社会保険労務士法詳解 - 全国社会保険労務士会連合会

2013
9
東京会と共催で
1 「中国 労働保障監察行政官研修」を開催
TOPICS
JICA(独立行政法人国際協力機構)の要請に
改めて感じるところであった。
より、7月30日、東京會舘(東京都千代田区)に
最後に、閻宝卿労働監察局局長から、
「社会保険
おいて、日本の厚生労働省に相当する「中華人民共
労務士は正に企業の労務問題を解決する専門家とし
和国人力資源和社会保障部」の閻宝卿労働監察局局
てプロフェッショナルな仕事をしており、これまで
長をはじめとする12名への研修に、東京都社会保
多くの国を視察してきたが日本の制度は特別である
険労務士会との共催事業として協力した。
と感じた。今後、中国において頻発する労働問題の
今回の研修は、中国における労働保障監察の確立
解決に向け、ぜひ参考とし役立たせていきたい」と
に向けた具体的事例や手法について考察するため、
のお言葉を述べられた。
社会保険労務士制度に対する知識と理解を深めるこ
今後も積極的な交流を図り、意見交換を行ってい
とを目的として行われた。
くことが確認され閉会となった。
はじめに大西会長が歓迎のあいさつを行った後、
東京都社会保険労務士会大野会長(連合会副会長)
が「社会保険労務士制度」、「社会保険労務士の役
割・活動」について講義を行った。参加者からは、
「社会保険労務士がなぜ労働者と使用者の双方から
信用と信頼を得ることができ、公平な立場で仕事を
することができるのか」というような実務的な質問
が多数寄せられた。会場は熱心な議論が展開され、
質疑応答の時間が足りないほどの充実した研修とな
り、社会保険労務士制度に対する高い関心と評価を
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52
社労士制度国際化事業報告
JICA研修「中華人民共和国
『労働保障監察行政官研修』
」の実施に協力
連合会は独立行政法人国際協力機構(JICA)か
大野副会長、山本副会長、帆士副会長をはじめとす
らの要請を受け、2014年8月25日(月)に東京會舘
る社労士制度推進戦略会議国際化部会委員に加え、
(東京都千代田区)において開催されたJICA研修
東京会の副会長4名の計15名が出席した。
「中華人民共和国『労働保障監察行政官研修』
」への
研修会の開始にあたり、大西会長が歓迎の挨拶を
実施協力を行った。
述べ、社労士制度が誕生して今年で46年を迎えるこ
中華人民共和国(以下「中国」という)との国際
と、社労士は労働・社会保険及び人事・労務管理に
交流事業については、2008年6月30日の社会保険労
関する専門家であるとともに、企業における労務管
務士制度創設40周年記念国際シンポジウムにおいて
理を通じて労働紛争の未然防止に大きく貢献してお
「国際活動推進宣言」が採択されて以来、2010年及
り、現在の日本では集団的労働紛争は年々減少して
び2011年の2回にわたる中国人力資源和社会保障部
いること等を説明した。一方で、近年増加している
(日本の厚生労働省に相当)への訪問等積極的に行
個別労働紛争については、特定社労士が労働者及び
わ れ て い る が、 本 研 修 は、2013年1月 か ら3年 間、
経営者のあっせんの代理を担うことができること、
JICAと中国人力資源和社会保障部が厚生労働省の
また、あっせんを行う民間型認証ADR機関として
協力を得て、中国の労働保障監察(日本の労働基準
「社労士会労働紛争解決センター」を連合会及び都
監督に相当)制度の強化を目的として実施する「労
道府県社労士会が運営していることを紹介した。
働保障監察プロジェクト」事業の一環として行われ
続いて大槻最高顧問より、日中間の国際交流事業
るものであり、昨年度に続き2回目の実施となる。
として2011年に北京を訪問した際、人力資源和社会
今回、中国側は趙森人力資源和社会保障部労働監
保障部をはじめ、関係各機関と社労士制度の意義及
察局監督課長を団長とする人力資源和社会保障部の
び労務管理の重要性について意見交換を行ったこと
幹部4名及び同プロジェクトのパイロット地区を中
に触れ、今後もお互いに良好な協力関係を継続した
心とした地方の労働保障監察機関(北京市、天津市、
い旨挨拶が行われた。
山東省、湖北省、広西壮族自治区、雲南省、陝西
これを受けて趙課長は、中国では2011年7月に社
省)7名の訪問団に加え、同プロジェクトチーフア
会保険法が施行されて3年が経過しているものの、
ドバイザーとして中国へ赴任中の岸川正次郎氏(厚
具体的な実施や管理体制において様々な課題が挙が
生労働省より派遣)及びJICA研修監理員の計13名
っており、これらを検討しながら制度の整備や運用
が出席し、連合会からは、大西会長、大槻最高顧問、
を進めている段階であること、また、今回の訪問の
趣旨として、日中
両国の経済をさら
に安定的に発展さ
せ、国民の生活の
質を向上させるた
めに、日本の労働
基準監督制度に関
する豊富な経験を
学び、中国におけ
研修会の模様
2014.10
連合会幹部挨拶
8
JICA研修「中華人民共和国
『労働保障監察行政官研修』
」の実施に協力
る労働保障監察制度の更な
いて社労士の活動が社会全体を活性化させた事実を
る強化を図りたい旨説明が
踏まえ、連合会及び都道府県社労士会のような組織
なされた。
体制を大いに参考にしていきたいとの意見が示され、
研修では、大野副会長よ
連合会の組織体系・事業の運営方法及び行政との関
り、
「社労士の役割・活動」
係、さらには社労士の実務に関する詳細な質問も多
講義を行う大野副会長
について、連合会作成の社
く寄せられる等、予定時間を超過するほどの熱心な
労士制度紹介冊子を用いて講義が行われた。
やりとりが行われた。
まず、1968年に社労士法が制定された背景として、
〔主な質問内容〕
戦後復興期に労働三法が成立したこと、その後の高
・社労士業務の中で、どのような業務の割合が最も
度経済成長期に創設されたことに触れ、労働社会保
多いか
険諸法令の円滑な実施に寄与すること、事業の健全
・社労士と企業との契約、報酬の支払いについては
な発達と労働者等の福祉の向上に資することが社労
どのようになっているか
士の責務であることを説明した。
・社労士による労働紛争解決手続代理業務と、社労
続いて、社労士の広い範囲に及ぶ具体的な業務内
士会による労働紛争解決センターとはどのような
容として、労働社会保険手続業務、労務管理の相談
関係になっているのか
指導業務、紛争解決手続代理業務、年金相談業務な
・社労士法の制定以前に同様の職業が民間に存在し
ど、それぞれの業務について丁寧に説明を行った。
ていたか
特に、労務管理の相談指導業務については、企業
・社労士及び連合会・都道府県会と行政との関係は
経営の3要素である「ヒト、モノ、カネ」のうち、
どのようなものか
最も大切な「ヒト」がいきいきと働ける環境をつく
・社労士と企業との信頼関係について
ることが企業の生産性を高めることに繋がることか
・法定団体である連合会及び都道府県会の運営やそ
ら、企業のコンプライアンス体制の整備のみならず、
の役割について 等
人材マネジメントとしての視点から、
「ヒト」の配
最後に趙課長から、「講義及び質疑応答において
置や処遇の最適化についてサポートを行い、労使紛
非常にわかりやすく丁寧な説明を行っていただき、
争の未然防止にも貢献していることを話した。
日本の社労士制度について理解が進むとともに、訪
大野副会長は、日本における人事労務管理体系の
問の目的を達することができ、内容の濃いものとな
変化や、年金制度が複雑化していく中で、「労働・
った」との感謝の言葉が述べられた。その後、出席
社会保険及び人事・労務管理に関する専門家として、
者全員で記念撮影を行い、研修会は閉会した。
事業主に法律の考え方や働く方々の福祉の向上とい
急速な市場経済化と経済発展が進む中国において
う視点からも助言を行うことで、企業における様々
は、日本の社労士制度の果たす役割は大きいことを
な問題点を未然に防止することが、私たち社労士の
確信するとともに、社労士制度の理解促進・普及に
使命である」と講義を結んだ。
向け、今後も交流を継続し、関係をより一層深めて
その後の質疑応答では、今後、中国政府が民間組
いきたい。
織の能力の活用を見据えていることから、日本にお
趙課長と大西会長
出席者全員による記念撮影
9
2014.10
社労士制度国際化事業報告
JICA研修「インドネシア被用者保険
本邦研修」の実施に協力
連 合 会 は、 独 立 行 政 法 人 国 際 協 力 機 構( 以 下
険を2019 年までに達成するという政府目標を実現
「JICA」という)からの要請を受け、本年8月23日
するためには、効果的な制度の適用拡大・保険料徴
から9月5日まで、インドネシアの社会保障制度強
収とともに制度の安定運営を進める必要がある。今
化を目的として開催された、
「JICAインドネシア被
般の研修は、特に、被用者保険(労災給付、老齢給
用者保険本邦研修」において、研修実施受託機関と
付、年金、死亡補償)にかかる中央政府の政策立案
して実施協力をした。
担当官や地方担当官計22名を招聘し、主に日本の被
今回の研修は、これまで積み重ねてきたインドネ
用者保険の運用・経験に関する研修を行った。
シア政府各機関、JICA及び日本の関係各機関との
連合会では、2008年6月30日に京都において開催
緊密な連携及び社労士制度の有用性が評価され、2
された社会保険労務士制度創設40周年記念国際シン
週間にわたって東京と大阪で開催された研修の企
ポジウムで「国際活動推進宣言」を採択してから7
画・運営及び実施を連合会が担うこととなったもの
年が経過し、国際化事業を5本の柱の1つとしてい
である。
る社労士制度推進戦略室を設置してから2年を迎え
現在、インドネシアでは、すべての国民に最低限
るが、JICAとの間では、2010年には「労使紛争の
の生活を保障するため、国民皆保険達成に向けた取
防止と解決」をテーマとしたインドネシア政府労働
組みを進めている。本年1月から医療給付、本年7
移住省幹部へ向けた研修会を開催して以来、様々な
月から新たな労災給付、老齢年金死亡保障の社会プ
形で、協力関係を強化してきたところである。
ログラムが整備され、実施機関も設立したが、約1
特に直近においては、2013年からは3回にわたり
万3千島を擁する国土で、約2億5千万人 の皆保
社会保障制度担当行政官からなる訪問団を受け入れ、
7
2015.11
「日本の社会保障制度」
、
「日本の労務管理」
、
「個別
理事、労働省労使関係・労働者社会保障総局労働者
労働紛争」
、
「労働保険の適用・徴収」
、
「勤労者財産
社会保障課長、国家開発計画庁労働・雇用機会創出
形成貯蓄制度」
、
「社労士制度」について等、様々な
局局長、国家社会保障審議会事務局総務課課長、労
要望に応えた講義やディスカッションを実施してき
働者社会保障機関適用管理課課長補佐、人材開発・
たところである。
文化調整大臣府貧困削減・公的保護担当次長、人材
社労士は、労働社会保険諸法令の専門家として我
開発・文化調整大臣府貧困削減・公的保護担当次長
が国唯一の国家資格であることから、社労士制度の
補佐官、財務省国家予算政策センター国家歳出・財
有用性が広く世界に認知されることは、社労士にと
政政策課課長、財務省資金調達リスク管理総局財政
っても極めて重要な意味を有している。
リスク管理局リスク緩和課課長、他11名
このように国際化事業を通じて社労士の国際的な
地方政府機関:中部ジャワ州政府労使関係・社会保
評価を高めていくことは、グローバル化の流れの中
障・移住・市民担当課長、西ジャワ州政府労働移住
で社労士制度が変化に耐えて成長し続ける原動力と
局局長、アチェ州政府労働・人口動態局局長
なること、また、今後予測されるアジア諸国での皆
合計22名
保険・皆年金化の先駆けとしてインドネシアへの支
援事業を推進することは、アジア諸国のみならず、
研修内容
ひいては広く世界に社労士制度の有用性を認知して
もらう大きな契機となることから、連合会は、社会
8月24日(月)13:30∼14:00
保障の適用拡大や制度の安定運用について、社労士
オリエンテーション
が日本で培った経験をもとに、インドネシアが直面
している困難な課題への挑戦を側面支援していくこ
ととしている。
今般の研修内容 大きな4つのテーマ
①日本の社会保障制度について(プログラム、運用
機関(法的根拠、義務、執行)、運用のメカニズ
ム、国内の社会保障制度管理者の省庁・関係機関
間の協力について、社会保障協定等)
②労働保険の適用拡大プロセスと保険料徴収のメカ
大西会長の挨拶
ニズム
ミラ団長の挨拶
③年金制度(年金制度の安定運用に関わる年次政策、
連合会大西会長より、歓迎の挨拶があり、ミラ・
年金ファンドの管理と監督、年金ファンドのリス
マリア・ハナルタニ団長から「インドネシアの社会
ク管理、年金制度における法執行、年金実施初期
保障制度をより良く強化していくために、日本の社
の制度構築とスキーム、年金加入とその資格取得、
会保障制度についてきちんと学んでいきたい」と訪
年金制度の年次運営関係、加入者の保険料徴収の
日実現についての感謝の意と日本での活動への期待
メカニズム、情報、データの安全管理等)
を込めた挨拶があった。続いて、今般の研修の業務
④社労士制度(日本の社会保障制度と社労士制度の
総括者である、連合会国際化推進特別委員会小野佳
役割、社労士との協力による未適用事業所への適
彦委員が、今般の研修の趣旨・研修内容概要と研修
用促進のアプローチ、社労士との協力による集合
の目標として、研修最終日に「今回日本で学んだこ
受理等)
と」と「インドネシアの現状の中でどのように活か
していくか」等を最終的にパワーポイントにまとめ、
研修員メンバー
グループごとに発表すること等を説明した。
インドネシア政府機関:労使関係専門資格認定機関
2015.11
8
JICA研修「インドネシア被用者保険
本邦研修」の実施に協力
8月24日(月)14:00∼16:00 備すべき条件、公的年金制度のかたちや内容を決
講義:【年金綜合研究所①】年金制度(1)
める前提・要素、また日本の年金制度がどのよう
講師:一般社団法人年金綜合研究所 坪野剛司 理
に変遷してきたのか等を説明。
事長
〇質疑応答:退職金制度と年金制度の関係、自営業
〇現在の日本の年金制度の特徴、公的年金制度が具
者や配偶者の制度加入、年金制度導入時の保険料
●スケジュール
日付
時刻
研修内容
講師
8/23(日)
来日
10:00∼12:30
8/24(月) 13:30∼14:00
ブリーフィング
オリエンテーション
連合会国際化推進特別委員会小野佳彦委員
14:00∼16:00
【年金綜合研究所①】年金制度(1)
一般財団法人年金綜合研究所坪野剛司理事長
9:30∼12:00
【厚労省①】労働保険料の適用プロセスと徴収のメカニズム
厚生労働省
【厚労省②】日本の社会保障制度
厚生労働省
【連合会①】連合会レセプション
9:30∼12:00
【連合会②】社会保障制度実施における社労士の役割
連合会国際化推進特別委員会小野佳彦委員
14:00∼17:00
【厚労省③】国内の社会保障制度管理者の省庁・関係機関
間の協力
厚生労働省
8/25(火) 13:30∼16:30
18:00∼20:00
8/26(水)
9:30∼12:00
中間振り返り1
連合会国際化推進特別委員会小野佳彦委員
【連合会③】社会保障制度を含めた日本の労働関係法制度
について。またその中の社労士の役割
連合会大槻哲也最高顧問
16:00∼17:00
【連合会④】連合会会館視察
14:00∼16:00
【連合会⑤】視察 日本企業
日本企業担当者
17:30∼20:00
【連合会⑥】意見交換会
9:30∼12:00
【大阪労働局①】事例研究
大阪労働局総務部労働保険適用・事務組合課
13:30∼15:00
【連合会⑦】社会保険労務士が果たしてきた役割
連合会飯田政信副会長
9:30∼12:00
【連合会⑧】年金制度(2)
・年金加入とその資格取得
・年金制度の年度における運用関係
連合会街角年金相談センター運営本部総括部長
13:00∼17:00
【連合会⑨】年金制度(3)
・加入者の保険料徴収のメカニズム
・情報、データの安全管理
連合会街角年金相談センター運営本部総括部長
8/27(木) 14:00∼16:00
8/28(金)
8/31(月)
9/1(火)
連合会国際化推進特別委員会小野佳彦委員
9:30∼11:30
中間振り返り2
連合会街角年金相談センター運営本部総括部長
9/2(水)
13:30∼15:00
【厚労省④】社会保障協定 厚生労働省
15:00∼17:00
【厚労省⑤】年金制度関連
厚生労働省
10:00∼12:00
【連合会⑩】視察(街角の年金相談センター)
街角の年金相談センター横浜
9/3(木)
9/4(金)
9/5(土)
14:00∼18:00
グループ・ディスカッション及びディスカッションノートの作
成
連合会国際化推進特別委員会小野佳彦委員
10:30∼12:30
ディスカッションノートの発表
JICA本部担当者、連合会
13:30∼15:00
研修成果評価会
JICA本部担当者、連合会
15:00∼15:30
修了式
JICA本部担当者、連合会
帰国
9
2015.11
について、
(インドネシアで設定されている)保
8月26日(水)9:30∼12:00
険料割合について、
(インドネシアで導入された)
講義:【連合会②】社会保障制度実施における社労
平均寿命と年金制度に関する自動バランス制度に
士の役割
ついて等。
講師:連合会社労士制度推進戦略会議国際化部会 小野委員
〇日本の社会保障制度の概要、今般の研修で取り扱
う範囲の再確認及び今般の研修で取り扱う制度と
社労士制度の関係等を説明した。
〇質疑応答:退職金と雇用保険制度について、雇用
保険の失業給付、経済不況時の失業対策としての
社会保険制度の役割、徴収・滞納整理・差し押さ
年金綜合研究所坪野理事長(前列右)との記念撮影
え、社労士の労働局等との行政協力、社労士の役
8月25日(火)9:30∼12:00
割の変遷(特定社労士、補佐人業務等)。
講義:【厚労省①】労働保険料の適用プロセスと徴
収のメカニズム
8月26日(水)14:00∼17:00
講師:厚生労働省労働保険徴収課担当官
講義:【厚労省③】国内の社会保障制度管理者の省
〇日本の労働者災害補償保険制度及び雇用保険制度
庁・関係機関間の協力
(概要、保険料申告・納付の方法、保険料徴収の
講師:厚生労働省 総括審議官(国際担当)
仕組み、加入状況や収納状況のデータ等)につい
〇8月25日の講義に引き続き、日本の各社会保険制
て説明。
度がどの機関に実施されているか、また各機関と
〇質疑応答:労災保険の制度(加入、給付、保険料
の協力体制及び関わり合い等について説明。
徴収の仕組みなど)、少子高齢化による各社会保
〇質疑応答:介護保険、後期高齢者医療、成年後見
障制度への影響、各制度の財源と保険料とのバラ
人制度、雇用保険の財政、社会保障協定等。
ンス等。
8月25日(火)13:30∼16:30 講義:【厚労省②】日本の社会保障制度
講師:厚生労働省 総括審議官(国際担当)
〇日本の社会保障制度の概要(種類、目的、適用、
保険料、給付等)及び各制度の担当・実施機関等
講義後の記念撮影
について説明。
8月27日(木)9:30∼12:00
〇質疑応答:日本の各社会保障制度の関わり合い、
インドネシアの現状との比較、少子高齢化、諸外
中間振り返り1
国において日本の制度を参考にした事例、民間保
〇これまでの講義での疑問点の洗い出し、キャッチ
アップ及び今後の研修の流れを説明し、研修員の
険と公的年金との違い等。
疑問点と今後の講義へのリクエストをヒアリング
をした。
〇質疑応答:年金制度の3階建ての構造について、
年金制度の変遷、行政の業務と社労士業務との兼
ね合い、厚労省の業務とインドネシア労働省がカ
バーしている業務・業務量の違い等。
厚労省勝田総括審議官の講義
2015.11
10
JICA研修「インドネシア被用者保険
本邦研修」の実施に協力
8月27日(木)14:00∼16:00
合、労働保険未適用対策、滞納整理の目的や流れ
講義:【連合会③】社会保障制度を含めた日本の労
等について説明。
〇質疑応答:財産差押、事業主が滞納している間の
働関係法制度について。またその中の社労士
の役割
従業員への労災保険などの適用、保険料納付方法、
外国人への適用等。
講師:連合会 大槻哲也 最高顧問
〇日本の社会背景と各社会
保険制度・労働社会諸法
令の変遷に伴う社労士制
度の変遷を説明し、日本
の経験を共有した。
〇質疑応答:社労士試験や
社労士登録について、社
大阪労働局における講義
労士としての仕事の取り
組みかた、行政官の業務
大槻最高顧問の講義
との兼ね合い、労働紛争調整について等。
8月27日(木)16:00∼17:00
視察:【連合会④】連合会会館
〇連合会の事業と業務について説明を行い、各フロ
大阪労働局での記念撮影
アをまわり、実際にどのような業務をしているの
8月31日(月)13:30∼15:00
か視察した。
講義:【連合会⑦】社会保険労務士が果たしてきた
役割
講師:連合会 飯田政信副会長(大阪府社会保険労
務士会会長)
〇社労士制度の変遷、社労士の業務、社労士が具体
的にどのような行政協力をしてきたか、等につい
て説明。
〇質疑応答: 行政協力の種類・流れ、各保険制度
と社労士の関わり等。
会館視察
8月28日(金)14:00∼16:00
視察:【連合会⑤】日本企業
〇事業内容について、工場見学等。
〇質疑応答:労災発生率について、社労士との関わ
りについて等。
飯田副会長の講義後、大阪会会議室にて
8月31日(月)9:30∼12:00
視察:【大阪労働局①】事例研究
9月1日(火)9:30∼12:00
講師:大阪労働局総務部労働保険適用・事務組合課
講義:【連合会⑧】年金制度(2)
〇大阪労働局の組織、労働保険制度(労働保険料徴
講師:連合会街角の年金相談センター運営本部総括
部長
収の仕組み、労働保険適用等)、労働保険事務組
11
2015.11
〇日本の公的年金制度(概要、組織体制、厚生年金
9月3日(木)10:00∼12:00
の保険料適用徴収の流れ)等について説明。
視察:【連合会⑩】街角の年金相談センター横浜
〇質疑応答:公的年金制度の構造、日本社会の基本
〇街角の年金相談センター横浜を訪問し、運営の仕
データ(平均所得等)、保険料徴収の仕組み、標
組み等を説明。
準報酬月額の上限決定の経緯等。
〇質疑応答:相談件数、相談内容、運営の流れ、連
合会との関わり等。
9月1日(火)13:00∼17:00
講義:【連合会⑧】年金制度(3)
9月3日(木)14:00∼18:00
講師:連合会街角の年金相談センター運営本部総括
グループディスカッション及びディスカッションノ
ートの作成
部長
〇昨日に続き、多くの質問が寄せられた日本の公的
〇各グループに分かれ、ディスカッションとディス
年金制度について再度説明するとともに、年金記
カッションノートの作成及び発表の準備をした。
録漏れ問題や街角の年金相談センターの運営等に
9月4日(金)10:30∼12:30
ついても説明。
ディスカッションノートの発表
〇質疑応答:公的年金制度の三段構造について、年
金相談センター運営の仕組み、個人情報のデータ
〇グループ1の発表内容及び意見:
管理について等。
・今回の研修で興味深かったのは、雇用保険、介護
保険が日本にあること。インドネシアも高齢化に
9月2日(水)9:30∼11:30
入っているのでいずれ介護保険制度のようなもの
中間振り返り2
が必要になるかと思う。
・日本でのマクロ経済スライドも学ぶべきものがあ
〇これまでの講義の振り返りと各研修員において理
った。
解に差異がある点について検討。
・重要だと思ったのは社労士の役割である。インド
〇質疑応答:加入促進の仕組み、少子高齢化、年金
ネシアの60%を占める中小零細企業の救済のため
制度の財源等。
に、有用だと思った。
9月2日(水)13:30∼15:00
・労働者社会保障実施機関の支部で街角の年金相談
講義:【厚労省④】社会保障協定
センターのような相談機関を設けたい。
講師:厚労省年金局国際年金課担当者
・日本とも社会保障協定を結びたい。
〇日本の社会保障協定(背景、仕組み等)について
・帰国後、研修員のメンバーと会合を開き、今回の
説明。
研修内容を今後のインドネシアでどのように生か
〇質疑応答:社会保障協定の必要性、締結までのプ
すか検討するために、話し合いを持ちたい、等。
ロセス等。
9月2日(水)15:00∼17:00
講義:【厚労省⑤】年金制度関連担当者
講師:厚労省年金局参事官室担当者、厚労省年金局
年金課担当者
〇公的年金制度等について説明。
〇質疑応答:公的年金制度の財政(国庫負担、マク
ロ経済スライド、少子高齢化、リスク管理等)、
リスク管理や運用の委員会、公的年金制度の情報
グループ1の発表の様子
セキュリティ、定性評価等
2015.11
12
JICA研修「インドネシア被用者保険
本邦研修」の実施に協力
〇グループ2の発表内容及び意見:
顧客企業から、社労士が具体的にどのような面に
・インドネシアの社会保障制度と関係行政機関の状
おいて企業に貢献しているかについて具体的な話
を伺いたい。
況と制度加入者数が低迷している要因やインフォ
ーマルセクターには新しい社会保障制度が普及し
・(BPJSの者から)今回の研修は本当に完璧だった。
ていない等、課題を説明。
社会保障の内容も充実しており、年金についても
・日本でも社会保障制度発足時は適用拡大に理解が
我々にとって目新しいことを多く学んだ。予想外
得られなかった時期があったそうだが、社労士制
だったのは、事務手続についても、徴収制度や納
度が問題解決に大きく寄与し、結果として適用拡
付制度について様々なシステムがあることだ。全
大がなされた。
体像も良く、研修内容も良く理解できた。
・社会保障制度や労使関係に関わる職業能力資格制
9月4日(金)15:00∼15:30
度の構築について説明。
修了式
〇各研修生に修了証書をJICA本部担当者らが手渡
し、今般の研修が全て無事終了した。
グループ2の発表の様子
〇JICA本部担当者からのコメント:
・短期間にも関わらず日本の制度とインドネシアの
修了式の様子
制度比較を行っていたことに感銘を覚える。帰国
後も皆様の間でこういった関係を続けていただき
総括
たい。JICAとしても引き続き協力していきたい。
今回の研修は、インドネシアで新制度が始まった
9月4日(金)13:30∼15:00
被用者保険について、特に年金制度の適用拡大と労
研修成果評価会
働保険料の徴収についてや日本の経験について重点
〇研修員からの意見
的に説明を行うとともに、社労士制度の有用性につ
・今回のように様々な省庁が参加することによって、
いても十分説明させていただいた。研修員の構成と
様々な考え方を知る機会となり、それにより全体
して、様々な省庁・機関から来日いただき、それぞ
像を把握することができた。社会保障は実施の部
れの担当業務に関する質問を寄せられ、評価アンケ
分だけでなく、政策立案や企画、貧困解消等の政
ートや評価会でも相当の評価を得ることができた。
策立案部門など様々な省庁・機関が関わっている。
JICA本部担当者の皆様、JICA東京ご担当者の皆様、
また、ぜひ日本との社会保障協定について進めて
一般社団法人年金綜合研究所坪野剛司理事長、勝田
いきたい。
智明総括審議官(国際担当)をはじめとする厚生労
・今回の研修を通じて社労士の役割について学び、
働省の皆様、大阪労働局の皆様をはじめ、多くの関
社会保険の適用拡大、労使紛争解決に非常に効果
係各機関の皆様にご協力いただいたことについて、
的だとわかり、大変興味を持った。社労士の実務
心より感謝いたしたい。
的な部分についても更に深く学びたい。社労士の
13
2015.11
社労士制度国際化事業報告
J
ICA「中国労働保障監察行政官研修」
の実施に協力
∼社会保障制度の円滑な運用及び適正な労務管理の
側面支援を担う国家資格者としてアピール∼
連合会は8月10日(月)
、JICA東京(東京都渋谷
区)において、JICA「中国労働保障監察行政官研修」
における講義を実施した。
本研修は、中国の労働保障監察(日本の労働基準
監督行政に該当)能力の強化を目的として、JICA
と中国人力資源・社会保障部(日本の厚生労働省に
相当)が厚生労働省の協力を得て実施している「労
働保障監察技術協力プロジェクト(期間:2013年1
月∼2016年1月)」活動の一環として、中国の労働
保障監察員を中心とする本邦研修であり、これまで
2回実施されている。
研修の模様
連合会では、JICAの要請により、一昨年、昨年と、
チーフアドバイザーとして中国へ赴任中の岸川正次
「社会保険労務士の役割及び活動について」をテー
郎氏(厚生労働省より派遣)及びJICA関係者の計
マとした講義を実施してきたところであるが、本年
15名が出席し、連合会からは、大西会長、大槻最高
も引き続きJICAより同講義の実施要請がなされた
顧問、山本副会長、帆士副会長、大野参与、小野佳
ものである。
彦社労士制度推進戦略会議国際化部会委員等計8名
当日は、何 雪 飛 人力資源・社会保障部労働監察
が出席した。
局総合処調査研究員を団長とする人力資源・社会保
冒頭、両国の代表挨拶があり、連合会からは大西
障部の幹部4名及び同プロジェクトのパイロット地
会長が、中国側からは何団長がそれぞれ挨拶を述べ、
区を中心とした地方の労働保障監察機関(雲南省、
その後、小野委員を講師として講義が進行した。
黒竜江省、河北省、山西省、陜西省、福建省、湖南
まず、社労士の定義として、社労士法に基づく国
省、貴州省)8名の訪問団に加え、同プロジェクト
家資格であり、会員数は約40,000人に達すること、
また、社労士誕生の歴史的背景として、戦後の高度
経済成長に伴い、社会保障制度の適用拡大・定着・
適正な運用並びに企業における適正な労務管理に対
する需要が高まったことに起因すると説明した。
続いて、社労士の業務内容について丁寧に説明し、
特に、近年の個別労働紛争件数増加を受け、特定社
労士制度が誕生したこと、また、今般、第8次社労
士法改正により、弁護士である訴訟代理人とともに
裁判所へ出頭し陳述する「補佐人業務」が新たに業
務として加わったことを例示し、社労士制度は、社
会のニーズに即時に対応すべく常に発展し続けてい
大西会長による挨拶
2015.12
2
ることを強調した。併せて、社労士の本分は事後救
罰すること、中国にも人力資源会社、弁護士事務所
済ではなく、未然防止であることから、日本だけで
が社労士と類似した業務に従事しており、企業と労
なくアジア社会にも適応する制度であると指摘した。
働者の権利・利益保護に積極的な役割を果たしてい
更に、社会保障制度の円滑な運用及び適正な労務
ることについて中国側より説明が行われた。また、
管理の側面支援の面から、公・労・使(政府、労働
社労士が業務を実施するうえでの財源、社労士と労
者、使用者)に対してそれぞれ大きく貢献している
働基準監督官の業務の関係など、具体的な問題につ
こと、また、3者間の良好な関係を結ぶ仲介役も担
いても質疑が行われ、連合会が詳細な回答を行った。
っていることを紹介した。
最後に、大槻最高顧問が閉会の挨拶を述べ、また、
最後に、社労士の全国組織である連合会の活動及
中国側研修員の何団長から、社労士制度の誕生背景
び事業について紹介し、講義を結んだ。
及びその業務内容、公・労・使に対する役割に関し
その後の質疑応答では、中国の人力資源・社会保
て詳しい解説がなされたとして謝意が示され、また、
障部門、社会保険事務処理機関、社会保険料徴収機
更に社労士の成功経験から学習し参考としたいと述
関は「中華人民共和国社会保険法」の規定に従い相
べ、講義は終了した。
応の管理、登記、待遇支払及び社会保険料の徴収業
同講義を通じて、社労士制度は、アジア社会にお
務を担当していること、労働保障監察機関は人力資
いても広く適応できる制度であることが再確認され、
源・社会保障部門を代表して違法行為を法により処
非常に有益であったといえる。
主な質問内容
・社労士の得意分野について
・ADRにおける和解の締結手段及び法的効力に
ついて
・社労士と企業間の顧問契約及び報酬について
・勤務社労士の定義について
・社労士と労働基準監督官との関わり方について
・社労士の作成書類に対する政府の確認体制に
ついて
何団長の挨拶
参加者全員による記念撮影
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2015.12