中国人民元の切り下げについて

2015年8月12日
【ご参考資料】
中国人民元の切り下げについて
ポイント1
人民元の基準値を前日比2%近く引き下げ
8月11日、中国人民銀行(中央銀行)は、各営業日ごとに設
定する人民元の対米ドル中心レートである基準値を前日比
2%近く引き下げました。突然の基準値の大幅な引き下げは、
市場では驚きをもって受け止められ、人民元の対米ドルレートは
一時約3年ぶりの安値水準に急落しました。
同中銀は、市場の実勢をより適切に反映するため、基準値の
算出方法を変更すると発表、人民元の事実上の切り下げに踏
み切りました。
ポイント2
【図1】2000年以降の人民元を取り巻く主な動き
2005年7月
固定相場制(ドルペッグ制)から通貨バスケット制を参考とした管理変動
相場制へ移行
2008年7月
世界金融危機などを背景に事実上のドルペッグ制へ復帰
2010年6月
管理変動相場制へ再移行
2012年4月
対米ドルの1日の変動幅を基準値の±0.5%から±1.0%へ拡大
2014年3月
対米ドルの1日の変動幅を基準値の±1.0%から±2.0%へ拡大
2015年8月
基準値を前日比約2%切り下げ
(出所)各種報道等より野村アセットマネジメント作成
低迷する輸出競争力の回復を目指した措置 【図2】中国輸出と人民元実効為替レートの推移
今回の措置について市場では、低迷する中国の輸出競争
力の回復を目指したものと受け止めています。
(%、前年同月比)
60
米国の量的金融緩和終了・利上げ観測の高まりなどを背景
に米ドルが上昇するなか、それに連動する形で、人民元の実効
為替レートもここ数年で大幅に切り上がりました。
40
期間:2010年1月~2015年7月、月次
(2010年=100、逆目盛)
90
中国輸出(左軸)
95
人民元実効為替レート(右軸)
100
30
105
人民元高は中国の輸出競争力を圧迫、足元の輸出不振を
招いていました。8月8日に発表された7月の輸出額(米ドルベー
ス)は、前年同月比-8.3%と市場予想以上の大幅な落ち込み
となりました。
0
経済の減速感が強まるなか、その一因ともなっている低迷する
輸出を梃入れし、景気を刺激する狙いがあるものと見られます。
ポイント3
今後の当局のスタンスに注目
同中銀は声明で、今回の基準値の大幅引き下げについて、1
度限りの調整だとしたうえで、人民元レートを「妥当」な水準で
安定的に維持し、基準値の設定で市場の役割を強化する方
針だと付け加えました。
今回の措置により、世界第2位の規模を誇る中国経済が持
ち直すのであれば、世界経済にとってもメリットは大きいと考えら
れます。ただ、今後、中国が明確な通貨安戦略を打ち出してく
るのではないかとの懸念も市場では燻っており、基準値設定の
方向感など、今後の当局のスタンスに注目が集まります。
50
20
10
115
120
-10
125
人民元高
-20
-30
110
人民元安
130
(注)人民元実効為替レートは6月まで
135
15/01
(年/月)
(出所)BIS(国際決済銀行)、Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
10/01
11/01
12/01
13/01
14/01
【図3】為替レートの推移
20
期間:2011年12月30日~2015年8月11日、日次
(人民元/米ドル、逆目織)
6.0
対円レート(左軸)
対米ドルレート(右軸)
6.1
18
6.2
16
6.3
22
(円/人民元)
14
人民元高
12
10
11/12
6.4
6.5
人民元安
12/12
13/12
14/12
6.6
(年/月)
(出所)Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
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