CLICKlineインスツルメント

**2013年7月1日改訂 (第6版)
*2012年3月30日改訂 (第5版)
認証番号:223AKBZX00013000
機械器具(25) 医療用鏡
管理医療機器 再使用可能な高周波処置用内視鏡能動器具 70164010
CLICKlineインスツルメント
(剪刀)
【警告】 **
1.本品は未滅菌品なので、使用前に所定の方法で洗浄・滅菌を行
うこと。 **
2.高周波電流を流しつづけると、ジョウ先端が異常な高温状態に
なる可能性があるので、随時注意を図ること。 [目的部位以外の
火傷や過度の凝固を生じる]
3.通電中はジョウ先端部の温度が高くなるので、周辺組織への影
響(接触による火傷等)に十分注意すること。 [特に視野が悪く
切開部位が見えづらい場合は周辺組織に接触する恐れがある]
4.間欠的に最短時間の通電を行うこと。 [適切な凝固が行なえ、過
度の凝固を防止する]
5.凝固後に白色に変化した部位を選択的に切開する際、組織がピ
ンク色に戻った場合は十分に凝固がされていないので、直ちに
切開を中断し、再び凝固を行うこと。 [凝固が不完全であると出
血の原因となる]
6.術中であっても、先端が熱疲労等により傷む場合があるので、ジ
ョウ先端部は使用の都度、亀裂やグラツキがないことを確認し、
わずかでも異常が見られた場合には、直ちに使用を中止するこ
と。 [部品が脱落する恐れがある]
7.ペースメーカー(埋め込み型、外部装着型)/ICD患者にやむ
を得ず使用する場合は、動作干渉及び回復不能な障害や患者
の心室細動を引き起こす恐れがあるので心臓専門医に相談す
ること。
8.電極用コードと患者とが接触しないように、患者の上、患者のそ
ば、或いは液体のそばに電極用コードを置かないようにしなけ
ればならない。
9.術前には各部に、ひび、へこみ、ぐらつき等が無いことを確認
し、わずかでも瑕疵が認められたら使用しないこと。[部品が脱落
する恐れがある]
10.特に可動部については術中であっても使用の都度、傷、ひ
び、へこみ、ぐらつき等が無いことを確認し、わずかでも瑕疵が
認められたら直ちに使用を中止すること。 [部品が脱落する恐
れがある]
11.気腹を行う際は、必ず医療用炭酸ガス等不燃性のガスを使用
すること。 [可燃性ガスが混入していると引火の危険性がある]
12.術後には必ず分解して速やかに洗浄すること。 [確実な洗浄
が困難となる]
13.可動部分は頻回の使用によって金属疲労を起こし、破損・脱落
する可能性があるので十分注意すること。
14.ジョウ部分の蝶番のリベットは、頻回使用による金属疲労によっ
て破損・脱落する可能性があるので、使用の都度グラツキが無
いかよく点検し、わずかでも異常が見られたら使用しないこと。
[頻回使用による金属疲労によって破損・脱落する可能性があ
る]
15.可動部のリベット部分にグラツキが生じ、黒い輪郭が太くはっき
り見られるようになったら、使用可能な状態であっても使用を中
止し、インサートを交換すること。 [使用中にリベットが脱落する
危険がある]
16.トロカールへの本品の出し入れは必ず完全に閉じた状態で行
うこと。 [閉じ方が不完全であるとトロカールにジョウ部分が当た
り破損の可能性がある]
17.洗浄・乾燥・組立後、鉗子稼動部に専用のオイル(K27656B)
を適量塗布し、滅菌を行なうこと。 **
【警告】 **
18.洗浄時及び使用に先立ってロッキングプレートがアウターシー
スの内側に沿って2枚ともぴったりと付いていることを確認し、隙
間が広がってきたり、曲がったり、1つしか確認できない、又は無
い場合には直ちに使用を中止すること。 [ロッキングプレートが1
枚しかない状態で使用した場合、術中にロッキングプレートが破
損し、体内に脱落する恐れがある]
【禁忌・禁止】
1.本品を曲げ、切削、打刻(刻印)等の二次的加工(改造)すること
は、折損等の原因となるので絶対に行わないこと。
2.指定の滅菌方法以外行わないこと。 [器具に損傷を与える可能
性がある]
3.長時間の連続的な通電、あるいは過度な出力は行わないこと。
[過度の凝固になると共に焦げ付き等を生じ凝固能力の低下に
つながる]
4.通電中ジョウ先端部を外管、内視鏡または他の処置具類に接触
させないこと。 [患者又は術者に感電、火傷の危険を伴う。]
5.過度な力での操作は行わないこと。 [先端部破損又は脱落の恐
れがある]
6.高周波電流をかけて高温状態になっているときに強い力を先端
部にかけないこと。 [先端部破損又は脱落の恐れがある]
7.高周波電流をかけて高温状態になっているときに急冷しないこ
と。 [先端部破損又は脱落の恐れがある]
8.非絶縁アウターシースと組み合わせて通電を決して行わないこ
と。 [患者及び術者が感電及び火傷を負う危険がある]
9.本品の機能が正常に作動しない場合は使用を中止すること。
【形状・構造及び原理等】
・代表的な形状を下記に示す
<基本的な形状・全体図>
(A)ハンドル **
1/7
⑯
シースヘッド
⑰
シース
⑱
ステム
チルトノブの回転によって角度を付ける動作
が生じる部分。
内部をインサートが通ると共に、変角ノブの動
作をシースヘッドに伝達する。
ハンドルからのジョウ開閉の力を伝達すると
共に電気手術器からの高周波電力が通る。
-
-
-
※:組織、血液、体液等に直接又は間接的に接触することがある部分
<寸法表>
製品の有効長は、インサートをアウターシースに接続(インサート付シー
スの場合はそのままの状態)し、ジョウの先端部から洗浄ポートの手前ま
での部分で使用するインサート単体の品番で決定される。
(B)アウターシース
有効長は下図で表した部分の長さ(mm)である。 *
(C)インナーシース
有効長
シャフトが湾曲している製品の場合は、ジョウ先端部から洗浄ポートの手
前までの部分の垂線での長さを表示している。
(D)インサート
有効長
(E)インサート付シース
(2)剪刀 1)アウターシース付 ①2mm
インサート品番
30210MSS
30210MS
先端部の例:
有効長
196.4
296.4
<各部の説明> **
番号
①
名
称
ジョウ
②
絶縁アウターシース
③
洗浄ポート
④-1
ローテーティングノブ
④-2
ローテーティングノブ
⑤
ワンタッチリリースボタ
ン
⑥
高周波接続部
⑦
ハンドル
⑧
ラチェット
⑨
⑩
⑪
⑫
ラチェットリリースレバ
ー
ラチェットコントロール
レバー
ラチェットコントロール
ボタン
ハンドルシェル
⑬
切開用ボタン
⑭
凝固用ボタン
⑮
チルトノブ
機能及び動作
原材料
組織の切断、切除、切開、焼灼、止血、凝固、
蒸散又は剥離等を行なう。ジョウの後ろはステ
ムと繋がっており、絶縁アウターシースに差し ステンレス鋼※
込んで使用する。(絶縁アウターシース付の
タイプもある。)
ポリフェニル
サルホン※、パ
ーフルオロア
中にインサートを挿入して使用する外側が絶 ルコキシルア
縁させた管。(インサート付のタイプもある。) ルカン※
ポリエーテル
エーテルケト
ン※
絶縁アウターシース内を洗浄する際に水等を
-
注入する。
回すことでアウターシースごと先端部のジョウ
-
を360度回転することができる。
回すことで先端部のジョウ部分のみを360度
-
回転することができる。
絶縁アウターシースをとインサートをハンドル
-
から取り外す際にロックを解除する。
電気手術器(電気メス)からの高周波電力を受
-
ける。
術者がジョウの開閉の動作を操作する。
302.1
293.8
(2)剪刀 1)アウターシース付 ④5mm
インサート品番
43210LM
35210MTO
35310MTO
35210MTU
35310MTU
35210DBU
35310DBB
43210LU
43210MT
281.1
43210DU
35210MTB
280.2
291.1
ハンドルを握った位置でロックする。
-
-
ラチェットのオン/オフを切り替える。
-
ラチェットのオン/オフを切り替える。
-
ハンドル操作時に把持する部分。
-
インサート品番
30310EH
30210DB
30310DB
30310DBL
30310EHG
30310MWG
有効長
293.8
294.9
297.1
400.0
353.8
360.0
インサート品番
30710DH
30710DB
有効長
296.4
297.1
インサート品番
35310MTB
35210DBB
23210MSB
23210MSA
有効長
351.1
290.0
391.2
Ⓐ:385.0
Ⓑ:362.0
Ⓒ:351.0
**
有効長
280.2
291.7
351.7
291.7
351.7
290.0
350.0
284.6
-
ラチェットを解除する。
ボタンを押している間、電気手術器からの切
開用電力を通電する。
ボタンを押している間、電気手術器からの凝
固用電力を通電する。
回すことで先端部を45度まで連続的に角度
をつけることができる。
有効長
202.1
207.1
193.8
197.0
197.1
302.0
404.8
(2)剪刀 1)アウターシース付 ③3.5mm
インサート品番
有効長
30710MW
30710EH
有効長
199.7
194.9
**
(2)剪刀 1)アウターシース付 ②3mm
インサート品番
30310MWS
30310MSP
30310EHS
30310DHS
30310DBS
30310MW
30310MWL
インサート品番
30210MSP
30210DBS
23210MSC
Ⓐ:371.8
Ⓑ:375.0
23210MSG
Ⓐ:383.0
Ⓑ:352.0
437.9
23210MSI
(2)剪刀 2)アウターシース別 ①5mm、Ⓐウィング有タイプ/Ⓑウィング無タイプ
インサート品番
34210MS
34310MS
34410MS
34210MA
34310MA
34410MA
34210MW
34310MW
34410MW
-
-
-
2/7
有効長
Ⓐ285.0/Ⓑ282.0
Ⓐ345.0/Ⓑ342.0
Ⓐ415.0/Ⓑ412.0
Ⓐ290.0/Ⓑ287.0
Ⓐ350.0/Ⓑ347.0
Ⓐ420.0/Ⓑ417.0
Ⓐ285.0/Ⓑ282.0
Ⓐ344.5/Ⓑ341.5
Ⓐ415.0/Ⓑ412.0
インサート品番
34310SF
34210DB
34310DB
34410DB
34210DZ
34310DZ
34410DZ
34310DZL
34310DS
**
有効長
340.0
280.0
340.0
410.0
279.0
339.0
409.0
344.5
340.0
33250MK
34210MD
34310MD
34410MD
34210MT
34310MT
34410MT
34210EH
34310EH
34410EH
34210EK
34310EK
34410EK
34210S
34310S
34410S
34210SL
34310SL
34410SL
Ⓐ232.5/Ⓑ229.5
Ⓐ285.0/Ⓑ282.0
Ⓐ345.0/Ⓑ342.0
Ⓐ415.0/Ⓑ412.0
281.0
341.0
411.0
275.5
335.5
405.5
275.5
335.5
405.5
282.5
342.5
412.5
282.5
342.5
412.5
34210ES
290.0
34310ES
350.0
34310SK
338.0
34210SF
280.0
(2)剪刀 2)アウターシース別 ②10mm
インサート品番
有効長
34520BF
358.0
34410DS
34210DH
34310DH
34410DH
34210MB
34310MB
34410MB
34250MB
34210P
34310P
34410P
34310PP
34410PP
25310MT
25410MT
25310MAR
25410MAR
25310MAL
25410MAL
23451MSR
(セット)
23451MSA
(セット)
23451MSB
(セット)
23451MSU
(セット)
インサート品番
34520BF
ハンドルの開閉とそれに
伴うジョウの開閉を確認
する。
410.0
277.0
337.0
407.0
282.0
342.0
412.0
232.0
281.0
341.5
411.0
329.0
399.0
341.0
411.3
346.5
416.5
346.0
416.0
3.分解方法
(1) ハンドルを完全に開く。
必要であれば、ハンドル
のラチェット(ロック装置)
を解除する。
(2) ⑤のワンタッチリリースボ
タンを押しながらハンド
ルを完全に開いた状態
で、②のアウターシース
をインサートごと引き抜
く。
432.5
403.0
421.0
(3) ①のジョウを持って、②
のアウターシースを1/4
回転させ、インサートを抜
き出す。
注意:怪我をしないよう鋭
いジョウは布を巻いてつ
かむこと。
注意:2mm、3mm、3.5mm
クリックラインのインサー
トとアウターシースは一
体型になっている。
421.5
有効長
358.0
【使用目的、効能又は効果】
内視鏡とともに使用し、組織の切断、切除、切開、焼灼、止血、凝固、蒸散
又は剥離等を行う。
【操作方法又は使用方法等】
1.使用方法
(1) 本品を組み立てる。
(2) 本品の高周波接続部に高周波ケーブルのプラグを接続し、もう一
方のプラグを電気手術器のモノポーラ出力ポートに接続する。
(3) 患者に挿入されたトロカール(外管)に本品を挿入する。
(4) 本品を使用して病巣部の把持、切開及び凝固等を行う。
(5) 高周波焼灼電源装置の電気出力と耐電圧。
本製品を使用する際の最大出力と耐電圧は制限されているので条
件を守ること。
- モノポーラ設定 最大出力 400W 耐電圧 4500Vp **
(6) 使用後は直ちに分解し、丁寧に洗浄後、滅菌を行う。
※ 組み立て及び分解の方法の詳細は下記を参照のこと。
2.組み立て方法(ROTATIPの場合) **
(1) インサートを絶縁アウター
シース②の前方から挿入
する。
②
①
2.組み立て方法
(1) インサートを前方から②
のアウターシースに挿入
する。
インサートを完全に挿入
した後、1/4回転させて
ロックする。
(2) ハンドルを完全に開き、
ジョウが閉まっている状
態でアウターシースをハ
ンドルへの挿入部の入る
ところまで挿入する。
ハンドルをゆっくりと閉じ、
カチッという音を確認す
る。
3/7
(2) ジョウ①を全開にしたまま
ジョウの付け根をつかん
で、インサートを必要に
応じて左右どちらかに回
転して絶縁アウターシー
スに完全に挿入する。
(3) ジョウの付け根をつかん
だまま時計方向に回転さ
せ、ロックしてからジョウ
①を閉じ、図のように指
で押さえる。
(4) ハンドルを完全に開き、
ジョウが閉まっている状
態で絶縁アウターシース
をインサートごとハンドル
への挿入部の入るところ
まで挿入し、カチッという
音を確認する。
ハンドルの開閉とそれに
伴うジョウの開閉、並び
に、ローテーティングノブ
によるジョウの回転を確
認する。
15.本品のうち、外径の細いタイプ(2mmφ/3mmφ/3.5mmφ)に
ついては、非常に繊細な構造になっていることから、使用に際してト
ルクの掛かるような捻りの動作を行わないこと。 [本品の破損を招き、
部品が脱落する恐れがある。]
16.本品と併用する光源装置、カメラ機器等については、他の装置との
間の電磁的又はその他の干渉の可能性があるので、当該取扱い説
明書の注意事項を参照のこと。
17.手術は必ず内視鏡下で行うこと。 [盲目的な使用は組織の損傷の可
能性がある。]
18.本品を廃棄する場合には、地域の条例及び医療施設内での指定の
方法に従って処理を行うこと。
3.分解方法(ROTATIPの場合) **
②
⑤
①
(1) ハンドルを完全に開く。
(2) ワンタッチリリースボタン
⑤を押しながら、ハンド
ルを完全に開いた状態
のまま絶縁アウターシー
ス②をインサートごと引
き抜く。
(3) ジョウ①を完全に開き、
ジョウの付け根をつかん
だまま半時計方向に絶
縁アウターシースを回転
させ、インサートを抜き
出す。
(4) インサートを絶縁アウタ
ーシースから完全に引
き抜く。
注意:怪我をしないよう
鋭いジョウは布を巻いて
つかむこと。
【使用上の注意】
1.本品は、医師のみが使用すること。
2.使用目的
(手術・処置等の医療行為)
以外の目的で使用しないこと。
また、折損、曲がり等の原因になり得るので使用時に必要以上の
力(応力)を加えないこと。
3.使用後は、付着している血液、体液、組織及び薬品等が乾燥しないよ
う、直ちに洗浄液等に浸漬すること。
4.塩素系及びヨウ素系の消毒剤は、腐食の原因になるので使用を避け
ること。使用中に付着したときには直ちに水洗いすること。
5.本品は、未滅菌製品なので、使用に先立って「保守・点検に係る事項」
の方法で滅菌を行ってから使用すること。 **
6.剪刀は完全に乾いた状態で使用すること。
7.造影剤、硬化治療剤、潤滑剤、麻酔薬などを併用する場合は、それら
の薬剤等の使用説明書を読み、指示事項に従うこと。
8.可燃性ガス、可燃性化学物質の近くでは使用しないこと。
9.検査中の照明の消失等は、間接的に患者への危害を起こす恐れがあ
るので、予備のランプを備えた光源装置を用意することを推奨する。
10.使用前に、患者に挿入する内視鏡及び内視鏡用附属品の外表面に
危害を生じる可能性のある粗い表面、鋭いエッジ又は突起がないこ
との確認をし、異常を認めた場合には使用しないこと。
11.通常使用では、装着部の表面温度が41℃を超えるおそれがないが、
万一、温度に異常を確認したら、使用を中止すること。
12.空気、高周波手術前の不活性ガス又はレーザアシストガスの挿入し
過ぎは、ガス塞栓症のもととなる恐れがあるので、そのような状況下
においては十分に注意すること。
13.本品と他の医用電気機器に接続した内視鏡用附属品を組み合わせ
て使用すると患者漏れ電流が増加することがあるので、注意するこ
と。
14.電気メスの出力設定は、必要最小限で行うこと。 [患者組織の熱傷・
損傷、本器具の絶縁不良・破損を招く。]
4/7
【貯蔵・保管方法及び使用期間等】
1.保管及び輸送については、以下の条件に従うこと。
(1) 温度:0~60 度、湿度:10~90%以下(結露ないこと)
(2) 気圧:700hPa~1060hPa
2.貯蔵・保管方法
(1) 気圧、温度、湿度、風通し、日光、ほこり、塩分、硫黄分を含んだ空
気等により、悪影響の生ずる恐れのない場所に保管すること。
(2) 化学薬品の保管場所やガスの発生する場所に保管しないこと。
(3) 貯蔵・保管にあたっては、洗浄をした後、腐食を防ぐために保管期
間の長短に係らず必ず乾燥すること。
3.耐用期間
両開きタイプのインサート部分については納入後1年間又は30症例
のうち短い方 (自己認証による)
なお、この期間・回数内であっても【保守・点検に係る事項】の11.点
検方法に従って点検した結果、わずかでも異常が見られたら使用を中
止すること。
これは推奨された方法及び環境で使用され、次の【保守・点検に係る
事項】が実施された場合で、使用状況等により差異を生じることがあ
る。
【保守・点検に係る事項】
1.保守点検は、次の点に注意すること。
(1) 本品は必ず定期点検を行うこと。
(2) しばらく使用しなかった後、再使用する時は、使用前に必ず本品
が正常かつ安全に作動することを確認すること。
2.故障したときは勝手にいじらず適切な表示を行い、修理は専門家に任
せること。
3.改造しないこと。
4.使用前に動作及び外観に異常がないことを確認すること。(特に体内
に入る部分及び可動部分については入念に確認すること。)
5.洗浄の準備
(1) 付着物は修復不能な損傷の原因になるので、器具は使用後速や
かに洗浄の準備をすること。
(2) 輸送と保管時の損傷を防ぐために、器具は適切な容器にていね
いに収める。
6.洗浄時の一般的注意事項
(1) 柔らかいブラシ、スポンジ又は洗浄用エアーガンを用いて表面、
内部の空隙及びジョウ部分を十分に清掃する。金属たわし、クレン
ザー(磨き粉)等は、器具の表面が損傷するので汚染物除去及び
洗浄時に使用しないこと。
(2) ジョウは精密部品なので清掃する際は、十分な注意を払うこと。
(3) 付着・凝固した組織の残留物は、洗浄用ブラシを使って取り除く。
汚れがひどい場合は、5分以内の超音波洗浄を推奨する。
ただし、超音波洗浄器を使用した場合は、金属疲労を促進する可
能性があるので注意すること。
(4) 洗剤の残留がないよう十分にすすぎをすること。仕上げすすぎに
は、浄化水(蒸留水、イオン交換水等)を用いること。
7.洗浄剤
汚染除去に用いる洗剤は、洗浄方法に適した中性ものを選択し、適切
な濃度で使用すること。
(1) 材質にアルミニウム、真鍮を使用している製品にはアルカリ性、酸
性洗浄剤又は化学消毒剤は使用しないこと。 (材質に損傷を与え
る可能性が高い。)
(2) 本品の洗浄には市販中性洗剤又は専用の酵素入り中性洗剤
(MC02001)の使用を推奨する。 **
(3) 内視鏡および内視鏡関連器具に適した洗浄剤又は消毒剤を使用
すること。
8.洗浄方法
前記の分解方法により分解する。
(1) 自動洗浄器 **
① 内視鏡のプログラムが設定されている自動器具洗浄器を使用
し、管腔を有する器具は専用洗浄チューブを接続して使用す
ること。
② 適切なラック(K39501 シリーズ)を使用し、他の器具と重なり合
わないように入れること。 (他の器具と重なり合うことにより損傷
の原因となり、また、重なっている部分で洗浄効果が減衰す
る。)
③ 器具のラチェット部や洗浄ポート等を開放し、ラックに入れるこ
と。
④ 洗浄剤や水質によっても製品にダメージを与える場合があり、
器具に変質等が生じた場合、直ちに自動洗浄器の使用を中止
し、洗浄剤、水質の確認を行うこと。
⑤ 洗浄中の損傷を防ぐために、全部品がしっかりとセットされてい
ることを確認する。
⑥ 洗浄後は圧縮空気を吹き付けて直ちに乾かす。
(2) 超音波洗浄器 **
① プラスチック等軟性部品には使用しないこと。 (超音波振動を
吸収するため効果が無いのみならず、材質の劣化を促進する
可能性がある。)
② 剪刀・ネジを有する器具には使用しないこと。 (超音波の振動
によって繊細な剪刀の刃先が欠損する可能性や、微細なネジ
の緩みが発生し、機能に影響を与える可能性がある。)
③ ②以外のジョウの可動部を洗浄するには、5 分以内の超音波
洗浄が有用である。 (リベットの隙間等に入り込んだブラシで
は落としにくい血液等を洗浄することが可能) **
(3) マニュアル洗浄 **
① 洗浄剤及び化学消毒剤を使ってブラッシング及び浸漬等により
手洗い洗浄を行なう。
② 感染のリスクを防止するため、手洗い洗浄時には手袋・防水エ
プロン・ゴーグル等を必ず使用すること。
③ 管腔内を洗浄するため適切なブラシ(K27650 シリーズ)やクリ
ーニングピストル(K27660)を準備すること。
④ 洗浄、浸漬用にフタ付きで水きり用の内かごが付いている容器
(K27645 等)を準備すること。
⑤ 洗浄手順
a. 器具の接続部をすべて分解し、ラチェット部や洗浄ポート等
を開放する。
b. 専用容器に準備した洗浄溶液に器具を浸漬する。 水温は
35~40℃前後(暖かいと感じる温度)が適温である。 薬剤に
よる器具の損傷の可能性がある為、溶液には 60 分以上浸漬
したままにしないこと。
c. スポンジで全ての外表面を注意深く清掃する。
d. 管腔内は適切なブラシやクリーニングピストル(ルアーロック
A を使用すると楽に行える。)を用いて
付イリゲーション器具○
洗浄する。
e. 純水で時間をかけて十分な濯ぎを行う。
f. 埃の出ないやわらかい布や圧縮空気で乾燥させる。
9.組立
十分に乾燥を行った後、前記の適正な手順に従って組立を行う。組立
に先立って、全ての部品に損傷がないか調べ、必要に応じて交換する
こと。ジョウ、連結部、並びに高周波器具の絶縁部分は特に念を入れ
て点検すること。
10.洗浄後の器具のお手入れ **
(1) 外観の目視(特に体内に入る部分は入念に)確認、可動部の機能
確認を行うこと。 (異常が見られたら使用を中止し、交換するこ
と。)
(2) プラスチック又はシリコーン部品の変色・変質・柔軟性(硬化の有
無)・孔の有無を確認し、異常が認められた場合は直ちに部品を交
換すること。
(3) 高周波適用器具の絶縁部のはがれ・めくれ・傷・亀裂等を目視確
認すること。 (これらが認められたら使用を中止し交換すること。)
(4) 鉗子のジョウ等すべての可動部分には、滅菌による熱損傷を防止
する為、専用オイル(K27656B)を必ず塗布(オートクレーブ滅菌の
み有効)すること。 **
11.点検方法
(1) 作動チェック1
組み立て完了後、および術前に必ず作動チェックをして、器具の
安全性を確認すること。
① 先端ジョウにぐらつきや不具合が無いか? ⇒(注1)
② 先端及びシャフトにひび・欠損などが見られないか?
③ ハンドルの動きはスムーズか?
④ インサートを引っ張っても抜けないか? ⇒(注2)
(2) 作動チェック2 (重要)
(注1):先端のチェック
インサートの先端は、非常にデリケートに出来ているので次の場
合には使用を中止すること。
① ジョウにぐらつきや欠損などがある場合
② ジョイントリングおよびその輪郭が明らかに黒く浮き出ている
場合 (下図参照)
リベットの打ち込み研磨側(A)が良品では図のごとくリングがはっ
きり見えず薄く見える外縁までの径(外縁径)も太いが、磨耗して
くると不良品の図のようにリングが黒くはっきり見えるようになると
共に外縁までの径も細くなりリベットの軸径に等しくなってきてい
る。
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このように固定している部分が磨耗により軸径と等しくなって保持
力を失い脱落する。
良
正常なハーフプレートに交換した後、再度上記チェックを行うこ
と。
プレートの内側に磨耗痕(すじ等)がある
ものは不良なので必ず交換すること。
ジョウ
ジョイントリングに注意
ロックピン
A
ハーフプレートに不具合があると下記「(4)アウターシースのチェッ
ク」の「②先端部内部のチェック」で述べているロッキングプレート
が使用中に破損した場合、インサートが前方に迫り出し、ロッキン
グプレートが体内に脱落する恐れがある。)
(4) アウターシースのチェック
① 先端部付近外部のチェック
アウターシース先端部付近の絶縁被膜は、取り扱い又は滅菌
等により傷ついて剥がれたり、絶縁材料の硬化により亀裂が
生じて脱落する恐れがある。従って、絶縁被膜に剥がれ、めく
れ、亀裂、傷等がわずかでも認められたら直ちに使用を中止
し、アウターシースを交換すること。 特に経年使用による絶縁
材料の硬化による亀裂は、ルーペ等を使用して確認し、わず
かでも異常が見られたら使用しないこと。 (先端部絶縁被膜の
脱落は体内落下の危険を含んでおり、体内に落ちた場合レン
トゲンにも写らないため発見が困難となる。)
新品
不良
B
リベット部分拡大図:
① 良品
A:リベットの打ち込み研磨側
B:リベットの頭側
外縁径
リングに磨耗のない正常な状態
② 不良品
A:リベットの打ち込み研磨側
外縁径
先端部が膨らんだ製品
磨耗によりリングがはっきり
見える状態 (ほぼリベット
の軸径に等しい)
注:正常状態でも過度の力を掛け過ぎると破損脱落の原因となる。
術前を含め術中のチェックを励行すること。
(注2):インサートの引き抜きテスト
組み立てが完了した状態でローテーティングホイール又はハンド
ルへの接続部を把持し、インサート先端を反時計回りに回転させ
ながら引き抜くような負荷をかける。また、ハンドルを動かしながら、
同様のチェックを行う。
このとき、左図のように先端が抜
ける場合、シャフト内のハーフ
プレートが磨耗しているか、ア
ウターシースの接合部分の不
具合が考えられるので使用を
中止し、ハーフプレートあるいはアウターシースを交換する。
(3) ハーフプレートの交換
シリコンリングを細い棒で持上げ←の方向へずらして、2つのハ
ーフプレートを同時に交換する。
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剥がれ、亀裂、傷を有する製品
② 先端部内部のチェック
アウターシース先端の内部には新品の場合アウターシースの
内側にぴったりと沿うように2枚のロッキングプレートが確認
(下図A参照)できる。このロッキングプレートの下部にインサ
ートに設けられている2つのロックピンがはまり込むことにより
インサートが固定される。しかしながら、経年使用等により片方
のロッキングプレートが脱落すると残った方のロッキングプレ
ート(下図B参照)に操作時の力が集中し、残っていたロッキン
グプレートも脱落する可能性が高くなる。両方のロッキングプ
レートが外れるとインサートが固定されなくなり、手術中にロッ
キングプレートが体内に脱落する恐れがある。
従って、洗浄時及び使用に先立ってロッキングプレートがアウ
ターシースの内側に沿って2枚ともぴったりと付いていることを
確認し、隙間が広がってきたり、曲がったり、1つしか確認でき
ない場合、又は無い場合には直ちに使用を中止すること。
ロックピンについては、「【保守・点検に係る事項】/11.点検
方法(2)/作動チェック2 (重要)/注1:先端のチェック」で示
している図を参照のこと。
オートクレーブ滅菌方法
鉗子を専用滅菌ケース又はトレーに収納し、滅菌バッグで包ん
だ上、オートクレーブ滅菌を行う。
<滅菌条件>
・温度 : 134 ℃
・圧力 : 2 気圧
・時間 : 5~8 分間
※真空式高圧蒸気滅菌(pre-high vacuum)方式のオートクレ
ーブを使用すること。 **
※オートクレーブ滅菌を行う際に金属容器を使用している場
合は、本品と金属部を直接触れないよう注意すること。 **
A: 新品
B: 片側のロッキングプレートが脱落した製品
③ ハンドル接続部付近のチェック
経年の使用又は洗浄方法・滅菌条件によっては、下図 B 部の
シーリング(黒い接着剤)が脱落する恐れがあるので、目視又
はルーペ等で確認し、シーリングの剥がれやめくれがわずか
でも認められたら使用を中止し、アウターシースを交換するこ
と。
<その他>
メンテナンスの詳細に関しては、「腹腔鏡用器具メンテナンスマニュアル」
および「カールストルツ製品の洗浄/滅菌およびお手入れについて」を別
途作成しています。弊社では各お客様へ随時送付していますが、もしお
手元にない場合は、ご連絡くだされば送付致します。
【包装】
1 セット/箱
又は
ハンドル 1 個/袋
絶縁アウターシース 1 本/袋
インサート 1 本/袋
B
下図アウターシースのA部およびB部の付け根に緩みがない
ことを図のように優しく捻って確認する。この部分に緩みがあ
る場合はアウターシースを交換すること。(ハンドルの着脱が
できなくなる恐れ、及び上記②の不具合時にインサートが前
方に迫り出し、ロッキングプレートが体内に脱落する恐れがあ
る。)
インサートとアウターシースが一体型の製品は全体(ハンドル
以外)を交換する。
B
A
(5) リベットの頭の有無のチェック
① 使用前及び使用後には、必ずリベットの頭の有無を確認する
こと。(下図参照)
② 特に術中及び術後には、リベットの2つ(両サイド)の頭の有無
を確認すること。脱落している場合は体内遺残がないことを目
視又はレントゲン撮影等にて確実に検証すること。
③ 片方でも頭が脱落している場合は直ちに使用を中止すること。
【製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称及び住所等】
製造販売業者:エム・シー・メディカル株式会社
東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー
電話: 03-5715-2800 (代表)
リベットの頭
製造業者 (主たる外国製造所):
カールストルツ社 (Karl Storz GmbH & Co. KG)
国名:ドイツ
拡大写真
12.滅菌 **
使用前に必ず下記の方法で滅菌を行うこと。
注1:滅菌前に器具を洗浄し、良く乾燥してから滅菌を行うこと。
注2:ラチェット付器具は開放又は 1 クリック状態にて滅菌すること。
(熱膨張により破損する可能性がある。)
添KS789-6
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