直属の上司の役割 - デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン

従業員エンゲージメントの強化:
直属の上司の役割
デール・カーネギー・トレーニング白書
デール・カーネギー・トレーニング
Copyright © 2012 Dale Carnegie & Associates, Inc. All rights reserved.
従業員エンゲージメントの強化:
直属の上司の役割
今日の社会で従業員エンゲージメントは(従業員の組織に対する責任ある
あたら気と期待を超えて働こうとする意欲)、マネジメントにとって重要
になっています。従業員エンゲージメントとは、仕事に対する満足度を言
うものではありません。完全にエンゲージしている従業員は、組織の成功
のためにやる気があり、熱心に働きます。わかりやすく言うと、エンゲー
ジしている従業員は満足度が高く、良い顧客を持ち、良好なビジネス関係
を維持しています。また従業員エンゲージメントが高ければ、離職率が低
くなります。ですから、エンゲージメントは組織の業績にまで影響を与え
かねません。
米国のMSWリサーチ社は、さまざまな業種の1,500人の従業員を対象
に職場におけるエンゲージメントを調査しました。エンゲージメントに
影響を与える要素はいくつもありますが、調査の結果、従業員と直属の
上司の人間関係が最も影響力があることがわかりました。
2
直属の上司の重要性
従業員エンゲージメントでは、直属の上司は極めて重要な役割を果たします。直属の上司
は部下とシニア・マネジメントのパイプ役となり、組織内の情報伝達の中心的役割となり
ます。マネジメントは上司を通じて組織の目標や価値を伝えることとなります。組織の目
標や価値観また従業員への影響について、日々業務を一緒に行う直属の上司が個々に説明
すること最適と思われます。直属の上司は部下の意見や懸念に耳を傾け、ボトムアップで
フィードバックをシニア・マネジメントに伝える役割を担います。
退職が意味することとは、単に会社を辞める(離れていく)だけではなく、その組織に働
く人々から離れていくことだと言われています。上司の仕事、振る舞い、発言、言い方が、
仕事と組織全体に対する従業員の態度に影響を与えます。直属の上司に不満がある従業員
は組織のビジョンが何か理解が低い傾向にあり、欠勤や退職する確率が高くなります。エ
ンゲージしている従業員は仕事に誇りを持ち、組織の目標のために働きます。また、賃金
の増加が少ない場合、転職の確立は低い傾向にあります。
敬意
貢献への評価
信頼
同意
オープンなコミュニケー
ション
良い見本
リーダーシップへの信頼
私生活への気遣い
多く学ぶ
個人に対する興味
意見と励まし
エンゲージメント
調査では、従業員に直属の上司に対する満足度を評価してもらいました。直属の上司に非
常に満足している従業員の49%がエンゲージしていました。そして驚くべきことに、直属
の上司に非常に不満がある従業員の80%がディスエンゲージしていました。
3
感情面における効果
職場で従業員が持つ感情の重要性については、従業員エンゲージメン
ト白書「従業員エンゲージメントの感情的要因」で詳しく述べていま
すが、完全にエンゲージしている従業員は、日々の上司上司との関係
の中で熱意、エンパワーメント、自信、評価などを感じています。良
い上司の下では、従業員は高く評価されていると感じ、自信を持って
いるのに対し、良くない上司は従業員をいら立たせ不快にさせます。
これは大げさな表現ではなく重要なことです。直属の上司との関係が
エンゲージメントに大きく影響しているということなのです。上司が
ポジティブな感情を伝えれば、部下は組織に対してよい感情を持ちや
すくなります。同様に、ネガティブな言動は生産性とモラルを低下さ
せ、ディスエンゲージメントにつながります。ディスエンゲージして
いる従業員を完全なエンゲージメントに導くことは、離職率の低下や、
欠勤数の低下につながっていきます。
従業員の28%が上司
との関係にネガティ
ブな感情を抱いてい
ます。その中で組織
に対してエンゲージ
している従業員はわ
ずかに10%です。
実践的エンゲージメント
上司が日々の業務に追われて忙しいことはよくある話しです。差し迫
った問題がなければ、物事は順調に進むでしょう。しかし、従業員の
完全なエンゲージメントを得るためには、ライン・マネージャーは能
動的であることが求められ、強いリーダーシップを示し、ポジティブ
な職場環境を作る必要があります。上司のリーダーシップ能力を信頼
している従業員の 38% が自分の上司に満足しています。そのうちの
半数以上の従業員がエンゲージしています。
良い上司は、従業員が効率的に働くために正しいスキルを身につける
必要があることを分かっています。たとえば、新入社員は入社から数
年経っている社員に比べて指導が必要です。新入社員は時に楽観的で
あり、出世を夢見ていますが、自分の役割や責任についてよくわかっ
ていないケースがあります。組織の中で出世していくには、自分の行
いを正しく理解するための意見や前進するための励ましが必要です。
直属の上司が明確な目標を定め、研修を行うことで、入社時の熱意を
完全なエンゲージメントに変えることができます。また、エンゲージ
メント・レベルは入社後3年から5年後に停滞することがわかっており、
上司は部下に研修を受けさせることでエンゲージメントを維持する必
要があります。完全にエンゲージしている従業員の53%が上司から多
くのことを学んだと回答しています。完全にエンゲージしていない従
業員の場合は19%だけが上司から学んだと回答しました。
直属の上司が強い
リーダーシップ、
よい模範、
個人として関心を示
してくれていると
感じている従業員は
エンゲージメント
レベルが高くなる
傾向にあります。
4
有能な上司は手本を示すことで従業員の熱意を生み、仕事へのさらなる意欲をかきたてます。これ
を裏付けるようにエンゲージしている従業員の62%が上司は良い手本を示していると回答していま
す。完全にエンゲージしていない従業員の場合は、その割合が25%と低くなります。従業員を信頼
し、仕事を任せる上司は部下に決定権を与えています。決定権を持つ従業員の40%がエンゲージし
ています。
部下と上司の間でのオープンな真のコミュニケーションがあることで、部下はやるべき仕事への理
解が、上司は部下の仕事ぶりに対して理解が深まります。上司を信頼し、上司から認められている
と感じている部下は自信を持ち、上司の反応を恐れず自由に話すことができます。反対に、オープ
ンなコミュニケーションがとれていない上司の場合、部下を信頼することができず、リーダーとし
ての能力や組織の理念に対して疑いを持つようになってしまします。高いレベルのエンゲージメン
トを生み出す上司は、部下とのよいコミュニケーションがあり、信頼し、仕事ぶりを認めている上
司です。
従業員との一貫性のあるポジティブな対話が、チームワークと助け合いの精神をつくります。しか
し、良い直属の上司は通り一遍のアプローチで完全なエンゲージメントを得ることが難しいことを
理解しています。たとえば、エンゲージメント・レベルは大卒や高卒の従業員よりも大学院卒の従
業員の法が低くなります。直属の上司は、部下の能力を認めることで評価されているという気持ち
を与えることができます。また、低所得労働者のエンゲージメントレベルも低いことがわかってい
ます。エンゲージしていない従業員は、接客費や事務職や営業にみられますが、従業員自身が仕事
に価値を見いだし、組織への貢献を理解するためには、直属の上司の役割が極めて重要になってき
ます。
満足度
エンゲージメント
Very
satisfied
非常に満足
7%
5%
Somewhat
Satisfied
やや満足
13
18
52
38
13%
43%
32%
Nautral
どちらでもない
Somewhat
やや不満
Dissatisfied
80
62
49
20
8
6
18
3
とても不満
40
やや不満
40
どちらでもない
やや満足
非常に満足
Very
Dissatisfied
とても不満
54
部下は直属の上司というフィルターを通して上司個人の価値をみます。自分の貢献を認識すること
は、自分の業績について上司から意見をもらったり、励まされたりするのと同様に、自信、献身、
達成につながります。良い仕事をしてもそれが認められず、報酬が与えられなければ、従業員のモ
ラルと生産性にマイナスの影響を与えます。回答者の多くは上司が敬意を持って接してくれている
と回答していますが、さらなる成長のために意見をくれたり、励ましてくれると回答した人は少な
かったです。さらなる成長のための意見と励ましはエンゲージメントを生み出す最大の要因です。
5
思いやりのある上司
ライン・マネージャーにとって部下との関係をよくすることには、高いレベ
ルのエンゲージメントにつながるだけでなく、組織にポジティブな影響を与
えます。部下は直属の上司に対して自分に関心を持って欲しいと思っており、
生活やプライベート面が業績も影響を与えるということにも気を配って欲し
いと思っています。調査の結果、40~49 歳の従業員は家族への責任がプレ
ッシャーとなりエンゲージメント・レベルが低くなることがわかりました。
個人レベルで部下のことを知ろうとし、私生活にも気く配慮できる上司はエ
ンゲージメント・レベルの低い中年層に対してもうまく対応することができ
るでしょう。
こうした思いやりのある行動はエンゲージメントを高める4つの重要な要因
の2つを占めます。つまり、従業員に対して思いやりのある上司を教育すれ
ば業績を改善することができ、離職率を下げることができ、生産性を上げる
ことにつながるのです。その結果、顧客満足度を上げることになり、売上が
増えるという将来を実現することに近づきます。
部下は思いやりのある上司と良好な関係を築くものです。上司が私生活につ
いても気にかけてくれていると回答した人はわずかに3分の1でしたが、その
うちの54%がエンゲージしていました。残りの3分の2のうち、つまり、上
司が私生活についても気にかけてくれていないと回答した人でエンゲージし
ている人はわずかに17%でした。上司が部下に思いやる気持ちを見せること
ができれば、エンゲージメント・レベルは上がることでしょう。
デールカーネギー トレーニングが提供する実績あるプログラムを実施するこ
とで、マネジメントは上司が気配りのできる強力なリーダーになるために必
要な人間関係スキルを発展させることができます。有能な上司からなる組織
を構築すれば、従業員の間にエンゲージが生まれ、結果的に生産性、サービ
スの質、収益性が上がります。
WWW.DALE-CARNEGIE.CO.JP
6