20)ABC検査~胃がんリスク検診

A BC 検 診 ∼胃がんリスク検診∼
検査室 課長
佐藤 恵子
日本人の死因の 1 位は「がん」ですが、その中でも胃がんは、
肺がんに次いで 2 番目に多いがんで、毎年 5 万人がなくなられ
ています。そのため早期発見や診断が重要と言われています。
ABC検診とは?
耳より情報
検査室
ABC分類判定結果
血液中のヘリコバクターピロリ抗体検査でピロ
リ菌感染を、ペプシノゲン検査で胃粘膜の萎縮程
度を調べ、2 項目の検査結果から将来がんになり
やすいかどうかを A, B, C に3分類する検診です。
採血のみでできる胃がんリスク検診です。食事
の影響を受けませんので、随時検査が可能です。
ヘリコバクターピロリ抗体検査
胃がヘリコバクターピロリ
菌に感染しているか調べる検
査です。
ヘリコバクターピロリの検
査は組織検査、呼気検査、便
検 査 な ど 種 々 あ り ま す が、
A BC 分類の場合は血液中の抗
ヘリコバクターピロリ菌
体を測定します。感染してい
ると抗体が増加します。
※ヘリコバクターピロリ抗体 10U/mℓ以上が陽性。
ペプシノゲン検査
胃粘膜の萎縮(老化)の
状態を客観的に調べる検査。
ペプシノゲンは胃から分泌
される蛋白質消化酵素「ペ
プシン」のもとになる物質
です。
ペプシノゲンにはⅠとⅡ
があり、
Ⅰは胃底部から、
Ⅱ
は胃全体から分泌されます。
胃粘膜の萎縮の進展に伴ってペプシノゲンⅠ及び
Ⅰ/Ⅱ比が低下します。
※ ペプシノゲンⅠ70 ng/mℓ以下 かつ Ⅰ/Ⅱ比
3.0 以下をペプシノゲン検査陽性とします。
出典:生命科学教育
シェアリンググループ
胃がんとピロリ菌感染の関係
ピロリ菌は胃酸を中和するウレアーゼという酵
素を出して胃の中に生息しています。
ピロリ菌が胃粘膜に炎症を起こし、胃潰瘍や十
二指腸潰瘍になりやすくなることが確認され、慢
性萎縮性胃炎と胃がんの発生に密接な関係がある
ことがわかっています。
ヘリコバクター・ピロリ抗体検査
ペプシノゲン
検 査
陰性
陰性
陽性
A タイプ
B タイプ
陽性
C タイプ
胃の病気のかかりやすさ
A タイプ
<
B タイプ
<
C タイプ
* A
タイプ
健康的な胃粘膜で、胃の病気になる
危険性は低いと考えられます。
* B タ イ プ
胃潰瘍・十二指腸潰瘍などに注意し
ましょう。一度、胃の検診(X線撮影
または内視鏡検査)を受けましょう。
* C タ イ プ
胃がんなどの病気になりやすいタイ
プ。内視鏡による定期的な検査を受け、
胃の病気の早期発見・早期治療に努
めましょう。
ABC分類対象外
* E タイプ
ヘリコバクター・ピロリ菌除菌後の
方は、E タイプ(除菌群)として、定期
的に胃の検診
( X 線撮影または内視鏡
検査)
を受けましょう。
下記の方は ABC 健診では、正しい判定結果が
得られない場合があります。
● 明らかな上部消化管症状のある方
● 上部消化管疾患治療中の方
● 胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬)
を
服用中の方
● 胃切除後の方
● 腎不全の方
● ヘリコバクターピロリ菌除菌治療を受けた方
平成26年1月1日
平成26年3月1日 第161号
第162号
3