知的財産報告書

知的財産報告書
(2005年4月∼2006年3月)
INTELLECTUAL
http://www.mes.co.jp/
技術本部 知的財産部
〒104-8439 東京都中央区築地5-6-4
電話 03-3544-3220 FAX 03-3544-3026
注意事項
この報告書において、当社の方針、戦略、分析等、将来にかかわる事項の記述は、当社が現在入手している情報に基づくもので、一定の前
提に基づいたものです。その前提は、国際的な技術や需要動向、経済環境、競争の状況にかかわるものであり、前提が変化する結果、この
報告書で述べられているすでに実現した事実以外の事項は変更する可能性があります。
0609N-2SBC
2006
PROPERTY
REPORT
2006
I N T E L L E C T U A L
Intellectual Property Report 2006
知的財産・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
目 次
知的財産ポートフォリオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
会社概要
ごあいさつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
中核の技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
事業分野と中核技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
研究開発と知的財産の概略・・・・・・・・・・・・・・・・9
ライセンス関連活動の事業への貢献 ・・・・・・・10
知的財産報告書2006の発行に当たり、一言ごあい
さつ申し上げます。
知的財産係争リスク対応情報 ・・・・・・・・・・・・・10
当社は、「社会に人に信頼されるものづくり企業で
知的財産の取得・管理、営業秘密管理、
技術流出防止に関する方針 ・・・・・・・・・・・・・10
事業セグメントと研究開発の方向性・・・・・・・・7
研究開発組織および外部との協力・提携・・・・8
ごあいさつ
知的財産運営組織 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
あり続ける」ことを企業理念としております。
この企業理念のもと、広範囲な分野において培っ
た技術とグローバルな事業活動での経験を総合的に
調和させた製品・サービスを提供する“ものづくり企
業”として、社会や人々からの期待に応え信頼を高
社 名
この経営方針に基づき、「お客様へのより高い満足の提供」、「安全で働き甲斐のある職
三井造船株式会社
Mitsui Engineering & Shipbuilding Co., Ltd.
場の実現」、「社会の発展への寄与」、「企業永続のための利益追求」を経営姿勢として掲
創 立
1917年(大正6年)11月14日
げ、全てのステークホルダーの皆様に企業価値を評価いただけるように努めております。
設 立
1937年(昭和12年)7月31日
資本金
443億8,495万円
代表者
代表取締役社長 元山 登雄
き、2003年度∼2005年度の3次に亘って知的財産推進計画が策定、実行され、知的財産立
所在地
東京都中央区築地5丁目6番4号
国の実現を目指した集中的な改革が推進されました。その結果、知的財産立国の実現を
売上高
2,940億円(単独)/5,685億円(連結)(2005年度)
目指す国家戦略は、3ヵ年を経過して着実に進展しております。更に、次期3ヵ年計画に
経常利益
56億円(単独)/126億円(連結)
(2005年度)
当期利益
30億円(単独)/57億円(連結)
(2005年度)
従業員数
3,832人(単独)/11,488人(連結)
さて、我が国におきましては、2003年3月1日に施行されました知的財産基本法に基づ
おきましても様々な制度改革が実行されるものと思われ、当社としましても今後の動向
を注視し適切な対応をとる必要があると考えております。
出される知的財産の保護・活用が極めて重要であります。
当社では、知的財産を企業競争力の重要な源泉として位置付け、今後とも、事業戦略、
売上高(単独)
利益(単独)
4000
60
42
56
40
32
30
20
1000
500
40
52
31
30
20
0
2004
2005
(年 度)
2005
(年 度)
331
296
300
本報告書では、お客様・株主・投資家・アナリストの方々をはじめとする当社のステ
ークホルダーの皆様に向けて、当社の事業概要、各事業セグメントの中核技術と研究開
2005
(年 度)
まいります。
443
100
2004
2004
476
研究開発戦略および知的財産戦略を三位一体として展開し、知的財産活動に取り組んで
400
200
10
0
0
特許出願件数
特許権保有件数
600
(件 数)
2000
700
50
2940
2780
特許出願・特許権保有件数(単独)
経常利益
当期利益
(億 円)
3000
研究開発費(単独)
80
(億 円)
R E P O R T
一方、「企業価値の持続的向上」を果たすために研究開発活動およびその成果として創
(億 円)
P R O P E R T Y
めることを経営方針としています。
会社概要(2006年3月31日現在)
0
2004
2005
(年 度)
発活動、およびそれらの成果である知的財産の活用等運営状況を報告致します。
2 0 0 6
本報告書を通じて、当社の研究開発活動および知的財産運営に対するご理解をより一
層深めていただければ幸いに存じます。
代表取締役社長
元山 登雄
表紙:ギリシャ神話 知・技術などの女神アテナのマスク
1
2
Intellectual Property Report 2006
事業の概要
Intellectual Property Report 2006
当社では船舶、鉄構建設、機械、プラントの4事業分野を事業セグメントとして設
定しています。各事業分野の概要を次に示します。
●船舶事業分野
ほぼ1世紀におよぶ造船の実績を基に、時代のニーズに応える多
彩な最新鋭船舶を建造しています。寒冷地および厳しい海象条件
を考慮したLNG運搬船、燃料タンクのダブルハル採用等、環境に
配慮した大型タンカー、顧客ニーズに応えた当社ヒット商品のば
ら積み貨物船など数多くの商船の建造実績を有しています。また
ハイテクを結集した艦船や巡視船、各種調査船、高速船、 FPSO
(浮体式石油生産貯蔵設備)も高い評価を得ています。また、水中
テレビロボットや深海探査用の海中ロボットなどの水中ロボット
事業は、国内有数の実績を誇っています。更に2006年1月には千
葉事業所において新設の1,000トンゴライアスクレーンが稼働を開
始するなど生産性の向上を図っています。
寒冷地仕様LNG船
●鉄構建設事業分野
●プラント事業分野
社会インフラ建設では、社会基盤整備や快適な都市づくりに事
業を展開しており、鋼構造物,トンネル,道路などの点検診断・
改修などを事業化して、製品開発からメンテナンスまでのトータ
ルなエンジニアリングを展開しています。
物流システムでは、海上物流の要となるコンテナ用クレーンを
1,000基以上、国内外のコンテナターミナルに納入しています。コ
ンテナ用岸壁クレーン(ポーテーナ)では20ftコンテナ2個用の吊
り具を装備することで、荷役効率を飛躍的に向上させています。
また、フルインバータ制御をクレーンに採用することで、メンテ
ナンス性の向上と環境への配慮を図っています。コンテナ用ヤー
ドクレーン(トランステーナ)では、走行ステアリング装置に電
動シリンダ方式を採用することで、インバータ制御と併せてメン
テナンス性の向上を図っています。さらに、コンテナターミナ
ル・マネジメント・システムやコンテナターミナルの総合的自動
化ソフトウエアを独自開発し、コンテナヤードの自動化にも力を
注いでいます。
化学プラントについては、国内はもちろん世界 40 カ国以上で
1,300以上におよぶプラントの納入実績を誇っています。昨年度よ
り高密度ポリエチレン製造プラント、メチルメタクリレートモノ
マー製造プラント等の大型受注があり、特に、サウジアラビア向
けに住友ケミカルエンジニアリング株式会社と共同で受注したモ
ノエチレングリコール・プロピオンオキサイド製造プラントは世
界最大規模の生産能力があります。
環境リサイクルでは、環境保全を未来へ向けての最大のテーマ
と考え、廃棄物、水、大気、土壌などの分野で独自の技術を開発
し新しい可能性を広げています。廃棄物処理関連では、熱分解溶
融プロセスを使った PFI プロジェクトである浜松市向けの清掃工
場・水泳場の建設・運営業務、カーシュレッダーダスト炭化施設、
韓国楊州市向け都市ごみ処理施設の基本設計業務等の受注があり
ます。また、焼酎粕リサイクル設備の受注、木質系原料によるバ
イオエタノール製造プラントの実証等、多彩なシステムを提供し
ています。
一方、原子力関連では、放射性廃棄物処理施設、使用済核燃料
の再処理施設などの受注実績があります。
このような事業を設計から調達、建設、試運転、メンテナンス
までの総合エンジニアリングを展開、グループ企業とのネットワ
ークもフルに活用し、プロジェクトを遂行しています。
大型タンカー
1,000トンゴライアスクレーン
●機械事業分野
世界トップの生産実績と技術を誇る舶用低速ディーゼルエンジ
ンは、高水準の船舶建造需要に支えられ、05年度には生産量が過
去最高の186基,352万馬力を達成しました。これにより、三井‐
MAN B&W型低速ディーゼルエンジンの累計生産馬力は06年3月
末現在で世界最大の5,148万馬力に達しました。近年の旺盛な需要
に対応するため、05年に新工場を増築しましたが、08年度に500
万馬力の生産能力を構築するために引き続き生産体制の増強を目
指します。
さらに通信衛星とインターネットを利用した舶用ディーゼルエ
ンジンの保全サポートシステム e-GICS は世界のユーザーから好
3
評を得、 06 年 3 月末現在で加入会員社数 14 カ国100 社、登録船は
670隻を突破しました。また、環境に優しくクリーンなエンジンと
して注目のガスエンジンは、1MWクラスの発電プラントの主機関
として世界最高の発電効率42.5%で電力を供給しており、技術面
だけではなく、メンテナンス支援サービスを実施しているのが特
徴です。産業機械分野では、国内外の製鉄,石油化学業界の活発
な需要に対応して、大型往復動圧縮機、高炉用送風機、プロセス
用塔槽、熱交換器などを底堅く受注しました。さらに、コージェ
ネレーション用のガスタービン設備についても、二酸化炭素排出
量削減の時代要請の中で堅調に受注しました。
先進機械システム分野では、半導体・液晶分野において独自技術
による半導体製造関連製品や液晶パネル製造に対応したイオン注入
装置、熱処理装置および液晶検査装置などを手がけています。パワ
ーエレクトロニクス分野では、高周波の誘導加熱装置をはじめとし
た各種熱処理装置を鉄鋼プロセス用、自動車製造プロセス用として
世界中に提供しており、05年には工業用の誘導加熱装置の累計生
産台数が1,000台を突破しました。特に鍛造前誘導加熱装置は、自
動車メーカーに支持され、圧倒的なシェアを築いています。
舶用低速ディーゼルエンジン
大型往復動圧縮機
石油化学プラント
カーシュレッダーダスト炭化施設
●その他の事業分野
IT関連では、舶用リモコン、CimStation、MiTOX、勤怠管理な
ど既存製品の機能強化、Webベースのレガシー・マイグレーショ
ン事業の推進、産業用ユビキタス対応量販型商品の創出に注力し
ています。
コンテナ用ヤードクレーン
4
Intellectual Property Report 2006
Intellectual Property Report 2006
●プラント事業分野
中核の技術
プラント事業分野では、従来の化学プロセスに加えて
事業分野と中核技術
バイオプロセス技術、環境対応技術および物質リサイク
取水源における実証試験を計画中です。資源リサイクル
ル技術を中核技術と位置づけ、技術開発を進めています。
関連では、バイオガスプラントにおけるメタン発酵のバ
環境修復関連では、間接加熱酸化分解法によるダイオ
イオガス収率向上や分離液の脱窒素処理等の性能向上を
キシン類等汚染土壌の無害化処理技術について、国の技
図っています。また、焼酎粕を全量リサイクルできる、
各事業分野における当社の製品群、その中核となる技
ントを設定し、それぞれの事業分野の中核となる技術を
術調査を受託し実証試験を行い、 99.9% 以上の高い分
経済性のあるシステム開発を行い、実用化しました。原
術は、図1に示す通りです。当社グループ(当社および
基軸として、製品開発および競争力の強化につながる研
解率を達成しています。水処理関連では、汚泥発生量を
子力関連では、使用済み核燃料の輸送および中間貯蔵用
連結子会社)は、4事業分野に対応した研究開発セグメ
究開発を積極的に推進しています。
低減し、窒素除去や臭気抑制に効果の高い高機能活性汚
高性能金属キャスクの開発を進め、実用化に向けた確証
泥法を下水処理や、液状有機性廃液のメタン発酵処理分
試験を実施中です。
離液の処理に適用しています。上水分野では、地下水を
●船舶事業分野
船舶事業分野の基幹製品である太宗船では、物流効率の
推進性能を有する船型を完成しています。また、船体構造
向上を目指した次世代型のばら積み貨物運搬船の船型開発
強度を確保する疲労評価や振動解析技術の開発を継続実施
●その他の事業分野
天然ガスハイドレート(NGH)の製造・輸送・利用
を進めています。積載貨物量が増え船首部の肥大度が大き
しています。水中機器関連では、自律型海中ロボット
くなっても、従来船型と同等以上の保針性や波浪中の推進
r2D4による海底測地観測を通して実海域での制御技術、
技術の開発では、基礎研究の段階を終え実用化研究の段
パイロットプラントによる量産技術開発を開始しまし
性能を発揮する船型とするため、水槽試験に加えてCFD
運用技術を培っています。遠隔操作型の水中ロボットでは、
階に入っています。現在、NEDO ※の受託研究として、
た。IT関連では、各種製造・管理システムのソリューシ
(数値流体解析)技術を駆使した推進性能・波浪耐航性等
操作性の向上、情報量の増大を目指した次世代型を開発中
です。船体構造の長寿命化、推進性能向上、省エネ化、振
ス量の増加に伴う船の大型化や推進システムの多様化に対
動低減など造船基盤技術の研究開発も継続的に推進してお
応できるよう、2軸船型の開発を進めて、1軸船に匹敵する
り、製品の性能・信頼性向上に取り組んでいます。
2006 年度から 3 ヵ年計画で、中国電力㈱殿と共同で、
NGHの国内陸上輸送システムの実証を行います。また
バイオエタノール製造技術開発では、(NEDOとの共同
研究として)最大2トン / 日の木質原料からのエタノール
ョンを提供するための技術開発、ユビキタス社会対応の
の設計技術の開発を行っています。LNG船では、積載ガ
製造技術の実証設備が稼動中です。また、電池関連では、
向上にも努めています。
リチウムイオン電池の次世代正極材と目されているリン
※NEDO:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
●鉄構建設事業分野
鉄構建設事業分野の基幹製品である橋梁、鉄構建設、
ポンツーン関連では、漏水防止工法、既設ポンツーンの
沿岸開発に必要な中核技術である流体性能、構造安定
揺れ診断技術の実用化を進めるとともに、新しい建造法
性・構造強度、耐風・耐震・制振設計技術、溶接技術お
の開発にも着手しています。港湾物流運搬機関連では、
よび土木施工技術などの高度化に向けた研究開発の継続
コンテナ船大型化に対応する高効率新型岸壁クレーン
に加え、既設鋼構造物のメンテナンスおよび補修事業を
(スーパーテーナ、Twin40ftポーテーナ)、環境にやさし
視野に入れた疲労亀裂の補修、塑性変形後の耐力評価・
い全電動化、省エネ型ヤードクレーン(トランステーナ)
寿命延伸など、実用的な各種工法の開発も進めています。
の技術開発を進めています。
機械事業分野の基幹製品である動力・エネルギー関連
は、コンテナヤード用トランスファクレーンの環境対応
製品については、性能および環境対応の一層の向上を図
を図るためディーゼル排ガスフィルタ装置の技術開発を
るため、ディーゼルエンジン、ガスタービンなどの燃
進め、米国環境保護庁(EPA)の認証を取得しました。
焼・熱流動制御技術、機械要素技術および加工組立技術
これを契機に米国での同装置の事業展開を図る予定で
等の中核技術の高度化を進めています。熱電独立可変ガ
す。また、バイオマスエタノール製造プロセス用として、
スエンジンシステム(1MWクラス)の開発では、ノッ
蒸留塔-蒸気透過VP膜ハイブリッドシステムの開発を進
キング対策技術の改良等で信頼性が向上、高い発電効率、
め、従来の共沸蒸留塔に比べ1/3程度まで大幅な省エネ
排気再燃ボイラによる熱電制御など、全体システムとし
を達成できる見通しが得られています。ITの適用として、
ての省エネ効果が実証されています。機械関連では、液
当社の舶用ディーゼルエンジンを搭載して頂いている船
晶製造用イオン注入装置を開発し、市場に投入していま
舶に対し、インターネットを活用した舶用ディーゼルエ
す。また同アニール装置では、スループット向上のため
ンジンの性能診断・余寿命診断サービス e-GICS の機能
の搬送技術などの開発を実施しており、73cm×92cm
として、シリンダ内圧力データの自動取り込みソフトお
パネル用の枚葉式装置を開発し、引合い時におけるプロ
よび過給機性能診断データ計測システムを開発してエン
セス検証が可能となりました。環境・エネルギー関連で
ジンの安心な稼働に役立っています。
酸鉄リチウム材料の合成と高性能化の技術開発を進め、
電子デバイスの技術開発を進める一方、システム技術開
発面では、CMMI(ソフトウェア開発プログラムの能力
成熟度モデル)レベル3を達成し、システム開発の品質
2005年度の単独における研究開発費は約31億円で、売上高の約1.0%に相当します。
事業分野
製品群
中核の技術
船舶
一般商船
艦艇
水中機器
(構造解析・推進性能)
鉄構建設
橋梁・水門
ポンツーン
クレーン
機械
ディーゼル
回転機
メカトロ機器
パワエレ機器
制御技術(燃焼・熱流動)
機械要素技術
加工組立技術
プラント
化学プラント
ごみ処理設備
水処理設備
原子力関連
設計技術(化学・バイオプロセス)
環境対応技術
物質リサイクル技術
●機械事業分野
5
対象とした膜モジュールによる処理プロセスを開発し、
IT関連
設計技術
製造技術(生産性/品質)
設計技術(耐風・耐震・制振)
溶接・施工技術
制御技術(遠隔操作・位置決め)
情報処理技術
(製造ソリューションなど)
その他
NGH関連
(輸送船など(将来))
図1
NGH製造技術
当社製品群と中核技術
6
Intellectual Property Report 2006
Intellectual Property Report 2006
事業セグメントと研究開発の方向性
研究開発組織および外部との協力・提携
当社は、総合エンジニアリング企業として、4事業セ
チェーンの視点に立って中小ガス田を含むガス資源
当社の研究開発は、コーポレート研究拠点としての技
互に連携を取りつつ研究開発を推進しています。また、
グメントに亘り幅広い研究開発を行っていますが、その
の探査から製造、利用に至る総合的な NGH 技術の
術本部、新事業創出をミッションとする事業開発本部お
研究開発の加速、および先進技術の獲得を目的として、
開発を推進して行きます。
方向性:1)船舶・鉄構・ディーゼルエンジン関連分野、
よび各事業本部の技術開発担当部署が担っています。技
外部機関との連携も強化しており、現在、九州大学、岡
2 )環境・エネルギー関連分野、 3 )機械分野 につい
2) 環境・エネルギー関連分野では、環境規制に対応
術本部は主に4事業の共通基礎技術の高度化、新製品の
山大学と組織対応型の包括的な研究協力を進めており、
て事業戦略に基づく開発戦略を立案し、短・中期的な次
し、環境負荷を低減するための技術開発を進めて行
中核技術の開発を担い、事業開発本部は新事業創出に必
着実に成果を挙げています。また、NGH技術開発では、
世代製品、長期的な環境変化対応製品といった、将来ビ
きます。また、新エネルギー開発として、廃棄物等
要な技術課題の解決を、各事業本部は商品の高性能化・
国など(国土交通省、NEDO、JOGMEC※など)から
ジョンに向けた研究開発として進めていきます。事業セ
バイオマスのエネルギー転換,物質転換利用技術開
次世代化、さらに新商品・新事業創生に係わる研究開発
研究開発費の補助を頂き、また、各種研究機関との共同
グメントと研究開発の方向性との関連を、表1に示しま
発に取り組んで行きます。
を担当しています。
研究(大阪大学、東京大学、産総研など)、国内外の企
3 ) 機械分野では、センシングの高度化を目指して、
す。
1) 船舶・鉄構・ディーゼルエンジンなどの社会イン
フラ関連分野では、社会インフラ LCV 向上として、
推進性能、LCV、構造などの質の向上を目指した一
図2に研究開発の社内体制および社外との連携を示し
製品検査、セキュリティ検査等のセンシング機器の
ます。社内体制として技術本部と事業開発本部、各事業
開発、医療、バイオ分野で使用されるフローサイト
本部それぞれにリエゾン(研究開発推進役)を置き、相
業との連携等、幅広い活動を行っています。
※JOGMEC:独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
メータなど、ナノレベルの計測技術・機器の開発を
般商船、複合構造の橋梁、省エネ・低環境負荷の
進めて行きます。また、電子デバイス製造装置開発
DE 、 GT 、 GE の開発など当社主要製品の次世代化
として、液晶製造用のアニール装置、成膜装置等の
を図る製品・技術の開発に取り組んで行きます。ま
技術・機器開発に取り組んでいます。
た、燃料シフトに対応し、長期的なエネルギー供給
表1
事業セグメント
各事業分野の
主要製品群
研究開発の
方向性
船舶
一般商船
船艇
水中機器
鉄構建設
機械
プラント
橋梁・水門
ポンツーン
クレーン
ディーゼル
回転機
メカトロ機器
パワエレ機器
化学プラント
ごみ処理設備
水処理設備
原子力関連
社会インフラ
LCV向上
一般商船の
次世代化
新型LNG船
燃料シフト対応
NGH/輸送システム 貯留タンク 造粒装置 製造プラント
環境規制対応
バラスト水処
理システム
センシングの
高度化
電子デバイス
製造装置開発
複合構造
橋梁
構造物診断
港湾物流ハイブ
リッド運搬機
高機能
水中機器
社内連携による
研究開発の推進
事
業 事
開&業
発 本
本 部
部
リエゾン
IPM
包括連携研究
国
土
交
通
省
岡
山
大
学
社内連携による
知財戦略の推進
共同研究
N
E
D
O
J
O
G
M
E
C
・・
大
阪
大
学
東
京
大
学
産
総
研
・・
代 表 的 な 外 部 機 関
港湾セキュリティ 先端ナノ計測
システム
装置
液晶製造用
装置
知的財産部
受託・補助研究
DE排ガス処理装 浄水システム、
置(DPF, DeNOx)造水システム
廃棄物ガス化、
エタノール化、
炭化プラント
技
術
本
部
(リエゾン)
(知財総括責任者)
パテントリーダ
九
州
大
学
技術総括部
(研究開発推進役)
省エネ・高効率
DE、GT、GE
膜利用ハイブ
リッドシステム
新エネルギー開発
7
三 井 造 船
事業セグメントと研究開発の方向性
図2
社内外の研究開発の体制
8
Intellectual Property Report 2006
Intellectual Property Report 2006
知的財産
製 造
125件
成 型
32件
貯 蔵
55件
輸 送
50件
NGHペレット
利 用
92件
ガスタービン複合
発電プラント
製造プラント
知的財産ポートフォリオ
NGHガス化装置
当社では、既存事業および創生事業各々の状況に応じ
開および知的財産リスク回避等を行っています。特に、
た事業戦略、研究開発戦略との三位一体の知的財産戦略
創生事業など高額予算の研究開発については自他社の特
の運営を進めています。自社研究開発成果の権利化に加
許を分析し発明創出会議などを行うことで戦略的に特許
え、事業遂行上必要不可欠な技術を外部から導入するこ
網の構築を図っています。
天然ガス
NGHキャリア
(−20℃・大気圧)
電力供給
P
生成水
淡水源
とにより、これら事業の自由度の確保や積極的な事業展
積荷バース
荷場バース
ペレット貯蔵タンク
(−20℃・大気圧)
ペレット貯蔵タンク
(−20℃・大気圧)
研究開発と知的財産の概略
知的財産ポートフォリオ分析に基づいて戦略を立て、
推進した成果として知的財産の出願傾向や特許保有動
図5
します。
ライセンス関連活動の事業への貢献
特許出願動向
各事業セグメントに対応した知財戦略を進めていま
350
その他
す。図3に過去4年間の特許出願件数履歴を示します。
300
57
64
件数
200
85
43
150
上回ったために、特許・実用新案の保有件数は前年度比
77
107
12
33 件の減少となりましたが、代替技術があり今後実施
100
の予定のない特許を放棄するとともに、製品化戦略に則
50
82
104
34
35
13
22
25
02年度
03年度
04年度
21
った新しい技術の権利化を、知財戦略の一つとして積極
0
的に進めています。その結果、 05 年度には廃棄物処理
船舶
(左図は凡例順に
表示)
108
縮機などが挙げられます。
知的財産係争リスク対応情報
当社では、経営、営業活動ならびに工事遂行上のリス
業本部に「本部内リスク管理検討会議」を設置し、各事
ク低減を目的に、全社で「リスク管理制度」を設けてい
業本部において自主リスクチェックを行い、受注案件、
ます。その中に知的財産リスク管理制度があり、工事受
投融資案件などは監査部門がリスクを審査します。これ
40
注時、新規事業/製品立ち上げ時、研究開発時および技
らのリスクチェック項目の一つとして知的財産リスクが
40
術導入時の各段階において、知的財産侵害リスクのチェ
あり、関連特許調査、侵害リスク評価等を知財部の協力
ックを徹底しています。
の下に実施しています。
05年度
図3
特許出願件数履歴(事業分野別)
知的財産の取得・管理、営業秘密管理、技術流出防止に関する方針
クリーンエネルギーとして世界中で需要が急増してい
当社は、コンプライアンス宣言に基づき、全役員およ
600
る天然ガスの新しい輸送・貯蔵手段として、NGH にい
ち早く注目し、実用化に向け、NGH 製造技術から、貯
プラント
500
蔵、輸送、再ガス化後のガス供給技術までの一貫したシ
機械
129
126
400
ステムの開発を推進しています。
鉄構建設
147
件数
図5は、当社のNGH関連特許の出願公開を、技術分野
ごとに分類したものです。製造に関するものが125件と
最も多く、次いで利用(再ガス化) 92 件、貯蔵 55 件、
300
169
137
129
システムを構築すべく出願を行っております。
0
なお、特許出願件数は、特許庁ホームページに掲載の
図4
91
88
89
68
03年度
04年度
05年度
特許・実用新案保有件数履歴(事業分野別)
個人情報の利用目的の明確化、個人情報の適正な取得
び全従業員が遵守すべきルールとして、「企業行動規準」
および管理体制に関しては、「プライバシー・ポリシー
および「コンプライアンスガイドブック」を制定し、
「コ
(個人情報保護指針)」および「個人情報保護規程」を定
ンプライアンス運営規程」を定めるとともに、役員・従
業員向けの研修会を定期的に開催し、具体的事例紹介を
め、全従業員に個人情報管理の徹底を図っています。
営業秘密管理や技術流出防止については、
「企業秘密管
行うなど、コンプライアンス体制の定着を図っています。
理規程」および「情報セキュリティポリシー(基本方針
知的財産に関しては「発明考案取扱規程」を定め、発
およびガイドライン)
」を定め、営業秘密や技術の流出を
明創出から権利化、活用に至るまで、知的財産部が全社
103
100
順となっており、NGH の製造から利用までの一貫した
船舶
(左図は凡例順に
表示)
158
200
輸送(海上・陸上)50 件、成型(ペレット化)32 件の
9
LLC(米)/バイオボール、瀋陽鼓風機(中)/軸流圧
ルウェー)/球形タンク搭載 LNG 船などであり、当社の事
67
注力技術の出願動向
ードにより検索した結果です。
マーク)/ディーゼルエンジンや、モス・マリタイム社(ノ
例えば、事業運営上のリスクについては、先ず、各事
の一連のプロセスが権利化されました。
特許電子図書館を利用し、各技術分野に関連するキーワ
業に貢献しています。また技術供与では、 Schreiber
機械
鉄構建設
図 4 に過去 3 年間の事業分野別特許・実用新案の保有
主な技術導入案件は、MAN B&Wディーゼル社(デン
プラント
86
250
特許保有動向
件数履歴を示します。 05 年度は登録より放棄の件数が
当社が提案するNGH輸送システムと関連特許(2006年7月21日現在の出願公開)
向、また特に注力した技術の出願動向について以下に示
未然に防いでいます。
一元的に管理しています。
知的財産運営組織
技術本部知的財産部は各本部のIPM(知的財産総括責
役)がIPMを兼任することで各本部における研究開発と
任者)と緊密に連携を取ることで、全社的な知財運営体
知的財産運営を一体として推し進めています。更に各本
制を敷いています。“研究開発組織および外部との協
部内に複数のパテントリーダーを配置することで、きめ
力・提携”で紹介したリエゾン(各本部の研究開発推進
細やかな知財運営を行っています。
10
知的財産報告書
(2005年4月∼2006年3月)
INTELLECTUAL
http://www.mes.co.jp/
技術本部 知的財産部
〒104-8439 東京都中央区築地5-6-4
電話 03-3544-3220 FAX 03-3544-3026
注意事項
この報告書において、当社の方針、戦略、分析等、将来にかかわる事項の記述は、当社が現在入手している情報に基づくもので、一定の前
提に基づいたものです。その前提は、国際的な技術や需要動向、経済環境、競争の状況にかかわるものであり、前提が変化する結果、この
報告書で述べられているすでに実現した事実以外の事項は変更する可能性があります。
0609N-2SBC
2006
PROPERTY
REPORT
2006