私の大切な『夢』

川崎ジュニア文化大賞
「私の大切な『夢』」
今井小学校 6 年 木之下 あよん
我が家には言ってはいけない言葉があります。それは『無理』です。
「『無理』って言わないの!」
といつも両親に怒られながら、どうして『無理』と言ってはいけないのか私はよく分かりませんでした。
私は小さいころからバレエを習っています。バレエには飛んだり回ったり、足を上げたりいろいろな技
術があるけれど、私の弱点は回転です。
四年生になってバレエのクラスで進級した時、お姉さんたちは二回転や三回転をしていました。私はず
っと一回転しかできなかったので一生懸命練習しました。先生には転ぶまでちゃんとつまさき立ちしてい
なさいと言われましたが、転ぶのは痛いし、こわいし、やろうとしてもなかなかできるものではありませ
んでした。できなくて、私があきらめかけたとき、
「やればできるよ。がんばって!」
と年上の上手なお姉さんに言われました。はげましてもらったのがすごくすごくうれしくて、もっともっ
とがんばりました。
そして何ヶ月もあきらめずに努力し続けたら、だんだん立っている時間が長くなってきました。私はま
すますがんばろうという気持ちになって、レッスンのあとも、ひとりで練習しました。少しずつ、だんだ
んと二回転に近づいていくのが自分でもわかりました。
あるとき、レッスン中に回転のふりがあって、私はとても緊張しました。回る直前、今まで言われたこ
とを全部思い出しました。首は長く、頭は宇宙まで。足は地底のマグマまで引っ張って、手は丸く、ずっ
とつまさきで立ち続ける・・・
すると・・・
「あっっ回れた!!」
私は今起きたことが本当のことか分からなくて、ふり返って先生を見ました。
「回れたじゃない!いつもそうやってね。」
と先生はにやっとしました。私はそう言ってもらって初めて二回転ができた実感がわいてうれしさが心か
らわきあがってきました。
「回れた!ちょー∼うれしいっ!」
初めてできた二回転。お姉さんたちにはちっぽけな二回転だけど、私にとっては大きな二回転でした。
六年生になって三回転も時々回れるようになりました。他にも、ジャンプの高さや体のやわらかさでも
先生にほめられるようになりました。
四年生では、サボってばかりいたレッスンも、五、六年生になって、週五回も行くようになりました。
私は大好きなバレエで、
『無理!』と思わないでがんばると、なんでもできるようになると言うことに気
が付きました。私はバレリーナの道に一歩前進したなと思いました。そして、お父さんとお母さんはこの
ことを言ってたんだなぁと思いました。バレエの先生は
「できてるってイメージよ。」
とよく言います。確かに、「できてる。」自分を頭の中でイメージすると、体がついてきます。
『無理』と言わないことは、私にとってとても難しいです。でも努力を重ねて何かができた時は、今まで
の苦しさがすべて吹っ飛ぶくらいうれしいし、気持ちがいいことです。
私は将来バレリーナになりたいので、この努力をもっともっとつみかさねて気持ちよくおどるバレリー
ナになれるようになっていきたいと思います。