に入るとエジプト・シリアなど中東情勢の緊迫を受けた地政学的リスクの高まりや、米国の原油在庫減少を一方で、エジプトやシリア、イランなど中東・アフリカ背景に上昇傾向となり、同月下旬には10 8ドル/バレ諸国の地政学的リスクの高まりによる供給懸念が根ルの高値をつけました。現在は、中東情勢を受けて値強い状況が続くと見られ、原油価格は四半期平均でを上げる局面がありますが、米国や中国の景気鈍化を 10 5 ∼110ドル台と高値圏で推移すると見込まれて受けて105ドル/バレル付近で推移しています。います。今後の見通し原油価格をめぐる動き世界景気はこの先緩やかな回復傾向をたどると見込まれますが、中国をはじめとする新興国の景気鈍化や 130 120 110 100 90 減速懸念が原油価格の上値を抑えると予想されます。く原油価格に加え、昨年来円安傾向に振れている為替相場の影響を受け、予断を許さない状況が続い供給面では中東・アフリカ産油国の生産減少基調が見 70 ています。今回は原油価格を中心に、燃料油とプラスチックなど石油化学製品の情勢をご紹介します。込まれる一方で、米国とカナダの生産拡大により、供 60 11/4 一般に世界の原油取引は、消費地ごとに北米、欧州、アカ・テキサス州で産出されるWTI原油価格です。WTI 80 ドバイ WTI 原油価格と並んで国内の石油製品価格に大きな影響を及ぼす為替相場については、欧州債務問題の影 110 需給を反映した独自の価格形成がなされ、W TI（West 引所に上場して以降、世界最大の先物取引量である推移してきましたが、 2 012 年10月以降、欧州問題の Texas Intermediate）原油、北海ブレント原油、中東産ドことから、最も有力な指標油種となっています。日本安定や米国経済の緩やかな回復に加え、政権交代に 95 が輸入する原油価格の大半を占める中東産原油の価よる金融緩和の影響から円安が進行し、今年5月には 90 格も、WTI原油に大きく左右されています。一時10 5円/ドルに達しました。その後再び円高に転 80 じたものの、現段階でも100円前後と、昨年と比較し 75 11/4 原油価格の動き値下がり要因例 ●アメリカ、欧州、中国、インドなど主な需要国の景気拡大・経済成長 ●世界的な景気減速 ●産油国での事故・政治的トラブル・自然災害 ●投機資金の流出 ●原油在庫の増加 ●投機資金の流入は、欧米諸国の経済制裁強化に対抗して、イランが原油燃料油燃料油の価格は、国内での需給動向や、小売店同士 12/7 12/10 13/1 13/4 13/7 （ホクレン調べ） 13/1 13/4 13/7 （ホクレン調べ）〈為替相場推移〉 105 100 85 11/7 11/10 12/1 12/4 12/7 12/10 製品の原料となる塩ビ樹脂（農ビなど）や低密度ポリエチレン（農ポリ・農 P O・包装資材類）についても、 1 2 年秋以降現在まで複数回の値上げが実施されてのような原油価格および為替相場の動きにより、高値おり、製品価格に影響を及ぼしています。一時は77ドル/バレルまで下落しました。その後は中東での推移が続いています。直近では、中東情勢不安を情勢リスクが高まり値を戻しますが、米国などの世界的な背景とした原油価格上昇を受け、上昇傾向となってい景気減速の懸念から、90ドル台/バレルで推移しました。秋以降上昇が続いています。これによりプラスチックでの競合などにも左右されますが、全体的には前述ます。輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖を示唆したこと 2013年石油化学製品（プラスチック類）から、3月には105ドル/バレルまで上昇しました。5月以米国の経済指標や原油在庫統計に反応しつつ95ド石油化学の基礎原料となるナフサ価格は、原油価ル /バレル近辺で推移していたW T I 原油価格は、7月格の上昇や為替相場の円安の進行により、2 0 1 2 年降、欧州債務問題の再燃や、これに伴うドル高などから、 12/4 石油製品の動向値上がりの要因例 100ドル/バレル前後で推移していたWTI原油価格 12/1 単位：円/ドル響や米国経済の低迷を背景として8 0 円 /ドル前後で 2012年 11/10 て円安水準での推移が続いています。原油は、19 8 3 年にニューヨーク・マーカンタイル取このうち、世界的な指標とされているのが、アメリ 11/7 為替相場の動きジアの三大市場で形成されています。それぞれの地域のバイ原油が価格決定の指標原油として取引されています。〈原油価格の推移〉単位：ドル / バレル冬の到来を間近に控え、気になるのが燃料価格。世界の政治や経済の動きを背景として高値水準が続 WTI原油価格…すべての石油関連製品の「指標」 10 給不足は避けられるとの見方が強まっています。 70 〈国産ナフサ価格推移〉単位：円/㎘ 65 60 55 50 45 40 35 30 1Q 2Q 2010年 3Q 4Q 1Q 2Q 2011年 3Q 4Q 1Q 2Q 2012年 3Q 4Q 1Q 2Q 2013年 ※1Q：1月∼3月、2Q：4月∼6月、3Q：7月∼9月、4Q：10月∼12月（ホクレン調べ） 11