川崎汽船 2011年アニュアルレビュー CSRへの取り組み

CSRへの取り組み
CSRの目的と使命
社会的責任
法令を遵守し、社会規範を尊重し、
公正な事業活動を行い、安全の
確保と環境保全に努めます。
社会貢献活動
安全運航への取り組み
川崎汽船グループはグローバルに事業を展開するなかで、
安全運航・環境保全・経済運航を確立し維持することは、海運業を営む上での必須事項です。
海運企業として事業をいかした社会貢献、次世代育成や
なかでも、安全運航は事業活動の基盤であり、経済運航や環境保全を成立させるためにも、
ボランティア参加などを通じて各国地域社会との共利共生を図り、
確固たる安全運航体制の構築とその実現・維持に取り組んでいます。
小さな取り組みをひとつひとつ積み重ねています。
東日本大震災被災地への川崎汽船グループの支援
安全管理システム
(SMS)の運用
グループの事業活動を通して
被災地向け仮設住宅建設資材や生活物資の海上輸送など復興支援物資の輸送協
船舶の安全な運航を確保するためには、国際条約や各国の法
社の監査員が行う内部安全監査と、SMSを認証した船級協会の
社会に貢献します。
また、
「良き
力を行っています。また、被災地で救援・復興活動に当たる陸上自衛隊への隊員・
規などで要求される事項を満たすことはもちろんのこと、安全に
審査員が行う定期審査を受け、指摘を受けた事項については直
企業市民」
として、社会貢献活動を
車両の輸送協力や駐屯地での食糧保管用冷凍コンテナの無償提供を通して復興活
関する独自の取り組みや船種の違いに対応した訓練を行うことな
ちに是正措置を取ります。また、寄港地でも、PSC *でチェックさ
積極的に実践します。
動を後方からサポートしています。川崎汽船グループは被災者の方々が一日でも早
ども必要です。これらの必要事項について、船員や船舶管理会社
れるなど、厳格に運用されています。
社会的貢献
川崎汽船グループは企業理念を「海
運業を中核とする海運企業グループ
く震災前の安定した生活を取り戻すことが
が共通の認識を持ち、行うべき手順を取りまとめたものがSMS
できるように、引き続き海運業の特性をい
で、国際条約によってその保持が義務付けられています。
かした支援活動に取り組んでいきます。
SMSが厳格に運用されているかを確認するため、船舶管理会
当社はボランティア活動に参加する社員
として、安全運航と環境保全に努め、
を支援するために特別休暇の取得を認め
お客さまのニーズに全力で応え、サー
ています。その制度を利用して有志が東
ビス品質の向上を通じ、世界の人々
日本大震災被災地の復興支援活動に参加
の豊かな生活の実現に貢献します」
しています。
と定めており、この企業理念の実現
をCSR活動の目的とします。CSRが企
業の「社会的責任」と「社会的貢献」
により構成されていると認識し、CSR
活動推進の基本方針を上記の通りと
します。
*PSC:船 の安全性や法的適合性、人命の安全、環境保全の維持に問題
がないことを寄港国当局が確認する検査。
事故対応演習
岩手駐屯地へレフコン貸し出し
子どもたちとの交流会
当社VLCC「YAMATOGAWA」が東京湾口の浦賀水道でフェリー
会社、弁護士、コンサルティング会社などの講評を受けました。
と衝突、人身事故、油流出事故、フェリーの車両火災が発生したと
あってはならない事故で
の想定で、2010年11月に演習を実施しました。
すが、あり得る事故である
演習では、事故対応マニュアルに基づき、事故対策本部の設
との認識のもと、事故防止
置を行い、その後、事故対策本部に届いた情報を基に対策を検
と緊 急 対 応 へ の 取り組 み
”K” Line Maritime Academy Philippines(KLMA Phil)
は2010年12月、会社所在地
討し適宜対応を取り、社外からの問い合わせへの対応や報道発
を続けています。
であるフィリピン・パサイ市に住む貧困層の子どもたちの中から30人を事務所に招
表も行いました。更に、模擬記者会見を実施、会見後には、保険
き、ランチと文房具を入れた鞄をプレゼン
トする交流会を実施しました。KLMAをは
海賊被害防止への取り組み
じめとする現地駐在のスタッフも参加し、
子どもたちは歌やダンスを披露して一緒に
ばっこ
楽しみました。今年3年目となるこの支援
ソマリア沖、アデン湾、アラビア海に跋扈していた海賊は、そ
みを防ぐことが難しいため、海賊出没海域を避けてアフリカ南
活動を通し、今年も子どもたちに笑顔と元
の活動範囲をインド洋にまで拡大し、アジアとペルシャ湾や欧
端の喜望峰回りの航路を選択するといった対応も取っています。
気を与えることができました。
パサイ市の子どもたちと
州を結ぶ航路の安全が脅かされる事態となっています。これに
対し、国連安全保障理事会においては必要な措置を取ることを
決議、国際海事機関では海賊撲滅のため必要な措置を取ること
支援物資海上輸送協力
を要請しており、現在、アデン湾を中心に各国海軍による護衛
や航空機による哨戒、更には、ハイジャックされた船の奪還作
“K”LINE SHIPPING(SOUTH AFRICA)PTY
戦なども行われる事態となっています。
LTD.(KLSSA)
は、南アフリカの子どもたち
した海賊の襲撃を受けないように出没海域を避けた航行、高速
して教育資材の海上輸送および南アフリカ
航行による乗り込み防止、乗り込み防止のための高圧放水装置
の国内陸送に関する協力を行っています。
の使用やレザーワイヤー
(カミソリのついたワイヤー)の設置、
2011年3月、第一回船積みとなる英語児童
た当社運航船がダーバンに到着しました。
40
川崎汽船株式会社
銃撃に備えた防弾チョッキやヘルメットの装着など、乗組員の
搬送した荷物を引き渡すKLSSAスタッフ
(右2人)
とSAPESI代表
安全を第一に考えたあらゆる方策を尽くしています。また、速力
の遅い船や海面から甲板までの高さが低い船は、海賊の乗り込
イラン
パキスタン
ペルシャ湾
サウジアラビア
オマーン
紅海
アラビア海
インド
イエメン
海上自衛隊や各国海軍の護衛を受けるほか、重火器で武装
の教育支援を進めるNPO法人SAPESIに対
図書1,000冊、および文房具類ほかを載せ
イラク
ジブチ
エチオピア
ソマリア
アデン湾
海賊多発海域
インド洋
アデン湾付近
ANNUAL REVIEW 2011
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