2008 年度 文化心理学 火曜日 1 限 1303 教室 講義題目:食行動,食物

2008 年度 文化心理学 火曜日 1 限 1303 教室
講義題目:食行動,食物に対する態度・感情と文化
第 1 回目授業の内容:080407
音楽。バッハ,モーツアルト,のだめのベートーベン,チェット・ベィカー。。。時代,地域を
越えて通じるものがある。”こころ”は普遍的存在か,と。
手招きの来い来い,と来るな来るな。
マクドナルドのスマイルは本当にタダなのか。
KY のおもしろさ:日本人の”くうき”と欧米人の”くうき”の違い,
”指示待ち”と”発信待ち”:当世大学生日米比較,
チップの難しさ:してもらうとさせる(させることに対する評価がチップ)。。。はたして,”ここ
ろ”本体は同じものなのか?
どうして社会,文化が異なると,これほどまでに人のこころのもちよう,行動は異なるのか。
文化の差異はインターフェースのレベルの問題にすぎないのか。
。
。
。
key concept: “こころ”の普遍性,一般性
半年,アメリカで暮らし,日本に帰ってきたときの安堵感と嫌悪感。
(話題にせず)
パーソナルスペースの話し。生物的根拠あり?(なにげない日常の行動について,なぜ?を説
明する科学,としての心理学。
)
行動の決定因:生物的・遺伝的基礎,個体経験(学習)
,社会文化要因
Key words: ナワバリ行動
視線の文化差。パーソナルスペースの微妙な距離は文化か?(少しだけ話題にした)
生物的基礎(本能的:遺伝的:生得的行動傾向)
,個体レベルでの経験・学習,文化->行動
ひいては,->”こころ”
(以下:話題にせず)
日本の幸福感は低い?幸福の基準が異なるのでは?不幸な国民が最長寿なのは?
“幸せすぎると怖い””何もないから幸せ””ほっとする幸せ感”は目標達成の幸福感と異なるので
は?幸福感の基準を見直す研究もスタート
なぜ日本人は食事のあとにデザートを食べる習慣がないのか?甘味調味料の問題かも。目一杯
食べる幸福感(満腹感)をもたない為かも。とはいえ,果物ぐらいはたべたいな。
授業の骨格(柱)の第 1:心理学現代史:
keywords: アリストテレス,プラトン,哲学,西洋哲学,近代科学,現代心理学の誕生,ブント,
実験心理学の誕生,「心理学の過去はながく,歴史は短い」,アメリカ心理学史,臨床心理学,健
康心理学,ポジティブ心理学(Positive Psychology)と文化心理学
授業の骨格の第 2:食行動の社会文化決定因:
授業に対する要望・希望・期待:カード提出(無記名可)
1) スライドと板書の問題
2) その他
第 2 回目授業の内容:140407
講義:文化心理学とは何か
1. これまでの心理学:
・「こころ(精神,mind)
」は,時代,地域を越えた普遍的存在
心理学:「こころ」の機能(役割,しくみ)を探求する学問
「こころ」は脳に存在する →神経科学の発展
・はたして,
「こころ」は普遍的,自律的(独立的)存在なのか? 心性普遍性への疑義
社会・文化は,
「こころ」の「インターフェイス」部分を担っているにすぎないのか?
社会・文化は,
「こころ」の仕様を変更する程度の役割しか果たしていないのか?
e.g., 寒冷地仕様 → アジア仕様,日本仕様
e.g., 言語獲得能力 →タミル語獲得 vs.タミル語獲得 → タミル的「こころ」
2. 現在の心理学:トレンド(流行)
ポジティブ心理学(←健康心理学←臨床心理学)
文化心理学
3. 文化心理学への関心の高まり(歴史)
:
・心理学の勃興と発展の背景にあるもの:西洋哲学(史)と近代科学
精神の独自性,普遍性,自律性 → 観念,自由(権利)という概念の誕生
第二次世界大戦後の心理学 → APA がリード(機能主義)
・西洋文化圏で得られた「事実」は必ずしも一般的,普遍的な事実ではない
人は自らの評価を保ち,高めようとする心理的傾向(自己高揚感)をもつ…?
日本人のアタッチメント様式は「不安型」
,多くは「正常」ではない…?
名詞獲得は動詞獲得に先行する…?
・心性普遍性は証明不可能な「公理」にすぎないのか?
4.文化と心の相互構成(mutual constitution):文化は心からなり,心は文化からなる
・人称代名詞の欠落(脱落)を許容しない社会と許容する(推奨する)社会
Why do you…? Why are you…?
I agree that…
In my personal view, it is….
初めて英語を習ったときの違和感,めんどうくささの正体は?
個人主義のつよい文化の言語 vs. 集団主義的傾向のつよい文化の言語
「よくわかんなぃ(わかりません)」は I don’t know. か?
「他の人はどうなのかはわかりませんし,特に気になるわけでもありません。すくなく
とも私は,あなたの言われることが理解できないし,それ故に,なんと答えていいのかわかりま
せん…..」?
つねに I, You で自他を区別する社会 → 孤独(solitude)
自己紹介,自己アピールの重要さ → 仲間(個の集合体)の形成,敵・味方の区別
週末パーティ →仲間(個の集合体)の形成,敵・味方の区別
外食場面 → 何が食べたいか,を常に自問自答。判断。意見の表明。(「おまかせ」「テ
キトーにみつくろって」
「とりあえずビール」等は許されない。
)
個人主義社会はデジタル社会か?
敵・味方,善悪,損得,自己・他者…
I, You で自他を区別する社会 → I, You は相互に独立した存在とみなすようになる →
独立的自己という見方(観)の獲得 → 人間精神は独立した存在 → 個のレベルにおける自由意
思の尊重,個の尊厳(という価値観:現在西洋社会) → 形式論理を操作する能力の重要性 → 人
間の思考能力としての論理性(があるにちがいないという信念の形成)
文化(I, You) → 個(I, You) → 文化(I, You)
*個は文化の中で作られる
*文化は個なくして存在・発展しない
→ 文化と個は相互依存的
日本人(韓国人,タイ人。
。
。
)の曖昧な微笑みはなぜ「不気味」なのか?
仮説:みんなで仲良く,テキトウに,敵味方をつくらずに,互いに我慢すると
ころは我慢して,そうムキにならず,そこそこ楽しくやっていけばいいじゃないか….といった集
団主義的価値観を前にして,たじろぐ個人主義者の反応?
・ 個の関係性を重視する文化(心)
I と「自分」はイコールか?
自分=自らの分け前,全体(他者)との関係性の中で同定される存在として”I”
ここでの議論はおおきな話しとなる(安請け合い?)
仏教思想:小我を振り払うことにより,より高次な理解と存在(大我)となる
西田哲学:主体と客体を統一したところに「真の」実在が生まれる
和辻哲郎:人の生き様と環境との融合,一体化=風土
文化心理学とは西洋と東洋の叡智を統合するところに位置する(北山,1997)
5. 文化と自己
・文化的自己観:社会的表象であり,個人的・認知的表象である必要はない
人々によって共有されているところの「自己」とはどのようなものだろうか?
欧米文化:相互独立的自己観が優勢
デカルト:「我思う,ゆえに我あり」
自己とは他者と切り離されて存在する独立した実体
東洋文化:相互協調的自己観が優勢 (相互依存的自己観とも言っていた)
自己とは他の人やまわりのものごとと結びついて存在する(高次の
社会的ユニットの構成要素)
,関係志向的実体
日本(文化)における相互協調とは(北山・唐澤,1995)
:
社会的役割への自主的な同一性(肩書き,メンツ,義理,がまん,”らしさ”, 世間。
。
。
)
対人関係への情緒的関与(人情,思いやり。
。
。)
・文化的自己観:ことわざ比較
SAYING: The nail that sticks out will get a pounding.(Those who stand out are
likely to arouse opposition.)
SAYING(US): The squeaking wheel gets the oil.
能ある鷹は爪隠す(才能,能力を誇示することはよくない)
雉(きじ)も鳴かずば撃たれまい [英訳] The pheasant[fezant] will not be shot if it
keeps quiet. 雉も鳴かないでじっと潜んでいれば、猟師に撃たれることはない。Silence is golden.
沈黙は金なり。Silence gives consent. 沈黙は承諾のしるし。
第 3 回目授業の内容:210408
講義:文化心理学とは何か(前回授業でのやり残し部分)
心理テスト:1)自己観測定,2)食態度測定
授業中の仮題:”小さな夢”への感想
自己観尺度:心理学研究 1995,66,100-106;同 1996,67,308-313
食態度測定質問紙:今田他 2008
休日□290408
休日□060508
第 4 回目授業の内容:130508(予定)
講義:文化心理学とは何か(前々回授業でのやり残し部分)
心理テスト:1)自己観測定の個人結果返却ならびに結果の見方
授業中の仮題:”人生劇場”への感想