オーストラリア住宅不動産市場 四半期調査 - National Australia Bank

オーストラリア住宅不動産市場
四半期調査:2016年第1四半期
外国人が購入した
集合住宅
外国人が購入した
一戸建て住宅
20件中1件
500万豪ドル超
10件中4件
50万∼
100万豪ドル
200万
豪ドル超
15%
10件中3件
100万∼
200万豪ドル
50万豪ドル
未満
23%
外国人購入者
比率−中古
中古一戸建て
7.6%
(第4四半期 9%)
3分の2は、
100万豪
ドル以下
新築
不
おけ 動産市
場に
る、
外
のシ
ェア 国人購入
者
外国人購入者
比率ー新築
中古マンショ
ン等の集合
住宅
11.8
%
半ぶ
新築マンショ
ン等の集合
住宅
新築一戸建て
9.7%
2年
りの
低水
準
15.1%
12.2%
(第4四半期14.6%) (第4四半期
17.9%)
(第4四半期
11.2%)
「不動産販売における外国人購入者のシェアは、新築住宅市場および中古住宅市場どちら
も、2015年第4四半期以降低下している。
これは、
オーストラリア不動産の外国人購入者に対し
てより厳しい法律が導入されたのと時期を同じくしている。」
アラン・オスター
NABグループのチーフ・エコノミスト
• 2016年第1四半期は全国の住宅市場センチメントは改善し、
NAB住宅不動産インデックスは+6ポイントへ上昇し
(2015年第4四半期は+1ポイント)
、
3四半
期連続した下落トレンドが逆転した。
センチメントはほとんどの州で改善しており、
中でもニューサウスウェールズ州
(16ポイント上昇の+26)がリード役と
なっているが、依然としてビクトリア州が最も楽観的(8ポイント上昇の+31ポイント)
であった。
クイーンズランド州と南オーストラリア州/北部準州
(ただ
しマイナス)のセンチメントも改善したが、
西オーストラリア州では調査開始以来の最低水準まで低下した。
• 来
年の住宅価格の上昇率見通し調査では、ビクトリア州(1.7%)
と南オーストラリア州/北部準州(-0.1%)は上昇したが、
クイーンズランド州(1.2%)、
ニューサウスウェールズ州(-0.2%)、および西オーストラリア州(-1%)は低下した。今後2年間の投資リターンについては、ビクトリア州(1.6%)
とクイー
ンズランド州(1.4%)が最も高い予想で、
また西オーストラリア州(0.4%)および南オーストラリア州/北部準州(0.3%)
でも小幅な上昇が予想される。
ただしニューサウスウェールズ州の住宅価格は低下(-0.1%)の見込みである。
• 平
均では、NABの2016年全国住宅価格見通しは小幅増の1.5%(前回1%)
となっている。単価予想は概ね変わらずの-1%であった(詳細については、
4 ページを参照)
。
• 第
1四半期の新規不動産市場では、初めて住宅を購入する層(持ち家目的および投資目的)が活発(総販売の3件に1件)だったが、中古市場では若干
後退した(全体のおよそ29%)。
• オ
ーストラリアの新築不動産市場における外国人購入者のシェアは、2年半ぶりに低い水準に落ち込み11.8%となり、市場における存在感が薄れつつあ
る。特にビクトリア州(10.7%)
、ニューサウスウェールズ州(11.1%)
、西オーストラリア州(2.9%)
で低く、一方クイーンズランド州では21.9%と高かった。
中古不動産市場においても、外国人購入者のシェアは7.2%に落ち込み(第4四半期は8.6%)
、全州で勢いが衰えた。
NAB 住宅不動産インデックス
インデックス
NAB 住宅価格および単価見通し (%)
50
Q1'16
Q4'15
1
Q3'15
Q2'15
Q1'15
Q4'14
Q3'14
Q2'14
Q1'14
Q4'13
Q3'13
Q2'13
Q1'13
Q4'12
Q3'12
Q2'12
Q1'12
Q4'11
Q3'11
Q2'11
-20
Q1'11
2014
1
2015
2016f
ホーバート
パース
アドレード
ブリスベン
メルボルン
シドニー
州都平均
-10
ホーバート
州都平均
0
パース
平均
10
アドレード
20
ブリスベン
30
メルボルン
40
シドニー
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
市場概況
住宅価格の見通し
賃貸市場の見通し
来年の賃料の上昇率は、ビクトリア州(概ね変わらずの1.6%)を除き
全ての州で軟化するとみられる。賃料利回りではビクトリア州が今後
2年で最高(2.1%)
となる見通しで、ニューサウスウェールズ州(1.3%)
がこれに続く。
来年の全国住宅価格の上昇率見通しは概ね変わらずで、0.4%(2015年第
4四半期は0.5%)
である。不動産専門家は、住宅価格はこの2年間平均で
0.7%上昇するとみている
(第4四半期は1%)。
今後ヶ月間の予想
-1%
今後ヶ月間の予想
1.2%
北部準州
西オースト
ラリア州
南オースト
ラリア州
- 0.1%
北部準州
-1.1%
クイーンズ
ランド州
西オースト
ラリア州
ニューサウス
ウェールズ州
ビクトリア州
南オースト
ラリア州
- 1.6%
-0.2%
-0.6%
クイーンズ
ランド州
ニューサウス
ウェールズ州
ビクトリア州
1.1%
1.6%
1.7%
新築不動産
購入者別の新築不動産需要
総需要に占める割合
$
初めての住宅
購入者
(持ち家目的)
19.1%
(第4四半期は18.3%)
初めての住宅
購入者
国内投資家
2014年半ば以降最低水準
(第4四半期は22.5%)
(第4四半期は14.4%)
24%
(投資目的)
外国人購入者
(初めての住宅購入者を除く)
14.4%
11.8%
(第4四半期は10.9%)
タイプ別および場所別の新築不動産需要見通し
来年の新規不動産需要は、ほとんどのタイプおよび全ての場所(中間/外環部の高層マンションを除く)の不動産で強まる見通しだが、前年
度の水準は下回るだろう。
WA
NSW
VA
「非常に良好」
ニューサウスウェールズ州
のCBD(ビジネス街)のマ
ンション、およびクイーンズ
ランド州の都心部の低層
マンションおよび一戸建て
「良好」
全ての場所のほとんど
の種類の不動産、ただ
し中間/外環部の高層
マンションを除く
「妥当」
中間/外環部の高層
マンション
2
「妥当」
西オーストラリア州の
全種類の新規不動産需
要(都市部の一戸建て
を除く)
「妥当」
ビクトリア州の中間/外環部
並びに都市部のCBDおよび高
層マンション、およびニューサ
ウスウェールズ州の中間/外
環部の低層マンション
新築住宅開発を制限する要因
影響力の強さ


(ビクトリア州など)
(南オーストラリア
州/北部準州など)
住宅購買力
信用逼迫


住宅価格の持続的な上昇
建設費用
(ビクトリア州、ニューサウスウェールズ
州、
クイーンズランド州など)
(ビクトリア州、南オースト
ラリア州/北部準州など)
中古不動産
購入者別の中古不動産需要
総需要に占める割合
$
初めての住宅購入者
(持ち家目的)
(投資目的)
17.6%
(初めての住宅購入者を除く)
11.2%
(第4四半期は20.2%)
外国人購入者
7.2%
国内投資家
初めての住宅購入者
(第4四半期は8.6%)
。
ただし西オーストラリア州
では、調査最高水準となる
8.8%の市場シェアを記録
(第4四半期は7.2%)
20.5%
(第4四半期は9.8%)
(2015年第4四半期の調査最低
水準の19.2%から上昇)
外国人購入者
外国人購入の全体的傾向
外国人購入者がオーストラリア不動産市場で占める全体的な割合は、
2016年第1四半期は新築不動産および中古不動産どちらの市場でも2年半ぶりの低水準
に落ち込んだ。
外国人購入者が新築販売全体に占める割合はわずか11.8%
(第4四半期は14.4%)
、
中古不動産市場での割合は7.2%
(第4四半期は8.6%)
だった。
新規不動産需要に占める割合
.%
Q,
.%
Q,
ビクトリア州
.%
.%
Q,
Q,
中古不動産の需要に占める割合
.%
.%
.%
.%
Q,
Q,
Q,
Q,
.%
.%
.%
.%
Q,
Q,
ニューサウスウェールズ州
西オーストラリア州
Q,
ビクトリア州
Q,
クイーンズランド州
.%
Q,
Q,
ニューサウスウェールズ州
.%
.%
Q,
西オーストラリア州
外国人購入者が購入した不動産の種類
.%
Q,
クイーンズランド州
外国人購入者による種類別州別購入不動産内訳
(全体に対する割合%)
%
70
60
40
NEW
NEW
全体として、
外国人による
オーストラリア住宅不動
51%が
産の購入のうち、
マンションだった
(第4四半
期は53%)
一戸建てに対する需要
は31%
(第4四半期
は32%)
30
20
再開発に対する需要
は18%
(第4四半期
は16%)
48.4
39.4
37.6
24.3
23.1
15.9
ビクトリア州
マンション
3
34.5
29.9
10
0
58.8
54.6
50
ニューサウスウェールズ州
一戸建て
17.5
17.0
クイーンズランド州
西オーストラリア州
再開発用住宅および土地
外国人購入者が購入した不動産の価格帯
$500K$1M
≤$500K
外国人が購入したマンションの
およそ31%が、
価格50万豪ド
ル未満
(第4四半期は33.7%)
その一方で、
40%は50万
から100万豪ドルの価格帯
(第4四半期は41.7%)
$1M$2M
100万から200万豪ドルの価
格帯の物件は16%あまり
(第4四半期は14.8%)
マンション市場
WA
≤$500K
西オーストラリア州では他の州
に比べ、外国人購入者による50
万豪ドル未満の不動産購入の割合
が増えた。
(42.8%)
$2M$5M
≥$5M
また200万から500万豪
ドルの価格帯の物件の
販売件数は7.9%と変
わらず
価格500万豪ドル超のマンショ
ンを購入した外国人購入
者は、
20人に1人
(5.5%)
(第4四半期は3.3%)
QLD
$500K$1M
NSW
≤$500K
ニューサウスウェールズ州で
は、50万豪ドル未満のマンション
購入は18.4%で、
この価格帯
のマンション在庫が少ないこと
を反映している。
50万ドルから100万ドルの
価格帯のマンション購入は、
ビクトリア州の34%に比べ、
クイーンズランド州では2件
に1件の割合だった。
NSW
$1M$2M
100万から200万豪ドルの価
格帯での購入は、他の州では
12~14%であるのに対して、ニ
ューサウスウェールズ州では購
入の4件に1件の割合だったこ
とは特記すべきである。
周辺部では、平均以上の価格上昇率を享受している
クイーンズランド州
北部準州
クイーン
ズランド
西オーストラリア
西オーストラリア州
アルキモス、
バルディビス、
フォレストフィールド、
スカボロー
南オース
トラリア
ニューサウス
ウェールズ
ビクトリア
タスマニア
ノースホバート
アルビオン、
ブリスベン、
ブリンバ、
クーメラ、
ゴールドコースト、
ニューフ
ァーム、
ナンダー、
ウィナム
ニューサウスウェールズ州
ニュータウン、パラマタ、
ペンリス、
シドニー
ビクトリア州
アルマデール、
ドンキャスター、
フランクストン、
グレン・ウェイブレイ、ハイデルバーグ・ハイツ、
メルボルン、
リッチモンド、
セントキルダ
NABの住宅価格見通し
• シドニーの不動産価格は、
他の都市に比べ依然としてかなり高水準だが、上昇率で見ると、昨年はメルボルンが年後半にシドニーを上回り最高のパフォ
ーマンスを上げ、
これが漸進的に価格ギャップを埋めるのに一役買っている。2016年第1四半期までの1年間のメルボルンの住宅価格は10.7%上昇した
が、
これに比べシドニーでは7.5%と若干穏やかな上昇となったにもかかわらず、年間上昇率は両都市とも、2015年の11.7%および11.5%から低下した。
• 住宅市場では、
投資家に対する信用逼迫と住宅購買意欲の悪化が影響したことで、
とりわけ海外投資が最大の要素となっているシドニーとメルボルンで
は、今後も勢いを失っていく見込みである。事実NAB住宅不動産調査では、既に海外投資家の関心が両都市から離れ、
クイーンズランド州に向かいつつ
あることを示している。
• 第1四半期の結果が予想より強かったことがある程度の上振れリスクを示唆するものの、
弊行の2016年の全国住宅価格平均見通しは1%からわずかに上
昇して1.5%となったが、
それでも2015年の水準を依然としてかなり下回っている。
• 州都別では、
NAB のマクロ経済専門家は、住宅価格上昇率は概ね軟化するが、全体としての上昇率は東部海岸地帯で最も好調となると予想している。
これはNAB住宅不動産調査の結果と一致しており、国内経済にとっては比較的明るい通しである。
ブリスベンとメルボルンのパフォーマンスが最も高い
と予想され、
ブリスベンの2016年の価格上昇率見通しは2.6%増である一方で、
メルボルンは2.3%増(依然として2015年の水準をかなり下回る)
となっ
ている。
4
NAB不動産市場調査について
NABオーストラリア住宅不動産市場四半期調査は2011年第1四半期に開始されました。
本調査は、2010年4月に開始されたNABオーストラリア商業不動産市場四半期調査を拡大して実施したものです。回答者の多数が住宅市場にも直接関係
していることから、NABは同調査の質問事項をより広範囲にわたりオーストラリア住宅市場に焦点を当てるように配慮しました。
外部から多数参加する調査回答者は不動産業者、不動産管理会社、
ディベロッパー、資産運用会社、不動産所有者、不動産投資家など多岐にわたります。
2016年第1四半期の調査の回答者数は約250名で、調査回答者の内訳(地域別、不動産部門別、業種別)は下記に示されています。
お問い合わせ先
Grace Mak(香港)
Private Client Executive Director,
NAB Private Wealth
+852 2826 8165
Justin Madhavan(シンガポール)
Private Client Executive Director
+65 6419 6891
有安 誠司(日本(東京)
)
Private Client Executive Director
03 3241 8839
Group Economics
Alan Oster
Group Chief Economist
+61 3 8634 2927
Robert De lure
Senior Economist - Industry Analysis
+61 3 8634 4611
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)
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これらの購入、売却または取引を勧誘するものと見なすべ
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。
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