特集:臨床検査値の経時的測定 - IDEXX Laboratories

P ecom
ro m
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ct ed
Seminar
Event
Calendar
R
SNAP ® に
新しい検査項目が加わりました。
セミナー・イベント カレンダー
SNAP® Parvo
6/11(土)12(日)
スナップ・パルボ
第 82 回獣医麻酔外科学会
June. 2011
A Semiannual Newsletter
動物用医薬品 動物用体外診断用薬
犬パルボウイルス 抗原検査用キット
第 94 回日本獣医循環器学会
第 49 回日本獣医画像診断学会
スナップならではの迅速・正確な犬パルボウイルス抗原検査用キット。
6/18(土)19(日)
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・2∼25℃で保存。
9/16(金)17(土)18(日)
SNAP® Giardia
スナップ・ジアルジア
JBVP
̶ 日本臨床獣医フォーラム 年次大会
海外講師プログラム
( Dr.Peter K int zer )
11/18(金)19(土)20(日)
第 31回動物臨床医学会 年次大会
Topics
特集:臨床検査値の経時的測定 / 症例 1:膿胸 /
症例 2:約6ヶ月間にわたる慢性下痢症状を主訴に来院した犬の1例 / 獣医師の声:たけうち動物病院 院長 竹内和義先生 / and more
動物用医薬品 動物用体外診断用薬
ジアルジア 抗原検査用キット
直接塗抹法では検出しにくかったジアルジア。
これからは、抗原検査で迅速・正確なジアルジア検査が可能に。
・簡単操作、8分で判定が可能。 ・95%以上の感度と99%以上の特異性。
・便利な糞便採取用綿棒で検体に触れないため、衛生的で、かつコンタミネーションを防止。
・直接法または浮遊法と比較しても、2∼3倍の感度。
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ラボにおける、免疫蛍光顕微鏡法(IFA)によってジアルジア陽性と同定されたサンプルを、従
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鏡法
( Groat R. Survery of clinic practices and testing for diagnosis of Giardia infections in dogs and cats.
Presented at : 2003 ACVIM Forum ; June4 - 8 ; Charlotte, NC.)
IDEXX ベットラボシステム ラインアップ(院内検査機器・検査キット)
「IDEXX ベットラボ ステーション」への接続機器は下記ラインアップより選択できます。
検査情報管理システム
ベットラボ ステーション
電解質/血液ガス検査器 血液化学検査器 ベットテスト
ベットスタット
内分泌検査器 スナップリーダー
アイデックス ラボラトリーズ株式会社
自動血球計算器
レーザーサイト
自動血球計算器
ベットオートリード
電解質検査器
ベットライト
スナップ・ハートワーム
スナップ・FeLV/FIV コンボ
0120 - 71- 4921 w w w.idex x.co.jp
〒 181 - 8608 東京都三鷹市北野 3 - 3 - 7IDEXX Laboratories, IDEXX VetStat, IDEXX Vetlab Station, VetTest, SNAP Reader, LaserCyte, VetAutoread™, VetLyte, SNAP Heartworm, SNAP FeLV/FIV Combo は、
米国 およびその 他 の 国 における 米国 IDEXX Laboratories, Inc. の 商標 または 登録商標 です。
3
Index
獣医師の声
たけうち動物病院 院長
竹 内 和 義先生
01
東日本大震災への支援について
東 日本 大 震災 へ の支 援 につ いて
Condolence
02
獣 医 師の 声 : 竹 内 和義 先 生
Voice From An Animal Doctor
3 月 1 1 日に 発 生 し た 東 北 地 方 太 平洋沖地震について被害にあわれた地域の皆様に、
謹んでお 見 舞 い 申 し 上 げます。また 、この度の震災において、犠牲になられた方々と
ご遺族の 皆 様 に 哀 悼 の 意 を さ さ げ ると共に深くお悔やみ申し上げます。
03
特集
臨床検 査値の
経時的 測定
Measuring Laboratory Values Over Time
アイデックス ラ ボ ラトリーズ 株 式 会 社 で は、被 災 地 の 動 物 病 院 様 へ の 支 援 を 行って
04
おります 。 詳 細 は アイデックス ホームページをご覧頂くか、もしくは t o h o k u - j p
症 例 1:
@ i d e x x . c o m に お 問 い 合 わ せ い た だけますようお願い申し上げます。
ま た、 東 京 電 力 管 内 に お い て 計 画 停 電 が 発 生 し た 場 合 、 電 話 お よ び フ ァ ッ ク ス が
つながらない時間帯があることが予測されます。その際には何とぞご了承いただけ
ますよう 、 お 願 い 申 し 上 げ ま す 。
膿胸
Pyothorax
07
症 例 2:
約6ヶ月間にわたる
慢性下痢症状を主訴に
来院した犬の1例
アイデックス ラボラトリーズ株式会社 代表取締役
ロバート J . ラック
アイデックス社が誇る新しい検査の一つに、R e a l P C R™があります。
日常臨床において微生物の感染を正確かつ簡便に証明する方法は従来
ありませんでした。ウイルス抗体価、細菌培養同定、原虫類検出など
は手技が煩雑で信頼性に乏しいものが多く、一次診療施設での実用性
には疑問がありました。R e a l P C R は従来の P C R 検査と異なり「 コ
ンタミ 」による偽陽性結果が非常に少なく、同時に複数のセット検査
が低価格で可能であり、まさに臨床家が待ち望んだ検査と言えます。
犬呼吸器疾患パネルを例にとれば、検査材料は結膜や咽頭拭い液をア
イデックスに送付するだけで結果が数日から 1 週間程度で判明します。
例えば「 ケンネル・コフ 」はボルデテーラ及びその他の細菌またはウ
イルスの混合感染症ですが、細菌の分離同定などは非現実的であまり
実施されずに治療されてきました。ペットショップやシェルター経由
の犬ではその他の重篤なウイルス感染症の可能性も否定できませんで
したが、今後はこのようなケースに対する臨症上重要な検査項目とな
るに違いありません。犬呼吸器疾患パネルでは、ボルデテーラ、犬イ
ンフルエンザウイルス、犬ジステンパー、犬アデノウイルス 2 型、犬
ヘルペス、犬呼吸器コロナウイルスを同時に高い感度と特異性で検出
が可能で、治療及び院内感染制御にも威力を発揮してくれます。さら
に驚くべきことに犬下痢パネルでは、犬腸コロナウイルス、犬ジステ
ンパーウイルス、犬パルボウイルス、クロストリジウムエンテロトキ
シン A、ジアルジア、クリプトスポリジウム、サルモネラなどの検出
が同時にしかも低価格で可能です。このほかにも、従来検出率が非常
A case of chronic diarrheal dog
に低かった猫ヘモプラズマ( 旧猫ヘモバルトネラ )や猫糞便中のトリ
10
コモナスなども驚くほど簡単に検出可能です。他の RealPCR 検査に
病理の 1枚
非ご参照ください。今後は子犬や里親犬では「 混合ワクチン接種証明
A P i c t u r e o f Pat h o l o g y
T S のつぶやき
Tw e e t o f Te c h n i ca l S u p p o r t
関しても新しく発行された「 アイデックス検査サービス 2 0 1 1 」を是
書 」と同時に「 R e a l P C R 証明書 」を添付することが常識になるかも
しれません?さて、皆さまはどうお考えでしょうか。
サクラメントのアイデックス
ラボラトリーズの R e a l P C R
検 査 施 設 前 に て RealPCR
開発責任者の D r. C h r i s t i a n
Leutenegger さんと私。
©2011
IDEXX Laboratories, Inc.
All rights reserved.
9825-00
02
特 集
臨床検査値の
経時的測定
Measuring Laboratory Values
Over Time
Trending changes to monitor disease
疾患観察の傾向的変化
Dennis B. DeNicola
デニス D. デニコーラ
DVM, PhD, DACVP
獣医学教育担当主任、臨床病理学者、IDEXX Laboratories 社
Purdue University School of Veterinary Medicine 兼任教授
患者の臨床評価を補完するものとして、
6 ∼ 1 2 時間毎に追跡モニタリングを実施
幾 度 も 明 確 に 示 さ れ て き た。 し か し、
補充の場合、より頻繁にモニタリングす
に影響を及ぼすことから、重症患者のみ
検査のタイミングおよび検査頻度の特定
る必要があると考えられる。重度低カリ
ならず軽症患者の場合も患者重視の検査
には依然として混乱がある。答えは単純
ウム血症の場合、補充速度の変更を決定
をすることには明らかに価値がある。
であるが、あいまいでもある。それは目
するため、数時間毎にカリウム測定を実
の前の状況に依存する。前号の I D E XX
施する必要がある。
ラン リーバー先生( Dr. Alan Rebar )は、
進行性増悪疾患のモニタリング
検査を使用することを概説し、治療をモ
重篤な患者において、疾患の進行または
投与した薬剤
モニタリングの頻度
ニターする際のその価値を紹介した。こ
後退をモニタリングするには、C B C、電
濃縮赤血球
6 ∼ 12 時間
のデータは、我々に基礎疾患を検出する
解質を含めた臨床血液化学検査、尿検査
客観的情報を提供し、患者への効果的な
からなる基礎的なミニマムデータベース
治療を可能にする。
を考慮すべきである。嘔吐、下痢または
た。これらの検査結果は治療方針の決定
治療的補助時に行う
連続的臨床検査の例
K
GLU
どのような頻度で実施するのか?
「 いつ?」という疑問に対する明確な答え
は、臨床疾患発生時、および早期疾患検
出のための経時的な健常患者の評価をす
臨床検査を連続的に実施することは、
球反応の動態と、末梢血白血球の循環寿
ペットの健康状態に関する客観的情報
た各種項目の半減期および末梢血液にお
命は異なることをある程度知っておく必
ける循環時間を考慮しなくてはならない。
要がある。グルココルチコイド( 内因性:
例えば、犬において急性低酸素性または
ストレス時および疼痛時、あるはい外因
毒性肝細胞損傷が発生したものの、肝細
性:ステロイド投与時 )の影響と関連す
胞損傷は進行していない場合、A LT の平
るリンパ球減少症において、症状が現れ
常的に ALT 酵素活性レベルをモニタリン
が正常値に回復するには、グルココルチ
均半減期が 3 ∼ 4 日であることから、日
るまで最低 4 時間はかかる。リンパ球数
グすることには価値がない。通常 A LT
コイドの影響が消散してから最低 24 時間
を与えてくれ、このデータは臨床所見
を補完かつ補足する。連続検査の時期
は状況に依存する。健康診断プログラ
ムにおいて、年 1 回または年 2 回のス
クリーニング検査は、潜在性の疾患進
行に対して適切な検査を提示する。臨
床的徴候が増悪した重篤患者では、治
療の有効性を評価するため、1 日 1 回
あるいはそれ以上の頻度で臨床検査を
は必要である。循環寿命が通常は短い好
実施する必要があると考えられる。臨
が 1,000 U/L( 基準範囲: 10 ∼ 100 U/L )
中球および他の白血球では、劇的な変化
床的疾患が安定している動物におい
であり、肝細胞損傷が継続的に発生しな
が極めて短い時間( 数分から数時間 )で
て、連続検査の時期は、問題となって
い場合、A LT が約 5 0 0 U / L まで低下す
発生し、これらの白血球の変化をモニタ
間前の A LT 値の変化は最小ないし軽度
評価できる。どれほど劇的かつ急速に白
るには 3 ∼ 4 日間を必要とする。この期
リングすることにより、客観的に患者を
であり、解釈するのは困難である。しか
血球の変化が起きるのかを示すため、犬
し、3 ∼ 4 日経過しても ALT が依然とし
の膿胸に関し、次の臨床症例研究で提示
て 1,000 U/L に近い値または 1,000 U/L
いる検査パラメータの半減期または寿
命に依存する。様々な臨床的状況下で
連続的に臨床検査を実施することで、
我々は顧客に対して確実に最良の獣医
療を提供することができる。
する。
3 ∼ 6 時間
症 例 1
膿胸
連続的モニタリングを毎日実施することにより、
白血球像の変化を明らかにできる
高頻度に検査する必要がある。そのよう
デニス D. デニコーラ
な場合では 1 日に 2 回、3 回かそれ以上、
【表 1】
検査を繰り返す必要があると考えられる。
頻回に検査を実施する理由は主に 2 つあ
る。第一に、これらの検査は、治療が有
効かどうか確認するうえで有用である。
実施するのか?」という疑問に対する答
例えば、積極的な輸液療法にもかかわら
えは、さらに複雑であり、各臨床条件に
ず、CREA 値の上昇がみられる急性腎不
全の症例では、治療計画を大きく変更す
インスリン応答性を特徴付けるための連
る必要があると考えられる。第二に、客
続的( 一般的に 1 時間毎 )血糖値モニタ
観的な臨床検査データは、積極的療法の
リングといった既定のプロトコールは、
継続に関して難しい決定を下す際に必要
明確に定義することができる。しかし、
な情報を顧客に提供してくれる。上記の
他の連続的検査の大半では、特定の臨床
例で、臨床的徴候が増悪したにもかかわ
的状況に応じて、特定のプロトコールを
らず、クレアチニン値が上昇しない場合、
デザインする必要がある。貧血患者に輸
これらの所見は、ペットの治療を継続す
血するような状況においては、期待され
る事に対する希望感を顧客に与える。
た効果が得られたことを確認するための
重篤ではない患者の場合、治療的介入お
再評価が必要である。輸血した細胞が、
よび疾患進行をモニタリングするには日
貧血の基礎原因によって消失または破壊
常的検査のみで十分と考えられる。これ
されていないことを確認するためには、
らの状況において、より多く実施される
03
球の変化をモニタリングする場合、白血
は、検査頻度を特定するために、測定し
患進行の程度を客観的に立証するため、
る時である。「 検査はどの程度の頻度で
よって異なる。
臨床的に安定した疾患のモニタリングで
要 約
別の例として、炎症性疾患の症例で白血
3 ∼ 6 時間
発熱などの臨床徴候が悪化する場合、疾
検査はいつ、
損傷の継続かあるいは進行の根拠となる。
は細胞損傷時に急速に上昇する。この値
する必要がある。輸液療法による電解質
健常を定義する際、臨床スクリーニング
安定した疾患のモニタリング
検査の一部および検査理由を表 2 に挙げ
これまでに臨床検査データの有用性が
P RESS 誌( 2010 ; vol. 1 )において、ア
を上回る値を示す場合、これは、肝細胞
患者 : ボンゴ/ 2 歳/未去勢の雄/
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
受診理由 : 3 日間の努力呼吸、数週間にわたる嗜眠、
実施されることが多い
日常的検査の一部と検査理由
臨床検査
状況モニタリングの対象
ALT
肝細胞損傷
CREA
糸球体濾過
P
糸球体濾過および
ALB
血漿膠質浸透圧
CBC
重度の炎症
PCV
リン酸結合療法
溶血性貧血および輸血療法
体重減少および食欲不振。
既往歴 : ボンゴに有意な既往歴はなかった。ボンゴは、他に 2
匹の犬と暮らす屋内犬であり、現在、全ての予防接種
を受けている。外傷の既往はないが、最近、飼い主の
友人宅の牧草地で走らせた。
身体的診察 : ボンゴは、体重が 1 9 .7 k g であり、ボディ ・ コンディ
ション・スコア( BCS )は 2 / 5 であった。粘膜は暗い
ピンク色であり、毛細血管再充満時間は 2 秒未満であっ
た。体温は 40.2 度であった。心拍数は 160 拍 / 分であ
り、呼吸数は 1 分当たり 84 呼吸であった。聴診により、
呼気時に複数の葉でラ音が確認され、胸部の右側およ
び左側に液体線が認められた。
評価 : 胸水が疑われたため、ボンゴには緊急で X 線撮像を実
施し、胸腔内に大量の液体を認めた。治療および診断
【表 3】
血液 学検査
検査項目
数値
RBC
HCT
HGB
MCV
MCHC
WBC
BAND
NEU
LYM
MONO
EOS
PLT
5.80
39.8
13.3
68.6
33.4
32.8
10.82
16.07
3.61
1.97
0.33
DVM,PhD,DACVP
単位
M/μL
%
g/dL
fL
g/dL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
適当値 μL
評価
高値
高値
高値
高値
低値
基準範囲
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
5.50 - 8.50
37.0 - 55.0
12.0 - 18.0
60.0 - 75.0
32.0 - 36.0
6.0 - 17.0
0.00 - 0.30
3.00 - 12.00
3.00 - 5.00
0.15 - 1.35
0.10 - 1.25
200 - 900
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
※適切な数の血小板、カウントするには凝集しすぎた血小板、
巨大血小板、少数の 2+ 中毒性好中球、反応性リンパ球
目的のため、約 900mL の胸水を採取した。
【表 2】
診断計画 : 胸水の細胞診および微生物学的評価、C B C、一般的な
血液化学スクリーニングと画像診断が必要であると考
えられた。
04
症例 1:膿胸
数値
GLU
BUN
CREA
P
Ca
Na
K
Cl
tCO2
52
8
0.4
5.4
9.4
141
4.3
112
20
アニオンギャップ 13.7
TP
7.0
ALB
2.2
GLOB
4.8
A/G 比
0.5
ALT
26
ALKP
105
GGT
6
総ビリルビン
0.1
CHOL
185
AMYL
951
LIPA
485
単位
評価
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mmol/L
mmol/L
mmol/L
mmol/L
mmol/L
g/dL
g/dL
g/dL
低値
U/L
U/L
U/L
mg/dL
mg/dL
U/L
U/L
低値
低値
高値
低値
高値
低値
基準範囲
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
67 - 132
7 - 32
0.5 - 1.5
2.2 - 7.9
9.7 - 12.3
138 - 148
3.5 - 5.0
107 - 117
13 - 24
9.0 - 18.0
4.8 - 6.9
2.3 - 3.9
1.7 - 3.8
0.8 - 1.9
03 - 69
20 - 157
05 - 16
0.1 - 0.8
125 - 301
378 - 1033
104 - 1753
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
た。縦隔および心嚢膜は広範に肥厚し、全体的に複
症細胞によるグルコース消費 )と関連する可能性が最も高かった。
数の小結節を伴う、灰色がかった褐色組織を有して
いた。この組織はその後、良性の絨毛様中皮過形成
画像診断
であることが判明した。膿胸の原因( 異物 )は同定
胸部 X 線像および C T
スキャンは、顕著な胸
水および肺葉の拡張不
全を示した。胸水貯留
により胸膜裂のライン
( フィッシャーライン )
【 図 1 】胸部の腹背 X 線像:
肺の虚脱とフィッシャーライン( 矢印 )に注目。
【 図 2 】多くの多形性細菌
(フィラメント型など)
と関連する多数の変性好
中球およびマクロファー
ジ( 右側 )。対物 100 倍
の油浸視野、ライト染色。
が認められた。縦隔の
拡張も認められた。心
陰影は、最初の X 線像
では可視化されず、そ
の後の X 線像では可視
化されたものの、不明
瞭であった。
胸水は化膿性であり、
血液色を帯び、T P は
4 .6 g / d L であった。細胞充実性は高く、主に、軽度に変性した極
めて多くの好中球および中等数の活性化マクロファージが含まれ
ていた。Actinomyces 属、Nocardia 属および Corynebacterium 属
顕著な左方移動と中等
度の中毒性変化を伴う
染と見られる。軽微な単球増加症は、マクロファージに対する要
求の存在またはストレスに起因していた。臨床像に基づくと、根
底にあるストレス( グルココルチコイドの影響 )を裏付けるリン
パ球減少症がみられなかったことは意外であり、好中球増加症と
左方移動の程度と共に、甚急性炎症よりむしろ、進行性炎症の存
在を裏付けていた。
血小板数は適切であっ
た。巨大血小板の出現
は骨髄応答を示唆しており、その骨髄応答は、本症例においては
炎症と関連した血小板消費と関連する可能性が最も高い。
[ 解釈 ]有意な高グロブリン血症を伴う軽微な高タンパク血症
は、全身性の抗原刺激を裏付けている。軽微な低アルブミン血症
05
質( 主にアルブミン )と結合していた。低血糖値は、重度の炎症( 炎
低値であった。炎症性
好中球増加症は、重度の炎症を裏付けており、原因として細菌感
血小板系
正中切開を実施したが、ヘルニアは検出されなかっ
ヘマトクリットは正常
疾患による貧血が進行しつつあると考えられた。
白血球系
虚脱が判明し、横隔膜ヘルニアが示唆された。胸骨
連する可能性が最も高かった。総カルシウムの約 5 0 % はタンパク
細胞診
臨床検査
赤血球系
による )に一致する。総カルシウム低値は、低アルブミン血症と関
微生物などの放線菌目の細菌を示唆する、多くの細胞内および細
胞外の混合菌体( 球菌、湾曲桿菌、フィラメント型など )が認め
られた。複数の大型細菌凝集塊または細菌のコロニーが認められ
た。リンパ球およびその他、種々の炎症細胞が少数認められた。
[ 解釈 ]重度の敗血症性、混合好中球性およびマクロファージ
性炎症。
治療計画
ドレナージのため、胸腔の両側に胸腔チューブを留置し、4 0 0 ∼
5 0 0 m L の温めた生理食塩水を用いて、洗浄液が清澄化するまで胸
腔洗浄を行った。抗生物質療法では、アンピシリン( 2 2 m g / k g を
1 日 2 回静注 )、メトロニダゾール( 15mg/kg を 1 日 2 回静注 )、
およびエンロフロキサシン( 1 0 m g / k g を 1 日 1 回静注 )を用いた。
疼痛管理では、カプロフェン( 2 .2 m g / k g を 1 日 2 回静注 )および
ヒドロモルホン( 必要に応じて 0 .0 5 m g / k g を 6 時間毎に投与 )を
投与した。胸水を微生物検査に供した。
されなかった。手術中に重度の失血が発生し、胸腔
内出血が持続した。その結果、
血中血球容積( PCV )
90
80
70
60
50
40
30
20
10
が 1 4 % まで低下した。輸血後、P C V は 3 2 % で安
0
定した。
ボンゴの臨床状態および血液データに関し、連続的
モニタリングを毎日実施した。手術から数日後に胸
桿状核好中球
好中球
WBC×1000 (μL)
血液化学
スクリーニング
体液を収集してから実施した超音波検査により、肺
1
2
3
4
5
6
7
8
9
入院経過日数(日)
【表 5】成熟好中球および桿状核好中球の連続的変化
腔チューブを取り除いた検査に供された胸水から
健常時において、犬の好中球の寿命はわずか 8 ∼ 1 0
時間である。しかし、炎症時では寿命はさらに短縮
8
し、その結果、疾患経過の期間中は劇的な変化がみ
りうる。ボンゴにおける白血球の変化を下記にまと
7
6
5
4
3
2
1
0
られる。炎症の要求や疼痛やストレスに対する生理
学的応答と関連する他の白血球の急速な変化も起こ
EOS
9
た。ボンゴは順調に改善した。
連続的血液データ
MONO
LYM
は、最終的に Corynebacterium 属の細菌が培養され
WBC×1000 (μL)
【表 4】
血液 化 学検査
は、活動性炎症( アルブミンが陰性の急性相タンパクであること
1
2
3
4
5
6
7
8
9
入院経過日数(日)
【表 6】LYM、MONO および EOS の連続的変化
めた。
好中球および桿状核好中球の変化
単球の変化
1 日目および 2 日目の好中球増加は、数日間、炎症が継続したことを裏
2 日目までみられた軽度の単球増加症は、内因性グルココルチコイドの
答が追いついていないことを示した。3 ∼ 5 日目、著しい左方移動がなく
可能性がある。3 ∼ 5 日目には、グルココルチコイドで典型的に認められ
に対する組織の要求は低下しており、好中球の産生および放出は共に低
加症はマクロファージに対する組織の要求と関連していた。このことは、
下していた。全体的な変化は、治療が奏効したため、徐々に症状が改善
膿胸および手術と関連する炎症性壊死組織片と損傷組織を清澄化する必
したことを裏付けていた。微生物検査の結果は 7 日目になってやっと得
要性の理解に基づくと、明白である。
付けている。初期の左方移動( 桿状核好中球 )は、組織の要求に骨髄応
なり、骨髄応答が適切であることを示していた。7 ∼ 9 日目まで、好中球
影響と関連するか、マクロファージに対する組織の要求に起因していた
た単球増加症よりも高度の単球増加症がみられた。この期間中、単球増
られた。
リンパ球および好酸球の変化
ストレスと関連するリンパ球減少症が最初に認められなかったのは、抗
原刺激が優位な影響を及ぼしたことに起因する可能性が高かった( リン
パ球増加症の可能性 )。手術翌日( 4 日目 )の重度のリンパ球減少症は、
外科的処置に関連した疼痛に起因する可能性が最も高く、抗原刺激応答
症例転帰
ボンゴは臨床的に徐々に改善し、6 週間は運動を控えるよう指示を
出され飼い主の元へ返された。6 週間後の検査において、身体検査、
X 線像評価および臨床検査データで有意な異常はみられなかった。
によるリンパ球増加症を上回っていた。9 日目( 退院する 2 日前 )まで観
膿胸の生因は発見されなかった。しかし、近所の野原にて高茎草に
察された好酸球減少症( ストレス時にみられることが多い白血球分布パ
曝露されていたことから、イネ科の芒( のぎ )が異物となって病変
ターン )も、グルココルチコイドの影響を裏付けていた。
形成に関わっていたことが疑われた。
06
症例 2
約 6ヶ月 間 に わ たる
慢 性下 痢 症 状を主 訴に
来 院 し た 犬 の1 例
た け う ち 動 物 病 院( 神 奈 川 県 ) 竹 内 和 義
患者 : はち/ 3 歳 5 カ月齢/未去勢の雄/
シェットランド・シープドック
受診理由 : 慢性の下痢が治らない。下痢止め処方を受けると下痢
は少し良くなるが、中止するとまた下痢になる。便は
水様で、色はやや白っぽい。今日は嘔吐が 2 度あり、
食欲が低下してきた。 病歴 : 約 6 か月前から下痢がはじまった。発病当初より近医
で一般的な下痢治療を受けていた。下痢止めの薬を飲
むと下痢の症状はある程度改善したが、完全には良く
ならなかった。治療を中止すると直ぐに下痢が再発し
た。フィラリア症予防、狂犬病および混合ワクチン接
種は毎年確実に行っている。過去に特別な病歴は無い。
一般身体検査 : 初診時の体重は 7.85kg( 発病する前は 10kg 近くあっ
たとのこと )。BCS 2/5 、体温 38.5 度、脱水レベルは
5% 未満( ツルゴール )、CRT < 2.5 秒、脈拍は正常、
可視粘膜は正常。外見上は、健康的で活発に見えるが、
DV M
は消化器障害の重症度を推定する指標の一つとなる。犬の血清アミ
【表 7】
血 液学 検 査
検査項目
数値
単位
RBC
Hgb
PCV
MCV
MCH
MCHC
7.5
16.4
44.1
59.2
22.0
37.2
M/μL
g/dL
%
fL
Pg
g/dL
WBC
Band-N
Seg-N
Lym
Mon
Eos
Bas
Plat
9.00
0.00
6.57
0.99
0.99
0.45
0.00
277.00
評価
基準範囲
(
(
(
(
(
(
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
K/μL
(
(
(
(
(
(
(
(
5.50 - 8.50
12 - 18
37 - 55
60 - 80
19.9 - 24.5
31 - 37
6.0 - 17.0
0 - 1.0
3.9 - 12.0
0.8 - 3.6
0.1 - 1.8
0 - 1.9
0 - 0.2
20 - 50
ラーゼ及びリパーゼ濃度は「 膵炎診断 」に対する特異性は低いが、
血清リパーゼが 4 ,0 0 0 U / L を超える場合には、他の検査所見およ
)
)
)
)
)
)
)
)
赤血球系
白血球系
血小板
られなかった。腸蠕動はやや亢進状態であった。
血液化学検査
炎症性疾患群の鑑別とそれにふさわしい治療法を模索
する必要があると考えられた。
診断計画 : CBC、血液化学検査、糞便検査、腹部 X 線検査、腹部
超音波検査などの一般的スクリーニング検査に加え、
アイデックスラボラトリーズが提供する Spec cPL™、
c - TLI、c - PLI、コバラミン、葉酸セット、および糞便
の R e a l P C R ™ :犬下痢パネル検査( 表 1 1 参照 )を
c - T LI は膵外分泌機能不全の鑑別( 膵外分泌細胞マス
量の推定 )、c - PLI は膵炎の有無の確認、コバラミンは
回腸( 末端 )の吸収能力の評価、葉酸は腸内細菌の過
単位
評価
TP
Alb
Glob
ALT
ALP
Glu
TCho
TG
BUN
Creat
Amy
Lip
Na
K
Cl
6.2
3
3.2
52
97
105
116
39
18.6
0.9
1136
3059
150
4.3
112
g/dL
g/dL
g/dL
U/L
U/L
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
mg/dL
U/L
U/L
mEq/L
mEq/L
mEq/L
低ボーダー
低ボーダー
高値
基準範囲
5.0-8.0
2.6-4.0
)
)
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
10-100
47-254
75-128
110-300
30-140
8-28
0.4-2.0
500-2000
245-1585
140-160
3.5-5.8
105-122
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
思われる。しかし、これらを裏読みすると本症例は「 新患 」で、
シープドック( 高コレステロール血症を示す傾向が高い犬種 )で
ジアルジア、クリプトスポリジウム、サルモネラな
痢に対する非侵襲的診断手技として非常に有効な手段
で、当院では慢性下痢症に対する検査としてルーチン
化しつつある。
犬膵特異的リパーゼ
33
(Spec cPL™)
犬トリプシン
75.5
様免疫活性(c-TLI)
コバラミン
< 150
葉酸
2.9
μg/L
正常
(
≦ 200
)
ng/mL
上昇
(
8.0 - 43.6
)
ng/L
μg/L
低下
低下
(
(
252 - 908
7.7 - 24.4
)
)
臨床検査
高い検査であるため、c - T LI が上昇を示しているが、膵炎は除外
可能と考えた。また c - T LI 値の上昇によって膵外分泌機能不全は
除外できた。
初診時のスクリーニング検査は、患者の全身状態を把握する意味で
重要である。本症例のような慢性の消化器系疾患では、他の疾患の
併発を考慮してスクリーニング検査項目を選択する必要がある。当
濃度をスクリーニング項目に必ず入れている。猫の場合はこれらの
酵素は消化器疾患に対して有用な指標にはならないが、犬の場合に
【表 10】
のボーダーライン上にあることは、脂質の吸収不良または消化不
コバラミン
良が潜在する可能性は否定できない。リンパ管拡張症や吸収不良
の重要な指標として今後も経過を注視する必要がある。リパーゼ
は一般的に 3,000 U/L 程度では膵炎を疑うレベルとは考えにくい。
B U N は消化管出血の指標になることがあるが本症例は基準範囲
内であった。慢性の小腸性下痢を示す犬において最も注目すべき
血液化学検査項目に T P と A l b がある。本症例は若干低値ながら
正常範囲内にあった。電解質バランスは正常に保たれていた。
腹部超音波検査
腹部スクリーニング検
査では特筆すべき異常
超音波による腹部スク
リーニング検査所見で
は、十二指腸、回腸の粘膜層の軽度の肥厚が観察されたが、基準
値を上回るレベルではなかった。膵臓も特筆すべき変化は認めら
れなかった。その他の腹腔内マス、リンパ節の腫大なども観察さ
れなかった。
基準範囲
S p e c c P L ™は正常範囲であった。S p e c c P L ™は特異性がかなり
所見は認められなかった。
院では、消化器系疾患を伴う犬には血清アミラーゼおよびリパーゼ
07
評価
低
下
( 消化器パネルおよび R e a l P C R 下痢パネル )は慢性下
単位
は、コレステロールおよびトリグリセリドが基準範囲内の低値側
X 線検査
イルス 2 、クロストリジウム・エンテロトキシン A、
の D N A を的確にしかも安価に検出可能で、この両者
望 す る と、 リ パ ー ゼ
健常時のコレステロール値は確認できないが、シェットランド・
(
(
数値
血液化学検査結果を一
が基準範囲を上回る以外に特筆すべき変化は認められないように
ロナウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬パルボウ
どの、各種の病原性ウイルス、細菌( 毒素 )
、原虫類
準範囲内であった。
検査項目
正
常
た R e a l P C R による犬下痢パネル検査では、犬腸管コ
数値
若干低下しているが基
血清学的犬消化器パネル検査 【表 9】
葉
酸
剰増殖および吸収不良の評価の指標の一つとなる。ま
検査項目
て、基準範囲内で、形
リーズが提供する Spec
cPL™、c - TLI、コバラミン・葉酸検査セットの結果を( 表 9 )に示す。
上
昇
依頼することとした。
【表 8】
血 液化 学 検査
ほぼ全ての項目におい
態学的にも特筆すべき変化は無かった。
評価 : 問診および一般身体検査によると、「 はち 」は 6 カ月に
比較的維持されていることが判明した。ただし、各種
MCHC の僅かな上昇
があるが、特筆すべき変化とは考えられなかった。
やや削痩が目立つ。触診上は浮腫や腹水の徴候は認め
およぶ慢性下痢症状にもかかわらず、一般臨床状態は
M C V の僅かな低下と
アイデックスラボラト
消化器パネル
であり、このような場合に S pec cPL™ 検査を依頼し膵炎の確定診
断を行っている。
直接法、浮遊法の範囲
内においては検出できなかった。
び病歴や臨床症状と総合することで膵炎を疑うことがある程度可能
)
)
)
)
)
)
線虫類および原虫類は
糞便検査
上 昇
正 常
低 下
上部小腸における
細菌過剰増殖
上部小腸の
細菌数の増加
小腸細菌過剰増殖
または回腸粘膜の疾患
小腸内の細菌
過剰増殖を考慮
小腸の細菌
過剰増殖を考慮
血清 TLI 濃度を
測定し膵外分泌
機能不全を除外
正常葉酸値に伴う
コバラミン上昇の
意義は無い
コバラミン&葉酸が
正常値でも小腸疾患の
除外はできない
小腸上部に
影響を与える疾患
上部小腸に影響を
与える疾患
広範の
粘膜疾患を考慮
IBD、リンパ腫、
真菌性疾患を疑う
IBD、リンパ腫、
真菌性疾患を疑う
IBD、リンパ腫、
真菌性疾患を疑う
回腸粘膜の疾患
血清 TLI 濃度を
測定し膵外分泌
機能不全を除外
*Jorg M. Steiner et.al : Small Animal Gastroenterology, Schlutershe, 2008.
本症例では、血清コバラミン及び葉酸の両方が低下しているため広
範な小腸粘膜疾患が考えられ、IBD( 炎症性腸疾患 )を強く疑える
検査結果であった( 表 1 0 )
。超音波所見及び年齢などからリンパ
腫の可能性は低いが、経過を注意する必要があると考えた。
08
症例 2 :約6ヶ月間にわたる慢性下痢症状を主訴に来院した犬の1例
A
Real PCR™(犬下痢パネル)【表 11】
検査項目
犬ジステンパー
ウイルス
Cryptosporidium sp
Giardia sp
C. perfringens
enterotoxin A
Salmonella sp
犬腸管コロナウイルス
犬パルボウイルス2
数値
評価
-
+
-
陽性
基準範囲
(
(
(
(
(
(
(
(
(
-
)
)
)
)
)
)
)
)
)
IBD の病理組織学的分類 病理組織学的特徴
リンパ球プラズマ細胞性腸炎 (LPE)
最も一般的なタイプ
バセンジー腸炎
おそらく LPE の亜種
ソフトコーテッドウイートンテリアの
家族性 PLE および PLN
おそらく LPE の亜種
リンパ球プラズマ細胞性腸炎 (LPE)
単独または LPE と併発
RealPCR による犬下痢パネル
性 ウ イ ル ス、 細 菌、
原虫などは、一次診療施設で簡便に診断することは不可能であっ
出が可能となった。一般的な糞便検査によるジアルジアの検出率
は非常に低く検出されるものは氷山の一角と考えられていたが、
P C R 検査で手軽に検査可能となったことは、一次診療における
下痢症に対する診断精度の向上に大きく貢献していると考えられ
る。本症例は犬腸管コロナウイルスのみが陽性を示した。
診断のまとめ
症 例
犬 / 日本犬 / 避妊済み雌 / 1 歳
腹腔内腫瘤の細胞診所見
マクロファージを主体とした炎症細胞と矢印で示す断
片化した無構造の線維状異物が多数混在して観察され
しかし猫の FIP 感染の続発症の報告あり
局所性腸炎
おそらく、肉芽腫性腸炎と同じ
好中球性腸炎
犬は稀、猫も一般的でない
ボクサーに最も多く発生:おそらく感染性の因子が関与
*Jorg M. Steiner et.al : Small Animal Gastroenterology, schlutershe, 2008.
【表 13】
慢性感染
● ジアルジア
● マイコバクテリウム
● ヒストプラズマ
● プロトテカ
● トキソプラズマ
● ピチウムおよびその他の接合菌綱の真菌
病原性細菌
● キャンピロバクター属
● 病原性大腸菌属
● サルモネラ属
● リンパ腫
● 特発性
● リンパ管拡張症
たが、R e a l P C R の出現によって複合的に多くの病原微生物の検
P a t h o l o g y
成 / 腹腔内に腫瘤を認める
肉芽腫性腸炎
腸の慢性炎症の原因
o f
現病歴:元気・食欲の低下、腹壁皮膚における瘻管形
特発性腸炎としては稀:
好酸球性腸炎(EE)、胃腸炎 (EGE)
腸大腸炎 (EEC)、胃腸大腸炎 (EGEC)
組織球性潰瘍性大腸炎
下痢に関連した病原
コメント
【表 12】
P i c t u r e
ます。これら無構造の線維状異物は人工繊維物である
… 続きは アイデックスラボラトリーズ H P
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食物アレルギー
他の消化管疾患の随伴症として
ベットテストの隠れブレーン
*Jorg M. Steiner et.al : Small Animal Gastroenterology, schlutershe, 2008.
症例転帰
日々、進化していく時代の中、ベットテストは発売より10
ON のままだとディスクに傷がついてしまうので、必ず電
年以上も変わらずフロッピーディスク
(以下“ FD”)で起動
源を切った状態で行ってください。
I B D の確定診断には病理組織学的所見も必須であるが( 表 1 2 )、
本症例は、非侵襲的な検査手法によって I B D と仮診断し、I B D に
特化した治療( グルココルチコイド、メトロニダゾール、加水分解
しています。いまどきFD なんて・・・と思われるかもし
鏡または開腹による生検を実施することは非現実的である。本症例
蛋白食、プロバイオティクスなど )を適用した。これらの治療法を
れませんが、あの1枚でベットテストの動作やファイル保存、
時間に余裕があるときはFD ドライブのお掃除もお勧めで
は、臨床検査結果( 血液学検査、血液化学検査、画像診断など )と
適用することで下痢症状は改善し良好に数ヶ月間維持可能であった
スライドの有効期限管理など重要な役割を果たす欠かせ
す。納品時にお渡ししたクリーニ
同時に消化器パネル検査および糞便材料による R e a l P C R T M 下痢
が、グルココルチコイド( プレドニゾロン )を減量すると下痢症状
ない存在なのです!
ング用FD
(青色)での清掃やドラ
パネル検査による非侵襲的な診断手法を主体に診断をすすめた。消
が再発してしまうためにグルココルチコイドの減量が困難で、最終
化器パネル検査では、膵炎及び膵外分泌機能不全はほぼ否定され、
的にステロイド性の肝臓障害が悪化した。肝臓障害および臨床症状
FD は外からは見えませんが内部に円盤状のディスクが
けるなど、ささやかなクリーニン
血清コバラミンおよび葉酸の両方の低下により広範囲の小腸粘膜の
の悪化を機に主体となる治療薬をグルココルチコイドからシクロス
グが意外に効果的です。
ポリンに変更したところ現在良好にコントロール中である。本症例
入っています
(銀色の部分をスライドすると中の一部が見え
炎症を伴う I B D である可能性が示唆された( 表 1 0 )。小腸の慢性
炎症の原因として細菌、真菌、原虫などの感染の有無を確認する必
は、シクロスポリン療法に移行後の比較的症状が安定した段階で、
要があり、Real PCR 法が利用できるようになったことで( 全ての
去勢手術の機会を利用して内視鏡による生検を実施した。その結
病原性微生物はカバーできないながら )慢性下痢に関連した感染性
果、胃には明確な病変は認められなかったが、十二指腸、回腸およ
因子の診断精度が向上した。本症例では犬腸管コロナウイルスのみ
び回盲部には慢性の中等度リンパ球形質細胞性萎縮性小腸炎の所見
が陽性であったが( 表 1 1 )、犬腸管コロナウイルスは単独感染で
が、結腸、直腸においては慢性中等度のリンパ球形質細胞性カター
は有意な障害を宿主に及ぼさず、複合感染によって病状を増悪させ
ル性大腸炎等の病理組織学的所見が得られた。病理診断医
(アイデッ
る可能性が指摘されている。本症例は下痢を引き起こす主要な感染
クス診断医:三井一鬼 )によるコメントでは「 小腸および大腸に組
性病原体の複合感染が否定できたことにより、除外診断として特発
織学的に正常範囲を逸脱した病変が観察される 」と記され、今回初
性炎症性腸疾患( IBD )の存在が強く疑われた。
診時に私が行った非侵襲的な検査手法による診断が確認された。
一次臨床の現場では I B D を疑った症例すべてに対して気軽に内視
09
イブ内に向かってエアーを吹きか
ます)。このディスクに傷や汚れがつくと読み込みがうまく
できなくなり、機械が立ち上がらないなどの原因になりま
変わらないからこそシンプルで使
す。ということは・・・起動がうまくいかないとき、予備
いやすい・・・それがベットテス
のものに交換することで問題が解消する可能性もあるとい
トの魅力ではないでしょうか?!
うことです! FD を交換する際は、ベットテストの電源が
テクニカルサポートお問い合わせ先
平日フリーダイヤル[9 : 00 ∼ 20 : 00]
土曜日[9 : 00 ∼ 17 : 30]
0120 - 71 - 4921 0422 - 71- 5351
10