スイカの割れを切らずに判定する方法 秋元秀美 1・櫻井直樹 2・中務

スイカの割 れを切 らずに判 定 する方 法
○
秋 元 秀 美 1・櫻 井 直 樹 2・中 務 浩 昭 3
(1(有 )生 物 振 動 研 究 所 ,2広 大 院 生 物 圏 ,3(株 )ファーマインド)
Non-destructive evaluation method of internal cracks in watermelon fruit
Akimoto, H., N. Sakurai and H. Nakatsukasa
【目 的 】
スイカ内 部 の割 れは,硬 さと同 様 ,品 質 を決 める重 要 な要 素 である.切 らずに内 部 の割 れが分 かれ ば,
加 工 や販 売 においてより高 い価 値 を付 加 することができる.振 動 法 を用 いた内 部 欠 陥 の非 破 壊 評 価 法
は,日 本 ナシの芯 腐 れについて 2012 年 春 季 大 会 で報 告 したが,他 の果 実 の内 部 欠 陥 の判 別 ができる
かどうかについて検 討 した.今 回 は,スイカの割 れを振 動 法 によって判 定 する方 法 について,スイカのモデ
ルを有 限 要 素 法 で作 成 し割 れを判 別 できるかどうか検 証 した.
【材 料 および方 法 】
有 限 要 素 法 (ANSYS)を用 い,直 径 26cm,果 皮 の厚 さ 1cm のスイカのモデルを作 成 した.果 肉 と果 皮
のヤング率 は物 性 測 定 装 置 (50N,㈱イマダ)で実 測 し,それぞれ 3MPa,10MPa の値 を用 いた.モデルの
要 素 の形 は三 角 錐 (高 さ 3.4cm)とし,割 れの入 っていない正 常 モデルの構 成 要 素 数 は 2944 個 ,割 れ
の入 ったスイカの構 成 要 素 数 は 4665 個 であった.振 動 は赤 道 面 で与 え,重 力 の影 響 も考 慮 した.割 れ
の空 間 は,6.5cm×13cm,厚 み 5mm の直 方 体 とした.割 れの容 積 はスイカの体 積 の 0.5%である.
スイカの振 動 測 定 は,スイカのつるが上 になるように置 き,聴 振 器 型 測 定 装 置 (㈲生 物 振 動 研 究 所 )
でスイカの赤 道 面 上 180°対 称 となるように加 振 器 と受 振 器 をセットし,1 回 目 の測 定 をした.2 回 目 は加
振 器 と受 振 器 をそれぞれ 90°ずらして 2 回 目 の測 定 をした.振 動 は 10Hz から 500Hz まで 10 秒 間 加
振 し,フーリエ解 析 でスペクトルを得 た.スイカの個 体 数 は 10 個 で,このうち測 定 後 割 れが判 明 したものが
5 個 あった.
【結 果 および考 察 】
有 限 要 素 法 で図 1 のようにスイカに割 れが入 ると第 2共 鳴 ピークが割 れるということがわかった.実 際 に
割 れの入 ったスイカを測 定 すると(図 2),第 2 共 鳴 ピークが割 れていることが確 認 された.割 れの入 った 5
個 体 とも第 2 共 鳴 ピークが割 れており,残 りの割 れの入 っていない正 常 な 5 個 体 の第 2 共 鳴 ピークは割
れていなかった.以 上 の結 果 から,加 振 器 と受 振 器 の間 に割 れがあれば第 2 共 鳴 ピークが割 れることが
予 想 されるので,加 振 器 と受 振 器 の位 置 を 90 度 ずらして 2 回 測 定 することによってスイカの割 れを非 破
壊 で予 測 できることが示 唆 された.
1.0E-03
第2共鳴ピーク
第2共鳴ピーク
正常
正常
変位
[m]
変位[dB]
変位
[m]
変位[m]
-6.0E+01
1.0E-04
割れ1個入
加振
割れ入
-1.0E+02
受振
割れ1個入りモデル
(赤道面)
割れの果実(赤道面)
-1.4E+02
1.0E-05
50
100
150
200
250
周波数[Hz]
[Hz]
周波数
図 1 割 れ果 実 と正 常 果 の振 幅 の
シミュレーション結 果
300
50
100
150
200
250
周波数 [Hz]
周波数 [Hz]
図 2 割 れ果 実 と正 常 果 の振 幅 測 定
300