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2016 / July
No.
36
Science, Products, and Information
サーモフィッシャーサイエンティフィック
ライフサイエンス情報誌
NEXT Interview
免 疫 細 胞 を自 在 に 操り、
再 生 医 療 の 未 来 を 拓く
鍵は抗原特異的T細胞のiPS化
河本 宏 氏( 京 都 大 学 再 生 医 学 研 究 所 免 疫 学 分 野 教 授 )
P. 04
Arcturus XT Laser Capture Microdissection System
P. 05
Ion AmpliSeq Panel
P. 06
NanoDrop 超微量分光光度計 & Qubit 3.0 Fluorometer
P. 08
遺伝子解析アプリケーションデザインサービス
( ADS )
P. 09
QuantStudio 3D デジタル PCR システム
P. 10
Essencial 8 Flex 培地 / TaqMan hPSC Scorecard Panel
P. 12
トレーニング付き実験スターターパック
P. 13
Lipofectamine CRISPRMAX Cas9 Transfection Reagent
P. 15
Click-iT Colorimetric IHC Detection Kit
P. 16
EVOS FL Auto 2 Imaging System
P. 18
N-PER Neuronal Protein Extraction Reagent
Syn-PER Synaptic Protein Extraction Reagent
Interview
インタビュアー:サーモフィッシャーサイエンティフィック 橋本裕子
抗原特異的キラー T 細胞を
初期化し、
そして再分化させる
造血幹細胞は、生きている間中、免疫細胞や
何種類もの血球細胞を作り続け、様々な体内
の変化に柔軟に対応します。例えばがんにな
ると、自然免疫から始まり、がん細胞を特異的
に認識するキラー T 細胞が活性化し、それらを
排 除するための機 構が 体 中で動き始めます。
ただし免 疫 細 胞を体から取り出し、培 養して
体にもどしても、がんに対する高い治療効果
は望めません。なぜなら T 細 胞は成 熟して働
けるようになってからは寿命が 短いからです。
そこで 河 本 氏 が 挑 んだのが 、抗 原 特 異 的キ
ラー T 細胞をクローン化して iPS 化後、それを
再分化させ、量産すること。
「 iPS 化することで、
免 疫 細 胞 が 若 返り、体 外で 盛 んに増 殖でき
ます。しかもゲノム中の T 細 胞 受 容 体 遺 伝 子
は、特定のがん細胞を認識する配列に再構成
済み」
と新たな治療法開発の肝を説明します。
「海外では ES 細胞研究が 先行したため、iPS
細胞も ES 細胞と同じ様なものと捉えられ、リ
ンパ球の初期化という発想の研究はほとんど
進められませんでした。しかしiPS 細胞技術と
の組み合わせで、リンパ球だけがもつ資質を
開花させることができたんです」
と、その先進
免 疫 細 胞 を自 在 に 操り、再 生 医 療 の 未 来 を 拓く
鍵は抗原特異的T細胞のiPS化
性を指摘します。すでに非臨床研究として、が
ん患 者の血 液から免 疫 細 胞を取り出し、iPS
化する基 礎 実 験 前 臨 床 研 究も開 始できる段
階に来ています。
日々。油絵を美術展に応募したり、バンドの曲
えられる可能性があります。抗体は半減期が
を自作したり、憑かれたように漫画を描き、有
あり、持続的な投与が必要で年間の薬代がか
名な漫画週刊誌で奨励賞を受賞したことも ※ 。
さみますが、この細胞製剤であれば 数回の投
しかし編 集 者から次 作を打 診された時 、ふと
与で済むはず」
と説明します。
「またiPS 細胞ス
我に返ります。
「 たしかに知識を総動員すれば
トックを利用して、がん特異的な T 細胞受容体
ユニークなストーリーはつくれるかもしれない。
の遺伝子を導入する方法も検討しています。
しかしそれでも本物のプロの画力との差は歴
キラー T 細胞を自在に操る技術、優れたiPS 細
然。それよりも自分の強みをもっと出せる分野
胞ストック、日本の強みを生かせる応 用 研 究
で勝負すべき」
と気づいたのです。そして再度、
です。そのためにはやれることは何でもやりた
一から基 礎 研 究を学ぶことを決 意します。京
いと思っています。ベンチャー企 業の立ち上
都大学再生医学研究所の免疫学教室で見習
げも計画中です」
と力強い構想を語ります。
い生として、年下の大学院生の手伝いから始
めました。33 歳の頃です。
研究に打ち込み、
成果をあげる
1 ,2 年すると教授からも認められ、単独のテー
マで研 究を任される様になり、論 文や総 説を
書きながら実 験する忙しい 日 々 が 訪 れます。
最も興味を持ったのは、造血幹細胞が、どうい
う段階から、どういう場所で、多能性を失い T
細胞しかつくれなくなるのかということ。異な
る性 質の細 胞が 不 可 逆 的に生じる血 球 系の
分化のメカニズム、すなわち系列決定機構の
研究に本格に取り組みます。そして 40 才で助
教、翌年には理化学研究所のチームリーダー
となり、恵まれた研究環境の中で着実に成果
を積んでいきます。基礎研究に手応えと充実
若い人へのメッセージ
「頼まれたことを断わらない。嫌な顔をせず、さ
くさくとその仕事をこなす。若いうちに仕事を
選ぶようになると仕事が来なくなります。多様
な人と関わり、一 般 向けの講 演やイベントに
も積 極 的に参 加する。そして忙しくても趣 味
の時間は持つこと。それらはすべて自分を表
現する大 切な機 会であり、その一つひとつを
創造的に取り組むことは、研究と同じく人生を
豊かにしてくれるはず」
とメッセージはストレー
トです。今も、研 究の傍ら免 疫 学の入 門 書を
著したり、
リンパ球の
「長い旅の悲哀」
をロック
に乗せて演奏したり、独創的な免疫細胞模型
をつくったりと、ユニークな活動を続ける河本
氏 。その姿自身に強いメッセージが 込められ
ているのかもしれません。
感を感じていた頃、iPS 細胞の作製成功を知
り、ほどなくして冒頭の研究に取り組むことに
なります。
迷いの中で、もがく日々
河 本 宏 氏 (京都大学再生医学研究所免疫学分野教授)
今では明 確な目 的にまい 進する河 本 氏です
が 、大 学 院 時 代 は「 研 究という点 で は 暗 黒
だった」
と振り返ります。医学部卒業後、研修
医を経て大 学 院に進 みますが 、研 究 の 面 白
「がん細胞だけを攻撃する免疫細胞を取り出して治療に応用する」
それは長らく免疫学に課せられてきた大きな期待でした。
しかし成熟した免疫細胞の活性を体外で持続させることは難しく、
免疫細胞療法はなかなかその力を最大限に発揮できずにいました。
2013 年、京都大学教授の河本宏氏は、抗原特異的なT 細胞をiPS 化することで、
この問題を乗り越える可能性をヒト細胞を用いた実験で示しました。
「発想自体はコロンブスの卵みたいなもので、簡単な原理ですが、
言うは易しで、実際にその細胞をつくり出すことは苦労の連続でした」
と振り返ります。
免疫細胞の系列決定研究で育んだ卓越した培養技術を駆使し成功に導いた実験。
今後、その成果を臨床研究へ繋げ、がんだけでなく、広く免疫が関わる疾患の治療法として一般化することを目指します。
河本氏が描く、再生医療の未来を伺いました。
page 02
さを今ひとつ感じられず 、研 究 室から遠ざか
ります。学 位も取らず 、大 学 時 代の部 活でや
り残した音 楽 活 動や美 術 制 作に明け暮れる
未来の医療の姿を描く
「数年後の治験を目指して、キラー T 細胞の基
礎研究を進めています。まずは自家移植を想
定しつつ、拒絶されにくいように HLA 型を合
せて行う他家移植の準備も怠りなく進めてい
ます。他 家 移 植 がうまくいけば 、この 治 療 の
一般化が 図れるはず」
と河本氏。将来の医療
を次のように語ります。
「 他家移植用に異なる
HLAと異なるがん抗原に対するさまざまなタ
イプのキラー T 細 胞を凍 結 保 存して備 蓄しま
す。がんになって医療機関を受診すると、主治
医はその患 者にあった細 胞を発 注し、それを
解凍して点滴してくれます。どんな田舎の病院
でも対応できる、そんな医療システムが 数十
年で到来すると思っています。しかも他家細胞
を使う細胞製剤は、抗体医薬よりも価格を抑
page 03
河本 宏(かわもと・ひろし)
1961 年京都生まれ。1986 年京都大学医学部卒
業。3 年間の内科研修後、1989 年より京大病院
第一内科(現血液・腫瘍内科)大学院伊藤和彦教
授の元で ADA 欠 損 症 患 者の遺 伝 子 解 析および
遺伝子治療の基礎研究を行う。1994 年より京大
胸 部 疾 患 研 究 所( 現 再 生 医 科 学 研 究 所 )の桂 義
元教授の元で血液細胞の系列決定過程および T
細胞初期分化についての研究を開始する。2001
年 7 月より京 大 医 学 部 免 疫 細 胞 生 物 学 教 室( 湊
長 博 教 授 )助 手 。2 0 0 2 年 3 月より理 研 免 疫アレ
ル ギ ー 科 学 総 合 研 究 センターチームリー ダ ー 。
2012 年 4 月京都大学再生医科学研究所教授、現
在へ至る。
※ 奨 励 賞を取った作 品( 写 真 )は、研 究 室のホー
ムページに掲載されています。
Ion AmpliSeq Panel
狙った遺伝子群を NGS で効率的に解析
User's Voice
弘 津 陽 介 氏( 山梨県立中央病院ゲノム解析センター)
遺伝性乳がんや卵巣がんに関わる新たな DNA 修復遺伝子の変異を検出
POINT
Ion AmpliSeq カスタムパネルを利用し、155 検体で 25 遺伝子を効率的に解析
サIon Proton™ システムで解析しました。
「その 結 果 、1 5 5 検 体 のうち 1 1 検 体 から
BRCA1/2 遺 伝 子の変 異を検 出しました。
またBRCA1/2 遺 伝 子 以 外の 4 遺 伝 子か
ら10 種類の不活性化変異を同定しました。
配列や他の情報を精査し、最終的にATM 、
MRE11A 、MSH6 という3 遺伝子の変異
乳がんや卵巣がんは、国内で毎年約 10 万
人が 罹 患する頻 度の高いが んであり、遺
伝性がんが占める割合が 10% 前後と高い
ことも特徴です。この遺伝性乳がんの多く
にBRCA1/2 遺伝子の機能不全変異が認
められるとの報告があります。山梨県立中
央病院ゲノム解析センターの弘津陽介氏
は、日本における遺 伝 性 乳がんや卵 巣が
んの状況を把握するため、
BRCA1/2 遺伝
子とともに、それ以外の遺伝性がんとの関
連性が指摘される25 遺伝子を選び出して
変異解析を行いました。その結果、乳がん
を調べています。この研究では、Applied
● 広いターゲット領域……最大で 6,144 領域 / 1チューブ、
トータルで最大 5 Mbを解析
B i o s y s t e m s ™ A rc t u r u s X T ™ L C M
System によるレーザーマイクロダイゼク
ション
( LCM )
やIon AmpliSeq Designer
● 微量サンプル……必要な DNA 初期量はわずか 10ng / 1チューブ、しかもFFPE 対応
● 多検体処理に対応……バーコードを使って、多検体(最大 384 )処理が可能
● 迅速……サンプルとプライマーセットが揃えば、1 日で結果に到達
で肺が ん、乳が ん、肝 臓が ん、胃が ん、大
腸がん、卵巣がんにフォーカスを当てたパ
ネルをカスタムで作製し、解析に利用して
め、複 数の種 類のが んに罹 患した方がい
います。
「 微 量な D N A からが ん 関 連 遺 伝
ました」
と弘津氏。
「しかもこの 3 遺伝子は、
子を一 度に解 析できて便 利ですね 」と弘
BRCA 遺伝子と同じくDNA 修復に関わる
遺伝子。特にMSH6 は、遺伝性大腸がんの
津氏。現在、ゲノム解析センターの研究専
一種であるリンチ症候群で報告されている
LCM 担当の検査部の雨宮健司氏やバイオ
DNAミスマッチ修復遺伝子の一つでした」
インフォマティクス担当の消化器内科医の
と他のがんとの関わりを指摘します。
望月仁氏と3 人体制で、多くの研究を同時
Ion AmpliSeq DNA パネル ゲノム医療を根付かせ、
新たな医療につなげたい
「BRCA1/2 遺伝子の機能不全変異は、が
また近年、この変異を有する患者に対して、
細胞由来の病原性変異を発見し、学術誌
DNA 修復阻害剤( PARP 阻害剤)の投与が
米国 FDA で認可されました。当院でも、外
部の遺伝子検査機関でBRCA1/2 遺伝子
25 遺伝子に対して610 領域を増幅する
AmpliSeqカスタムパネルを作成
んの患者に対する薬物治療の可能性を広
この研究で、弘津氏が解析に採用したのは、
げようとしています。遺伝性がんのゲノム
Ion AmpliSeq™ テクノロジー。カスタム
で行う場合は、Ion AmpliSeq Designer
発見や効果的な治療法の選択へつなげて
の変異陽性と確定された進行再発卵巣が
医学が発展して根付いていくことで、早期
いければと思っています」
と続けます。
でターゲット領 域を増 幅 、シーケンス後に
がんの体細胞変異研究も同時並行で
変異を同定します。今回、BRCA1/2 パネ
ゲノム解 析センターでは、が んの 体 細 胞
ルに加え、2 5 遺 伝 子 のターゲット領 域 の
変異の研究も進めています。例えば 、ホル
97.6%をカバーする 610 個のプライマー
マリン固定パラフィン包埋( FFPE )切片か
セットをカスタム合 成し、次 世 代シーケン
ら、が ん 組 織と正 常 組 織を区 別してレー
Ion Torrentシーケンサ
幅広い研究領域に向けて、使いやすいパネルを提供しています。
任スタッフは弘津氏一人ですが、組織から
がん研究
遺伝性疾患研究
カタログパネル
コミュニティパネル
● Cancer Hotspot Panel v2( 50がん関連遺伝子のホットスポット)
● Colon & Lung Cancer Panel v2 ● BRCA1 & BRCA2 Panel
● Comprehensive Cancer Panel( 409がん関連遺伝子の網羅解析)
、他
● TP53 Panel ● AML Panel 、他
● Inherited Disease Panel( 328 遺伝子 /700 遺伝性疾患)
、他
● Hearing Loss Research Panel v1(先天性難聴)
● Dementia Research Gene Panel(若年性認知症)
、他 20 種以上
並行でこなし、DNA 抽出から情報解析まで
BRCA 遺伝子以外に新たに 3 種類の生殖
マーセットを設計し、マルチプレックスPCR
ニティパネルから、がん、遺伝性疾患、感染症、個人識別など、多様な研究領域のパネルをご利用いただけます。
的な遺 伝 子 変 異やその H e t e ro g e n e i t y
歴を調べてみると、親族等にも乳がんを始
んの悪 性 化に関わるとの報 告が あります。
ソフトウェア独自のアルゴリズムでプライ
を表示します。当社開発のカタログパネル、解析領域を自由に設定できるカスタムパネル、世界中の研究グループがデザインしたコミュ
ザ ーで 切りだし、が ん 細 胞における特 異
を病原性変異と判断しました。実際に家族
と卵巣がんの患者検体 155 サンプルから、
で報告しました※。
Ion AmpliSeq™ Panel は、多数の遺伝子変異をまとめて解析するためのウルトラマルチプレックス PCR 用プライマーのセットです。
標的領域を多数のプライマーセットで同時に増幅後、Ion Torrent™ 次世代シーケンサで解析し、専用ソフトウェアで分かりやすく結果
感染症研究
の Streamline が出来上がっています。
「大
学や大きな研究機関では他部署との調整
や申請などに時間がかかりますが、ここで
● TB Research Panel
(結核菌、8つの抗菌剤耐性遺伝子)
、他
個人識別・ 法医学研究
● Precision ID Identity / Ancestry Panel(断片化 DNAタイピング / 系統解析)
、他 2 種
薬理ゲノム学 研究
● Pharmacogenomics Panel(薬物代謝・薬物応答関連 40 遺伝子)
※パネル一覧と詳細はこちらから → www.ampliseq.com
は一 体 化した小さな組 織ならではの機 動
力を生かして、スピーディに研究を進めた
い」
と語ります。さらに病院という研究環境
Ion AmpliSeq RNA パネル ターゲット遺伝子の相対発現量を定量します。
について
「基礎研究の分野で学位を取った
ので、常にがん細胞に対する根源的な問い
カタログパネル
は持ち続けていますが、臨床医の先生方の
遺伝子発現解析
コミュニティパネル
カスタムパネル
● RNA Cancer Panel
( Cancer Hotspot Panel v2と相関)
● RNA Custom Panel
● RNA Apoptosis Panel
( 267アポトーシス関連遺伝子)
患 者を救いたいという強い想いを身 近に
融合遺伝子検出
感じることで、両方の重要性とバランスを
( 20,000 遺伝子から選択)
● RNA Fusion Lung Cancer Research Panel
( 70 既知融合遺伝子転写産物)
意識するようになりました」
と続けます。研
感染症研究
究を率いる理事長で東京大学名誉教授の
小俣政男氏の「難治がんに挑む」
との言葉
● RNA Gene Fusion designs
( 1,000 以上のデザインから選択)
● Ebola Research Panel
がん研究用パネル詳細 上記製品の中で、がん研究にお使いいただけるパネルの詳細です。
に励まされつつ、弘津氏はこれからも精力
的にがん研究を進めます。
パネル名
対象
遺伝子例
遺伝子数
アンプリコン数
※ Multigene panel analysis identified germline
Cancer Hotspot Panel v2
2,790 COSMIC Mutations
KRAS, BRAF, EGFR …
50
207
mutations of DNA repair genes in breast and
ovarian cancer
Yo s u k e H i r o t s u e t a l . M o l e c u l a r G e n e t i c s &
Genomic Medicine (2015); 3(5): 459–466
Comprehensive Cancer Panel
4,465 COSMIC Mutations
AR, NFKB2, SOX2 …
409
15,992
RNA Cancer Panel
がん関連発現解析
KRAS, BRAF, EGFR …
50
50
RNA Apoptosis Panel
アポトーシス関連発現解析
c-MYC, TP53, FAS, BAX …
267
267
TP53 Panel
がん抑制遺伝子
TP53
1
24
BRCA1 and BRCA2 Panel
遺伝性乳がん・卵巣がん
BRCA1, BRCA2
2
167
Colon & Lung Cancer Research Panel v2
大腸がん・肺がん
NRAS, PTEN, PIK3CA …
22
92
AML Research Panel
急性骨髄性白血病
DNMT3A, RUNX1 …
19
264
RNA Fusion Lung Cancer Research Panel
肺がん融合遺伝子
ALK, RET, ROS1,NTRK
70
85
Arcturus XT Laser Capture Microdissection System
Arcturus XT LCM Systemは、個々の細胞を捉えるIRレーザーと特定の領域を切り取るUVレーザーを融合した
柔軟性の高いシステムです。顕微鏡下で標的の細胞や領域を正確に回収します。
製品名
サイズ
製品番号
Ion AmpliSeq Cancer Hotspot Panel v2
8 反応
4475346
¥28,000
¥108,000
製品名
サイズ
製品番号
Ion AmpliSeq Comprehensive Cancer Panel
8 反応
4477685
ArcturusXT IR & UV レーザーベーシックシステム( 1 年保証)
1式
ARCTURUSXT-B-S2
¥24,900,000
Ion AmpliSeq Inherited Disease Panel
8 反応
4477686
ArcturusXT IR & UV レーザー蛍光システム( 1 年保証)
1式
ARCTURUSXT-BF-S2
¥28,400,000
Ion AmpliSeq Custom Panel
スモール: 750 反応/ラージ:3,000 反応
お問い合わせ
page 04
価格
page 05
価格
¥82,000
( 1プライマーペアあたり)¥750
Technical Review
User's Voice
Platinum SuperFi DNA Polymerase で
PCRを成功させる 3 つの秘訣
清 水 正 和 氏 、小 久 保 美 紀 氏( 京都大学附属ゲノム医学センター)
難治性疾患やコホート研究における確実なゲノム解析をサポート
解析に欠かせない 2 種類の核酸定量装置
Invitrogen™ Platinum™ SuperFi™ DNA Polymerase
サンプル確認は確実に
アラートで知らせてくれます。おかげで、目
なが はまコホート事 業 では 約 1 万 人 のサ
視よりも客観的に判断することができそう
は、Taq DNA Polymerase の 100 倍を超えるフィデリティー
を有し、市販の DNA polymerase ではトップレベルの High-
F i d e l i t y 酵 素です。さらに高 収 量 、L o n g P C R ( > 2 0 K b ) や
GC-rich( >75% )領域の増幅、PCR 阻害剤耐性など、プラスα
ンプルが 解析され、そのうち 3712 人分の
です。今後 FFPEなど、シーケンスが難しい
また疾患に関わるゲノム解析でも、膨大な
会が増えそうなので、この機能は助かりま
にデザインされています。ここではこの酵素が 最もその性能を
すね」
と清水氏と小久保氏。
「 集まったサン
発揮するためのポイントをご紹介します。
SNP 多型データベースが 公開されました。 サンプルから抽出した DNAを解析する機
数のサンプルを解析しています。委託会社
へシーケンス解析を依頼することもありま
次 世 代シーケンスの 発 展に伴 い 、ヒト全
ゲノムを対象にした疾患等の遺伝的素因
の解明が 進んでいます。京都大学の附属
ゲノム 医 学センターは 、多くの 共 同 研 究
者と共に、難 治 性 疾 患 事 業やながはまコ
ホート事業に取り組んでいます。シーケン
プルをプールして、解析前には濃度を再測
すが 、清 水 氏らも 1ヶ月に数 百サンプルを
定し、ライブラリ調製に入ります。微量なサ
解析しています。サンプルが 多いからこそ
ンプル濃 度 測 定が 必 要となる場 合もあり
精 度 管 理 が 重 要です。
「 共 同 研 究 者には、
ますが 、Qubit システムは高い感度を有す
NanoDrop システムとQubit システムで
るので、検出限界付近の 0.4ng / µL で測
測定したデータとともにサンプルを送って
定しています。その後の実験には特に支障
もらうようにしています」
と清 水 氏は語り
もなく、再現性も良いです。また最近、新し
ます。
PCR サイズに合わせた実験条件の選択
Platinum SuperFi DNA Polymeraseは、PCR 産物のサイズ
が<10Kb のケースと、Long PCR(>10Kb )のケースにそれぞ
れ最適化された PCR 条件が提供されています
(表 1 )。ターゲット
に合せた条件を選択してください。
正確に測定する必要があり、専用の測定試
それぞれのシステムの良さを活かす
薬を使って Qubitシステムで定量しました。
その結果、1 本鎖核酸に紛れて、1 割ほど含
不純物がないことを確 認してきました。し
まれる 2 本 鎖 核 酸を定 量できました」
と清
ることが、信頼性の高い解析につながる」
かし、先日購入した NanoDrop Oneシス
水氏は続けます。今後も難病やがんに関わ
テムには混入物を推定するAcclaroソフト
るゲノム解析を進め、病因究明や新たな医
と語ります。
ウェアが装備されており、不純物の混入を
療を実現するサポートが続きます。
紀氏は、
「 サンプルの状態を正確に把握す
Point 1
い実験プロジェクトで 1 本鎖核酸の濃度を
「これまでは波長スキャンデータを目視して、
ス解析を担当する清水正和氏と小久保美
の性質を有し、多様な実験シーンで最良な結果が得られるよう
表 1 Platinum SuperFi DNA Polymerase のPCR 条件
Point 2
Point 3
Tm 値とアニーリング温度の設定
PCR の成功には、特異的デザインとともに、最適なTm 値換算とア
ニーリング温度の設定も重要なファクターです。特にTm 値は反応
難しい PCR への対応
症状に合わせて、下記対処法をお試しください。
液中の塩濃度や換算方法によって大きく異なってきます。必ず反
応前に弊社ウェブサイトの Tm Calculator( www.thermofisher.
com/tmcalculator )でprimerのTm 値を確認してください(図 1 )。
問題
対処法
増幅しない
• ピペッティングエラーがないか再確認
• 高純度なdNTPを使用する
dUTPやdITPを含むdNTPやprimerを使用しない
• 最適なスタートテンプレート量を検討する
• テンプレートDNAが分解していないかを確認
また純度の高い DNAで再度反応してみる
• エクステンション時間を延長する
• PCRサイクル数を増やす
• アニーリング温度を低くする
• 熱変性の温度と時間を最適化する
• Primerの純度の確認と濃度の検討を行う
• Primerデザインの再確認を行う
• SuperFi GCエンハンサーを添加してみる
GC-rich targets( >65% GC )の場合
非特異的な増幅
高分子に
スメアーな像
•
•
•
•
•
•
•
収量が低い
NanoDrop 超微量分光光度計 & Qubit 3.0 Fluorometer
理想は 2 台。核酸やタンパク質の定量・定性に便利な光度計
POINT
Qubit 3.0 Fluorometer
図 1 Tm Calculator
ベンチトップ 型 の サンプ ル 定 量 装 置として 、U V ベ ースの
Primerセットの配列を入れると、下記の換算法で最適なアニーリング温度が表示されます。
Thermo Scientific™ NanoDrop™ 超微量分光光度
計と蛍光ベースの Invitrogen™ Qubit™ Fluorometer
を提 供しています。N a n o D ro p 超 微 量 分 光 光 度 計は、わ
ずか数 µL の微 量なサンプル中の核 酸やタンパク質を定 量 。
Qubit 3.0 Fluorometer は、測定分子を専用の蛍光試薬
なお、PCR 条件の最適化は、以下を参考に行ってください。
primer 長が>20nt の場合 : primer set の Tm 値が低い方の
primer の Tm 値より3 ℃高い温度で 10 秒間アニーリングします。
● primer 長が<20nt の場合 : primer set の Tm 値が低い方の値
で 10 秒間アニーリングします。
● 2-step protocol で反応を行う場合 : primer の Tm 値は、少な
くとも69 ℃
(>20nt の場合)
または72 ℃
(<20nt の場合)にデザイ
ンする必要があります。なお Tm 値が 72 ℃未満の primer setを用
いる場合も72 ℃でアニーリング /エクステンションを行います。
●
でラベルし、夾雑物中でも微量な目的分子を特異的に定量し
ます。それぞれの特徴を生かして使い分けることで、実験の
正確性と効率化が図れます。
NanoDrop One 超微量分光光度計
非特異的な増幅
低分子に
スメアーな像
•
•
•
•
•
•
エクステンション時間を短くする
PCRサイクル数を減らす
アニーリング温度を上げる、
または2-step protocolを試す
熱変性の温度と時間を最適化する
酵素濃度を減らす
Primer 濃度を減らす
Primerデザインの再確認を行う
アニーリング温度を上げる
酵素濃度を減らす
エクステンション時間を減らす
最適なテンプレート量を検討する
Primer 濃度を減らす
Primerデザインの再確認を行う
製品名
サイズ
製品番号
価格
NanoDrop One 超微量分光光度計
1台
A30221
¥1,750,000
製品名
サイズ
製品番号
NanoDrop One C 超微量分光光度計
1台
A30222
¥2,050,000
Platinum SuperFi DNA Polymerase
100 ユニット
12351-010
Qubit 3.0 Fluorometer
1台
Q33216
¥201,000
Platinum SuperFi Green DNA Polymerase
100 ユニット
12357-010
¥17,000
Qubit 3.0 Quantitation Starter Kit
1 セット
Q33217
¥221,100
Platinum SuperFi PCR Master Mix
100 反応
12358-010
¥43,500
Qubit 3.0 NGS Starter Kit
1 セット
Q33218
¥216,100
Platinum SuperFi Green PCR Master Mix
100 反応
12359-010
¥43,500
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価格
¥17,000
遺伝子解析アプリケーションデザインサービス( ADS )
新しい研究アイデアを実現へ ! 実験系構築サービス
User's Voice
佐 伯 亘 平 氏( 東京大学農学部獣医外科学)
NEW!
POINT
イヌ腫瘍の早期診断にむけた、尿中 BRAF 変異遺伝子の測定法開発
微量な腫瘍細胞もデジタル PCR 技術で高感度に検出
遺伝子解析の実験系を、経験豊富な弊社テクニカルスタッフが構築するサービスです。
所有している弊社遺伝子解析システムに合わせて、実験デザインから、条件検討、アフターケアまで行うベーシックコース、
さらにトレーニングと試薬を含むコンプリートパックを提供します。
ことがあり、わずかにこぼれ落ちた腫瘍細
胞を病 理 的に診 断するには経 験を要しま
● 専門スタッフによる実験コンサルティング
● 条件検討済みのプロトコールを提供
● お客様 の保有するシステム やニーズに沿った実験系を構築
● 研究室でのトレーニングを含むコースもあります。
※
す(図 1 )。一方、腫瘍細胞だけに含まれる
遺伝子変異を検出しようとしても、シーケ
※対象となるシステムは、各パッケージの対象モデルをご確認ください。
ンシング法では感度的に厳しく、感度が高
めの制限酵素断片長多型( RFLP )法では
品 質 管 理 が 必 要なステップ が 多く、再 現
サービスの流れ
性に不 安を感じていました。そこでリアル
打ち合わせ後、ベーシックコースでは実験デザインを行い、弊社ラボで実際にコントロール実験で、系を確認します。
コンプリートパックには、さらに現場でのトレーニングや試薬代も含みます。
打ち合わせ
ベーシックパック
コンプリートパック
イヌの尿路移行上皮がんや前立腺がんで
タイム PCR 法とデジタル PCR 法を試して
は、約 7-9 割の割 合で BRAF 遺 伝 子の変
みることにしました」
と佐 伯 氏は振り返り
異が 検 出されます。特に尿 路 移 行 上 皮が
ます。
「コントロールサンプルで、この 2 つ
んは、ヒトとは異なり、進 行した状 態で発
の検 出 法を比 較した結 果 、デジタル PCR
見されることが多く、適切な治療を行って
も生存期間は 1 年程度。転移リスクがある
生検を避け、イヌにも負担なく早期診断で
実験デザイン
プライマー選択から最適な試薬の
トレーニング
組み合わせ、解析方法までデザインいたします。
お客様の研究室へ訪問させていただき
トレーニングを実施いたします。
作成したプロトコルを元に、解析までの
より実践的なトレーニングに参加いただけます。
実験・報告
結果報告書および日本語プロトコルを提供いたします。
タッフがご要望内容を確認
し、実 験デ ザインの 概 要を
提案いたします。
農 学 部 獣 医 外 科 学の佐 伯 亘 平 氏は、イヌ
の尿にわずかにこぼれ落ちた腫瘍細胞中
の特異的な遺伝子変異を高感度で検出す
るアッセイ系を開発し、早期診断に役立て
弊社ラボにおいて条件検討実験を行い、
経 験 豊 富 な テクニカル ス
きる方 法 が 求 められています。東 京 大 学
試薬
アフターケア
最適化した試薬とデザイン・合成済みの
サービス終了後、テクニカルスタッフが
プライマーを提供いたします。
全面的にバックアップいたします。
トレーニング後、すぐに実験を開始できます。
時間とコストをセーブしたい
時間とコストをカット
最初はリアルタイム PCR 法による検出法
QuantStudio 3DデジタルPCRシステムで
尿中のBRAF 遺伝子変異を高感度に検出
ルサポートに問い 合わせたところ、アプリ
「検査試料の尿には、膀胱炎の時と同じく
ンプルの状況や従来法の問題点を説明す
ると、
リアルタイム PCR 法とデジタル PCR
炎 症を伴うイヌ腫 瘍 の 尿
このサービスを知ったきっかけを話します。
型 的 な 腫 瘍 細 胞を指して
受託解析費用を抑えたい
した。サービスの 担 当 者に実 験 目 的やサ
法による比較検討を提案されたんです」
と
は、多くの炎症細胞中の典
測定サンプル数が多く
ケーションデザインサービスを勧められま
図1
検体の HE 染色画像。矢印
具体的な実験系がわからない
アプリケーションデザインサービスで
法を使うのは初めてだったので、テクニカ
炎症を伴う腫瘍サンプル
遺伝子解析の経験が浅い
見事に検出できました
(図 2 )」。
ようとしています。
こんな方にお勧めです !
研究構想はあっても
BRAF 遺伝子の変異を100% の正確性で
だけを想 定してい た 佐 伯 氏 。
「 Ta q M a n
らいに非 常に多くの炎 症 細 胞が 含まれる
実験系構築を行う
法の感 度が 50 倍ほど高く、しかも尿 中の
います。この検体のデジタ
ル PCR 法での検出結果は、
変異遺伝子 0.17%でした。
図 2 遺伝子変異検出法の感度比較
イヌの症例から検出した BRAF 変異遺伝子と正常遺伝子を
段階希釈し、4 種類の方法で遺伝子の変異検出率を比較しま
した。PCR ダイレクトシーケンス法では 13,2% 、RFLP 法で
は0.52% 、
リアルタイムPCR 法では6.8% 、デジタル PCR 法
では0.14%までの変異を検出できました。
正確な診断法の開発へ向けて
2016 年春、佐伯氏は日本獣医内科学アカ
デミー( J C V I M )学 会において「 犬 尿 路 移
行上皮癌と前立腺癌におけるdigital PCR
による BRAF 遺 伝 子 変 異 検 出 法の確 立と
Liquid biopsy の有用性評価」というタイ
トルで 発 表し、研 究アワード受 賞しました。
「この 方 法と従 来 の 細 胞 診 断を併 用 すれ
ば 、イヌの膀胱移行上皮がんの 9 割を診断
可 能になります。今 後は、研 究 室の学 生や
テクニシャンだけでなく、他の施設にもこの
検出法を広げたいですね。デザインサービ
スで、きめ細やかなプロトコールが 提 供さ
れているので、誰でも再現性の高いデータ
が 得られると安心しています」。さらに異な
「 TanqMan プローブとプライマー構築に
るがんの診断法開発や血中 DNA による遺
試行錯誤する時間やコストを考えると、今
伝子変異の検出など、新たなアッセイ系の
回はこのサービスで実 験が 効 率 化できま
した」
と佐伯氏は語ります。
開発も進めていきたいと語る佐伯氏。ペッ
トの QOL 向上を目指した研究が続きます。
■▶ ベーシックパッケージ
製品名
製品番号
価格
ADS,TaqMan Gex
A29494
¥300,000
対象モデル
StepOne, StepOnePlus, 7000, 7300,7500,
ADS,Custom TaqMan GEx
A29496
¥380,000
7500Fast, 7900HT, ViiA7,
ADS,Multiplex 2Dye TaqMan Gex
A29498
¥380,000
QuantStudio 3 / 5 / 6 / 7 / 12K システム
ADS Sequencing
A29504
¥350,000
3130 / 3130xl, 3500 / 3500xL,3730 / 3730xl システム
■▶ コンプリートパッケージ
製品名
製品番号
価格
ADS,TaqMan GEx with Training
A29495
¥420,000
StepOne, StepOnePlus, 7000, 7300,7500,
ADS,Custom TaqMan GEx with Training
A29497
¥500,000
7500Fast, 7900HT, ViiA7,
QuantStudio 3 / 5 / 6 / 7 / 12K システム
ADS,Multiplex 2Dye TaqMan GEx with Training
A29499
¥500,000
ADS,Multiplex 3Dye TaqMan GEx with Training
A29501
¥1,800,000
AADS,Multiplex 4Dye TaqMan GEx with Training
A29503
¥1,800,000
ADS Sequencing with Training
A29505
¥470,000
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対象モデル
3130 / 3130xl, 3500 / 3500xL,3730 / 3730xl システム
QuantStudio 3D デジタル PCR システム
デジタル PCR でレアな遺伝子変異にアプローチ
コンパクトサイズで使いやすいデジタルPCRシステムです。20,000 個の微細なウェルを持つチップで、
微量な遺伝子を正確に定量。ヒトがん研究で汎用される遺伝子変異検出アッセイも続々ラインアップ中!
製品名
サイズ
製品番号
QuantStudio 3D デジタル PCR システム ProFlex PCR システム付き
1式
QS3D-PF( 2 年保証)
Custom TaqMan SNP Genotyping Assays for Rare Mutation Analysis
12 反応
4383547
¥ 11,500
450 反応
4332077
¥ 65,900
page 09
価格
¥ 6,400,000
川 真 田 伸 氏 、山 本 貴 子 氏 ( 公益財団法人・先端医療振興財団・細胞療法研究開発センター)
細胞製剤の展開にむけて、グローバルな「細胞の規格化」を進める
Essential 8 培地とTaqMan hPSC ScoreCard Panelで高品質な細胞を担保
再生医療への期待と共に、着々と細胞製剤の開発が進んでいます。
その一方で「細胞製剤の浸透には、研究だけでなく
グローバルな展開を想定したビジネスとしての戦略も必要」と語るのは、
細胞療法研究開発センターの川真田伸センター長。
膨大なデータと製造工程を管理する
容認できる変化や品質のばらつきを考慮した
「細胞の規格化」で
規 格 値( Design Space:DS )
を設 定します。
細胞製剤の開発を進める
細胞製剤の品質を担保しながら、低コストで製造するため、
これによりPAT のデータを元に、常に QbD や
DS が 更新可能となるので、最新の科学の進
自動化や評価システムを開発しています。
同センターでは、医師や企業からの細胞製剤
歩に適応しながら、安全かつ現実的な価格で
の治験薬製造受託や前臨床試験の委託業務
の細胞製造が可能になる」
と続けます。
の 他 、細 胞 治 療に関する幅 広い 共 同 研 究を
展開しています。理化学研究所の高橋政代プ
増殖性の高い培養や
ロジェクトリーダーが手がける、iPS 細胞由来
客観的な細胞評価で
の網 膜 色 素 上 皮の造 腫 瘍 性 試 験を実 施した
細胞リモートセンシングへの道を切り拓く
実績もあります。今後細胞製剤を一般化して
いくためには、
「 グローバルな細胞の規格化」
現 在 、同センターでは、センサー類を装 着し
が必要だと話す川真田氏。人手を借りない自
た E S 細 胞 や i P S 細 胞といった 多 能 性 幹 細
動 培 養システムの導 入を目指しています。し
胞 の 自 動 化 培 養 システ ム の 開 発 を 目 指し
かし、川 真 田 氏 が 想 定するのは 手 動 の 操 作
て います 。そ の た め に 、高 精 細 で 高 感 度 に
を自動化する産業用ロボットのような開発で
撮 影 できる C M O S センサーを用 いて細 胞
はありません 。
「これまで 細 胞 製 剤 の 品 質 の
の 形 状を解 析 するほ か 、高 速 液 体 クロマト
TaqMan hPSC Scorecard Panel の測定を行うQuantStudio 12K Flex リアルタイムPCRシステムの横で話す山本氏。
担保は、最終製品の検査 Quality by Testing
グラフ質 量 分 析 計( L C / M S )で 細 胞 の 培 地
( QbT )でしたが 、細胞のロスやコストが 膨ら
からメタボロームや 代 謝 系 の 解 析 などを行
することで、未分化能を維持しつつ増殖性の
遺伝子を一度に解析できる TaqMan hPSC
むのがネックでした。今後必要になってくるの
い 、PAT デ ータの 収 集を始めています。この
高い培 養が 可 能 」
と、細 胞 培 養を担 当する山
は製造工程を規格化して管理する、つまり製
工程において、Gibco™ Essential 8™ 培
本貴子氏は話します。
「増殖性が 高い培養が
「汎
S c o re C a rd P a n e l を活 用しています。
用 的なリアルタイム P C R システムで 使える
造 工 程を design することで品 質を担 保する
地や A p p l i e d B i o s y s t e m s ™ Ta q M a n ™
できれば 、ビトロネクチンをスポット状にコー
アッセイ系であり、しかも時 間 経 過や条 件 変
Quality by Design( QbD )の導入です。こ
トしてシングルセル培 養が 行え、細 胞が 増え
化による細 胞 への 影 響を客 観 的にスコアリ
てもコロニー 同 士 の 融 合を防 げ 、均 一 な 細
ング できるため 、品 質 管 理 には 欠 か せませ
胞を維 持できます」
と川 真 田 氏と山 本 氏 。各
ん」
と話します。
QbD 導入には、製造工程を自動化していくた
hPSC ScoreCard Panel は規格化に欠か
せない製品だといいます。
「 Essential 8 培
地は多 能 性 幹 細 胞の培 養に必 要な 8 つの成
分 のみで 構 成されており、B S A など 異 種 動
めの 品 質に関 係する膨 大なパラメーターの
物 由 来の成 分を含まないので、ロット間のば
撮 影し、PAT の一 項目にする計 画もあります。
めるには、グローバルで戦える自動化システ
取得( Process Analytical Testing:PAT )
らつきも少なく規 格 化に非 常に有 用です。さ
この成 果は昨 年 、学 術 誌 PlosOne で報 告し
ムとPAT の活用が 鍵」
と川真田氏。目線の先
が不可欠、と語る川真田氏。
「 各プロセスで得
らに 細 胞 外 基 質 には N 末 欠 失ヒト組 み 替え
ました 。さらに 多 能 性 幹 細 胞 の 品 質 評 価 に
には、誰もが 再生医療サービスを受けられる
られる PAT データを活用して、QbD をはじめ、
ビトロネクチン( G i b c o ™ V T N - N )を使 用
は、未 分 化 性 や 三 胚 葉 のマーカーとなる 9 3
未来があります。
れにより細 胞を破 壊することなく、一 定の品
質を維持しつつ安定生産が 可能になります」。
スポットの細胞の形状を CMOS センサーで
「 高 品 質 かつ 低 価 格で 細 胞 製 剤 の 開 発を進
Essential 8 Flex 培地
TaqMan hPSC Scorecard Panel
週末の培地交換が不要! iPS/ES 培養専用培地
ヒトES/iPS 細胞の多能性&分化度をスコアリング
POINT
POINT
Gibco™ Essential 8™ Flex 培地は、質の高い iPS/ES 細胞の専用培地です。
Applied Biosystems™ TaqMan™ hPSC Scorecard™ Panelは、ヒトES/iPS 細胞の多能性や三胚葉分化に関わる93 遺伝子
熱感受性の成分を安定化させることで、週末の培地交換が不要になりました。
の発現解析を一度に調べ、その性質を客観的に評価します。Applied Biosystems の各種リアルタイム PCRシステムでお使いいただ
けます。この製品は、ハーバード大学の Alex Meissner 博士が、2011 年にCell 誌に発表した論文を基に共同開発しました。
●
培養に最小限必要な 8 成分のみで構成
●
ロット間変動リスクを低減
●
・ 安定性に影響を与えるBSAを除去(不含)・ 成分が明らかなケミカルデファインド組成
●
ゼノフリー、フィーダーフリー培養に最適
●
製品名
サイズ
製品番号
Essential 8 Flex Medium
500 mL
A2858501
Vitronectin Truncated Recombinant Human( VTN-N )
1 mL
A14700
page 10
一回の実験で、細胞を特徴づける93 遺伝子の発現を解析
・ 9 種類の多能性遺伝子、74 種類の各胚葉遺伝子、10 種類のハウスキープイング遺伝子を含む。
価格
¥31,000
¥6,000
専用のソフトウェアを使って参照配列と比較し、その結果をスコアリング
製品名
サイズ
製品番号
価格
TaqMan hPSC Scorecard Kit, Fast 96-well plate ×2
1 キット
A15871
¥96,000
TaqMan hPSC Scorecard Panel, Fast 96-well ×2
1 パネル
A15876
¥70,500
page 11
トレーニング付き実験スターターパック
新しく実験系を立ち上げる方にお勧め !
User's Voice
山 本 卓 氏( 広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻分子遺伝学研究室・教授)、佐 久 間 哲 史 氏( 同・特任講師)
NE W !
POINT
さらに進化し、汎用化するCRISPR-Cas9システムへ
RNP 導入に Lipofectamine CRISPRMAXを活用
ゲノム編集や iPS 細胞実験などのために、アプリケーションの流れに沿って、最適な試
薬製品一式と実験トレーニングをセットにしました。個々の製品の使い方だけでなく、
一連の実験操作をシームレスに行うための日本語の操作手順マニュアルも付属します。
またトレーニングでは、基本原理の説明やコツもご紹介します。
● 実験系の立ち上げにかかる時間や工数を削減
● 基本原理やコツまで学べるトレーニングをセット
試薬
詳細な日本語マニュアル
トレーニング ※
ゲノム編集の黎明期から技術開発を牽引
実験全体の分かりやすいマニュアル
経験豊富なテクニカルサポートスタッフ
し、学 会を立ち上 げ 、国 内 へ の 浸 透 に 貢
から、直接、実験操作を学べます。
献する広島大学の山本卓氏と佐久間哲史
氏。使いやすく、さらに応用範囲を広げる
CRISPR-Cas9システムの技術開発や今
後の発展について伺いました。
※トレーニングは、弊社本社で実施します。必要な試薬
は別途弊社で準備します。
細胞導入法で編集効率を上げる
「 Z F N 、T A L E N に 続 い て 開 発 さ れ た
C R I S P R - C a s 9 技 術により、ゲノム編 集
はより身 近になりました。特に C a s 9 ヌク
製品ラインアップ 各アプリケーションについて、それぞれ 2 種類のワークフローに合わせたパックがあります。
レアーゼタン パク質を利 用 することでこ
のシステムの応 用 性はさらに広がりそう」
と山 本 氏 。g R N A( ガイド R N A )や C a s 9
ゲノム編集
T7 Stringsスターターパック
配 列をプラスミドや m R N A で共 導 入する
(変異確認)
mRNA 調製 ▶ トランスフェクション ▶ 変異率確認 ▶ クローニング ▶ シーケンス
ORF vectorスターターパック
む向きが制御できません。そこで開発した
抑えられます。また他の導入法では効率が
のが「 PITCh( Precise Integration into
低い HCT116 株や HepG2 株での効率も
「 Cas9
Target Chromosome )法」です。
上がりました」
と佐久間氏もコメントします。
で、ゲノム DNAとドナーベクターの挿入遺
「しかもCas9タンパク質を使う系では、事
● 一連のワークフローに沿った日本語マニュアル
必要な試薬のセット
に専用機器も必要なくランニングコストが
従来法に比べ、Cas9 タンパク質とgRNA
をRNP( Ribonucleo-protein )
として導
(変異確認)
Vector 構築 ▶ トランスフェクション ▶ 変異率確認 ▶ クローニング ▶ シーケンス
入すると、DNA 切断までの時間が 短く、過
剰 発 現 によるオフターゲット切 断 の 危 険
iPS
リプログラミングスターターパック
繊維芽細胞培養
iPS 培養スターターパック
iPS 継代培養 ▶ 凍結保存
▶ リプログラミング ▶
マーカー染色
▶ コロニーピッキング ▶
性が 低い 上 、多くの細 胞で編 集 効 率が 向
iPS 継代培養 ▶ 凍結保存
上します。
「 培 養 細 胞 へ の R N P 導 入には
『 Lipofectamine CRISPRMAX 』を使っ
ています。エレクトロポレーション法のよう
伝子の前後の 3カ所を切断し、20 塩基対ほ
前の gRNA の評価も簡単です。in vitro で、
どの短い相同配列を手がかりに、マイクロ
標的配列を含むDNA 断片にgRNAとCas9
ホモロジー媒介末端結合という修復機構
タンパク質を反 応させて、切 断 活 性 の 高
で外来遺伝子をノックインします。相同組
い gRNAを選別できるので」
と山本氏。
「さ
換えより正確性はいくらか落ちますが 、手
らに編集後の評価には、プラスミドの場合
軽で効率が向上します。これまで効率が低
は Invitrogen™ GeneArt™ Genomic
かったカエルやゼブラフィッシュでもノック
と、佐久間氏は新し
Cleavage Detection Kitを使いますが 、 イン個体がとれますよ」
い技術開発のメリットを話します。
Cas9 タンパク質を使う系では、編集後の
細胞集団からゲノム DNAを抽出し、同じく
ゲノム編集研究のこれから
標的部位を含む領域をPCR 増幅させてin
vitro で切断反応を行います。配列が変化し
山 本 氏と佐 久 間 氏 が 、今 後 注 目するのは
ていれば切断されず、編集が起きた細胞の
割 合が 分かります。実 際の効 率は、ゲノム
の状態や遺伝子座によって異なるので有用
です。これからはCas9タンパク質を制限酵
素のように使えそう」
と続けます。
効率よいノックイン法の普及を目指して
医療分野。
「 疾 患は限 定されますが 、疾 患
部位の細胞を体外でゲノム編集し、細胞を
戻す治療法など期待できそうです」
と語り
ます。また切 断 活 性を喪 失させたデッド型
Cas9を、転写因子や蛍光タンパク質など
好みのタンパク質に融合させることで、ゲ
ノム上の狙った位置に活性分子やモニター
「ゲノム編集を利用したノックアウト技術は、
分子を運ぶ「船頭」の役割にも期待してい
すでに汎 用 的な手 法として広 がっていま
ます。
「クロマチンリモデリング因子を融合
す。次はノックイン効率を上げて誰もが 使
させ、DNAを傷つけずにエピゲノム環境だ
える技術にしたいですね」
と山本氏。従来
けを変え、遺伝子座特異的に転写を制御す
法では 500~1000 塩基対という長い相同
る『エピゲノム編集 』が進んでいます。がん
領域を持つドナーベクターを作製して相同
の専門家と協力し、エピゲノムの異常が原
組換えを起こす方法と、ゲノム編集の切断
因で起こるが んの治 療 法 開 発にも貢 献し
箇所にすっぽりとDNA 配列を組み込む方
たい」
と語ります。様々な分野の専門家との
法が ありました。しかし、前 者は修 復 活 性
ネットワークを介して、ゲノム編集技術は多
の弱い細胞では効率が低く、後者は組み込
様化しつつ浸透していくようです。
ウェスタンブロッティング
化学発光検出スターターパック
ライセート調製
▶
タンパク質定量
▶
電気泳動
▶
転写
▶
抗体反応
▶
化学発光検出
発色検出スターターパック
ライセート調製
▶
タンパク質定量
▶
電気泳動
▶
転写
▶
抗体反応
▶
発色検出
Lipofectamine CRISPRMAX Cas9 Transfection Reagent
ゲノム編集効率を最大化 ! タンパク質フォーマットでの導入に最適
製品名
サイズ
製品番号
ゲノム編集 T7 Stringsスターターパック
1式
A31794JP
¥462,000
ゲノム編集 ORF vectorスターターパック
1式
A31793JP
¥383,000
製品名
サイズ
製品番号
iPSリプログラミングスターターパック
1式
A31795JP
¥511,000
Lipofectamine CRISPRMAX Cas9 Transfection Reagent
0.1mL
CMAX00001
¥10,800
iPS 培養スターターパック
1式
A31796JP
¥321,000
GeneArt Platinum Cas9 nuclease( 核移行シグナル付 Cas9プロテイン)
ウェスタンブロッティング化学発光検出スターターパック
1式
A31791JP
¥235,000
ウェスタンブロッティング発色検出スターターパック
1式
A31792JP
¥197,000
page 12
価格
Invitrogen™ Lipofectamine™ CRISPRMAX™ Cas9 Transfection Reagentは、Cas9 Nucleaseタンパク質とRNAの複合体を高い効
率で細胞に導入する試薬です。脂質ベースのトランスフェクション試薬として定評あるLipofectamineシリーズとして開発されました。
GeneArt Genomic Cleavage Detection Kit
価格
10 µg( 1µg/µL )
B25642
¥43,000
25 µg( 1µg/µL )
B25640
¥85,000
20 反応
A24372
¥48,100
page 13
Click-iT Colorimetric IHC Detection Kit
Technical Review
細胞増殖、アポトーシスを発色法で簡単観察
CellInsight CX7 HCS プラットフォームで、細胞イメージを定量化
ゲノム編集で作成したATGノックアウト細胞で
オートファジーを解析
POINT
CellInsjght CX7 HCSプラットフォーム
(製品番号:CX7A1110 )
HAP-1 細胞において、CRISPR によるゲノム編集でオートファジー関連分子 ATG5をノックアウトし、その影響を解析しました。具
体的には、ATG5ノックアウト
( KO )細胞と野生型( WT )細胞をそれぞれマルチウェルプレートに撒き、オートファゴゾームや複数の
細胞機能を細胞イメージングから定量しました。解析は、Thermo Scientific™ CellInsight™ CX7 HCSプラットフォームを使
用し、各実験で 24,000 細胞のデータを約 20 分で計測、解析しました。その結果、KO 細胞では、オートファゴゾーム形成能が顕著に
減少していましたが、リソソームにおけるタンパク質分解を始め、細胞増殖・酸化ストレス・タンパク質合成・アポトーシスは変化しな
クリック反応を利用し細胞増殖やアポトーシスを簡単に検出するキットです。従来法と異なり、おだやかな条件で、しかも短時間で検出で
きます。新しく発色法のキットとして、細胞増殖検出用の Invitrogen™ Click-iT™ EdU Colorimetric IHC Detection Kit と、ア
ポトーシス検出用の Invitrogen™ Click-iT™ TUNEL Colorimetric IHC Detection Kit を提供します。
● 細胞や組織における細胞増殖やアポトーシスを発色法で検出します。
● 細胞の内部に浸透しやすい低分子を利用する反応なので、感度よく鮮明な画像が得られます。
● 抗体反応が必要なく、短時間で検出できます。
● 細胞増殖では、塩酸変性操作の必要がなく簡便です。
NEW !
いことを確認しました。
Click-iT EdU Colorimetric IHC Detection Kit
実 験 HAP-1 細胞の ATG5 遺伝子ノックアウトは、
Invitrogen™
結 図
果
1は、核とオートファゴゾームタンパク質 LC-3 の染色
GeneArt™ CRISPRシステムを使用。オートファゴゾームは
LC-3タンパク質で、核はInvitrogen™ NuclearMask Blue
で染色し、検出しました。また細胞増殖はInvitrogen™ ClickiT™ EdU キット、酸化ストレスは Invitrogen™ CellROX
Green 、タンパク質合成はInvitrogen™ Click-iT™ OPP 、リ
ソソームでのタンパク質分解は Invitrogen™ LysoTracker
Red 、アポトーシスはInvitrogen™ CellEvent Greenで当該
後の細胞イメージングです。CellInsight CX7 の解析用に、核
とで(右)、1 細胞中のオートファゴゾームの面積、蛍光強度、数
分子の蛍光をイメージング後、定量しました。
えます。
を中心に一つひとつの細胞を囲み(左)、LC-3を指標にオート
アルキン分子を含むチミジン核酸誘導体の5-ethynyl-2'-deoxyuridine
( EdU )
を、新しく合成されるDNA 鎖に取り込ませます。その後、アジド基を含
むビオチンを加えてクリック反応を行い、ストレプトアビジンを結合したペルオキシダーゼとその基質を加えて発色させ、明視野顕微鏡で観察します。
ファゴゾームを識別しました
(中)。この画像を重ね合わせるこ
を計測しました。図 2 は、KO 細胞とWT 細胞でクロロキニン濃
度依存的に計測、定量したグラフです。クロロキニンは、後期
オートファジー阻害剤であり、オートファゴゾームの分解を抑
図 1 細胞イメージ
図 2 オートファゴゾームの定量
左は核、真ん中は LC-3 でオートファゴゾームを染め、右の列はその重ね合わせ画像です。
クロロキニンの濃度依存的に、オートファゴゾームの面積(左)、LC-3 の強度(中)、オート
解析のために、核を中心に細胞の形を囲み
(左)
、オートファゴゾームをマーク
(中)
し、1 細胞
ファゴゾームの数(右)
を定量しました。青線は WT 、赤線は KO 細胞です。1ウェルあたり
中のオートファゴゾームを定量しました
(右)
。
1200 細胞を、各グラフ24000 細胞の定量結果を示します。画像修得から定量まで20 分で
図 1 従来の蛍光検出法と同じく細胞増殖を特異的に検出
図 2 EdUとBrdUを用いたラット組織細胞の二重染色
Detection Kit を使った発色法(右)で比較し、非常によく相関することを確認しました。
を用いてラット膣上皮中の増殖細胞を二重標識しました。最初
マウス小腸の増殖中の細胞を、Click-iT EdU Alexa Fluor 488 kit を使った蛍光法(左)
と、Click-iT EdU Colorimetric IHC
とBrdU Staining kit
(青)
Click-iT EdU Colorimetric kit(茶)
にEdUを短時間取り込ませ、その 3 日後にBrdUを取り込ませま
した。異なる領域の核が染色されています。
終了しました。
次にこの 2 つの細胞におけるオートファジー以外の生理機能について調べました。図 3 は、
リソソームを介するタンパク質分解をLysoTracker Red で染色後、CellInsjghtCX7 で
定量したグラフです。KO 細胞とWT 細胞に差は見られませんでした。同様に、細胞増殖、ア
ポトーシス、酸化ストレスやタンパク質合成でも、KO 細胞とWT 細胞に差は見られませんで
した
(データ省略)。
Click-iT TUNEL Colorimetric IHC Detection Kit
TUNELアッセイは、アポトーシスの後期にフラ
グメント化した DNA 末端に核酸誘導体を取り
込ませ、検出する方法です。このキットでは、ア
ルキン分子を含む dUTPを酵素で取り込ませ、
図 3 タンパク質分解への影響
KO 細胞とWT 細胞をLysoTracker Redで染色し、クロロキニンの濃度依存的に、CellInsjght CX7で細胞をイメージング後、
定量しました。
上記キットと同じ反応フローで発色させます。
図 3 従来の蛍光検出法と同じく特異的な検出
マウスパイエル板のアポトーシス細胞を、Invitrogen™ Click-
結 論 ゲノム編集で ATG 遺伝子をノックアウトした細胞では、オートファジー機能が大きく減少しました。しかし、タンパク質分解でもリ
ソソームを介する場合はほとんど変化が見られませんでした。さらに細胞増殖を始め、酸化ストレス・タンパク質合成・アポトーシスな
ど、他の生理機能もほとんど変化しないことを定量的に確認しました。多くの実験は、1ウェル中の 1,200 細胞を20 ポイント、24,000
細胞で定量しており、CellInsjght CX7を使うことで 20 分間という短時間で定量可能でした。また、このシステムは計測中もリアル
タイムに解析してデータを表示するので、途中で実験の成否を判断するなど、柔軟な対応もできます。
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iT™ Plus TUNEL Assay for In Situ Apoptosis Detection,
Alexa Fluor 647 と DAPIを使った蛍光法(左)と、Click-iT
TUNEL Colorimetric IHC Detection Kit を使った発色法(右)
で比較し、非常によく相関することを確認しました。
製品名
サイズ
製品番号
Click-iT EdU Colorimetric IHC Detection Kit
50 スライド
C10644
¥87,800
Click-iT TUNEL Colorimetric IHC Detection Kit
( 50 反応分)
1 キット
C10625
¥97,000
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価格
EVOS FL Auto 2 Imaging System
Technical Review
毎日の顕微鏡作業をより気軽に、より鮮やかに
最新フローサイトメーターで正確な細胞数カウントを
Attune NxT Flow Cytometer による高速細胞カウント
NE W !
POINT
生細胞イメージング、画像タイリング、Z- スタック撮影を始め、細
胞イメージングの手順を簡略化できます。新しい Invitrogen™
Invitrogen™ Attune™ NxT Flow Cytometer は、低流量 (10–20 µL/min) から高流量( 100–1,000 µL/min )まで、幅広いサン
EVOS™ FL Auto 2 Imaging System は、従来機器より、さ
プル流量に対応するフローサイトメーターです。独自のアコースティック技術で、レーザー照射前に、超音波( 2MHz 以上)で流路内に細
らに使いやすく進化しました。機器セッティングにかける時間と手
胞を一列に整列させることで、正確な細胞数計測と高流量を実現します。ここではリンパ球解析、サンプル流量を変えても再現性の高い
間を軽減し、データ分析をより重点的に行えます。
細胞数測定ができること、また非常に低濃度なサンプルでも迅速に細菌を計測できる例をご紹介します。
新機能
リンパ球サブポピュレーションの計測
● 高画質化……光路設計を改良し、カメラ選択機能を追加
● スループットおよびデータ品質の向上……スキャン速度とオートフォーカス機能を強化
ヒトリンパ球表現型マーカー CD3 、CD4 、CD8 、CD19 、CD45 、CD56 に対する6 色の抗体パネルを使って、
リンパ球のサブポピュレー
● カメラ選択機能……デュアルカラーおよびモノクロの両モードに対応
ションを区 別し、各々の細 胞 数を測 定しました( 図 1 )。同 定したリンパ 球は、ヘルパー T 細 胞 、細 胞 傷 害 性 T 細 胞 、B 細 胞 、NK 細 胞です。
● 優れた操作性……電動 XYスキャニングステージを完全自動化し、洗練されたオートフォーカスを実現
Attune NxT システムは、全血測定においても洗浄する必要がなく、細胞ロスを防ぎます。また4 色レーザーにより、多重染色もオーバー
ラップなく検出でき、異なる流量でも正確な測定結果を提供しました
(図 2 )。
● 複数画像を同時取得…… 4 つの蛍光チャンネルと透過光を装備
● 細胞形態測定……オプションで Thermo Scientific™ Micro Studio™
Image Analysis Software アプリケーションを利用可能
● 専用の培養インキュベーター……オプションの Invitrogen™ EVOS™ Onstage Incubator( 右図)
と
接続すれば、生細胞イメージングの環境条件を高精度に制御できます
蛍光観察も、明視野観察も、鮮やかな画像を提供
図 1 リンパ球サブポピュレーションの解析
100 µL の健常人全血をCD 表面マーカーに対する蛍光抗体で標識し、2 mL の High-Yield
Lyse Fixative-Free Lysing Solution ( 製品番号 HYL250)で溶血しました。(A) 側方散乱
とCD45で密度プロットし、
リンパ球を計測(赤線内、CD45+ )。(B) ゲーティングしたリンパ
球を、側方散乱とCD3で密度プロットし、CD3+をT 細胞、CD3−をB 細胞及び NK 細胞混合
物として計測。
( C )CD3+ でゲーティングした細胞をCD4とCD8 で密度プロットし、CD4+
をヘルパーT 細胞( CD4+, CD3+, CD45+ )、CD8+を細胞傷害性 T 細胞( CD8+, CD3+,
として計測。(D) CD3−でゲーティングした細胞をCD56とCD19で密度プロットし、
CD45+ )
CD56+NK 細胞とCD19+B 細胞として計測しました。表は、細胞のゲーティングと測定濃度
を示します
(細胞数 /µL )
。使用した抗体は最後の表に記載しました。
図2
異なる流量における測定細
胞数の比較
図 1と同じ実験を異なる流量で実
施し、4 種類の細胞数を計測。どの
流量でも、結果はほぼ同じでした。
都市下水中の細菌数の計測
図 1 細胞の蛍光観察
40x 対物レンズを使用して取得したウシ肺動脈内皮( BPAE )細胞画像。
青:核
( DAPIで染色)
赤:アクチン
( Invitrogen™ Texas Red™-X Phalloidinで染色)
緑:チュブリン
( anti–ß-tubulin モノクローナル抗体とBODIPY FL goat anti–mouse IgGで染色)
製品名
EVOS FL Auto 2 一式(例)
図 2 明視野における増殖細胞の観察 を検出。
40x 油浸レンズでマウス腸縦断切片中の増殖細胞(茶色)
増殖細胞は、Invitrogen™ Click-iT™ EdU Colorimetric IHC Detection Kitで染色。
( p15 参
仕様
細胞膜透過性の緑色蛍光色素 SYTO 9と細胞膜不透過性赤色蛍光色素 propidium iodide (PI) (LIVE/DEAD BacLight Bacterial
Viability Kitの個別色素、製品番号 L7012)を1:1で混合し、サンプルと15 分間、遮光下でインキュベーションしました。流速 1mL/minで
前方散乱光を用いて測定。488 nm ブルーレーザーで蛍光を励起し、SYTO 9は530/30 nm 発光フィルターのBL1で、PIは695/40
と赤い PI 染色細菌
(死細胞)
は、SYTO 9 蛍光とPI 蛍光のダブルパラ
nm 発光フィルターのBL3で検出。緑のSYTO 9 染色細菌(生細胞)
メーターのドットプロットで測定。灰色のドットは、デブリスを表します。表に示すように、生きた細菌の濃度は約 1 細胞 /µL 、死んだ細菌
の濃度は約 3 細胞 /µLでした。
参考価格
対物レンズ:4×Ph, 10×Fl, 20×Fl, 40×Fl メカニカルXY ステージ:電動 ライトキューブ:GFP, RFP, DAPI
カメラ:カラー & モノクロ 切り替え可能
サイズ
製品番号
EVOS Onstage Incubator
1式
AMC1000
INFO
図 3 都市下水中の細菌数の計測
照)
製品名
M ORE
下水サンプルを、生細胞と死細胞を染め分ける Invitrogen™ LIVE/DEAD™ BacLight™
Bacterial Viability Kitでラベルしました。従来のフローサイトメーターでは、低濃度サンプルの測
定に長時間を要しますが、Attune NxT システムは高流量で流せるので、素早く、
しかも正確に濃
度を計測できます
(図 3 )。下水には生きた細菌がわずかに含まれることが示唆されました。
別サイズや製品詳細はこちらから → www.thermofisher.com/evosflauto2
page 16
¥7,500,000
価格
¥1,750,000
製品名
サイズ
製品番号
価格
Attune NxT Flow Cytometer ̶ Blue/Red/Violet/Yellow Lasers
1式
A24858
¥19,950,000
LIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability Kit, for microscopy and quantitative analysis
1 キット
L7012
¥87,900
Mouse Anti–Human CD3 delta Antibody (Clone 7D6), APC conjugate
0.5 mL
MHCD0305
¥56,900
Mouse Anti–Human CD4 Antibody (Clone S3.5), Alexa Fluor 488 conjugate
0.5 mL
MHCD0420
¥60,300
Mouse Anti–Human CD8 Antibody (Clone 3B5), PE-Cy7 conjugate
0.5 mL
MHCD0812
¥60,300
Mouse Anti–Human CD19 Antibody (Clone SJ25-C1), Pacific Blue conjugate
0.5 mL
MHCD1928
¥75,300
Mouse Anti–Human CD45 Antibody (Clone HI30), Pacific Orange conjugate
0.5 mL
MHCD4530
¥90,300
page 17
便利なタンパク質抽出試薬のご紹介
い つ 行く? どうする ? 海 外 留 学
Title
脳組織や神経組織/神経細胞からのタンパク質抽出試薬
Name
● 脳組織や神経組織、初代神経細胞から膜タンパク質を含むタンパク質を抽出
● 組織 1
mg から70-90 µg 、初代神経細胞 10 6 細胞から300 µg のタンパク質を回収可能
● 必要に応じてプロテアーゼ阻害剤、還元剤、キレート剤、補因子などを添加可能
N e u ro n a l P ro t e i n E x t r a c t i o n
● BCA
抽 出 効 率が 低 下しやすい脳や神 経 組
織から、効率的にタンパク質を抽出す
ジナイザーを使用し、初代培養の神経
Protein Assayで総タンパク質を定量できます
分 間 以 内にタンパク質を抽 出 できま
す。抽出物はウェスタンブロッティング、
ELISA、酵素アッセイ、GTPaseプルダ
ため息をつきます。予想外だったのはラボ内の対人関係。同僚が
ボスと喧々諤々と意見を戦わせることは少なく、常に笑顔で自分
の成果や人間性をアピールし、同僚よりも高い評価を得ようと努
めていました。大きな成果が見込めるテーマを勝ち取り、良い雑
争社会を生きのびる戦術は強烈に映りました。今では、知り合い
評判をたよりに留学先を選ぶ
「研究者として生きていくなら、大学院卒業後の道は留学しかあ
りませんでした。国内には、研究職のポジションも博士出を求め
る企業も、ほとんどなかったのです」
と加納氏は 90 年代半ばを振
り返ります。体細胞分裂のチェックポイント研究が世界的に全盛
期で、自身も東京大学の山本正幸研究室で、分裂酵母の細胞周
※ T-PER
( Tissue Protein Extraction Reagent
( 78510 )
)
は、
期制御に関与する面白い成果を出し始めたところだったので、留
一般的な組織からタンパク質抽出する試薬です。
学先も近い分野で探しました。
「 仲間からの評判が情報のすべて。
先輩や友人に相談し、小さめのラボを選びました。ボスとしっか
Syn-PER Synaptic Protein Extraction Reagent
り議論したかったのです」。2 通目に送った手紙に好感触の返事
神経組織や初代神経細胞からのシナプトソーム単離試薬
をもらい、Paul Russell 氏のもとへ留学を決めます。
では、前半は「体細胞分裂の細胞周期制御」、後半は「 DNA 損傷
チェックポイント」
をテーマにしました。同僚は熱意に満ち、
「 理想
はシナプス伝達の研究にも利用でき、単離したシナプトソーム画分を不連続密度勾配遠心により分離することで前後シナプスタンパク
的すぎる」研究環境でした。反面、生活には苦労したとも話します。
質をウェスタンブロッティング解析や免疫沈降、アッセイやタンパク質間相互作用解析などに使用できます。
生活を円滑に続けるすべてにつながると感じています。
ゆるやかに研究分野を移る
留学して2 年が過ぎ、成果が“ Molecular Biology of the Cell ”
に掲 載されました。
「これからどうしよう。アメリカで独 立し、現
地の研究者と対等に議論し、グラントを勝ち取り、ポスドクを雇
い 、生きて抜くのか。自分に有 利な場 所はどこだろう」。熟 慮の
末、先輩との強靭なネットワークを持つ日本を選びました。日本
の科学雑誌の採用欄を通じて、テロメア研究の第一人者である
東京工業大学の石川冬木氏のラボに受け入れが 決まります。し
笑顔でアピールこそ最強の戦術
神経組織や初代神経細胞からシナプトソーム画分を調製するキットです。新鮮な神経組織や初代神経細胞から調製したシナプトソーム
からの評価が 、研究費獲得から共同研究や論文発表まで、研究
かし、その後テロメアの研究者人口が急増し、同分野でノーベル
アメリカ・サンディエゴ 、スクリップス研 究 所の Russell 研 究 室
「 運 転 免 許を取るために、教 習 所 通いを始めたのは博 士 課 程 3
賞受賞者が出るほどになると、他の研究者と競合が息苦しくなり、
2009 年にサブテロメア領域をテーマに大阪大学で独立しました。
コンスタントに成果を出す重要さ
帰国後の就職に不安はなかったのでしょうか。
「不安よりサイエ
ンスの楽しみがあり、時間を惜しんで実験しました。コツコツと
2-3 年に 1 本の頻度で論文を出し続けられれば 、どうにかなると
● 超遠心を使用せずに1 時間以内にシナプトソーム画分を調製
思っていました。ただ、独立してからはそこまで呑気でいられなく
● 単離したシナプトソーム画分を溶解すればシナプスタンパク質の抽出も可能
● 組織 1
ない英語を理解し、仲間の信頼を得るには1 年半かかりました」
と
誌に論文を載せ、ボスの強い推薦で次のポジションを掴む ──競
実施しました。
に使用できます。
れなりに自信があった英語や社交性が 思ったほど通じず 、容赦
伺いました。
Pierce BCA ProteinAssay Reagent で
Pierce™ BCA Protein Assayなど
年の秋。研究も佳境で多忙を極めました。そして留学直後は、そ
領域を独自のフィールドに、のびやかに研究を拡げる加納氏。細
て生き抜く戦術をたたき込まれた」という留学生活を加納氏に
高い回収率を示しました。タンパク質定量は、
ウンアッセイ、Thermo Scientific™
大阪大学で数少ない女性PIとして、サブテロメアという染色体
人者たちと積極的にネットワークを築いてきました。
「研究者とし
N - P E R N e u ro n a l P ro t e i n E x t r a c t i o n
Reagent で、マウス脳神経組織をホモジネー
トして総タンパク質を抽 出すると、T- P E R ※
や、PBS 、PBS+0.1% Triton X-100よりも、
細胞からはスクレイパーを使って、30
加 納 純 子 氏 (大阪大学蛋白質研究所細胞核ネットワーク研究室・独立准教授)
サブテロメアへとゆるやかに分野を移りながら、各分野の第一
マウス脳から抽出した総タンパク質量が増加
る製品です。脳や神経組織からはホモ
18
胞周期制御からDNA 損傷チェックポイント、そしてテロメアから
● 一般的な抗原抗体反応を阻害しない穏やかな試薬組成
Reagent は、一 般 的にタンパク質の
Number
戦略を学んだ 3 年間
N-PER Neuronal Protein Extraction Reagent
Thermo Scientific™ N-PER™
研究者として生き抜く
なりましたね。自分の獲得した研究費でラボを運営する責任があ
mg から10 µg 、初代神経細胞 10 細胞から4 µg のシナプスタンパク質を抽出
6
るので」
とボスとしての覚悟を語ります。
楽しく、そして厳しい留学のすすめ
自家製バッファーより、シナプスタンパク質の回収率が向上
若者の海外留学を増やすため、国をあげて支援を充実させるあ
1996 年 、留 学 中の写 真 。左 端
が Paul Russell 博士、右から2
総タンパク質( 10 µg )
を含むマウス脳組織ホモジネート
( H )、S 細胞質画分( C )、シナプトソーム
番目が加納氏。
画分( Syn )
をウェスタンブロッティングにより解析しました。新鮮なマウス脳組織( 200 mg )か
先のポスドクや学生たちはみな必死でした。日本の学生も海外
で 2 年以上過ごしてみてほしい。
『 真剣に取り組まないと、それで
ら調製したシナプトソーム画分では、自家調製したバッファー(プロテアーゼ阻害剤を含む 100
終わり』。厳しい競争の中で実力を見極める経験は、とても刺激
mMHEPES )に比べて 3 倍程度多いタンパク質が 検出されました。前後シナプスタンパク質の
マーカーは、post-synaptic density protein 95( PSD95 )、NMDA receptor 2B subunit 、
を使用。Calcineurin 、Cdk5 、HDAC2は、細胞質や核マーカー
AMPA receptors( GluR2/3/4 )
(純度評価用)
、
β-actinをローディングコントロールとしました。
になるはず」
と励まします。研究室は、7 月に新たなポスドクを迎
2013 年、国際分裂酵母学会(ロ
ンドン)。左 から 3 番 目 が P a u l
Russell 博士、最前列右端が加
納氏。Russell Squareで、Paul
R u s s e l l 研 出 身 者と集 合 写 真 。
製品名
サイズ
製品番号
N-PER Neuronal Protein Extraction Reagent( 10 g の組織からの抽出または10 cm ディッシュの初代培養神経細胞からの 200 回の抽出)
100 mL
87792
¥38,300
Syn-PER Synaptic Protein Extraction Reagent( 10 g の組織から500 回の抽出分または35 mm ディッシュの初代培養神経細胞から500 回の抽出分)
100 mL
87793
¥43,700
page 18
まり、やや過保護になっているのでは、と危惧する加納氏。
「 留学
価格
ほぼ全員がラボヘッドとして活
躍中。
え 12 人規模に。日本での「理想的な」研究環境を目指して、これ
からも若手を率いて行きます。
1996 年東京大学理学系研究科生物化学専攻博士課程修了。1996 年から1999 年まで米
国スクリップス研究所 Paul Russell 研究室にて博士研究員。帰国後、石川冬木氏の元で9
年半研究を続け、2009年大阪大学・蛋白質研究所で独立。2013年より現職。
page 19
INFORMATION
2016 / July / No.36
光 って る
STARD10
ネ ガコン一番
川柳 in the ラボ 2016
人気投票実施中!
昨年度受賞作品
光 って る
研究者川柳
あなたの好きな川柳は、
どれですか?
今年の最優秀人気賞は、投票で決まります! 優秀賞 10 句か
ら、お好きな川 柳にご 投 票ください 。最 多 得 票の川 柳が 最
優秀人気賞を獲得します。
また、投票参加者から、抽選で 50 名様に千円のギフト券を差
し上げます。
今年も 100 人を越える研究者から、研究の喜怒哀楽を詠ん
だ多くの川柳をご応募いただきました。あなたのお気に入り
の川柳に清い一票をご投票ください!
投票期間 : 2016 年 7 月 11 日∼ 7 月 31 日 優秀賞 & 投票方法詳細 :
www.thermofisher.com/jp-senryu
参加資格 : 弊社メールマガジン登録者
発表 : 2016 年 8 月中旬
NEXT 7 月号はいかがでしたか ?
抽選で
特集は京都大学再生医学研究所の河本宏教授。抗原特異的キラーT 細胞による治療法開発に挑んでいます。今、最も注目
を集める腫瘍免疫の研究です。また細胞療法研究開発センターの川真田伸センター長からも日本における細胞療法の展
開について示唆に富んだお話を伺いました。ユーザーボイスも盛りだくさんです。次世代シーケンサとAmpliSeq パネルで
がん治療法開発を目指す弘津氏や、イヌのがんを尿中のわずかながん細胞から診断を試みる佐伯氏など。最先端技術が
社会の様々な局面で役立つことを実感できる研究です。人気の留学記は、大阪大学の加納純子氏。楽しさと厳しさが相半
ばする日々を振り返っていただきました。
読者アンケートで、5 名様にQuoカード当たります。ぜひご協力ください。
アンケートはこちらから→ www.surveymonkey.com/s/NEXT36
photographs: ryoichi morikawa( p.02-03, p.10-11 )
art direction & design: masami furuta( opportune design )
science writing: momoyo matsuyama, hiroshi mizuno
edition: yuko hashimoto
NEXT バックナンバーは、こちらから→ www.thermofisher.com/NEXT
●記載価格は2016年 7月現在の価格です。●消費税は含まれていません。●価格は予告なしに変更する場合がありますのであらかじ
めご了承ください。●最新の価格および在庫数は、弊社ホームページ右上の"製品価格と在庫の検索"でご確認いただけます。●研究
用にのみ使用できます。●診断目的およびその手続き上での使用は出来ません。●記載の社名および製品名は、弊社または各社の商
標または登録商標です。●販売条件はこちらをご覧ください。www.thermofisher.com/TC
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サーモフィッシャーサイエンティフィック
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本社:〒108-0023 東京都港区芝浦 4-2-8
ウェブサイト:www.thermofisher.com
TEL.03( 6832 )9300 FAX.03( 6832 )9580
販売店
5 名様に
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