移住者 レポート

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北海道U・
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〒060-8588 札幌市中央区北3条西6丁目 北海道庁本庁舎9F(北海道経済部労働局人材育成課内)
TEL. 011- 251- 3896 FAX. 011-232 -1044 E-mail: [email protected]
利用時間:平日9:00∼17:00( 土・日・休祝日、年末年始を除く) 就職
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/jzi/ui-turn/index.htm
北海道内の求人企業、道外在住のU・Iターン就職希望者に登録(無料)
していただくことで、
求人・求職情報を提供するなど、U・Iターン就職の実現に向けて支援いたします。
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全国のハローワークでも北海道への就職についての相談ができます。詳細は各ハローワークへお問い合せください。
大阪
品川公共職業安定所 / 地方就職支援コーナー
※地方就職支援コーナーでは、専門の相談員が地方就職について支援しています。
〒105-0012 東京都港区芝大門1-3-4芝大門ビル TEL. 03-3433-8609( 代表)
【開設時間】平日/8:30∼17:15( 土・日・休祝日・年末年始は休み)
ハローワークプラザ難波/地方就職支援コーナー
〒542‐0076 大阪市中央区難波2-2-3 御堂筋グランドビル4F TEL. 06-6214-9200
【開設時間】平日/10:00∼18:00( 土日祝・年末年始は休み)
BAKERY
北海道の地域資源などを活用して創業を考えている方、創業後間もない方などを対象に、創業に必要な
知識・ノウハウ、資金調達、販路開拓などについて各支援機関が相談を承っています。
支援機関が、創業のステージに合せたメニューを取りそろえ、みなさんの「夢」の実現に向けたお手伝い
をいたします。
創業支援
● 中小企業支援施策制度やイベント情報をはじめ、企業情報や人材情報等のデータベースにより各種の情報を提供しています。
公益財団法人
北海道中小企業総合支援センター
〒060-0001 札幌市中央区北1条西2丁目経済センタービル9F TEL. 011-232-2407 http://www.hsc.or.jp/
● 中小企業や特定非営利活動法人(NPO法人)等の創業に関する融資制度、助成制度のご相談はこちらまで。
北海道創業サポート相談室(北海道経済部経営支援局中小企業課内)
〒060-8588 札幌市中央区北3条西6丁目北海道庁本庁舎8F TEL. 011-204-5331 E-mail [email protected]
● 地域の商工者が業種に関わりなく会員となって、お互いの事業の発展や地域の発展のために総合的な活動を行う団体です。
北海道商工会連合会組織経営支援部企業支援課
〒060-8607 札幌市中央区北1条西7丁目1 TEL. 011-251-0102 http://www.do-shokoren.com
※市町村ごとに、就業支援などを実施している場合があります。概要はP34∼の
「就業・就農・起業支援」一覧表をご覧ください。
16
北 海 道 暮 ら し 応 援 ガ イド
移 住のきっかけ、移 住 後の生 活 、
これからの夢 。
北の大 地で未 来を拓く5 家 族のストーリー 。
ハローワークも活用できます
東京
移住者
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移住者
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余市町
へ
直原 昌弘さん
(49歳)、三代子さん
(44歳)
2人の娘さんと4人家族
ライフコンセプトは「ものづくり」
大手電機メーカーで機械設計の仕事をしていた昌弘さんは、独立したいという夢を、自らの手で何か
を創り出す世界で叶えようと、35歳の時に就農を決意。それから14年、順調に収益を上げられる果樹農
家となった昌弘さんは、果物が成長する過程が一番楽しみだという。
「ブドウが小さな実をつける頃が、
一番変化があって面白い」。自然の育みに直接関わる瞬間に、やりがいを感じているように見えた。
職種は変わっても、ものをゼロからつくるという志向は変わらない。自宅も2年かけて自分達で手作
り。
日々コツコツと作りあげたものが、大きな結果となって返ってくる。その喜びや充実感が、昌弘さんの
言葉の中に溢れていた。
● 余市で農家になったきっかけは?
て食べていけるということは、
これ以上ない「いい仕事」だと思えます。
工業社会に疑問を感じて、未来永劫続いていく仕事をしたいと考えていま
サラリーマン時代に身に付けた作業タイミングを計るスキルが、果物作り
樹栽培に興味をもち、妻にも余市出身の知り合いがいたりと、何かと余市に
にも活かせていて、従来の決まった作業工程を自分流にアレンジして、成果を
縁があったと思います。
( 現在の)北海道農業担い手育成センター ※ に相談
あげています。昔ながらの方法に捕らわれず、人がやっていないことにもチャ
し、就農に必要な情報や補助制度などについて知ることができました。
レンジして、創意工夫を重ねることは楽しくもあります。
町内での第一人者である果樹農家で1年半の研修をし、農協経由で土地も
自分 の 中 に「 8 割 の 法 則 」というの があって、1 0 0 %を目指 す 代 わりに 、
見つけ、離農農家から土地と機械などを購入。収穫可能な樹があったことで、
80%の力や出来を保ち、残りの20%を他のことに費やします。そうすること
すぐに栽培を開始できました。
で、新たな可能性も見出せると思います。
※詳細はP13
また、移住者の強みとして、余市の自然の素晴らしさを誰よりも実感してい
● 地域との関わり
ると思います。自然資源に恵まれたこの町は豊かですが、それに甘んじてい
る場面も多く見受けられます。未来に向けてこの自然をどう活かすか、自分達
最初は何も知らずに土地を探していました。地元の農家と知り合い、いろいろ
に何ができるか、
ということを考えられるのは、移住者なのかもしれません。
と教えてもらううちに、
どんな土地が良い土地なのかを教えてもらいました。農
作業を覚えることよりも、良い土地に巡りあうことの方が大切だということも言
● 奥様の移住体験
われました。
しかし、ただの新参者に有益な情報は届きません。地域の農家社会にしっ
いろいろと協力してくれます。自然災害にあったときも、栽培に失敗したとき
も、励まし、助けてくれるのは農家仲間。互いに協力しあえるように、つながり
を大事にしています。
また、現在は地元のバレーボール少年団のコーチもしていて、農家以外の
コミュニティにも参加しています。地域のいろんな人と関わりを持てて、刺激
へ
上平 和亨さん
(41歳)、琴美さん
(28歳)
埼玉県内の動物病院に勤務していた獣医師の和亨さんと動物看護師の琴美さんは、仕事を活かして
移住した。特に北海道にこだわっていたわけではないが、
どこか「北へ」移りたいと思っていたそうだ。移
り住んでわずか3カ月
(取材時)、移住する前と同じような生活パターンで地域の動物たちを診ている。
上平夫妻は赤平市の「ちょっと暮らし」を利用して移住した第1号。市の担当者としては北海道の生活に
いろいろと不便がないか気になるようだが、夫妻は全く問題なく順調に暮らしている。
無駄な力が一切入っておらず、
とても自然体なお二人。その様子を見ていると
「移住」
という言葉が大
袈裟に感じられた。そう、
これは「引越し」ですよね。
● なぜ、
赤平へ?
き、JRや高速バスもあります。いろいろなところへのアクセスが良いですね。
北海道内を自転車でツーリングしたことがあります。妻(琴美さん)は札幌生ま
れということもあって、以前、北海道内の就職を希望していたことがありました。
2013年2月、新婚旅行で北海道へ来ましたが、その時は赤平について、何
も知らなかったです。結婚後、
どこかのんびりしたところに住みたいと思い、
まずは仕事探しから始めました。求人サイトで獣医師の募集を探したところ、
院長が辞める予定になっていた赤平市の動物病院を見つけました。初めて
知った赤平市がどんなところか知りたくて、市のHPなどを検索していた妻が
偶然、
「ちょっと暮らし」の制度 ※を見つけました。
2013年10月、1週間のちょっと暮らしをしながら、動物病院も見学させても
らいました。町の様子や仕事環境などを実際に体験でき、
「ここなら大丈夫」
と確信して、11月1日、転居してきました。
てきました。中にはお手製の漬物を差し入れしてくれた方もいます。おいし
かったですよ。
スキーができるので、一緒に行けるようになりたいです。それと、実はペー
パードライバーなので、車の運転を練習しなくては。今後子供ができたとき
ています。
は、埼玉も赤平もほとんど変わらないと思います。診察時間なども変わりません。
に、市内には産婦人科がないので、運転できないと病院にも行けません。
現在は春から札幌市内の大学と小樽市内の高校にそれぞれ進学する子供
飼われている犬や猫は、健康でとても長生きですね。運動量やストレスの
(和亨さん)野球やソフトボールなど、
スポーツの趣味を始めたいです。埼玉
たちを、近い将来、無事大人として送り出すことでいっぱいいっぱいですが、
違いでしょうか?飼育環境は室内飼いが多いようです。特徴的なのは多頭飼
のときはスポーツクラブの会員になっただけで、なかなか通えなかったので。
あ
それが終わったら、何か始められればいいなぁ、
と思っています。
いのお宅が多いこと。みなさんだいたい2頭(匹)以上、飼っているようです。
とはやはり、病院をしっかりと経営して、地域の役に立てるようになりたいです。
い近隣の歌志内市と上砂川町もひとりで担当するので、どんな風になるの
体力もいるし、機械いじりもする。そしてコスト計算や投資計画などの考えも
6月
↓
12 月 片付け
必要で、経営者としての能力も問われます。必ず何かを身に付ける、何かを得
7月
サクランボ出荷
1 月 休み
ようとする熱い気持ちが大切ですが、その分夢も大きく広がります。苦労は
8月
ブドウ管理作業
2 月 剪定
ギ ー 性 鼻 炎も症 状 が 治まっているので 、環 境 が い い ので す ね 。また 、家 に
9月
ブドウ・洋ナシ・プルーン出荷
3月
シャッターがないことにも驚きました ※。他に日常生活で不便を感じることもあ
↓
農作業は昌弘さんと三代子さん、でめんさん ※ 1名と東京から時々手伝いにくる1名で
おこなっている。サクランボの最盛期には他に7∼8人のでめんさんを雇用。
※農作業を手伝うパートやアルバイト
3
州できく北海道のニュースは、気候的にも経済的にも厳しそうに感じますが、
●日常生活はいかがですか?
来てみてると全然そうではないことがわかりますよ。
赤平市に来て最初に「水がおいしい!」
と思いました。
( 和亨さんの)アレル
りません。市内は20時くらいになると、人が歩いてなくてちょっと淋しいですが、
【樹園地5ha】
4
● 移住を検討している方にメッセージを
とにかく北海道へ来てみてください。来たら好きになってしまうでしょう。本
か、その点だけが今はちょっと不安です。
11 月 剪定
2
に馴染んでいければと思います。
よく通院されている方とは、随分と打ち解け
埼玉は世帯も多いですが、動物病院の数も多いのに対し、赤平にはここ1件し
↓
1
院にいて、友達をつくる機会もなかなかありませんが、
これからゆっくり地域
かありませんし、獣医師も自分ひとりです。
そのため一人の獣医が診る動物の数
5月
る」
と思えました。今でも「絶対大丈夫」
という自信はありませんが、農家とし
にひとりで参加しました!
(これも新たなチャレンジでしょうか。)今は毎日病
ンタースポーツを始めようと思って、
とりあえずウェアーを買いました。主人は
10 月 ブドウ・洋ナシ・プルーン出荷
年経った頃に軌道に乗ってきて、5年目くらいにやっと、
「これで食べていけ
あとは、
( 琴美さんが)人見知りなこと。先日、勇気を出して町内会の集まり
● 埼玉と赤平、
仕事に違いはありますか?
施肥・ブドウ棚作り
就農してから1∼2年は収量も満足に得られず、たいへんでした。3∼4
のびと育っている様子がよくわかります。
● 今後はどんな風に?
4月
いっぱいあったかもしれませんが、辛いと思ったことはありません。
小学校が減っていくことです。現在の自宅近くにある小学校も統合でなくなっ
てしまいます。
ちなみに、赤平の子ども達はみんないい子だなぁと感じます。のび
住することに抵抗はありませんでした。ただ、最初は友達もおらず不安な時
直原家の農業
「百姓」といわれるように、なんでもできないとやっていけない職業です。
● 将来にむけて心配なことはありますか?
※赤平市には「おためし暮らし住宅」があります。
http://www.city.akabira.hokkaido.jp/docs/2013011000165/
5月には狂犬病の予防接種も担当します。赤平市だけでなく、獣医のいな
● 農家とは?
※北海道の住宅の開口部には、防犯や防風用のシャッターは付いていません。
もありました。子供の成長とともに、友達も増え、今はとても居心地よく過ごし
にもなります。
18
赤平市
「ちょっと暮らし」で安心スタート
(琴美さん)旅行が好きなので、いろいろなところに行ってみたいです。ウィ
東京生まれ東京育ちで、田舎への憧れもあり、自然も大好きだったので移
かりと交わって、
「こいつは農家としてやっていける」
と信頼された時、周囲は
移住者
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(和亨さんは)東京生まれでその後埼玉県に住んでいました。高校生のときに
● 新規就農の強み
した。父親が単身赴任で北海道暮らしをしていたことがきっかけで余市の果
埼玉県から
近隣のもう少し大きな市へ外食に行くことがよくあります。車で1時間もかから
ないですし、駐車場にも困らないので、都会に住んでいるより便利かもしれま
せん。
しかも、赤平市は札幌や旭川、富良野などへも1時間程度で行くことがで
1
あかびら動物病院
■住所/赤平市東大町3-13 ■電話/0125-32-2780
■診察時間/9:00∼12:00と
16:00∼19:00【予約制】
■休診日/日曜午後と月曜・祝日
2
3
1. 手作りの家、ベランダ下には剪定した枝が積んであり、薪として使っている。 2. 近所はみんな果樹農家 1. まだまだ新婚の上平さん夫婦 2. 新婚旅行で訪れた旭山動物園(旭川市)で 3. ここからが勝負!なりはじめたサクランボの実 4. 二人の出会いはバスケットボール 3. 赤平市はかつて炭鉱で栄えた街
北 海 道 暮 ら し 応 援 ガ イド
移住者レポート
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東京都から
北 海 道 暮 ら し 応 援 ガ イド
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移住者
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新得町
陽一さんは、北海道函館市出身の寿枝さんの願い「北海道へ帰りたい」を受け入れ、二人で力を合せ
て移住した。結婚当初から、食器の趣味や音楽、食べ物の好みなども一緒で、居心地が良かったというお
二人。まさに「赤い糸」をたぐり寄せ、
ソウルメイトに出会ったかのよう。そして数年後、運命の「土地」に
へ
佐々木 陽一さん
(47歳)、寿枝さん
(41歳)
● 新得町
“ピン”
ときたら それは運命
も出会う。直感が知らせてくれた新たな住処が新得町だった。
自らのことを「楽観的で何も考えていない」
という夫妻だが、その前向きな姿勢と明るさで地域と積極
的に関わり、人脈を広げている。目の前の細かいことは気にしていないのかもしれないが、未来をしっか
りと見据え、毎日少しずつ新得の大地に根を伸ばしている。
発見 までの道
近所付き合いもしっかりしていて、お隣さんが宅配の荷物を預かっていて
(陽一さん)東京ではデザイン関係の仕事をしていました。その頃、
リラク
ゼーションサロンで働いていた妻と出会い、結婚。結婚後に二人で何か新し
いことができないかと模索し始め、2005年、栃木県の那須でペンションオー
ナーの職を見つけ、移住。切り盛りをしながら、ペンション経営のノウハウを
身に付け、これを基盤に北海道で暮らせるのではないかと考えました。
しか
し、突然知らない土地でペンションを開くのには抵抗があり、まずは2007年
に札幌市へ。飲食店で働きながら、自分に足りなかった「食」のスキルを習
得。その間、休みを利用して北海道内を回り、新天地を探していました。
ところ
が広い北海道を休日だけで見て回ることに限界を感じ、一念発起で仕事を辞
め、場所探しに専念。十勝を巡っているときに通りかかった新得町に二人とも
ピン ときました。
ここは何かが違うと思ったのです。そして、2012年9月に移
住しました。
くれたりするくらいです。幅広い世代の方と話す機会も増え、みなさんの培っ
てきたノウハウやスキル、それぞれの人生ストーリーに触れ、とても勉強に
なっています。
知り合いがいない、
ということが不安でしたが、新得の方々はそれを払拭し
てくれました。すぐに打ち解けてくれて、いろいろ助けてもらいました。
この人
柄が創りだす町の雰囲気に ピン と来たのかもしれません。役場の対応から
も「welcome」な気持ちがとても伝わってきて、都会の役所にはないとても親
切な対応に驚きました。
ストレートに自分のところに返ってくるので、
とても素直な本来の自分を見つ
けることができます。東京生活では決して体験できなかった感覚です。
山並みがキレイに見える眺望の良い場所にペンションを開きたいと考えて
(寿枝さんは)アロマの経験と資格を活かして出張マッサージをオープンし
ようとか、
( 陽一さんは)インターネットを使って東京からデザインの仕事をも
らおう、
と考えていたので、
「 なんとかなる」
と思っていました。
実際には、地域の方や役場からいろいろ紹介してもらって、精肉店でエゾ
シカの解体を手伝ったり、農家でアルバイトをしたりして、地元に溶け込む機
会に恵まれました。そのおかげで、周囲から仕事の紹介をもらい、現在、
(陽
一さんは)調理の経験を活かし老人ホームで働いています。
( 寿枝さんは)人
脈が広がって、アロママッサージの予約が入るようになり、顧客も40名ほど
に。60代の方が多く、天気が悪くて農作業ができない日などに、特に多く予約
が入ります。
町の方に気軽にアロマを楽しんでもらおうと、マッサージの料金を都会の
移住者
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北見市
へ
土肥 歩さん
(32歳)、佳子さん
(31歳)
2人の子どもさんと4人家族
微笑ましい「家族」がここに
移住者としては比較的若いご夫婦と、元気いっぱいの子ども達。
「 今が頑張りどき」
と、忙しい毎日を過
ごしている。取材時、歩さんの仕事終わりを待って、夜に時間をいただいた。場所は近所のラーメン屋さ
ん。夕ご飯もかねての一家団欒の場でお話しを伺った。普段は20時には寝ているという子供たちも、楽
しい話をしてくれて、
とてもお行儀よく取材につきあってくれた。
美容師という職業柄か、東京暮らしが長かったからか、
ちょっと都会的な感じがしたせいか、互いや両
親を「父ちゃん」
「 母ちゃん」
と呼んでいたのがとても印象に残った。
どこか懐かしく、温かい家族の一場
面。一番怖いのも
「父ちゃん」なんだとか・・・。
● 地縁から生まれた移住計画
などの手伝いもしてくれて、感謝しています。家に帰ったら、19時に子供たち
市内の病院で生まれました。祖父母や親類がこちらにいることもあって、小学
たいと思うようになりました。結婚後、妻によく北見の話をし、一緒に訪れたこ
ないからかインフルエンザなどにもかからず元気です。
( 取材時、関東ではイ
ンフルエンザやノロウィルスの流行期。)
に決めて、タイミングを探していました。そして、長男の小学校入学に合せて、
しつけはしっかりしていきたいと思っていますが、のびのび育ってほしいと
北見市に来ることに。2013年3月末、新生活をスタートさせました。
も思います。東京では塾漬けの子供が多く、そういう環境には抵抗がありまし
います。来年には土地を探し、2∼3年以内にオープンできれば。眺望と同じ
くらい、
「 食」が魅力的な町なので、料理にも力を入れたいです。狩猟免許を
取って、自分で仕留めて、自分で捌いた新鮮なエゾシカや、甘味と旨味が濃い
地 域 の 野 菜を使って、手 の 込んだ 逸 品を提 供できるようにした い 。特 産 の
チーズもおいしく味わっていただくために、
( 寿枝さんは)チーズ検定を受け
●
東京生まれ東京育ち が感じること
た。
「 子どもは子どもらしく」を願っています。
(佳子さんは)東京生まれ、東京育ちで仕事も都内。初めて北見市に来たと
● 経済的な苦労はありましたか?
きは、
「 広∼い!」
と思いました。家と家の間が狭く、常に騒音などを気にして
東京と比較して、収入は減りました。また、前年の所得で税率が決まるもの
いる東京とは大違い。こちらに来てからは、空の広さやキレイな星空にも感
もあり、現在はそれを払うのがたいへんです。でも、もう少しでその期間も終
激。生まれて初めて「天の川」をみることもできました。特産の玉ねぎを始め、
わるので、今が頑張りどきです!
食べ物もおいしいです。回転すしもとてもおいしいと思います。
そして、人があったかい。東京では他の人に対する関心が薄いような気が
● 移住すると決めて最初に取り組んだこと
しますが、
こちらでは、みんなが気にかけてくれます。近所の人も、子どもの友
2012年に移住すると決めてすぐ、家探しを始めました。インターネットでい
達のお母さんたちも、学校の先生も。みんなが助けてくれて、周囲の人間関係
ろいろ見てみましたが、物件数があまりなく、情報もなかなか更新されないの
にとても恵まれていると思います。
で、決まるまでが大変でした。
( 北見市の)東相内(ひがしあいのない)町に
る予定です。
新得は地に足がついている感じのするところ。食べ物も忠実に作ってい
て、
これが「本物」
という感じです。だからこそ、人間も人間らしく生きていけ
引っ越した理由も、ようやく見つかった物件がここだったから。賃貸契約は東
● 仕事環境は?
京にいながらもできましたが、全く土地勘がなく、市の中心部にあるJR北見
(歩さんは)東京で11年美容師をしていたので、北見市にいる親戚を通じ
る。
ここに滞在して、都会で見失いがちな、本当の「自分」に気付いてもらえる
て、移住前からこちらの美容室に就職することが決まっていました。そのた
ようなペンションを作りたい。そして、地域の人々が和気あいあいと集える場
め、来てすぐ働き始められました。仕事は9:30∼19:30まで。年中無休のお
所にしていきたいと思っています。
店なので休みは不規則ですが、子どもの行事などに合せて、休みたいときに
ろう」と思え、通勤途中で美しい山並みの景色を見ては、
「ここに来て良かっ
なりました。
た」
と感じています。
駅からたった2駅しか離れていないので、市街地近くだと思っていました。東
京で 2 駅といえば 歩 ける距 離で すが 、実 際 にきてみてビックリ、とっても遠
かった。
( 北見駅から東相内駅は約7.5km、車で約10分。)
今は2LDKで家賃6万円の比較的新しいアパート。いつか、家を建てたいと
思っています。
● 将来は開業ですか?
(佳子さんは)清掃のパートを始めました。仕事は夕方に終わるので、幼稚
● 東京と新得、
何が違いましたか?
がなさそうです。でも、東京と違って、時間に追われて焦っている感じも、ギス
す。子どもから方言を習うことも多いです。小学校は1クラス19人、児童が少
ともありました。
( 妻には言っていなかったけれど)真剣に移住することを心
分生活費も安く済むし、ストレスがないので無駄な買い物をすることもなく
ギスした感じも全くありません。雰囲気はとってもおおらか。毎日、広い空や
子ども達はすんなりと北見の生活になじんでくれて、とても安心していま
人で北見にきてみると、のどかな雰囲気の良さに気付き、いつか、
ここに住み
休ませてくれます。毎朝、家を出て澄んだ空気を吸い込むと
「今日も一日頑張
田舎はのんびりしているものと思っていましたが、新得の人々は本当に忙
● 子育てに思うこと
生のころはよく遊びに来ていました。社会人になってから、
しばらくぶりに一
半額ほどにしています。そんなこともあって収入はだいぶ減りましたが、その
しい。朝から畑に出て、夕方からは町内の集まりやイベントの準備などで、暇
の食事、20時には寝かせています。
(歩さん)両親が北海道生まれで、母が里帰り出産をしたため、自分は北見
温かい人柄と豊かな自然のせいか、
この町では、真心がまっすぐ伝わって、
● 今後の夢は?
● 収入への不安は?
東京都から
北見市は美容室が多いので、簡単に開業するというのはちょっと・・・。で
園に通う長女を小学校1年生の長男が見てくれています。長男はお風呂掃除
寿枝さんの手作りプロフィール
シート。
「知らない人にマッサー
ジされるのは不安だと思うの
で。」と、お客さんへの真心が
感じられる
移住者レポート
移住者レポート
東京都から
も、
これからいろいろ模索して、考えたいと思います。
1 2
3
大地の中で過ごしているからなのかなぁ、
と考えています。
1
2
3
4
1. 誉くん、桜花ちゃんと一家団欒
2. 仕事中の歩さん
3. 明るく元気な二人は、
北見に溶け込むのも早かった。 4. 北見市はオホーツクエリアで最も人口が多い
1. 調理場で働く陽一さん 2. 寿枝さんの出張マッサージ道具、ベッドは折りたたんで持ち運び。
1. 相性ピッタリの佐々木さん夫婦 20
北 海 道 暮 ら し 応 援 ガ イド
北 海 道 暮 ら し 応 援 ガ イド
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森 町
移住者
レポート
夫婦なら何倍も幸せ
東京都内で共に学校職員をしていた涌井夫妻。なんでも挑戦したい夫と、それをしっかりと見守り支
える妻の姿はとても仲睦ましい。実さんの言葉の中には、美嘉さんへの感謝と労わりが散りばめられて
いた。北海道へ移住してきたご夫婦を見ていて、いつも思うこと。それはパートナーの重要さと、互いの
へ
涌井 実さん
(51歳)、美嘉さん
(52歳)
信頼の強さ。50歳をすぎて慣れない土地で暮らし始めることに、不安がないはずがない。
しかし、お二人
の話には楽しみと夢がたくさん詰まっていた。毎日が非常に充実している様子。
ここで、その全てをご紹
介できないことが残念だ。実さん曰く
「迷っているなら来てみるべき。」、一歩踏み出せば、想像以上の幸
せが広がっているのかもしれない。
● 森を選んだ理由は?
働けて、
ここ来て本当に良かったと感じています。春からは近隣にあるゴルフ
場で仕事をする予定です。
20年くらい前に(実さんが)ひとりで函館旅行に来たときに、大沼 ※ にも滞
この辺は女性の方が仕事が見つかりやすいかもしれません。福祉関係の求
在しました。その時、このエリアがとても気に入って、漠然といつか住みたい
人はあるようです。
( 美嘉さんは)もし、主人が仕事に就けなかったら、自分が
と思ったことを憶えています。それから10年経ってもその気持ちが変わること
働こうと考えていました。
はありませんでした。そこで、妻に思いを告白。大沼移住へ向けて、2005年に
埼玉で夫婦共稼ぎだったころと比べると収入は1/3ほどに。
しかし、お金を
土地探しから始め、何度か北海道へ来ました。この辺りには湖畔の分譲地も
使うこともあまりありません。通勤途中には自販機が1台あるだけ。コンビニ
たくさんありますが、私たちは駒ヶ岳が見える森の中に住みたいと思ってい
で無駄遣いすることもなくなりました。
て、森町のHPで見つけた「からまつの森分譲地」を購入。2007年に4区間360
坪を取得。一人娘の学校卒業を待って、移住することにし、2012年に住宅を
●ここでの楽しみは何ですか?
建築。2013年春、夫婦ともにそれまで勤めていた仕事を辞めて、森町へやっ
(実さんは)日曜大工が大好きなので、表札からウッドデッキや薪小屋ま
てきました。
で、自分で作っています。薪割もやりたかったことのひとつ。家を建てる時に
居住地を決める際には、地域の情報も知っておきたかったので、近隣のお
伐採した木を、夏の間に薪にしています。今後はツリーハウスも建てたい、作
宅に話を聞きにいったこともあります。また、森町の「ちょっと暮らし」を利用
りたいものがたくさんあります。
して、買い物する場所や病院など、生活に欠かせないポイントを事前に確認
また、釣りにもよく行きます。町は噴火湾に面しているし、車で1時間ほどい
することもできたので、
「ここなら大丈夫。」
という確信を得ました。
けば日本海もある。二人で大量にホッケを釣ったこともあって、今では釣った
※湖の名、森町と七飯町にまたがる。一帯のエリアを指すこともある。
魚を保存する冷凍庫もあります。
●こだわりの住宅
アウトドアの趣味にはいつも妻を巻き込んでいます。春には一緒にバギー
に乗って山菜取りにも行きました。料理が得意な妻なので、釣った魚も、採っ
土地を取得後は、工務店探しをしました。たまたま近隣で、理想的なモデル
た山菜もおいしく調理してくれます。
住宅を見つけられたので、そこで家を建てることに。
こだわりは「森に溶け込
(美嘉さんは)もともとカントリー雑貨が好きでレース編みをしたり、食器を
む家」。天井は木材が見えるようむき出しにし、
リビングには吹き抜けと薪ス
集 め たりするの が 趣 味でした 。この 辺で は な か な か 好 み の 食 器 が 買えず 、
トーブ。住宅の建設費用は埼玉とあまり変わらないと思いますが、土地代が安
いっそのこと自分で作ろうと思っていたところ、ご近所で陶芸をやっている方
かったです。部屋数はリビングの他に寝室がひとつ、その他は多目的スペー
方がいたりと、できることがいろいろあります。
建築した工務店が、建設過程を写真付きメールでこまめに報告してくれた
ので、埼玉にいても安心してお任せできました。送られてくる写真を見ては、
● 大沼エリアのおススメは?
早く住みたい気持ちでいっぱいでした。
空気も水もおいしいところ。水は私設上水道で地下水を利用しています。
● 移住後の生活
そして、人が優しく、時間の流れもゆっくりしています。話し方も独特のイント
ネーションが柔らかく、聞いているだけで癒されます。
6月に引っ越してきてから約半年、仕事が見つかりませんでした。もっと早く
また、
「 からまつの森」の住人は道外から来ている方が多く、よそ者 の雰
仕事を始められると思っていたので、
( 美嘉さんは)不安だったと思います。
囲気を全く感じなくてすむので、住民同士がとても打ち解けやすい環境で
せっかく北海道に来たのだから、ネクタイはせず、自然の中にいられる職種
す。趣味を通じて、
ご近所との交流も加速していて、一緒に釣りに行ったり、お
に就きたいと願っていました。11月、待ったかいがあって、スキー場の仕事を
隣の薪小屋をみんなで作ったり、楽しみを共有しています。
紹介してもらえました。今はリフト係として、毎日美しい駒ヶ岳を眺めながら
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1. 実さんが「男のロマン」と語る薪ストーブ
土 地 、住 宅
と知り合いました。今、習い始めたところです。他にもパン作りを教えてくれる
スがひとつと、大きな家ではありませんが、夫婦二人で住むには十分です。
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市 町 村 情 報
移住者レポート
埼玉県から
就 業 、就 農 、起 業 支 援
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2. 夏の「カラマツの森」
3. 雪景色に映える駒ヶ岳
4. 楽しい話が尽きない涌井さん夫婦
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北 海 道 暮 ら し 応 援 ガ イド
子 育て支 援