東日本大震災から5年 復興に向けた被災塩ビ管の回収と再

2016年3月11日
東日本大震災から5年
復興に向けた被災塩ビ管の回収と再利用の取組み
塩ビリサイクル排水管協会
大水産業株式会社
はじめに
未曾有の大震災により被災された皆様に改めてお見舞い申し上げます。
被災から5年経つのですが、復興に向けご苦労されている方も多いことと推察します。
当協会でも、被災塩ビ管の回収・再利用をとおして、復興に少しでもお役に立てればとの思
いで取り組んでまいりました。
1. 被災塩ビ管の回収
1) 取組み経緯
東日本大震災発生に伴い大量の下水道管(下水道管の8割以上
は塩ビ製)が被災しました。
下水道管路は勾配を利用して排水しているので、塩ビ管自体
にヒビ・割れがなくても、埋設箇所に大きな地盤変動があると、
既設管を撤去して新しい塩ビ管に取り換える必要があります。
当協会・大水産業株式会社((以下、「当社」という。)では
2007年の中越沖地震での経験を活かし、最初に宮城県の下水
道課および災害廃棄物処理課にコンタクトし、被災塩ビ管のリ
サイクル処理に関する提案書を提出しました。
①自治体発注の工事現場で、工事業者は被災塩ビ管を排出する。
②工事業者は、現場あるいは自治体指定の場所に被災塩ビ管を
集積する。
集積に際しては、被災塩ビ管を選別(ゴム輪除去・切断等)・
前処理(泥落とし)を行うことを原則とする。
③埼玉県の当社の回収車が、集積現場に出向き引き取る。
被災塩ビ管をリサイクル原料として購入し、工事業者へ代金
を支払う。これによって、産廃処理費がゼロになると共に、リ
サイクル材として再利用される。
④当社の工場に輸送する。
被災塩ビ管の
リサイクルフロー
(工事業者:茶色)
(大水産業:青色)
工事現場
①排出
集積場
②集積
③回収
④輸送
工場(大水産業)
廃材の汚れの状態についても回収基準のハードルを大幅に下げ、また回収の際の廃材の切断、積
込み作業も当社が行い、復旧、復興工事が迅速に行われるように協力、配慮する。
実際に埼玉の遠隔地より宮城県まで回収に行った場合に、運賃、人件費などかなりの経費負担
が見込まれるプロジェクトです。
リサイクルの有用性、有効性を広く理解してもらう絶好の機会でもあり、徹底的に復興に協力
をするべくスタートを切りました。
2) 自治体と連携しての回収
①まず、実際の工事の発注元である宮城県内の市町村に対し
て、被災塩ビ管のリサイクル処理について説明に回りまし
た。
リサイクル処理の説明に対して、各市町村共
『「被災塩ビ管を指定の場所に集積するのに手間がかか
る」が、「回収に来てもらえる」「処理費用はいらない」
さらには「リサイクルして使用される」』
ということで、非常に関心をもって聞いてもらいました。
被災塩ビ管の回収現場
② 復旧工事の着手の早い内陸部の白石市、角田市など南部
から始まり、仙台市、名取市といった津波の被害も大き
かった地域なども、被災塩ビ管のリサイクル処理に踏み切
ることになりました。
工事業者からのクチコミで、リサイクル処理の情報は急速
に広まりました。
③また、仙台市のように、塩ビ管廃材のリサイクル処理が
市の単価の中に組み入れたところも出て、今後の永続的リ
サイクル処理の基盤が作り上げられたのです。
④更には、岩手県でも、宮古市、大槌町等でも、被災塩ビ
管のリサイクル処理に踏み切ることになりました。
当社に積まれた被災塩ビ管
<回収協力業者の声>
回収に際しては、主に自治体・工事業者の方と連携して行っておりますが、現地の産業廃棄物処理
業者の方のご協力もお願いしています。
ご協力いただいている宮城県刈田郡蔵王町の㈱ジェーエーシー 営業部 岡田浩子部長様に、取組み
についてお話しをお伺いしました。
『当社では、産業廃棄物の収集運搬・中間処理等を行っております。
東日本大震災の発生時やその後の復興工事に伴い、廃棄物として大量の塩ビ管も含まれていました。
被災した塩ビ管が集まってきて、焼却することもできず埋め立てるしかないので処理に困っておりま
した。
2013年9月頃に大水産業さんから声がかかり、「塩ビ管
の異物や汚れを取り除いて集積しておいてもらえば引き取
りに来る。また、集めた塩ビ管を使ってリサイクル塩ビ管
として甦らせる。」との話を聞き、「是非取引させて欲し
い。」とお願いしました。
甦った塩ビ管の一部は、「宮城パイプ」として販売され
ているとのことで、震災の復興に環境面からも少しはお役
にたてていると思っております。』
㈱ジェーエーシーとの連携は、現在も継続中です。
㈱ジェーエーシー
3) 回収実績
①回収の連携自治体
・宮城県 :16自治体
・岩手県 : 4自治体
②回収量(2016年2月末現在)
・宮城県 : 約1,350トン
・岩手県 : 約 130トン
(VU200換算で、約
(VU200換算で、約230km
換算で、約230km相当
230km相当)
相当)
当社工場(埼玉県さいたま市岩槻区)
から自動車で仙台市に向かったら、
福島県の「二本松IC」近傍まで来て
いることとなります。
<現在到達地点>
二本松IC近傍
<スタート>
当社工場
<ルート条件>
東北自動車道を利用
2. リサイクル塩ビ管の使用(
リサイクル塩ビ管の使用(主に宮城県での取組み)
主に宮城県での取組み)
1) 宮城パイプの
宮城パイプの経緯
①宮城県から回収してきた被災塩ビ管が、会員会社の置場に
次々と積み上げられていきました。
そして宮城県から排出された塩ビ管を材料として、宮城県の
災害復興工事にも使ってもらえる宮城銘柄のリサイクル塩ビ
管を製造しようという計画が現実味を帯びていきます。
②宮城県に相談し、宮城県グリーン製品として認定される塩
ビ管を実現させようという計画をたてました。
③当社の主要製品であるタイスイRスーパーVU,VPは再生原
料を使用しながら、一般JISのK 6741の承認を受けています。
国のグリーン調達の特定品目であり、また埼玉県の彩の国リ
サイクル認定制度の初の認定品でもあります。
また今回の復興工事の牽引役でもあるUR都市機構ではすで
に材料表の中にリサイクル材料から作られたJIS管を指定
して、積極的にグリーン調達を進めてきていました。
④このRスーパーと同規格の塩ビ管を宮城パイプと銘打って2
ブランド生み出すこととなりました。
以前よりリサイクル塩ビ管に関心を持っていた株式会社川本
第一製作所と共進機材株式会社がそれぞれMグリーンとMy
スーパーというブランド名で発売、製造をJIS工場を持つ当社
が受け持つこととなりました。
⑤株式会社川本第一製作所と共進機材株式会社のM
グリーンとMyスーパーが、震災から1年8ケ月経過し
た2012年11月にいち早く宮城県グリーン製品とし
て認定されました。
2)宮城県での率先使用の働きかけ
2)宮城県での率先使用の働きかけ
宮城県グリーン製品に認定されても、県の工事において宮城パイプはなかなか使っていただけず、
使用促進に向け取り組んでおります。
"環境生活部環境政策課"は、宮城県グリーン製品の認定および管理を行っておられます。
当課では、グリーン製品が使用されるよう、「県の工事請負人が、率先して使用すべきグリーン製
品を確認する」ための、「グリーン購入に関する取組チェックリスト」をサイト上に掲載しています。
"環境政策課"に、チェックリストの活用が進む取組みをお願いしています。
また、宮城パイプを使用する工事の発注部署である"土木部"にも、率先使用をお願いしています。
3)販売実績
3)
①復興工事が本格化しつつある宮城県内において、仙台市の荒井東地区の復興公営住宅、山元町の
災害公営住宅で宮城パイプが初めて使用されました。女川町の災害公営住宅においてもUR都市機
構で推奨されるリサイクル管がバージン管に先んじて使用されました。
仙台市荒井東地区の復興公営住宅(2013年8月撮影)
山元町災害公営住宅(2013年6月撮
②宮城パイプの販売実績(2016年2月末現在)
販売量 :92トン
被災塩ビ管の回収量1,350トンに対して、約7%とまだまだ少ない状況です。
③その他、防潮堤でも
有孔管が使用されてい
ます。
宮城県長浜地先海岸工事(2016年2月撮影)