心に残るまちなみ10 ブレーズ・ハムレットの夢(イギリス)

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形画地とNew Ybrkのグリッド 小林克弘
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ブレーズ・ハムレットの夢(イギリス)
心に残るまちなみ10
千葉大学教授
服部寄生
この小住宅群は、19世紀はじめに、イギリスのブリストル郊外に建
てられたものである。設計者の建築家ジョン・ナッシュは、これによ
って、予言的に後のイギリスの都市住宅の形を提示したのである。
18世紀から19世紀にかけて、産業が勃興したイギリスでは、都市に
労働者が流入し、それまでの住宅状況が一変した。すなわち、当時、
貴族で大地主の田舎の荘園住宅(カントリーハウス)が、理想の住宅
とされ、都市に住む商人や下層の労働者の住まいが問題にされていな
かった、住まいの価値観が大きく変わる時期であった。新しい価値観
は、田園でなく、都市の住宅に関するものだった。それは、まず都市
の労働者の住まいの問題であった。しかし、新しい都市住宅のあり方
を求めたのは、都市の裕福な居住者たちであった。すなわち、広大な
カントリーハウスの所有者に代わり、資本を手に入れ社会的な地位が
上昇した新興階級の人々は、カントリーハウスを理想の住まいとする
のでなく、都市での活動を支える、都市や都市近郊に立地する、大住
宅でなく小住宅を好んだ。この価値観の対立は、それ以降のイギリス
の田園都市づくり 都市と田園の融合 を生み出し、他のヨーロ
ッパ諸国、アメリカ、さらに日本の都市近郊型ニュータウンとして伝
播していく。カントリーハウスという、格式の高い、独立性のある住
まいから、田園として緑豊かでありながら、都市の集中居住の形を求
める動きが生まれていくことになる。
ブレーズ・ハムレット。ブレーズという男の子の名前をつけられた、
この小さな計画住宅地は、6,000㎡の土地に、9戸の60㎡未満の小住
宅を、中央部のコモン広場の円周上に配したデザインとなっている。
各戸は、かわいらしい固有名詞 ダイアモンド・コテッジとか葡萄
コテッジなど を持ち、予定された居住者のために建てられたもの
である。当時ナッシュは、新進の建築家で、後にロンドンのリージェ
ント・ストリート一帯を計画するイギリスきっての建築家になる前で
あった。ブレーズ・ハムレットの事業主は、ブリストルの工場主で、
その使用人の引退後の住まいとして、発注したものであった。大きな
大邸宅にならなかった必然性が、設計条件に潜んでいたわけだが、ナ
ッシュはそれ以上に、当時の都市の環境悪化に対して小住宅の可能性
に関心を持っていた。それが、この結果となったのである。なにやら、
日本の計画戸建ての原形を見るようである。それに、コモンもあるの
服部峯生
(はつとり みねき)
である。
千葉大学工学部デザイン工学
その中心の緑あざやかなコモンに立つと、周りにかわいらしく建つ
客員教授。工学博士。1941年
科(建築系)教授、放送大学
住まいが独特なイメージでせまって来る。集まって住むことの作法
しゃれっ気のあるデザインと各家の前にしつらえられたベンチ
も設計者の心くばりを感じさせるものである。住まいの集合のデザイ
生まれ。東京大学工学部建築
学科卒業。建築審議会専門委
員、住宅宅地審議会専門委員、
千葉県建築審査会委員、千葉
市住宅政策審議会会長などを
ンという点で、少し古風であるがこれからの時代に教えられるものが
兼任。長野オリンピック村・
多いと思う。
今井町ニュータウン計画委員.
主な著書に、『世界の住まいと
暮らし』(放送大学教育振興
会)、「建築学大系、建築計画」
(彰国社)、「集合住宅計画研究
史」(口本建築学会)ほか。
表紙写真:服部苓生
Vol.19
No.1
412・・α3
心に残るまちなみ10
ブレーズ・ハムレットの夢(イギリス) 服部琴生
戸建て住宅地研究 その14
アメリカの住宅地開発(1)
住宅地の環境デザインとその視点
渡和由・……・…………・……………2
まちなみ・まちづくりエッセイ⑮
N−Cityの五角形画地とNew Yorkのグリッド
小林克弘……10
まちなみ・まちづくりエッセイ⑯
森をつくる住まいづくり
一環境共生型コーポラティブの試み「経堂エコロジービレッジ」 甲斐徹郎 ……13
検証/有名住宅地その後3
成城(東京都世田谷区)その1
“理想的文化住宅”誕生の背景
酒井憲一………………・…・・……………16
まちなみ計画
ポエムノールひらかた北山‘‘なこみの街”(枚方市)馬木浩重
……
Q2
まちなみシンポジウム
まちと住まいの未来像一サスティナブルな住まい方
基調講演
時をつなぐ住まい 岩村和夫……一……一・…・………一…・…………28
パネルディスカッション
「家とまちなみ」第41号
発行日:
「こんな住まい、あんな住まい」
ウスビ・サコ、米原万里、ねじめ正一、岩村和夫………・………・・35
平成12年3月25日
まちなみ計画
発行所:
(財)住宅生産振興財団
〒105−0001東京都港区虎ノ門
八王子みなみ野シティ第3期に参画して
[計画の狙い・プロセス・外構デザイン・今後の課題]
1丁目21番19号
秀和第2虎ノ門ビル7階
環境共生住宅の設計手法
TeL(03)3580−8811
Fax.(03)3580−9422
大阪府営河内長野木戸住宅の調査から
連健夫………42
林史朗…………・……・・……46
hnp:〃www.machinami,or.jp
まちなみ計画
編集発行人:
「八一モニーフォレスト」での先進的試みその2
前園百合子…52
大川 陸
編集:
江田修司
伊代田優子
住宅総合展示事業実績(平成11年7月∼12月)………・…・・……………57
200玉野台団地第2期……………・…・・………………・
・・…・……………・。……
アートディレクション:
201サンリータウンえびっ公園通り第6期・………
・…・……………・…・・…
202パートダウン前原第2次……・…………・・……・…
・…・……………・…・・…
稲葉克彦
203千葉ニュータウンいには野……………・…・・……・
……・・…………・…・…・
永見伸一
204トリヴェール和泉第3期 …・……………………
…・…・……………
製作コーディネイトニ
205八王子みなみ野シティ第3期………・・一・・…・・
…・・……………・……・・
道吉 剛
デザイン:
(株)バウ村上暢男
206多摩ニュータウン若葉台第2次…・………………
印刷所;
羽陽美術印刷(株)
用紙は再生紙を使用
Printed in Japan
財団日誌
編集後記
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