6 附帯する業務 - 独立行政法人 日本芸術文化振興会

Ⅱ
6
国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する
目標を達成するためとるべき措置
附帯する業務
6−(1) 教育普及事業
○中期計画
伝統芸能の保存振興及び現代舞台芸術の振興普及を図るため、次の事業を実施する。
ア 講座、公演記録映像の鑑賞会等の実施
イ 参加者数の確保、アンケート調査の実施
ウ デジタル技術の活用による舞台芸術教材の作成、文化デジタルライブラリーの整備、インターネット
による配信
○年度計画
(1)-1 講座等の実施(目標参加者数:5,000人)
講座、公演記録映像の鑑賞会等を実施。
アンケート調査の回答者の70%以上から有意義であったと回答されるよう、内容等の充実に努める。
(1)-2 教育普及を目的としたデジタルコンテンツの作成
① 収集した図書資料等を活用し、デジタル技術により教育普及を目的としたコンテンツを作成する。
・舞台芸術教材「文楽編その1」
・舞台芸術教材「演目解説 妹背山婦女庭訓」
② 作成したコンテンツをインターネットにより小・中学校等教育機関へ配信する。
③ 文化デジタルライブラリーへの目標アクセス件数:30,000件
○実績
1.講座等の実施
(1) 伝統芸能及び現代舞台芸術に関する理解の促進と普及を図るための講座等
名 称
回数
参加者数 有意義であったとの回答割合
伝統芸能講座「歌舞伎」(本館)
6回
681人
平均86.1%
芸能資料関連講座(本館)
3回
168人
平均87.6%
公演記録鑑賞会(本館)
12回
828人
平均80.0%
能楽鑑賞講座(能楽堂)
12回
2,133人
平均88.9%
公演記録鑑賞会(文楽劇場)
12回
1,711人
平均89.8%
オペラを楽しむ集い(舞台美術センター資料館)
1回
84人
98.1%
合 計
46回
5,605人
平均88.4%
目 標
5,600人
70.0%
※上記とは別に舞台美術センター資料館(銚子市)の視聴覚室において「DVDオペラ鑑賞会」を8回
実施、参加者数は合計132人であった。
(2) 公演内容に対する理解の促進を図るための講座等
名 称
回数
参加者数
オペラトーク
7回
718人
シアタートーク(バレエ・現代舞踊・演劇)
7回
2,240人
2.デジタルコンテンツの作成等
(1) デジタルコンテンツの作成
デジタル技術により教育普及を目的としたコンテンツを次のとおり作成し、3月からインターネッ
トにおいて配信を開始した。
・舞台芸術教材「文楽編 その1」
・舞台芸術教材「演目解説 妹背山婦女庭訓」
(2) インターネットによる配信
① 配信実績
文化デジタルライブラリーとして、インターネットを通じて学校教育機関や一般へ配信した。
アクセス件数:44,438件(目標30,000件)
② 活用事例
・芸術鑑賞教室(歌舞伎)の事前指導で利用した。
・音楽や総合学習の授業の中で、和楽器を調べたり、隈取や見得の説明に利用した。
・大学のゼミ発表で、演目解説コンテンツを部分的にプロジェクターで見せた。
・社会教育(演劇の歴史)の現場で、演目解説コンテンツの中の素材を使用して解説を行った。
127
③
広報・告知等
パンフレットを国立劇場の各施設に設置したほか、教育関係の業界紙への広告掲載、全国の小・
中・高等学校(約15,000校)へのメール配信により、文化デジタルライブラリーの周知を行った。
④ 教育現場のニーズの把握
文化デジタルライブラリーについての周知の際、アンケートを添付し、教育現場における要望等
意見の聴取に努めた。
(意見の例)
・日本の伝統的な舞台芸術との対比で、西洋の音楽や舞台芸術のライブラリーも欲しい。
・小学生向けの「ジュニア」モードと中高生から一般向けの「通常」モードを用意して欲しい。
・映像やアニメを使用した動きのある部分とシンプルなテキストと画像で構成される部分とが両
立するようなコンテンツにして欲しい。
・地方でも本物に接する機会を多く作って欲しい。
・教育現場の多様な目的に応えられるよう、舞台芸術教材を質・量ともにもっと充実させて欲しい。
【講座等の実施状況】
実績46回/計画46回(達成度100.0%)
【講座等の参加者数】
実績5,605人/目標5,600人(達成度100.1%)
【講座等の参加者の満足度】 実績88.4%/目標70%
【舞台芸術教材の作成状況】 実績2件/計画2件(達成度100.0%)
【文化デジタルライブラリーへのアクセス状況】 実績44,438件/目標30,000件(達成度148.1%)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
伝統芸能講座は毎回抽選となるほど盛況であり、アンケート結果も各講座とも「有意義」との回答が
80%を上回る充実した状況である。能楽鑑賞講座は能楽普及の一助として人気があり、アンケートでも
「今後も参加を希望する」との回答がほとんどで、それぞれ多彩な講師陣に対し好感を持って聴講して
いるものと思われる。オペラを楽しむ集いは、「有意義」との回答が90%以上あった。また、DVDオペラ
鑑賞会は徐々に参加者が増えており、外部専門家からも「オペラの普及に大変有意義なのでぜひ続けて
ほしい」との声があり、今後とも継続していきたい。また、オペラトーク・シアタートークは販売の促
進及び公演内容の理解に寄与しており、今後とも継続していきたい。
舞台芸術教材コンテンツの制作は5年目をむかえ、著作権など制約が多いなかにも、技術面での工夫
が加えられ、動きのあるコンテンツ作りが定着してきた。今後も教育現場の声を踏まえ、質・量ともに
充実していきたい。
【見直し又は改善を要する点】
公演記録鑑賞会は、開催日時や番組について様々な意見が寄せられており、今後ともより多くの人に
満足してもらえるよう、参加者の声も踏まえ検討していく必要がある。また、初期の公演記録をより良
いコンディションで鑑賞に供するために、公演記録素材のデジタル化が急がれる。能楽鑑賞講座につい
ては、良好な環境と適正な人数で開催できるよう、17年度より応募方法を検討したい。
オペラを楽しむ集いは参加者数が目標を下回った。今後は開催時期の見直しや広報のさらなる充実を
図っていきたい。DVDオペラ鑑賞会はより一層参加者が増えるよう広報を充実させるとともに、オペラ
以外も鑑賞できるようにする。
【15年度評価結果への対応】
文化デジタルライブラリーに関して、「コンテンツの充実(文部科学省)」という意見については、歌
舞伎・文楽以外の「邦楽」や「バレエ」等現代舞台芸術のコンテンツを今後作成し、多様化と充実を図
ることとした。また、「広報活動の充実(文部科学省)」という意見については、パンフレットの配布、
全国の教育機関へのメールの配信等多様な手段による広報活動に努めた。
「今日の社会情勢等を踏まえた新たな着想・展開が必要(文部科学省)
」
「現代舞台芸術の講座等が少ない
(文部科学省)
」という意見については、アンケート結果を踏まえた実施計画を立案するとともに、DVDオペ
ラ鑑賞会の定例化、新たに現代舞台芸術入門講座、能楽列品講座などを検討・実施することとした。
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6−(2) 広報活動の充実
○中期計画
広報誌を定期的に刊行するとともに、ホームページにおける公演情報等を充実させ、伝統芸能、現代舞
台芸術についての国民の理解促進、情報入手等に寄与する。
また、事務の効率化・簡素化等を進め、ホームページへの情報の掲載に要する期間を7日以内とすると
ともに、年間アクセス件数を平成14年度の実績(約77万件)以上とする。
○年度計画
① 次のとおり、広報誌を定期的に発行・配布する。
・
「日本芸術文化振興会ニュース」(毎月)
・
「芸術文化振興基金」(年1回)
・
「ステージノート」(毎月)
② 引き続き、ホームページにおける公演情報、チケット発売情報等、提供する情報の充実及び迅速
化に努める。
・ホームページへの情報の掲載に要する期間の目標:7日以内
・目標アクセス件数:770,000件
○実績
1.広報誌を次のとおり発行・配布した。
・
「日本芸術文化振興会ニュース」(毎月発行)
・
「ステージノート」(毎月発行)
・
「独立行政法人日本芸術文化振興会概要」(16年5月作成)
・
「新国立劇場要覧」(16年6月作成)
・
「独立行政法人日本芸術文化振興会要覧」(16年5月作成)
・
「独立行政法人日本芸術文化振興会概要(英語版)
」(16年10月作成)
・
「独立行政法人日本芸術文化振興会概要(独語版)
」(17年2月作成)
・
「新国立劇場年報 平成15年度」(16年10月作成)
・
「芸術文化振興基金No.19」(16年6月作成)
・
「独立行政法人日本芸術文化振興会年報 平成15年度」(17年1月作成)
2.ホームページの運用
① アクセス件数・情報更新日数
区
分
アクセス件数
情報更新日数
日本芸術文化振興会ホームページ
478,127件
3.0日
新国立劇場ホームページ
774,387件
2.7日
合計・平均
1,252,514件
2.8日
目
標
770,000件
7.0日
② ホームページの主な充実内容
(振興会ホームページ)
・必要な情報にアクセスしやすいよう、各館ごとのトップページを設けるなどホームページの全面的リ
ニューアルについて、検討・準備を進めた。
・能楽・文楽のユネスコ世界無形遺産登録にあわせ、理解の促進を目的とするコンテンツ「能楽への誘
い」「文楽への誘い」を作成・掲載した。
・チケット販売促進のため、7月の親子鑑賞教室インターネット予約のためのバナーを作成した。
(新国立劇場ホームページ)
・「新国立劇場について」「オペラ入門」「舞台美術センター」「リンク・著作権等について」「新国立劇
場バレエ団」(日本語版、英語版)を新たに掲載した。
・
「サイト内検索」機能を追加した。
・
「公演のご案内」ページに研修公演を追加した。
【ホームページ情報掲載所要日数】
【ホームページへのアクセス状況】
実績2.8日/目標7.0日
実績1,252,514件/目標770,000件(達成度162.7%)
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○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
ホームページについては、アクセス件数、情報更新日数ともに目標を大きく上回った。
振興会ホームページはより見やすいものとするため各館毎のページを作成するなど、17年度中の新た
なホームページリリースの準備が進んだ。
新国立劇場ホームページについては、「サイト内検索」機能の追加、「来場のお客様へ」から「交通の
ご案内等」への名称変更など、より使いやすいものとすることができた。「新国立劇場について」「舞台
美術センター」「新国立劇場バレエ団」などの紹介ページを新たに掲載し、新国立劇場に対する理解を
深める機会を提供できた。
【見直し又は改善を要する点】
広報誌については、今後も見やすさ使いやすさに留意し興味深い紙面づくりに努める。
振興会ホームページについては、迅速かつ正確な情報を興味深いものとして伝えるべく、内容、運営
体制についてさらに検討を進める。
新国立劇場ホームページについても、16年度に引き続き、英語版ページの情報量の充実を図る。
【15年度評価結果への対応】
「何の公演が行われているかを、一般の人が身近に知る機会が未だ少ない(文部科学省)」「さらなる
広報の多様化が望まれる(文部科学省)」という意見については、ホームページに劇場ごとのトップペ
ージを設け公演情報を見やすくするなどの改善を検討し、17年度にリニューアルすることとした。また、
メールマガジンの発行を行う予定である。
130
6−(3) 交流事業の実施
○中期計画
我が国における伝統芸能及び現代舞台芸術の理解の促進、活性化等に資するため、必要に応じて、特に
組踊等沖縄伝統芸能の保存振興について、国内外の芸術関係団体等による公演芸能・舞台芸術に関する講
演会等交流事業の実施に努める。
○年度計画
海外の舞台芸術関係者を受け入れるなど、海外との交流を実施する。
○実績
1.交流公演の実施
・
「日韓芸能交流公演−スーパー神楽とコリアン・ファンタジー−」
4月9日∼10日、2回、本館大劇場
・
「日韓友情年2005 日韓芸能交流∼文楽とパンソリ∼」
1月29日∼30日、国立国楽院礼楽堂(ソウル)
3月3日∼4日、2回、本館小劇場
・国立劇場おきなわ11月企画公演「アジア・太平洋地域の芸能<獅子舞の競演>」(韓国)
11月6日∼7日、3回、国立劇場おきなわ大劇場
2.外国の芸能関係者の来場、見学等
・国立劇場(本館・能楽堂・文楽劇場) 21件81名
(主な来場者)韓国国立中央劇場、シンガポール・ナショナル・アーツ・カウンシル、
フィンランド国立劇場、エジプト文化省、韓国パンソリ振興会ほか
・国立劇場おきなわ 5件49名
(主な来場者)中華人民共和国福建省泉州市代表団、中華民国国務大臣ほか
・新国立劇場 25件114人
(主な来場者)北京人民芸術院、パリ国立高等音楽院、韓国文化芸術振興院、ソウル文化財団、
AAPPAC事務局、日独演劇教育ワークショップほか
3.研修事業の実施等
・韓国舞台技術者研修事業の実施(新国立劇場)
15年度より韓国舞台技術者2名(韓国芸術の殿堂、韓国国立劇場から舞台監督各1名)を招聘し4
月13日まで実務研修を実施。交流の一層の発展に資するため、「日韓舞台用語集」を作成
・文化庁海外芸術家研修制度による韓国研修員の受け入れ(新国立劇場)
韓国の舞台技術専門家2名を10月3日から11月25日まで受け入れ実務研修を実施
・アジア太平洋パフォーミングアーツセンター連盟(AAPPAC)への参加(新国立劇場)
アジア太平洋地域の主要な総合芸術文化施設(14カ国29施設・団体)で構成されるAAPPACに9年以
来加盟しており、年次総会への出席など情報交流活動を実施。8月30日に同連盟事務局長の訪問を受
け入れた。なお、年次総会は16年度内には開催されなかった。
・日独舞台芸術交流(国立劇場)
「日本におけるドイツ2005/2006」に併せ、独語版概要を作成するなど交流推進の準備作業を行った。
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
今年度も海外からの視察見学・訪問等を数多く受け入れ、相互に意義深い意見交換ができた。研修事業の
実施に当たっては、韓国側の「日本の舞台監督のシステムを学びたい」という具体的なニーズを把握し、受
け入れ体制の整備により、事業の成果を高めることができた。また、海外からのTV局、ラジオ局などの取材
においても、公演取材に関する著作権問題等に対し可能な限り対応し、協力体制をとることができた。
【見直し又は改善を要する点】
「公演の実施に留まらない、幅広く多様な国々との交流(文部科学省)」
「受入・派遣が相互に実施(文
部科学省)」という意見については、今後も交流公演に積極的に取り組むほか、海外劇場関係者の受入
れや意見交換の場を積極的に設けていくなど、相互の交流に努めていくこととした。また、17年度に日
独の芸術分野の指導者による相互交流事業の実施を予定しており、そのための準備作業を進めた。
131
6−(4) 劇場利用者等へのサービス
○中期計画
ア 観劇環境の整備
イ 外国語による利用環境の整備
ウ チケットの販売システムの整備等
エ 会員組織の充実、会員に対するアンケート調査の実施等
オ 公演内容等の説明会、施設の見学等の実施
カ イヤホンガイド、字幕表示の導入
キ 劇場利用者の要望・苦情への対応
ク 売店やレストラン等におけるサービスの充実
○年度計画
① 車椅子席の設置、劇場内の設備及び各種表示の改善等、高齢者、身体障害者を含めた劇場利用者に対
する環境の整備
② 英語によるパンフレットの作成、案内表示の整備、場内放送、イヤホンガイドの充実等
③ チケットセンター及び文楽劇場のチケット販売・管理システムを統一するための準備の実施
インターネットによる販売の促進
④ 会員サービス
会報の発行、会員向け催事の実施、目標会員数:36,650人
⑤ 公演内容の実施、施設見学の受け入れ
⑥ ボランティア(
「文楽応援団」)による展示の解説の実施
本館及び能楽堂におけるボランティアの活用に関する検討
⑦ イヤホンガイド、字幕表示の導入による観客の公演内容の理解の促進
⑧ 苦情・要望等への対応、対応状況の把握・管理、職員への周知の実施
⑨ 売店やレストラン等のサービスに関する劇場利用者へのアンケート調査等の実施
○実績
1.観劇環境の整備
(1) 施設・設備の整備実績
・
「国立劇場託児室」の設置(本館)
16年11月歌舞伎公演より開設。歌舞伎及び文楽公演開催時に営業。
11月から3月までの6公演で67日間営業し、90人の利用者があった。
・大劇場1階上手に多目的トイレを設置(本館)
・楽屋玄関ホールのスロープ化(能楽堂)
・トイレに手すり・棚等を設置(文楽劇場・国立劇場おきなわ)
・受動喫煙防止のため、灰皿の徹去・喫煙所の整備を行い、分煙を図った。(全館)
・劇場周辺の美化のため、のぼり旗を設置(本館)
・すべての案内表示を2ヶ国語表示に改修(能楽堂)
・トイレ、段差解消機等のサイン表示を増設(国立劇場おきなわ・新国立劇場)
・「観客の視点に立った観劇環境の醸成」を図るための検討チーム(新国立劇場アメニィテイ検討チ
ーム)を設置し、具体的な提案を取りまとめた。
(具体的な対応)オペラ劇場ホワイエ等に長椅子・丸テーブルを増設
小劇場ロビー・ホワイエの照明照度の改善
小劇場階段手すりの延長
館内備品の整備
・監視カメラ(ITVカメラ)の機能強化(新国立劇場)
(2) その他
・初春歌舞伎公演に際しロビーで鏡開きや太神楽を催し、客席で獅子舞や手拭い捲きを実施(本館)
・民俗芸能公演などに際し、ロビーにおいて地元物産販売を実施(本館・文楽劇場)
・東京オペラシティと共催で「サマーフェスティバル」を実施(新国立劇場)
132
2.外国語への対応
・プログラムに英文作品解説・梗概を掲載(本館)
・英文解説プリント、英語パンフレット、英文能・狂言入門解説リーフレットの作成・無料配布
(能楽堂・文楽劇場)
・英語版イヤホンガイドサービスの提供(本館・文楽劇場)
本館:歌舞伎5公演、文楽4公演で実施
文楽劇場:11月文楽公演で試験的に実施、1月文楽公演より導入開始
・案内表示を日・英の2ヶ国語表記に整備(能楽堂・文楽劇場・国立劇場おきなわ)
・英語の場内アナウンスを新たに実施(文楽劇場)
・文楽紹介用タッチパネル式情報端末(日・英・仏3ヶ国語対応)の活用(文楽劇場)
・英語版パンフレットの作成(国立劇場おきなわ)
・英語版「日本芸術文化振興会概要」を作成
・日本におけるドイツ年に合わせ、新規に独語版「日本芸術文化振興会概要」を作成
・英語版「平成15年度年報」の発行(新国立劇場)
・英語版の公演案内・公演カレンダーを作成、シーズンブックに英語表記を付加(新国立劇場)
・上演時に英語対応のできるスタッフをおいた(新国立劇場)
3.チケットセンターの充実、インターネット販売の促進
(1) チケット販売・管理システムの統一のための準備
チケットセンター(東京)と文楽劇場チケット販売・管理システム(大阪)を統一するためのシス
テム改修・整備を進めた。17年7月公演より新システムが本格稼動する予定である。
(2) インターネット販売の促進
今年度も外部業者に委託し、歌舞伎、文楽公演のチケットをインターネットにより販売した。販売
実績は以下のとおりである。
ジャンル
公演数
販売枚数
歌舞伎
7
4,691枚
文楽
6
3,033枚
親子歌舞伎
1
7,918枚
合 計
14
15,642枚
4.会員組織によるサービス
(1) 会員サービスの実施
各会員組織において、チケットの先行販売、割引販売のほか、会報の発行等各種サービスの提供
を実施した。新国立劇場においてはインターネットでの先行予約受付を実施した。
① 会報の発行
・
「あぜくら」(毎月25日発行)
・
「文楽劇場友の会会報」(4・5・7・9・11・2月の年6回発行)
・
「国立劇場おきなわ友の会会報」(7月、10月、12月、3月の年4回発行)
・
「ジ・アトレ」(毎月発行)
② 会員向け催事
【あぜくら会】
・10月歌舞伎公演「伊賀越道中双六」に因む催しとして、「歌舞伎へのいざない」を開催
8月23日(月)午後6時 本館大劇場
座談会「"鍵屋ノ辻の仇討"をめぐって」(中村鴈治郎・一龍斎貞水・池宮彰一郎)
映画上映「伊賀の水月(剣雲三十六騎)」(1942年大映)
【文楽劇場友の会】
・文楽劇場開場20周年を記念して、「観劇スタンプラリー」を実施
4・7・11月の3回の文楽公演をすべて観劇した会員に記念品(マグカップ)を贈呈(参加674人)
・
「文楽のつどい」を4回実施(目標4回程度)
7月14日(水) 文楽劇場小ホール 参加178人
10月28日(木) 文楽劇場 参加633人
12月8日(水) バスツアー「七福神ゆかりの地見学ツアー」 参加45人
3月25日(金) 文楽劇場小ホール 参加150人
133
【国立劇場おきなわ友の会】
・鑑賞を伴う組踊解説会1回(12月実施)
【クラブ・ジ・アトレ】
・オペラ、舞踊の芸術監督によるシーズンの公演紹介(シーズントーク2/19、中劇場)を実施
参加者:オペラ100人、舞踊50人
(2) 在籍者数(3月末現在)
会員組織
在籍者数
目
標
利用件数
あぜくら会
15,191人
14,750人
81,902件
文楽劇場友の会
7,016人
6,900人
21,534件
クラブ・ジ・アトレ
14,532人
15,000人
77,055件
小 計
36,739人
36,650人
180,491件
国立劇場おきなわ友の会
774人
−
628件
合 計
37,513人
−
181,119件
(3) アンケート調査の実施
クラブ・ジ・アトレにおいて、休眠会員(購入したことのない会員)を対象に、購入しない理由・
今後の継続希望などのアンケートを実施した。
5.公演説明会、見学会等の実施
(1) 公演説明会の実施
鑑賞団体に対して、制作担当職員等が演目・鑑賞のポイント等を解説する公演説明会を次のとおり
実施した。
本館・演芸場
112件 5,871人(歌舞伎:67件3,967人、文楽:45件1,904人)
能楽堂
11件
582人
文楽劇場
30件 1,845人
国立劇場おきなわ
8件
14人
新国立劇場
5件
139人
合 計
166件 8,451人
(2) 施設見学の実施
鑑賞団体、小中学校、その他希望者の施設見学を次のとおり受け入れた。
本館・演芸場
13件
144人
能楽堂
15件
137人
文楽劇場
4件
63人
国立劇場おきなわ 248件 4,835人
新国立劇場
57件
832人
合 計
337件 6,011人
(3) バックステージツアーの実施
一般を対象としたバックステージツアーを実施した。
国立劇場おきなわ
5回
190人
新国立劇場
57回 1,027人
合 計
62回 1,217人
(4) ボランティアによる展示解説(文楽劇場)
「文楽応援団」ボランティアによる文楽・展示の解説案内を行った。
・文楽公演中1日平均:解説員10人、観客222人
【特記事項】
国立劇場おきなわでは、夏休み子供向けバックステージツアーを実施(2回実施、参加137人)、会員
サービスのため友の会会員を対象とした見学会も実施した。
新国立劇場では、「子どものためのオペラ鑑賞会」にあわせ、子どもを対象とした「中劇場探検ツア
ー」(4回実施、参加109人)を実施した。
6.ボランティアの検討
(1) ボランティアによる展示解説(文楽劇場)
「文楽応援団」として63人(3月末現在)のボランティア登録があり、資料展示室において文楽公
演期間中に、文楽・展示の解説案内を行った。
134
・文楽公演中1日平均:解説員10人、観客222人
(2) 本館及び能楽堂における検討
業務効率化等に関する検討会において検討を行い、その検討結果を受けて、ボランティア導入の試
行として職員による国立劇場内部見学会を下記の通り実施した。
日時:12月8・16日歌舞伎公演終了後(16:40から1時間程度)
ボランティア導入の検討並びに観客サービスのため、国立劇場内部見学会(舞台、情報館、本館展
示室)を12月歌舞伎公演終了後、8日、16日の2日間において、職員によって実施。参加者誘導時の
問題点を検証した。
7.イヤホンガイド、字幕表示の導入
(1) イヤホンガイドサービスの提供
ジャンル
実施公演数
内
訳
歌舞伎
7公演 教室を含む全公演(英語版も同様)
文楽
10公演 教室を含む全公演(英語版は本館5公演と文楽劇場2公演)
能楽
1公演 能楽鑑賞教室で試行
(2) 字幕表示
ジャンル
実施公演数
内
訳
歌舞伎
1公演 7月歌舞伎鑑賞教室
文楽
6公演 12・1・2月公演、7月公演(部分実施)、6・12月鑑賞教室
舞踊
4公演 9・10・11・3月公演
邦楽
4公演 7・10(琵琶の会・素浄瑠璃の会)・1月公演
声明
1公演 10月公演
特別企画
2公演 5・6月公演(新進舞踊・邦楽)
沖縄伝統芸能
30公演 すべての自主公演
オペラ
14公演 すべてのオペラ公演
【特記事項】
イヤホンガイドを能楽鑑賞教室で試験的に導入。3,500台の利用があった。
英語版イヤホンガイドを文楽劇場11月文楽公演で試行し、1月文楽公演より本格導入した。
文楽公演において字幕表示を17年1月以降すべて公演で実施することとした。
8.要望・苦情への対応
(1) 要望・苦情等受付体制
・各劇場に「ご意見箱」を設置
・ホームページに「ご意見・ご感想欄」(国立劇場)、「ご意見箱」(新国立劇場)を設置
・公演等アンケート調査の実施
・電話等による意見、要望、苦情の受付
(2) 要望・苦情等及び対応の状況
① ご意見箱 461件
寄せられた意見については、集計の後、関係部署へ回覧し事業への反映を図った。住所等記載の
あるものは都度回答した。(回答4件)
② ホームページの「ご意見・ご感想欄」(149件)「
・ ご意見箱」(245件)
寄せられた意見については、決められた連絡・責任体制に従って関係部署と協議等行い、迅速な
対応を図るとともに、必要に応じて回答した(回答84件)。
③ 主な対応事例
・受動喫煙を防止するため、灰皿の撤去・喫煙所の設置場所変更を行った。
・売店で缶コーヒーのほかに新たにレギュラーコーヒーの提供を始めた。
・トイレの案内表示について改善を行った。
・小劇場から食堂(2階)・喫茶(3階)へ行くためのエレベーターについて設置を検討した。
・ホームページに公演タイムテーブルを掲載した。
9.売店、レストラン等の充実
食堂・売店に関するアンケートを、本館(公演アンケートと同時・12回実施)、能楽堂(10・2月の
2回実施)、文楽劇場(1月1回実施)、新国立劇場(常時設置と公演時実施10回)の各館において適宜
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実施し、アンケート結果及びご意見箱に寄せられた観客の声を踏まえ、食堂・売店とのミーティングを
実施し、可能な限り対応を依頼した。
(主な対応)
・缶コーヒーのみでなくレギュラーコーヒーの売店販売を開始(本館)
・短時間で用意できるメニューを新たに追加(能楽堂)
・売店において能楽に関したものだけでなく、価格的に求めやすい商品を増加(能楽堂)
【特記事項】
国立劇場おきなわにおいては、16年9月より食堂・売店の運営業者が変更となったが、稽古・公演時
の弁当の販売、自動販売機の設置等、利用者の利便性の向上に努めている。
【会員数の確保】
実績36,739人/目標36,650人(達成度100.2%)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
観劇環境の整備・外国語対応
今年度より「国立劇場託児室」を開設し子育て世代にも来場しやすい環境を創り出すことができ、ま
たメディアでも多く取り上げられ、大きな反響を呼んだ。17年度以降も託児室を継続し、より使いやす
い環境となるよう整備を続けていく予定である。待ち合わせ場所として利用の頻繁な共通ロビー・休憩
コーナーを禁煙としたことで、利便性が向上した。
文楽劇場において、英語によるイヤホンガイドサービスの提供を開始し、外国人観客に対しより質の高い
サービスの提供することができた。
チケットセンターの充実・インターネット販売
チケット販売・管理システムの統一により、チケットの電話受付窓口が一本化されることとなった。
ナビダイヤルの利用により全国一律市内電話料金でサービスが受けられることとなる。また、東京と大
阪それぞれに必要であったシステムの運営経費の節減など業務の効率化が図られる。7月の「親子で楽
しむ歌舞伎教室」において、インターネットによる販売が効果的であった。
会員組織によるサービス・公演説明会等・ボランティア
あぜくら会、文楽劇場友の会において会員が増加し、全体として目標を達成することができた。文楽劇場
友の会のスタンプラリーも好評であった。国立劇場おきなわ友の会は、自主目標を設定(500人)し営業に
努めたところ、目標を上回る629人の新規会員を得た。クラブ・ジ・アトレは、15年度末と比べ188人増加し
た。会員を中心に販売したシーズンセット券は好評な売れ行きで、公演実施の大きな底力となっている。
レクチャー、舞台見学、バックステージツアーの実施は、希望団体・希望者も多く集客に大きく寄与
している。団体見学を契機としてチケット購入や会員組織への入会が促進され、業務成績向上へ繋がっ
た。修学旅行の1コースとしても浸透してきており、大学におけるデジタルアーカイブ研修の一環とし
ての伝統芸能情報館の見学など新たなニーズも見られた。
人形解説や施設見学の受け入れは、文楽劇場事業の理解促進に大いに役立っている。また文楽応援団は更
に活動が充実し、文楽公演中の展示解説は観客に大好評であった。ボランティアの検討に当たって、本館で
実施された見学会の試行は、参加者誘導の問題点を明確に出来たことに加え、参加者のニーズを直接聞くこ
とができ有益であった。
イヤホンガイド・字幕表示
国立劇場においては、イヤホンガイド、字幕表示の浸透、定着が見られ、初心者等の鑑賞に大きな手
助けとなっている。能楽堂においても鑑賞教室で試験的にイヤホンガイドの提供を行ったが、予想を超
える利用数があり、内容もよく練られていると観客の反応は良好であった。字幕表示について、能楽堂
の特殊な舞台構造を勘案し、個別の字幕表示装置の導入について検討を開始し、海外劇場の視察等調査
を実施した。
要望・苦情への対応
各館に寄せられた要望・苦情等に対して館内LANにより情報を共有したことによって、各館の問題意
識の共有並びにサービスの均質化及び向上への契機になった。また、観客の意見に対し速やかに対応し、
改善の検討など適切な対応ができた。また、新国立劇場においては、ホームページに「ご意見箱」を開
設したことにより、幅広い意見が寄せられるようになった。
売店・レストランの充実
売店・レストランの充実については、アンケートによる利用者のニーズの把握、業者への情報提供に
より、対応が進んだ事は大きな成果であった。一例として本館の各売店でのコーヒー販売は観客から大
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変好評を得ている。新国立劇場においては、業者との連絡会議を毎月定期的に開催することにより、劇
場に寄せられた食堂・売店に関する指摘が反映される体制が整った。
【見直し又は改善を要する点】
観劇環境の整備・外国語対応
国立劇場本館においては、観客からの要望を踏まえ、終演時の劇場バスに関する表示、休憩時間を知らせ
る表示について検討中である。新国立劇場においては、観客の視点に立った観劇環境の醸成を図るための方
策についてさらなる検討を進め、今後とも実現できるものから順次改善する。また、館内における外国人向
けの案内表示を引き続き整備していく。英語以外の外国語への対応についても引き続き検討する必要がある。
チケットセンターの充実・インターネット販売
インターネット販売をより効果的に実施するため、販売業者への委託によらず、独自のシステム整備
について検討する必要がある。
会員組織によるサービス・公演説明会等・ボランティア
あぜくら会においては、文楽公演など一部チケットが購入できないとの苦情が多くあり、これを解消
するためチケットの配分枚数を見直す一方で、割引率の見直し(2割→1割)や会員向け催事の増加や
会報の紙型変更などサービスの充実について検討し、17年度より実施することとした。
クラブ・ジ・アトレは会員数が目標に達しなかったため、チケットの購入状況等を考慮しながら、引
き続き会員増に努める。セット券以外の会員のチケット購買数は横ばい状態であり、購買数増のため、
会員向けイベントの実施、簡便な購入方法の取り入れなどの検討が必要である。
本館におけるボランティアの活用については、2回の試行結果を踏まえ、17年度以降の実施に向け引
き続き検討を行う。
イヤホンガイド・字幕表示
字幕表示については、鑑賞の妨げとならないよう表示方法等について充分に検討し、工夫する必要がある。
売店・レストランの充実
売店・レストランについては、引き続きアンケートを実施し、今後の事業への反映に努める必要があ
る。国立劇場おきなわの楽屋食堂は、利用が少なく、経営が困難な状態にあるため、運営財団と協力を
して対応していく必要がある。
【15年度評価結果への対応】
イヤホンガイドに関し「外国人に対する我が国の芸能・芸術の理解にも貢献するもの(文部科学省)
」という意
見については、文楽劇場文楽公演において英語版イヤホンガイドサービスの提供を開始し、活用促進を図った。
「インターネット販売の早急な拡充(振興会)」という意見については、文楽劇場文楽公演について
1月からインターネット販売を開始した。
「会員の増加についての検討(文部科学省)」「会員サービスの充実(振興会)」という意見について
は、チケット配分枚数の見直しや会員向け催事の増加、会報の充実など、会員サービスの向上について
検討し、17年度より実施することとした。
「理解を促進するための字幕表示及びイヤホンガイドの活用促進(文部科学省)」という意見につい
ては、鑑賞の妨げとならないよう配慮しながら、引き続き導入を推進することとした。
「劇場空間の在り方について、人が自然に集うような工夫、楽しさの演出(振興会)」という意見に
ついては、のぼり旗等の設置による美化や催し物の開催など検討・実施した。また、新国立劇場では検
討会を設置し具体的な方策について検討・実施した。
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