経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー (TEM)に よる直腸癌の治療

日消外会誌 30 (4): 950/-954. 1997二
F
特集 14
経肛門的内視鏡下 マ イク ロサ ー ジ ェ リー
(TEM)に
よる直腸癌 の治療
金沢大学医学 部第 1 外 科, 南 ヶ丘病院外科 Ⅲ
金平 永 二
疋
春原 哲 之
亀 水
島 一 徳
本
忠
大 村 健 二
渡
辺 洋 宇
27例の直腸 癌 に対 し,直 径 4cmの 手術 用直腸 鏡 を用 い て行 う経肛 門 的 内視 鏡 下 マ イ ク ロ サ ー ジェ
リー (TEM)を 施行 し,臨床 的検 討 を行 った。対 象 は早期直腸癌 20例 と進 行癌 7例 で あ り,姑 息的 TEM
も含 まれていた。腫場 の大 きさは最大 8 5cm,平 均3.lcmで あった。 一 括切 除 となった もの は92.6%
で あ り,断 端腫瘍細胞 陽性 となった もの は3.7%(進 行癌 1例 のみ)で あった。平均手 術 時間 は81分で
あ り,術 中術後 に重篤 な合併症 は認 めなか った。 ほ とん どの例 で疼痛 の訴 えはな く,術 後第 1病 日か
ら歩行 が 可能 で あった。低位前方切 除術 を 3例 に,腹 会陰式直腸切 断術 を 1例 に追加 した。術後経過
観察期 間 は最長31年 ,平 均 1.1年で あ り,早 期癌症例 は全 例無再発 で あ る。進行癌 に対 して姑息 的 に
TEMを 行 った例 の うち,1例 で他病死 を,1例 で局 所再発 を認 めた,TEMに
よ り早期直 腸癌 の一 括
切 除や進行癌 の姑息 的切 除 が低侵襲 で安 全 に行 える。
Key words:
1 transanal endoscopic microsurgerl', 2 endoluminal rectal surgery, 3 endoscopic treatment
for rectal cancer
は じbに
解割学 的特徴 に起 因す る直腸 病変 へ のアプ ロー チの
難 しさは,古 くか ら外科 医 を悩 ませ て きた。直腸 癌 の
手術 に臨 む外科 医 は,「根治性 の喪失 Jと
「
qualtty of
lre(QOL)の 低下」とい う 2つ の谷 に挟 まれた鋭峰 を
行 く登 山家 の ようで あ る。
QOLの 低下 が 皆無 に近 い ア プ ロー チ の 1つ は経肛
門的 な方法 であ ろ う。なかで も内視鏡 的粘膜切 除術 (以
略記)は視野 が 良 く,高 位 の直腸 に も容 易
に到達 で きる とい う長所 が あ る。 しか しこの方 法 で は
一
括切 除 で きる水平 ・垂直方 向 の大 きさが小 さい。 こ
れ に対 し直視下 に行 う経肛 門的切 除法 で は,EMRに
下,EMRと
比 べ大 きな腫 瘍 を切 除で きるが,肛 門 か ら病変 までの
距離 に比 例 して手術操作 が 困難 にな る。
両者 の長所 を兼 ね備 えた経肛 門的 アプ ロー チが存在
す る。 それ は経肛 門的内視鏡下 マ イ ク ロサ ー ジェ リー
*第 48回日消外会総会 シンポ 3・ 直腸早期癌 に対 す る
内視鏡治療 と外科治療 の controversy
<1996年 12月11日受理>別 刷請求先 :金 平 永 二
〒920 金 沢市宝町13-1 金 沢大学医学部第 1外 科
(transanal endOscopic microsurgery;1以T,TEttIと
略記)と 呼 ばれ る,外 科 的 な管 腔 内視 鏡 治療 法 で あ
)(Fig.1).筆 者 らゆ4)は
る1ン
本邦 に TEMを 導入 し,現
に50例の
在 まで
直腸病変 に対 して施 行 した。本稿 で は
TEMの
手技 と直腸癌症例 の手術 成績 を提示 す る。
I . 対
象
1992年11月か ら1996年7月 まで に教室 と関連施 設 に
Fig. l Schematic illustratiOn Of TElッ
I utilizing
the rigid Operative rectoscope deviced by Buess
143(951)
1 9 9 7 年4 月
Fig. 2 Endoscopic view showing the resection
technique of TEM, by which a iarge en bloc
resectioncan be performed.
Table l Cancer cases treated by TEM (n=27, Nov
1992-Jul 1996)
Age
Sex
Tumor location
Tumor size
3 5 - 9 0( m e a n : 6 3 . 6 )
male/female: 16/11
5 - 1 7 c m ( m e a n - 9 .1 ) f r o m A V .
(mean:3.1)
1.0-8.Scm
Invasion depth
11
ヤ
anal verge
て50例の直腸 良性 ・悪性病変 に TEMを
施行 した。病
ル
ノイ ド5例 ,
16例
27例
チ
の内訳
は腺腫
変
,癌 腫
,カ
その他 2例 であ った。本稿 で は直腸癌症例27例 を対 象
とす る。
対 象患者 の年齢 は35∼90歳 (平均年齢 636歳 )で ,
男 女 比 は16:11で あ った。腫瘍 の局 在 は肛 門 縁 か ら
5∼17cm,平 均9。lcmで あった。深達度別 にみ る と m
ll例,sm1 7例 ,sm2 1例 ,sm3 1例 ,mp 7例
で あっ
た。腫瘍 の最大径 は1.0∼8.5cm,平 均3,lcmで あった
(Table l).
4.切 除
セー フテ ィー ・マ ー ジ ン をlcmに 設定 し,凝 固点 で
切 除予定 ライ ンをマ ー ク した。切 除 には左手用 の把 持
鉗子 と右手用 の針状 高周波 メス を用 いた (Fig。2).基
本 的 には粘膜下 層 の深層で切 除 を行 い,腫 瘍 の 中心部
で は固有 筋 層 の表 層 に及 ぶ 深 さ と した.進 行 癌 で は
II.手 術手技
Rbに 限 って直腸 周 囲組織 を含 めた全層切 除 とした。
1.術 前準備
すで べ ての患者 にお いて 開腹移行 とな る可能性 を考
慮 した術 前準備 を行 った。 TEMに
拡張 させ て手術 を行 った。
特徴 的 な準備 とし
て,患 者 の体位 を決定 す るた めに時計方 向 の正 確 な腫
瘍局在 の把握 を内視鏡 にて行 った。
2.体 位
腫瘍 が視野 のやや右 よ り (4∼ 5時 方 向)に 位置 す
出血 に対 して は,高 周波凝 固 に よ り止血 した。切 除後
の欠損部 をイ ツジン①希釈液 50mlに て洗浄 した。
5.縫 合
欠損部 の縫合 は,26mmの 半 円形針付 き3/0モノフ ィ
ラメ ン ト吸収 糸 を用 い,腸 管 の長 軸 に直角方 向 に連続
縫合 で行 った。糸 の長 さは10cmと し,糸 結 び を省略 す
るた めに糸端 に専 用 の銀製 ク リップ を固定 した.
方 向 に位置 す るように体位 を とり,最 終 的 に手術 台 を
ロー テー シ ョンし,体 位 の微調整 を行 った。原則 的 に
運針 の方向 は,欠 損部右端 において内腔側 (外)か
ら→ 欠損部 内 (内),日 側 エ ッジにおいて 内→ 外,肛 門
側 エ ッジにおいて外 → 内 とした。糸 の中継 ぎ,緩 み防
全身麻酔下 に TEMを
止 ,縫 合終了時 に,銀 製 ス ー チ ャー ク リップ を固定 し
るように体位 を とった.ま ず おおむね腫瘍 が視野 の下
行 ったが, 2例 において硬膜外
た (Fig.3),
麻酔 とした。
3.シ ステムのセ ッ トア ップ
6.術 後管理
Richard Wolf社 (ドイ ツ/Knittlingen)製の手 術 用
直腸鏡 な らびに通気 ・吸引 ・洗浄 を行 う周辺機器 (En‐
補液 を行 うとともに,経静脈 的 に抗生剤 を投与 した。
dosurgical Unit)を用 いた.直 腸鏡 は専 用固定金具 に
粘膜切 除例 で は,術 後第 1病 日に飲水 を許可 し,欠 損
部 の大 きさや縫合部 の 緊張 の度合 い に応 じて,低 残澄
て手術 台 に固定 した.光 学子管,把 持鉗子,高 周波 メ
ス,吸 引管 を直腸鏡 の処 置具用 ポー トか ら挿 入 し,送
食 か ら漸次普通食 とした.縫 合部 の緊張 が強 い全層切
除例 で は,術 後第 7病 日まで低残澄食 とし,内 視鏡検
チ ュー
気,レ ンズ洗浄,吸引,圧 モ ニ ター用 の コネ ク ト・
査 にて縫合部 の状 態 を確認 した上 で常食 を開始 した。
ブ を直腸鏡 とEndosurgたal Unitに接続 した。炭酸 ガ
術後 5∼ 10日 目に内視鏡検 査 を行 い,切 除後縫 合部 を
ス通気 にて直腸 内圧 を8∼10mmHgに
観察 した。
調節 し,内 腔 を
144(952)
経肛門的内視鏡下 マ イク ロサー ジェ リー による直腸癌の治療
Fig. 3 Endoluminal suturing technique of TEM.
A specially designedsilver clip is pressedon the
suture thread to alternate knot-tying.
日
消外会誌 30巻
4号
Table 2 Operativeresults of TEM (n:27)
Operation time
30-180min(mean=81.7)
Size of specimen
en bloc resection
30-95mm(mean=456)
Tumor at cut margin
1$.7%)
Complications
intraoperative
postoperative
25(92.6%)
1(3_7%)
perforation
incontinence(5days* 3 ( 1 1 1 % )
slight bleeding*
small dehiscence*
1(37%)
2(74%)
*no treatment required
Table 3 Prognosis with follow-up period of 1
month through 3.1 years
case(n)
radical
surgery
LN meta
alive
0
findings of a resected
LAR
yes
APR
O
mp(1)
yes
S
e
mp(1)
yes
yes
yes
0
LAR
yes
yes
0
mp(l)
yes
0
mp(3)
0
smzlyr vz(1)
s m .( 1 )
LAR
0
specimen in an advanced cancer case, showing a
wide safety margin and deep resection layer.
smr lyo vo(6)
sm, ly, vo(l)
0
Histopathological
0
m(11)
FiS. 4
yes
yes
yes
mp(1)
これ以外 に特別 な術 中合併症 はみ られ なか った。 出血
量 は26例 で20ml以 下 で あった。 1例 にお い てお よそ
100mlの 失血 を認 めた。開腹移行 を 1例 に経験 した,切
除標本 の 肉眼所見 にて進 行癌 と判 断 し,低 位前 方切 除
術 に変更 した もので あ る。術後肛 門痛 を訴 える患者 は
少 な く,愁 訴 が あって もきわ めて軽度 で あった。1例
退 院後 当科外来 にて経過 を追 った症 例以外 は,担 当
主治医 に電 話,フ ァックス,手 紙 のいずれかの方法 で
予後調査 を依頼 し,結 果報告 を受 けた。
III.手 術成績
27例の手術 時間 は30∼180分,平 均81.7分で あった。
を除 く26例が術後第 1病 日よ り歩行可能 であった。 ご
く軽度 の一 過性 失禁 を 3例 に経験 した。 この 3例 はす
べ て術後 5日 以 内 に軽快 した。 術後第 1病 日に軽度 の
肛 門出血 を 1例 に経験 した。術後 内視鏡検査 にて小範
囲の創離 開 を 2例 に認 めた。以上 の術後合併症 はいず
切 除標 本 の最大径 は30∼95mm,平 均45.6mmで あっ
た。 一 括切除 は25例 に施行 で きた (Fig.4).2例 にお
いて 2分 割切 除 となった。切 除断端 陽性 例 は mp癌 1
れ も特別 な治療 の必 要 な く軽快 した。狭窄 は 1例 も認
例 にお い て見 られ た。 この例 で は水 平 方 向 の セ ー フ
テ ィー マ ー ジンには腫瘍細胞 は見 られ なか ったが ,筋
層剣離面 において陽性 で あった.な お,こ れ は低位前
観察期 間 は 1か 月 か ら3.1年 ,平 均 1.1年 で あった。m
方切 除術 を追加 した症 例 で あ る。術 中合併症 として は
に対 して追加切 除 を行 った.内 訳 は低 位前方切 除術 3
例,腹会陰式直腸切 断術 1例 で あった.smllyl v。
症例,
mp症 例 の うち 1例 で は リ ンパ 節 転 移 を認 め な か っ
腹腔 内穿孔 を 1例 に経験 した。 この例 で は前述 の縫合
技術 にて穿孔部 を閉鎖 し,そ の後 は問題 な く経過 した。
めなか った (Table 2).
予後追跡率 は1996年 7月 30日 現在 100%で あ る。経過
ll例 ,sml lyo v。 6例 において,再 発 は 1例 も認 めて
い な い.sml lyl n。 1例 ,皿 2 1yl v2 1例,mp 2例
1997年4月
145(953)
た。残 る 2症 例 で はいずれ も251番 リンパ 節 に転移 を認
は真 の切 除 断端 が 不 明確 にな るお それ が あ る.悪 性 腫
めた。高齢 な どの理 由 で追加切 除 を行 わ なか った もの
瘍 に対 して ,こ の よ うな切 除 法 が 第 1に 選 択 され るべ
は Sm3 1例 とmp 5例 で あった。 これ らの うち mp 5
きで は な い と筆 者 らは考 え る。
症例 は術 前 か ら進行癌 と診 断 され て いたが,姑 息的 目
時 に他病死 (異物誤畷 による気道閉塞)し た.mp l例
本 稿 で示 した 臨床 成 績 は,上 記 の 考 察 を裏 付 け る に
り
十 分 な情 報 で あ ろ う と考 え る。本 邦 で は荒 木 ら ,高 橋
11)も
10,白
ら
水ら
同様 に積 極 的 に TEMを 施 行 し,良 好
で術後 25年 目に,局 所再発 を認 めた。他 の症例 は再発
な手 術 成 績 を示 して い る。
な く,良 好 な QOLを 享受 して い る (Table 3).
海 外 の報 告 で はT E M に お い て術 中 穿 孔 が
32∼ 4,3%に 認 め られ た と して い る4)13)14).自
験例 で も
的で TEMを
施行 した。mp l例 が術 後 1.2年目,90歳
I V . 考察
リンパ 節転 移 の有無 を術 前 に100%の 信頼 性 で診 断
で きな い限 り,局 所切 除 とリンパ 節郭清 を伴 う根 治術
順 調 に経 過 した。 術 中穿 子しは,即 時 に縫 合 閉 鎖 す れ ば
の適応 につ いて厳密 な境界線 を引 くこ とはで きな い。
問題 な い もの と考 え られ る。
over surgeryに よ りQOLの
低下 が大 き くなる可能性
のあ る直腸 にお い て,こ れ は大 きな問題 であ る.種 々
1例 に 穿孔 を認 めて い るが ,内腔 か らの縫 合 で対 処 し,
筆 者 らは重篤 な術 後 合併 症 を経 験 して い な いが ,文
の術 前診 断 を行 って も切 除 法 を決 定 で きな い ときに
は,十 分 なイ ンフ ォー ム ドヨンセ ン トを得 た上 で まず
献 で は重 篤 な もの として 縫 合部 離 開,縫 合 部 狭 窄,直
4)13)】
4)。これ らの に は cov―
中
腸 腟 療 が あ げ られ て い る
ー
ering colostomyの 作 成 や ブ ジ が 必 要 で あ った症 例
直腸局所切 除 を行 い,病 理組織学 的検査所見 に よ り追
も含 まれ て い る。 今 後 TEMの
加切 除 の必要性 を判 断す べ きで あ ろ う と筆者 らは考 え
界 に近 い症 例 が 蓄 積 され る と,本 邦 で も この よ うな合
る。
併 症 が 発 生 す る可 能 性 が あ るの で 十 分 注 意 しな けれ ば
教室 で は,姑 息例 と mま た は sml,ly。,v。,先 進部
budding5卜の陰性例 以 外 は根 治術 を追加 す る方 針 で あ
な らな い 。
Saidら 1りは,TEM後
る。 この方針 に基 づ いた追加切除症例 中, リ ンパ 節転
移 を認 めた もの は50%で あった。逆 に姑息例 を除 く経
年 で ,早 期 癌 22例 にお い て は癌 の再 発 はみ られ なか っ
た と報 告 した.Buessら 的も, 3年 の 観 察 期 間 で pTl,
過観察症例 で は再発症例 を今 の ところ認 めて い な い。
low Ask groupの 腫 場 に再 発 を認 め て い な い と報 告 し
普 及 に伴 い ,適 応 の 限
観 察期 間平 均 29か 月,最 長 6.3
この結果 は筆者 らの方針 の妥 当性 を支持 す る もので あ
た 。 筆 者 らの成 績 は まだ十 分 な期 間 を経 過 して い な い
ろ う。筆者 らの追加切 除率 は14.8%で あった。Buess
らゆは74例 の直腸 癌症例 に TEMを 行 い,追 加 手術 を
の で長 期 予後 につ い て 論 ず る こ とが で きな い。 今 後 の
本 邦 で の TEMの
22例 (29.7%)に 行 った と報告 した。
か に な る こ とを期 待 した い 。
TEMの
ように診 断的 目的 を兼 ね て局 所切 除 を行 う
場合,そ れ はきわ めて低 侵襲 で,腫 瘍 の一 括切 除 が行
えな けれ ばな らない。EMR,経
肛 門的外科切除,TEM
は侵襲 の小 さな局 所切 除法 とい えるで あろ う。後 方 ア
プ ロー チ (経仙骨 的 あ るい は経括約筋 的局所切 除)は
この 3者 に比 べ る と侵 襲 は大 きい といわ ざ る を得 な
い。 一 括 切 除 の能 力 とい う点 で は後 方 ア プ ロー チ と
TEMは
,EMRや
従来 の経肛門的切 除 に勝 ってい る。
以上 よ り,TEMは
直腸局所切 除法 の 中 で も理想 的 な
条件 を満 たす選 択肢 で あ ろう と考 える。
EMRと
TEMの
適応 の境界 は どの よ うに設定 す べ
きで あ ろ うか.教 室 で は,早 期直陽癌 に対 して は長径
あ るい は基 部 が15mm以
上 の もの を TEMの
適応 とし
て い る.大 きな早期癌 で も EMRの 適応 とす る とい う
しか し,セ ー フテ ィマ ー ジンが小 さ くな
意 見 もあ る12j。
れ ば,局 所再発 の危険が増 す で あ ろ うし,分 割切 除で
普 及 と,多 数例 にお け る予 後 が 明 ら
文 献
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and clinical results Of endorectal surgery Sur‐
Transanal Endoscopic Microsurgery in the Treatment of Rectal Cancer
Eiji Kanehira, Kazunori Hikishima*, Kenji Omura, Tetsuyuki Sunohara,
Tadashi Kamesui and Yoh Watanabe
Department of Surgery (l\, Kanazawa University
*Department of Surgery, Minamigaoka Hospital
Transanal endoscopic microsurgery (TEM), utilizing an operative rectoscope with a diameter of 40
mm, was performed in27 rectal cancer cases.The clinical results are presentedherein. Our series included
20 early and 7 advanced carcinomas, of which 5 of the latter received TEM as a palliative treatment.
Mean tumor diameter was 3.1 cm, maximum 8.5 cm. En bloc resection was successful in 92.6ft of the
series, while the cut-margin was tumor positive in one advanced case. Mean operative time was 81.7
minutes. There were no complications. Very few patients complained of pain and most began walking on
POD 1. Low anterior resection was added in 3 patients, and abdominoperineal rectal amputation in one.
During the follow-up period, ranging from I month to 3.1 years, no recurrences were noted in the early
cancer cases. One palliative case died of a cause unrelated to the cancer and another was found to have
a local recurrence. TEM contributes to safe and minimally invasive en bloc resection in early rectal
cancer and to palliative treatment for advanced cancer cases.
Reprint requests: Eiji Kanehira Department of Surgery (I),Kanazawa University School of Medicine
13-1, Takaramachi, Kanazawa, 920 JAPAN
R
e t