(1) MRIのハードウェア

MRIのハードウェア
MRI装置
磁場の強さによる分類
1.0T、1.5T
高磁場装置
0.5T
中磁場装置
0.15T、0.2T、0.3T
低磁場装置
*磁場の単位T=1テスラ=10000ガウス
*地磁気の強さ 0.4~0.6ガウス
一般に、磁場が強いほど、より良い画像が、より短時間
に撮像できるが、装置の購入価格も高くなる。(1~4億
円)また、磁気、電波を使用するため、外部から、および
外部への影響を防ぐ為に、検査室内は、磁気・電波
シールド材を使用している。(数十トンの重さ)
MRIとは
名称
MRI(Magnetic Resonance
Imaging)
磁気共鳴画像
NMR(Nuclear Magnetic
Resonance)
核磁気共鳴
MRA(MR Angiography)
磁気共鳴血管(流)画像
MRS(MR Spectroscopy)
磁気共鳴スペクトロス
コピー
原理
・体内には無数の水素原子核(=プロトンproton)があり、個々
のプロトンは小さな磁石と同じである。
・強い静磁場の中にプロトンをおくと、一斉に縦方向に整列する。
・一定の周波数の電波を照射すると、プロトンが横向きに倒れ
る。(=共鳴現象)
・外部の電波を切ると、電波を出しながらプロトンが戻ってくる。
(=緩和現象)
緩和の速度は、組織により、また病変により異なる。
・この電波を分析すると、緩和の速度を知ることができ、これを
画像の白黒に反映させて診断する。
磁石の種類による分類
電
磁
石
超伝導磁石
(高.中磁場)
液体ヘリウムが必要である。
常伝導磁石
常時大電流を流す必要がある。
永久磁石
温度による磁場変動が大きく常時
温度を一定に保つ必要がある。
MRIに必要な3要素
静磁場
回転するプロトン
に歳差運動をさ
せる
ωφ = γBφ
傾斜磁場
(x,y,z)
位置情報をencode
するため
電磁場
(電波、RF)
信号を生成するため
永久磁石
0.3T以下の磁場強度で用いられる
長所
・値段が安い
・ラン二ングコストも低い
・漏洩磁場が少ない
短所
・磁場強度が弱い(<0.3 T)
・非常に重い
・移動式にならない
長所:
・値段が安い
・コイルの保守が容易
・軽い
・停止することが可能(使用中以外は、
電力を節約するため運転を停止する)
複数の電線のループから
なる非常に大きな電磁石で
ある。0.2T以下の磁場強
度でもっともよく用いられる。
短所
・電力消費が大きい
・水冷が必要
・漏洩磁場が大きい
長所:
・値段が安い
・コイルの保守が容易
・漏洩磁場が少ない
・停止することが可能
短所:
・電力消費が大きい
鉄心の磁石は重い永久 ・水冷」が必要
磁石と、軽い空心の電磁
石との中間のものである。 ・磁場強度が不安定になる可能
性あり
超伝導磁石
高磁場のシステムはすべて、
超伝導の磁石を使っている。
長所:
・高磁場
・均一性が高い
・電力消費が少ない
・S/N比が高い
・撮像時間が短い
短所:
・値段が高い
・冷媒(ヘリウム)が高い
・モーションアーチファクト
・騒音
傾斜磁場コイルの役割
z位相の差の発生
z周波数の差の発生
画像情報の位置(3次元空間)決め
スライス位置(z)、スライス上の特定位置(x,y)
ボリューム(体積)コイルの代表的形状
サーフェイスコイル
(表面コイル)
Phased-Array Coil
信号検出感度を広い領域
にわたってカバー
単一の表面コイルではカバー
できない領域を複数のサーフェ
イスコイルを併置する。
クアドラチャRFコイル
互いに直交する2組のコイルを同時に用いる。それぞれ
のコイルで受信(信号検出)の後、一方の信号の位相を
90°ずらして、もう1つの信号に加算する。したがって、
信号のSNRは√2倍上昇する。
MRI使用上の注意
z心臓ペースメーカ装着者、脳動脈瘤クリップの
ように強磁性体でできた体内異物がある人は使
用できない。
z金属製品(ヘアークリップ、はさみ、ナイフ等)
はMRI室に持ち込まない。
z磁気カードは消磁してしまうのでMRI室に持ち
込まない。
z変化磁場の胎芽への影響は不明な点が多い
ので、妊娠初期にはMRI検査は受けない。
MRIの長所
・無侵襲、無障害の検査である。(現在迄の報告では)
・組織コントラストが強い。(X線CTに比較して著明に)
・骨の影響がない。(CTの様なアーティファクトはない)
・多方向からの撮影が可能。
(Axial.Coronal.Sagittal.Obliq)
・造影剤を使用せずに血管像を描出。(MRA)
・撮影パラメーターを変えることにより、同位置における異
種の情報が得られる。
MRIの短所
・撮影時間が長い。(一回平均4分前後×数回
施行)
・動きに弱い。
・検査中の音が大きい。(60~80ホーン)
・ガントリー(装置内部)が狭い。
・装置価格が高い。
・外部ノイズなどが画像に影響を与える。(磁場
の均一性)
問題
超伝導MRI装置の特徴で誤っている
のはどれか。
1. 電力消費が少ない。
2. 漏洩磁場が小さい。
3. 高磁場に適している。
4. *クエンチングの危険がある。
5. 冷却用ヘリウムが必要である。
*クエンチング: 常伝導転移
問題
MRI装置について正しい組合せはどれか。
1. 超伝導磁石方式 --- 定電流制御
2. 常電導磁石方式 --- 冷却水設備
3. 永久磁石方式 --- 消費電力大
4. シムコイル --- スライス選択
5. 傾斜磁場コイル --- 磁場均一度調整