黒毛和種」雌牛の肥育成績向上のための飼料給与方法 「

「 黒毛和種」雌牛の肥育成績向上のための飼料給与方法
ねらい
県内の「黒毛和種」の肥育は去勢牛主体であり、肥育成績も去勢牛よりも雌牛の方が劣
っているのが現状である。そこで、雌肥育牛の肉量と肉質の改善を目的に給与飼料等肥育
技術のレベルアップを図ることにより、本県肥育技術の高位平準化へとつなげ、素牛価格
が高騰する中での負担軽減とやまぐち和牛の品質向上に資する。
主要成果
1 肉量の確保
雌の肥育牛は去勢肥育牛に比べ、大きさで劣るため、濃厚飼料多給時期の早期化と良質
蛋白質供給源として大豆粕の給与(一般的な給与量;日量0.5㎏/頭程度、当場給与量;
1.0㎏/頭程度)を行うことにより、枝肉重量を改善することができる。
(1)平成16年度の山口県系統出荷牛の「黒毛和種」雌の平均(以下、県平均とする。)
枝肉重量385.5㎏に対し、本試験に供した当場の肥育雌牛(以下、試験平均とする。)6
頭の平均枝肉重量は431.6㎏となり、改善効果がある。
(2)部位別にはロース芯面積が、県平均50.9㎝2 に対し、試験平均51.2㎝2、バラの厚さ
が県平均6.7㎝に対し、試験平均7.8㎝であり、改善効果がある。
(3)大豆粕を給与しなかった場合は、ロース芯面積が平均50.2㎝2で、バラの厚さが平均
7.1㎝であり、大豆粕の給与はロース芯面積とバラの厚さを改善する効果がある。
2
肉質の改善
平成13年度の県平均去勢肥育牛の肉質4等級及び5等級が占める割合(以下、上物率と
する。)46.2%に比べ、雌の上物率は32.5%と低く、ロース芯への脂肪交雑(以下、BM
S№とする。)平均は去勢№4.9、雌№4.3であった。そのため、雌の一般的な給与体系よ
りも、最大濃厚飼料給与時期を早めることによって、肉質を改善することができる。
(1)平成16年度の雌の県平均はBMS№4.9に対し、試験平均BMS№6.7であり、BMS№の改善
効果がある。
(2)平成16年度の上物率では、県平均43.2%に比べ、試験牛では4等級4頭、5等級2
頭の上物率100%である。
成果の活用面・利用上の留意事項
1 大豆粕の給与により、バラの厚さの改善はあったが、ロース芯面積や僧帽筋(通称カ
ブリ)の厚みには効果が認められなかったため、給与時期や消化利用性の更なる検討が
必要。
給与量の増給については、肥育牛の糞の状態などを確認しながら実施する。
2 濃厚飼料の最大給与時期を早めることによって、筋間脂肪が厚くなりロース芯の形状
が崩れることや枝肉重量がやや小さくなる傾向があるため、粗飼料摂取量とのバランス
を考慮することが大切である。
関連文献等
(1)黒毛和種雌牛の肥育技術に関する研究(第1報)(高取 等他:鳥取県畜産試験場研究報
告№26、P6∼9、平成9年)
(2)黒毛和種雌牛の肥育技術に関する研究(第2報)(高取 等他:鳥取県畜産試験場研究報
告№27、P16∼20、平成10年)
- 27 -
試験成績
表1 畜産試験場における大豆粕給与の違いによる枝肉成績比較
区 分 種雄牛名
嘉高法
嘉高法
嘉高法
試験区
嘉高法
嘉高法
嘉高法
平 均
単位:㎏、㎝2、㎝、%、
№
枝肉重 ロース
皮下脂 推定歩 BMSNo.
母方祖父 母方曾祖父 量
留
芯 バラ厚 肪厚
景清
紋次郎
435.0
50
8.1
2.7 73.4
7
安福2の9
糸光
405.4
44
6.3
3.5 71.1
6
菊艶
高庭
433.8
50
8.1
3.4 72.7
5
福栄
景藤
441.8
59
8.1
2.8 74.4
9
宝福
安美金
448.4
44
8.4
3.0 72.4
5
谷茂
田安春
425.2
60
8.0
2.9 74.7
8
431.6 51.2
7.8
3.1 73.1
6.7
秋平
平茂勝
義久
457.4
49
7.0
4.0 71.1
秋平
高栄
糸姫
506.8
52
7.8
4.3 71.2
対照区 秋平
賢深
糸光
485.2
49
7.6
3.0 72.1
秋平
福金
益高
386.5
46
6.1
3.3 71.7
秋平 安福165の9
糸光
463.4
55
7.2
3.9 72.0
平 均
459.9 50.2
7.1
3.7 71.6
試験区:濃厚飼料早期多給+大豆粕給与、対照区:濃厚飼料一般給与のみ
表2 雌肥育牛における飼料給与体系(肥育前期∼中期を抜粋)
肥育期間
か月後 スタート 1
2
3
4
5
6
7
8
濃厚飼料
kg
2.1 3.1 4.1 4.7 6.7 7.5 8.1 7.5 6.6
大豆粕
kg
0.5 0.8 1.2 1.2 0.4 0.3 0.1
仕上げ用飼料 kg
1.3
稲わら
kg
1.0 1.1 0.8 0.7 0.5 0.5
乾草
kg
3.8 3.5 2.9 0.8
濃厚飼料計
kg
2.6 4.0 5.3 5.9 7.1 7.9 8.1 7.5 7.9
3.8 3.5 2.9 1.8 1.1 0.8 0.7 0.5 0.5
粗飼料計
kg
注)数字は平成16年度の雌肥育試験の摂取量を参考として記入しています。
ポイント1
4
4
3
3
4
3.6
9
10
5.4 6.3
2.0 2.0
0.5 0.5
7.4 8.3
0.5 0.5
乾草給与期間を4∼5か月に短縮し、最大濃厚飼料給与(7∼8㎏/日・頭)時期
を導入6∼7か月後の目安とする。
去勢牛よりも大豆粕給与量(1㎏/日・頭)及び給与期間(6∼7か月)を多くとる。
ポイント2
研究年度
平成14年∼16年(雌肥育における大豆粕給与量の検討)
研究課題名
やまぐち和牛品質向上に関する研究
担
畜産試験場
当
−雌肥育技術の検討−
改良増殖部 改良繁殖グループ
- 28 -
西村隆光