第 1 章 女性のための成功法則︵扉・後送︶

第1章:女性のための成功法則
第1章
女性のための成功法則︵扉・後送︶
1 第1章:女性のための成功法則
女性と男性は違う生き物
◎女性は知らないうちに男性のマネをしている
成功者と聞いたとき、あなたが思い浮かべるのはどういった方でしょうか。
ひょっとしたら男性の方を思い浮かべられた方もいらっしゃるかもしれません。
なにせ、これまでに成功者として取り上げられてきた方の多くは男性ですし、リーダー
の多くも男性です。
そのため、上昇志向のある女性は気がつかないうちに男性の発想や生き方をまねし、本
来女性がもつ能力を発揮できずに自信をなくしてしまっていることが多いように思います。
でも、これは誰も気がついていないことなので、ある意味しかたがないことかもしれま
せん。
なぜなら、これまでは﹁男性の成功法則﹂のみが存在し、また支持され、それをくつが
えす﹁女性の成功法則﹂が世の中に存在しなかったからです。
これから私が説明する﹁成功﹂と、これまであなたが見聞きしてきた﹁成功﹂は異なる
かもしれません。
それは、これまでの﹁成功﹂が男性目線の﹁成功﹂であったからで、私がこれから説明
する﹁成功﹂は女性目線の﹁成功﹂だからです。
まずはそのことに気づくことが大切です。
男性の成功は男性のための成功、女性の成功は女性のための成功なのです。
そして男性には男性であるメリットを活かした成功のしかた、女性には女性であるメリ
ットを活かした成功のしかたがあります。
女性は女性としてのメリットを活かして女性としての成功を求めていく、そのベクトル
の方向をきちんと定めなければなりません。そして、そのベクトルに向かって頑張ってい
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く過程を通して、女性としてチャーミングになっていくのだと思います。
◎四〇〇万年前から男女の習性は違っていた
私たち人類が誕生してから四〇〇万年と言われています。その四〇〇万年のうち、ほと
んどを人類は狩りをして生計を立てていました。
農耕牧畜の文化が発達したのはほんの数千年前でしかありません。ですから、農業をし
ている時代は人類の歴史からみれば、ほんの一瞬みたいなものです。
人類の歴史のほとんどを占める狩猟時代において、男性と女性の役目ははっきりと違う
ものでした。
男性は獲物を求めて狩りをするのが役目でした。武器を持ち、獲物となる動物を探し、
戦っていたのです。そして、獲物を手にして集落に戻り、女性や子供に分け与えていまし
た。
一方、女性は獲物をとりに出かけて行った男性の帰りを待ち、集落での和を築き、女性
同士助け合い、子供を育てることを役目としていました。集落での調和を保つため、いろ
いろな気配りや気遣いをし、コミュニケーションを頻繁にとるようになっていったのです。
このような役割を通して、男性は獲物をとることに喜びを覚える習性をもつようになり、
女性は調和や平和といったことに喜びを覚える習性をもつようになっていきました。
現代でも女性は井戸端会議でのおしゃべりや女子会が大好きですが、これは狩猟時代か
らの女性の習性なのでしょう。
人類が進化したとはいえ、現代でも男性、女性の基本的な習性は狩猟時代と変わるとこ
ろはありません。そのため、男女の基本的な習性が異なる以上は、その習性にあった生き
方をすることが成功の秘訣なのです。
◎それでも男と同じ方法を選びますか?
女性と男性の習性が違うのと同じように、女性と男性では脳の作りも異なります。
人間の脳はその八割が大脳という脳によって占められています。そして、その大脳は大
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きく分けて左脳と右脳に分かれます。
左脳というのは言語の理解や論理的な思考、計算・分析能力を司る脳と言われています。
自分自身との対話を通してじっくりと物事に取り組み、解析するといった機能をもってい
て、合理性を重んじる脳です。
一方、右脳というのは人間のコミュニケーション、感情、芸術、直感を司る脳と言われ
ています。社交的に人間関係を築いたり、情緒豊かな表現をしたり、豊かなイマジネーシ
ョンを展開したりする機能を持っているのです。
そして男女の脳の大きな違いの一つとして、左脳と右脳をつなぐ脳梁という部分が女性
の方が男性よりも太いということが挙げられます。
男性はものごとを考えるとき、基本的に左脳を使って考えますが、女性は左脳と右脳の
橋渡しとなるこの脳梁が太いため、左脳と右脳の連携が強く、ものごとを考えるときに左
脳と右脳の両方を使うと言われています。
そのため、女性の方は男性に比べてより右脳型なのです。
また、先程お話ししたように、何百万年もの間、狩猟をしていた男性は狩りでとってき
た獲物の数や大きさを競っていたため、優越感や他者を支配しようとする欲求を司ってい
る脳が発達していきました。
一方、女性はみんなで協力して集落を守り、和を大切にするという役目を何百万年もの
あいだ担ってきたので、相手の気持ちに共感するための脳が発達していきました。
つまり、男性は優越感、女性は共感に喜びを感じる生き物だということが言えます。
この脳の作りの違いから、男性と女性の考え方や能力にはいろいろな違いが生じていま
す。
まず、女性の方が男性に比べて感情や芸術に関する神経が発達しています。
だから、可愛いものを素直に﹁可愛い!﹂、綺麗なものを素直に﹁綺麗!﹂と感じるこ
とができるのです。あるいは、映画や景色を観て感動のあまり涙したり、髪型や洋服を褒
められて急にご機嫌になったり。そういった感情のボリュームが大きく増幅され、その際
の感情表現も豊かです。一方で、悲しみや怒りといったマイナスの感情もボリュームが大
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きくなってしまいがちです。
男性から見て女性が感情的に見えるのは、まさに脳の作りの違いに原因があるといえる
でしょう。
また、女性は男性にはなかなかできない細やかな気配りをすることも得意です。昔から
細やかな気配りが必要な職業は女性が担ってきたといえます。看護婦やスチュワーデス、
居酒屋の女将、秘書などがそれにあたるでしょう。
男性が気付かないようなことも女性には気づくことができたのです。
﹁女の勘﹂という言葉がありますが、女性の勘の鋭さもこういったところからきているの
かもしれません。
それから、女性はいろいろな人とおしゃべりをするのが大好きです。とくに、感情に関
する話が大好き。
その典型的な例が恋愛話でしょう。恋愛話が始まると一時間でも二時間でも話が弾むこ
とは珍しいことではありません。
その話している内容に筋書きがあるとか、論理的かとか、話の流れに一貫性があるか、
ということはあまり重要視しません。話すこと自体に意味を見出しているのです。
また、自分が話したことに共感を求め、そして相手の話したことにも共感する。感情を
分かち合えた時に、女性は大きな喜びを感じます。
男性は論理や目標に重きを置き、優越感や競争を欲しようとする傾向があるのに対して、
女性は感情や感性に重きを置き、そして共感に喜びを覚える傾向がある。
簡単に言うと、こういうことが言えるのではないかと思います。
男女でこれだけ違うのです。それなのに、女性が男性と同じ方法で成功を目指すのは遠
回りしているのと同じこと。
女性は男性のマネをせず、脳の作りに合った方法で成功しようとすることが女性として
の成功への近道だと言えるでしょう。
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女性のための成功法則
◎オンボロアパートに胸をときめかせた新婚時代
では、女性が成功を手にするために必要なことについて、お話ししていきましょう。
まず一つ目、それは自信をもつこと。
これは男女問わず大事なことです。
でもただの自信ではありません。ポイントは﹁根拠のない自信﹂をもつことです。
根拠があれば自信をもつことはけっこう簡単にできると思います。でも、自信をもつた
めに根拠を作ろうとしていたら、いつまでたっても自信なんか持てません。
自信とは根拠がなくても持つものなのです。
だったら、その﹁根拠のない自信﹂をもつためにはどうすればいいのか。それには、ち
ょっとした頭の切り替えが必要になります。
﹁女の勘﹂という言葉があるように、﹁勘﹂とか﹁直感﹂みたいなものは、脳の作りから
しても男性に比べて女性の方が優れています。
論理や合理性が大切な男性にとって、根拠のない自信をもつことは難しいことかもしれ
ません。でも女性は、その優れた﹁勘﹂や﹁直感﹂を大切に伸ばしていくことで、根拠の
ない自信をもつことができるようになるのです。
また、第二章でご紹介するちょっとした工夫で、根拠のない自信をもつという感覚が少
しずつ身についていくことになると思います。
私は決して論理型の人間ではなく、むしろ直感型の人間です。というか、直感だけで生
きてきました。
そのため、﹁いける!﹂とピンときたら、自信満々になってしまいます。映画の脚本を
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書きかえるように、自然と未来がそうなると思うのです。そこに根拠なんかありません。
そういう意味でいうと、最も大きな根拠のない自信は、人生という一本の映画が必ずハ
ッピーエンドで終わるという確信があることかもしれません。自信という表現が当てはま
るかどうかはわかりませんが、たとえつらいことがあろうとも、人生は必ずハッピーエン
ドを迎えるものだと思っています。
私の結婚後の新居はボロボロの県営アパートでした。
玄関のドアは薄いアルミ製、閉まるときパシっと軽い音がしていかにも安物。壁にはヒ
ビが入っていて、地震がきたら今にも崩れそう。部屋の建具の建てつけも悪く、ふすまは
一度では開閉できないほど歪んでいるし、あらゆる建材がベニア、低い天井には昭和初期
の映画で観たような豆電球がぶらぶら揺れていました。
女性ならたいていの人は幸せな結婚に憧れると思います。ましてや、結婚後の新居はす
てきな家に住みたいと思うのではないでしょうか。
しかし、私の新居は三六〇度どこから見てもオンボロアパートです。こんなアパートに
住みたいと思う女性はいないでしょう。でも、私はそのオンボロ具合に胸がときめいてい
たのです。
初めてそのアパートの中へ足を踏み入れたとき、﹁サクセスストーリーの始まりはこう
でなくっちゃ!﹂という思いで、私は嬉しくて小躍りしそうでした。
映画でもドラマでも、サクセスストーリーには必ず困窮した時期のシーンがあります。
よりドラマチックにするためにはそういったシーンは欠かせません。そもそも始めから成
功していてはサクセスストーリーではなくなってしまいます。
玄関の薄いドアも、ヒビの入った壁も、ぶら下がった薄暗い豆電球も、全部が映画のワ
ンシーンのようで素敵に見え、そんな中で生活が始めることが本当に嬉しかったのを覚え
ています。
今思うと、あのときから、サクセスストーリーを歩んでいくという根拠のない自信が私
にはあったのでしょう。
12 13 第1章:女性のための成功法則
◎直感を信じてすぐに行動する
結婚してからというもの、私は主人が切り盛りする学習塾を手伝う主婦として、平凡な
生活を送っていました。
手づくりのギャザースカートに身を包み、小学生に国語を教えながら、子どもたちの笑
顔に癒される。そういった生活をしていたのです。
ブランド物をもつことも一流レストランで食事をすることもできませんでしたが、その
地域の子どもたちが集まる塾を夫婦で経営するのはそれなりに幸せでした。
しかし、育児も落ち着きはじめた二九歳のとき、私は転機を迎えることになります。
いつものように食事の片づけを終えた後、毎日のようにテレビばかりを見ている主人に
尋ねたのです。
﹁塾の建物を自社ビルにして、スクールバスを走らせるとかはどう?﹂
主人から返ってきた言葉は、﹁みんなが元気に食べていければいい⋮⋮﹂というもの。
それを聞いて私は、﹁ずっとこのまま?
男性って、ロマンを追うものじゃないの?﹂
と、愕然とした気持ちになりました。
そしてつぎの瞬間、こう思ったのです。
﹁それなら自分で自社ビルを建てよう!﹂
まさかこの思いつきがその後、年商一億円以上のビジネスをするきっかけになるとは夢
にも思っていませんでした。
と は い え、 い ま 振 り か え る と、 こ の﹁ じ ゃ あ、 私 が 建 て よ う ﹂ と 簡 単 に 思 っ た の は、
﹁思いついたことはすべて実現できる﹂という〝根拠のない自信〟があったからだと思い
ます。
この根拠のない自信をきっかけに私は動き出しました。
これまでと違うことをはじめるには、これまでとは違う人との出会いが必要だと考え、
自分自身のクオリティをあげ、向上心の高い人たちと出会うために、伝統的な成功哲学で
あるデール・カーネギーのセミナーに通うことにしました。
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そしてそのセミナー会場で、私の人生を変えることになる女性と出会ったのです。
その女性は四〇代半ば。おばさんのイメージとはかけ離れていて、体型の崩れはまった
くないし、まるで宝塚の男役のように凛としてとても輝いていました。
彼女は、テニスの朝練をしたいという娘の願いを叶えるために、広島市内にマンション
を購入し、そこから娘を広島大学に通わせているというのです。
﹁子供のやりたいことをこんな風に応援できるなんて、なんて素敵な女性なんだろう﹂
彼女の話を聞いてそう思いました。
さらに彼女は﹁舛岡さんの夢は何?﹂と問いかけてくれました。
﹁自社ビルが建てたいの!﹂と私が答えると、﹁いい夢ね!
叶うわよ﹂と返してくれた
のです。
これが決定打になりました。
﹁未来の可能性を見せてくれる人に会えた。この人のしていることをまねすれば、私の人
生もうまくいくかも!﹂
そんな気になり、彼女が手掛けている大手下着メーカーの契約代理店になるために、同
じ会社の特約店の契約から始めることにしました。
この直感は間違っていませんでした。
なぜなら、一セールスレディを経て、販売代理店の資格を得てからわずか数年後には年
商一億円以上を売り上げ、自社オフィス用のマンションを購入することができたからです。
◎根性、知識、スキルよりも豊かな感性を
﹁男は根性だ!﹂と言われ育ってきたようなタイプの男性は、あなたのまわりにも多いで
しょう。男性の間では根性論が根強いですし、根性のある男性に憧れる男性は多いもので
す。
また、一般的なビジネスパーソン向けの研修会や自己啓発のセミナーでは、﹁知識﹂や
﹁スキル﹂が伝授されます。書店に並ぶビジネス書の多くにも専門的な知識や﹁アポイン
トの取り方﹂﹁効率的な時間の使い方﹂といったスキルが書かれています。
16 17 第1章:女性のための成功法則
なぜ、これほどまでに根性論が定着し、知識やスキルが溢れているのかというと、成功
体験を語る人も、セミナーの講師や書籍の著者も男性が多いためであり、そして根性や知
識、スキルが男性にとって勝ちにいくための武器だからです。これは男性の習性や脳の作
りを考えるとうなずけます。
つまり、世の中で成功者やリーダーと言われているような人は男性ばかりなので、そん
な彼らが語る成功法則とは男性のための成功法則であるというわけです。
仕事における男性的な成果の出し方を簡単な公式で表すと、左記のようになると思いま
す。
根性×知識×スキル=成果
それでは、この公式を女性にあてはめるとどうなるでしょうか。
﹁女性も根性が大事だ!﹂と言って、﹁その通り!﹂と共感する方はあまりいないと思い
ます。体力で言えば男性に勝つことは難しいですし、根性で真正面から勝負というのは女
性としてちょっと受け入れ難いものです。
また、たしかに女性にも仕事をする上での知識やスキルは不可欠です。しかし、知識や
スキルは、すでに誰かによって実践され、証明されたものにすぎません。ある一定の成果
は収められるかもしれませんが、それは二番煎じの方法をなぞっているだけです。
二番煎じではなく、新たなものを創り出していくところに女性にとっての成果が待って
いると私は思います。
新たなものを創りだすのに必要なもの、それは正しく女性が持っている﹁豊かな感性﹂
に他なりません。
女性が男性と同じ土俵で頑張ろうとしても、それは男性の土俵なのですから男性にはか
ないません。女性は女性が本来持っている才能を活かした土俵で頑張った方が、よりスム
18 19 第1章:女性のための成功法則
ーズに成果を出せるものです。
仕事においても男性とは違い、女性にとって大切なことは女性がもつ﹁豊かな感性﹂を
活かすということなのです。
◎女性らしく成果を出す
職場などでこんな女性を見かけたことはありませんか。
プライベートを犠牲にしてスケジュールは仕事でぎっしり。オフは顧客の接待や職場の
付き合い。髪の毛は振り乱し、メイクもせずに必死に努力している女性。
彼女たちは〝男性化した〟女性と言えるかもしれません。
おしゃれをする時間すら惜しんで努力する姿には頭が下がりますが、けっして女性らし
さは感じられません。
あなたはそういった女性に憧れるでしょうか。いっしょに話をしたいと思うでしょうか。
自分をきれいに磨き、おしゃれを楽しみ、余暇を満喫している女性といっしょに過ごし
たいと思うのではないでしょうか。
可愛らしく、美しく装うことは女性の特権です。
いくら忙しくても、この特権を最大限に活かし、明るく楽しく過ごすことで、家族や友
人も集まってきます。仕事の上でのお客様も自然と集まってきます。これ以上にお得なプ
ロモーション方法はありません。
かつてオリンピックに華を添えた陸上選手に、米国のフローレンス・グリフィス=ジョ
イナーという女性がいました。
ソウルオリンピックでは金メダルを三つも獲得し、自身のもつ世界記録を更新し続けま
した。こうした成果を出すには並々ならぬトレーニングの日々があったはずです。
しかし、彼女は苦労をまったく感じさせないどころか、華やかで優雅な風貌でコースに
立ち、いつも観客の目を魅了していました。長い爪には真っ赤なマニキュア、背中まで伸
びた髪の毛はウェーブがきれいにかかり、行き届いたお手入れに私はいつも感心していた
20 21 第1章:女性のための成功法則
ものです。
スポーツ選手からイメージされる﹁努力﹂や﹁根性﹂といった言葉は微塵も感じられず、
多くのファンの視線を集め続けていました。
きっと彼女はこう思っていたはずです。
﹁一位になってゴールテープの前で手をあげたときに、きれいに撮影してもらえるはず﹂
そう思いながらおしゃれを楽しんでいるジョイナーの心の状態はとても良好で、自信に
満ち溢れていたのではないかと思います。そういった心の使い方が、彼女に金メダルをも
たらしたといっても過言ではありません。
あなたにも、このジョイナーのような美しさや華やかさをもちつつ、男性に負けないく
らいの成果を出す力が本来そなわっているのです。
◎競争していて楽しいですか?
男性の生き方として真っ先に思い浮ぶのは、他者との競争に勝つこと、そして成果をあ
げることではないでしょうか。
格闘技やスポーツ、将棋や麻雀といった勝ち負けがあることに熱中するのは女性に比べ
て男性の方が多いですが、そういったことは他者との競争に勝ち、成果をあげるという男
性らしい生き方を象徴しているからでしょう。
これは獲物をとってくることに喜びを覚える、という狩猟時代からの男性の習性だと言
えます。
もちろん、女性にとっても成果を得ることは重要です。
﹁競争に勝って成果を出すこと﹂に価値を置くキャリアウーマンの方もいらっしゃいます。
そういう人は、毎日ハイヒールのかかとをすり減らしながら営業に出向くような努力家
タイプです。同時に、月の売上額を確認しては同僚に勝っていることを最大の喜びと感じ
るような勝負師タイプでもあります。
そのため、彼女たちは競争に勝つためにとがむしゃらに走り続けるでしょう。
22 23 第1章:女性のための成功法則
でも、元来、女性は平和や調和を求める生き物。人との﹁勝ち負け﹂や競争という考え
方に価値を見いだすことは、女性の習性という点からするとあまり馴染むものではありま
せん。
出かければ靴を片方落としてくるドジなシンデレラ、眠っているだけで王子様に見初め
られる眠りの森の美女、どうしても人間になりたくて薬を飲む決心をする人魚姫。
多くの女性が幼いころに胸をときめかせた物語に登場する女性の在り方は、お掃除をし
ていただけでも、寝ていただけでも、恋した王子様に会いたいだけでも、ハッピーエンド
をイメージして暮らしているといい結果になると教えてくれています。どのヒロインも誰
とも戦わずして夢を実現しているのです。
それに眉間にしわを寄せ、目の下にクマを蓄えながら他者との勝ち負けにこだわってが
むしゃらに競争する姿は、美しいものとは言えませんし、一般的に女性が憧れるものでは
ないでしょう。
調和を好むという女性の習性は、仕事をする上でもあてはまるものだと思います。そし
て、調和を大切にする女性だからこそ大きな成果をあげられるでしょう。
私がセールスレディの仕事に本気で取り組もうと思ったのは、営業のコンテストに入賞
した方たちのために年一回開かれる授賞式に参加したことがきっかけでした。
コンテストに入賞した方たちに、お祝いの気持ちを込めて、一生懸命に拍手をしていた
ら、気が付くと手が真っ赤になってとても痛くなってしまいました。手はひりひりして痛
いけど、お祝いしなきゃと拍手を続けていたとき、ふとある思いが私の頭をよぎったので
す。
﹁また来年もこんなに手が痛くなるのはつらいから、来年は拍手しなくても済むように拍
手してもらう側になろう。来年から私も壇上にあがる!﹂
入賞したセールスレディの方たちをお祝いしようと一心不乱に拍手したことが、ナンバ
ー1セールスレディへの道の始まりでした。
それからの私は、キャリアウーマンという役を楽しく演じる女優ように、ワクワクしな
24 25 第1章:女性のための成功法則
がら一生懸命仕事をしていきました。
たくさんの方と出会い、お会いした方とはそのままお友達になり、そのお友達と楽しく
ワイワイやりながらセールスの仕事をしていったのです。
そして気がつけば、新規会員獲得数が二年連続で全国一位となっていました。その数は
年間一〇〇人以上、つまり二日に一回は新しいお客さまに出会い、契約をしていただいて
いたことになります。この記録は現在でも更新されていません。
また最終的には在籍中、一〇億円を売り上げることができました。
でも、私には誰かに勝とうという競争意識とか、とにかく売上のためにがむしゃらにと
いった感覚はありませんでした。キャリアウーマンという役を楽しく演じていたら、気が
つくとこんな結果になってしまっていた、という感覚だったのです。
﹁やり手よ、舛岡さんは﹂なんて同僚から言われることもありましたし、たくさんのセー
ルスレディの方が私から何かを学ぼうとわざわざ会いに来てくださいました。
でも、それには違和感があったのをいまでも覚えています。時間をとって来てくださっ
たのに、教えるほどのことをやってきたという感覚がなかったので、﹁こんなことでいい
の?﹂と、ちょっと申し訳ない感じがしたほどです。
ですが、これが役に立つならと、ありったけのことをすべて公開しました。私なりのお
客様との接し方や商品の説明の仕方はもちろんのこと、使って成功したツールもコピーも
全部もって帰ってもらったのです。
こ の ように、女性は本来、競争に勝つということに価値を見いだしません。むしろ、
﹁友人ができた﹂﹁心がつながった﹂﹁あの人と一緒にあんなことができた﹂といったこと
に喜びと感じるものです。
ですから、仕事でもそういった喜びを感じるようなやり方をする方が、大きな成果へと
つながっていくものだと思います。
26 27 第1章:女性のための成功法則
◎女性としてのアンテナをクリアにする
これまで仕事の話を中心にご説明してきましたが、今度は仕事という枠を超えて人生や
生き方についてお話しします。
女性としての成功を考えた場合、家事、育児を立派に成し遂げるということが重要とな
ってきます。
なぜなら、女性は人類の誕生からずっと家事・育児の役割を担ってきたので、これらを
きちんとこなすことで女性が本来もっている力が発揮され、そして女性としての魅力を磨
いていくことができるからです。
そのためにも、まずは衣食住をきちんと整えることが大切になります。
私は、女性にはみんな女性としてのアンテナをもっていて、衣食住をきちんと整えるこ
とでこのアンテナをクリアにすることができると考えています。
反対に、衣食住が乱れているとこのアンテナは曇ってしまうのです。
これまでに﹁根拠のない自信﹂をもつこと、﹁豊かな感性﹂を活かすことについてご説
明してきましたが、この二つは女性としてのアンテナをクリアに保っていることが前提条
件となります。
いくら仕事ができても、洋服やおしゃれには無関心、家に帰ると部屋は汚れて散らかり
放題、料理はコンビニのお弁当、といった女性を素敵だと感じるでしょうか。
おしゃれを楽しみ、住まいを清潔に保ち、そして愛情のこもった美味しいお料理を食べ
る。こういった生活習慣を継続していくことで、女性としてのアンテナはどんどんとクリ
アになっていきます。
男女問わずアンテナがクリアな女性に魅力を感じるものです。そして魅力的な女性ほど
愛される存在になっていくのです。
こういった衣食住の状態やアンテナの状態は顔立ちにも表れるものです。いい顔をした
女性というのはそういったところをきちんとしている女性です。
だから、女性としての成功を考える場合、まずは衣食住を整えることが何よりも基本と
28 29 第1章:女性のための成功法則
なります。
◎男性のマネではない女性のための成功法則
これまでお話ししてきたように、男性と女性とではその習性から脳の作りまでいろいろ
な違いがあるものです。
にもかかわらず、女性であるあなたが、男性のための成功法則で夢を叶えようとすると
どうなるでしょうか。
なかなか自信をもつことができず、仕事では知識とスキルの詰め込みに目が行きがちに
なり、そしておしゃれや家事といったことが疎かになっていくかもしれません。
男性のために作られたものに女性が何とか合わせようとすること自体、ちょっと無理が
あるのです。
女性が本来もっている才能を十分に発揮し、女性としての魅力を高めていくことが成功
への近道です。そのために必要なのは男性によって作られた男性のための成功法則ではな
く、女性によって作られた女性のための成功法則です。
そこで、私はこれまでの経験から、女性のための成功法則として以下の四つを提案しま
す。
根拠のない自信をもつこと
豊かな感性を活かすこと
勝ち負けよりも調和と感謝を大切にすること
衣食住を整えること
それでは、次章からこの四つについて、さらに詳しく説明していきましょう。
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