大学入学の地元志向に関する時空間分析 201221167 関口悠行 1.1

大学入学の地元志向に関する時空間分析
201221167 関口悠行
1.1 研究の背景
地方部での進学受け入れ先の不足や学歴重視の風潮により,大学進学を契機にして地方部の都道
府県から都市部の大学に進学する高卒者は全国に多数存在し,平成 25 年学校基本調査によると,
全国平均にして約半数が県外の大学に進学することが分かっている.さらに大学所在地近辺で就職
先を選ぶ大学生も必然的に多数存在する.すると,地方部で県や市の補助金などにより小学校,中
学校などの教育機関で学業を修めたにも関わらず,県外で就職してしまうことになり,地方部の県
や市は大きな経済的損失を被っているとも考えることができる.このように,都市部で就職する学
生が多いことから,大都市近郊の大学の方が就職に有利と思われている傾向があるが,一方で,少
子化による受験者数減(ピーク時の 6 割),保護者の所得減少,若者の安全志向が相まって,大学選
択にて地元重視,国公立重視の高校生が増えたとの指摘も増えてきている.医学系の地域枠も含め
「地元志向」は高齢化が進行する地域での振興には貢献できるが,切磋琢磨などグローバル教育の
視点からは逆行している.大学進学における居住地域は,その後の就職先・定住先にも大きな影響
を与えると考えられる.以上のような観点から,都道府県や大学においてどのような進学実態があ
るのかということに興味を持ち,視覚的に大学入学の「地元志向」に関して分析することはできな
いかと考え本研究にいたった.
1.2 分析と結果
本研究では,都道府県ごとの大学入学に際する人口移動を重力モデルで分析し,その後,都道
府県ごとに学生を確保する原動力ともなっている大学について分析している.
重力モデルについて,人口規模を P,移動人数を I,都市間距離を d と置いた時,移動人数は 2
都市の人口規模に比例し距離の𝛽乗に反比例すると考えると,人口規模𝑃𝑖 の都市 i から人口規模𝑃𝑗 の
都市 j への移動人数𝐼𝑖𝑗 を求める重力モデルは次のように定義される.
𝑃𝑖 𝑃𝑗
𝐼𝑖𝑗 = 𝑘 𝛽
𝑑𝑖𝑗
この式の𝛽値を,ある県から他都道府県に流出する場合(発地)と,他都道府県からある県に流入
してくる場合(着地)の2つの場合に分けて算出した.そして2つの𝛽値を散布図にしたものを図1-1
に示した.𝛽値は距離の減衰率を表わしているから,大きければ大きいほど,遠方地方との人口移
動があまりないことを示しており,小さいほど人口移動が広範囲に広がっていることを意味して
いる.図では地方ごとに記号を分けているが,地方別で𝛽値が同じような傾向を示していることが
分かる.例えば青森県,岩手県,秋田県は発地着地𝛽値どちらも大きく,近隣への流出入があり,
対照的に東京都,神奈川県では発地着地𝛽値が小さく,広い範囲での人口の流出入があることが見
て取れた.
次に,大学についての評価だが,大学入学者データ(計20校)をもとに人口重心,平均移動距離
(出身都道府県県庁所在地から大学までの距離の平均)ならびに,ジニ係数(都道府県別入学者
数を基準)を算出し,地元志向という大学進学動向を時間的にかつ空間的に分析した.
筑波大学の平成1~25年の人口重心の
変遷を図1-2に,16大学のジニ係数と平
均距離の散布図を図1-3に示した.図1-3
から,例えば筑波大学,東北大学といっ
たジニ係数が低く,平均距離が大きい大
学は,全国からまんべんなく入学者を集
めているということ,そしてそれとは対
照的に岩手大学,茨城大学などの大学で
はジニ係数が高く,平均距離が小さくな
っているということから近隣県からの入
学者割合が非常に多いことが分かる.ま
た図1-4では筑波大学の平成1-25年の経
年変化を見ているが,散布図において右
下に移動していくことから,近隣県から
の入学者が増加している実態が分かった.
図 1-1 47 都道府県の発地着地𝛽値散布図
これは図1-2の重心移動からも分かる.
H14
H25
図 1-2 筑波大学の平成 1~25 年の人口重心の変遷
図 1-3 16 大学のジニ係数と平均距離
図 1-4 平成 1-25 年の筑波大学の散布図変化