企業の出張動向に関する調査「ジャパン・ビジネス

報道関係各位
2011 年 9 月 29 日
日本企業、ビジネス成長拡大に向け出張予算を増加、出張予算の投資効率には改善の余地
企業の出張動向に関する調査「ジャパン・ビジネス・トラベル・バロメーター」の結果発表
■全体の 8 割以上が本年度と来年度の出張予算を「増やす」もしくは「現状維持」と回答
■業務出張の主要な目的は「既存顧客の維持」「新規顧客の獲得」
■一方、出張費をビジネス成長における「投資」と位置づける企業は 22%のみ。
大半の企業は「コスト(60%)」であると回答
■国内の企業は、旅行代理店には出張予約や発券業務など限定的な役割しか期待しておらず、
付加価値の高いビジネス・ソリューションを提供するパートナーとして評価している企業は少数
(旅行代理店を選ぶ最も重要な評価基準は「サービスの質(76%)」、「コスト削減能力(59%)」)
ビジネス・トラベル・マネージメント(BTM)事業のマーケット・リーダーである株式会社 日本旅行・アメリカ
ン エキスプレス(東京都墨田区、代表取締役社長:竹村章美)は、日本企業の出張動向に関する調査
「ジャパン・ビジネス・トラベル・バロメーター」の結果を、本日都内で開催されたジャパン・ビジネス・トラベ
ル・フォーラムにて発表しました。ジャパン・ビジネス・トラベル・フォーラムは、日本では今回初めて開催
される出張に特化したコンファレンスで、企業の出張管理担当者、航空会社、ホテルなどが参加する旅
行業界の一大イベントです。本調査によると、日本企業の多くは新規ビジネスの獲得や既存顧客との関
係構築において出張が非常に重要な役割を果たすと評価する一方で、企業全体で出張の費用対効果
を最大化するには苦難していることが明らかになりました。
本調査の結果を受け、株式会社 日本旅行・アメリカン エキスプレスの代表取締役社長、竹村章美は次
のように述べています。「日本は米国、中国に続き世界で 3 番目に大きな業務出張の市場1であり、出張
は日本の旅行取扱高全体の 3 分の 1 を占める大きな規模2にもかかわらず、今までその動向が形式だっ
て調査されたことはありませんでした。この調査は日本国内の企業が出張をどのように捉え、どのように
管理しているのかを把握する上で有益な情報になると信じています」。
本調査は日本で上場している企業および日本でビジネスを展開する大手外資系企業において出張を管
理する立場の管理職 200 名を対象に行いました。東日本震災以降の 3 月下旬から 4 月にかけて電話や
郵送調査により実施されています。
旅行業界は回復の兆し、出張頻度の増加により予算が増加傾向
本調査によると、今年、企業は出張に関して積極的な姿勢を示しています。回答者の 8 割以上が本年度
と来年度の出張予算を「増やす」もしくは「現状維持」と回答しています。
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本年度の出張予算を聞いたところ、26%は「増加する」、56%は「現状維持」と回答しました
来年度の出張予算を聞いたところ、27%は「増加する」、54%は「現状維持」と回答しました
IHS Global Insight – Business Travel Market Metrics
World Travel & Tourism Council – The Tohoku Pacific Earthquake and Tsunami
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この結果は旅行業界全体の回復傾向と同様の動向を示しています。ワールド・トラベル&ツーリズム・カ
ウンシル(WTTC)の最新の調査によると、東日本大震災の影響により大きな損害が懸念された日本の
旅行業界は、国内での需要に後押しされ、すでに回復の兆しを見せています。WTTC によると、今年の
GDP(国内総生産)に対する旅行業界全体の貢献度は震災前の想定のわずか 8%を下回るだけにとど
まりました。また、日本政府観光局(JNTO)の統計によると、海外旅行の動向も順調に推移しており 7 月
以降の海外渡航者数が 2 月以降初めて対昨年比でプラスに転じました。
航空券と鉄道、出張予算の過半数以上を占有
日本では出張予算のうち鉄道と航空券が 60%を占めています。その中でも特徴的なのは鉄道(28%)で、
ドイツ、フランス、スペインなど高速鉄道網が整備された国と比較しても 10~15%程高い割合になってお
り、国内出張において鉄道の重要性を浮き彫りにする結果となりました。
日本の企業成長を支える出張
企業の管理職の多くが出張は自社のビジネス成長に直結するものであると考えています。業務出張の
目的を尋ねたところ、予算の規模に関わらず多くの企業が「既存顧客の維持」を最も重要な目的と回答
しています。その次に、多くの企業が「新規顧客の獲得」を挙げ、年間の出張予算が 5 千万円を超える企
業では「社内間のミーティング」を挙げています。
その一方で、出張費をビジネス成長における「投資」と位置づける企業は 22%しかおらず、多くの企業で
は出張は「コスト」(60%)であると回答しています。多くの日本企業が出張費をビジネス投資項目として
効果的に運用する術を身につけていないことが伺えます。
長期的な出張管理よりも、短期的なコスト削減戦略
多くの日本企業が出張を「コスト」と捉えている事実は、その運用管理方法からも伺えます。およそ 87%
以上が社内に出張規程があると回答していますが、その規程の範囲がとても限定的なことが分かりまし
た。80%以上が限られた経費項目の制限に限られており、出張精算プロセスなど出張費の全体を規定
したものではありませんでした。
この結果を受け竹村は次のようにコメントしています。「日本での出張規程の多くは、社員が航空券や鉄
道、日当などでいくらまで経費を使えるかという価格リストのようなものが多いようです。このような規程
の最も大きな問題は、社員が出張を終え経費精算をするまで規程に添った出張を行ったかが分からな
いということです。米国やヨーロッパ諸国の出張規程はもっと広範囲を網羅しており、出張申請から予約
方法、経費精算まで出張プロセス全体を明文化しています。」
日本では出張費削減というと、市場に存在する最安値の航空券を購入したり、格安航空会社の便に変
更したり、出張の頻度を減らしたりと、一般的に短期的なコスト削減策を取りがちです。しかしこのような
戦略は労働環境の低下を招くだけではなく、魅力的な企業レートをサプライヤーから獲得する上でも賢
明ではありません。指定サプライヤー制度を設けたり、旅行代理店を集約したりするような長期的な戦略
はまだ出張費全体の費用対効果を上げる施策として根付いていないといえます。
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効果的な出張費の運用を妨げる複数の予約手段
企業の多くは出張予約や管理における手段が多岐に渡っていることも分かりました。およそ 80%以上の
企業が旅行代理店を通して出張予約を行っていると回答しています。その 60%以上が複数の旅行代理
店を利用しており、過半数以上(58%)がローカルの旅行代理店です。
旅行代理店を選ぶうえで「長年のおつきあい」(38%)と「価格」(35%)を挙げた企業も圧倒的に多いこと
が分かりました。最も重要な評価基準としては「サービスの質」(76%)を挙げており、「コスト削減能力」と
答えたのは 59%でした。
竹村は続けます。「これは大変興味深い結果です。企業が旅行代理店を選択する際の評価基準と消費
者が旅行代理店を選択する基準が非常に似ているということです。旅行代理店には出張予約や発券業
務など限定的な役割しか期待しておらず、付加価値の高いビジネス・ソリューションを提供するパートナ
ーとして旅行代理店を評価している企業はまだ日本では少ないということです」。
また、サプライヤーのインターネット・サイトから直接予約を入れるという手段も日本では主流です。これ
は他国と比較しても大変高く、日本の企業の 61%がレンタカーを、41%が鉄道を、40%がホテルを、それ
ぞれ直接サプライヤーのインターネット・サイトを通して予約しています。これには、複雑な予約システム
の存在や国内便や鉄道の場合サプライヤー独自のシステムを利用しなければいけないという日本特有
の背景があります。
竹村は最後に次にように述べています。「効果的な出張の運用管理を行う上で最も重要なのは、いかに
質の高い出張データを広範囲に入手できるかです。複数の予約方法を使えば使うほど、企業全体の出
張データを入手するのは困難になり、結果的には割高な企業レートを払うことになり兼ねません。こうい
った観点からも企業は 1 社の旅行代理店と契約し海外支店などを含め企業全体で出張データの管理を
行うのが賢明です」。
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「ジャパン・ビジネス・トラベル・バロメーター」について
国内企業の出張動向を調査したアメリカン・エキスプレスとして初めての調査レポートです。調査は Dun
and Bradstreet TSR 社が、調査分析は Groupe Concomitance 社がそれぞれ実施しました。本調査は日
本で上場している企業および日本でビジネスを展開する大手外資系企業において出張を管理する立場
の管理職 200 名を対象に行いました。東日本震災以降の 3 月下旬から 4 月にかけて電話や郵送調査
により実施されています。
「ジャパン・ビジネス・トラベル・フォーラム」について
株式会社 日本旅行・アメリカン エキスプレスが主催する旅行業界のイベントで、国内で初めて開催され
る出張に特化した旅行業界のコンファレンスです。出張市場に関する最新動向の紹介や出張管理担当
者や旅行業界関係者の交流を目的に開催されます。
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株式会社 日本旅行・アメリカン エキスプレスについて(www.amex-nta.com)
2001 年 4 月に、アメリカン・エキスプレスと日本旅行の合弁会社として設立。企業の
出張事務管理業務全般を一括代行するビジネス・トラベル・マネージメント事業を専
門に行っています。業種や業態によって異なる企業の出張管理に関するニーズを的
確に把握し、幅広いコンサルティングとマネージメントサービスをお届けしています。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・トラベルについて
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・トラベルは、出張に関する業務の最適化をサポートし、コスト削減、
優れたカスタマー・サービス、経費管理を企業に提供するアメリカン・エキスプレスの組織です。140 余ヶ
国以上に広がるトラベル・サービス拠点を通じ世界最大級の旅行代理店ネットワークを展開し、個人事
業主から中小企業、多国籍企業まで、業界随一の予約技術、専門知識を活かした出張管理コンサルテ
ィング、オンラインおよびオフラインでの顧客サービスを提供しています。2010 年、世界中で 257 億ドル
の旅行取扱高を獲得しています。
詳細:
www.americanexpress.com/businesstravel
www.businesstravelconnexion.com
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www.twitter.com/btconnexion
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