菅野二美

豊島環境研修館 ―産業廃棄物不法投棄跡地への提案―
駿建賞
菅野二美
豊島は,瀬戸内の東部,小豆島の西方に浮かぶ,小さな島
である。他の離島同様に,深刻な過疎化・高齢化問題を抱え,
活性化の方向を模索している。
産廃
有害水
しかし,1970 年後半から,処理業者が不法投棄した約 50
万トンに及ぶ産業廃棄物によりゴミの島とのイメージが広が
り,豊島は日本の産廃問題の象徴となってしまった。現在,
処理業者は逮捕され,有罪判決が確定したが,産廃は放置さ
れたままとなっている。公害調停で,放置されている産廃を
中間処理し,島外で最終処分することで和解が成立したが,
処理には数年がかかり,処理後の跡地の方向性もない。汚染の実態が明らかになるにつれ,風評被害による「一次産品の販売
難」「観光客の激減」
「住民の精神的ダメージ」など深刻な事態を迎えている。
本計画は,今後,ゴミの島からゴミ・環境問題を問い続ける島としての存在意義を見いだし,豊島の再生を行うための提案
である。
瀬戸内海
スラブ
豊島環境研修館
トラス
N
0
100m
site plan
産廃不法投棄跡地
現状(産廃が放置されている状態)
1960 年代以前の地形
環境破壊と産廃問題の歴史をもつ産廃不法投棄跡地に,歴史を顕在化させるランドスケープと共に,豊島住民が主体となっ
て運営し,来訪者がゴミ・環境問題を体験的に学習する場として,また,豊島の人達と来訪者のコミュニケーションの場とし
ての環境研修館を提案する。
西側側面
有機農園と海際
スラブ上(浄化植物)
山肌
産廃のレベルを復元したスラブ
地形を復元したトラス
エコロジカルコア
ルーバー
風
風力発電用風車
排水浄化植物
雨水集水
有機農園
ソーラーパネル
蓄熱
水
電力
鳥瞰
中水利用
豊島の可燃ゴミ・粗大ゴミ・資源ゴミ
減量化・資源化
コンポスト利用
研修館のエネルギーフロー・マテリアルフロー
産廃展示
有機農園
れき耕水路
水質浄化植物
洗車
上部トップライト
工場見学入口
工場
エコロジカルコア
雨水貯留槽
機械室
発電室
浄化槽
ロビー
ワークショップ
コンポスト倉庫
工房
展示室
ファームストアレストラン
オーディトリアム
1F plan
2F plan
ワークショップ
コーナー
浴室
リネン室
食堂
管理
工房
展示室 食堂
管理
ロビー
ファームストア
レストラン
宿泊室
宿泊室
雨水貯留槽
機械室
発電室 受水槽
管理
コンポスト倉庫
宿泊者ロビー
section
エコロジカルコア吹抜
3F plan
23