形が残る音楽配信の一提案

卒業研究区分:作品
形が残る音楽配信の一提案
―カード型パッケージ―
キーワード:音楽配信,CD,かたち,贈る
コミュニケーションデザイン教育研究分野 05T0171F 宮道 由香里
■背景
CD とは違うアプローチをするべきだと考えた。
近年,iPod などのデジタル携帯音楽プレーヤーの所持率が
増えている。所持していない人の中には,購入したいという人
も多く,今後より普及していくことが予想できる。
■提案
自分の大切な人に「贈る」音楽として,「形が残る音楽配信」
音楽を聴くには,楽曲を購入するという行為が必要となる。
を提案する。自分の気に入った楽曲や,相手に聴いてもらい
楽曲の購入方法として,音楽配信の利用が普及しつつあるが、
たいと思う楽曲など、自分で選び,思いをのせて贈ることがで
現状としては,CD が利用される割合がいまだに高い。しかし,
きる。カードの表面は歌詞の一部を載せ(図1),裏面には音
今後,よりデジタル携帯音楽プレイヤーが普及していくことを
楽配信サイトの URL,ダウンロードのためのシリアルナンバー
考えると,音楽配信の手軽さというのは大きな魅力である。
を記載する(図2)。システムとしては,店頭で音楽配信カード
音楽配信と CD を比較したとき,音楽配信の良い点は「便利・
を購入し,記載された URL にアクセスし,音楽配信サイトでシ
手軽」であること,問題点は「形として手元に残らない」というこ
リアルナンバーを入力,楽曲をダウンロードする。プレゼントを
と,CD の良い点は「形として手元に残る」ということ,問題点は,
する際にも,URL を記載することで,そこにアクセスすると考え
デジタル携帯音楽プレイヤーに音楽を転送する作業のとき
られ,そこで音楽配信カードであると認識できると考える。販売
「手間」が発生することがある。
場所としては,CD ショップだけでなく,メッセージカードなどを
このようなことから,CD と音楽配信の互いの良い点を活かせ
販売するお店,プレゼントを販売する売り場の付近などで販売。
ば,互いの弱点を克服でき,新たな楽曲の購入方法を確立で
このような提案では,販路を拡大することが可能になる。販売
きると考えた。
時には,楽曲ごと,歌詞ごとに,恋愛系のもの,友情系のもの
などジャンルごとに販売する。贈りたい相手によって,さまざま
■目的
な種類から選べるものとする。
今後,デジタル携帯音楽プレイヤーが主となっていく時代に
向けて,音楽配信の「手軽さ」と CD の「形」を合わせ,新しく
「形が残る音楽配信」というものを提案する。
■方法
文献調査,質問紙調査によって,デジタル携帯音楽プレイ
ヤーの利用状況,音楽配信の利用状況,楽曲購入の方法な
どについて調べる。調査結果のもとコンセプトを決定し,提案・
制作する。
図 1 提案するカード表面
図 2 提案するカード裏面
※実際に販売する際には,著作権に関する表示など,配慮す
る必要がある。
■結果
調査の結果,デジタル携帯音楽プレイヤ−は,急速に普及し
■まとめ
てきていることがわかった。また,音楽配信も普及している中,
今回の提案物に対し,「自分の好きな曲を友達に聴いてもら
CD の良さを推す人が多く,形が存在することは、思い出として
いたいと思うときに利用したい」,「プレゼントするときに添えた
残ると考える人が多いことがわかった。音楽配信が普及するこ
い」という前向きな意見も得られ,形が残る音楽配信は有効で
とにより,楽曲を大量に所持することが可能になり,楽曲に対
あると考えられる。そのデザインに関しては,利用用途や販売
する思いが薄れてしまうことを嫌う人もいた。そのことから,形
場所に応じた提案をしていく必要があるだろう。
だけではなく CD ならではの良さ,「思い」や「思い出」に着目
するべきだと感じた。しかし、歌詞カードやジャケットが欲しい
ならば,CD を購入すると考えられ,提案するにあたっては,