詳細を見る

お 客 様 の た め の 技 術 情 報 誌
◆特集…信頼性試験・ライフサイエンス
■技術レポート
○鉛フリーはんだのイオンマイグレーション
発生要因
1
― 金属表面組織と溶解反応 ―
■技術解説
○国立スポーツ科学センターにおける低酸素
トレーニング室と低酸素宿泊室
6
■トピックス
○グループ会社紹介
株式会社アポロメック(APOLLOMEC)
13
株式会社
技術レポート
鉛フリーはんだのイオンマイグレーション発生要因
― 金属表面組織と溶解反応 ―
田中
浩和*
イオンマイグレーション現象は、溶液と電位が関係した電気化学的現象によるものであり、
アノード*1反応(金属溶解過程)、金属イオンの移動過程、カソード*2反応(金属または金
属酸化物析出過程)に分けることできる。特に、金属溶解過程において、はんだなど金属
中に第二成分が添加された合金材料は、両金属の表面組織状態によって不動態皮膜 *3の形
成位置や電極電位により溶解特性が異なる。
そこで、本報告では鉛フリーはんだの表面組織状態と自然電極電位 *4、金属溶解特性から
イオンマイグレーションの発生要因を検討した。その結果、Sn-3.5Ag、Sn-0.8Cu、Sn-58Bi
はんだの場合はスズの選択的溶解特性を示し、Sn-9Znにおいては亜鉛とスズの溶解特性が
関係することがわかった。
1. はじめに
2. マイグレーション発生機構と表面組織
2-1 マイグレーション発生機構とアノード反応
鉛フリーはんだの実用化が世界的に進行しており、絶縁
信頼性に影響を与えるイオンマイグレーション(以下、マ
マイグレーションは、プリント回路板などの電極間に、
イグレーション)の評価検討が必要である。現在のところ、
吸湿や結露など水分が吸着した状態で電界が印加された場
鉛フリーはんだのマイグレーションについては問題は無い
合、一方の金属電極から他方の金属電極へ向かって金属イ
と報告されているが1)、マイグレーション発生時間が比較
オンが移行し、金属または化合物が析出する現象のことを
的早いとされる銀(Ag)、銅(Cu)を含んでおり、その検
指す。
証も必要と考えられる。
マイグレーションは、その発生形態や発生状況により、
電子材料のマイグレーションは、溶液と電位が関係した
デンドライト(Dendrite)またはCAF(Conductive Anodic
電気化学的現象によるものであり、金属溶解反応、拡散や
Filaments)に分類されている3)4)。デンドライトとは、プ
電気泳動などから生じる金属イオン移動反応、および析出
リント配線板の絶縁部表面に析出する金属、あるいはその
反応が関係する。特に、高密度実装化された電子機器にお
酸化物が樹枝状の形態であることから、その様子や形態を
いては、材料とそれを取り巻く環境条件が影響しあうとマ
示すものを呼ぶ。CAFは、プリント配線板の絶縁基板内部
イグレーションが発生し、電気的特性に変化を与え故障原
のガラス繊維などに沿って析出する金属、あるいはその酸
因となる。
化物が繊維状に伸びる形状を示している(写真1)。
マイグレーションを材料面から見ると、はんだのように
マイグレーションの発生過程は、①アノード反応(金属
金属中に第二成分が添加された合金材料は、両金属の不動
溶解)、②カソード反応(金属または金属酸化物析出)、③
態皮膜の形成位置と安定性、電極電位など数多くの因子が
電極間で起きる反応(金属酸化物析出)に分けることできる。
複雑に絡み合って関係する。
鉛フリーはんだ材料の主成分であるスズ(Sn)自体は、
その不動態皮膜を形成することにより耐食性が優れた金属
2)
である 。しかし、種々の合金元素の添加によっては、耐
食性(溶解特性)の低下が見られる場合もある。
現在、実用化が進められているSn-Ag系、Sn-Cu系、
①アノード反応( M は金属を示す)
M →M n + +n e−
(1)
H 2 O → 12 0 2 +2H + +2e−
(2)
+
M +H 2 O →M O +2H +2e
−
(3)
②カソード反応
Sn-Bi系はんだの場合、スズに対して貴な金属である銀
M n + +n e− →M
( A g )、 銅 ( C u )、 ビ ス マ ス ( B i ) は 貴 な 金 属 を 合 金
0 2 +2H 2 O +4e− →4O H −
(5)
化しているが、Sn-Zn系については、スズに対して卑
2H 2 O +2e →H 2 +2O H
(6)
な金属である亜鉛(Zn)を合金化しており、マイグレ
ーション発生状況が異なると考えられる。
そこで本報告では、鉛フリーはんだの表面組織状態と電
−
(4)
−
③電極間で起こる反応
2M + +2O H − →M 2 O +H 2 O
(7)
極電位、金属溶解特性から耐マイグレーション性について
検討した。
*信頼性研究室
1
ESPEC技術情報
No.28
0
7
14
2
SnO 2−
3
電
Sn2+
SnO2
1
位 0
(Ⅴ)
−1
SnH4
−2
(a)デンドライト
(鉛フリーはんだ)
100μm
0
7
pH
(a)スズ
(Sn)
14
0
7
14
2
Ag2O3
Ag2O2
1
Ag+
電
位 0
(Ⅴ)
Ag
−1
300μm
−2
0
7
pH
(b)銀
(Ag)
14
0
7
14
写真1 イオンマイグレーションの形態
2
①②の反応はデンドライトの発生機構と考えられ、アノ
ード電極(プラス電極)にて溶解した金属は、カソード電
1
極(マイナス電極)上で析出し、純金属または金属酸化物
としてアノード方向に向かって伸び、電極間が短絡する。
CuO
Cu2+
CuO 2−
2
(b)CAF(銅)
電
また、①②③はCAFの発生機構と考えられ、アノード電極
位 0
で溶解した金属は、電極間で金属または金属酸化物を析出
(Ⅴ)
し、これが成長することによって電極間が短絡する。
−1
反応式から見ると、水の電気分解反応により、アノード
電極近傍では、(2)式によって生成したH + により局部酸
−2
性となり、カソード電極近傍では、(5)式や(6)式によ
Cu
0
7
pH
(c)銅
(Cu)
14
0
7
14
5)
って生成したOH− により局部アルカリ性を示す 。
図1に、主な鉛フリーはんだ材料の電位 ― pH線図6)を示す。
図からわかるように、pHが酸性側に移行すると金属イオ
2
ンになりやくすなり、アノードでは金属溶解反応が進行す
る。また、アルカリ性側では、金属酸化物または水酸化物
(Ⅴ)
との親和力)が高いため、カソードで電子を奪い取ってこ
れらマイグレーション反応の駆動力となっている7)。
このようにマイグレーション発生過程は、主にアノード
−1
Zn
−2
溶解反応とカソード析出反応から構成されており、その反
0
応速度は材料の特性により大きく影響される。
不感態(immunity)
図1
ESPEC技術情報
No.28
−
位 0
スが溶け込んだ溶存酸素の影響で、酸素の還元反応(電子
HZnO 2
Zn2+
電
る。(5)で示す反応は、大気中に含まれる約21%の酸素ガ
Zn(OH)2
を生成することによって、カソードに金属析出反応が起こ
1
7
pH
(d)亜鉛
(Zn)
不動態(passivity)
14
腐食(corrosion)
主な鉛はんだ材料の電位−pH線図6)
2
3. 鉛フリーはんだの金属溶解特性
2-2 はんだ材料の表面組織
写真2に鉛フリーはんだの表面SEM像または反射電子像
を示す。Sn-3.5Ag(写真2(a))の場合、SnとAgが反応した
金属間化合物(Ag3Sn)相を形成し、Sn成分中にAg3Sn相が
各種はんだの表面組織状態の違いによる電極電位と金属
溶解特性から、アノード反応を調査した。
分散した状態を示している。同様に、Sn-0.8 Cu(写真2
(b)
)
の場合、SnとCuが金属間化合物(CuxSnx)相を形成し、Sn
成分中にCu6Sn5が微細分散した状態を示していた。
Sn-58Bi(写真2(c))、Sn-9Zn(写真2(d))においては、
金属間化合物を形成せず、Sn-Bi、Sn-Znの2相組織の状態
であった。
以上から、鉛フリーはんだと呼ばれる材料においては金
属間化合物や合金材料組成によって表面組織の状態が異な
り、これらが電極電位や不動態皮膜の形成に対し影響し、
マイグレーション発生特性として現れると考えられる。
3-1 実験方法
表1に実験材料と測定条件、図2に実験装置図を示す。試
料は、各種はんだ材料を1㎝角に切り出し、耐水研磨紙お
よびバフ研磨により表面を研磨した後、直径0.6cmの円形(電
極面積0.28cm2)のみ露出させたものを用いた。
測定対極には白金チタンネット、参照電極として飽和カ
ロメル電極(SCE:Saturated Calomel Electrode)を用い、
硫酸ナトリウム(Na2SO4、pH=6)水
電解液には0.1モル
溶液を用いた。
測定装置は、ファンクションジェネレータおよびポテン
ショスタットを用い、常温において自然電極電位、アノー
ド溶解特性を測定した。
Ag 3 Sn
自然電極電位の測定は、電解液に浸漬直後の電極電位を
測定し、また、アノード溶解特性は、自然電極電位から高
い電位へ掃引した時の電位と電流密度を測定した。
Bi
表1
溶解特性の実験材料・測定条件
単金属(純度99.9%) Sn, Ag, Zn, Cu, Pb
(a)Sn-3.5Ag
(c)Sn-58Bi
実験材料
はんだ組成(mass%)
電極材料
電
測
参照電極
飽和カロメル電極(SCE)
対
白金チタンネット
解
定
Sn-3.5Ag, Su-0.8Cu, Su-58Bi, Sn-9Zn,
Sn-37Pb
条
極
液
0.1モル 硫酸ナトリウム水溶液
件
+25℃, 電位走査速度=10mV/s
Zn
Cu xSn x
(b)Sn-0.8Cu
写真2
(d)Sn-9Zn
20μm
はんだ表面のSEM像(Sn-9Znのみ反射電子像)
ファンクションジェネレータ
C.E.
W.E. ポテンショスタット
R.E.
Na2SO4溶液
白金対極
試料(はんだ)
参照電極(SCE)
図2
3
パーソナルコンピュータ
実験装置図
ESPEC技術情報
No.28
3-2 実験結果と考察
単金属
図3に各種はんだ材料の自然電極電位を示し、図4にアノ
30
ード溶解特性を示す。自然電極電位の低い金属(卑な金属)
20
ほど金属イオンとして溶出しやすく、高い金属(貴な金属)
10
(a)Sn
ほど金属イオンにはなりにくいことを示す。また、アノー
0
ド溶解特性において低い電位から高い電位へ掃引時の電流
Sn-3.5AgおよびSn-0.8CuとSnの自然電極電位を比較す
ると、ほぼ同様な電位(図3より、−500〜−400mV)
を示しており、このはんだ材料がSnの電極電位に支
配されていることがわかる。
電流密度/mA・cm−2
(1)Sn-Ag系、Sn-Cu系
−390mV
−10
密度の急激な上昇は溶解反応の進行を示している。
(b)Ag
20
350mV
10
0
−10
Sn-3.5Ag(図4
(d)
)とSn(図4
(a)
)の溶解開始電位を比
(c)Zn
較すると、各材料とも同様な約−390mV vs. SCEで溶
20
解が進行した。一方、Sn-3.5Ag とAg(図4
(b)
)を比
10
較するとSn-3.5AgはAgの影響を受けていない。した
0
がって、このはんだの場合は、はんだ材料中のSn成
−1040mV
分が優先的に溶解したと考えられる。Sn-0.8Cuに関
−10
−1500 −1000
しては、Sn-3.5Agと同様にSnの溶解特性を示すと報
告されている8)。
−500
0
鉛フリーはんだ
(d)Sn-3.5Ag
成分やCu成分は、Sn成分と安定化合物(Ag 3 Sn、
20
CuxSnx)を形成したことにより溶液中への溶解反応
10
は進行せず、Snのみの溶解を示す。
0
−390mV
−1200
Zn
−1000
Sn-9Zn
卑
電位/mV vs. SCE
−800
Sn-0.8Cu
−200
Sn-3.5Ag
Sn
Sn-58Bi
Pb
電流密度/mA・cm−2
−10
−400
(e)Sn-58Bi
20
10
0
−200mV
−10
Sn-37Pb
(f)Sn-9Zn
20
0
Cu
10
200
貴
Ag
0
400
図3
1000
30
以上より、鉛フリーはんだ材料の第2成分であるAg
−600
500
−1040mV
各種はんだの自然電極電位(0.1モル
硫酸ナトリウム溶液中)
−10
−1500 −1000
−500
0
500
1000
図4 単金属および鉛フリーはんだのアノード溶解特性(0.1モル 硫酸ナトリウム溶液中)
(2)Sn-Bi系
Sn-58BiはSnに比較して高い電極電位と溶解電位(約
−200mV vs. SCE)を示したことより、SnやSn-3.5Ag
に比較して溶解反応が抑制されていた。また、
Sn-58Biのマイグレーション試験後のアノード電極表
面を見ると(写真3)、Bi表面偏析部分を残しSnの選
択的溶解が見られた。
これらの結果より、Biは溶液に対して溶解せず、ま
たSn-58Biに含まれるSn含有量(42mass%)が、
Bi
Sn-3.5Ag(Sn含有量:96.5mass%)などに比較して少
ないため、Biの電極電位(E=+215mV vs. SHE)と
Snの混成電位を示し、Sn単金属やSn-3.5Agの場合よ
り溶解特性が抑制されたと考えられる。
ESPEC技術情報
No.28
10μm
写真3
マイグレーション試験後のアノード電極溶解状態
4
(3)Sn-Zn系
イグレーション性は高いと考えられる。しかしながら、
Sn-9ZnとZnの電極電位を比較すると、ほぼ同様な電
Snの不動態皮膜も環境条件によっては、その安定性
位を示しており、このはんだ材料はZnの電極電位に
を損なう可能性もある。
支配されると考えられる。
また、溶解特性は、Zn(図4
(c)
)は約−1000mV vs. SCE
鉛フリーはんだのマイグレーション発生に関係するその
付近で急激に溶解反応が進行していたが、Sn-9Zn(図
他の要因(カソード析出反応など)については、次号で報
4(f))は、Znと同様な約−1000mV vs. SCE付近で溶
告する予定である。
解反応を示し、その後、Snの溶解電位である約
−400mV vs. SCE付近において溶解反応の停滞が見
5. 謝
辞
られ、その後は再度溶解を開始した。
この溶解反応を停滞させた原因は、SnおよびZnの
不動態皮膜によるものと考えられる。Sn金属中に
Zn成分が合金化した場合、SnはZnの過剰な溶解反
応を防止する不動態の効果を果たす材料と考えられ
本研究を行うにあたり、実験に協力して頂いた宇都宮大
学工学部
無機工業化学研究室の皆様には、誌面を借りて
お礼申し上げます。
る。このことより、卑な金属であるZnもSnおよび
[用語解説]
Znの不動態皮膜の形成によって溶解特性が抑制さ
れるため、Sn-9Znのマイグレーション発生はSnの
*1. アノード(anode)
特性が大きく影響していると考えられる。
電子が流れ込む電極。電解系では陽極(プラス極)
以上述べた実験結果と表面組織の関係を表2に示す。
と呼ぶ。
表2
はんだ種類
Sn-3.5Ag
鉛フリーはんだの表面組織と特性
表面組織状態
自然電位
溶解する組成材料
Sn相, Ag3Sn相
Snと同じ
Sn
Sn-0.8Cu
Sn相, CuxSnx相
Snと同じ
Sn
Sn-58Bi
Sn相, Bi相
SnとBiの混成
Sn
Sn-9Zn
Sn相, Zn相
Znと同じ
Zn, Sn
*2. カソード(cathode)
電子を放出する電極。電解系では陰極(マイナス極)
と呼ぶ。
*3. 不動態皮膜(passivity film)
金属が腐食する環境において著しい耐食性を示す皮膜。
金属表面における酸化皮膜などがある。
*4. 自然電極電位(rest potential)
アノード電流もカソード電流も流れない平衡時の電位。
4. まとめ
*5. 作用極(working electrode)
特性を調査する目的の電極。
鉛フリーはんだの表面組織状態と金属溶解特性からマイ
グレーション発生要因を調査した。主な結論は以下のとお
りである。
(1)従来から、マイグレーション発生速度が比較的早い
*6. 対極(counter electrode)
作用極に対して電流が支障なく流れるような電極。
一般に白金やカーボンが用いられる。
*7. 参照電極(reference electrode)
とされるAgやCuも安定化合物(Ag3Sn,CuxSnx)を形
電圧の基準となる電極。カロメル電極や銀/塩化銀電
成するため、Sn-3.5AgおよびSn-0.8Cuの耐マイグレー
極がある。
ション性は、スズ(Sn)の溶解特性に影響されると考
えられる。
*8. 混成電位(hybridization potential)
2つの電位の間で、電流が流れない電位。
(2)Sn-9Znにおいては、Snに対して卑な亜鉛(Zn)成分が
溶解するが、SnおよびZnの不動態皮膜形成によって、
No.27の記事訂正のお知らせ
Znの溶解を防止する役目も果たすため、マイグレー
ション発生は比較的抑制されると考えられる。
(3)鉛
(Pb)
に比較しSnは安定な不動態皮膜を形成するため、
「技術解説2」の10ページ、表3中の適合プロードは適合プローバ
の誤りです。
訂正するとともに、お詫び申し上げます。
従来の鉛はんだに比較して、鉛フリーはんだの耐マ
〔参考文献〕
1)産業環境管理協会:
「鉛フリーはんだ規格化など研究開発」、平成10年度NEDO成果報告書(2000)
2)下平三郎:
「腐食・防食の材料科学」、アグネ技術センター(1995)
3)柳沢 武:
「イオンマイグレーションの歴史と発生要因」、表面技術、Vol.5、№5、P.479-483(2000)
4)G.T.Kohman、 H.W.Hermance and G.H. Dowenes:Bell Sys. Tech. Journal、Vol.6、P.1115-1147(1955)
5)猪木寛子、田中浩和、青木雄一、山本繁晴:
「プリント配線板の吸湿水の働きとイオンマイグレーション発生プロセス」、
ESPEC技術情報、№18、P.1-5(1999)
6)M. Pourbaix:“Atlas of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions”、NACE(1966)
7)鶴田加一、吉原佐知雄、白樫高史:
「プリント回路基板表面のマイグレーションに対する検討」、表面技術、Vol.48、№3、P.84-88(1997)
8)H. TANAKA、F.UETA、S.YOSHIHARA、T.SHIRAKASHI:“Effects of Reflow Processing and Flux Residue on Ionic Migration of Lead-Free Solder Plating
Using the Quartz Crystal Microbalance Method”、Materials Transactions、Vol.42、 №9、P.3401-3406(2001)
5
ESPEC技術情報
No.28
技 術 解 説
国立スポーツ科学センターにおける
低酸素トレーニング室と低酸素宿泊室
船渡
和男*
国立スポーツ科学センター(Japan Institute of Sports Sciences ;以下JISS)は、2001年2月、
約30ヶ月にわたる工事を終え、4月1日に国立スポーツ科学センターの機関設置を受け、約
半年の準備期間後の10月1日より、日本の国際競技力向上に貢献するための研究およびト
レーニング施設として本格的に始動した(写真1)。スタートして1ヶ月間、多くの日本のト
ップアスリートたちが、トレーニング、研究、科学的測定および宿泊の拠点として利用し
はじめている。本稿ではJISSの概要と、JISSがもつ独自性の一つである低酸素環境室につ
いて、設計から施工に至る過程と、出来上がった施設の運用仕様について紹介する。
1. 国立スポーツ科学センターの概要
1-1 構想から10年
1990年の構想から約10年の時を経て、2001年10月に「国
立スポーツ科学センター」が立ちあがった。2000年のシド
ニーオリンピックを振り返っても、メダル獲得上位10位ま
でに入る国々では、ナショナルトレーニングセンターと呼
ばれるような施設を設け、国の政策の一つとしてスポーツ
選手の強化を推進している。
アメリカでは、USOC(United States Olympic Committee)
がコロラドスプリングスのオリンピックトレーニング
センターほか2カ所に同様のセンターを維持・運営して
いる。2000年のオリンピック開催国のオーストラリアは、
1981年から競技力の向上を図る中心的な組織として
AIS(Australian Institute of Sport)を設け、各地の
トレーニングセンターや研究所を結んだ。イタリア、
フランス、ドイツ、カナダ、中国、韓国などの国々でも、
既に日本より5〜10年先行して独自の組織やシステム
を構築し、国際競技力の向上に努めた結果、著しい成
績を残している。
日本でも、1964年の東京オリンピック以降「振るわぬ」
競技力を危ぶむ趨勢の中、国立のスポーツ科学センターが
設立されることとなった。建物の階毎の施設を図1(次ペ
ージ)に示す。
写真1 国立スポーツ科学センター全景
(地上7階、地下1階、鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)
)
た一体的な研究のことである。スポーツ医学研究部門は、
主にトップレベルの競技者に対する健康管理、競技復帰の
ためのアスレティック・リハビリテーションに関するスポ
ーツ医学による実践的研究。そして、スポーツ情報部門は、
スポーツに関する諸情報の収集・蓄積と提供、施設全体の
コンピュータサポートを主な業務とする。
そうした部門が行う事業は、以下の7つに分類される。
①トータルスポーツクリニック事業
まず第一に挙げられるのが、スポーツ科学センターの名
が示す通りの「トータルスポーツクリニック(TSC)」で
ある。これは、我が国のトップアスリートの身体的・精
神的な能力をベースに、競技種目特性に対応した応用的、
1-2 7つの事業概要
個別的能力をスポーツ医・科学的側面から測定・調査し、
JISSの部門別の取り組みは、「スポーツ科学研究」「スポ
選手にフィードバックすることである。ここで言う「ト
ーツ医学研究」「スポーツ情報」と3つにくくられる。順に
ータル」とは、競技者個人およびチームの競技能力をス
説明すれば、スポーツ科学研究部門は、生理学、心理学、
ポーツ医・科学面、情報面から総合的に測定・分析する
バイオメカニクスなど、スポーツ科学についての研究や、
ことで、各競技のコーチ、競技者、医・科学サポートス
実験・観察・測定の場としてのトレーニング施設を活用し
タッフと国立スポーツ科学センターのスタッフとが一体
になって、得られた結果を新たなトレーニングプログラ
*国立スポーツ科学センター
ESPEC技術情報
No.28
スポーツ科学研究部
副主任研究員
ムに活かすシステムのことを意味する。
6
低酸素宿泊室
*
(タバイエスペック製 )
低酸素宿泊室
(タバイエスペック製*)
低酸素宿泊室
*
(タバイエスペック製 )
体操競技練習場
低酸素宿泊室
(タバイエスペック製*)
トレーニング体育館
スポーツ情報サービス室
体育館
温湿度実験室
(タバイエスペック製)
低酸素トレーニング室
*
(タバイエスペック製 )
気圧実験室
(タバイエスペック製) 環境制御実験室 生理学実験室 生化学実験室
映像編集・分析室
心理学実験室
(タバイエスペック製)
レスリング・柔道練習場
ウエストリフティング練習場
ボクシング練習場
体力科学実験室
フェンシング練習場
小研修室
陸上競技実験場
大研修室
リハビリテーション室
スポーツクリニック
競泳プール
総合受付
運営部
シンクロナイズドスイミングプール
射撃・アーチェリー練習場
ボート・カヌー実験場
MRI・CT・X線検査室
*弊社は酸素濃度制御システムのみ施工
図1
7
国立スポーツ科学センターの階毎の各種施設
ESPEC技術情報
No.28
②スポーツ診療事業
トップレベル競技者の競技力向上および育成
スポーツ診療については、これまであったスポーツ診療
オリンピックにおけるメダル獲得率の増加
機関が目的としているスポーツ活動による各種の傷害・
疾病等に対する予防や治療、リハビリテーションを行い、
競技者のコンディションを最良の状態に維持・回復させ
るよう努めることである。
日本オリンピック委員会強化指定およびジュニア有望
競技者等、国際レベルのトップ競技者を対象とし、内科、
整形外科を中心に専門医による診療や、アスレティック
トレーナー・理学療法士らによる運動療法、温熱療法な
どのアスレティック・リハビリテーションを行う。また、
必要に応じて眼科、歯科、婦人科、耳鼻科、皮膚科につ
いても専門医による診察を行う。
③スポーツアカデミー支援事業
各競技団体などが行うトップ競技者やジュニア競技者に
対して行うトレーニング方法、傷害予防、アンチ・ドー
ピング等に関する研修や、指導者の資質向上に向けての
研修を行う上での支援。
図2
国立スポーツ科学センターの研究部と運営部が
サポートする時の7つの事業の位置付け
国際競技力向上
を
④スポーツ医・科学研究事業
この事業の目的は、従来個別に行われることの多かった
スポーツ医学・科学・情報の各分野における研究・調査
を、統合させた機能を活かして横断的・総合的に研究し、
諸事業に役立てることで、国際競技力の向上を図ること
である。具体的には、画像診断装置(MRI等)、映像撮
影装置(ハイスピードカメラ等)、床反力測定装置(フ
ォースプレート)、環境制御装置(低酸素室等)などの
最先端の検査・測定装置や機器を十分に活用し、国際競
技力向上へとつながる学際的な研究を行う。
⑤スポーツ情報サービス事業
トータルスポーツクリニック事業から得られる測定・分
析結果やゲーム分析、動作解析などの各種情報を蓄積し、
それぞれの強化活動に活かすことができるよう加工し、
現場へと提供する。情報内容を、利用目的によって「特
殊情報」と「一般情報」に分類する。競技者やチームの
プライバシーに関連する秘匿性の高い特殊情報について
は、JISSが必要と認めた範囲に制限する。また、広く体育・
スポーツ現場に役立てられる一般情報については、イン
ターネットのホームページなどを通じて開示する予定。
⑥トレーニングキャンプ事業
トップレベルの競技者およびチームの合宿に対して、ト
レーニング施設や宿泊施設などを提供するとともに、ス
ポーツ科学・医学・情報の各部門によるサポートを行う。
対象は、日本オリンピック委員会および中央競技団体が
指定するトップ競技者・ジュニア競技者、ナショナルチ
ーム。
⑦サービス事業
研修・会議室、宿泊施設やレストランなど、同センター
に付帯する施設の有効な活用を図る。
2. 国立スポーツ科学センターの役割と活用方法
スポーツ
科学
センターのため、科学的なトレーニン
グの普及活動と並行して、スポーツに活きる科学について、
再度検討し、整理していく作業が求められる。そのために、
生理学、生化学、バイオメカニクス、医学、栄養、情報科
学などについて、専門的に分析・統合できる機能を備え、
それを十分に発揮していかなければならない。
また、日本の競技スポーツ界は東京オリンピックでかな
りよい成績を残したが、その後メダルの獲得数が減ってき
ている現状があり、事実をみれば強い選手が育っていない
ことになる。これを改善し、国際競技力のある選手を育て
上げるためには、指導マニュアルを作成したり、子どもか
ら選手になるまでの一貫した指導システムが非常に重要に
なってくる。一貫指導システムをどのように構築していく
のかというのは、個々の競技団体と同時に、国の政策によ
るサポートが必要となってくる。
また『科学センター』と言うからには、そこから世界に
発信できるような情報(論文など)を生み出さなければな
らない。そうしなければ、このセンターは世界的には認め
られない。論文を学術雑誌に出したり、世界的な学会で発
表したりと積極的な活動も必要となってくる。選手にとっ
て『役に立つ』ということと、学術的に『知識を深めてい
こう』というのが主な目的になるのである。
2-1 具体的にどう役立てるか
箱
はできたけれども本当に使えるのかという疑問が
ある。その点に関しては、まず建物の工夫として、実験場(研
究室)だけではなく、練習場も設置しているため、練習し
これら7つの事業と研究部および運営部が一体となって
ながら測定ができるという利便性がある。インドアの種目
機能することにより、「トップレベルの競技者の競技力向
を中心とした、かなり専門的な練習ができる設備を整えて
上および育成(国際競技力の向上)」を最終使命としてい
いるので、選手が合宿に来て、そのときに測定やメディカ
る(図2)
。
ルクリニックでの医学的な検査を実施したり、あるいは海
ESPEC技術情報
No.28
8
外の情報収集ができたり、そういう活用のされ方を望んで
土地でのトレーニングがよいのでしょうか、と聞かれても
いる。今までは、測定だけのために大学や研究所の実験室
一概に肯定も否定もできない。一般的なことを言えば、富
に行くというものだったが、それが解消されるわけである。
士山の頂上付近でトレーニングしていることになるので、
その合宿については、夏季や冬季にキャンプを行うチー
気圧が低くて酸素も薄いので高山病にかかる危険性を話さ
ムもあるが、そういうときに1週間以上のキャンプを計画し、
なければならない。しかし、そうしたコーチの指導法や競
生理学的な指標からスキルに至るまで、どう変化したかと
技者の体力的な個人差があり、個別の競技者だからこそ得
いうことをチェックしながら強化合宿を行うことも可能で
られるデータの重要性も認識しておかなければならない。
ある。スキルチェックなどでは、世界のトップ競技者と自
極端な話、その重要性を見極めるのがスポーツ科学の役割
分はどこがどう違うのかということについても提示できる
なのである。これまでやってきた、フィットネスや有酸素
ようになる。
運動、無酸素運動、筋力トレーニングなどについては、確
かな理論はあったと思うが、それは基本中の基本であって、
2-2 JISSがうまく活用されるためのキーファクター
競技者とJISSを結ぶ指導者(コーチ)の方々に、より積
極的に使っていただきたいということである。それは、
個人を研究すればするほどわかっていない部分が多く出て
くると思われる。そのニーズに応えていくのが、JISSの役
目なのである。
JISSの運営上のキーファクターでもある。いくら我々スタ
ッフが、『MRI撮影しましょう』『低酸素トレーニングなど
ろで、指導現場の理解がなければ使ってもらえないわけで
3. 国立スポーツ科学センターの
低酸素トレーニング環境
ある。コーチの方々にいかに使ってもらうか、主役はむし
3-1 設計仕様
の先端的なトレーニングがありますよ』と打ち出したとこ
ろコーチや競技者であって、スタッフはあくまでもサポー
トする立場にあるということを理解していただきたい。
JISSの低酸素環境室には、低酸素トレーニング室と低酸
素宿泊室があり、両方とも常圧下での低酸素環境室である。
①低酸素トレーニング室
2-3 低酸素トレーニング研究の可能性
部屋の平面図は図3の通りである。11m×5.5mの床面積
ここでの研究が満たされていけば、これまで一般的にト
で天井高2.6mの空間内でトレーニングが可能である。そ
レーニング理論と言われてきたようなことが、個別の測定・
の中には、埋込み型のトレッドミル(ベルト式強制走行
研究をしていく中で変化していく、あるいは覆されること
装置)が設置してある。室内には、酸素濃度、相当高度、
だってあり得ない話ではない。しかし、そこが難しいとこ
CO2濃度表示器および非常スイッチがそれぞれ2ケ所設置
ろで、一般論なのか個別対応していく中で生まれた特殊な
してある。低酸素トレーニング室の入口には、床面積
理論なのか、区別がつきかねる場合がある。例えば、高橋
4.5m×2.5mの前室があり、操作監視盤が設置してある。
尚子選手(積水化学)が3500mの高地(コロラド)でトレ
前室の隣には、低酸素環境室で分離した高酸素を集めた
ーニングを行って結果的に実績を挙げたが、そういう高い
高酸素室が設置してある。
16000
11000
5000
冷凍式ドライヤ
低酸素空気発生装置
分電盤
空気
圧縮機
8000
5500
低酸素トレーニング室
酸素濃度制御・
指示器
酸素濃度制御・指示器
空気
圧縮機
トレッドミルを使用した
低酸素トレーニング風景
2500
指導員室
高酸素室
操作監視盤
低酸素空気発生装置
冷凍式ドライヤ
前室
濃度表示器
(単位:mm)
図3
9
低酸素トレーニング室(タバイエスペック製。弊社は酸素濃度制御システムのみ施工)
ESPEC技術情報
No.28
②低酸素宿泊室
低酸素トレーニング室にはCO2濃度センサによる監視を
低酸素濃度が設定可能な宿泊室は、5、6階に72室設けら
組み込んである。つまり低酸素トレーニング室では、ト
れている。1部屋当たり奥行き4.7m×幅2.9m×天井高
レーニング室内と前室にCO2濃度表示、警報ランプ、警報
2.5mの容積で、ユニットバス、ベッド、棚、机、テレビ、
ブザーがあり、CO2濃度許容上限は0.5%内で可変設定とな
情報端末等が設置されている(図4)。各部屋には相当高
っている。なお、宿泊者からの身体異常通信手段は、室
度の表示器、異常表示灯および非常スイッチが設置され
内表示器にある非常スイッチがある。これが作動したら、
ている。各宿泊室の酸素濃度は、6階の宿泊室管理室(ホ
その該当する部屋への低酸素空気の供給を停止し、一般
テルフロントデスク)の低酸素装置監視盤で一括監視で
空調空気を導入する。(設計段階ではこれらの他に、突発
き(図5)、異常発生の部屋が一目で確認できるようにな
的な宿泊者の睡眠中の事故にどう対処するかが問題とし
っている。
て取上げられた。対応策として、 室内に監視カメラを常
なお、低酸素宿泊室とトレーニング室に加えて、その他
設しておく。 とか
のJISSの特殊環境実験室(気圧、温湿度および心理学実
置して寝返りの有無を確認する。 などのアイディアも出
験室)の電源の入切は、全て1階中央監視室の主操作盤
されたが、本宿泊室はあくまでも、選手のプライベート
で操作するように設計されている。また、夜間の管理で
なリラックス空間であることから、それらの採用は取り
は、警報は1階警備室にも連動しており、24時間の緊急
止めた。緊急な場合には、選手自らが窓をあけてすぐに
対応態勢がとられている。
外気を採入できるであろうということで意見がまとまり、
ベッドのシートに加速度センサを設
前述の設計仕様となった。)
2900
カ−ドキ−スイッチ
1255
照明スイッチ
500
1585
K
PS
ユニットバス
L
アッテネ−タ−
電話
4700
T
ナイトパネル
(a)低酸素装置監視盤
宿泊室
ベッド
TC
TEL+LAN
(b)酸素濃度設定部
(c)アラーム表示部
(単位:mm)
図4
低酸素宿泊室(タバイエスペック製。弊社は酸素濃度制御システムのみ施工)
ESPEC技術情報
No.28
図5
低酸素装置監視盤(タバイエスペック製)
10
3-2 性能仕様
3-3 管理運営の安全管理
低酸素トレーニング室・宿泊室の性能仕様の概要を表1
に示す。
低酸素トレーニング・宿泊室とも管理運営、緊急時のマ
ニュアルおよび利用上の注意事項一覧(利用者用)をそれ
ぞれ作成して安全管理を図ってある(高酸素室も同様)。
表1
低酸素トレーニング室と低酸素宿泊室の性能仕様
低酸素トレーニング室
低酸素トレーニング室としての利用上の注意事項につい
低酸素宿泊室
17.4%〜13.6%
16.8%〜14.4%
(高度1500〜3500m相当)
(高度1800〜3000m相当)
酸素濃度制御範囲
酸素濃度最小設定値
0.1%(高度50m相当)
±0.3%
(ただし、
出入り時は除く)
酸素濃度制御幅
て図7に示した。
低酸素トレーニング室の管理運営マニュアル
±0.3%
(ただし、ユニットバス使用
時、出入り時は除く)
酸素濃度降下時間
20.9%から14.4%まで4時間以内
(高度0mから3000mまで4時間以内)
炭酸ガス許容濃度
0.15%以内
0.1%以内
対象人員
10名
1名×72室
室 容 積
115m3
26m3/1室×72室
酸素濃度はトレーニング室が13.6%(高度3500m相当)、
宿泊室が14.4%(高度3000m相当)まで低下することが可
能である。そして酸素濃度制御範囲内で0.1%(高度50m相当)
刻みに設定することができる。対象人数は、低酸素トレー
ニング室では中等度作業で10名、宿泊室では安静時で1名
の許容負荷として設計されている(宿泊室は、全てシング
ル対応で72室が設けられ、18部屋を1ブロックとして、4ブ
ロック毎の酸素濃度設定が可能である。例えば、1ブロッ
クを常濃度とし、残り3ブロックは高度1800〜3000m相当
間で任意に設定できる(図5)。)
なお、低酸素トレーニング室での実験機材の配置は図6
に示した。
なお、低酸素環境室での低酸素発生に関しては、分離膜
により低酸素空気と高酸素空気を分離している。ここで発
生した高酸素空気を集めたのが高酸素室である。そこでの
酸素濃度は25%〜30%(成りゆき設定)になっている(室
内に酸素濃度が表示される)。高酸素室は、運動による疲
1.運転前
(1)トレーニング計画の立案・作成
(2)トレーニング計画の提出
(3)トレーニング者の確認
(4)トレーニング者への事前説明
(5)トレーニング者の同意書の確認
(6)トレーニング者のメディカルチェック
①病歴アンケート、身体歴チェック
②臨床検査
(7)トレーニング者の適・不適判定
(8)運動負荷検査(適任者のみ)
(9)トレーニング者の適・不適判定
(10)トレーニング者の確定
2.運転準備
(1)1F中央監視室の主操作盤の電源スイッチを入れる
(2)前室の操作監視盤
①酸素濃度指示調節器の酸素濃度を設定
②酸素濃度指示調節器の酸素濃度下限警報値を確認
③運転スイッチを入れる
―2時間後―
④酸素濃度指示調節器の酸素濃度が低下するのを確認
(3)トレーニング者への事前説明
3.運転
(1)前室の操作監視盤
①酸素濃度指示調節器の酸素濃度を制御していることを
確認
②異常ランプが点灯していないことを確認
(2)トレーニング者の入室開始(トレーニングの30分以上前)
(3)前室の操作監視盤にて監視
4.運転終了
(1)前室の操作監視盤の運転スイッチを切る
(2)一般空調運転に切り替える
(3)前室操作監視盤の酸素濃度指示調節器の酸素濃度が常圧
(約21%)に戻ったことを確認する
(4)1F中央監視室の主操作盤の電源スイッチを切る
(5)運転日報を作成する
労困憊からの回復および積極的休息が目的で設置してある。
図7
低酸素トレーニング室
③
①
トレッドミル
②
③
②
②
②
③
③
コンセント100V
指導員室
⑤⑥ ⑦⑧ ⑨
⑩ パソコン
高酸素室
⑪ 操作監視盤
前室(低酸素)
図6
11
品
品番
④
③
低酸素トレーニング室の管理運営マニュアル
名
①
埋め込み式トレッドミル
②
トレッドミル
③
自転車エルゴメータ
④
呼気ガス分析装置
⑤
血中乳酸濃度測定器
⑥
ヘモグロビン測定器
⑦
簡易型血液検査器
⑧
パルスオキシメータ
⑨
心拍数
⑩
データ処理装置
⑪
操作監視盤
低酸素トレーニング室の実験備品レイアウト
ESPEC技術情報
No.28
その他に、低酸素環境室の運用条件も明文化した。その
量の低下も避けられなくなることが報告されている。そこ
主だった項目は、以下の通りである。
で、高所の少ないフィンランドで開発されたのが低酸素室
(1)オペレーターは各実験室や宿泊室に専用とすること。
の利用である。すなわち、常圧・低酸素環境下の居住と平
(2)低酸素環境室のオペレーターは酸欠作業主任者の資
地でのトレーニング(living-high, training-low)によって、
格を有することが望ましいが、JISSのトレーニング
トレーニングの質と量の低下を抑制できるとして提案され
および宿泊室は「労働者の作業環境でない事例は該
た。日本でもJOC高地トレーニング医・科学サポート班が
当しない」ことから、法的な必要性はない(労働基
平成3年度から継続的に研究を行ってきているが、低酸素
準監督署)。しかし、安全に運用するためには、関連
室を利用したトレーニングは緒についたばかりであるとい
知識を有する者が操作、管理することは言うまでも
う(青木純一郎当研究班長)。つまり、常圧下での低酸素
ない。
トレーニングが血液性状やパフォーマンスに及ぼす効果に
(3)担当医を専任とすること。
(4)低酸素環境室の運転中は、必ず機械室及び操作監視
盤には鍵をかけておくこと。
(5)低酸素環境室は、低湿(20%以下の場合もある)にな
るので、加湿器を装備すること。
ついては、これまで統一的見解が得られていない。
本JISS低酸素環境室は、 living-high, training-low (高地
居住 ― 平地トレーニング)は、 living-high, training-high (高
地居住 ― 高地トレーニング)
、 living-low, training-high (平
地居住 ― 高地トレーニング)あるいは living-low, training-
(6)低酸素トレーニング室には空気呼吸器を常備すること。
low (平地居住−平地トレーニング)と比べて、有効性が
(7)低酸素環境室入出者に対して、必ず健康診断などに
あるか否かを明確に区別して検討することに貢献できるこ
よる体調確認、事前説明を行うこと。
(8)室内に持込む機材については、事前にJISS責任者に
確認すること。
とが期待できる。加えて、JISS内に設置の気圧実験室(高
度5000m相当まで設定可能なトレッドミル埋込みの低圧・
常酸素濃度環境室)と併用して実験することにより、常圧・
低酸素環境のメリットがより明らかにされるかも知れない。
4. 低酸素環境室の今後の活用計画
さらに、日常の居住空間を低酸素環境にすることによって、
低酸素への一日の暴露時間や滞在期間をより正確に規定す
JISSがスタートしてから既にこの1ヶ月の間、2002年2月
ることができ、かつ心理学的、生理学的および医学的精査
開催予定のソルトレークオリンピックに向け、日本のスキ
を行うことによって、低酸素環境に対する個人差をより客
ー複合およびジャンプの代表候補選手が派遣前のメディカ
観的に捉えることが期待できる。
ルチェックを行った。特に、複合チームはオーストリア合
宿に先立って、低酸素トレーニング室および宿泊室で調整
のためのミニキャンプを行った。
高所トレーニングは、水泳、陸上、スキーあるいはスケ
ート競技選手において古くから実施されその効果が確かめ
られてきた。そこでは生活もトレーニングも高所で行うた
めに、低圧 ― 低酸素環境ストレス(これに対する適応力
として、酸素運搬能力の改善をねらいとしているわけであ
るが)により、平地でのトレーニングと比べて、その質と
国立スポーツ科学センター
〒115-0056 東京都北区西が丘3丁目15番1号
TE L . 0 3 - 5 9 6 3 -0 2 0 0
U RL h ttp : / / w w w . ji ss. n t g k . g o . jp
ESPEC技術情報
No.28
12
センサ」の開発に成功しました。
製品の外観を写真1に、主な仕様を表1に示します。
グループ会社紹介
株式会社アポロメック(APOLLOMEC)
高橋
健一*
写真1
廃棄プラスチック高速分別センサ
表1
1. はじめに
材
質
判
別
対
象 形
状
・塩化ビニル(PVC)
・ポリエチレンテレフタレート
(PET)
・ポリエチレン(PE)
・ポリプロピレン(PP)
・ポリスチレン(PS)
(標準品は、PVC、PET、
その他 の3分別で
出力)
アポロメックは、1966年の創業以来、関西圏を中心に各
種試験、検査、製造装置の開発、設計、製造を行ってきま
した。タバイエスペックグループには、1989年より参画し
ています。アポロメックのメック(MEC)は、弊社がもつ
3つのテクノロジーを表しています。Mはメカニクス、Eは
エレクトロニクス、Cはコンピュータです。これらを英知
により融合させることによって、よりよいものを生み出そ
うというのが、弊社の開発ポリシーです。(図1)
主な仕様
板、ボトル、パイプ等。特に制約無し。
サイズ
40×40mm以上(設定条件により変動します)
色
黒色を除く多色に対応(黒色を含み、特に
反射率の低いワークの判別はできません。)
分別精度(硬質プラスチックをPVC、
99%以上
PET、その他に3分別した場合)
認識時間
0.2ms(5000回/秒)
ワーク速度(認識時間より、測定
200m/min以上可能
間隔1mmとした場合の計算値)
メカニクス
・自動検査機
・自動組立機
・自動搬送システム
図1
エレクトロニクス
・計測技術
・制御技術
・欠陥検出技術
・画像処理技術
・高速通信技術
・光応用技術
コンピュータ
・データ処理
・高速通信
・画像処理
・LAN設計
・LAN構築
検出視野サイズ
φ5〜35mm
検出距離(ワークディスタンス)
300〜400mm
入力電圧(分別センサ本体)
AC100V〜200V 1φ 50/60Hz
その基本原理は、プラスチックの着色や表面形状などに
よる影響を受けにくい近赤外線、特に1600〜1800nmの波
長範囲で、近赤外線反射が極小値を示す波長近傍のスペク
トルパターンを比較する方法を採用しています。
各プラスチックのスペクトルパターンを、図2に示します。
アポロメックの3つのテクノロジー
PVC-Tr2
100
2. 事業内容
PE-S
事業分野は、エネルギー&エコロジー分野、コミュニケ
ーション&ハーモニー分野およびメディカル&ライフサイ
エンス分野の3つになります。各分野でどのような製品展
開をしているかをご紹介します。
2-1 エネルギー&エコロジー分野
透過率(%)
80
60
PP-Tr
40
アクリルW
20
PET-Tr
0
1600
1680
1720
1760
1800
波長(nm)
エネルギーの分野では、2次電池(携帯電話、ノートパ
ソコン用電池)や太陽電池等の開発品評価装置や製造ライ
1640
図2
代表的なプラスチックの近赤外線スペクトル例
ン検査装置等を手がけています。太陽電池セル検査装置に
プラスチックごとのスペクトルパターンの検出は、その
おいては、1998年に「JIS C 8913(1998)
:結晶系太陽電池
ワーク速度と分別精度に見合うよう、スペクトルの極小値
セル出力測定法」に対応した自動検査装置を開発し、海外
の波長近傍をいくつかに分割して行っています。分割数を
にも出荷しています。
多くすれば分別精度は向上しますが、分別判定に時間がか
エコロジーの分野では、容器包装リサイクル法、家電リ
かり、少なくすれば分別速度は早くなりますが、分別精度
サイクル法が施行される中、「廃棄プラスチック高速分別
に問題が残ります。実用上は、ワーク速度を200〜300min
として、適切な分別精度になるように最適分割数を決定し
ています。
*株式会社アポロメック NB本部 本部長
13
ESPEC技術情報
No.28
分別は、まずプラスチック表面をハロゲンランプで照射
し、その反射光を光ファイバーにより分光フィルターを経
て近赤外線検出器に導入して、A/D変換後、コンピュータ
で処理をします。コンピュータでの処理は、多数回の測定・
判定を繰り返し、統計処理を行い、あらかじめ設定されて
いる分別基準と比較して識別信号を出力します。図3に分
別フローを示します。
被
検
体
︵
廃
棄
プ
ラ
ス
チ
ッ
ク
︶
近
赤
外
線
検
出
光
学
系
導
光
用
グ
ラ
ス
フ
ァ
イ
バ
赤
外
線
検
出
器
︵
︶
検出
図3
メディカル&ライフサイエンスの分野においては、1996
年、医療機器製造業の認可を取得し、1999年秋に当社初の
医療機器「家庭用光線治療器
サンシャイナー」を販売開
始しました。 2000年春には「リラクゼーションシステム
Plusα」
(写真3)を発売しました。これらの製品の設計お
よび製造は、ISO9001の認証の対象範囲となっています。
InGaAs
光
源
︵
ハ
ロ
ゲ
ン
ラ
ン
プ
︶
の
照
射
2-3 メディカル&ライフサイエンス分野
増
幅
器
+
A/D
変
換
器
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
︵
分
別
処
理
︶
プ
ラ
ス
チ
ッ
ク
分
別
制
御
部
データ処理
プ
ラ
ス
チ
ッ
ク
分
別
仕
分
け
部
仕分け
プラスチック分別センサによる分別フロー図
写真3
Plusα
対応プラスチックは、生産量の多いPVC(塩化ビニル)
、
Plusαは、バイオフィードバックとFFT解析という二つ
PET(ポリエチレンテレフタレート)
、PP(ポリプロプレン)
、
の手法を用い、独自のアルゴリズムにより、測定センサの
PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)の5種類で、識
ついたセンサベルトを額にセットするだけで、使う人の脳
別時間は最高(最速)0.2msの性能をもっています。
波状態に合わせた誘導音を発生し、α波(リラックスモー
本センサは、廃棄プラスチックの分別だけでなく、反射
ド)、θ波(快眠モード)の増強を促します。また、測定
光のスペクトルパターンを比較する方法であるので、カラ
した脳波の成分変化などを液晶画面で簡単に確認すること
ーセンサでは識別が困難な同系色の異物や、目視検査の難
ができるコンパクトタイプのリラクゼーションシステムです。
しい材質の検出も可能です。現在、このような分野へも販
これら市場型製品はコスト削減を目的とし、海外での製
売展開を行っています。
2-2 コミュニケーション&ハーモニー分野
各種検査装置の高付加価値の1つとして、通信・ネット
造準備を進めています。また、市場を広く海外に求めるべ
く、海外での市場調査および法律・規則の調査も進行中で
す。将来はFDA(米国食品医薬品局)の認可を得た製品を
発売していく方向で検討を行っています。
ワークおよびデータ管理に取り組んでいます。
ハードに関しては、実情に合った工場内LAN(イーサネ
3. おわりに
ット)のご提案、各種周辺装置との高速通信(HDLC、
ARCNET等)実現のための電子回路の開発・設計を行って
アポロメックの3つの事業分野については、先にご説明
います(写真2)。アポロメックがご提案するシステムに、
しましたが、今後はさらに「地球環境の保護・改善」、「画
お客様が合わせていただくのではなく、各企業または現場
像処理技術の検査装置への応用」、「検査装置の高付加価
にあったシステムをお客様と共に作りこみ、ニーズに合っ
値化」という観点から製品開発を進めます。
たシステムをご提案しています。今後は、インターネット
によるリモート監視も視野に入れ展開していきます。
これからも、お客さまのご期待にお応えできる物作りを
展開してまいりますのでご期待ください。
ソフトに関しては、VB、VCを主な開発言語としてアプ
リケーションソフトを作成しています。今後は、インター
ネットに適したJAVA言語ファミリーを活用できる人材育
成にも努めていきます。
写真2
ESPEC技術情報
●お問い合わせ先
株式会社 アポロメック
〒658- 0053 神戸市東灘区住吉宮町5- 10- 18
T EL.( 078)811- 3211( 代表) FAX(
. 078)841-8329
U R L:http//www.apollom ec.co.j p
高速通信用インターフェースユニット
No.28
14
・発行日……2002年1月1日発行(年4回発行)
・発
行……タバイエスペック株式会社
大阪市北区天神橋3-5-6 〒530-8550
●本誌に関するお問い合わせは
タバイエスペック株式会社「ESPEC技術情報」編集室までお申し付けください。
TEL.06-6358-4511
FAX.06-6358-5505
・本誌からの無断転載、複製はご遠慮ください。
http://www.espec.co.jp/mailto.html
TABAI ESPEC Home Page
h t t p : / / w w w . e sp e c. co . jp/
C 2002 TABAI ESPEC CORP.
◯
株式会社
株式会社
本
社
大阪市北区天神橋3-5-6 〒530-8550
TEL.06-6358-4741代表
東 京 本 部
本
社
FAX.06-6358-5500
TEL.072-834-1191代表
東京都江東区東砂8-5-1 〒136-0074
仙
TEL.03-5633-7290代表
宇
FAX.03-5633-7303
寝屋川市太間東町23-12 〒572-0072
都
FAX.072-834-7755
台
TEL.022-218-1891
FAX.022-218-1894
宮
TEL.028-667-8734
FAX.028-667-8733
さ い た ま
TEL.048-643-1918
FAX.048-640-5807
東 京 本 部
横浜市保土ヶ谷区神戸町134 〒240-0005
つ
ば
TEL.0298-54-7805
FAX.0298-54-7785
横浜オフィス
横浜ビジネスパーク・ウエストタワー8F
高
崎
TEL.027-320-8571
FAX.027-320-8574
TEL.045-336-6410代表
千
葉
TEL.043-286-6020
FAX.043-286-6022
京
TEL.042-501-2571
FAX.042-501-2573
FAX.045-847-2619
FAX.045-336-6411
西
仙
く
東
台
TEL.022-218-1891
FAX.022-218-1894
横
浜
TEL.045-847-2696
さ い た ま
TEL.048-643-1918
FAX.048-645-1597
東
京
TEL.03-3752-8601代表 FAX.03-3752-8625
つ
く
ば
TEL.0298-54-7805
FAX.0298-54-7785
厚
木
TEL.0463-94-9433
FAX.0463-94-6542
西
東
京
TEL.042-501-2571
FAX.042-501-2573
松
本
TEL.0263-48-0401
FAX.0263-48-0410
松
本
TEL.0263-48-0401
FAX.0263-48-0410
静
岡
TEL.054-237-8000
FAX.054-238-3441
静
岡
TEL.054-237-8000
FAX.054-238-3441
名
屋
TEL.052-777-2551代表 FAX.052-777-2575
名
古
古
屋
TEL.052-777-2551代表 FAX.052-777-2575
TEL.059-233-5400
FAX.059-233-5411
金
沢
TEL.076-268-1891
FAX.076-268-1893
金
沢
TEL.076-268-1891
FAX.076-268-1893
大
阪
TEL.06-6358-4746
FAX.06-6358-5500
大
阪
TEL.072-834-1191代表 FAX.072-834-7755
広
津
島
TEL.082-830-5211
FAX.082-876-5050
京
都
TEL.075-311-8081代表 FAX.075-311-6305
浜
TEL.0897-41-3163
FAX.0897-43-1139
滋
賀
TEL.0748-72-8077
FAX.0748-72-5070
福
岡
TEL.092-471-0932
FAX.092-474-3500
兵
庫
TEL.078-841-4085
FAX.078-822-4689
神
戸
TEL.078-822-4645
FAX.078-822-4689
姫
路
TEL.0792-22-8461
FAX.0792-22-8490
京
都
TEL.075-315-1232代表 FAX.075-311-6305
広
島
TEL.082-830-5211
FAX.082-876-5050
滋
賀
TEL.0748-72-5077
新
浜
TEL.0897-41-3163
FAX.0897-43-1139
岡
TEL.092-471-0932
FAX.092-474-3500
TEL.66-2-881-1637
FAX.66-2-433-1679
新
居
FAX.0748-72-5070
福
海外駐在員事務所
(中国 北京)
TEL.86-10-64627025〜6
FAX.86-10-64627036
(中国 廣州)
TEL.86-20-83317826〜8
FAX.86-20-83317825
海外関係会社
居
BANGKOK
ESPEC CORP.(U.S.A.)
塔巴依
斯佩克環境儀器(上海)有限公司(中華人民共和国)
上海
斯佩克環境設備有限公司(中華人民共和国)
廣州
斯佩克環境儀器有限公司(中華人民共和国)
ESPEC (MALAYSIA)SDN.BHD.
ESPEC KOREA CORP.(韓国)
ISO 14001(JIS Q 14001)審査登録取得
ISO 9001(JIS Z9901)審査登録取得
JIS Z9901-1998
登録番号 JSAQ-004
JAB 認定登録番号
R001
タバイエスペックは(財)日本規格協会(JSA)より
国際規格ISO 9001:1994(JIS Z9901-1998)に基づ
く品質システムの審査登録を取得しています。
タバイエスペックのISO 9001審査登録取得対象製品(業務内容)
環境試験機器,環境試験装置,生産用環境装置,半導体試験装置,計測評価システ
ムの開発・設計・製造・据え付け並びに付帯サービス
登録範囲に含まれる関連事業所
・タバイエスペックサービス株式会社
・株式会社 タバイ環境設備
JIS Q 14001-1996
タバイエスペック福知山工場、宇都宮テクノコンプレッ
クス、タバイエスペック東京本部、タバイエスペックサー
ビス本社事業所、タバイ環境設備大東事業所は(株)日本
環境認証機構(JACO)より国際規格ISO 14001:1996(JIS
Q 14001-1996)に基づく環境マネジメントシステムの
審査登録を取得しています。
タバイエスペックグループのISO 14001審査登録取得範囲
組
織
名
登録番号
登
録
範
囲
タバイエスペック福知山工場 EC99J2046 同組織全域における環境試験機器および半導体試験装置の設計、製造
タ バ イ エ ス ペ ッ ク
EC96J1081 同組織全域におけるバーンイン装置および計測システム製品の開発、設計、
宇都宮テクノコンプレックス
製造
タ バ イ エ ス ペ ッ ク
EC00J0257 同組織全域(敷地・建屋・設備)における事業活動・製品・サービス
東
京
本
部
タバイエスペックサービス EC97J1050 同組織全域における環境試験機器、半導体試験装置等の設置と点検および
保守作業
本
社
事
業
所
タバイ環境設備大東事業所 EC98J1033 同組織全域における環境試験装置の製造、据え付け
本誌は再生紙および大豆油インクを使用しています。
ETRJ028
ESPEC技術情報 No.28