茨木っ子版 授業Standard

茨木っ子版 授業 Standard
自分力
つながり力
ゆめ力
学び力
体力
茨木っ子ステップアッププラン25
茨木市教育委員会
学校教育推進課・教育センター // 校内研支援事業
平成 24 年 6 月
1 はじめに
茨木っ子ステップアッププラン25の2年目に入り、各校でも授業研究会に取り組み始
める時期になりました。プラン25の先進都市視察研修で、昨年から今年にかけて、秋田
県と福井県、香川県の小中学校を視察してきました。視察した三県とも、小中学校の先生
方は、同じことをおっしゃっていました。
「何も、特別なことはしていません。当たり前のことを当たり前にやっているだけです。」
本市でも、茨木っ子プラン22から、茨木っ子ステップアッププラン25となり、全市
を挙げて学力向上に取り組みだして5年目となります。その間、多くの小中学校で、授業
研究会が充実してきました。しかし、その一方で、日常の授業はどうでしょうか。授業研
究会で学んだことを日常の授業に活かしているでしょうか。
右のようなデータがあります。
授業中、考えを発表する機会が与えられていますか
全国学力・学習状況調査の児童・生徒質問紙
90
の回答について、本市と秋田県を比較したもの
80
です。児童・生徒質問紙であるので、子どもた
ちが感じていることの数値です。グラフにある
ように、小・中学校とも、本市の子どもたちは、
秋田県の子どもたちに比べて、授業中に考えを
秋田
茨木市
70
60
50
小学校
発表したり、話し合ったりすることが、尐ない
中学校
と感じています。
子どもたちが答えているのは、おそらく研究授
授業中、話し合う活動がよく行われていますか
業についてではなく、日常の授業についてだと思
います。
90
秋田
茨木市
80
確かに、秋田県とは、家庭の状況など子どもた
ちを取り巻く状況に違いはあります。
そうではあっても、秋田県の学校の取組に学ぶ
べきことはあると思います。そのひとつが、日常
70
60
50
小学校
中学校
の授業です。
秋田県の先生にとって「当たり前なこと」を、本市ではできているでしょうか。
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~授業の中に4つの(ゆめ力・自分力・つながり力・学び力的)活動を取り入れよう~
茨木っ子版 授業 Standard は、45(50)分の授業に4つの活動を入れましょうとい
うものです。4つの活動は、何も特別なことではありません。多くの先生が従来から指導
していることだと思います。
しかし、この4つの活動が、日常の授業で当たり前に行われているでしょうか。研究授
業、公開授業などの特別な授業だけになっていないでしょうか。
「4つの活動を、当たり前に授業の中に取り入れること」が、今回の提案です。
茨木っ子版 授業 Standard
45(50)分授業に4つの活動を入れる
ゆめ力的活動
目標を提示する
教員は学習課題を明確に示し、子どもは自分の課題
として受け止める
自分力的活動
自力で考える(個の学び①)
自分の力(既習の知識・技能)を使って、課題に向
き合う
つながり力的活動
交流する(仲間との学び)
小集団(班やグループ)や全体で、考えを出し合い、
考えを深める
学び力的活動
学んだことを実感する(個の学び②)
授業で学んだことを自分の言葉でまとめたり、確認
問題をしたりする
2
2
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3 4つの活動のポイント
1
ゆめ力的活動
目標を提示する
● 本時の目標を明確に示しましょう。
● 具体物を用意したり、ICT機器を使ったりするなど、課題をとらえやすくするとと
導
入
もに、意欲がわく課題提示の工夫をしましょう。
● 驚きや不思議さ、必要感など、知的好奇心をくすぐるような課題をめざしましょう。
2
自分力的活動
自分で考える(個の学び①)
● 活動時間を十分に確保しましょう。
● 既習の知識・技能を活用したり、教材(本文や資料など)を根拠にしたりして、子ど
もたちに目的意識を持った思考をさせましょう。
● 教師が、指示やヒント等を追加することはひかえましょう。
● 困っている子どもへの支援は、机間指導で個別に行いましょう。
(机間指導しながら、
一人ひとりの子どもの考え・意見を把握しておきましょう)
展
開
3
つながり力的活動
交流する(仲間との学び)
● 一人ひとりの意見や考えを共感的に受け止める学習集団をはぐくみましょう。
● 小集団での交流は、全体での発表に自信が持てない子どもにとっては、自信を持つ場
となります。
● 本時の目標に到達するための必要な考えや意見を取り上げましょう。
● 自分の考えを発表して終わりではなく、子どもたちが考えを比較検討したり、考えを
高めあうような話し合い(対話)ができるように工夫をしましょう。
4
学び力的活動
学んだことを実感する(個の学び②)
● 子どもたちが、1時間の授業で「これが分かった」「できるようになった」達成感が
持てるようにしましょう。
ま
と
め
(
振
り
返
り
)
3
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4 子ども主体の授業を
① 「S-T分析」を活用してみましょう
S-T分析とは、1時間の授業を児童・生徒の活動時間(S)と教員の活動時間(T)
という2つのカテゴリーだけで分析し、それぞれの時間を累積の折れ線グラフで示すも
のです。縦軸は、児童・生徒の活動時間を表し、横軸は教員の活動時間を表しています。
1時間の授業を測定してみて、縦長のグラフになれば児童・生徒の活動時間が確保さ
れた授業であることが分かります。
分(S)
(学び力的活動)
確認問題をする
30
(つながり力的活動)
全体で話し合い
20
「S-T分析」は、
大阪府教育センター
のホームページ(教
育情報配信サービ
ス)からダウンロー
ドできます。
(つながり力的活動)
班で交流
10
(自分力的活動)
一人で考える
(ゆめ力的活動)
目標提示
0
10
20
30
分(T)
② 時間の確保が難しい場合は、「単元」で
特に、中学校では指導内容が指導時間に比べて多いという状況があり、毎時間4つ
の活動を取り入れるのは難しいでしょう。
そのような場合は、
「単元」というスパンで考えてください。1単元の中に 茨木っ
子版 授業 Standard を取り入れるのであれば、可能ではないでしょうか。
③ 教科の特性に合わせてアレンジして
教科によって、1時間の中に4つの活動を取り入れるのは難しいこともあるかもし
れません、そのような場合は、教科の特性に応じてアレンジしてください。大切なの
は、子ども主体の授業を行うことです。
④ 学校で統一することが力になる
秋田・福井・香川県の三県とも、訪問した全ての小中学校で、教室の黒板の左上に
本時の目標を掲示して授業をしていました。全学年の全ての教科で(教室での授業の
みですが)です。学校全体でそろえることが大きな力になると感じました。
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