21.肥育アヒルへのアスタキサンチン給与による肉色低下防止効果 安

21. 肥 育 ア ヒ ル へ の ア ス タ キ サ ン チ ン 給 与 に よ る 肉 色 低 下 防 止 効 果
○ 安 松 谷 恵 子 ・ 出 雲 章 久 ・ 西 岡 輝 美 ・ 辻 優 菜 *・ 義 井 幸 子 *( *近 畿 大 学 )
1.
目
的
アヒル肉は合鴨肉として販売される高級食鳥肉である。近年は鳥インフルエンザの影響
で輸入品の増加が鈍っているものの、安価な輸入品に対して高品質をセールスポイントと
してきた国産品は、更なる高品質化を行い、差別化を図る必要に迫られている。今回、肉
用アヒル大阪種の更なる高品質化に向けて、廃棄物であるエビ殻から抽出したアスタキサ
ン チ ン の 給 与 試 験 を 実 施 し た 。試 験 で は 、濃 い 赤 色 の 色 素 で ビ タ ミ ン E の 10 倍 の 抗 酸 化 性
を 持 つ と 言 わ れ て い る ア ス タ キ サ ン チ ン に よ る 、肉 色 の 向 上 、保 存 に 伴 う 肉 色 劣 化 の 防 止 、
および強い抗酸化性による酸化的ストレスへの効果に期待した。
2.
方
法
1)肉用アヒル大阪種を通常の方法で8週まで肥育し、3つの試験区に分けた。アスタキ
サ ン チ ン を 大 豆 油 に 溶 解 し 、 飼 料 中 の 濃 度 と し て 0 ppm( 対 照 区 )、 1 ppm( 1 区 )、 5
ppm( 2 区 ) に な る よ う に 添 加 し 、 解 体 処 理 を 行 う 10 週 ま で の 2 週 間 給 与 し た 。
3)測定項目として、飼料摂取量、増体量、解体直後の肉色、冷蔵保存後の肉色の変化、
お よ び 酸 化 的 ス ト レ ス 時 に 増 加 す る 血 中 の M D A( マ ロ ン ジ ア ル デ ヒ ド )濃 度 を 測 定 し
た。肉色の変化は分光色差計で、MDA濃度はキットを用いて測定した。
3.
結果および考察
1)アスタキサンチンの給与によって、試験1区および2区の飼料摂取量はわずかに増加
したが、有意な変化ではなく、増体量も試験区間に有意な差を認めなかった。
2)アスタキサンチンの給与によって、解体直後の肉色の明るさを示すL*値は対照区の
33 か ら 35 程 度 に 増 加 し た が 、 有 意 な 差 で は な く 、 ま た 1 区 と 2 区 間 で の ア ス タ キ サ
ンチン給与量による差はなかった。一方、肉の赤さを示すa*値と肉色の黄色さを示
すb*値はアスタキサンチンの給与による差を認めず、以上から解体直後の肉色への
影響は見られなかった。
3)胸肉をバットに並べてラップをし、7日間冷蔵保存した結果、対照区では多くの肉に
筋色素ミオグロビンのメト化による褐色変化が見られたが、1区では褐色変化の数・
サイズはともに小さく、2区においては褐色変化はほとんど認められなかった。
4 )変 色 し た 部 分 の 肉 色 の 変 化( 1 ~ 7 日 )を み る と 、L * 値 と b * 値 で は 大 き な 変 化 を 認
め な か っ た が 、肉 の 赤 さ を 示 す a * 値 は 、7 日 目 に は 1 日 目 の 36% ま で 低 下 し て お り 、
1 区 と 2 区 の 86~ 88% と の 間 に 有 意 な 差 を 認 め た 。以 上 か ら 、ア ス タ キ サ ン チ ン の 抗
酸化性による肉色の低下防止作用が確認できた。
5)解体前日の血液を採取し、血漿のMDA濃度を測定したが、試験区間に有意な差を認
めなかった。MDAの生成は、過酸化脂質の生成に引き続いて起きるため、MDA生
成以前のストレス状態は検出できないので、アスタキサンチンの酸化的ストレスへの
効果は確認できなかった。