを見て判断するしかありません。
「この人なら嘘はつかないだろう」「この人は騙さないだろう」「この人は
自分の利益ではなく客のことを本当に考えているから自分は損することはな
いだろう」「これだけのこだわりがあれば必然的に商品の質も良いのではな
いか?」「過去にこれだけの実績があれば安心だ」と思ってもらうことがで
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きれば初回購入に結びつけるためのブランディングは成功したと言えるでし
ょう。(本当に大事なのは二回目以降リピートしてもらえるか。そのために
は初回購入の前段階で持たせた期待を上回る商品・サービスを提供できてい
るかが鍵となります。)
1-B
自社内に向けた個人ブランド、トップのカリスマ化。
会社がどういう戦略をとるかは社長の考え方がすべてです。社長の実力が会
社の業績のすべてを握っています。社長の実力を高めることは社外だけでな
く社内に対する良い影響力を生むことになります。そのために従業員に対し
ても社長のビジョンやミッションを浸透させ、会社全体のルールを作ること
でマネジメントを円滑にすることが可能になります。
ただ、トップがカリスマ化する企業においては社員の依存と没個性を生まれ
やすいのも事実です。トップのカリスマブランドを構築することはアーリー
ステージにおいては利益をもたらしますが、一旦トップがカリスマブランド
を構築した後は、今度はいかにして社員の「社長への依存」の呪縛をいかに
解き放っていくかを意識していくことが課題となります。
社長のカリスマブランドに依存し続ける企業はそれが原因で中長期的には利
益を損なっていく危険性があります。(カリスマ化することでマネジメント
は楽になるかもしれませんが、そのまま社員を依存させ続けていては社員の
成長、はたまた会社全体の発展は無いと考えておくべきでしょう)
トップが一貫性を持った正しい価値判断基準を持った上でカリスマ化し、そ
れを従業員が納得いくように「行動に対する意味付け」をすれば社員はトッ
プに依存することなく自分の意志で正しい価値判断基準で行動することがで
きます。「あーしろこーしろ」と指示しても「なぜそうしなければならない
のか?」が理解されなければその場限りの指導で終わってしまいます。
逆に言えば、「なぜ?」という価値判断基準を一度理解すれば、その社員は
その後自分の頭で考え正しい行動をとることができるということです。それ
ができない一番の原因は、トップ自身が「なぜ」そうしなくてはならないの
かを明確に理解していなかったり、方針自体がころころと変わってしまうこ
とが原因であると言えるでしょう。
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あなたの会社では「女心と秋の空、そして社長の頭の中」と言われていない
でしょうか?勉強熱心で活発な社長にこのようなタイプの人が存在するが、
一貫性を持った行動を取ることがどれだけ大事なのかをまず理解することが
必要だと思います。それまで曖昧だったビジョンとミッションを一度明確に
定め、それに合った一貫した行動・商品を社内外に展開していく・・・本当の
ブランド作りはそこから始まるのです。
ブランドその2.プロダクトブランド
2-A 市場において商品の「機能価値」(ベネフィット)が評価されるプ
ロダクトブランド
あなた自身がブランドとして評価され初回購入が行われた後は、お客はその
商品が自分にどのような利益をもたらしてくれたかに目を向けます。お客が
あなたの商品を買ったのはあなたの商売に対する思いに共感したからであり、
あなたの評判や実績を耳にして商品に期待を持ったからでしょうが、もし世
間に与えたそのブランドイメージと中身の実力の乖離があまりにも大きけれ
ば二回目以降の購買には結びつくことはないでしょう。
誇大広告をして得た評価はあくまで虚像に過ぎず、そのことに気づいた人た
ちは必ずあなたから離れていいきます。最初はどれだけあなたを高く評価し
ていたとしても、期待とは裏腹にそれが真実ではないとわかった瞬間、酔い
は一瞬にして冷めてしまいます。お客の期待値を上回らない商品はブランド
になうことは無いのです。
ブランド構築の本質は、いかに「良く見えるか」を考えるのではなく、「い
かに商品価値を高めるか」を常に考えることであることをわすれてはなりま
せん。(その商品価値とは「問題を解決してくれる機能価値」と「持ってい
ることでステータスと感じられるブランド価値」の二つです)
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ブランディングは、いかに「価値を誇大に表現するかだ」と勘違いをされる
ことがありますが、本質的な価値を高めることは中身を磨き続ける努力でし
かできないとことを頭に入れて置かなくてはなりません。それを可能にする
のは、「いかに今扱っている商品をたくさんの人に売るか?」という自分中
心のマーケティング発想でなく、「いかに世の中により高い価値を提供でき
るか?」と顧客中心の商売人発想です。
ブランディングとはそもそもお客が得られる価値を最大化するためにあるも
のであり、結果としてそれを提供しているあなたの評価が高まるだけなので
す。
社長にビジョン・ミッションが無ければ会社に商品開発力は生まれません。
それはつまりプロダクトブランドを作るためには社長の個人ブランドをまず
構築することが必要ということです。また、同時に最初からプロダクトブラ
ンドを意識しながら個人ブランド構築を行うことが必要ということでもあり
ます。
個人ブランド(ミッション・キャラクター価値)とプロダクトブランド(機
能価値・ステータス)がうまく機能していくことで初めてお客はリピートを
繰り返してくれるようになります。
その結果として、今度は「その人が扱う(紹介する)商品なら(たとえ品質
はベストでなかったとしても)とりあえずは信頼して購買できる」という評
価を得ることができ、今度は会社全体の評価が高まっていくのです。
(プロダクトブランドのみを意識しすぎると後が続かない。ヒットが続くの
はせいぜい1~2年の間だと最初から覚悟しそのための戦略を練っておく方
が良いでしょう。個人ブランドもそうですが、プロダクトブランドにも寿命
があります。次に何を売るか?次の展開をどうするか?5年10年それ以上
の長いスパンを見据えた時、会社全体として社会に何を提供していくのか?
を考えると、個人ブランドやプロダクトブランドの構築のみを考えても会社
の成長は続きません。)
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2-B
内部に向けられたプロダクトブランド
商品の品質を高めることは内部に向けたブランドにおいても重要です。たと
え粗悪な商品ではなかったとしてもブランドイメージと実際の商品の中身に
乖離があれば、それを売っている社員は買ったお客様からクレームを受ける
ことになるでしょう。リピート購入も無くなり、ブランド価値上げようとす
ることで逆にイメージを下げてしまうことになりかねません。
目先の売上を追求するためにブランド戦略を使うことは、お客様にも社員に
とっても害を及ぼすものになりかねません。「食べていくために企業は利益
を上げなくてはならない」という理論は通用しません。お客を喜ばせること
ができない企業には生きていく資格は無い。お客を喜ばせるためにはそれだ
けの「機能価値」と「持っていることでステータスになるブランド価値」を
高める努力が必要なのです。
その努力を行いお客に価値を与え、お客から大きな賞賛と評価を得ることが
働く者にとって一番のやりがいになるのではないでしょうか?社員は「自分
は社会・会社に必要とされている」と感じることでさらに良い形であらゆる
業務に従事することができ、お客と接する商品・社員の評価が高まり会社全
体の評価を高めていくという善循環が生まれるのです。
ブランドその3.コーポレートブランド
個人ブランドとプロダクトブランドが成立して初めてコーポレートブランド
が構築される。
個人ブランドで信頼を勝ち得て、プロダクトブランドでその評価の裏付けを
強固にし世間に価値を創出することができるようになり会社が発展していく
ことにより、会社全体が評価されるコーポレートブランドが確立されていく
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ことになります。(最初の段階から計画的にここを目指して行動しなくては
なりません)
強力な個人ブランドはお客と社員の信者化を進めます。リピート率も上がり、
社員も同じ方向を向くようになり、一見うまくいっているように見えるでし
ょう。しかし…もしあなたがこの世からいなくなったり事業継承を行ってし
まえばその効力を失ってしまうことを忘れてはならない。また、プロダクト
ブランドは代価商品が出てくればすぐに失われてしまうかもしれません。
そのようなリスクを避けながらさらに事業を発展させるためには、社員一人
一人が個人ブランド化された経営者の意志(ビジョン・ミッション)と行動
を踏襲し、社員一人一人がお客様にブランドとして評価される人材になるこ
とが必要となります。
また、「自分たちができることを通して世の中に価値を生み出したい」とい
う意志を根本として、そこから一つだけでなく様々なブランド商品が生み出
されるようになることが必要です。(社外に対するブランドは内部に対する
ブランドが確立されないことには成立しません)
ブランド構築は創業者の個人ブランドとプロダクトブランドの両輪から始ま
り、最終的にはコーポレートブランドの確立を目指す行為です。そして一度
その3つのブランドが確立された後は、どれか一つでもその一貫性が失われ
てしまえばブランドは意味をなさなくなります。
(あなたのブランドがもし偽りのものだったとしたらそれはいずれ必ず崩壊
します。ブランドは身に纏うものではなく、自分の中からあふれ出てくるも
のだからです。)ブランドは3次元的な軸を持って評価されるもの。(その
企業が出す商品・サービス・社員は一貫して○○という価値を社会に生み出
していると認識されるようになって初めて「○○ならあの会社しかない」と
いう評価をお客様から得ることができるのです)
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(補足)コーポレートブランドの功罪
コーポレートブランドが大きくなればなるほど「ブランドネーム」だけで商
品が選ばれるようになったり世間で見聞きしたイメージに魅せられた就職希
望者が集まるようになってきます。そうやって集まったお客は本当にその商
品の良さを理解した人たちやその商品を使うべき人たちであるとは限りませ
ん。また、そうやって集まった就職希望者もトップのビジョン・ミッション
を踏襲し得る価値観を持った人物とも限りません。
会社が大きくなればなるほど末端まで行きわたったブランド構築が難しくな
ります。コーポレートブランドが一端確立されると、働く社員はそれにあぐ
らをかいて個人ブランドやプロダクトブランドの内部に対する影響力が落ち
てきます。
(往々にしてビジョンが浸透せず売上至上主義になったり、社員のモチベー
ションが低下してしまいます。お客のためになる行動を心がけることも無く
なり、結果として品質もサービスも低下します。有名企業でブランドがある
ように見えても、案外それは見せかけの場合が多いのが事実。そこに中小企
業のチャンスがあるのです)
ブランドの内に対する影響力が無くなっていけば外に対する影響力もなくな
っていきます。良いイメージを持続させようと広告を打てば打つほど中身と
の乖離が明るみになるという事態も起こり得ます。
もともとどういう意志を持って商売を始めたのか、経営者個々の判断による
ところもあるが、会社を大きくすることを目指すことが全てではないことが
わかるでしょう。(時代背景を考えるとなおさらです)
大企業だからこのようになるというのではありません。大企業になると(大
企業を目指すと)ブランドが自分たちのためにあるものと勘違いしてしまい
がちになるからこういう事態になりやすいのです。
社内がいくらブランドに基づきシステム化・マニュアル化しようとも、それ
がブランドはお客がよくなるためにあるものであることを認識していれば、
何のためにそれをするのかが理解できていれば社員は思考停止に陥ること無
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く価値の高い商品・サービスを大企業であっても提供できるようになるはず
なのです。
客に対してとる行動・提供するサービスの良し悪しがそっくりそのまま自分
に跳ね返ってくることを理解しておかなくてはなりません。
最初は起業家としてひとりで事業を立ち上げてもいずれ引退の時を必ず迎え
ることになるでしょう。その事業をその後も続けようと思う(続けるだけの
社会的価値があるのであれば)後継を育てなくてはならないわけで、それに
はシステム化・マニュアル化を図り自動操縦できるような組織を構築しなく
てはなりません。
社長がいつまでも何も考えずがむしゃらに現場でバリバリ仕事をしていては
ダメだということです。社長が仕事をしなくてはならない会社は社員教育が
できていないということの証であり、社長に戦略実力が無いことを証明して
いるのと同じであり、恥ずべきことと考えるべきでしょう。
(また、社長がバリバリしなくては社員がついてこないという状況は、社員
が自らの意志で進んで快く仕事をしている状況ではない可能性があり、恐怖
政治的経営を行っているおそれがあります。社長は社長にしかできない仕事
をするべきです。自身が貰っている給料を時給換算すると、より生産性の高
いやるべきことがあることがわかるはずです)
「社長である自分が現場でこれだけ頑張っていれば社員のみんなは自分を評
価してくれる」と思っていたら大間違い。何も言わなくても動いてくれる仕
組みと人材を作ることが大切です。それには戦略の勉強を進める結果社内の
システム化を促進させること+明確なビジョン・ミッションを社内外に打ち
出すことが重要です。
後継者は個性を自分の大事にするのも悪くはないですが、育てる方は自身の
分身を作るような気持ちで育てることが必要でしょう。経営は性格で行うも
のではなく正確に行うもの。あくまでゴールデンルールを外さないことが前
提でその上で自身の持ち味を活かすことが大切です。
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社長が第一線で実務をすることを100%否定しているのではありません。社
長がそうする理由を単に「目先の仕事をこなし毎日の売上を上げること」に
してはならないということです。それが例えば社内の現状把握をすることで
あったり、お客様の生の声を聞いたりリサーチのためであったり、行動を通
じて社員にビジョン・ミッションを踏襲させる目的であったり…理由は何で
あっても良いのです。自分が働いた分だけ対価を得るのが社長の仕事ではな
く、それプラスアルファで今後の生産性を一気に高める可能性を秘めたこと
に時間を費やし、もちろん最終的にそこ(最終目的)につなげることが社長
の仕事なのです。
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※ ブランディングコラムはできればプリントアウトして読み返してみてくだ
さい。日にちを置いていただいても結構です。その時その時の自分が置か
れている状況や問題意識の違いによってきっと読むたびに新しい気づきが
得られることと思います。ぜひ、次の章を読み進める前にこの章で気づい
たこと、ひらめいたことなど、何でも書き留めておいてください。今は大
したことではないように思えても、将来あなたにブレイクスルーをもたら
す宝になるかもしれません。
(この章を読んで学んだこと・気づいたこと)
(今までの自分から一歩抜け出す為に、“今”できること(すべきこと)は何か?この章を読んで思いつい
たことは何か無いか?)
(それをやり遂げたあかつきには、将来どのような良いことが待っているのか?)
(自分はそれをいつまでにやり遂げるのか?)←必ず守れる期限を決めてください。
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