イタリアの事例に学ぶ これからの北陸の地域づくり

イタリアの事例に学ぶ
これからの北陸の地域づくり
特集
国際観光において上位を占める
イタリアそしてラテンの国々
パ諸国の中では訪問先のトップと
都市や地域が生み出したものであ
なっている。またスペインを訪れ
り、同時に現在の産業や経済活動
世界観光機関(WTO)の資料
る日本人も着実に増加している。
に結びついている。つまり、イタ
によると、1998年の1年間に国
このように、イタリアをはじめと
リアの都市や地域の文化と産業
際観光客が最も多く訪問した国は
するヨーロッパのラテン系の国々
が、交流活動(=観光)とうまく
フランスで、世界の観光客の
は、世界的にもそして日本人にも
連携して、活力を生み出している
11%にあたる7,000万人がフラ
人気が高いが、その人気の背景に
わけである。
ンスを訪れている。フランスはこ
はそれぞれの都市やまちの魅力が
こ10年で見ても、ずっと1位の
あることは言うまでもない。
そこにはまちの魅力を高めるた
めの都市整備や使い方の工夫、周
座を守っているが、その他の国々
陣内秀信氏によると、かつては
辺地域と連携したネットワーク型
をみると、スペインが2位、イタ
ミケランジェロやレオナルド・
地域産業の振興や景観整備などの
リアが4位となっており、ラテン
ダ・ヴィンチに代表される美術や
取り組みがある。さらに、それを
系の国々がベスト5のうちの3つ
オペラなどの音楽、いわゆる芸術
全世界に情報発信するという戦略
までを占めている。
文化ジャンルを目的としてイタリ
も見えてくる。
これを日本人だけに限って見る
アを訪れる人々が多かったが、最
北陸がイタリアに学ぶべきこと
と、1位のアメリカ合衆国に続い
近では、ファッションやデザイン、
は、こうした地域づくりの戦略を
て香港、韓国、中国など、アジア
グルメ(イタリア料理)などの生
どのように策定し、いかに実現し
諸国が続くが、イタリアを訪れる
活文化を目的とする訪問者が増加
ていくかにほかならない。
日本人は着実に増加し、1996年
しているそうである。こうした生
にはフランスを上回ってヨーロッ
活文化は、イタリアのそれぞれの
● 国際観光客到着数の上位10カ国
順 位
国 名
国際観光客到着数(千人)
伸率(%)
シェア(%)
1997年
98/97年
1998年
1990年
1995年
1998年
1
1
1
フ ラ ン ス
67,310
1998年
70,000
3
3
2
ス ペ イ ン
43,252
2
2
3
米
国
47,752
4
4
4
イ タ リ ア
7
5
5
英
国
12
8
6
中
8
7
10
11
4.0
11.0
47,749
10.4
7.5
46,395
−2.8
7.3
34,087
34,829
2.2
5.5
25,515
25,750
0.9
4.1
国
23,770
25,073
5.5
3.9
7
メ キ シ コ
19,351
19,810
2.4
3.1
8
カ
ダ
17,636
18,825
6.7
3.0
ナ
27
9
9
ポ ー ラ ン ド
19,520
18,820
−3.6
3.0
6
10
10
オーストラリア
16,647
17,352
4.2
2.7
※1998年の値は推計値 (資料:世界観光機関〈WTO〉)
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