キュウリ褐斑病における薬剤耐性菌の発生実態

高知県
農業技術センターニュース
第 82 号
目
キュウリ褐斑病における薬剤耐性菌の
発生実態
2016 年 1 月
次
・・1
ピーマン‘みおぎ’とナス‘土佐鷹’の
光合成特性
・・4
クリバネアザミウマ、モトジロアザミウ
マに対する有効薬剤の探索
・・2
海外からの研修生を紹介します!
・・5
ナバナのパーシャル大袋包装法
・・3
高温耐性が優れ、食味の良い早期水稲
有望系統「高育 76 号」の特性
・・6
キュウリ褐斑病における薬剤耐性菌の発生実態
表 各薬剤に対する耐性菌の発生割合
(調査期間:2013年3月~2014年6月)
薬剤(有効成分)
調査圃場数
耐性菌率(%)
アゾキシストロビン
3
100
チオファネートメチル
3
100
ジエトフェンカルブ
3
0* )
プロシミドン
3
0
ボスカリド
*) 強耐性菌の割合
3
A圃場
100%
耐
性
菌
の
発
生
割
合
0~100
写真
B圃場
100%
耐
性
菌
の
発
生
割
合
80%
60%
40%
20%
0%
2月
4月
5月
6月
C圃場
100%
耐
性
菌
の
発
生
割
合
80%
60%
40%
20%
0%
2013年 2014年
3月
1月
キュウリ褐斑病の症状
80%
60%
40%
20%
0%
2013年 2014年
6月
1月
2月
4月
5月
6月
2013年 2014年
6月
1月
2月
4月
5月
6月
図 ボスカリド耐性菌の発生推移
■:耐性菌、 ■:感受性菌
注 1)品種:A圃場 グレイト96、BおよびC圃場 千秀2号
2)ボスカリド剤およびペンチオピラド剤(ボスカリドと同系統)の使用歴(2014年1月~6月):A圃場 2回、BおよびC圃場 なし
近年、高知県内の施設キュウリで褐斑病
(写真)の発生が問題となっていますが、本
病の防除が困難となっている原因として薬
剤耐性菌の発生が疑われています。そこで、
2013年3月から2014年6月にかけて、県内産
地の3圃場において、5種類の薬剤に対する
耐性菌の発生実態を調査しました。
その結果、アゾキシストロビンおよびチ
オファネートメチルに対しては、全期間を
通じて全て耐性菌でした。これらの剤の実
用的な効果は期待できないと考えられます。
ジエトフェンカルブに対しては、いずれの
圃場とも弱~中程度の耐性菌が認められま
したが、実際に防除効果が低下すると考え
られる強耐性菌の発生は確認されませんで
した。プロシミドンに対しては、当該薬剤
が使用された場合でも耐性菌は全く認めら
れず、防除に有効と考えられました。一方、
ボスカリドに対しては、全ての調査圃場で
耐性菌が認められ、耐性菌の発生割合が変
動する場合がありました(表)。
また、当該薬剤を使用していない圃場で
も、耐性菌の割合が高い場合が確認されま
した(図)。所内で行った薬剤防除試験の結
果から、実用的な効果は期待できないと考
えられます(データ略)。
今後は、耐性菌に対して有効な薬剤を検
討するとともに、主要品種の褐斑病に対す
る感受性を調査する予定です。
(病理担当 山崎睦子 088-863-4915)
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