フランスの放射性廃棄物政策について 廃棄物管理カンファレンス WM

フランスの放射性廃棄物政策について
廃棄物管理カンファレンス WM 2015
フェニックス、アリゾナ、米国
2015 年 3 月 16 日
フランス・エコロジー・持続可能開発・エネルギー省
エネルギー局長
ヴァージニー・シュワルト
皆様、今朝、皆様にお目にかかって廃棄物管理に関するフランスの経験をご紹介できるこ
とを非常に光栄に思っています。廃棄物管理シンポジウム委員会の皆様がフランスについて
特集を組んで頂いたことを深く感謝したいと思います。特に議長のジェームズ・ギャラガー
さん、会長のジェームス・フィオルツさん、そしてゲーリ・ベンダさんには、絶えざるご支
持を深く感謝したいと思います。
はじめに
廃棄物と使用済燃料を安全に、また責任をもって管理することは大変な課題です。私たち
がここフェニックスに集まったのは、研究成果と専門技術を共有し、現在の、また新しい解
決策を議論し、法的、経済的問題を検討し、倫理的問題や将来世代のことを考えるためです。
既に多くの放射性廃棄物が作られています。今後もっと多くの放射性廃棄物が発生すること
でしょう。将来の低炭素社会に原子力が貢献するには、この廃棄物を環境にやさしく管理す
る必要があります。そのための解決策をできる限り生み出すことは私たち世代の責任なので
す。
フランスにおける放射性廃棄物及び使用済燃料の管理についてもっとお話しする前に、私
たちのエネルギー政策の方向性と原子力エネルギーについての計画を概観させて頂きます。
ご存知の通り、フランスの大統領は「エネルギー転換」の追求を決定しました。これは、
エネルギーの効率化と節約、ならびに電力源の多様化と再生可能エネルギーの供給をより多
くすることによって行うものです。この転換は、 2030 年までにグリーンハウスガスの排出
を 1990 年レベルに比べて 40%減らすという私たちの炭酸ガス目標を達成する上で、今年末
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にパリで開催されることになっている COP の意味合いにおいて特に重要となるものです。供
給のセキュリティーと費用の安さも重要な目的です。目標値は、現在、国会で議論されてい
ますが、原子力の割合を 2025 年までに 75%から 50%にすることとなっています。これは減
少ですが、原子力エネルギーの私たちの電力での割合は世界で最も高いとまでは言わないま
でも、最も高い国の 1 つであるでしょう。私たちは、原子力が発電において長い間大きな役
割を果たし続けると強く信じています。
この「エネルギー転換」は部分的には原子力に依存するので、これはまた放射性廃棄物及
び使用済燃料の管理が十分に行えるかどうかにもかかっています。フランスは、原子力計画
を 70 年前に始めた当初から、これを達成するための努力を続けてきました。この道のりの
一つには、もちろん、科学的、技術的問題を克服することがありました。しかし、公衆の受
け入れが問題となることも度々見られました。
今朝は、私たちがわかった重要な点をいくつかお話ししたいと思います。私たちが大きな
進展を果たした分野では、どのようにプロジェクトを進めたのか、私たちが失敗した所では
どうして失敗したのか。私が指摘したい点には、4 つの重要な点があります。
(1)
国会の役割:多くの国会議員は、放射性廃棄物管理の問題に長い時間、まともに取り
組んできました。後でお話しされるジャン-イヴ・ル・デオ議員は、このような議員の 1 人
です。そして、このことが必要な推進力と継続性を 25 年間にわたって維持する上で欠
かせないものでした。
(2)
環境、公衆の健康、安全を保護すると言う明確な任務を持った、公共の独立した廃棄
物管理機関、ANDRA の創設。
(3)
基本原則及び長期目標を明確にした上で、廃棄物管理に対する総合的、首尾一貫した、
明快なアプローチを取ること。
(4)
国の政策と地域社会及び議会との密接な連携と相互作用
私たちが何を経験し、どのように学んだかを一つずつ説明して、私たちの法的枠組み及び
制度の枠組みをどのように作ってきたかについて理解できるようにしたいと思います。その
後、廃棄物管理に関する最新のプロジェクトである、地層処分施設プロジェクト、Cigeo と
呼んでいますが、これについて最新の情報をお知らせします。
まず、フランスの放射性廃棄物について概観してみましょう。2010 年末現在の放射性廃
棄物の量は以下の通りです。
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-
高レベル廃棄物:主として再処理からのガラス固化体:2,710m3。
-
中レベル長寿命廃棄物:40,000m3。
これら 2 種類の廃棄物は Cigeo の地層処分施設に処分されることになっていて、この施
設は、ビュールに設置される予定です。
-
低レベル長寿命廃棄物:87,000m3。この廃棄物の立地プロセスは進行中です。
-
低中レベル短寿命廃棄物:830,000m3。主として原子力施設および研究所の運転、保
守、デコミショニングから発生したものです。短寿命廃棄物は専用の地表の処分場
に処分されてきました。ラ・マンシェ処分場は 1969 年から 1994 年まで、オーブ処
分場は 1994 年から運転しています。
-
極低レベル廃棄物:360,000m3。オーブのモルヴィリエ処分場で管理しています。
フランスの放射性廃棄物の全体像
区分
2010 年末現在での放射能(TBq)
(x1012Bq)
体積

VLLW - モルヴィリエ処分場(オーブ)

LILW-SL

LLW-LL – 立地プロセスが進行中

HLW+ILW-LL – ビューレでの地層処分施設プロジェクト(ムーズ)
- マンシェ処分場、その後スレーヌ(オーブ)
どのようにして現在のようになったのか。
1980 年代には、多くの技術的な研究を行った後、処分場のための地質調査計画が処分場
のためにあらかじめ選定した 4 カ所のサイトで始まりました。これらの計画は、地方で非常
に強い反対を引き起こしたため、首相は処分場の立地に関係したすべての活動を 1 年間、一
時的に停止することを宣言しました。
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これが転換期でした。それまで低中レベル廃棄物の処分施設が立地され、大きな問題なく
産業界によって運転されてきましたのですが、地層処分施設についてはそれが不可能なこと
がわかりました。クリスチャン・バタイユ国会議員がすべての利害関係者とともにこの問題
をレビューすることを依頼されました。 1991 年までに法案ができ、可決されました。
まず、廃棄物管理の責任を有する独立した専任の公共組織として ANDRA が作られました。
ANDRA の持っているただ一つの明確な目的は、環境と将来世代を防護することです。これは、
原子力産業が様々な目的を追求しているという批判に対応したものでした。ANDRA を創設し
た事はもちろん象徴的なことでしたが、廃棄物管理のアプローチに大きな文化的な変化もも
たらしたのです。そして ANDRA は科学的、道徳的信頼性を利用することができたのです。
次に、法律は、討論会で提案されていた 3 つの代替案、すなわち長期貯蔵、地層処分、核
種分離転換、の研究に 15 年かけることを決定しました。高レベル科学者国内委員会がこれ
らの研究活動を監督するために設けられました。この委員会は現在でも活動していますが、
国会に毎年報告書を出しています。 1991 年法は、この 15 年間の後に別の法律を議論する
ことを求めていました。
三つ目は、この法律がいくつかの重要な原則を設けたことです。それらは、海外の廃棄物
の処分は禁止すること(これは明らかに国及び地方レベルで大きな関心事でした)、地下研
究施設は公衆が十分に参画した後、特別な手続きを経た後に初めて実現すること、地下研究
施設の地方の住民による受け入れを加速するための地方のプロジェクトへの補助金を管理
する専門組織(GIP)を設置すること、でした。
この法律は、新しい基盤の上にたって再開する条件を作り出しました。 15 年間はこれら
の研究にあてられました。地下研究施設はフランスの東部に、地域社会のリーダーとの政治
的合意の後に開設されました。逆に言えば、1990 年代末に前進することができるようにな
ったのは、ビュール・サイトに対する反対派が組織され、処分場の推進派であるこの地域の
長たちの明確な回答の後でした。
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基本原則と一連の政策の構築
放射性物質と放射性廃棄物を管理するためのフランスの国家計画
2013-2015
前には進むことができるようになりましたが、物事はそれほど急には易しくなりませんで
した。この 15 年間に極低レベル放射性廃棄物の管理に関係した様々な出来事も起こりまし
た。防護衣を着た作業者が焼却炉で可燃性廃棄物により汚染されました。発生した金属をリ
サイクルしようという試みが原子力になじみのない従業員に懸念を生みました。これらはす
べて廃棄物管理全般に悪いイメージを作り出すことになりました。そして二つの決定が行わ
れました。
(1)
原子力施設から発生する廃棄物はすべて放射性廃棄物となる可能性があるとして管
理しなければならず、2003 年に運転を開始した専用の場所で処分されるまで追跡し
なければならない。
(2)
すべての種類の廃棄物に対して総合的な放射性廃棄物管理計画を立てなければなら
ない。2003 年に環境省により様々な分野の専門家からなる作業グループが設置され、
最初の国家計画が 2005 年、国民に示されました。
これらの決定により、実質的に議論は収まり、放射性廃棄物管理の透明性が高まりました。
そして、15 年間行われた研究の結果は 2005 年に公開討論にかけられ、放射性廃棄物管理
に関する新しい法律が 2006 年に可決されました。この法律は、地層処分を高レベル廃棄物
の長期的管理の主要なオプションとして確認し、新しい長期的な見通しを示しました。そし
て 2025 年が処分場の運転開始の目標として設定されたのです。
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新しい基本原則が次のように設定されました:廃棄物に対する責任は廃棄物発生者にある。
ANDRA や政府に対する技術や財政に関する責任の移転はあり得ません。廃炉措置についても
同様で、発生者の口座に十分な引当金があるだけでなく、将来のコストを賄うために十分な
現金と金融資産を前もって用意しなければならないのです。本日、後で行われる円卓会議で
これらの長期的責任に関する資金手当ルールについてもう少しお話ししたいと思います。
最後に国と地方のレベルで強い協力が重要なことを示す一つのお話しをしたいと思いま
す。フランスは低レベル長寿命廃棄物のサイトをまだ探しています。この廃棄物は、主とし
て化学産業から発生するラジウム含有廃棄物と第一世代のフランス型黒鉛ガス炉から発生
する黒鉛です。2008 年中頃、ANDRA は、浅地中処分に適した可能性のある地質を持った約
3,000 の市町村に、自発的に処分地を希望する市町村を特定するべく関心の意思表明を求め
ました。 40 の市町村の意図表明を得て、検討し、2 つの市町村を選びました。しかし、そ
の通知の数間後、 いずれの市町村もこのプロセスから撤退しました。
このことはもちろん、大きな後退になりました。政府は多くの専門家からなるグループに
報告書を書くよう委託しました。その結論は何だったでしょう。代表的なものは以下の通り
です。
-
相談を受けた多くの市町村は、適切な情報提供キャンペーンをあらかじめ行う事は
難しいと考えた
-
ANDRA にあまりに多くの責任が移管され、技術的な手法にあまりに重点が置かれた。
中央政府のこのプロセスに対する政治的関与が弱過ぎた
-
一方、非常に小さな市町村の長は、反対派からの強い、組織化された圧力に突然直
面し、彼らだけでは対処できなかった。その地方の人口以上のデモ参加者でデモが
起こった。
-
その市町村の住民と対話を始めようとしたのが遅すぎた
意思表明したいと考えている市町村に対して要請することは、その時点では出発点として
正しいこと考えられました。しかし後になってみると、処分施設のようなプロジェクトは、
全面的かつしっかりした支持を得るためには、そうしたことを行う数年前から市町村のみな
らず郡などのもっと高いレベルと準備する必要があったのです。
政府は ANDRA に対して低レベル長寿命廃棄物を扱うために利用できるオプションを再検
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討し、中間報告書を 2015 年中頃までに出すよう指示しました。
基本原則と一連の政策の構築

廃棄物発生者が財政的、技術的責任を負う

環境を防護するという一つの任務を持った独立し
た廃棄物管理組織

透明性:国家計画に記載された明確な意図

長期的支持を築くために地方社会と共同作業
これが、どのようにして、私たちが現在の放射性廃棄物管理方策にたどり着いたかを示す
ものですが、もちろんこれはフランスに固有の流れです。私のこの簡単な説明により立法者
と国会との直接的な関わりからどのような恩恵を受けたかを分かって欲しいと思っていま
す。すなわち、R&D と実施に対して明確な長期目標が設定され、将来、法律を作ることが求
められてきたのです。1991 年の法律では 2006 年に法律を作る事を、 2006 年の法律は 2016
年に可逆性に関する新しい法律を作ることを求めています。
私たち独自の文脈に対応するために、私たちは ANDRA の任務と廃棄物発生者の責任を明確
にしなければなりませんでした。
-
放射性廃棄物に対する財政的、技術的責任はいかなることがあっても廃棄物発生者に
ある
-
放射性廃棄物の長期的管理は、環境を防護する任務を持った独立した廃棄物管理組織
によって確保される。
-
透明性;問題が複雑であるにしても、意図は国家計画の中でできるだけ明確にすべき
である;計画は、小さな問題を置いておいては大きな問題を扱うことができないので、
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包括的でなければならない;私たちは絶えず、様々な専門家からなるグループの中で
この計画を議論しています。海外の廃棄物をフランス国内に処分することを禁止する
こと、原子力施設から発生するすべての廃棄物を処理する事は重要なことでした。
-
処分場は、地方社会と政府の長期的支持があり、プロジェクトを進めるために一緒に
作業して初めて立地出来るものである
私たちの枠組みは、現在、これらの数少ない単純な原則に基づいています。これらは私た
ちの文脈において失敗し、学んだ結果なのです。これらはフランス特有の問題ですが、何を
したいのかを国民に明確に伝えること、環境を防護するという目的を設定すること、放射性
廃棄物はできるだけ国内で扱わなければならない国の責任であることをわかりやすく包括
的な方法で知らせることは、恐らく多くの国で考えなければならないことだろうと言いたい
のです。これらの原則は、使用済み燃料および放射性廃棄物管理に関する 2011 年欧州指令
に反映され、欧州連合の加盟国 28 ヶ国で共有されています。
II.
Cigeo プロジェクト
Cigeo プロジェクト
これらの原則をどのよ
うに適用するかを示すた
めに、フランスの地層処
分施設プロジェクトにつ
いてもっと詳細にお話し
たいと思います。これは
Cigeo と呼ばれ、廃棄物管
理についてフランスで現
在進行中の最も重要なプ
地下面積:12km2
掘削量:1 千万 m3
深さ:500m
総坑道長さ:258km
アクセス斜坑:4.2km
ロジェクトです。
最も課題の多い廃棄物の種類は、高レベル廃棄物と中レベル長寿命廃棄物です。これらは
将来世代に対する私たちの責任に、また遠い将来の世代に高度の安全性をどのように保障す
るかに、疑問を投げかけるからです。フランスでは、Cigeo プロジェクトを通して地層処分
を選択しています。Cigeo は、地下に建設され、 1 世紀以上もの間運転される新しい種類の
原子力施設です。この施設は、パリの東、約 150 マイルの地点に立地されます。地層は堆積
岩で、目標とする深さは 500 メートルです。粘土鉱物の含有率は約 45%で、これが優れた
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閉じ込め能力と優れた力学的挙動を付与します。
Cigeo は厳密な科学的プロセスの結果できたものです
2005 年、ANDRA はこの岩層に関する調査を完了し、 1 万ページの報告書を出しました。
この報告書を粘土レポートと呼んでいます。この報告書は、広い分野(地球科学、環境科学、
化学、材料科学、応用数学、人間科学、社会科学など)で何年にもわたって R&D を行い、国
際協力を進めた結果なのです。Cigeo の建設と運転ならびに閉鎖とモニタリングに備えるた
めに研究はまだ欠くことがきません。地下研究施設は、必要な調査と試験を行う特殊な施設
です。
この粘土レポートの結論は、ビュール村の周辺に立地する処分場は長期安全性を達成し、
それを証明できる十分な証拠がある、というものです。フランスの原子力安全機関が 2006
年 2 月にこのことを確認しました。このことは、もちろん研究の終わりではなく、普通でな
い大きさ、性質をもった産業プロセスの出発点です。その後出された 2006 年法では、地層
処分を主要なオプションとして確認し、また、ビュール・サイトを適切な位置として確認し
ました。
Cigeo は社会との相互作用の結果でもあります
1991 年法は、ANDRA に対して可逆的、不可逆的処分の両方を研究するよう指示しました。
2005 年に行われた国の公開討論で、新しい技術が出てきたときに地層処分がもっと良い方
法で廃棄物を取り扱うことを妨げるのではないかとの懸念が示されました。反対派は、その
ことを理由にして長期地上保管を推奨しました。このため、国会は処分場に可逆性を持たせ
ることを要求しました。
その際、政府は、2013 年に国民的討論を、独立した公開討論国民会議によって開催する
ことも決定しました。これは、このプロジェクトにとって欠くことのできないステップでし
た。不幸なことに、反対派の中の過激な少数派の行動のために、このための公聴会は開くこ
とができませんでした。少人数のグループでも、議論できなくするような大きなノイズを立
てることができるのです。いくつかの試みの後、公開討論国民会議は公聴会をキャンセルす
ることを決定し、主にオンラインで議論を行いました。数百もの質問が出され、回答は出版
され、インターネットを通じて生の議論が放送されました。コンセンサス会議も開かれまし
た。その報告書は、予備知識のほとんどない公衆の委員によって書かれたものですが、その
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内容は印象的なものでした。公開討論国民会議も独自の結論を出しました。
この国民的討論から以下の結論が引き出されました。
1.
ANDRA は、プロジェクトへの利害関係者の関与を改善する努力を行うべきである。
すなわち、利害関係者の専門知識グループに参加すること、環境モニタリング施設を
利害関係者に公開すること、安全性実証に関する対話を増やすこと。
2.
Cigeo 施設は、設計と運転ルールを段階的に確認するために、徐々に(パイロット
段階から)運転を開始すべきである。
3. 施設の運転はマスタープランに従い、このマスタープランを、利害関係者との議論
の後、定期的に見直すこと。このマスタープランでは、様々なステップとパイロット
段階の中身を規定し、様々な種類の放射性廃棄物が受け入れできるように柔軟性を持
たせ、ボーリング孔、立て坑、処分場を段階的に閉鎖するスケジュールを持つこと。
インベントリ、リサイクリング、柔軟性
柔軟性を持たせるという考え方は、Cigeo の予想インベントリを NGO および立法者と議論
している時に出てきたものです。今後数十年のうちには、放射性廃棄物の性質と量に大きな
変化があるかもしれません。そのため、1 世紀もの間運転する施設を設計する際にどのよう
な放射性廃棄物を考えるべきなのでしょうか。私たちは ANDRA に対して原子力発電所の運転
は平均 50 年とし、使用済燃料はリサイクルするという 2 つの仮定に基づいた標準インベン
トリで処分場を設計するよう依頼しました。また、永久的な利害関係者である、透明性に関
する高等委員会(HCTISN)にも Cigeo プロジェクトに関する国民的討論の前に公開の報告書
を出すよう依頼しました。
フランスでは、使用済燃料のリサイクルは処分場の受け入れにとって重要なことです。ど
のような種類の廃棄物でも、それを処分する際にまず答えなければならない質問は、「リサ
イクルしたのですか」というものです。これが環境法の基本原則なのです。
しかし、リサイクルは議論の多いオプションでもあります。標準インベントリは最も可能
性の高いインベントリですが、オプションを残しておくことは処分場の受入性にとって欠く
ことのできないことです。例えば、使用済燃料を処分することができなければ、処分場はリ
サイクル方針を正当化する方法とみなすことができます。あるいは、リサイクルする原子力
を正当化することになります。このため、私たちは ANDRA に対して処分場が長い時間、柔軟
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性を持っていることを証明するようにも指示しました。予想されるインベントリに大きな変
化が生じた場合には、公衆のところまで戻る必要があり、不適切な処分場にこだわるべきで
はありません。このことは、他の適切な処分場がないことによって将来、Cigeo に送られて
くる可能性のある放射性廃棄物についても当てはまります。このことは設計及び安全実証段
階で ANDRA に影響を及ぼします。
Cigeo は地方開発計画でもあります
地方レベルでは、ANDRA は政府の支援を受けて、Cigeo の地下施設および地上施設を立地
できる具体的な地域を特定し、プロジェクトについて近隣住民に情報を与えるために、利害
関係者(町村、郡、研究所を監視するために作られた利害関係者グループ(CLIS)など)と
何年にもわたって作業行ってきました。廃棄物発生者は、いくつかの活動を持ってきたり
(EDF はビュールから離れていないヴェレネスに輸送基地を立地)、地方の会社を特命した
り、地方の投資計画に参加したりすることによって、地方経済を発展させる対策を行ってき
ました。ビュール周辺の郡で機器やインフラに資金を出すために、適切な財政対策もとられ
ています。これらの対策は、今後も「地域開発契約」で持ち込まれる計画になっています。
これは、政府、ANDRA、廃棄物発生者、および地域社会の支援のもとに一緒に持ち込ま
れることになっています。
設計は、現在では産業段階に到達し、今後、さらに許認可申請段階に進み、来年には土木
工事に進む予定です。私たちは、私たちの監督のもとで、国や地方当局の支援を得て、また、
廃棄物発生者と協力して、ANDRAがこのプロセスを、安全で効率的かつ経済的に管理し
続けていくと確信しています。
III.結論
このフランスでのやり方を概説することによって皆様方に、私たちが今年の廃棄物管理会
議において今後、何をするか知りたいと思うようになって欲しいと思っています。フランス
について特集を組んでくれた組織委員会の方々に再度、感謝したいと思います。
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