「コンディショニングスタジオへの試み」 ジャイロトニックとの出会い

尾陰由美子のちょっとひとこと
「コンディショニングスタジオへの試み」
ジャイロトニックとの出会い
花粉症が気になる季節となってきました。どうやら今原稿を書いている私の鼻もぐすぐす、
頭がボーっとした状態になってきています。私の場合は、花粉症の症状が出てくると新し
い年の始まりと春の予感を感じます。前月号でもお知らせしたとおり、4月にはいよいよ
念願のコンディショニングスタジオ「Studio five ‘f ’」がオープンします。最近は、カーブ
スやビーラインといった小規模フィットネスの勢いに目を見張りますが、私のスタジオの
場合は、パーソナルセッションとオーダーメイドレッスンを中心としたコンディショニン
グのみの小さなスタジオとなります。このスタジオを通して体を動かすことの楽しさと体
を学ぶことの面白さを提供できたらと思っています。このスタジオを始めるきっかけとな
ったのが、ドイツでのジャイロトニックというプログラムとの出会いになります。それは、
「一目ぼれ」といってもいいかもしれません。初めに、ジャイロトニックのマシーンを見
て、今までのフィットネスジムにある無機質なマシーンと違ってウッド調のまるでそこに
は家具がどっしりと並んでいるのかと思うような存在感に驚き、同じプーリータワーとい
うマシーンにもさまざまな種類があり、1台1台が個性的だったことに惹きつけられまし
た。次にそのマシーンのデモンストレーションを解説つきで見せていただいて、従来のト
レーニングというイメージがいっぺんに変わってしまいました。まるでマシーンとともに
ダンスを踊っているような光景だったからです。通常、フィットネスジムで見るマシーン
は直線的な軌道のトレーニングで、1~2パターンくらいの運動しかできません。ところが
ジャイロトニックの場合は1つのマシーンでさまざまな動きができ、その動きが曲線的で
体のポジションを変えることでさらに動きの多様性が出るという、それはもうマシーンが
人を操っているのか人がマシーンを操っているのかわからなくなるくらい釘付けになって
しまうデモンストレーションだったのです。私自身がもともとモダンバレエやジャズダン
スの指導をしていたことからこのダンス的な動きを作り出すマシーンに興味を持ったこと
も一因です。さらにこのジャイロトニックの説明を受けた場所というのが、ドイツの病院
「バッドクロッツィンゲン」というところで、このマシーンを使ってリハビリテーション
を行っている、機能回復を行っているところだったのです。私自身のライフワークとして
いる「機能改善体操(運動)
」という点からみても興味深い運動療法でした。このことがき
っかけで私はジャイロトニック、ジャイロキネシスのパーソナルトレーニング指導を始め
るようになりました。すでに大阪の「パンジョクラブイズ」といくクラブにマシーンを導
入してパーソナルセッションを行っていますが、お客様のほとんどの方が効果を実感し、
継続してくださっています。グループレッスンと違って 1 人 1 人のお客様と言葉を交わし
ながら進めていくセッションは、私にとっては非常に遣り甲斐のあるものとなっています。
個人スタジオの試み
今まで大きなフィットネスクラブの中で私も主にグループレッスンを中心に指導してい
ましたが、グループレッスンの良さは十分に理解をしながらも他方で運動を継続できない
方、また効果や運動方法を間違って捉えて体を壊す方がいらっしゃる現状を見ると指導者
としての力量不足を感じることもしばしばでした。プログラムもトレンドを追いかけてど
んどん変わっていくその変化が面白く、新しい顧客層を獲得するためにプログラムの習得
に追われて指導をしてきましたが、結局運動を継続されている方は、たまたま自分に合っ
た運動や指導者に出会い、そのことで体の変化や気持ちの変化、さらには人生観まで変わ
ってしまった方は本当にごく一部です。しかし、実際には運動を継続できず、あきらめて
いく方も多いわけですから、そういった方々は、自分に合った運動を見つけられず、効果
を感じることもなく、フィットネスクラブに通うことが億劫になるのかもしれません。入
退会のサイクルの早いフィットネスクラブにおいて、指導者である自分に何ができるの
か・・・限界を感じてしまうこともしばしばです。運動をやめてしまう人、あきらめてし
まう人、嫌な思いをする人の気持ちに私たち指導者はもっと近づかなければなりません。
そんなところからまずは、それなら自分と同じ思いを共有する仲間と一緒に何かできな
いかということで一昨年は NPO 法人いきいき・のびのび健康づくり協会を立ち上げました。
仲間が集い、プログラムを考え、2年間の活動の後、今年キーステーションとなるスタジ
オ開設の運びとなったのです。
身体と心が気持ちいいこと、身体が自由に動くこと、心が解放されていくこと、楽しさ
や安心感が得られること、とどまることなく進化し続けること・・・思いはどんどん広が
りました。1 人 1 人にもっと運動の良さを伝えたいということで 5 つのコンセプトを打ち出
しました。
Feel・・・心と身体で感じて動く
Flow・・・身体と心がつながって、連鎖して動く
Free・・・どんどん自由に解放されて動く
Fun・・・もっともっと楽しく、明るく動く
Functional・・・機能的な身体と心、自分を知り、学びながら動く
という5つのfを大切に Studio Five ‘f’の活動はいよいよ 3 月下旬から始まります。
指導者のためのコンディショニング
さて、このスタジオではジャイロトニック以外にもリフォーマーを使ったピラティスの
セッションも受けることができます。ジャイロトニックが螺旋的な動きによって身体の動
きを遠心的に引き出すとしたなら、ピラティスは身体の芯を作り上げていく求心的なエク
ササイズのような感じがします。この両方のエクササイズをバランスよく行うことで私の
場合は、膝と腰の調子が見違えるほどにいい状態です。また、アクアエクササイズの指導
などデッキでの動作がとても楽になりこれは60代でもアクアエクササイズをガンガン教
えられるのでは?(笑)と思うほどです。実際にアクアエクササイズの養成コースでジャ
イロトニックとピラティスの要素を取り入れたムーブメント練習をすると見違えるほどに
ウォータームーブメントがよくなります。アクアエクササイズの指導者からの相談で多い
のが、怪我と指導の体力的な限界です。スポーツ選手も同じだと思いますが、プロである
ならばその悩みはつきものです、そのために自分自身のコンディショニングが必要になる
わけです。とかくレッスンに追われて自分自身の身体のメンテナンスが後回しになりがち
だと思いますが、これからの指導者は、自己管理ができキャリアを長く積んだ人が必要と
されるでしょう。そのためにも自分自身のケアを怠らなかった人が生き延びていくのだと
思います。指導者の私たちが長くキャリアを積むことは、多くの参加者に対応できる能力
を身につけるということですからコンディショニングはとても重要です。
「Studio five ‘f ’」は指導者の皆さんにまずパーソナルセッションを受けていただきたいと
思っています。指導者の皆さんが自分自身の身体を知らなければ、当然お客様の身体のこ
とは何も言えません。まず、自分の身体が楽に動くこと、気持ちよく動くことを知り、そ
してそのことを多くの人に伝えていきませんか?
来月号では、オーダーメイドセッションについてご紹介させていただきます。