2008年05月号男らしさ・女らしさ

トランスジェンダーのための月刊情報誌
発行者:みちよ
2008年5月号
(通巻第38号)
■男らしさ・女らしさ
皆さん、こんにちは。みちよです。今回は男らしさ・女らしさということについて
お話させて頂きたいと思います。さっそくですが、男らしさ・女らしさとはいったい
何でしょうか?
辞書的に定義すれば、男らしさとは『男性とはこういうものだ、こうあるべきだ、
と一般的に思われている特徴』、女らしさとは『女性とはこういうものだ、こうある
べきだ、と一般的に思われている特徴』とでもいえるでしょう。
では、この男らしさ・女らしさは自然のうちに作りあがってゆくものでしょうか?
ここに関しては、生物学的に自然にできあがるものだという意見もありますが、私は
決してそれだけではない、いや、それよりももっと別の要素で決まってくると考えて
います。
で は、何に よ っ て作り あ が って ゆく ので しょ うか。 フラ ンス の哲学者Simone
Lucie-Ernestine-Marie-Bertrand de Beauvoirの言葉に『人は女に生まれるのではな
い、女になるのだ。』というものがあります。この言葉は女らしさというものは社
会、文化によって作り上げられることを意味しています。ボーヴォワールは女性に対
してだけ言及していますが、現実には男性に関しても同じような状況であろうと思い
ます。こういったところにその本質があるのではないでしょうか。
つまり生まれた時には男も女もなく真っ白な状態の子供に対し、周りの大人たちが
あなたは男だ・女だ、男らしく・女らしくと決めつけ、教え続け、求め続けること
で、やがてそれに従った男らしさ・女らしさを否応無しに植え付けられていくので
す。自分の周りではそんなことは行われていないと仰る方、考えてみてください。女
の子が生まれたら女の子向けのおもちゃを、男の子が生まれたら男の子向けのおも
ちゃを買い与えませんか?買い与えるべきおもちゃが女の子向けであるか男の子向け
であるかを誰が決めたのでしょう?親であり、大人ではないでしょうか。そういった
ことから既に男らしさ・女らしさの強制は始まってしまっているのです。
『男の子だから泣かないの!』『女の子なんだからおしとやかにしなさい!』なん
て言葉も良く耳にする気がします。誰がそうあらねばならないと決めたのでしょう?
大人であり、大人の属する社会であり、文化ではないでしょうか。『男は家族を養う
ために一生働き続けて当然』『女は結婚したら仕事をやめて家で家事を行うのが当
然』なんて誰が決めたのでしょう。社会や文化ではないでしょうか。こういった『ら
しさ』を決めつけ強制する文化や社会はあってはいけないのです。
女らしい方、男らしい方が批判されることではありません。しかし、女らしくない
方、男らしくない方も同様に批判をされるべきではないのです。といいますより、そ
もそもが、こういったことに限らず何かを枠にはめてしか考えられない大人になって
はいけません。物事は全てにおいて柔軟に考えねばならないのです。最近の若い方は
随分と柔軟な考え方ができる方が増えてきて素晴らしいと思いますが、そこを上から
枠で押さえつけるご年配の方がまだまだ沢山居られるので困ったものです。
男らしさ、女らしさなんてものを他人に求めるのは、止めにしませんか?
来月もよろしくお願いします...