面接官が語る「こんな学生は勘弁してほしい」 :日本経済新聞(連載) 就活

面接官が語る「こんな学生は勘弁してほしい」
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:日本経済新聞(連載)
就活生の遅刻については厳しく見ています。事前に連絡があり、ちゃんと理由が説明
できているなら問題ないし、息を切らせて駆け込んでくるならとがめない。ところが、
連絡もなく、悪びれもせずに面接に現れた学生にはびっくりしました。もちろん選考
で落としましたが。
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受付から待合室での態度までチェックします。受付ではきちんとした挨拶ができてい
るか、しっかりと相手の目を見て話しているかどうか。ここで問題がなくても、待合
室まで案内する女性から「あの学生は態度が良くなかった」と報告を受けることも。
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待合室でも初対面の学生同士が「あそこの会社は変だったよね」などと話しているの
を見ると、「待合室でこんな話をするなんて、空気が読めない学生だな」と思います。
実際の面接での印象と待合室での態度をチェックしてギャップがあると「本質がつか
めないので、そういう学生はいらない」と判断する企業もあります。
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面接官だけが採用に関わるわけじゃありません。
話の長い学生には困ります。特にエントリーシート(ES)の内容を丸暗記して、延々
と話す学生。
「ESに書いてあるままじゃないか」と止めに入ろうとしても、怒涛のご
とく話し続けて止めるタイミングがないこともあります。(中略)
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うちは国内の広告業なのに「海外で働きたい」と主張する学生がいました。
「この会社
は国内の広告業ですよ」と説明しても「分かっています。でも海外で働きたいんです」
とひたすら繰り返す。意思疎通できず、困りました。
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うちは「希望の部署に配属されなくても構いませんか」と聞いています。「嫌です」と
いう学生はさすがにいませんが、答えに詰まる学生はいます。これは評価できません。
ああ、やっぱり部署が違うと嫌だって人は採用しないんですね。でも、これ、はっき
りさせておいた方がいいと思うんですよ。
即答で OK という形だけ正解パターンとして学生が対策を覚えたとしても、実際に
就職して違うところに配属されたとしたら、辞める原因となって企業にも学生にも不
幸です。
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「自己アピール」
「作ってきたな」と感じる話をする学生にはいい印象を持てないですね。「御社のグ
ローバル展開に携わりたい。私は中国の大学に留学し、中国人ともうまくコミュニケ
ーションをとれた」と中国通をアピールした学生。どの程度の留学経験かと興味を持
って詳しく聞いてみると、急にしどろもどろに。どうやら留学といえるのか怪しい。
中国の大学に出かけて中国人大学生数人に一方的に話しかけた程度。コミュニケーシ
ョンをとったといえるほどではなく、がっかりさせられました。
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「サークルを立ち上げた」というので、リーダーシップがある学生かなと期
待して掘り下げて聞いてみたところ、部員は自分を入れてわずか2人。これでサー
クルといえるんですかね。
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百貨店
「尊敬する人は」の問いに「父親」と答える学生がとにかく多いですね。
最近の就活生の父親は立派な人が多いのかもしれませんが、
「ちょっと世間が狭いん
じゃないの」と言いたくなります。
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「サークルの副部長をやっていました」というアピールは相変わらず多いですね。
どんなことをやっていたのかを聞くと、イベントや宴会を盛り上げたとか中身に乏
しい。「それってただの宴会部長じゃないの」と突っ込むと固まっていました。
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金融
別にクラブの副主将やサークルの副部長でもいいのですが、聞きたいのは、
具体的にどんな活動をして、どんな役割を果たしたのか。リーダーシップにも様々
な形があり、人を引っ張るタイプ、グループの和を保つのがうまいタイプといろい
ろある。自分がどのタイプなのかを意識して話してほしいものです。
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グループディスカッション
一対一の面接ではよくしゃべるのに、グループディスカッション(GD)になると意
見を言えなくなる学生は多いですね。GDではまず発言しないと話になりません。個
人の考えをまとめて、集団のコンセンサスとしてどう落とし込んでいくか。状況によ
って学生がどう動くかを観察していると、学生の性格や考え方が見えてきます。
自分の自己アピールは身を乗り出して話していたのに、ほかの学生が話す番になると
無関心にボーッとしている学生は目立ちますね。人の話を聞いていることをアピール
する狙いなのか、他人の話を大げさに、わざとらしくうなずく学生も気になりますが、
無関心学生よりはまだマシです。
◆こんな人は採用されにくい
3つの理由
凡人学生が就活において頭が真っ白になるのは、エントリーシートや面接で必
ず必要な「自己 PR」。なぜならアピールすることがなかなか見つからないからで
ある。
多くの就活生は「就活は資格や実績で勝負しなければならない」と思い込んで
いるため、自分の経験をいかにすごいものに見せるか腐心する。しかし、事実だ
けを述べても有能な学生の経験には勝てないし、アルバイト経験の話をいくら「盛
ろう」とも、素材自体が凡庸すぎてしまえばすぐに見抜かれてしまう。そして、
この考えは大事な点が抜け落ちている。そんな自己 PR を聞いても「アナタがどん
な人間なのかよくわからない」ということだ。
そこで、凡人学生がエントリーシートや面接で落ちる理由を理解することで、
通過する可能性が高まるという。その落ちる理由は3つある。
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「企業に利益をもたらす人材ではないと判断された場合」
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「会社の雰囲気に合わないと判断された場合」もしくは「コイツ気に食わな
いと思われた場合」
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「結局どんな奴なんか分からんな、と思われた場合」
この場合は 1 次面接すら通りません。
選考において面接が大きなウェイトを占める理由は、どんなすごい資格や実績
を持っていたとしても、どんな人物なのか分からなければ採用できないと企業が
考えているからだ。そして、面接は人事や面接官の主観により合否の判断が下さ
れるもの。面接官に個人的にでも気に入ってくれれば通過できるのだ。逆に言え
ば、自分のことを気に入って評価してくれさえすれば、どんなに何もしてこなく
ても採用してくれるのだ。つまり、そこでは「人間性」が勝負となる。そういえ
ば人間性はどうやって確かめられるのでしょうか。それは簡単です。1次面接を
通った志願者に対して、その人の能力や人間性を確かめる作業として企業は2次
面接の場で確かめるか、指導教員に評価してもらいます。
◆面接官が採用したくなる人材
基本的なことなのでわかっている人も多いと思いますが、企業が採用したいのは、入
社後、会社に貢献できると判断できる学生だけです。今はまだ未熟でも将来の伸び白
を感じさせる学生なら採用したいと考えます。
では、会社に貢献できる学生かどうかを企業が判断するポイントは、どこか?
それは、
意欲、能力、人間性という視点から判断します。
企業によりこの3点の詳細やウェイトは変わりますが、
企業が学生を評価する視点はほとんどの場合この3点に含まれます。
少し詳細にみていきます。
能力は、
「コミュニケーション力」と「思考力」に分けられますが、いずれの能力も短
時間の面接でも評価しやすい能力なので、この両面に秀でた学生は選考にかなり有利
といえます。
逆に、コミュニケーション力と思考力が弱い学生は面接で苦戦するケースが多くなっ
ています。
両者を鍛えるためには、質の高い対話経験をできるだけ多く持つことが一番の近道で
す。
・新聞などを題材に「自分に問をなげかけ」、それに対する意見や考えを口にだしてい
ってみる。
・何らかのテーマについて誰かと議論する。
志望動機や自己紹介を一生懸命暗記するのではなく、
「シナリオのない対話経験」をで
きるだけ多く持つことがコミュニケーション力と思考力を鍛えるポイントなのです。
そして、ここへきて重要度が増している評価軸が、意欲です。
面接で落ちる人は志望動機を質問されると、以下のいずれかの視点で説明してしまう
ことがほとんどです。
・会社や社員をほめて終わる
「理念が素晴らしい」「あった社員が素敵だった。情熱的だった。」
・具体的にどんな仕事を希望していて、なぜその仕事をしたいのか「具体的」にいえ
ない。
イメージできていない
・働くことに対してどこか後ろ向き、否定的
この中のいずれかがあてはまる場合、特に選考ステージがあがるほど面接突破は難し
いといえます。
勿論「いまはまだ自分のやりたいことがよくわかっていなくても」、過去に何かこだわ
って取り組んだことがあったり、壁を超える経験を積んでいる人は通過させるという
判断もあります。いずれにしても、意欲が明確な人の方が、困難なことがあっても頑
張れる、と企業側は判断するのです。
この感覚はわかりますよね?
だからこそ、面接で評価されるためにひねり出した志望理由や就活塾などでこう書け
といわれた「偽物のやりたいこと」などではなくて、
あなたが心から強く希望する「やりたい仕事」を企業側は知りたがっているのです。
本音をさらけ出す、ということです。そして、そのやりたい仕事を通じて企業にどう
貢献できるのか、がみえれば、その人は、ある程度の面接までは確実に進めるはずで
す。
また「意欲」は、どれだけこの業界や会社、仕事のことを調べたかという「行動」レ
ベルでも評価できます。
・当社の社員と会いましたか?
・この業界の商品で好きなものはなんですか?
・この業界の課題や問題はどうお考えですか?
・どういう業界や会社をうけていますか?
・この業界や会社に興味をもったきっかっけは?
など、いずれも、その理由や感じたことと合わせて行動内容をきくことで
面接を受ける人がどれくらい本気で志望しているのかを把握することが可能です。
その業界、その会社でどんなことをやってみたいか?
なぜ、そう思ったのか?
その仕事をしている自分をイメージしてみる?
その仕事で成果をあげるためには、何が大切か?
その上で、あなたがその会社にどう貢献できると思うのか?
このあたりを深めた上で、面接に臨まれてください。