2005年宣言の実現に向けて③ 女子の活動 Vol.25

Technical
news
Vol.25
特集① 2005年宣言の実現に向けて③
リーグ戦文化の醸成
特集② 女子の活動
女子委員会諸施策等
JFAインターナショナルコーチングコース
財団法人 日本サッカー協会
2005年宣言の実現に向けて③
リーグ戦文化の醸成
2
特集②
女子の活動
女子委員会諸施策等
JFAインターナショナルコーチングコース
JFAアカデミー福島
リフレッシュ研修会
(Eラーニングコース)
の開設について
連載 What's
49
1 2
30
44
14
連載 キッズドリル紹介・第20回
16
連載 一語一会
17
活動報告 目指せ世界のトップ10
18
GKプロジェクト活動報告
21
連載 My Favorite Training
29
連載 育成の現場をたずねて・・・
35
U-18JFA選抜報告
36
各地のユース育成の取り組み
38
連載 トレーニングの発展
40
AFCセミナーレポート
42
連載 JFAフィジカルフィットネスプロジェクト
46
連載 指導者と審判員、ともに手を取り合って…
48
技術委員会刊行物・販売案内
60
A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA
62
vol.25
1 3
2 4
Technical news
特集①
① 第31回全日本少年サッカー大会より Jリーグフォト㈱
② ナショナルトレセン女子U-15より AGC/JFAnews
③ JFAインターナショナルコーチングコースより AGC/JFAnews
④ JFAアカデミー福島・女子アメリカ遠征より
○制作協力:エルグランツ㈱
○印刷:製本:サンメッセ㈱
※本誌掲載の記事・図版・写真の無断転用を禁止します。
本誌はJFA指導者登録制度において、所定の手続きを行ったJFA公認指導者の方に無償で配布されています。
1
1
훿Jリーグフォト㈱
훿Jリーグフォト㈱
特集
①
2005年宣言の実現に向けて③
훿Jリーグフォト㈱
2007ナショナルトレセンU-12東海より훿AGC/JFAnews
実現のためのロードマップの作成
リーグ戦文化の醸成
(選手が自らの力でたくましく育っていく環境)
リーグ戦創出の基本事項
(1)年間を通した長期に渡る基軸となるリーグ戦
(1シーズン⇒8∼9カ月、カップ戦での中断はあり)
(2)能力別リーグ
(能力に応じて誰もが楽しめる環境)
↓
しかし、種別(2、3、4種)
によって移動できる範囲
に違いがあるので、種別や各都道府県の状況に応
じて考える必要がある。
言い換えれば「ゲーム」が選手の意欲をか
き立て、選手自身の自主性を引き出す要因
違いがあるのは明確です。負けから、ある
いは失敗からも大いに学ぶことができます。
だと考えます。だからこそ大人が育成年代
それを選手の育成に関して考えるとゲーム
にどのようなゲーム環境をつくっていくか
が重要であり、われわれコーチの重要な責
経験が少ないことは、選手として上達する
機会を失っていることにつながると考えま
務であると考えます。
す。だからこそすべてのチームに平等なゲ
ーム機会を提供できるリーグ戦形式の競技
(3)全員が参加できる
(Bチームのリーグ戦ではなく、個人登録した選手全員が
公式戦に出場できる)
1.リーグ戦導入の必要性
∼ゲームこそが選手を育成する∼
初めてボールを蹴る子どもたちにわれわ
2.すべての選手に
コンスタントなゲーム環境
会が重要になると思います。
そして、学校の大会に関しては、全校生
徒の中から代表選手を選出してチームを組
日本には明治維新以来、一気に海外の文
化が入ってきました。そして学校教育が始
んで出場するので、1校から1チームしか出
場できません。ですから多くの部員を有す
まり「スポーツ」は「体育」と訳されて、
るサッカー部でも、ゲームに出場するのは
れは何をコーチするべきでしょうか。答え
は選手が持っている気がします。広場に集
日本のスポーツは学校体育を中心に発展し
てきました。日本全体に学校が建てられて
11人(登録選手は20名前後)でしかないの
です。また、サッカー協会やクラブ連盟主
まった子どもたちが何をするかを見てみれ
ば、
「ゲーム」を行っているのではないでし
スポーツを行う環境ができ、スポーツが普
及発展してきたことは今日までの財産です。
催の大会に関しても、1クラブ1チームの出
場で限定している大会がほとんどであるの
ょうか。サッカーで最も楽しいのはゲーム
であり、経験の浅い子どもたちはトレーニ
そして今後も大きなファクターになること
は間違いありません。しかし学校体育にお
が現状です。しかし個人登録制度を行って
いるのであれば、個人登録した選手の全員
ングが楽しいのではありません。ですから
ける運動部活動は、サッカーだけを特別に
に、ゲーム機会があるべきではないでしょ
子どもたちには、まずゲームを行い、サッ
カーの楽しさを知ることが一番ではないか
扱うことはできず、競技会も他競技と同じ
日数で開催するなど多くの条件があり、競
うか。ですから1クラブから複数チームが出
場できるゲーム環境が必要であり、すべて
と思います。楽しさが分かってきたら、も
っと楽しくするために「自由自在にボール
技会の形式はトーナメント戦が多くなって
いました。また、トーナメント方式はゲー
のチームに平等にゲーム機会があるリーグ
戦が必要だと考えます、現在はクラブチー
コントロール」ができたらいいなと思うこ
ムごとにドラマがあり、高校野球の甲子園
ムでも学年ごとに20人以上の選手が在籍す
とでしょう。トレーニングにも目標ができ
てきて、トレーニングの成果をゲームで試
に代表されるように、日本人を引きつける
魅力があったとも思います。
るクラブも多いと思います。代表やトレセ
ンに入るようなレベルの高い選手だけでな
してみたいと思えば、どんどん上手になっ
てきます。つまりゲームがあるから、トレ
しかし視点を変えて見ていくと、トーナ
メント方式は、最後まで勝ち進むチームと、
く、すべての選手が練習試合ではなく、公
式戦に出場できればさらにサッカーファミ
ーニングでうまくなりたいと思うのです。
1回戦で敗退するチームとでは、ゲーム数に
リーが増え、浸透していくと考えます。
2
2005年宣言の実現に向けて③
3.誰もが自分の能力に応じて
楽しめる環境の創出
日本サッカー協会(JFA)では、平等の
概念として「能力に応じて誰もが楽しめる
環境」を平等だと考えています。全国大会
を狙うようなチームとゲームを行うことで
選手の経験になる、という意見を聞くこと
いと考えます。ゲームから成果と課題を導
き出すには、ゲームの中でリスクにトライ
の理念と同じく地域に根ざしていくことや、
大学リーグのように先輩の作った伝統を引
していかなくてはなりません。そこからゲ
き継いでいくなどの要素があると考えます。
ーム分析をして、課題を解決するトレーニ
ングを行い、再びゲームで確認すること
カップ戦の中にファーストラウンドとして
組み込まれている短期のリーグ戦は、ゲー
で、指導者にはゲーム分析力と、トレーニ
ングをプランニングし効果的にトレーニン
ム形式はリーグ戦ですが、リーグ戦文化を
創出していくものではないと考えています。
グを行う、コーチとしての力量が養われる
地域に根ざすためには、年間を通して地元
がありますが、明らかに実力差のある対戦
と思います。また選手は失敗を恐れずにリ
から、両チームの選手は何を学ぶのでしょ
うか。サッカーは得点の多く入る競技では
スクにチャレンジする機会が増え、プレー
でゲームが開催されることや、伝統を継承
することを考えたら、毎年の部制をカップ
に意図を持つことや、ゲームの流れを考え
てプレーをするなど、ゲーム理解を深めて
戦の成績で決めるのではなく、入れ替えは
リーグ間で行うことによって、チームの戦
いくことにつながると考えます。
い方を継承していくことが必要になると思
また、トーナメント戦は負ければ大会を
終了しますが、逆に考えると、負けた時点
われます。ですから年間を通して20ゲーム
程度がバランスよく展開されていることが
でリセットして、次の大会に準備をすれば
良いのかもしれません。現代の子どもたち
必要だと考えます。
しかし、各種別の特性を考えたときに、年
がテレビゲームですぐにリセットボタンを
押すのと似ている点はないでしょうか。1
齢によって移動できる範囲に差があったり、
チームの力量が年によって大きく変動する
ゲームの中にも流れがあるように、1シー
ケースがあることも事実だと思います。そ
ズンの中でも「良いとき・悪いとき」いろ
いろな状況があります。負けたとしても次
のため各種別によってリーグ戦の入れ替え
方法や、カテゴリーの考え方の基本を共有
のゲームに備える必要があるリーグ戦は、
シーズン通して結果を求めていくものであ
し、年代ごとに各地域や都道府県協会(FA)
で独自のやり方も必要だと考えます。
ないので、実力に差があっても僅差になる
ことはあります。しかし、多くのゲームは
実力通りの結果になるのも事実です。片方
のチームが一方的に攻めて、もう片方が守
るゲームからは、正確なゲーム分析はでき
ないと考えます。全国大会を目指すような
チームと、地区レベルのチームでは抱えて
いる問題は違うと思います。だからこそ、
同レベルのゲームであれば攻守の両局面が
あり、意図としたプレーをできる割合が増
えるのではないでしょうか。そのことで課
題が明確になり、選手やチームのレベルア
ップにつながると考えます。また、サッカ
ーの醍醐味はどのレベルのゲームであって
も、ボールを保持して主導権を取り合った
り、ゲームの流れを読んだプレーや、相手
との駆け引きをすることだと考えます。能
力別リーグは決してトップレベルの選手の
ものではありません。むしろトップレベル
ではない選手こそ、ゲームを楽しみ、年間
通してのゲーム環境があれば、選手として
上達する機会があるのであり、その中から
成長する選手が多く出ると思います。
り、指導者、選手共に技術や戦術面だけで
なく、精神面でも鍛える場にもなると考え
ます。
①2種(U-18)
この年代は、1種のようにリーグ戦同士で
シーズンを通した拮抗したリーグ戦とト
ーナメント戦を主としたカップ戦がバラン
入れ替えにしたいと考えます。義務教育を
終了し、クラブチームと高校チームの両方
スよく行われるゲーム環境の創出は、日本
を選手が選択することができるので、リー
のレベルアップのためには必要不可欠だと
考えています。
グ戦同士での入れ替えをするべきだと考え
ます。
5.リーグ戦創出の考え方
(すべてを一つのピラミッドの中に)
4.リーグ戦はリスクに
チャレンジできる環境
リーグ戦文化の醸成とは、トーナメント
戦を否定しているものではありません。ト
ーナメント戦には多くの魅力があり、負け
れば終わってしまうトーナメント戦は日本
人の好むところです。トーナメント戦の大
会では勢いに乗ったチームが、実力差をは
ねのけて優勝することもあり、多くの感動
的なシーンをつくってきました。しかし勝
つことで次のチャンスを得る闘いは、刹那
的な勝負を繰り返すことにもつながり、
「リスクにチャレンジ」するよりも「リス
クを負わない」
、あるいは封印する割合が
多くなるのも事実であると思います。
リーグ戦は次のゲームがあることで「リ
スクにチャレンジできる」メリットが大き
(1)強化と普及の両立
能力別リーグを作り、リーグ戦間で入れ
替えをしていくことで、強化と普及を1つの
リーグ戦(複数部制)の中で同時に行える
と考えています。強化と普及の垣根がどこ
にあるかは明確にはできません。あえて分
けて考えると上位リーグは強化の色合いが
濃くなり、下位リーグは普及の色合いが濃
くなると思います。しかし、重要なのは強
化リーグと普及リーグを違うリーグにする
のではなく、同じリーグ戦のピラミッドの
中で同時に行うことであると考えます。
②3種(U-15)
(2)複数部制の基本的な考え方
リーグ戦文化の定義はどのように考えて
Ⅰ リーグ戦の部制の考え方
この年代は2種年代とは、チームを選択す
いくことなのでしょうか。単にゲーム形式
る中で少し違いがあると考えます。クラブ
がリーグ戦なだけでなく、文化とはJリーグ
チームに関しては、自分の意思でチームを
3
決めていくことができますが、全体の人数
の割合は中学校で活動している選手の方が
難しい場合もあります。各地域で地域リー
グを積極的に創出していただいているのは
中学校1年生は技術的な面からではなく、
身体の成長を考えたときに中学校3年生と同
多いと言えます。公立中学校には学区があ
ありがたいことだと考えています。しかし
じリーグで闘える選手は少ないと考えます。
る地域が多く、自分で中学校を選択するこ
とができません。他にも理由はあると思い
中学生年代であり移動の範囲など、2種年代
とは異なる状況もあります。選手に無理の
よって3種年代ではU-15リーグとU-13リー
グを整備していきたいと思います。U-13に
ますが、3種年代は2種年代に比べて、毎年
チーム力が変動する割合が大きいと言える
ないリーグ戦の範囲や、拮抗したリーグを
どのように創出していくか等、各地域で工
関してはJリーグで2007年に発足したJリー
グ U-13を2008年からオープン化しました。
でしょう。
夫して良いものをつくっていただきたいと
今後はこの年代で無理なく移動できる範囲
その中でもリーグ戦文化をつくっていく
べきだと考えます。そのために上位リーグ
考えます。
Ⅲ カテゴリーの考え方
を考えたリーグにしていき、そしてFAのU13リーグと連携して、地域とFAで昇降格を
に関しては毎年リーグを組み替えるのは止
めていきたいと考えます。上位リーグは前
3種年代に関してはU-15とU-13の2カテゴ
リーを考えています。なぜ2カテゴリーなの
できるようにしていきたいと思います。
年度の成績で入れ替えを行い、下位リーグ
かに関しては、この年代の身体の成長を考
③4種(U-12)
に関しては新チームの力量を試す、予備リ
ーグを行うことがあったり、また前期は各
えた場合、中学校3年生と2年生は同じカテ
ゴリーでゲームを行っても支障がないと判
Ⅰ リーグ戦の考え方
この年代はまだ移動できる範囲が広くあ
地区リーグで行い、後期に部制を導入する
などの工夫が、各地域やFAであっても良い
断しています。また1年ごとのリーグにしな
いのは、中学校2年生で能力の高い選手は、
りません。そのことを考えたらFA全域で1
部リーグ等をつくることが絶対とは考えて
と考えます(下図)
。
Ⅱ リーグ戦のエリアの考え方
中学校3年生の中でゲームを行い、学年ごと
に行うことでの天井効果を排除していきた
いません。無理なく移動できゲームが行え
るようにするためには、FA内をいくつかの
現在、多くの地域で、U-15地域リーグを
いと考えるからです。また、JFAが考える
地区(ブロック)に分けて、リーグ戦を行
考えていただいています。Jクラブを中心に
街クラブや私立中学校など、タレントを多
誰もが楽しめる平等の考え方のもと、中学
校3年生のチームと中学校2年生のチームで
うことが重要な場合も多いと思います。地
く有しているチームも多く、FA内だけでは
上位リーグで拮抗したリーグを組むことが
はなく、クラブの1stチームと2ndチームの
考え方をしていくべきだと考えます。
ピオンシップを行う、また前期は地区リー
グを行い、後期はいくつかの地区が集まっ
区リーグのチャンピオンが集まってチャン
て部制を導入するなど、FAで選手に良い工
3種
夫を行っていくことが重要であると思いま
す(下図)
。
Ⅱ この年代に合ったゲームのあり方
U-12・13は11対11の導入時期にあたり、
11対11や8対8等、少人数のゲームを公式戦
で両方行うべきだと考えます。しかし、U11年代に11対11は好ましくないと思います。
ゴールデンエイジと言われ、選手生活の中
で最も技術習得に有利なこの時期は、ゲー
ムでのボールタッチが多く、ゴール前の攻
防が11対11の3倍以上ある8対8以下のゲー
ムを行い、選手として最も必要な技術の習
得をする年代だと考えます。しかし、まだ
「11対11でなければサッカーではない」と
の考え方を聞くことがあります。日本サッ
カーは早くこのような考え方から脱却しな
4種
4
2005年宣言の実現に向けて③
ければなりません。8対8をハーフコートで
行うことは、その中で発揮する個人技術や
基軸となるリーグ戦を整備することが必要
であり、全国大会のためや既存の大会の合
個人戦術において、11対11となんら変わる
間を縫ってリーグ戦を行うのでは意味があ
ことはありません。11対11でなくてはサッ
カーではないという考え方は、チームの組
りません。リーグ戦を整備していく中で、
カップ戦の中にある短期のリーグ戦はトー
⑤上位チームの連盟の大会でのシード
平等の考え方のもと上位リーグのチーム
織をつくるため(チームのパターンを構築
するため)に8対8と11対11は違うと言って
ナメントに戻していき、全国大会等のカッ
プ戦はトーナメントでシンプルな形にして
に、連盟の大会においてレベルに合ったシ
ード権を与えていくべきだと考えます。そ
いるのではないでしょうか。この年代で個
いきたいと考えます。
のことでリーグ戦期間を確保することと、
人の力量不足を、チームで補うような戦い
方をしたら、個人の力は向上しません。こ
②連盟の大会を尊重する、しかし連盟間で
力量に差のある対戦を減らしていきたいと
思います。
の年代で行うことは個人技術と個人戦術の
質を高めていくことだと思います。
カップ戦の時期を統一していく
リーグ戦をつくりリーグ戦文化を醸成し
われわれコーチは選手の将来に触れてい
ていくことは、連盟の大会を排除するもの
ます。選手の将来を考えずにチームでの勝
利を追求するような指導は、決して行うべ
ではありません。2種では全国高校選手権と
Jユースサハラカップ、また、インターハイ
きではないと考えます。
そのことを踏まえてU-12年代では、単独
(全国高校総体)とクラブユース選手権、3
岐阜県:県3部リーグと高校選手権1次予選
を重複
(好事例)
●東京都Tリーグ(U-18)
T1リーグのチームは地区予選をスキップ
して都大会から出場
●関東U-15リーグ
種では全国中学校大会とクラブユース選手
関東リーグ出場チームは日本クラブユー
ス選手権および高円宮杯全日本ユースU-
チームのリーグ戦は11対11で行い、トレセ
ンレベルでは8対8を行っていきたいと考え
権は尊重していきたいと考えます。しかし、
各連盟の予選と全国大会の時期を統一する
15選手権の都県予選をスキップして関東
大会から出場
ています。そしてU-11では8対8のゲームを
ことが必要になると考えています。高体連
その他、プリンスリーグ出場チームの連
行っていくべきだと考えます。8対8のゲー
ムを日常行うことで技術レベルを高めてい
とクラブ連盟、また中体連とクラブ連盟の
カップ戦を行う時期をできる限り重ねるこ
盟大会のFA予選でのシード権確立は、多く
のFAで行っています。
きたいと考えます。またさらに低年齢では、
少人数のゲームを奨励していきたいと考え
とで、リーグ戦の期間の確保ができると思
います。
ています。
6.現状の課題と克服に向けた考え方
③各種別のカレンダーを統一していく
現在はJFA主催の全国大会が、各種別で
(2)運営に関して
課題:試合数が増え、グラウンドの確保、審判員の調
整をはじめ、運営に非常に負担がかかる。
今でも運営側は精いっぱいであり、これ以上の
負担増には耐えられないのではないか。
違う時期に行われています。年間通したリ
ーグ戦を創出するためには、JFA主催の全
考え方:
国大会の時期を整理していくことが必要に
①運営の簡素化と自主運営
なります。この改革は種別の中の1大会の改
革ではなく、日本の育成年代をトータルで
ホーム&アウェイができることが理想で
あると考えます。そしてゲームの運営は各
見ていくことが重要であり、種別間の連携
をとり、育成年代全体のカレンダーを作っ
チームから運営担当者を出し合い、ホーム
チームが中心となって行うべきだと考えま
考え方:
リーグ戦創出のカレンダー整理に関しての
ていかなければならないと考えています。
す。審判員も基本的にはホームチームが担
当しますが、チームで帯同等が難しいとき
基本原則
④地域、FAの大会の整備
もあるかもしれません。最低限の必要事項
1 各種別とも基軸となるリーグ戦を年間通
して行える環境を整える(8∼9カ月にわ
このリーグ戦改革は未来を見て行ってい
ます。
「リーグ戦をつくることは総論賛成だ
は運営会議で決定して行えば良いのではな
いでしょうか。今後は審判員をウェブサイ
たって、20ゲーム程度をバランスよく配
置する)
が、既存の大会を整理するのは反対」では
何も進みません。選手にとって何が必要な
トで探し、お互いが連絡を取り合えるよう
なシステムを構築していきたいと思います。
2 リーグ戦は他のどの大会よりも優先して
のか、刹那的な短期決戦をしている現在の
運営での好事例として、2007年から始まっ
カレンダーを組む
3 連盟等の大会はこれをリスペクトする
環境を変えなければ、日本のサッカーは変
わらないと思います。既に多くのFAでこの
た関東U-15リーグは、運営担当者をチーム
以外から呼ぶことなく参加チームですべて
が、その開催時期を連盟間で重ねていく
4 JFA主催の全国大会は、リーグ戦をその
趣旨に賛同していただき、多くの好事例が
出てきています。
行いました。インターハイやクラブユース
の全国大会のような、手厚い運営を目指す
∼何がネックとなっているか∼
(1)スケジュール・カレンダーに関して
課題:既に過密状態であり、新たにリーグ戦の日程を
組む余裕がない。公式戦が年間数試合しかない
チームがある一方で、強豪チーム等ではさらな
る過密を生むのではないか。
母体とする
(好事例)
必要はないと考えます。問題点が生じた場
5 全国大会はシンプルな形式に戻し、リー
グの期間が十分取れるように配慮する
●大会の終了
富山県:高体連の主催である新人戦を終了
合は審判報告書をもとに処理をすることが
できると考えます。1種のFAリーグのよう
①基軸となるリーグ戦が整備されたら
千葉県:6月3種スプリングカップを終了
群馬県:冬季に行われている会長杯(3種)
に、自分たちのリーグを自分たちで運営し
ていくことが重要であり、そのことがリー
カップ戦はシンプルなものに戻す
日常こそが選手を育成します。ですから
を終了
●大会の重複
グ戦を浸透させ醸成していくことと思いま
す。また2、3種に関しては記録等の運営的
5
な仕事を、ホームチームの選手で責任を持
って行うなど、オフ・ザ・ピッチでの選手
教育などにも利用できるのではないかと考
えます。
います。
Ⅱ ユニフォーム規定の柔軟な対応
現代サッカーは11人全員がフットボーラ
制の場合とは異なる現象に対応する等、選
手にとってもよい勉強となっている。 (事
例紹介③)
ーでなければなりません。そのためにはU14年代くらいまではポジションを固定しな
●北海道
冬季も含めて日程を確保するために、冬
いで、すべてのポジションを経験するべき
だと考えます。それはGKにも同じことが言
季は屋内5対5とし、夏季の11対11と合わせ
て年間を通した長期にわたるリーグ戦とし
創出)
えます。GKも含めてボールを保持して主導
ていくことを検討。
Ⅰ 1人審判の導入
8対8のゲームや11対11であっても状況に
権を握るためには、低年齢でGKだけしか経
験していない選手では限界があります。フ
応じて、1人審判を導入していくべきだと考
えます。3人でも見落としがあるサッカーに
ィールドプレーヤーとGKが頻繁に交代でき
るようにするために、GKのユニフォームは
7.まとめ
おいて、1人で審判を行うことは見切れない
ビブス対応も許可するなど、ユニフォーム
日本人は協調性があり、真面目に取り組
部分が増えます。しかし、その中で笛が鳴
るまでプレーを続けていく姿勢や、審判に
にも柔軟な規定を大会で考えていただきた
いと思います。
むことができます。それは日本人のストロ
ングポイントだと思います。しかし、前例
対してリスペクトする気持ちが育っていく
のではないでしょうか。また、ゲームの流
Ⅲ その他
物事を多面的に見ながら、新しいものを創
れを読んだレフェリングの必要性など、審
判員をも育てることにつながると思います。
その他、ホームチームの確保できるグラ
ウンド等の状況や地域による気候の問題等
造することが、ウイークポイントにもなっ
ているかもしれません。今までの固定観念
②ローカルルールの導入
(固定概念を省みて、創造的なゲーム環境を
や固定観念で縛られてしまうところもあり、
ヨーロッパではユースの公式戦でも、1人
に応じて、ゲームの人数なども11対11に固
を今一度省みながら、柔軟な発想で新しい
審判で行われているゲームが多くあります。
日本では「1人審判などとんでもない」とい
定した考え方をするのではなく、趣旨に即
し状況に応じた、納得感のあるローカルル
ゲーム環境をつくる時期に来ているのでは
ないかと思います。2005年宣言やワールド
う意見がまだ多いかもしれません。しかし、
経験が豊富な海外の1人審判の試合では、3
ールを積極的に導入するべきだと考えます。
(好事例)
カップドイツ大会等を受けて、改革すると
きに来ているのではないかと考えます。そ
人審判と比べても違和感なくスムーズにゲ
●長野県
の改革の中心は選手であり、
「プレーヤーズ
ームが進んでいきます。選手、審判、指導
者等ゲームに関わるすべての人に有意義な、
学校のグラウンドが狭いチームがホーム
の場合は8対8で行うことにトライ。8対8と
ファースト」を合言葉に皆さんと育成年代
に必要なゲーム環境をつくっていきたいと
1人審判を積極的に導入してもらいたいと思
いう別の形態のゲームをすることで、11人
考えています。
リーグ戦改革の成果と課題∼各地域の進捗状況
北海道
北海道
リーグ戦文化を定着させることを目標に
これまでの大会要項や、スケジュールの見
直しをしてきた。その中でリーグ戦検討委
員会が立ち上がり、専務理事、理事、2種委
員、3種委員、技術委員、ユースダイレクタ
ーが話をする機会ができたのは成果と言え
る。また、北海道の広域性を考え、トレセ
ンとリーグ戦に関して5ブロックに分けて1
つのブロックを都道府県と考えることが認
められたことも、今後のリーグ戦を整備す
る上で大きな成果と言える。これにより北
海道(地域)−ブロック(都道府県)−地
区と考えられ、U-18プリンスリーグ、U-15
ス、カブスリーグとつながりを持たせる。
候などの事情が大きく異なる。また、交通
そして2010年には地区から地域がつながる
リーグ戦組織を構築したい。ブロックとい
網の発達の面からもその広さの面からも、
それぞれの状況を満たした長期リーグを開
う考えが認められたので、今後はブロック
催することには、多くの困難が存在する。
の組織をどのように運営していくのかが一
番の課題となる。北海道協会と各地区協会
しかし、見切り発車ながら関係各位の知恵
の結集と努力で、「U-15みちのくリーグ」
の理解と協力を得てつくっていきたいと思
う。
を、2008年をトライアル年としてスタート
を切ることになった。さまざまな状況を鑑
4種に関してもリーグ戦の構築を目指し、
みて、この年代は北3県と南3県での開催と
大会とスケジュールの見直しをしている。
現在、夏に集中している大会を秋に開催し、
した。U-18では既にプリンスリーグが進ん
でいるが、一歩進めて2部制に移行する方向
U-12年代で地域をエリアにした大会やリー
グ戦が必要かどうかを検討している。2008
で検討を進めている。それぞれの年代での
地域リーグの整備後に各県内でのリーグ戦
年度に具体案を展開し、2009年から実施で
のさらなる整備が急ピッチで進むことを期
カブスリーグを頂点にしたピラミッドのリ
ーグ組織を構築できると思う。2008年は各
きるようにしていく。
待している。すでに複数チームを導入して
いる岩手県「iリーグ」のように、登録選手
ブロック、地区で「長期間」
「能力別」
「複
東北
東北
東北は、青森県、岩手県、秋田県、宮城
がすべてプレーヤーになる日も近く、理想
的なリーグ戦文化の定着に向け、はっきり
県、山形県、福島県の6県を指すが、北部と
と歩を進めている。
数チームの参加」をポイントに、できると
ころからリーグ戦を立ち上げる。2009年に
はブロックでのリーグ戦を整備してプリン
6
南部また内陸と太平洋岸でも特に冬季の気
課題は、限られたシーズンの中でどのよ
2005年宣言の実現に向けて③
うに基軸となるリーグ戦とカップ戦、既存
の大会、トレセンマッチの日程を構築して
リーグ戦を行ってきたが、2008年度から参
加数を12チームに減らし、総当たりのリー
ェイになっていることが挙げられる。短期
のリーグ戦ということと同じチームと1試合
いくかである。
グで実施する。この変更により、試合数を
しかできないことから、トーナメントの要
4種に関しても県内の機軸となる長期リー
グ戦への理解は高く、近い将来に既存の大
増やしながらより拮抗した質の高いリーグ
を目指している。北信越U-15リーグについ
素が残ったリーグ戦になっていることが課
題である。また、ここに来て2種の方々のグ
会の見直しを含め、各県内でリーグ戦の立
ち上げを進めていきたいと考えている。
ては、2009年度から10チームのリーグを創
設するため、3種委員長会を中心に準備して
ラウンド確保を含めて、大会運営の負担の
軽減も課題として挙がってきている。東海
いる。このリーグの上位6チームが16チー
地域の各県のリーグ戦においてはプリンス
関東
関東
2008年度関東の各都県のU-15、U-18のリ
ムのトーナメント方式で実施される北信越
高円宮杯の出場権を獲得する予定である。
リーグに合わせて積極的に導入している。
各大会のシード権も取り入れられて大会の
ーグ戦実施計画状況は下表の通り。
各都県ともU-15リーグを立ち上げ、U-18
県リーグについては各県ユースダイレク
ターや2種・3種委員長のリーダーシップと
整理も進んでいる。しかし、地区のリーグ
にはまだ問題がある県が多いのも事実であ
についても2009年度にはすべての都県で実
努力により、2008年度からは北信越5県に
る。
施されることになった。ただし、選手を育
成するための基軸となるリーグ戦の形態(7
おいてU-18・U-15リーグがスタートする。
理想とするリーグと比べるとリーグ期間、
◇U-15
東海地域のリーグ戦導入に関しては、慎
∼8カ月の長期で年間20試合程度の試合数)
からするとまだまだ物足りないように思う。
参加チーム数、1部・2部の入れ替え方法な
どの点でいくつかの課題はある。これらは
重な回答が多かった。既存の大会の整理や
大会運営をどの機関が中心で行うのか等、
今後とも環境を整備し、少しでも理想に近
づくよう努力していきたい。
リーグ戦を実施しながら、ビジョンを共有
する指導者や地域の方々を増やし、ディス
問題は山積みだが、2009年度を目標に実行
委員会を開きながら導入していく方向で動
その中で例えば茨城県は関係者の努力で
カッションを重ねて解決していけばよいと
き始めている。各県においても、考え方に
U-15、U-18ともほとんどすべての登録チー
ムがリーグ戦に参加した。これは県協会が
考えている。
U-12年代については8対8の地区リーグを
は賛同を得ているが、既存の大会の整理や
地区リーグの整備など時間をかけながら進
中体連、高体連、校長会にリーグ戦実施の
趣旨を説明し、賛同を得たためとのこと
検討しているところもあり、モデルとなる
リーグが誕生するよう応援したい。各年代
めるべきことが多いように感じている。
◇U-12
(事例紹介①)
。また、埼玉県はU-12の全県
でリーグが活動の柱となり、ゲームを通じ
各県と本格的な情報交換ができていない
でのリーグ戦を実施した。各地区に分かれ
てリーグ戦を実施し、その勝ち上がりチー
て選手が成長していく環境が生まれてきて
いる。
のが事実である。トレセン活動を充実させ
ていくと同時に今後取り組んでいきたいと
ムがトーナメントを実施したとのこと。こ
れも画期的なことである。
このように各都県とも各都県の実情によ
思っている。
東海
東海
関西
◇U-18
関西
り、各年代に合った試合環境を構築すべく
努力しており、それぞれ情報を共有しなが
プリンスリーグが設立されてから今日ま
で、参加チーム数の見直し、1部2部制の導
リーグ戦改革に関しては、全府県レベル
でのリーグ戦をスタートさせたのが早いカ
ら、良いところは取り入れて、それぞれの
年代に合った試合環境を構築していきたい。
入と試行錯誤を繰り返しながら地域のリー
グ戦の確立を目指している。プリンスリー
テゴリーで2年目ということもあり、
「課題
が見つかってきた」のが成果と言ってよい
北信越
グにおいては以前と比べ、間違いなくレベ
ルの拮抗した試合が多くなったのは成果と
のではないかと思われる。
◇U-18
北信越
北信越U-18プリンスリーグは、これまで
言える。しかし、今後の課題としてはリー
各府県とも地域・ゾーンレベルで開催し
16チームを8チームずつ2グループに分けて
グの期間が短く、総当たりのホームorアウ
ていたプライベートリーグを、全府県レベ
ル・部制・レギュレーションの統一等を行
関東
い、オフィシャル化への推進はスムーズに
行われた。ひとつには関西リーグ(プリン
スリーグ)が既に開催されていたことと、
高体連の組織としてのまとまりがある。選
手・指導者のモチベーションの向上は成果
と言ってよいが、オフィシャル化に伴う運
営のハードルの高さに苦労する場合もある。
◇U-15
U-18よりも全府県レベルでの開催は遅く
(2008年度からがほとんど)
、成果・課題も
これからといったところ。開催するに当た
り、関西はクラブチームが多く、中体連と
の日程調整・移動範囲・他大会とのリンク
(シード権等)
、またU-14からスタートし、
7
U-15へつなげていくリーグが多く、今後地
域リーグとの兼ね合いも検討課題である。
体連の主催が取れなかった場合、学校長の
理解を得にくく顧問や選手の派遣、グラウ
・既存の大会との調整(連盟、カレンダー
との調整)
◇U-12
ンドの確保が難しくなる。また、審判員の
※準備段階での今後の課題を修正していく。
リーグ戦を基軸とするためにも全日本少
年大会の開催期間を検討することの必要性
確保、既存の公式大会と合わせ過密化を調
整整理する問題点を解消する必要がある。
トピック
は理解している。
リーグ戦改革等に取り組むことにより、
複数部制と入れ替え戦に際し、支部−県2
部−県1部−中国地域リーグの運営を公正明
フェアプレーコンテストを4月12日、プ
リンスリーグより実施。プリンスリーグ最
2・3・4種、技術との連携がより密になる
確な運営を維持できるか。また、学校や保
終戦に表彰。
ことが大切であり、既に関西としての合同
会議も設けられたことが現時点での成果で
護者の平等意識の概念をどう変えられるか。
◇U-12
九州
ある。
リーグ戦の必要性と課題について十分な
理解がなされている。4種もリーグ戦のステ
この1年間、九州では「各県リーグ戦改
革」の重要性は概ね理解されているが、そ
中国
ージを早急に作っていくところと感じてい
の取り組みには出遅れていた。6月の47FA
◇U-18
リーグ戦導入に関して建設的な意見が多
る。今後、身近な支部単位から始めて、可
能なら県リーグを目指そうという意見でま
ユースダイレクター研修会で他地域の現状
を聞き、取り組まなければならないという
く、リーグ戦を基軸にとらえた選手育成と
代表決定をうまく組み合わせて育成強化す
とまっている。試合の確保・M-T-M・すべ
てのサッカーをしたい選手にゲームができ
心が一歩動いた。夏から秋にかけて九州各
県の現状報告会をする中で、足が一歩前へ
ることの共通理解が得られた。プリンスリ
ーグ、県トップリーグなど拮抗したチーム
る環境等を考慮し、モデルケースから始め
ることで第一歩を踏み出していきたい。
動いた。そして冬、リーグ戦計画の最終段
階となり、質の向上に努めるようになった。
中国
同士の緊張感のある試合が行われ、選手強
日程の調整を早急にしなくてはならない。
九州
そんな過程の中で、新設のワーキンググル
化に効果が見られた。また、多くの選手に
出場機会が増え、選手層を厚くする育成的
長年携わってきている指導者が多く、今ま
での大会を変更するには理解が得にくい面
ープやプロジェクト(仮称)ができて、
「今、
われわれの手で始めよう」という気運が高
側面からも効果があった。
一方、課題として、リーグ戦の理解が十
もある。特に勝負にこだわる指導者(保護
者を含む)が多いため、本来の目的ではな
まってきており、大きな渦が日本の目指す
べき方向へと動き出したことは成果と言え
分になされず、有力校の敗退を防ぐ保険的
いリーグ戦にならないように働きかける必
る。また、それぞれ県で技術部のみならず、
なとらえ方やFAからの通達により「何とな
くこなしている」ところが見られた。また、
要がある。
中には育成年代の指導に対しての理解不
各カテゴリー・各部会の連携が不可欠とな
り、各県FAの活性化にもつながっている。
高体連の主催が取れなかったことで学校長
の理解を得にくく、顧問や選手の派遣、グ
足で、偏った指導をする指導者も見受けら
れ、育成年代の指導やトレセン活動の理解、
さらに、リーグ戦改革のモデル県が複数で
きたことは大きな成果である。
ラウンドの確保が困難であった。また、審
スモールサイドゲームの導入などを指導者
課題としては、さらなる質の向上が挙げ
判員の確保(外部審判員や生徒の審判員資
格取得の条件緩和)
、既存の公式大会と合わ
養成やリフレッシュ研修等で周知徹底でき
るよう、今後さらなる啓発活動を継続して
られる。何事も最初が肝心であり、できあ
がったときに基本は押さえてなおかつ各県
せ、過密化を調整整理する課題が残った。
また、下位チームに指導者が少ないために
いくことが必要である。
や地域の特色のあるリーグ戦文化になるこ
とがこれからの課題である。また、何かが
指導の問題と併せ、運営がうまくできるか
否かの問題もある。
四国
成果
年間を通じたリーグ戦を実施する際、進
四国
始まると「こなすことだけ」に力が注がれ、
当初の「目的意識」が薄れることが多い。
プリンスリーグU-18の定着により、リー
目的を忘れることなく、常にいいものにし
学の問題(県内上位校は進学校が多く、総
体で3年生が引退)で7月∼1月期間はU-17
グ戦への意識改革が芽生えており、趣旨等、
本質に疑問を唱える状況ではない。
ていくこだわりがこれからの課題である。
の選手になってしまう。
◇U-15
U-15では、2009年より四国リーグ開催も
決定し、今年度は県レベルで来年度に向け
【事例紹介①】
「中学生年代の
全県リーグ戦への取り組み」
(茨城FA)
リーグ戦導入に関して育成的な側面から
て調整・整備が始まっている。
「選手が自ら
見ての効果を理解し、理想的なリーグ戦の
実施に具体性が持てた。来年度から従来実
の力でたくましく育っていく環境」を合言
葉に、リーグ戦文化の醸成に向け、四国4県
施しているクラブチームのリーグ戦に中体
連のチームが加わり、リーグ戦を実施する
により一層の改革を期待し、達成していき
たい。
ことが決定した県もある。勝敗だけにこだ
また、プリンスリーグU-18を進化、成長
わることなく、多くの選手に出場機会を与
えることができた。
させることで、U-15、U-13、U-12も、統一
性を持って取り組まなければならない。
2006年ごろから3種委員会や技術委員会
の中でリーグ戦化が言われるようになり、
一方、課題として、中体連とクラブチー
ムの活動スケジュールの調整や、リーグ戦
課題
日本サッカー協会(JFA)の流れは「リー
グ戦化」であると察したが、さて本県では
化への理解度が異なる指導者をどう前向き
・基軸となるリーグ戦の構築(期間、ゲー
どのように取り組もうかと思案することが
にとらえられるよう働きかけられるか。中
8
ム数等にばらつきがある)
【報告者】
鈴木純一
((財)茨城県サッカー協会 前第3種委員長)
多くなった。また、3種委員会を開くたびに
2005年宣言の実現に向けて③
話題の中心となってきたこともあり、3種委
員会の組織の中に中体連、クラブの代表で
で実施可能となる。
中体連の課題としては、年間を通しての
リーグ戦担当を位置づけ、何度か話し合い
正式な大会として取り組むためには、①正
の場を持つこととなった。そこで“できる
ところから”ということからスタートした。
式大会に参加するためには学校長の承認が
不可欠であること、②協会主催となると学
スタート時
校保険(独立行政法人スポーツ振興センタ
ー)が適用にならないこと、③リーグ戦に
かかる予算が学校で組まれていないこと等、
(3)中体連専門部長(県協会評議員)から
の各地区中体連会長への説明と協力依頼
具体的な施策 具体的な施策
(1)中体連(顧問)へのリーグ戦について
の趣旨説明
・協会のリーグ戦文化についての理解
・各地区委員長、リーグ戦担当(5地区)へ
中学校側にすればマイナスの要因ばかりで
ある。顧問の判断で参加できるものではな
実施方法の説明
(2)参加申込書の提出
く、各地域でのリーグ戦を学校長が認めて
いく方向性をつくらなければ発展はしない
(3)スポーツ傷害保険に加入
→所属長(学校長)の職印のあるもの
し、今後の継続も難しくなる。中学校の顧
問がリーグ戦に参加のために苦労すること
ではなく、協会としての正式なアプローチ
2007年度 実施しての意見
2007年度 実施しての意見
■学校長の承認を得ないでリーグ戦に参加
をしていかなければならないことが重要な
ポイントとなる。そこで、次のような具体
しているチームがある。
的な施策を講じた。
役員レベル(中体連−県協会)での話し合い
(1)中体連役員(会長・副会長・理事長・
専門部長・事務局長)と、県協会(専務、常
このスタート時のリーグ戦は各地区で始
まったものの、決して今後継続していける
務、3種委員長、技術委員長、ユースダイレ
クター、事務局長)との話し合いの場の設
ものとは言い難いものがあった。地域によ
定
っては、ただゲームを消化しているだけで
リーグ戦によって切磋琢磨するといった雰
・国体(U-16)のための、U-15からの強化
に対する取り組みの理解と協力依頼
囲気のものではなかった。
そこには、①リーグ戦の目的、主旨が各
・リーグ戦実施に向けての準備について、
今後のJFAの方向性と本県の取り組みにつ
指導者に伝わっていなかったこと、②リー
いての趣旨説明
グ戦での結果が、次年度のリーグ戦に反映
されないこと等が大きな要因と言える。
・トレセン活動への趣旨説明と協力依頼
(2)中体連事務局長と3種委員長の定期的
そこで、正式に県サッカー協会3種委員会
の事業として取り組むことで、リーグ戦へ
なコミュニケーションの充実
・大会要項の説明報告、結果報告、今後の
の意識改革を図ろうと試みた。そのために
は、中体連214チーム、クラブ16チームの
課題など常時連携を図る。
・中体連事務局への問い合わせ(クレーム)
理解を得ることである。クラブとしての問
等の確認
題は大きいものではないが、中体連所属の
チームにとっては課題が山積みである。
※所属長(校長)の中には、協会主催であ
ることの認識の薄さから、中体連行事と勘
クラブの課題としては、過密スケジュー
ルの日程調整が課題となるが、調整の仕方
違いして中体連事務局に問い合わせをする
ケースが少なくない。
・職印が押されていない。
・学校長にリーグ戦についての趣旨説明を
せず、練習試合であるとの説明をして参加
をしているチームがある。
・保険未加入のチームがある。→ 事故の対
応ができない。
□事故が起きた際、全県のリーグ戦を一時
停止し、再度校長の承諾書、保険の加入状
況を確認する。
・リーグ戦の継続を願う校長からの連絡
「同じレベルのチームとの対戦を、年間を通
して県協会で考えコーディネートしてくれ
ることは、学校としてはありがたい。ぜひ
9
継続をしてほしい。
」このような意見が寄せ
られた。
県と比べて少なく、施設も芝のグラウンド
④学校行事(文化発表会、定期テスト休み
が10面程度しかない。スタッフもトレセ
等)をできる限り考慮する。
□今後の課題として
ンスタッフ、大会運営、会場責任者、審判
⑤できれば現存の招待試合などの大会と重
・日程調整(各地域協会主催の大会の精
選・リーグ戦とのリンク、トレセンマッチ
と1人何役もやるのが現状である。
ならないことが望ましいが、絶対ではない。
しかし、県の端から端まで車で2時間程
リーグ戦は佐賀県のレベルを上げるため
デー)
・カテゴリー別リーグ戦における指導者不
度の距離と小さな県ならではの人のまとま
に有効であるが、トップクラスのチームが
りの良さを生かし、どうせやるなら形式的
県外へ出て強化しているという点や招待試
足への対応
なリーグ戦ではなく、全県全チームを巻き
合の成果等についても、日程を組む上で配
込んだリーグ戦を立ち上げようという運び
慮した。
・各地区で行われることによる会場調整
(学校グラウンドは他部活も使用するため調
整難である)
・県教育委員会へのアプローチ(名義後援
の依頼)
となった。
リーグ戦化を進めるために課題としたこと
リーグ戦化を進めるために課題としたこと
リーグ戦化の話を進めるに当たり、次の
リーグ戦の構造
リーグ戦の構造
9∼10月に県内7地域でリーグ戦を行う。
これは、ここ数年行われてきた大会である。
※実施要項に後援「茨城県教育委員会」が明記され
ると、学校としては動きがスムーズになる。
ようなポイントをいかにしてクリアするか
この結果をもとに各リーグ8チームずつの
が大きな課題となった。
1部から3部リーグと8∼9チームを基本と
【事例紹介②】
①毎年チーム力が変わる年代で、いかにし
した4部リーグA∼Dに振り分ける。1部、2
て拮抗したリーグを創り出すか。
部、3部にはそれぞれ同一地区から2チー
②現存の公式戦の日程(中学校・クラブ)
ム参入する地区もある。これは、JFAプレ
と重ならないためにどうするか。
ミアカップ県予選の結果を参考に決定し
③トレセン活動との重複を避ける(第2土
た。
【報告者】桑原智仁
曜日、地域トレセン大会、九州選抜大会)
。
(
(社)佐賀県サッカー協会ユースダイレクター)
原則として第3土日を中心にリーグ戦日程
リーグ戦は、前期・後期制で、11月に
開幕し、1月で前期リーグを終える。前期
を定める。
の結果をもとに1部の下位2チームと2部の
佐賀県U-15全県リーグ
「サガんリーグU-15(仮称)
」
の創立(佐賀FA)
2008年11月、
「サガんリーグU-15(仮称)
」
がいよいよ開幕を迎える。佐賀県内の第3
種の登録チームすべてが試合を行う全県リ
ーグだ。登録チーム60チームを各リーグ8
チームずつ、1部から4部リーグに振り分
け、前期・後期制で各チーム14∼16試合
を行う。地域リーグを合わせると9月から
4月の8カ月間で1チーム19∼27試合を戦
うことになる。
ウイークポイントをストロングポイントに
ウイークポイントをストロングポイントに
佐賀県の総人口はおよそ86万人。全国
で42番目の人口である。面積も全国42番
目である。九州では唯一、人口100万人を
割っている県である。当然、競技人口も他
/
/
/
10
2005年宣言の実現に向けて③
サッカー大会に向け、中体連強化のための
リーグ戦が12月から3月まで開催された。基
本はホーム&アウェイ。ホームチームが運
営を担当し、グラウンドを準備するという
ことになったが、長野県では、12月から3
月までは、公共の施設はクローズしており、
学校のほとんどのグラウンドが降雪や凍結
などで使用できないし、正規のグラウンド
がとれない中学校も多い。どのチームも雪
かきを含め、ホームでのグラウンド確保に
上位2チームを自動的に入れ替える。2部
の下位2チームは3部の上位2チームと自動
えることは、さほど難しいことではない。
審判については、基本的には帯同審判制
的に入れ替える。さらに、1部の6位チー
とする。1部リーグについては、特に審判
ムと2部の3位チーム、3部の1位チームの
間で入れ替え戦を行う。これは、力を持ち
部との連携も図っていく必要がある。15
歳を迎えた3年生については、4級審判員
ながらも地域の実情により、3部リーグに
甘んじたチームにもチャンスを与えるため
の資格を取ることを推奨し、各チーム2名
以上の審判員育成にチャレンジしてもらい
である。3部の下位4チームは、4部A∼Dの
たい。
1位のチームと入れ替える。3部の下位4チ
ームと4部A∼Dの2位チームで4部Ⅰを構成
今後の展望
する。以下同様に、前期の結果をもとに4
部Ⅱ、Ⅲ、Ⅳを構成し、後期リーグは各リ
ーグとも実力に応じた拮抗したリーグとな
トレセン活動との関連で選手選考にも有効
る。
試合日は、1部から4部まで同一日に開
となるであろう。また、9月には新チーム
で地域リーグが始まるので、次年度を見据
催し、佐賀県内の中学生はすべてリーグ戦
を行っているという状態を創り出す。
えた選手育成策も各チームで工夫していか
なければならない。そうした環境がいい意
日程・会場・試合時間・運営
味で整ってくることが佐賀県全体のレベル
アップにつながると信じている。
2009∼2010年シーズンは、後期リーグ
期で7日間、後期で7日間の日程を要する。
そこで、4月に開催される県サッカー協会
を9月まで延ばし、1部リーグ後期の優勝
チームが佐賀県代表として高円宮杯九州ユ
主催の伝統ある「佐賀県クラブ対抗中学生
サッカー大会」(県内全チーム出場のトー
ース(U-15)大会への出場権を得るよう
な形に変えていきたいという構想を持って
ナメント戦)を廃止し、後期リーグの佳境
いる。また、今年は採用しなかった複数チ
に入った3ゲームを4月に組み込むという
大胆な改革も行った。
ーム参加についても、実施に向けて検討に
入っている段階である。
試合時間は、1部・2部は70分、3部・4
部は60分とした。80分という意見もあっ
あらゆる課題に柔軟に対応しながらリー
グ戦を定着させ、3年後に佐賀のサッカー
た。試合時間をできるだけ長くすることに
が劇的に変わることを願い、夢と希望を持
より、一発カウンター狙いのようなサッカ
ーではなく、きちんとつなぐ意識を持った
ってこのリーグ戦を成功させたいと考えて
いる。
サッカーを定着させなければならないとい
う「佐賀の課題」をメッセージとして織り
込んだ。
会場は、主に中学校のグラウンドを使用
する。1部・2部・3部を同一会場で行い、
4会場で開始時刻を合わせる。レベルの違
う試合を観ることで、少しでも上位リーグ
と下位リーグの格差を縮めたい。4部につ
いては、A∼Dのグループごとに4会場に分
かれて試合を行う。県内で全8会場を押さ
75m×50mしかとれない。正規のピッチ確
保するということは、他校のグラウンドを
確保するということになり、非常にグラウ
ンド確保が難しい状況となった。そこで、
リーグ開催の目的である選手に春までのゲ
ーム環境を整え、M-T-Mで選手を育てるた
め、という視点からグラウンドの大きさに
合わせて人数を調整するという同意が得ら
今後の展望
リーグ戦が定着すると、M-T-Mのサイク
ルが確立されることはいうまでもないが、
試合は1日1試合とする。したがって前
頭を悩ませた。
本校(川中島中学校)もグラウンドは
【事例紹介③】
「リーグ戦を行う上での
ローカルルールの適用」
(長野FA)
れ、本校のグラウンドでも試合ができるこ
ととなり、人数を9対9として実施すること
となった。
実際のゲーム内容もボックス内での攻防
が増え、また基本的にプレッシャーがかか
りやすく、
「サッカーをする」時間が多くな
ったと感じた。さらに、普段他の学校やグ
ラウンドへ行ってゲームをするだけ、大会
運営も少しお手伝いをするだけの選手たち
が、ホームのアドバンテージを感じたり、
ゲームの運営に主体的にかかわり、ピッチ
作成のためにピッチサイズを確認したり、
記録をしたり、と大会を運営する側として
サッカーにかかわれたことはありがたいこ
とであったし、将来のサッカーファミリー
の育成にも有意義であると思った。
2008年度から長野県でもユースリーグが
開始されるが、11対11のできるグラウンド
がなくても、郡市、地区レベルのリーグ戦
においては、このようなローカルルールの
適用で、グラウンドの確保など運営面でも
ゆとりが出るのではないだろうかと思う。
順位決定の際に、正規のピッチサイズのゲ
ームと小さめのピッチで人数が少ないゲー
ムとでは、得失点差など細かい面で配慮を
要するとは思われるが、大人の側が柔軟な
思考を持ち、ローカルルールを工夫するこ
とで、ゲーム環境や選手の育成環境はずい
ぶんと改善できると実感した。
【報告者】飽田敏
((社)長野県サッカー協会技術委員長/長野市立川中島中学校)
長野県では2008年8月開催の全国中学校
11
JFA
インターナショナル
コーチングコース
(AFC加盟協会向け公認C級コーチ養成講習会)
【報告者】中山雅雄(ナショナルトレセンコーチ/JFAインターナショナルコーチングコーススクールマスター)
アジア貢献とアジア全体のレベルアップ
ナショナルトレセンコーチの国際力向上
「みんなでアジアを強くしよう」
第3回JFAインターナショナルコーチングコースが、2008年4月
19日から25日まで、6泊7日でJヴィレッジ(福島県)とJFAハウス
今回もまた、参加者に非常に助けられた講習会になりました。
われわれナショナルトレセンコーチも事前に十分に準備をして講
(東京都)で行われました。アジアの17カ国から26名が参加しま
した。小野剛技術委員長の講義から始まり、講義10時間、実技11
義や実技の講師を担当しました。しかし、まだまだわれわれの英
語の力は十分であるとは言えず、受講者を相当混乱させてしまっ
時間、指導実践6時間および最終テストのすべてのセッションが英
たと反省しています。それにもかかわらず、常に明るく、そして
語で行われるこのコースは、JFAのアジア貢献の一環であると同
時に、アジア全体のレベルアップ、そして講師のナショナルトレ
少しでも日本のやり方や考え方を理解しようと努めてくれていた
センコーチの国際力向上も一つの目的になっています。
参加者の中にはAFC指導資格のAFC A級、同B級保持者もおり、
高めてくれたと思います。
また、参加者それぞれの地域や国の特徴をさまざまな場面で見
単に日本の指導者資格を獲得することだけが目的ではなく、日本
ることができました。アジアはさすがに広いと強く感じました。
のが印象的でした。彼らのこのような積極性が講習会全体の質を
の特にU-12年代の取り組みについて学びたいとの思いで参加して
いる方々も少なくありませんでした。また、アジアの多くの国々
では指導者養成事業が十分に行われていないために、自ら積極的
に指導者講習会に参加している方々がいます。一週間を通しての
彼らの受講態度には敬意を払いたいと思います。
4月の中旬にも関わらず、コースの前半は天候に恵まれず風雨で
寒い日が続きました。中東や東南アジアなどからの参加者にとっ
ては厳しい環境であったのではないかと思います。しかし、参加
者各人が非常に高いモチベーションを保ち、また後半からは天気
も回復し、最後の指導実践まで集中して取り組んでくれました。
また、最終日の試験に向け、英語があまり得意ではない参加者も
数名いましたが、全員がJFA公認C級コーチライセンスを取得する
ことができました。
12
훿AGC/JFAnews
J F A
i n t e r n a t i o n a l
c o a c h i n g c o u r s e
いになりました。このコースでできたほん
の小さなネットワークがこの先どんどん広
がってくれることを願っています。いや、
必ず広げなければいけません。
훿AGC/JFAnews
コースの期間中にどんどん高まっていっ
シリアから参加した受講者は日本での約6年間の生活経験があり、
た連帯感から、
「みんなでアジアを強くしよ
う」という思いが強く感じ取ることができました。イランをはじ
日本語がとても上手で、シリアサッカー協会のアカデミーの日本
人コーチの通訳をしています。彼のおかげで今回は中東の国々か
めとし、またアジアの中でも決して強豪国ではない国々であって
も、熱いマインドは持ち、サッカーの発展に貢献しようと努力し
らの参加者とはこれまでになくスムーズなコミュニケーションを
ているのです。われわれも現在の環境に満足せず、努力しなけれ
ばあっという間に抜かれてしまうのです。そして、アジア全体が
とることができました。私が担当した指導実践では、細かいとこ
ろでうまく英語で説明できなかった点を、私が日本語で話し、そ
レベルアップをし、その中での切磋琢磨から、世界の上位で食い
れを彼がアラビア語に訳し、さらにそれを英語が流暢な中東の参
加者が英語へ訳すといった、まさにインターナショナルコーチン
込んでいける力がついていくと考えています。
今回のインターナショナルコーチングコースの受講者の多くは、
グ! すごい状況がありました。
すでに上位のライセンスを取得している指導者においても、
「いろ
いろな講習会を受講したい、学びたい」という意欲を前面に出し、
11時間の実技、6時間の指導実践は身体的に非常に厳しいもの
であったと思います。20歳代の若い参加者はなんとかなっていた
純粋に取り組んでくれたことが、われわれにとっては新鮮でした。
ようですが、筋肉痛や軽い肉離れなどがありました。しかし最後
まで集中を欠くことなく取り組んでもらえました。最高齢であっ
この基本的なあり方についてわれわれは忘れかけていることがあ
るのではないかと気付かされました。これもまた、インターナシ
た62歳のイランからの参加者は、ほとんどすべてのセッションで
ョナルコーチングコースから得られた一つの大切なものだと思い
ます。講習会を開催すること、受講することに互いに慣れてしま
休むことなく動き続けていました。また国際試合を経験したこと
もある実技レベルの高い参加者が手を抜くことなくプレーしてく
うことなく、純粋な気持ちで学び合い、高め合うような環境を、
れたことによって、締まりのある実技のセッションであったと思
います。ゲームや競争になると何としてでも勝とうと必死になる
常に持ち続けていたいと思います。
最後に、参加者がそれぞれ国に戻り、コースでの経験を生かし
姿や心から、サッカーを楽しんでいることが見て取ることができ
ました。これまでのインターナショナルコーチングコースでもす
て活躍し、そして彼らの仲間をまたこのコースへ送っていただけ
ることを期待しています。
でに何度も経験していますが、特に中東からの参加者が自然に見
せるゲームや競争での勝ちへのこだわり、さまざまな駆け引きに
は、今回もまた感心させられました。ゲームで見せるコーチたち
の姿が、そのままその国のサッカーのスタイルであるように感じ
ました。日本の講習会での、指導者の方々の生真面目で一生懸命
なプレーが日本の強みなのではないでしょうか。このスタイルを
基本に、何をどのように組み合わせていくかが発展の鍵になると
思います。
わずか一週間の短い期間でありましたが、17カ国からの参加者
の方々およびわれわれ日本人スタッフの良好な関係はしっかりと
築くことができたのではないかと思います。指導実践で困ってい
る人へのさりげないフォローや、バイキング形式で十分な食事を
配慮していただいたJヴィレッジやシェフへの感謝など、日本人が
大切にしてきた「思いやり」
、
「察する」といったことが、われわ
れ以上にできることに驚きを持ったのと同時に身が引き締まる思
13
What's
フェアプレーコンテスト
?
フェアプレー賞とは本来、観ている人たち
昨年12月のFIFAクラブワールドカップで
ことを通して、この価値観を世に明確に示す
にどれだけ清々しさ、あるいは感動を与える
かといったものであるにもかかわらず、日本
は浦和レッズが受賞しました。最後までACミ
ランとポイントが拮抗していましたが、最終
ことを狙いの一つとしています。すなわち、キ
ャンペーンであり、フェアプレー教育です。皆
では従来ネガティブな指標を元に算出され
決定されてきたのが現状です。すなわち、イ
的な差となったのは、浦和のすばらしいサポ
ーターの応援が高く評価されたものでした。
の前で表彰、露出することで、奨励すること
を目的としています。最終的にはこれを文化
エローカードとレッドカードによる減点の少
国内でも、神奈川県が以前から高校の大
にしたいと考えます。日本のサッカーの文化
ないチームとすることが一般的です。試合中
のレフェリーの判定結果を集計することで得
会で先進的にこの考え方で行っています。
このガイドラインを提示したところ、
「趣旨、
がそのようになる。われわれが目指すポジテ
ィブな姿を、誰もがそういうものだと思える
られる方法です。
しかし、フェアプレー精神を奨励する、身
考え方には賛同するが、主観的であり、明確
な基準がなく統一された判定がしにくい」、
ようになれば良いと思います。誰もが「それ
がサッカーなのだ」と当たり前にとらえるよ
につけさせることが目的であるなら、減点が
「人手、新たな体制を整えることが負担」
、
「評
うになり、皆が賞賛できるような意識を共有
少ないチームというよりも、ポジティブに、良
かったチームを評価し、それが良い、望まし
価項目が多すぎて煩雑ではないか」といった
意見が聞かれます。必ずしも新たな体制を整
できるようになることが文化であると思いま
す。
いと明示することが大事であると考えます。
褒め、また周囲の人にもそれが望ましい姿で
える必要も、それだけに専念する専門家を配
置することも必要ないのです。視察やオーガ
目的観を大きく持ち、細かい方法論にとら
われすぎず、やろうと思うところから、さまざ
あるということを示すことが大切です。U-12
ナイズと十分並行してできるものと考えま
まなカテゴリーでどんどんトライしていただ
年代以下でのグリーンカードの使用の基本的
な考え方はそこにあります。U-12の8人制大
す。
“フェア”はもともと主観的なものであり、
きたいと思います。その事例を蓄積して、よ
りやりやすい方法に整えられていけば良い
会であるチビリンピックにおいては、フェア
プレー賞をグリーンカードの多かったチーム
主観的に清々しい気持ちの良いゲームが望
ましいと考えれば良いのです。多く蓄積され
のではないでしょうか。地域の状況に応じて
柔軟にトライしてみてください。JFAとして1
としてきました。
もう1つの要素として、今回のガイドライン
ていくうちに、客観性も増してくるでしょう。
項目1つ1つをチェックするということではな
つの確固たるやり方を持ち込むことが目的
なのではなく、ポジティブなフェアプレーを
の考え方の特徴は、選手の行動ばかりでな
く、またポイントを細かく積み上げるというこ
誰もが理解し、目指し、賞賛する文化が醸成
く、ベンチ、さらには応援する人たちも含め、
ゲームの雰囲気がつくられると考える、とい
とではなく、それぞれの項目を見る上で、そ
ういう要素がその中に含まれるという目安を
されることを目指したいと考えています。
う点です。
この考え方は、ある意味世界基準であると
示したものと考えてください。
このフェアプレー賞の考え方を採用する
★このページでは、JFAが推薦している事業や活動、サッカー
に関する用語・事項を毎号1つ紹介・解説していきます。
言えます。FIFA(国際サッカー連盟)
、UEFA
(ヨーロッパサッカー連盟)
、AFC(アジアサ
ッカー連盟)では既に実施されています。こ
れらの大会ではTSG(テクニカルスタディグ
ループ/セントラル形式の大会でTSGが編
成されている場合)あるいはマッチコミッシ
ョナーが担当しています。これらの大会のレ
ギュレーションから、重視しているポリシー
がうかがわれます。UEFAでは、年間を通し
て集計し、ポイントの多かった国にUEFAカ
ップの出場枠を与えています。例えばUEFA
EURO 2008では、グループリーグで勝点、
得失点数、総得点数、係数(予選とFIFAワー
ルドカップでの結果の係数)も同じだった場
合は、フェアプレーが考慮されます。FIFAで
は、フェアプレー賞獲得チームに、メダル、
ト
ロフィーの他に、ユース育成のためのサッカ
ー用具の調達にのみ使用可能な10,000USド
ルのバウチャーが授与されます。
14
훿Jリーグフォト
(株)
連載第20回
キッズドリル紹介
1
宝物をたいせつに…
<ルール>
・ボールを落とさないように島へ移動する
①手のひらと手のひらでボールをはさんで移動
②胸と胸でボールをはさんで移動
③背中と背中でボールをはさんで移動
④頭と頭でボールをはさんで移動
島
島
2
ゲット ザ ゴール!
<ルール>
・ボールを
①手で転がす
②足でドリブル
・コーンとコーンの間(ゴール)
を通過で1ポイント
・コーチが持っているバーの下(ゴール)を通る
と1ポイント
・コーチがゴールを移動させているところを通過
すると2ポイント
・毎回、必ず違うコーンを通ること
[サンフレッチェ広島 門田幸二]
16
一語一会
この世で重要な物事のほとんどは、全く希望が
ないように見えたときでも挑戦し続けた人々に
よって成し遂げられてきたものである。
デール・カーネギー
2008年度全国技術委員長会議での小野剛JFA技術委員長のプレゼンテーションより引用。
デール・カーネギー(1888-1955 アメリカ)
「人を動かす」
「道は開ける」等の自己啓発書の著者
17
U-16日本代表
【報告者】池内豊
(U-16日本代表監督)
第36回モンテギュー国際大会2008
1. 概要
日程・会場
2008年3月15日∼26日 フランス・モンテギュー周辺地域
2. チームコンセプト
アクションサッカーの追求
「選手全員がゲームに関わり続ける」
〈攻撃〉
・常に数的優位をつくる
・守備のポジションの選手でも効果的に攻撃参加
・攻撃の優先順位を共有
選手に要求した。
4. 試合結果
■予選リーグ
グループB
・前線からの守備
・後ろに無駄に人を余らせない
・コンパクト
〈切り替え〉
日本
勝点 勝
分
敗 得点 失点 差 順位
0●1 2○1 1○0
6
2
0
1
3
2
1
2
0●1 3○1
6
2
0
1
4
2
2
1
1●3
3
1
0
2
3
5 -2 4
3
1
0
2
4
5 -1 3
U-16
1○0
イングランド代表
U-16
アメリカ代表
1●2 1○0
U-16
日本代表
0●1 1●3 3○1
※日本の属するグループのみ
■7位決定戦
U-16アメリカ代表
3-1
U-16中国代表(グループA4位)
U-16日本代表
0-3
U-16メキシコ代表(グループA3位)
U-16ドイツ代表
1-1
4 PK 2
U-16コートジボワール代表(グループA2位)
U-16イングランド代表
0-0
5 PK 4
U-16フランス代表(グループA1位)
■5位決定戦
■3位決定戦
・シュートの積極性
〈守備〉
・ポジショニング
ドイツ イングランド アメリカ
U-16
ドイツ代表
■決勝戦
(1)vs U-16イングランド代表
前半にはFWの動き出しの早さやサイドのドリブル突破、早いセ
ットプレーから決定機をつくり出すことができていたが、中盤か
・ボールを失ったらすぐに奪い返す
ら厚みのある攻撃は少なかった。後半に入り相手の前線からの守
・ボールを奪ったら全員がアクションをすぐに起こす
・セットプレーを早くする、相手に早くさせない
備に攻撃が単調になり、逆に相手の守備から攻撃のスピードにつ
いていけず、3失点を許してしまった。
3. キャンプの狙い
今回の参加者の多くは高校受験を終えてコンディションにばら
(2)vs U-16アメリカ代表
大型選手が多い相手であったが、守備が1試合目より少し安定
つきがあった。中には3カ月もピッチから離れていた選手もいた。
また、高校受験によって遠征に参加できなかった選手もいた。18
してきた。攻撃も中盤から厚みのある攻撃をしかけることができ
るようになってきた。相手の決定力不足に助けられたこともあっ
名の選手が参加したが、AFC U-16選手権1次予選参加メンバーか
ら、新たにこの大会では5人の選手が加わった。このチームの一
たが、良い形で得点することができた。
つの目標であるAFC U-16選手権大会 ウズベキスタン 2008(10月
(3)vs U-16ドイツ代表
開催)に向けて、新たなスタートとしてこの大会に臨んだ。アジ
アの国では予選が早いこともあり、代表チームを早く招集するが、
勝つか引き分けでグループ2位通過ができる条件で臨んだ試合
だった。GK、DFからしっかりとビルドアップしてくる相手に対
他の地域ではこの時期から代表を招集していく。ある意味では世
界の強豪チームが集まるこの大会は、世界を最初に見ることがで
して、守備組織を安定して形成する時間が多くなってきた。相手
コーナーキックからのオウンゴールの1失点で敗戦してしまった
きる大会といってよい。
大会に関して最高順位を目標に臨んだ。また、タイプの違うヨ
が、自分たちの決定機を生かすことができなかったことが課題と
して残った。
ーロッパの強豪チームの他、メキシコ、アメリカと試合をするこ
とで、現在の自分たちの位置を確認することをもう一つの目標に
した。そのためにも攻守に現在の自分たちの力を出し切ることを
18
(4)vs U-16メキシコ代表
試合開始から自分たちでボールを保持する時間が多くあったが、
Reports from Japan National Teams
相手ゴール前で体を投げ出してくる相手守備を終始崩すことがで
U-16日本代表
きなかった。逆に相手に少ないチャンスを生かされてしまった。
相手カウンターとセットプレーでの守備の課題を残した。
【報告者】布啓一郎
(JFAユースダイレクター)
5. 成果と課題
2008サニックス杯国際ユースサッカー大会
最高順位を目指して臨んだ大会だったが、結果的に6位で終了し
た。大会を通して自分たちのリズムで試合を進めることができた
時間もあった。決定機も相手に関係なく何度もつくることができ
1. 大会概要
たが、試合を左右するペナルティーエリアでの闘いでは、攻守と
もに常に相手を上回ることができなかったことは事実である。ま
大会参加は16チームで、そのうち12チームはU-18年代の単独チ
ーム(高校:9、クラブ:3)
、4チームの選抜(海外:U-16韓国代
た、選手の中にはボール際の体の使い方が悪く、ボールを失うこ
表、U-17中国選抜、国内:U-16日本代表、U-16福岡県選抜)が出
とが多くあった。
成果としては、4試合を通してチームのコンセプトである「選手
場した。
予選リーグは4チームで行い、選抜チームで1グループ、単独チ
全員がゲームに関わり続ける」ことは、選手が試合中に実行しよ
うと努力をしていたことだと思う。例えば、守備ではラインを高
ームで3グループを形成して70分ゲームを行い、上位2チームが決
勝トーナメント(80分ゲーム)に進出する。1試合5名までの交代
くしてコンパクトな状態を常に形成しようとしていた。そのため
が認められていた。
に守備でのカバーリングポジションなどの課題が明確になり、2試
合目以降に改善できてきたことが多くあった。攻撃では守備選手
福岡県宗像市にあるグローバルアリーナが大会会場と宿舎とな
った。試合は4面の天然芝ピッチで行われた。宿舎は、代表チーム
の攻撃の関わりやボランチの攻撃の関わりも試合を重ねるごとに
改善が見られた。そのために攻撃時のバランスをとりながら相手
には10人部屋が2部屋とミーティングルームが確保されており、
大会期間内は施設内ですべてのことを行えるので不自由のない良
のカウンターを受けない守備の課題が明確になってきた。相手に
い環境であった。
合わせずコンセプトを追求したことで現在の課題が明確になって
きたことは、今回の遠征のある意味の成果と言える。今回参加し
2. 大会結果
たチームから吸収する部分もあった。ドイツ、フランスの後方か
らのビルドアップ、GKの攻撃参加の質とDFの攻撃参加の質は高
いものがあった。また、イングランドのFWからのアグレッシブな
守備、メキシコのしたたかな試合運びなども得るものがあった。
6. まとめ
グループステージは70分、決勝トーナメントは80分で実施
■グループステージ
グループA
中国
U-17
中国選抜
U-16
韓国選抜
1○0
豪国と対等以上に闘っていくには、日本の中で高いレベルで競争
していくことが必要であるといつも感じている。3月にフランス遠
U-16
日本代表
2○0 0●2
U-16
福岡県選抜
0●2
でどれくらい克服できるかが、今後、大きく左右してくるだろう。
受験等でブランクのあった選手も含めて、まずは中期の目標であ
るAFC U-16選手権に向けて、コンディションも含めて、すべての
選手が充実した気持ちで今後キャンプに臨んでくれることを期待
日本
福岡
勝点 勝
2○0
敗 得点 失点 差 順位
1
2
2
3
-1
3
2△2
10.5 3
12PK11
0
5
2
3
1
0●1 0●2 2○0
2008年のU-16日本代表の活動において、アジアや世界の中で強
征やサニックス杯に参加した選手は、出てきた課題を日常の活動
勝点:勝ち4点、PK方式により勝ち2.5点、PK方式による負け1.5点、負け0点
韓国
3○2
2▲2
2●3
11PK12
4
8
2
1
5
4
1
2
1.5
0
3
4
7
-3
4
※日本の属するグループのみ
■決勝トーナメント
星稜高校
0
2
する。
P K 4- 2
U-16韓国代表
鹿児島城西高校
3
0
0
3
東京ヴェルディユース
鹿児島実業高校
大津高校
2
0
FC東京ユース
U-16日本代表
2
2
1
2
4
P K 5- 4
4
5
1
1
3
1
0
0
1
2
優勝:東京ヴェルディユース
0
準優勝:FC東京ユース
3位:U-16韓国代表
3. 成果
(1)人とボールの動くサッカーの追求
確実に崩せた数は少ないが、人とボールの動くサッカーを目指
第36回モンテギュー国際大会2008
して積極的にトライしていた。主導権を握るために、オフの選手
19
Reports from Japan National Teams
による積極的なスペースへの動き出しが、ゲームを重ねるごとに
できてきた。そして新たにできるスペースを後方の選手が動いて
相手が前から来ているときに、シンプルに裏を狙うことができる
選手が必要になる。ゲームの流れを読めるように、サッカー理解
共有し、選択肢の多いサッカーで主導権を握れる場面をつくり出
を深めていくことが重要だと思われた。
していた。また、後方の選手も積極的に人とボールを越えて行き、
前方に攻撃の選択肢を増やすことができてきた。
(2)チーム全体でのボール奪取
(3)ゴールへの意識
キックの質や左右差異なく蹴れるなどの技術面と、状況を観る
個人戦術も関係するが、常にシュートを狙う意識が薄い。
「ドリブ
大会の序盤ではボールプレスが甘く、相手の攻撃を限定できず
にいたが、ゲームを重ねるごとにチーム全体の守備意識が高まり、
ルしながらゴールを観る」
、
「パスした後に動いてシュートにつな
げる」など、複数のことを考えてフィニッシュにつなげるプレー
ファーストディフェンダーとカバーリングの関係が明確になり、
を選択することができていない。また自分の形を持ち、強引にで
狙ってボールを奪う場面が多くなってきた。後方からのコーチン
グも少しずつできるようになり、コンパクトにしてプレスディフ
もシュートをうつことも必要であり、フィニッシュに関しては質
量共にレベルアップを目指していきたい。
ェンスからボールを奪い、攻撃につなげる場面をつくれるように
なっていった。特に決勝トーナメントに入ってからは2日間で80
5. オフ・ザ・ピッチの状況
分ゲームが3試合ある中、年上のチームに対してゲームごとに良く
なっていったことは評価に値すると思われる。
4. 課題
(1)技術
「止める、蹴る」レベルは、韓国の選手の方が質が高かった。
「反応しない選手」
今回のチームだけでなく、日本の育成年代の選手は反応がない
選手が多い。確かに個人のタイプがあり、物静かな選手もいると
は思う。しかし潜在能力は開発しない限りは、沈んだままで表面
に出てこない。代表チームのキャンプであるのに「返事ができる」
、
「元気よく大きな声が出る」選手は、どのチーム(育成年代の代表)
韓国の選手は左右差異なくキックができる選手がほとんどである
のに対して、日本の選手で左右の足で蹴れる選手は数人である。
も少ないと言える。
「この年代特有のものなので」とわれわれ指導
者があきらめず、粘り強いアプローチをしていくことが必要にな
またキックの質にも違いがあり、飛距離と精度、パススピード等
キック全般のレベルアップが必要と言える。
る。
そんな中で今回のチームも、日が経つにつれて反応も良くなっ
コントロールに関してもプレッシャーや動きの中で精度を欠く
てきた。これはお互いに馴染んだことや、大人の関わりもあると
ことが多い。動きながら、プレッシャーの中での「止める、蹴る」
の精度を上げないと、ゲームを支配することができず、最終的に
考える。しかし集合から大会に入るまでのトレーニングでは、自
ら声を出したりリーダーシップをとったりすることが恥ずかしい、
はボックスの中で勝負できる選手につながらないと思える。また、
ボールを運ぶことに関しても、ディフェンスラインではボールを
また必要性を感じないような状況であった。確かにこの年代の教
育環境(家庭・学校)は難しいものになっている。しかし「一生
前に持ち出して行く技術が不足していた。そして前線では選択肢
のないドリブルで、突破できるかできないかの二者択一になって
懸命やることは恥ずかしいことではない。内にこもり声を出さな
いことの方が恥ずかしい」ということを、われわれ大人が今、ス
いる選手が多い。
ポーツ界から発信していくことで、日本を変えていくことが必要
(2)個人戦術
ではないだろうか。機械的にやらされるのではなく、自分から必
要なコミュニケーションをとれる選手、状況に応じた立ち居振る
ボールを受けてから次のプレーを決定することが多く、次を探
しているうちに追い詰められてしまう。ボールを受ける前に観て、
舞いのできる選手の育成は、日常の取り組みから良い習慣を身体
に染み込ませるしかない。ぜひ所属チームと連携をとりながらリ
相手の先手を取ってボールを動かしていく、また意図的に相手を
ーダーシップを発揮できる自立した選手の育成をしていきたいと
寄せて薄いスペースを突くことは多くはできなかった。やはり
「観る」ことができなければ主導権は奪えない。ボールを受ける前
思う。
に「観る」ためには、ボールから視野を外してヘッドアップでき
る技術がなくてはならない。常にパスとドリブルの選択肢のある
プレーを、この年代までにできることが重要になる。またゲーム
の中で簡単にボールを下げてしまう場面が多く、FC東京ユースと
のゲームでは、日本のキックオフからすべてボールが下がり、デ
ィフェンスラインで奪われてキックオフから失点した。自分で判
断せずに安易に後ろの選手に任せていくような消極的な場面も多
かった。
また、ゾーンや時間帯点差などの状況を考えて、プレーを変え
られる選手がいなかった。ゾーンに関係なくドリブルで無理な突
破をしたり、ゲームの流れを考えないで常に同じリズムでのプレ
ーをすることが多かった。チャンス時にカサにかかって攻めたり、
20
2008サニックス杯国際ユースサッカー大会