Information sheet 1 国家権力(の担い手)(state actors)(国家当局

Information sheet 1
国家権力(の担い手)(state actors)
(国家当局?)による暴力
(フェミニスト・スタディーズのためのNAZRAと女性のグローバルなリーダーシップ
のためのセンター執筆)
国家権力による性的暴力・ジェンダー暴力とは:
国家権力による(一般)市民に対する暴力は、武力衝突や、その合間の比較的平和な期間
のさなかに起こります。軍事主義の文化においては、紛争をおさえるため、そして経済的
利害や政治的利害をおしつけるために暴力を使いますが、国家はこうした軍事主義の増大
を、様々な地域で様々な方法によって正当化します。それゆえ、軍事主義のありかたには、
それぞれに多少の違いはありますが、軍事主義が暴力的な形の男性性のみに価値をおき、
女性や子ども、男性の安全や人権に悪い影響を与える点では同様です。国家権力による性
暴力・ジェンダー暴力は、公的な空間、または私的な空間、刑務所や留置場、軍組織内部、
軍事基地とその周辺において、平和維持軍、民兵組織、民間の軍事請負企業(private-for-fire
groups)などによって行われます。国家は、起訴や処罰を確実に免れるために、人権活動家
やそのほかの市民に暴力を行使するうえで非国家的な組織を利用することもあります。
エジプトのタハリール広場で抗議活動に参加した女性の人権活動家や、ホンジュラスやタ
ンザニア、ウガンダなどで性的指向やジェンダーアイデンティティゆえに治安部隊に狙わ
れている人々、政府の汚職や犯罪を伝えるジャーナリスト、土地、言語、経済をはじめと
する数々の人権を守ろうとする先住民や活動家は、暴力を用いる国家権力の担い手不処罰
を享受しているために、非常に弱い立場に立たされています。
国家が説明責任を果たさないこと、性犯罪に対する不処罰の蔓延、警官や治安部隊が安全
維持よりもむしろ加害にまわっていることは、女性やそのほかの攻撃対象とされた人びと
が、暴力被害を届け出たり、正義を求めることに対して恐れを抱かせるように機能してい
ます。活動家たちが直面するジェンダーに基づく暴力は、こうした国家権力による暴力の
パターンを反映しています。人権活動家、とりわけ、ジェンダー役割とジェンダーに基づ
く社会的行動、宗教的権威や経済的搾取に異議申し立てを行い、経済的機会や教育の機会、
基本的人権を求めて立ち上がる女性の人権活動家たちは、性的暴力や暗殺など、大きな危
険に直面しています。女性の人権活動家は、男性の人権活動家と同様に身体的暴行や投獄
といった危険に直面するだけでなく、性的なバッシングや性暴力、セクシュアルハラスメ
ントといった、女性であるがゆえの攻撃にもさらされています。それは、世界各国で、女
性は家にとどまり、政治的・社会的活動には関わらないことが期待されているからです。
そうしたジェンダー役割に従うことを拒否する女性の人権活動家たちは、女性でありなが
ら、政治的・経済的な社会問題に関して公的な空間で活動するゆえに、よりいっそうの暴
力や制限に直面することになってしまうのです。また彼女たちは、女性の権利を主張する
場合はとくに、社会の偏見や非難にいっそうさらされやすくなります。
すべての人々の人権のため、軍事主義の蔓延と不処罰に取り組み、終わらせなければなり
ません。
。加害者を調査、起訴、処罰する国・地域・国際的メカニズムによって、国家に責
任をとらせる必要があります。警察や軍隊を含む国家権力の担い手が、自らの行った犯罪
について責任をとると同時に、国家は、女性の人権活動家など、攻撃にさらされやすい集
団や、そのほかの人権擁護活動家、ジャーナリスト、先住民コミュニティなど、民間人を
守り、暴力を防ぐ責任を果たす必要があります。
ガーダの話(エジプト)
ガーダは 2011 年 12 月、複数の兵士に暴行を受けました。
「一人の兵士が言いました、
「こ
の女をやろう。この女はいつも文句ばかり言っているやつらの一人だ」
、と。彼は私の髪を、
信じられないくらいひどいやりかたで、ひっつかみました。彼は罵り始め、私を脅しまし
た。そして、蹴ったり、棒でたたいたりの暴行が始まりましたー一度に 10 人ぐらいの兵士
が私を殴り始めたと思います……省略……はじめはいなかったマスクをした男が加わりま
した……省略……彼は、
「顔を隠していたのは俺だ」と言いました……省略……彼は、「お
前が俺たちに文句を言っている奴の一人だな。今日は俺が男であることを見せてやる。今
夜はお前だけのためのパーティーさ。俺はサィーディー(エジプトの南の地域)の者だ。
お前を逃がさないぞ。今日、お前は俺のものだ」
。そして、彼は周りの者たちに私が彼のも
のであることをわざわざ主張した。彼は私の顔をたたいた……(続く)
(前ページから続く)制服を着た将校がやってきました……省略……マスクをした男は、
すぐに将校を近くに呼び、こそこそと話しかけました。話し終わったあと、将校は私を完
全に無視し、兵士たちは再び私を脅しにかかりました……省略……その後、全員を連れ出
すために、医師のジヤド氏が軍の病院からでてきました……省略……しかし、兵士は言い
ました。
「ダメだ。彼女は行かない」
。
そこで医師は、将校と話すことにしました。医師が将校に「私は、全員を連れて行きま
すよ」と言うと、将校は「もちろんです。彼ら全員、ここを引き上げます」と答えました。
それは、政治的な茶番でしかないことが明らかでした――人々はここを立ち去らねばなら
ない、まさにそれだけです。だから医師は兵士たちに、将校が全員ここを立ち去れと言っ
ていると言いました。そして兵士は私に、「問題ないさ、お前は解放される。だが俺がお前
を撃ってやる」と言ったのです。その場にいた全員の目の前で、はっきりと脅されたので
す。
「この門の外でお前を見つけたら、お前を撃ち殺してやる。俺は、サィーディーだ。お
前を逃がしはしない」
、と。
Jadaliyya 著『エジプト軍に拷問を受けたガーダの証言』
(2011)より抜粋。
http://www.jadaliyya.com/pages/index/3599/ghadas-testimony-on-being-tortured-by-the-egyptian
こんなアクションをしてみましょう。
教えてください!
あなたが安全を感じるために必要なことはなんですか?あなたの考えをお聞かせください。
https://www.surveymonkey.com/s/cwglsecurityproject
もっと詳しく学びましょう
http://www.cwgl.rutgers.edu/program-areas/gender-based-violence/security-project
2013 年のアクションキットの中にある、
「セキュリティープロジェクト」のインフォメーシ
ョンシートもご覧になってください。
不処罰を終わらせるよう、主張しましょう!
私たちの話を聞きたがっている政策立案者はいます。そのように、地域や国、国連、その
他の影響力のあるレベルで政策策定に携わっている人と協働し、ジェンダーに基づく暴力
の優先順位をあげ、国家開発の成功の指標としましょう。人権活動家、ジャーナリスト、
先住民、周縁化された人々に対する暴力の事実を文書に書き留め、公開しましょう。人権
に対する暴力を受けたグループの情報を地域で、または国際間で共有し、影響力のある政
府や、地域、または国際的な統治・司法の機構に正義を求めましょう。
知ってもらいましょう!
性的な、またはジェンダーに基づいた暴力がどのように広まっているか、それに対してサ
バイバーが、コミュニティーが、国家権力がどのようにその問題に立ち向かっているのか、
または立ち向かっていないのかについて書きましょう。地域的な、または国際的な関心を
高め、性的な暴力やジェンダーに基づく暴力のスティグマを明るみに出すために書きまし
ょう。従来からのメディア(新聞、ラジオ、テレビ)に訴え、ソーシャルメディア(フェ
イスブック、ツイッタ―)を利用することで、女性の権利や人権の擁護者が活動家が身近
に直面している現実について、地域的、または国際的なレベルで一般の人に知ってもらい
ましょう。
女性の権利や人権を擁護する人々の活動を強化しましょう
あなたのコミュニティーや、あなたのまわりのコミュニティーを動かして女性の人権に関
する話題を出したり、性的な暴力やジェンダーに基づく暴力に反対する活動家を活用した
りと、すべてのものを動員し、国家的・地域的・国際的機関を通じて国家的な犯罪人に説
明責任をとるよう求めましょう。これらの機関に対し、国家・非国家アクターによる暴力
に直面するアクティビストを指示するよう訴えましょう。暴力に関する情報伝達・共有、
証拠文書の作成の技術を向上させ、地域的、国家的、国際的レベルにおいて女性の人権活
動家の活動を強化しましょう。パレードやデモなどの活動に男性がいるというだけで意味
があるのですから、男性も、女性の活動家に対する性的な暴力、ジェンダーに基づいた暴
力を廃絶するための重要な役割を担うことが可能です。躊躇している男性に対しては、彼
らと、そして彼らのいる社会が、個人・団体・国家権力による性的暴力やジェンダーに基
づいた暴力を廃絶することで、利益を得ることができるということを理解してもらいまし
ょう。
役立つ情報や機関
 Center for Economic and Social Rights: http://www.cesr.org/index.php
 Day to End Impunity: http://daytoendimpunity.org
 Enloe, Cynthia. (2007) Globalization & Militarism: Feminists Make the Link.
https://rowman.com/ISBN/9780742541115
 ESCR-NET: http://www.escr-net.org
 Geneva Centre for the Democratic Control of the Armed Forces: http://www.dcaf.ch
 Hans, Asha and Betty A. Reardon. (2010) The Gender Imperative: Human Security vs. State
Security. http://www.taylorandfrancis.com/books/details/9780415585774
 Human Rights First:
http://www.humanrightsfirst.org
 Human Rights Watch: http://www.hrw.org
 Nazra for Feminist Studies: http://nazra.org/en
 Nobel Women’s Initiative: http://nobelwomensinitiative.org
 United Nations Development Programme. (1994) New Dimensions of Human Security.
http://hdr.undp.org/en/reports/global/hdr1994
 Women Human Rights Defenders International Coalition:
http://www.defendingwomen-defendingrights.org
 Women’s International League for Peace and Freedom: http://www.wilpfinternational.org