諏訪信用金庫 『地域密着型金融推進計画』 Ⅰ. 当金庫の経営理念と経営

諏訪信用金庫
『地域密着型金融推進計画』
Ⅰ.
当金庫の経営理念と経営方針
当金庫は諏訪湖を中心とした周辺3市2町1村を主たる営業エリアとして、地区内に24
店舗と34箇所の店外機械化コーナーを持ち、創業以来一貫して地域社会の繁栄と発展
に奉仕することを基本理念として健全経営に徹してまいりました。
この基本理念のもと、次の「経営理念」と「経営方針」をもって事業を展開しております。
『諏訪信用金庫の経営理念』
当金庫は、「地域金融機関」としての認識のもとに独自の役割をになうべく、地域産業・
経済の健全な発展と、地域の皆様の貯蓄の増強と生活の向上を目指して、地域の皆様とと
もに、地域社会の繁栄と発展に奉仕すべく努力してまいります。
『諏訪信用金庫の経営方針』
地域経済の発展に貢献する理想のもとに
(1) 地域社会の全企業と人々の幸福と繁栄のために心から奉仕します。
(2) 役職員は法令等を遵守し、常に一体となって積極的に且つ健全な経営をはかりま
す。
(3) 働く者すべてが安定した生活を営み、朗らかに働きうる職場とします。
Ⅱ.
当金庫の目指す姿
当金庫は「預金者保護」を経営の原点として、「狭域高密度取引」と「小口多数口座取
引」を基本に、人と人とのふれあいを大切にし、地域の中で一番信頼される便利な金融機
関を目指し、地域社会の活性化に貢献していきたいと考えています。
(1) 店舗体制の充実
当諏訪地域に本店を持つ唯一の金融機関として、地域内に24店舗と34箇所の店
外機械化コーナーを有し、便利で公平な金融サービスが提供できる体制を整備して
まいりました。今後も、地域情勢の変化に対応し、お客様の利便性の向上に取組ん
でまいります。
(2) 営業体制の充実
24店舗には、70名余の営業担当役席及び営業担当者を配置し、きめの細かい「顔
の見える親切な営業」体制を整備してまいりました。また、各営業店長以下営業店職
員には、どんな小さな事案に対しても前向きに対応するよう指導をしております。引
続きお客様のニーズにお答えすべく、営業体制の整備に取組んでまいります。
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(3) お客様との強固な信頼関係の構築と向上
収益力の強化をはかり健全な経営を維持することにより、地元のお客様からの信頼
をより強固なものにしてまいります。また、「Face to Face」が地域密着型金融の原
点であり、「顔の見える親切な営業」を徹底することにより信頼関係の向上をはかって
まいります。
(4) 地域との共生
地域内中小企業の再生支援強化、創業・新事業支援強化をはかり、地域経済の活
性化に貢献してまいります。金融を通じての社会貢献をはかり、地域との共生を目指
します。
Ⅲ.
計画期間
平成17年度∼平成18年度
〔平成17年4月1日∼平成19年3月31日〕(2年間)
Ⅳ.
具体的取組み
1. 事業再生・中小企業金融の円滑化
当金庫の経営理念に基づき、経営方針の一つである「地域社会の全企業と人々の
幸福と繁栄に奉仕する」をテーマに取組方針を示します。
堅実経営に徹してきた当金庫の更なる体質強化をはかることで、地域金融機関とし
ての確固たる存在意義を確立し、金融を通じての社会貢献により地域の再生・活性
化の実現を目指します。
具体的な取組みの基本コンセプトは、「取引先企業のランクアップ及び貸出金の増加
に取組む」、「真剣に事業に取組んでいる企業はとことん支援する」の二点です。
推進にあたっては本部と営業店が一体となった取組みが不可欠であるため、営業店
には「顔の見える親切な営業」「営業店を核としたきめ細かい、機動力のある営業」を
指導していくこととします。
【不良債権処理及び不良債権増加抑制の施策】
(1) 要注意先債権等の健全債権化等に向けた取組みの強化
① 個別企業に対する経営改善支援が課題であることを踏まえて、本部においては、個
別企業に対する経営支援先を平成17年度は4先から8先に増やし、平成18年度は
15先とします。経営支援先は主に製造業とホテル・旅館業とし、外部専門機関との
連携をはかっていきます。営業店においては、経営改善支援取組先54先に対して
引続きキャッシュフローを重視したヒアリングを実施していきます。今年度の目標改
善先数は5先とします。
② 健全債権化等に関する実績の公表については、今まで債務者区分別の公表を行っ
ていましたが、今後は業種別による公表も併せて行っていきます。
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(2) 取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化
コンサルティング機能、情報提供及びビジネスマッチング等の対応が不充分であった
ことを踏まえて、今後、経営者研修会の年3回の実施、ビジネスマッチング情報の提
供の場として「しんきんビジネスマッチングサービス」の取扱開始及び経営相談室の
積極的な活用を推進いたします。
(3) 事業再生に向けた積極的な取組み
① 実践的な知識の習得を目的とした研修に積極的に参加していきます。長期的にはD
ES、DDS及びエグジットファイナンス等の取扱いに向けて基盤整備を進めていきま
す。
② 再生支援実績に関する情報開示も引続き行っていきます。
【収益基盤の確保及び収益向上へ向けての施策】
(1) 創業・新事業支援機能の強化
現状、業種別担当者を配置していないこと、成長段階に応じた適切な支援が課題で
あることを踏まえて、本部融資部においては、業種別担当と地区別担当を併用した審
査態勢を構築・整備していきます。なお、当面業種別審査は、製造業・建設不動産
業・サービス業(当金庫主要業種)に特化することとします。また、産業クラスター会議
等へも積極的に参加していきます。営業店においては営業店長が主体となり、地元
税理士等とタイアップし、創業・新事業支援を行っていきます。本部と営業店一体の
活動としては、目利き研修(外部研修等)への参加、諏訪圏工業メッセへの参加、業
種別及び目利きに関する金庫内研修の実施、中小企業金融公庫・国民生活金融公
庫・日本政策投資銀行・県中小企業振興公社(中小企業再生支援協議会)との連携
強化及び専門講師による研修の実施等を行っていきます。
(2) 中小企業の資金調達手段の多様化への対応
現状、一定の対応はできていると思われますが、より一層の対応をはかっていく必要
があると認識しています。財務諸表精度の高い企業に対する融資として、プロパー商
品の開発と信用保証協会、㈱TKK、㈱オリックス等の保証付融資の推進をはかりま
す。また、事業価値(動産等)による融資は㈱オリックスの保証付融資で対応、売掛債
権担保融資については信用保証協会付により推進することで多様化への対応をは
かっていきます。
(3) 担保・保証に過度に依存しない融資の推進等
① キャッシュフローを重視し、信金中金のリスクデータベースに沿った適正貸出金利の
設定を目指します。また、ローンレビュー徹底の観点から、融資取引問題先に対する
本部と営業店との定期的なヒアリングを継続的に実施していきます。なお、民法改正
による包括根保証の見直しについては、対応を終了しております。
② 顧客への説明態勢の整備、相談・苦情処理機能の強化については、引続き銀行法
等による貸付契約、保証契約等の説明態勢の整備をはかり、貸渋り・貸剥し等の苦
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情処理はリスク管理室において一元対応・管理を行ってまいります。
【人材の育成施策】
具体的施策を実現するためには人材の育成が不可欠であるため、自己啓発の動機
付を行うとともに、タイムリーにその機会を提供し、より専門性の高い資格取得者の
増加を目指していきます。具体的には、全国信用金庫協会・関東信用金庫協会等業
界主催の研修への参加、外部講師による金庫内研修の実施、各種通信講座の受講
及び「中小企業大学校・中小企業診断士養成課程」入学の制度化等を行っていきま
す。
2. 経営力の強化
当金庫は「地元のお客様に絶対に迷惑をおかけしない」という方針のもと、営業用不
動産の減損会計に備え、平成13年度から平成16年度までの4年間に固定資産評価
積立金として20億5千万円を積み立ててきました。また、平成19年3月から適用され
る予定のバーゼルⅡ(新BIS基準)においても、新たな枠組みによる自己資本比率に
ついての自己評価等が求められています。当金庫は、堅実経営を貫徹していくため
にも経営力強化が大きな課題と認識しており、リスク管理態勢、収益管理態勢、法令
遵守態勢の強化を柱として以下の計画に取組んでまいります。
【具体的な推進計画】
(1) リスク管理態勢の充実
リスクの計量化と一元管理体制を目指します。営業用不動産の減損処理を踏まえた
適正な自己査定と償却・引当を行い、新たな枠組みでの自己資本比率算出の精緻
化とその情報開示に取組みます。
(2) 収益管理態勢の整備と収益力の向上
付加価値の高いサービスの提供を通じて、収益の確保を目指します。債務者区分と
整合的な内部格付制度の構築、適正金利の算出及び収益管理に必要なリスクなど
を反映させた店別収益管理システムの導入を目指します。
(3) 法令遵守態勢の整備
金融機関とお客様との信頼関係を損なう恐れのある問題の発生防止に取組みます。
個人データ・顧客情報等について、規程の見直しや点検対象の特定を行い、点検体
制の整備をはかるとともにお客様への説明態勢を充実し法令遵守態勢の強化をは
かります。
(4) ガバナンスの強化
総代会の機能強化については、ディスクロージャー誌へ総代会の仕組み、総代選考
基準、総代氏名などを掲載し経営の透明性を高めてまいりました。今後は、総代地
区別懇談会等の開催等により、幅広い意見の汲取りに努めていきます。
(5)
ITの戦略的活用
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当金庫の勘定系及び情報系の基幹システムは、信金東京共同事務センター事業組
合に加入し利用しています。IT戦略には多額の費用が必要であり、投資効果を踏ま
えた適正性等の確保にも留意しつつ、情報セキュリティの強化、顧客管理の充実、
生体認証システムの導入等を実施していきます。
3. 地域の利用者の利便性向上
ペイオフが完全解禁された今、金融機関を選別するお客様の目は日ごとに厳しくなって
おり、数ある金融機関の中から当金庫を選んでお取引をしていただくためには、お客様
の満足度の向上が欠かせないものと認識しています。
当金庫は、お客様のニーズの把握に努めるとともに、当金庫の強みである営業力や地
域の特性を生かしたサービスの提供にも努め、お客様の満足度を高めるべく取組んで
いきます。
また、財務内容や地域貢献の状況等についてお客様に分かりやすい情報開示を行い
充分なご理解をいただくとともに、当金庫が自ら根ざす地域の活性化をはかっていくた
め、地域と一体となった取組みを推進してまいります。
(1) 地域のお客様の満足度を重視した金融機関経営の確立
お客様満足度アンケート等を実施し、お客様のニーズの的確な把握に努め、その結
果を公表するとともに、経営計画・事業計画に反映させていきます。
画一的なサービスの提供を見直し、サービスの高度化や差別化をはかれる分野に経
営資源を集中配分してお客様満足度の向上をはかります。
また、お客様のニーズを踏まえた新しい視点での商品の開発・サービスの提供を行
っていきます。
(2) 地域貢献等に関する情報開示
地域のお客様の利便性向上と信頼確保のため、お客様の目線に立った分かりやす
い情報開示に努めます。
また、お客様からの質問や相談等には親切で分かりやすい応対に努めるとともに、
頻度の高い質問や相談については回答事例集を作成し公表します。
(3) 地域再生推進のための各種施策との連携
諏訪地域は、製造業・観光業を主要産業として発展してきましたが、経済のグローバ
ル化や社会構造の変革の流れの中で、主要産業のみならず地域経済全体が停滞し
ています。当金庫は、地域活性化へ向けた各団体の取組みに対して、積極的な協
力・支援を続けていきます。
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