コチラから - 生活クラブ

第 2 部 <シンポジウム>
「たすけあい・支えあい社会」と協同組合の実践
コーディネーター 石毛鍈子
◇プロフィール
1997 年まで飯田女子短大教員
1990∼1996 年まで町田市高齢社会対策検討委員会委員
1992∼1998 年までアビリテイクラブたすけあい理事長
現在:市民福祉サポートセンター代表、市民がつくる
政策調査会代表運営委員
石毛
こんにちは、第二部はシンポジウムでございます。資料を中心に、これからのシンポジウムを
進めさせていただきます。本日は、大変たくさんの方がご参加くださっています。参加メンバー表をご
覧いただきますと、生活クラブ生協関連の方々が、全国からご参加いただいていていることがおわかり
いただけるかと思います。こうしてお集まりいただいた中で、今日のシンポジウムを進めていくことに
なります。
私は NPO 法人「市民福祉サポートセンター」という、市民が取り組む福祉の活動について中間支援組
織としてできることをしていきたいという目的をもった団体で代表をしています。高齢化が進む地域社
会の中で、高齢者として地域社会の中で人生を全うしていけるような、そうした活動を進めていきたい
と、今年で「NO!寝たきりデイ」を開催して 17 年目でしょうか。そういう活動をしてきております。こ
れで自己紹介に代えさせていただきます。
これからシンポジウムですが、今日は前にたくさんの方にお座りいただいておりますが、
『たすけあ
い・支えあい社会』と協同組合の実践がメインテーマです。この実践を前に並んだ方々からご紹介して
いただきながら、栃本さんの講演の中からも承りましたような、政策提言と言いますか、提言まではい
かなくても何が課題かというところを共有化できたらいいと思っております。
今日は全国からたくさんおいでいただいております。先ほど鈴木さんのご挨拶にありましたように、
神奈川では生活クラブ生協からスタートした福祉活動への取り組み・市民事業の取り組みが 30 年の歴史
を持っているということ。その長さや広がりは、それぞれの活動・地域によって違うわけですから、今
日は最初にパネラーの方からその活動実情についてご紹介いただく、ご理解いただくということをベー
スにしまして、そして今何が課題としてあるのかというところをお話しいただき、そしてまた課題解決
にむけた方向性を求めていく、いきたい、いけるのか、ここらあたりは難しいことだと思いますが、こ
こらあたりを発言いただきながら、皆様とこれからの元気を共有できれば、今日のシンポジウムは正解
かなと思って、進めさせていただきます。なかなか難しいという思いはあるんですが、ご協力のほどお
願いいたします。
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私の方から簡単にシンポジストの方々のご紹介をさせていただいて、その後それぞれ5人の方から 15
分、お話を伺わせていただきます。その後、今日は保谷のパスレルからと、山形の生協のグループホー
ムの取り組みも、ご紹介していただけますので、そのあと 40 分程度、質問と会見交換の場を持っていき
たいと思っておりますので、参加の皆様からご発言いただきたいということを含めまして、このシンポ
ジウムにご参加いただければと思います。よろしくお願いします。
私の方から簡単にシンポジストの方々のご紹介をさせていただきますが、順序から行きますと「福祉
W.Co の実践から」というタイトルで、大和市で生活支援ネットワークと働く場をつくってこられたワー
カーズ・コレクティブ「想」の理事長をされておられます田丸さんです。
そのおとなり、神奈川の福祉クラブ生協でいち早くワーカーズ・コレクティブとして福祉クラブ生協
の活動をスタートさせ、実績を積んでこられています福祉クラブ生協の副理事長の大島周子(ちかこ)
さんに参加いただいております。よろしくお願いします。
そのおとなり、皆さまよくご存じのように、いち早く神奈川の特別養護老人ホームを協同組合の市民
ファンドをベースに作り上げてこられました。
「ラポールから見た地域福祉の課題」で、発言者は社会福
祉法人いきいき福祉会専務理事の小川泰子さんです。
それから、今日は生活クラブではないシルバービジネスの分野からお一人あえてご参加いただきまし
た「今瀬ヘルスケアコンサルティング」所長の今瀬俊彦さんです。
「シルバービジネスの現状と課題」と
いうことで、協同組合で取り組んでいます福祉との関係と言いましょうか、そのことにどのようなご意
見をお持ちかということを含めてご発言いただき、相互交流ができればよいと思います。
最後にアドバイザーとして栃本さんには、かなり長い間お黙りいただいてお座りいただくことになり
ますが、意見交換のところから参加してアドバイスをいただければと思います。
最後になりましたが、参加型福祉の社会化をめざす連携で生活クラブ生協関係の福祉活動の中間組織
的なところで大変なパワーを発揮されています、生活クラブ運動グループ福祉事業連合代表の黒河内道
子さんからご発言をいただきます。これから 15 分ずつ、順序は田丸さんからお願いします。よろしくお
願いいたします。
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福祉 ワーカーズ・コレクティブの実践から
∼大和市に生活支援ネットワークと働く場をつくる
ワーカーズ・コレクティブ 想
理事長 田丸直子
◇プロフィール
18 年前「想」に入会、ほどなく理事となる。代表を受けて今年で
4 年目。生来のおせっかいなところが、たすけあい活動につながっ
て今に至るが、めまぐるしい福祉施策の変わりようの中で、前向き
なスタッフに支えられて毎日の事務所通いが日常になりました。
「想」の活動と重なって遠方の家族介護に行くことが多かったが、
介護負担や介護のやりがい、家族のありよう等、身をもって経験し
ました。ワーカーズで活動していたから迷わず介護ができたことは
感謝しています。
田丸
ワーカーズ・コレクティブ「想」の田丸です。こういう場所でお話しするのは想定していませ
んでした。いつも利用者さんのお宅に伺ってお話しをしてきたものですから、上手ではないところがあ
るかもしれませんが、よろしくお願いします。
□大和市と「想」の福祉事業の概要
私どもが活動しているのは大和市と座間市の一部です。大和市は町田市の下に位置しています。横が
相模原市、座間市、海老名市それと綾瀬市、藤沢市で、右側は横浜市の瀬谷区ともうひとつ区が接して
います。長細い形をしていますが、真ん中を小田急線が新宿から藤沢まで抜けております。その真ん中
を相鉄線がクロスして、上から中央林間、南林間、鶴間、大和、桜ヶ丘、高座渋谷の駅がありますが、
駅を中心に地区を4つに分けて活動してきました。ご存じのように大和市は厚木基地を抱えておりまし
て、騒音等について市民会議で取り組んできました。その市民会議がネットから代理人を出すというこ
とで、そのときの政策提言として、このようなたすけあい事業をしていこうということが話し合われた
ようです。私はそのころはいませんでしたので、前の代表から聞いています。
本年度の総会資料から抜粋しますと、2006 年度総事業高は 2 億 600 万円、その内訳は介護保険事業と
支援費事業が約 1 億 8800 万円、独自事業のたすけあい事業が 1680 万円あります。私たちがやってきた
活動時間の推移では、2003 年度がピークで 9 万 6500 時間、2006 年度は 7 万 7900 時間でした。私たちは
事業体といっても活動・運動体なので、事業実績よりも活動実績を重んじてきました。新しくメンバー
になった人は「働く」と言いますが、古くからのメンバーは「活動する」意識でやっています。
ご存じのように介護保険事業が 2000 年から始まりまして、
それに参入することによって事業高がすご
く増えました。従来からずっとやってきておりました「たすけあい事業」が、これによって支えられて
いるところです。法制度が変わるたびに、この「たすけあい事業」も微妙に変わってきたと思っていま
す。
□今までの道のり・・・
「想」の 19 年の歴史
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「想」は 1988 年 10 月 18 日ワーカーズ・コレクティブとして 31 名でスタートしました。このときの
実働者は 19 名くらいではないかと思いますが、読売新聞に 88 年 9 月 18 日あたりに記事になり、10 月 3
日から第一歩が始まったと聞いております。当時は在宅福祉サービス事業がほとんどなく、事業を立ち
上げるにあたりまして、社協さんに聞きにいったんですね。社協さんも当時は市からの全面委託でなく
て、手探り状態だったということです。ただ現場はよくご存知だったようですが、市が企画を担当して
いました。福祉がまだ社会化されていなく、年月が経ってみますと当時の状況はどんなであったのかと
思います。たすけられる側、たすける側がお互いにたすけ合うという思いが込められていたように感じ
られます。事務所の方に「想さんですか」という電話が入ると、
「はい想です」という会話は未だに飛び
交っています。
「おもいさんですか」
「そうではありません。想です」なんて言っております。
介護保険が始まる前事務局作業は、ほとんど無償でした。電話は元代表のところにありまして、理事
が替わり合って電話番をして、他のメンバーが動くところを支えました。いろいろ社協のたすけあい事
業のつどいに行きましたが、当時は累積赤字を抱えている団体が結構ありました。私どもが転送電話を
理事長の家においていたことが利用者さんにはとても安心だったと思います。電話は常に生きているの
で、朝の6時・7時頃から夜の 12 時近くまで、心配な方は電話をしてこられますが、必ず声が聞けると
いうことで安心なさったということが、
「想」の信頼をつないできたと思っています。今、事務所は 9
時 5 時でやっていますが、電話はメンバーが替わりあって持ち帰っています。当日ワーカーが動けなく
なった場合、あるいは夜間に利用者さんが具合が悪くなった場合など対応していますが、さすがに真夜
中の電話は切らしてもらっています。それは在支とか包括ができましたので、そちらで見ていただける
ようになったと思っています。利用者さんが市にご相談になると、市の方からこちらにふられてくると
いうことがありまして、市の職員も「大和市は市と想でやっています」と言われたこともありました。
困りごとの相談はいまだに日常的にありまして、介護者の相談にものってきました。相談しているうち
に落ち着かれて、道をなんとか見つけるという方もおられました。絶対に留守電にしないということで、
ニーズに応えてきました。私どもでは手に負えない場合もありましたが、何か代替方法はないかと一緒
に考えて対応してきました。
私たちの大和市は縦長く、真ん中に駅があるので、駅からの稼働域がちょうどうまい具合にできてい
ます。上は A 地区、事務所のあるところは B 地区、クロスしているところが C 地区、南部が D 地区とな
ります。大和市は 11 地区社協に分かれていまして、大体社協の分担と私どもの分担が合致していますが、
それぞれに利用者やワーカーがいて、コーディネーターがいて、その地域の病院とか買い物をする場所
をみな周知していることで、その地域地域での活動が可能だったと思います。4つの地域それぞれで独
立性を持ってやってきましたので、自主性が育ち、皆が力をつけることになりました。
□「想」が大切にしてきたこと
サービスを提供する上で大切にしていることは、提供する側の都合にあわせないこと。出来るかぎり
利用者さんの生活にあわせ、大切にされてきたことに柔軟に対処してきました。利用者さんのお宅に伺
った時に、毎回メンバーが替わりますと、受け手としてはきついものがありますので、限られたメンバ
ーでお世話をするように努力しています。その後始まった介護保険サービスも、事業所を替えないでサ
ービスができるように、介護保険事業に参入することにしました。
2000 年頃に「たすけあい」から介護保険に移動された方が 78 名ほどいらっしゃった。その方たちの
契約やサービス計画とかがとても大変で、コーディネーターやケアマネジャーと共に寝る暇もおしんで、
動き回った時期がありました。そのころのことは口では表せないほどですが、皆一丸になってやったか
らできたと思っています。ただこの時に、公的介護保険サービスをしないとして、大事なメンバーがい
なくなったことはとてもつらいことでした。このように、断らないでお手伝いに伺うようにがんばって
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きました。2000 年から 2003 年あたりは、ワーカーが増えていますが、それほど多くはない人数で事業
高を補うのは大変でした。ワーカーメンバーのコーディネートが大変だったと思います。介護保険を担
う事業所として整えなければならない労務管理や常勤勤体制ですが、ご存じのように介護保険ではサー
ビス提供責任者は 450 時間に1人、あるいは 10 人に1人と決められています。うちの事業所ですと 15
∼6 人の常勤者を作らなければいけない。すでにケアマネとかに 2∼3 人がいましたが、主婦の空いてい
る時間で活動に参加している人を常勤にするのは、本当に大変でした。説得と時間調整を工夫しまして、
今に至っています。こなさなければならない請求事務も当初は手作業でやっていましが、今ではソフト
の導入などで早くできるようになりました。請求事務も 1 人専属にいますので、当時に比べると膨大な
量をわりと早くできるようになりました。
コーディネーターは利用者さんだけではなくワーカーともよくコミュニケーションをとり、1人ひと
りの事情や活動できる時間の把握だけではなく、精神的なフォローまで大切にしています。私たちは看
取る会のようなものですから、ワーカーズさんの気持ちを支えることがとても大事です。私どもは 2000
年ごろ、とても人手不足で、せっぱ詰まって募集しようかと考えたことがあります。ですが、ちょっと
待ってと何とか募集をしないでやってきました。そして今まで一度も募集をしたことがなく、口コミで
入ってきてくれ、また口コミで利用者さんが広がっています。先ほど栃本先生もおっしゃったように、
当時 40 代だった私も 60 代になりまして、円熟と言っていただければうれしいと思っています。
□「想」と地域のつながり
「想」と地域のつながりですが、活動の中で送迎で困ったことがありました。なかなかタクシーがつ
かまらないことがあったりして、それを仲間で話しているうちに「ケアビークル」のような移送サービ
スができ、中に入ってご飯をつくるより配食が早いわねということで配食ができ、子育ても若いお母さ
んに必要よねということで子育てができ、こんなデイサービスがあったらいいねということで最近デイ
サービスもできました。このように7つの福祉ワーコレが月に一度情報交換をしながら次を考えていま
す。市の協働事業の「ふくしの手」にも参加していますが、ここでの大きな成果は市の職員に私どもの
日常の活動をお伝えできることだと思います。市の職員はなかなか現場をご存じないので、若い青年職
員に一生懸命教えています。また、ボランティア団体とセッティングしていただいているので、地域に
思いがけない社会資源を見つけることもあり、これから手をつないで、利用者さんのインフォーマルな
部分を一緒にやっていけたらと思っています。
石毛
ありがとうございました。資料を追っていただければ、本当に丁寧に活動を積み上げてきたの
かがわかると思います。私がポイントになると思いましたのは、できる限り利用者の要望ニーズに応え
る、断らないというところから、また新しい事業展開を進めてきているという、そのエネルギーと、介
護保険に入って仕事量が増えたところではどこでも悩まれたと思いますが、常勤のワーカーを確保する
ことの大変さ。そこを活動しているメンバーに説得を重ねて、常勤者を誕生させたというところで、働
き手をどのように確保し育ててきたかをおわかりいただけたかと思いますし、またお聞きの皆様には大
きなヒントになったのではと私も伺いました。
次に「ワーカーズ・コレクティブの 18 年の実践」ということで、今日は大島さんにご発題いただきた
いと思います。昨日急に代わりを要請されたと伺っております。よろしくお願いします。
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ワーカーズ・コレクティブの 18 年の実践
福祉クラブ生協
副理事長 大島周子
◇プロフィール
福祉クラブ生活協同組合加入(1994 年)
藤沢世話焼きW.Coはまゆう理事長(1996∼98 年)
福祉クラブ生活協同組合理事(1999 年∼)
福祉クラブ生活協同組合副理事長(2006 年度∼)
大島
大島です。不慣れですがよろしくお願いします。この間終わりました高校野球を見ております
と、グラウンドからマウンドにピッチャーが飛んできて投げられる、あの球児のようにさわやかにでき
るとよろしいんですが、そのようにはできませんのでその点をご了承いただきたいと思います。
□福祉クラブ生協の 18 年の実践
設立の趣旨と理念
さて、
「福祉クラブ生協の 18 年の実践」ということで、喜代永理事長の言葉を借りて言えば、食の安
全や福祉の現場は、利潤の追及であるとか効率を求める尺度を持ち込んでは崩壊してしまう。そのこと
を福祉クラブは内部に向かってずっと言い続けておりました。幸か不幸かわかりませんが、食の安全問
題、ミートホープとかが今日吹き出したものですから、福祉クラブ生協の機関誌『うェるびィー』でア
ピールをしました。それは 18 年間の乗り越えてきた色々な課題もあり、またさまざまな実績を積んでき
たという自信もあり、社会のこうした事件を受けて、非営利・協同セクターとして責任を感じたというこ
ともあって、このような特別号を出させていただきました。皆様のお手元にこれをお届けできなかった
のは残念ですが、組合員しか届けていない特別号を全国の運動グループの皆様にお読みいただけること
は、喜びと思っております。
福祉クラブ生協は組合員とワーカーズと職員がつくる生協と言われて、歩んできました。先ほどの生
活クラブ神奈川理事長のご挨拶にもありましたように、18 年前生活クラブの支援を受けて、将来の少子
高齢社会を見据え、そして当事者になる私たちの暮らし、あり方を考えたときに、どうあればいいのか
という強烈な問題意識の元に、福祉クラブ生協を設立しました。設立趣旨「福祉クラブ生協は高齢社会
から発生する様々な課題の解決を他人にゆだねたり、他者への要求にとどめることなく、地域ごとの生
活者・市民がワーカーズ・コレクティブという新しい働き方で社会参加し、画一的な公的福祉を受ける
か、シルバー事業の福祉サービスを買うのかという二者択一の福祉のありように対して、第3番目の選
択肢として助け合いによる在宅福祉支援サービスをつくろうとして設立しました」とあります。この設
立趣意書は今も古びることなく私たちの活動の今の基盤になっています。愚直にも 18 年この設立趣意書
をずっと守り、その通りに活動してきた福祉クラブです。
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□私たちの運動と事業のテーマ
その趣旨理念のワーカーズ・コレクティブによる在宅福祉支援システムづくりを初めからめざしてき
ました。地域に住む市民がワーカーズ・コレクティブを組織することによって、在宅福祉支援システム
を作ってきたということです。全国の皆様から見ると福祉専門生協といいますと、あたかも福祉の専門
家が生協を作ったかのような誤解を受けるかもしれませんが、福祉クラブ生協の組合員はすべて普通の
組合員です。でも地域にあるニーズに育てられて、それをワーカーズ・コレクティブとして事業化しな
がら、前へ前へと進んできたところ、結果として 16 業種 76 団体のワーカーズ・コレクティブになりま
した。最初からめざしていたものは、たすけあいは多様にあるんだと、いろんな種類やありようがある
ということを、最初から受け止めて、ワーカーズは 1 テーマでいこうと。多くは望まない、それによっ
て専門性が深まるということで、私たちは 1 テーマのワーカーズ・コレクティブを組織し、3本の柱を
立てました。それはご用聞き宅配による共同購入システムです。これは福祉クラブ生協のワーカーズ名
でいいますと、世話焼きワーカーズ・コレクティブが担っています。ご用聞きと言いますと、ものを届
けるとお思いかもしれませんが実はニーズを聞き、ニーズは介護であったり移動であったり食事であっ
たり、そういうニーズを聞き取り、こちらが相談の機能を発揮するという意味のご用聞き宅配です。毎
週一度消費材の配達とともに、その地域のポイントをつとめるワーカーズのメンバーが、毎週行ってい
る活動です。
二本目の柱は健康・医療ネットワークシステムです。家事介護ワーカーズ・コレクティブであったり
食事であったり移動サービスであったり、また新しくできました3つの子育てのワーカーズ・コレクテ
ィブがここに入ります。
三本目は施設のネットワークシステム作りです。これは明日見学いただけるかと思いますが、コア北
鎌倉に始まった入居施設で、他にデイサービスがいくつかあります。かしま台にも鎌倉にも藤沢にもあ
ります。そういった施設を作り、ネットワークしていく。ワーカーズ・コレクティブのメンバーが地域
にあってニーズを一つひとつ起業してきたということです。
それから二つ目は、非営利・協同セクターによる社会的経済の促進をめざすというものです。設立趣
意書にもありましたように、営利セクターによるどちらかというと利用するものが限られてしまう高額
なサービス、そして平等ではあるけれども画一的な公的セクターによるサービス、これだけでは足りな
いのが 18 年前から私どもがめざしてきたサービスです。地域にふさわしいコミュニティ・オプティマム
福祉は、それだけでは足りない。非営利・協同セクターの私たちの活動があって、地域に密着しながら
日々のニーズを受け取り事業化してお互い組合員同士がたすけあうことによって、地域がきっと豊かに
なる。非営利共同セクターによる社会経済の促進という面をもってすすめてまいりました。いま GDP で
いいますと、資本的なものが6、公的が3、非営利が1としか言われていませんが、その内実は1であ
っても0ではないですし、大きな可能性を秘めていると思って振り返っています。
□16 業種 76 のワーカーズ・コレクティブへ(約 2,500 人)
ではどのようなサービスがあるかといいますと、これは非営利・協同セクターとしての社会的経済の
実績としての意味で見ていただければと思いますけれども。07 年の 3 月現在で、総代会の報告から抜い
てあります。組合員数が 15000 人を超えています。出資金が 10 億 7 千万です。それからワーカーズメン
バーは大体 2500 人くらいおります。役職員数が 50 人。総事業高は 36 億 7 千万円くらいになっている。
これが全国の運動グループをあわせますと非営利・協同セクターの果たす役割は、ここの実績だけでは
なく大きなものがあるかと思います。そういう意味での社会的経済の促進、もうひとつは協同組合福祉
の推進によって、中負担高福祉をめざします。さきほども申しましたように、組合員同士のお互い様の
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たすけあいから出発し、今もそのような活動をしておりますけれど、そのことによって決して負担はこ
れ以上高くならないけれども、私たちの望む意味での高福祉を実現することをめざしていることです。
お互い様であるとか組合員同士であるとかを大事にし、かつそれを豊かな福祉につないでいくことです。
私どものワーカーズ・コレクティブの活動の中で、組合員同士のたすけあいを通してめざしているもの
はコミュニティ・ワークという考え方です。それはコミュニティ・ワークそのものを目的化するのでは
なくて、自分たちで自主管理、自主運営する働き方ということでコミュニティ・ワークを非常に大事に
考えています。この考え方の難しさも同時に実感している次第です。今申し上げましたのが、福祉クラ
ブ生協が最初からめざし、今もこのように活動しているというお話です。
課題としては裏返しのようになりますが、たくさんのサービスの提供をしてきましたけれども、いく
つか課題があります。2007 年は福祉クラブの第四次5ヵ年計画の中間点になります。共同購入事業、福
祉事業、施設事業、利用事業、共済受託事業の5本すべての事業が自立して、福祉クラブ生協の経営を
支えていくという、いわば構造改革を推進していく半ばの年にあたります。
□福祉クラブ生協の新たな展開と課題解決へのプログラム
介護保険の導入も大きかったと思いますが、私どもが福祉事業の中で事業高の数%ずつを、コミオプ
対策費と本部運営費として拠出しあっています。これはワーカーズ・コレクティブが拠出しあうことに
よって次の新しいサービスを生み出しまた充実させていく。拡大再生産を約束するための資金としてワ
ーカーズ・コレクティブのたすけあいです。
それから施設ネットワークでも申し上げましたが、拠点をいくつか持ちました。それには組合員が毎
月 100 円の福祉事業賛同登録に協力をいただいております。組合員の 60%が登録していますので、かな
りの資金になり、これをコア北鎌倉の建設や各デイサービスの運営にあて、今年度は横浜市栄区で複合
施設を 100 坪モデルとして計画しております。決して小さくないという意味で 100 坪構想を持ってやっ
ております。こうして組合員もワーカーズ・コレクティブも職員も助け合いながら、私たちは大きな問
題に立ち向かっているところです。
課題をあげると3つになります。76 団体が設立したことは意味のあることですが、継続のエネルギー
はまた違ったものがあります。ワーカーズ・コレクティブの運営でいくつかの問題が出てきています。
介護保険もあって、結局働く場としてワーカーズ・コレクティブを選ぶ。それによって組合員になる。
私たちは組合員から入ることを願っていますが、逆もあって、働くことや資格が前面に出た、コミュニ
ティ・ワークとちょっと違った問題が出てきています。コミュニティ・ワークの概念が薄れてきた、こ
のところをなんとか補いたいということで、昨年共育協議会を理事会とは別に設立しました。これは共
育を充実させる役割を持ち、共育の様々な機会をも設け、一生懸命すすめています。新しいサービスと
しては、成年後見制度への取り組みを始めたいと思っています。100 坪モデルも実現していきます。
福祉クラブ生協は決して順調とはいえず、常に課題を内包しています。課題を抱えながらも組合員同
士助けあい支えあう生協としてのありようを、またご報告する機会があったら、少し成長した福祉クラ
ブ生協をご報告できるのではないかと思います。ありがとうございました。
石毛
ありがとうございました。今のご発言は皆様の中に入っていったと思いますが、これからの議
論でも、ワーカーズ・コレクティブの労働に期待して加入される方、入り口と中身と言いますか、動機
と労働としての継続性の担保と言いますか、どこのワーカーズ・コレクティブもここらへんは悩むと思
います。後ほど、意見交換で皆様からのご発言をいただきたい。進行役としてふれますが、コミュニテ
ィ・オプティマム、コミオプと言いますが、生活クラブ神奈川で活動している皆様の占有の表現で、こ
の言葉を始めるときに私も少し関係しました。当時 20 年前くらいの福祉状況は、国の政策として憲法に
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担保される国民的最低限、ナショナルミニマムという施策と、美濃部革新都政を契機に各自治体に広が
ったシビルミニマムという、2つの社会的なシステムに関する考え方が中心でした。市民が措置の福祉
の外で地域社会の中で共同して助けあって暮らすシステムを作っていく、そのことを集約してコミュニ
ティ・オプティマム、地域に最適な福祉条件を作り出そうと生活クラブ神奈川の中では共通言語として
位置づけられてきたと思います。ただここからは私の補足ですが、コミオプをスタートさせた時代、ナ
ショナルミニマム、シビルミニマムの時代と、栃本先生のお話にもありましたように、まさに市民社会
の介護保険なった今、介護保険は制度的なシステムですから、ナショナルミニマムとは違うかもしれま
せんが、制度的な福祉・介護のシステムなどが一定の所得階層以下の人ではなく、基本的に市民社会を
包摂するようになった時代の、地域最適な市民福祉はどういうものか、あるいはそれの財政的なうらづ
けなどをどう考えるかなど、新しい宿題をもらう概念であると思ってます。ここが議論しあうところで
すが、コミオプ福祉という耳慣れない言葉について補足しました。
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特別養護老人ホーム・ラポールから見た地域福祉の課題
社会福祉法人いきいき福祉会
専務理事 小川泰子
◇プロフィール
社会福祉法人いきいき福祉会専務理事、ラポールグループ総合施設庁、
福祉クラブ生活協同組合理事、神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合
会理事長、生活クラブ生活協同組合副理事長、生活クラブ運動グルー
プ福祉協議会会長、厚生労働省社会保障審議会介護保険部会臨時委員、
神奈川県地方税財政制度改革専門部会委員、神奈川県社会福祉協議会
評議員を経て、現在:財団法人生協総合研究所評議員、社団法人かな
がわ福祉サービス振興会常任理事、神奈川福祉サービス第三者評価推
進機構理、藤沢市社会福祉事業協会評議員、神奈川大学法学部自治行
政学科生活消費特論非常勤講師、藤沢市人権施策推進協議会委員、藤
沢市介護保険運営協議会委員、NPO 法人地域創造ネットワーク・ジャ
パン副代表、厚生労働省社会・援護局 生協制度見直し検討委員
著書:
「協同の時代」
(共著)
、
「住民参加型の福祉活動」
(共著)
「参加型福祉を拓く」
(編著) 「雇用・就労変革の
人的資源管理」
(共著)
「地域福祉辞典」
(中央法規)その他
小川
パワーポイントでラポール藤沢をみていただきながらお話ししたいと思います。
□ラポールの 13 年は、こだわってきたこと
ラポールは 13 年経ちました。生活クラブ神奈川 20 周年の記念事業で建てたものですが、基本的に特
別養護老人ホームをすること、そして社会福祉法人を取得してやることの意味は何か、まさにナショナ
ルミニマムに手をつっこんだというところです。それは特養を運営し続けるという目的だけではなく、
そこを基盤として地域福祉を市民と一緒にどう豊かに作っていくかという挑戦でもあったと思います。
そのためには地域にある多様な社会資源とのネットワーク、その掘り起こしが重要だと大切にしてきま
した。
その基本は人が人らしくという人権の尊重を基本にして、この 13 年オンブズマンを導入するなど、外
部サービス評価を積極的に取り組んできました。こだわってきた基本はなにかというと、私自身が生活
クラブ生協の組合員ですので、生活クラブ協同組合の中で学んだ民主的な組織運営ということを、すべ
ての仕事の原点としてやってきました。いつもスタートラインは「人権の尊重」だということを忘れな
いように、時々職員から施設長なのになんでそういう言い方をするのと言われるのですが、私が家族だ
ったらこれは許せない、私が本人だったらこれは許せない、私が地域の人だったらこれは許せない、と
職員に質問するものですから、そういう言い方はやめてくれとよく言われるのですが、職員との相互牽
制というか緊張関係がなければ日常に流されてなあなあになってしまうのが福祉施設の日常ですので、
その視点は忘れてはいけないと思ってきました。
それから脱施設の視点で、どうしても住むことよりも施設の運営が先になってしまいがちなので、脱
施設の視点を忘れないようにしてきました。そのためには社会資源の活用、特養としてやっていくので
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はなく、地域福祉の豊かさをひらくということを、分かるか分からないかは別にして、入ってきた職員
に繰り返し繰り返しこれを伝えていく。結果として社会福祉法人なんだけれども社会福祉法人として求
められている役割は、当事者よりも地域社会の方が厳しく見ていることを自覚しながら、この間社会的
役割を追及してきました。
専門性という話が栃本さんの話の中にも出てきましたが、
専門性とは何かを 13 年の中で福祉を職業と
して選んだ人と、あるいはワーカーズ・コレクティブ、あるいは利用者、あるいは地域のボランタリィ
なワークを含めて、専門性の追及をいろいろやってきました。
また経営参加と書きましたが、生活協同組合でも年に1回必ず総代会があって、自分たちが責任を持
って参加している組織の事業と活動の実態を共有するわけです。社会福祉法人は、公開性は監査で求め
られますが、地域社会あるいは一番に利用者や家族や職員に対しての経営の透明性はなかなかされてい
ないところが多いのです。このことにも非常にこだわってやってきました。
□事業実績と職員の経営参加の推進
94 年 3 月にこの特養ができたのですが、これに併設する地域サービス、いわゆるショートステイやデ
イサービス、在宅介護支援センター等で、当時は措置制度の総額として 3 億 8000 万円でした。それに神
奈川県はこういう社会福祉法人の事業に 7000 万円をつけていたのですが、介護保険で 7000 万円はなく
なりましたので、介護保険でやろうということになり、4 億 4000 万円の収入で介護保険の 1∼2 年目は
ほぼこの金額で推移したということです。
2003 年度以降、特養ラポール藤沢の事業をベースに、地域のサービスをどのように作っていくか、あ
るいは介護保険をどううまくつかって地域の福祉を機能させていくか取り組み、大和、平塚、横浜そし
て藤沢でも様々事業展開をしてきました。今 6 億を超していますけれども、今年度予算として 7 億 8000
万円の事業ができました。これはさきほども言いましたが、職員の経営参加がなかったら実現できない
ことで、いくらあれを作りたいこれを作りたいと言ってもその仕事を担っていくのは職員であり、そし
て利用者や地域のニーズに一番敏感にならなければいけないのは職員だと思っていますので、毎月各事
業実績の月次決算を経営会議に出します。全部で 19 の介護保険事業とその他シビルミニマムの事業とで
25 の事業を展開しています。それぞれの管理者が事業報告を出してきて、皆で見て分析して協議するこ
とは、これは数字だけではない、ケアの質についてもお互いの仕事を見合うということです。公認会計
事務所にも毎月の経営会議には参加してもらい、仕事の客観的な分析をしてもらっています。人をうま
く使うということで、社会労務士にも毎月の経営会議に出てもらう。ヒト・モノ・カネを職員も一緒に
なって考えていくことが基盤になければ、安定した事業の継続性は確保できないだろうというのが考え
方です。
□福祉サービスの質を創る
一方で福祉サービスの質をつくるということですが、私はラポールに入って 9 年目です。最初はまだ
措置の時代だったんですが、どこの施設に行っても老健、病院に行っても、問題行動という、言葉は別
にして、そういう人がベッドに縛り付けられているのはよく見る光景でした。それはラポールでも当初
はありました。大声をあげたり夜の徘徊が多いとなると、精神科医が薬を出して、薬を多く飲むために
昼間からうつろな目でフロアにいるというのがラポールでもありました。なんとか薬を減らしたい、近
代医療だけに頼るのではなく、ケアの質でなんとかならないものだろうかということで取り組みを始め
ました。特養は 1 回入ったら本人は出て行くと言わないし、家族もここから出したいと言わない。本音
は誰1人として特養に入りたい人はいない。ここに入れてていいと思っている家族もいない。でもそこ
が終の棲家という美しい言葉で最後までとなるならば、ターミナルケアというものを「生き方・死に方」
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としてしっかりとらえなければならない。本人を取り囲む医療も含む関係者と一緒にターミナルに取り
組む中で、そこへいくまでの日常生活の中でいかに多くの人の手を借りて、薬に頼らない介護をするか
ということで、受付業務のワーカーズを作りました。これは受付ワーカーズではないんです。利用者に
とってのライフサポートをするワーカーズとして作りました。なぜ受付業務が必要だったかというと、
受付に来るのは家族とボランティアだからです。その人たちに対して質問したり意見を言ったりあるい
は約束したことを返せるような責任を果たす、それは職員よりも圧倒的にワーカーズが、同じ目線で聞
き同じ目線で答えてくれるからです。
それからボランティアも特養に行くとおむつや洗濯たたみをしますが、ボランティアは利用者に向か
って来るのですから、人手が足りない介護職のサポートとしてもボランティアではありません。ボラン
ティアコーディネーターの意味も含めてライフサポートワーカーズを作りました。もう一つはアニマル
セラピーですね。これは設立の時から行っていますが、色々なセラピーを入れています。これも当初は
外の人に来ていただいておりましたが、介護職で入ってきた職員が自分もやりたいと今度イギリスに留
学したいということで勉強を始めました。このように職員が新たな専門性を追求し、同時にアニマルセ
ラピーやアロマセラピーで少しでも薬を使わない介護をつくっています。それからなによりも先ほど栃
本先生がお茶の話をしましたが、お茶の入れ方一つで人格を傷つけるわけです。片手でばーんとお茶を
出す。ワーカーズは日常生活の中で、生活文化・技術がケアにいかに重要かということをとらえていま
す。
□社会福祉法人の課題
特養は住まいという感覚がなかなか作りにくい。どうやって脱施設を表現しようかということで、特
養の中でも努力するけれども待っているだけではなくて外でもやっていこうということで、
「アパート
事業」を始めました。社会福祉法人いきいき福祉では「住まい方事業」として大きく掲げています。特
養ホームで培った技術や経験を、住まい事業の中にどうやって活かすかということで、不動産業者が流
してきたファックスをつかまえて見に行き、即決めた二階建てのアパートです。これはその中に住んで
いる方ですが、高齢者ではありません。まだ 40 代の中途障害者ですが、システムエンジニアをしていて
働きすぎて脳に血栓ができて倒れた。麻痺で社会復帰ができないということで、県立のリハビリから紹
介されてきました。行き場がないということですが、経済的には少し払う能力はあるわけで、うちのア
パートに住んで何とか1人で生活していますが、このアパートで提供しているサービスは基本的には朝
夕の安否確認だけです。おはようございますとお休みなさい、今日は大丈夫ですかということだけです
が、大事なのはこのアパートの中に長屋のような人間関係ができていることです。
もうひとつは特養ホームの分散化と書きましたが、ラポール藤沢から歩いて 7 分くらいのところに、
築 30 年ほどのマンションがあり、不動産屋さんが「持ち主が立て替えると言っていますが小川さんどう
しますか」と聞かれたので、それではラポール用に建て替えていただけるのですかとお願いし、そのよ
うに建て替えてもらい 1 棟借りです。二階三階で特別養護老人ホームラポール藤沢のサテライトをやっ
ています。一階では地域交流や認知症のデイサービス、あるいは 24 時間 365 日夜間対応訪問介護もここ
にもってきました。四階には、アパートバージョンを持ってきました。なぜアパートなのか、なぜ高齢
者専用住宅ではないのかと言いますと、障害者も地域の中に住まうところがないです。それから母子や
ドメスティックバイオレンスもありますよね。母子寮に入っているけれども出たい人もいる。その人た
ちに仕事と住まいを一緒に考えられればということで、あえて高齢者だけの事業にしていないです。こ
れがサテライトの特養の個室です。これが一緒にお食事する場所です。これが一階にあるコミュニティ
の場所で、一階はここに住んでいる人だけではなく、地域のたまり場がほとんどない、子育てや高齢介
護を抱えている人や障害者やニートを含めて場所がないということで、これは地域の縁側として作りま
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した。横にバス停があるのでバスを待っていて暑かったらどうぞと書いて置いたら、バスが来るまで待
っている人や近くの中学校の帰りにおばあちゃんいると中学生が寄っていったり、子育て中のお母さん
がきたらベテランの四階のおばあさんが「よく育てているね、子育て上手ね」とほめられて気持ちよく
帰ると、昔当たり前にあった人間関係の交流の場になっています。24 時間 365 日の在宅支援システムを
どうつくるかのヒントと実践をここをベースにしてやっていきたいと思います。
職員の専門性というところで、栃本先生も言っていたのですが地域を知り市民の生活にある福祉ニー
ズを掘り起こし、その対応をはかる。しかも技術が3大介助といわれた入浴・排泄・食事介助だけでは
だめなのは分かっているにもかかわらず、そういう専門家しかほとんど現場にいない中で、ワーカーズ・
コレクティブと一緒にやること、あるいは地域のボランティアや家族と一緒にやることは、高レベルの
介護技術で3大介護だけでは終わらないということを体現していると思っています。それをワークシェ
アリングでやりたいということで、この間常勤の資格がなくアルバイトから入ってきて、仕事を重ねる
中で資格をとって、フルタイムのプロになっていった人を含め、精神障害者やホームレスだった人も仕
事として入ってくることで、色々な人がここを就労のきっかけとして、次のステップにいけばいいと思
っています。
□社会保障の安定のためには
私は最終的には社会福祉法人の責任を意識しています。というのはラポールを作ったときに、生協だ
ろ、この業界では素人じゃあないかと、さんざんいびられ、たたかれてきました。片一方では生協で最
初の社福で特養だよと恥ずかしいほどの過大評価を受けてきています。このギャップにラポールを作っ
た当初の管理者や職員は悩んだのではないかと思いますが、介護保険がラポールの参加型福祉の背中を
押してくれたと思っています。そういう意味ではやっぱり作って良かった、ラポールそのものが政策提
言になりうるところまでやってきたなと思います。2009 年に横浜にやっと2つ目の特養を建てることが
決まりましたので、隣にいる今瀬さんが準備室の室長として教育していただいていますが、社会福祉法
人を生協がつくったことの意味をさらに政策提言で発揮していきたいと思います。
石毛
最後のワークシェアリングの話、若者・心の病を持った方の参画を聞きますと、イタリアの B
型社会協同組合なども思い浮かべました。それではシルバービジネスの現状をご紹介いただきながら、
非営利・協同の活動に対する問題提起をいただければ、ここは刺激的な出会いになるかなと思っており
ます。よろしくお願いします。
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シルバービジネスの現状と課題
今瀬ヘルスケアコンサルティング
所長 今瀬俊彦
◇プロフィール
昭和 54 年 4 月 厚生省医務局入省
国立病院・病院管理研究所・東京都等
平成元年 10 月
医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院 596 床グループ
法人本部経営企画室長 老健施設等新規 18 施設開
設、有料老人ホーム「アライブ」シリーズ第1号開設
平成 12 年 7 月 関西電力㈱本店 グループ経営推進室エグゼクティブアド
バイザー、かんでんジョイライフ㈱事業本部長(有料老人ホーム 2
ヶ所)
平成 14 年 7 月 東京電力㈱本店 事業開発部 プロジェクト課長
東電ライフサポート㈱事業推進部長(もみの樹練馬・杉並)
東京リビングサービス㈱ 福祉事業部長(居宅介護 50 事業)
平成 17 年 10 月 独立して株式会社今瀬ヘルスケアコンサルティング設立
現在の主な仕事
療養病床転換のコンサル
全国7ヵ所 関東・高知・関西
平成 21 年開所の特養開設業務委託
横浜
有料老人ホーム・高専賃・小規模の開設業務委託
関東数件
医療法人の支援・社会医療法人移行
東京
介護会社の支援
東京
NPO(副理事長・無報酬)として立ち上げた小規模多機能型居宅介護「絆」の運営
今瀬
駆け出しのコンサルタントで独立してまだ1年半ですが、元々は厚労省で霞ヶ関にいたことも
ありますが体質になじめず、東京都に行ったりして活動させていただいて、平成元年から民間病院でケ
ースワーカーをやりながら、訪問介護とかグループホームを神奈川で、最初の年に横浜市の青葉区で開
設させていただきました。そうしたことで政策提言や介護保険下の高齢者のグループホームの資料を、
厚労省に提出しています。あるいは有料老人ホームを立ち上げたり、電力会社で介護事業をやらせてい
ただいたりしました。ここでは売上高 20 億までもっていきましたが、本社の管理コストが 4 億かかる。
全体の 2 割以上の管理コストがかかってくる中で、規模が拡大すればするほどマネージメントの重要性
が増して、一歩間違うと管理コストだけがどんどん増えてしまう。介護事業所も職員 2.5 人でやってい
れば請求事務は職員の中で解消できるのですが、規模が大きくなるとコストが鰻登りにかかってしまう
という状況を自分でも色々やりながら感じています。
□介護事業の課題(資料1・36p)
今日は民間の事業を色々立ち上げた経験から、お話しします。介護事業の課題として今一番大変なの
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は職員、介護職員の確保ができないことです。コンサルタントしている民間の小さな会社で 5 月から 7
月まで募集広告をうっても全然反応がない。資格者が確保できないという状況です。特に東京の西部地
域と横浜。横浜線沿線地域が職員の確保が非常に難しい状況です。8月に入ってようやく人の動きが出
てきたのかなと。これはコムソン問題からコンプライアンスの問題で各事業所に必要人員を確保しなけ
ればいけないということで、民間企業あるいは有料老人ホーム、社会福祉法人がしゃかりきになって人
材会社に年俸の 2 割、350 万だと 70 万の手数料を払って、人を派遣してもらっている。今一番介護事業
周辺でもうかっているのは人材派遣業と求人広告の会社で、それが課題です。
それから軽要介護者への給付制限、1 年半前の改正で制限を受けて、事実上それが介護事業を圧迫し
ている。それと同時に予防介護事業が期待されていたのですが、ふたを開けてみたらほとんど需要がで
てこない。それから地域包括支援センターの問題もあります。介護施設事業の収益の低下ですが、小川
さんのラポールは職員が参加型で、職員に情報を公開してやっているので細かいところに目がいってい
るのですが、これまで特別養護老人ホームは利益率 8%位を確保していたところが、現在は 3%もとれな
い。老健施設にいたっては 2%を切っている。介護施設事業で利益性が極端に落ちてきている。介護保
険事業計画参酌 37%というのは、市町村で介護保険の計画を立てるときに、施設利用者を 37%以内にし
なさいという国からのガイドラインが出ていて、それが箱もの施設の総量規制につながっている。それ
を在宅で受けきれるのか、療養病床を地域でやってきたところが療養病床が廃止ということで、5 年後
どうするのか。介護度の重い方が出ていけと言われた時に、地域で受け皿があるんでしょうかという問
題があります。
□平成 18 年改正介護保険全体概要
これが平成 18 年改正の一連の元凶ですが、改正前には 2400 万の高齢者の中で要介護認定が 400 万人
だと。それが 18 年の改正で要介護者が 250 万人で要支援者が 150 万人。結局 400 万人のパイが 250 万人
に移されて、軽い方は包括支援センターでマネージメントしてください、サービス給付もここで切りま
すよと。
元気な高齢者 200 万人のうち、
予防介護 5%ということでしたが、
最近の新聞報道によると 0.5%
しかない。実際に予防介護サービスが事業としてなりたたない。どうしてかというと地域で包括支援セ
ンターを抱えているんですが、実際に業務は予防プランの作成だけで、地域の支援事業に本格的に入れ
るだけの体制ができていない。それだけニーズも発掘されていないし、せっかくソーシャルワーカー・
保健士をやとっても、使い物になっていない。地域に出ていけと言っても、地域に対して後押しもでき
ない。実際に非営利団体がどれだけあるかの把握もできていない。ようやく現場に行って指導して地域
となじむようになったのは、今年に入ってからです。
□コムスン問題(資料2・36p)
コムスン問題は主にこの予防給付でかなり事業が削減された、
売り上げ高を確保しなければいけない、
そのために要介護の方にむりやり訪問件数を上げさせたり、プランをいびつに修正したのではないかと
思います。もう時効なのでいいますが、4 年ほど前に役員として招聘がありました。そのときにコムス
ンの各事業所を一回正式に回らさせていただいたあと、個人で 10 カ所ほど回って経営の実態がよく見え
たんでこれは難しい、あまりにもひどすぎると感じてあきらめました。さきほどグッドウィル本社に関
して栃本先生がおっしゃったように、人材派遣会社としてどんどん人を集められると、使い捨てで良い
という体質を持っています。本社の人間は介護事業を知らない。現場で実際に介護に入った経験者は少
ない。ごく一部の情報で、数値目標を拡大していく。現場にはどんどんプレッシャーがかかっていると
ころに、18 年度 4 月の制度改正に本社指示で売り上げを死守しろと。さらに売り上げが減った。でもこ
のことはコムスンだけではないんです。社会福祉法人でこれ以上辛辣なことをやっている法人を僕はい
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くつか知っていますが、そこもコムスン問題が明るみに出てあわてて修正し、今は直っていますけれど
も。たまたまコムソンが目について、苦情も多いということでターゲットに、マスコミの餌食になって
しまったということもあります。しかし、コムスンで働いている人はまじめな職員が多い。コムスンで
働くことに生き甲斐をみいだしている職員が多いと思いました。
今一番影響を受けているのは、市町村単位で地道に地域でがんばっている小さな民間事業者さんが風
評被害でたいへんです。営利だからということを全面に言われるのですが、基本的に利益を上げないと
事業ではないと僕は思います。今、いきいき福祉会の新規特養開設の仕事を請け負って、月曜日に土地
の最終的な売買契約をするんですが、
それも 3 億 5000 万、
横浜の一等地です。
それに資金面の手当てで、
民間の銀行から 17 億つなぎ資金を借りています。公的な資金で借りられるものは全部用意していますが、
運転資金がかなり厳しいのは事実です。いかに安く資金を調達するか、いかに安くやるかということで、
今お手伝いしています。
□介護予防事業(資料 3・37p)
介護予防事業ですが、この包括支援センターは軽介護者に対して色々後押ししていかなければいけな
い。そのときにフォーマルな公的セクターだけではなくて、地域のインフォーマルな、地域の NPO とか
ボランティア団体などが連携して関わっていけば、かなりのことができるのではないかと思います。特
に特定高齢者に対してはそれができるのではないかと、現場にいて思います。そのことをソーシャルワ
ーカーを含めて保健士も地域に対してアプローチの技術がない。それを半年くらい特訓してもなかなか
難しいなと正直思います。
好景気における介護専門職の確保が困難ということで、現場で事業の縮小と質の低下が出ています。
要支援の給付の抑制ということで、家事支援の打ち切りにより保険外負担が増加する。この辺を生協さ
んもどのように事業とリンクするか。あと地域包括センター、鳴り物入りでできた予防介護が機能不全
に陥っていることを早く改善させなければいけない。あと地域密着型介護サービスの展開が、市町村認
可というひとつの壁ができてしまっている。参入規制ととらえてもなぜかなと。そういう流れの中でい
きいき福祉会さんがサテライト型の特養を、神奈川県で初めて仕掛けたというのは、しかもお金が補助
金を一銭も使わず借り入れなしで、賃貸でやるという大胆な試みをされたというのが、これからの目玉
かなと。
□医療法人経営の選択肢の拡大
これから有料老人ホームに関しても小規模の高齢者住宅に流れが変わってくるかなと考えています。
あと医療法人・病院さんが有料高齢者住宅ホームの方に展開しています。医療法人さんでこれから出て
こようとしているのが、従来医療法人の収入の 7 割が医療収入で付帯業務が 3 割くらいだったのが、付
帯業務をどんと増やして、有料老人ホームとか高齢者住宅の経営をやってもいいですよと、厚労省のペ
ーパーです。こういう話を栃本先生の横でするのはプレッシャーを感じるのですが、医療政策がそのよ
うに変わってきていることがあります。医療法人経営の転換で、居住系施設有料老人ホームや高齢者住
宅を展開する中で、介護サービスを医療法人が自前で持つのはなかなか難しい。であれば地域の介護事
業所とどうやって提携するかがこれからのテーマかなと考えます。医療法人には実際にいくつかサポー
トをしていて、これから立ち上げようとしているところがあるんですが、病院内ヘルパーさんと在宅の
ヘルパーさんと質がぜんぜん違いますので、今後やっていく上で地域の事業所さんと提携する方が早い
のではないかと思います。
今後病院はどう考えるかというと、来年度からサテライトの特養施設も併設することができるように
なり、あるいは老健のサテライトを持ち、あるいは有料老人ホームのサテライトを持つ。これに高齢者
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住宅を持つとなんでもありの形になってくる。はたしてこれが医療法人か疑問に思うところがあるので
すが。
□ケア付き居住施設の充実(資料 4・5 38p)
ケア付き居住施設の充実ということで、生協さんも最近住宅型有料老人ホームをやり、東京・神戸・
北海道ですか、有料老人ホーム事業や高齢者住宅への参入もめだっている。たぶんこの流れで、加速す
るのではないかなという気はしています。高齢者住宅は「高齢者円滑入居賃貸住宅」というのがあり、
高齢者の居住の安定確保に関する法律が平成 13 年の4月に公布され、それに基づいて色々動いています。
それがどういうものかというと、高齢者円滑入居賃貸住宅の中で、高齢者向け専用賃貸住宅は国交省か
ら補助金が出て助成されるんですが、高齢者専用住宅が 18 年 4 月に 4000 戸だったのが、19 年の 5 月に
20000 戸を超しています。急速なのびで、これからものびてくると考えられます。
□地域密着型サービス(資料 6・39p)
地域密着型サービスですが、小規模多機能型居宅介護は 25 人の定員で、その中に泊まり通い、包括と
ケアマネージメントも入っています。これは自分が NPO で地元で立ち上げたので、あとで説明します。
夜間対応型訪問介護、これはラポールでも高齢者住宅に併設してやっています。そして地域密着型の施
設、認知症対応グループホームなどがあります。
小規模多機能の居宅介護というのは、やってみておもしろかったのは、25 人の会員制です。利用者は
25 人までしか登録できません。365 日 24 時間の在宅サービス、ケアマネージメントを包括している。通
所を基本として必要時の泊まりと訪問の複合サービスがある。何回利用しても何回泊まっても介護報酬は
変わらない。月の包括点数はかける 10 で円になるんですが、要介護 2 で 16 万、要介護 5 で 28 万です。
実際にやってみて一回しか通所がなくても、包括報酬ですのでこれが請求できます。行政としてはそれで
きちんと見守りができていて、自宅で長く生活できるのであればかまわないとしている。その代わり必要
な時には緊急の泊まりとか、通所の場合は朝の 7 時から夜の 9 時まで対応する。ケアマネージメントが実
際の運営の鍵になります。
これは(写真)地元の伊勢原市に築 20 年の古い家を改修し
て立ち上げました。ここにあるように、通いを中心に最大 25
人の定員で必要なときに泊まれる。実際にこれを使いはじめて、
ご家族の方は非常に安心した。365 日 24 時間、対応している
スタッフは大変です。利用者さんの形態に合わせて通う時間を
あわせる、家族の方が農繁期で忙しいときは朝の 7 時から夜の
9 時までお預かりしてお送りする。あるいは外来通院もできま
すし、弾力的な制度の中でよく包括ケアを厚労省が認めたなと
思います。ひとつはケアマネージメントを内包しているという
仕掛けが大きいなと思います。今後地域の中でデイサービスを
持ち、ショートの小さいのを持ち、訪問を持っている事業所が、
例えば 25 人の利用者さんに対してこういう包括点数を出すこ
とも今後可能になってくる。ある意味で実験的な試みだという
のは、やってみて思います。
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□夜間対応型訪問介護の事業イメージ
夜間対応の訪問介護、これは国の政策が住宅型の政策にシフトしています。介護施設を作る上で、国
の補助金はなくなりましたし、あとは公的機関の融資しかない。これ以上、国としては整備費を出すつ
もりはないという流れの中で、高齢者住宅に移行したときに夜間の介護は大きな問題になってくる。そ
の上で緊急通報の対応としてラポールの新しいサテライトの下に、センターを持って高齢者住宅の緊急
通報に対応できるようにしている。これは厳しいですが、将来必ずのびてきます。僕がデンマークに行
ったときに、二階三階は高齢者住宅で、一階に在宅介護支援センターのようなセンターがあって、そこ
に緊急通報のセンターがありました。地域のコールが全部そこに入ってくるようになっている。そうい
ったものを見てきて、ようやく日本でもそういう形になってきたのかなと。これが住宅政策の厚労省の
ペーパーです。たぶん公営住宅などに、一階にグループホームに、二階に緊急通報やバリアフリーに改
修し、一階に訪問看護ステーションあるいは NPO のレストランとかあるいは在宅支援の診療所医療です
ね、そういったものがあり、あるいは小規模の多機能の介護ができるような施設を公営住宅の中に引き
込んでいこうと今色々動いています。都市再生機構を含めて、厚労省も老健局の計画課長と、国交省の
担当課とひんぱんにやりとりしている中で、政策としてでてくるこうした流れがあります。そこに NPO
がいかに入っていくか。たぶん、既存の大手介護事業所がこれで採算をどうするかというと、分散する
とメリットがなく、あえてステーションをもうけようとするところは少ないと思います。地域の中で色々
な NPO とかボランティア団体がネットワークすればなんとかいけるかなと。大手のコムスンやニチイ学
館がこれに事業としてうまみを覚えるか難しいかと思います。
□地域での課題
次に地域の課題ですが、軽度介護者特に独居の高齢者の支援のあり方、それから高齢者住宅の見守り
サービスのあり方、これがこれからの課題だなと。それから地域ネットワークの中で住宅型施設がどう
いう仕掛けをするのか、ラポールが今後どういう住宅型施設をするのか、公的な通常のサービスとイン
フォーマルなサービス、ボランティア団体とのネットワークをどのように作っていくか。包括支援セン
ターの地域支援事業をどのように地域にネットするか。今インターネットでサービスが使えるのであれ
ば、24 時間の安心安全をどのようにしていくか。この辺に関しては経済産業省も色々交付金をだしてい
ますので、活用できるのではないかと思います。サービス産業として地域の支援事業を育てないと、今
のままでいけばだんだん疲弊してしまう。社会福祉法人の問題で、公益法人の課税見直しがいわれてい
て、多分社会福祉法人にも課税が、障害者施設の社会福祉法人にも課税が入ってくる。そうなるとどう
やってきちんと利益を出して、どうやって事業を継続するかが非常に厳しいかと。介護事業者の情報開
示と第三者評価、コンプライアンスの問題かなとも思います。
□時代は地域分散型と連携
時代は地域分散型で、サテライト型の介護施設と高齢者住宅、小規模多機能生活介護の包括ケア、で
決めた内容が課題になってくる。高齢者医療制度の方は均等割方式で何十人かの利用者さんに対して包
括の報酬を出すことを考えているようですが、今後それがどうなってくるか。連携の方は緊急通報連動
型 24 時間訪問介護と看護、北欧ではかなり進んでいます。小規模の在宅支援病院診療所をどうするか。
地域包括支援センターがせっかくできたのだから、地域の中で活かす手はないのか。
□最後に 地域では
最後に個人的にまとめてみたのですが、団塊世代の地域貢献の活用で、介護人材としてどのように地
域に参画していただけるか。健康づくり・街づくり・人材づくりは住宅政策を福祉政策の中核にしてほ
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しいなと。ヨーロッパを回って感じたのは、住宅部局は福祉局の中にあるんですね。日本は建築部局に
入っています。基本的に福祉の原点は住むことだというのがヨーロッパの考え方。日本はそうではない
ですよね。住まいに関しては建築部局、福祉住民票の設定がないと生活保護も受けられない。住むとこ
ろを確保しないと何も受けられない。基本的に福祉の原点は住まいだと思います。そこが政策的に日本
はずれているのではないか。
地球温暖化対策の問題は、今年も暑かったですが来年はどうなるか。現場のスタッフは大変でした。
脱水症で入院される方がでましたが、人にも地球にも地域にも優しい街づくりをどのようにするか。こ
れがこれからの課題かなと思っています。ありがとうございました。
石毛
ありがとうございました。とても多面的なお話でしたので、どこをどう受け止めたらという思い
が、それぞれの方におありになるかもしれませんが、私が今瀬さんのお話から一つだけピックアップして
みれば、地域包括支援センターのソーシャルワーカー、保健士が地域の掘り起こしもできないし、まして
やマネージメントもできないという実情です。流れは非営利民間の協力をなんとしてもまきこみたいとい
う流れかなと思いますが、その一方では今まで話に出てきませんでしたけれども、厚生労働省は介護保険
の給付抑制といいましょうか、いわゆる適正化施策をどんどん進めていこうとしていて、それを都道府県、
市町村を巻き込んで進めていこうという。私の発言が皆様に通じるか自信がないのですが、そうしたこと
を考えると非営利・協同の活動から市町村をどう取り込んでいくかというのと、厚生労働省がいかに市町
村を配下に治めようとしているのかというあたりが競争になるのかなという、競争になればいいなという
思いをしながら今瀬さんのお話を聞きました。それでは最後になりますが、福祉事業連合の黒河内さんか
ら少し違った角度になると思いますが、ご提示をいただきたいと思います。
36
<資料・今瀬>
資料1
資料2
資料3
37
資料4
資料5
38
資料 6
39