イネ科 ヨシ属 Phragmites australis (Cav.)

札幌市
NO.187
平成 26 年 10 月 1 日発行
発行元:(公財)札幌市公園緑化協会
豊平公園緑のセンター
イネ科 ヨシ属
Phragmites australis (Cav.)
ヨシ(P.austoralis)は小川や沼の水湿地に生える大形の多年草で、湖岸や河口近くの湿地や止水域
に群生し、世界の亜寒帯から温帯の広い地域に分布しています。このヨシの仲間は世界中にたった 3 種
があるだけです。川の中流より上方の砂質地に生えるのはツルヨシ(P.japonica)で、川底の石の上に
走出枝(地下茎)を伸ばし繁殖します。一方、セイタカヨシ(セイコノヨシ)(P.karka)は、温帯か
ら亜熱帯に分布し、日本では本州、四国、九州などの水の溜まらない湿地に群生します。茎は一夏に 4
~5m まで伸び木質化して頑丈になるため、暖地では冬になっても枯れずに残ります。地下(または地表)
に伸びる地下茎で繁殖し、時に大群落を作りますが、寒い地方では降雪期に地上部が枯れてしまい、そ
れほど大きなものは見られません。
この植物の名が正しくは「ヨシ」なのか「アシ」なのかは、文献によって
表示がまちまちなので、ここでは園芸植物大事典(小学館)の表示を参考
にしました。世界の植物(朝日新聞社)では、アシ(芦)として「アシは
悪しに通じるのでヨシ(良し)とされるようになった」と書かれています。
て ん ち かいびゃく
ヨシに纏わる歴史文化の話題は豊富で、特に日本神話の「天地開闢」に
あしかび
登場する「天地創造」のあと混沌の中から最初に形をあらわす「葦牙の
サクソフォンのリード
吹き口の下に装着
あ
如く萌え騰がる物によりてなる神」とあり、アシ(ヨシ)が土砂から最初に出現する生命体とされてい
ひ
る
こ
あしぶね
るようです。また、「天地開闢」のプロセスで、創造神が生み損なったとされる「水蛭子」は「葦船」
で流されたとあり、古代からアシは船材に使われていたことが窺えます。さらには現実の日本列島が
あしはらのなかつくに
「葦原 中国」と呼ばれていたことは、アシの広がる地だったと想像することができます。
よ し ず
ヨシの利用については、軽くて丈夫な材質から多様ですが、歴史的な建造物の屋根の主材や、葦簀の
利用は現在でも多く見られます。「セイタカヨシ」は材質的に高度な精密性があって、クラリネットや
サクソフォンなどのリードとして使われています。
ヨシに関しての明言、銘文も数多くあり、ブレーズ・パスカルの「人
あし
間は考える葦」やジャン・フォンティヌの「オークと葦」が有名です。
よく、ヨシとススキの相違を問われます。ススキ(Miscantus sinensis)
はヨシ同様イネ科の多年草ですが、日のよくあたる乾燥地を好み、円形
の株立ちになります。
ヨシやススキなどは、地下茎の遺体が分解して出すフミン酸に酸化鉄
が吸着し、地下茎の形状を模した中空の管状物を残します。この珍しい
たかしがはら
現象は天然記念物に指定する地方もあり、特に愛知県豊橋市の高師原に
た か し こ ぞ う
多く見られることから「高師小僧」と言われ、知られています。
(T.K)
葦刈るや 空真っ青に 潟の波
水原秋桜子
<参考文献> 「園芸植物大事典」小学館、「原色牧野植物図鑑」北隆館
「世界の植物」朝日新聞社、「日本の野草」山と渓谷社、「日本の野生植物」平凡社
' 1 4 . 1 0 月号
10 月 の 園芸作業
このコーナーの園芸作業は札幌地方での目安です。
ここに掲載した以外の作業もたくさんありますので、
ご不明な点は緑の相談までお気軽にお問い合わせください。
緑 の相 談受 付 10:00~12:00、13:00~16:00
☆豊 平 公 園
811-9370
月曜以外毎日
(月 祝 日 の場 合 は受 付 し、翌 平 日 休 み)
☆百 合 が原 公 園
772-3511 木 曜 、日 曜
☆平 岡 樹 芸 センター 883-2891 水 曜 、土 曜
◆デンドロビウム(ノビル系)の秋から冬までの管理
今の時期の管理は、いかに立派な花を多く咲かせられるかを決定づける大切な時期です。
この時期は気温がだんだん下がって来るので、水やりもしだいに減らしていきます。10 月中旬頃まで
は、自然のまま(戸外)で日光に十分当てます。但し、霜にあてると枯死しますので天気予報に注意
しましょう。霜の心配な時は、夜だけ屋内に取り込みましょう(札幌の初霜は平年値で 10/25)
。デン
ドロビウムの花芽分化は 5~10℃程度の温度に、必ず 2 週間以上あてることが絶対条件です。これを
怠ると殆どの芽は、高芽や葉芽になってしまい、花を見ることが出来なくなります。低温にあてた鉢
は室内に取り込み、日中も 20℃以下で夜は 6~10℃(5℃以下では枯死しないが、翌年の生育に悪影響)
程度に管理しましょう。日中は出来るだけ日光の当たる所に置きます。水やりは鉢の表面が乾いてか
ら、4~5 日後に与える程度にします。肥料は一切施しません。
花芽
低温にあて、入室した後の温度管理は、室内における最低温度の設定に
よって、開花の時期が変化すると言われています。置き場所を決めるときは
注意しましょう。
15℃の室温で管理すると 2~3 月
10℃の室温で管理すると 3~4 月
に開花
5℃の室温で管理すると 4~5 月
花芽・・・各節(葉の付いている反対側)に丸みのあるふっくらとした芽
高芽・・・元来、花芽の着くところに、子株が発生してきた状態を「高芽が
発生した」と言います。原因の詳細ははっきりしていませんが、以下の管理
高芽
をすると出やすいとされています。対応策と合わせて記載しておきます。
根
肥料:止め葉が出た後も遅くまで与える。一度に多く与える。
→8 月初旬頃、止め葉が出たら打ち切りし、晩い時期に遅効性肥料を
使わないようにします。多肥にならないよう気をつけましょう。
水:入室後の水が多い →入室後は控え気味の水やりにします。バルブが
萎びない程度に与え、汲み置き水を使いましょう。
根腐れ:多水分で根腐れの発生している株 →水やりを控えて乾燥気味にします。
温度:低温処理後に 20℃以上にした →低温処理後は 20℃以下で管理しましょう。
※高芽の処理方法・・・根が 4 ㎝位まで伸びてしまったら、掻き取って水苔で包み、鉢上げして増殖
します。必要ない時は速やかに処分します。
◆堆肥を入れて秋起こし
作物の根は呼吸をしています。呼吸しやすくするためには軟らかい土づくりが必要で、そのために
は毎年堆肥を施用することが必要です。土の中の微生物が活性化し、根が活発に活動できる土で育っ
た作物は食べても美味しいだけでなく、春に土の温度の上がり方が早く、根の付きも良くなり、作物
の植え傷みが少なくなります。
作物には肥料を入れるより、堆肥を入れることの方が大事です。野菜は肥料から吸収する養分より、
堆肥などの有機物から吸収する養分の方が多いので堆肥は毎年入れるように心がけて下さい。
' 1 4 . 1 0 月号
肥料だけを入れ続けると土の中の有機物が不足し固く締まっていき、根の張りが悪くなってしまい、
作物が弱く育ち、病気にも罹りやすくなります。
① 堆肥を施用する量は 1m 四方に毎年 2kg が目安です。
しばらく堆肥を施用していないときは 4~5kg
施用しても良いですが、翌年からは 2kg にして下さい。
② 一般の畑では堆肥は毎年、種類の違うものを施用する方が良いです。
(例)1 年目:牛糞堆肥、2 年目:バーク堆肥、3 年目:鶏糞堆肥、4 年目:馬糞堆肥 など
同じものを使うより、いろいろな物を使った方が、土の中の微生物の種類が多くなり、養分バラン
スが良くなります。
③ 粘土の強い畑はバーク堆肥を主体にした堆肥の施用を続けると作業性が良くなり、水はけが良く
なる効果も期待できます。
(例)1 年目:バーク堆肥、2 年目:馬糞堆肥、3 年目:バーク堆肥、4 年目:鶏糞堆肥
④ 堆肥を施用する時期は秋に畑に撒いて、起こしておくことをおすすめします。秋に作業をしてお
くと、翌春に作物の種を蒔いたり植えつけたりする時に、堆肥が土となじんでいて作物の植え傷みが
少なくなります。春に堆肥を施用する場合は、入れてから 2~3 週間して堆肥が土になじんでから、種
を蒔いたり、苗を植えつけて下さい。
◆ Q&A ◆
秋になり、トチの実が落ちているのを見かけるようになりました。食べられるようなので、
とち餅の作り方を教えて下さい。
(豊平区 H さん)
本州のお土産などでとち餅をよく見かけますが、実はそのままではとても渋く、食べられる
ようにはなりません。食べられるようにするには実のアク抜きをする必要があります。アク抜
きの方法はいろいろあるようですが、一例を挙げてみます。試してみてください。
<作り方> ※1,2 の作業を行い、保存しておいたトチの実から餅を作るときは 3 から始めます。
1 採取したトチの実を 1~2 日間水につけます。
トチの実
外殻(3 裂し、
・実の中に入っている虫を殺すためです。
中に実がある)
2 水につけた実はカラカラになるまで 1 ヶ月以上乾かします。
・渋皮を剥がしやすくするためと、腐敗防止のためです。
・1~2 週間の乾燥では十分ではないため、保存中にカビを生じるこ
とがあります。
実
・カラカラに乾燥すると何年でも保存できます。
3 ぬるま湯に乾燥させた実を 2 日間浸し、ふやかしてから内皮(渋皮)をむきます。
4 内皮をむいた実を、毎日水を替えながら 10~15 日ほど水にさらします。
・泡が出なくなるまで水の取り替えを行います。
※この液は食器などの渋の漂白作用があります。
5 さらしたトチの実 1kg に広葉樹木灰 300g に熱湯 1ℓ を注ぎ、2 日ほど置きアクを抜きます。
・アク抜きは熱湯 1ℓ に、重曹 3g でも可能です。
・この作業に入れる灰などで食味に違いがあり、①広葉樹の木灰、②針葉樹の木灰、③重曹 の
順と言われています。
6 アク抜きの確認は 2~3 粒ほど蒸すか、煮てから指でつぶしてみます、芯が固くてつぶれないよ
うであれば、灰汁を洗い流し、新しい灰で再度アク抜きを行います。
・実を割ってみて、黄色みが残っていればまだアクが抜けていません。
7 えぐ味がなくなったら灰を流してトチの実を取り出します。
8 トチの実を 3 合に餅米 1 升、あるいはトチの実 5 合に餅米 5 合の割合で蒸します。
9 蒸したら、すり鉢で摺るか、臼と杵で突き餅にして食べます。
' 1 4 . 1 0 月号
10 月~11 月の催しのお知らせ
豊平公園 緑のセンター 豊平区豊平 5 条 13 丁目 TEL 011-811-6568 http://www.sapporo-park.or.jp/toyohira/
内容
展示会
セントポーリア展
秋の風流盆栽展
菊花展
日
時間
申込受付開始日
費用・備考
10 月 7 日(火)~10 月 13 日(月祝) 北海道セントポーリア愛好会
10 月 17 日(金)~10 月 19 日(日)
風流盆栽会
10 月 28 日(火)~11 月 3 日
(月祝)
札幌菊花同好会
レカンフラワーの魅力
~乾燥草花のコラージュアート~
洋ラン展
園芸教室・自然教室
セントポーリアの育て方
秋の観察会
フジ・ブドウの整枝剪定
11 月 5 日(水)~11 月 16 日(日)
11 月 11 日(火)~11 月 16 日(日)
〃
各種洋ランの冬の管理
クラフト教室
あけびとふじづるで編むプランター
レカンフラワーのミニ額体験講習会
10 月 29 日(水)
11 月 8 日(土)
10:00~
10:00~
10/11(土)~
〃
2,300 円
2,500 円
11 月 11 日(火)
10:00~
〃
〃
花リース
9/11(木)~
10/11(土)~
〃
〃
〃
10 月 11 日(土)
10 月 18 日(土)
10 月 19 日(日)
11 月 15 日(土)
現代押し花アート体験
ミニ額作り
13:30~
10:00~
10:00~,13:30~
13:30~
レカンフラワー協会
フルールアール
北海道蘭友会
入場無料
〃
〃
無料
100 円
〃
無料
スキー山、豊園花壇の撤去及び樹木移植工事について
豊平公園緑のセンター建て替え工事に伴い、建設予定地のスキー山及び豊園花壇の撤去及び植物移植工事を行って
おります。工事期間中は一部園路、公園出入り口が使用できなくなり、迂回をお願いすることになります。
ご利用いただいております皆様にはご不便、ご迷惑をおかけしますが、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
百合が原緑のセンター 北区百合が原公園 210 TEL 011-772-3511 http://www.sapporo-park.or.jp/yuri/
内容
日
時間
申込受付開始日
費用・備考
講習会・実践講座!・ガイド
お散歩ガイド
9 月6 日~10 月18 日(各土曜)
13:00~
直接会場へ
無料
紅葉祭り
10 月 18 日(土)
10:00~
〃
閲覧無料:販売有
展示会
ダリア展
10 月 7 日(火)~10 月 13 日(月祝) 北海道芸術デザイン専門学校 温室入館料130 円
紅葉の水盤展
10 月 21 日(火)~11 月 3 日(月祝)
〃
10 月 1 日(水)~11 月 3 日(月祝) 世界の庭園無料開放しております。
平岡樹芸センター
清田区平岡 4 条 3 丁目
TEL 011-883-2891
http://www.sapporo-park.or.jp/jyugei/
開園期間延長及び冬期閉園のお知らせ
紅葉をお楽しみいただくため、開園期間を 11/9(日)まで延長いたします。(11 月 10 日より冬期閉園となります。)
その他の公園
イベント 内容
日時
備考
紅葉まつり
10 月 6 日(月)~10 月 26 日(日)
別途駐車料金
焼きいも大会
10 月 26 日(日)9:30~直接会場へ 100 円 ・入園料有り
夏季開園終了 11 月 10 日(月)、11 月 11 日(火)~12 月 22 日(月)休園
サケの人工受精体験
10 月 12 日(日)13:00~,14:00~
直接会場へ
琴似発寒川サケ観察会
11 月 8 日(土)10:00~直接会場(農試公園橋下流)へ
直接会場へ:販売有
マルシェde西岡公園
10 月 12 日(日) 10:00~
子りす工房~こどもの日
「ハロウィンの飾りをつくろう」
森のフェスティバル
自然観察会
秋の実りと紅葉を楽しむ
彫刻体験とアートフェスタ
創成川ハロウィン
秋の公園散策 紅葉刈り
モエレクラフトⅥ
ウッドフレームをつくろう
森のクリスマスリース教室
10 月 19 日(日) 10:00~、13:30~
要申込:300 円
10 月 13 日(月祝)10:00~
11 月 2 日(日)10:00~
10 月 15 日(水)10:00~
当日受付:有料
要申込:100 円
直接会場へ:100 円
10 月 18 日(土) 11:00~(彫刻体験のみ 13 時~要申込:無料)
10 月 26 日(日)11:00~18:00
10 月 25 日(土)10:00~
11 月 1 日(土) 10:00~
10 月 25 日(土)10:00~
11 月 7 日(金)・8 日(土)10:00~
遊びにより有料
要申込:100 円
当日先着:有料
要申込:300 円
要申込:1500 円
問い合わせ・申込み先
滝野すずらん
丘陵公園
592-2222
さけ科学館
582-7555
西岡公園
582-0050
旭山記念公園
200-0311
平岡公園
881-7924
創成川公園
221-4100
モエレ沼公園
790-1231
農試公園
615-3680
681-3940
前田森林公園