色の表現を知る

色の表現を知る
教科書 10章
色の合成
z
人間が知覚できる電磁波(光)を可視光と呼ぶ.
z
z
可視光の波長は 380nm~780nm(1nm=10-9m)
可視光の成分
z
z
単色光(純色):単一波長
連続した波長分布を持つ光
色の合成(cont.)
z
色の表現
色合い(tint)
白
色調(tone)
純色
濃淡(shade)
z
心理物理学の測色
z
黒
色を客観的に定量化する試み.
知覚に関する用語
測色
色相(hue)
主波長(dominant wavelength)
彩度(saturation)
刺激純度(excitation purity)
明度(lightness)(反射体)
明るさ(brightness)(発光体)
輝度(luminance)
色の合成 (cont.)
z
混色
z
z
加法混色:舞台照明など
減法混色:絵の具の塗り重ねなど
赤,青,緑の加法混色
シアン,黄,マゼンタの減法混色
色の合成 (cont.)
z
混色の方法
z
z
同じ場所に重ねる.
細かく配置する.
z
z
カラーテレビのシャドウマスク
網点によるカラー印刷
色の合成 (cont.)
z
メタメリズム(metamerism)
z
異なるスペクトル分布を持った光であっても,同じ色
の感覚を生じる現象
z
赤(700nm)と緑(540nm)の単色光を合成すると黄色
(570nm付近)に見える光となる.
三原色
z
z
単色光に対して等色実験
を行って等色関数ˉr,ˉg,ˉb
を求める.
の等色関数(
三刺激値)
RGB
z
人間が知覚する色の大
部分は3つの独立な色を
混合することで作り出せ
ることが経験的に知られ
ている.
通常は,赤(R),緑(G),
青(B)が使われる.
負の領域
波長 λ [nm]
三原色(cont.)
z
あるスペクトル密度分布 S(λ), 380nm≤λ ≤780nm,
の光と同じ見え方をする光 C は赤(R),緑(G),
青(B)を使って次のように作り出せる.
S ( λ ) r ( λ ) dλ ⎫
380
⎪
780
⎪
G = k ∫ S ( λ ) g ( λ ) dλ ⎬ C = RR + GG + BB
380
⎪
780
B = k ∫ S ( λ ) b ( λ ) dλ ⎪
380
⎭
R = k∫
z
780
ただし,R, G, B をこの単色光 R,G,B に対する三刺
激値と呼ぶ.k は発光体や反射体に依存した定数
表色系
z
z
色を記号や数値で表現する体系を表色系と呼ぶ.
表色系
z
混色系
z
z
z
光の分光特性をもとにして決めた心理物理色に基づく.
CIE(Commission Internationale de l’Éclairage,国際照
明委員会) RGB, CIE XYZ がその代表
顕色系
z
z
知覚色(人間の知覚する色を記号や色票などを用いて定
性的に規定した色)に基づく.
マンセル(Munsell)表示系がその代表
表色系(cont.)
z
z
z
z
RGB表色系では等色関数
(三刺激値)が負の領域が
現れた.
負の領域が現れないよう
に三色X,Y,Z(等色関数
ˉx(λ),ˉy(λ), ˉz(λ))を選択し
た.
RGBの三刺激値 R,G,B か
らXYZの三刺激値 X,Y,Z
へは線形変換が可能であ
る.
の等色関数(
三刺激値)
XYZ
CIE XYZ (1931年採択)
表色系
波長 λ [nm]
表色系(cont.)
z
CIE XYZ表色系(cont.)
z
あるスペクトル密度分布
S(λ) の光と同じ見え方をす
る光 C は X,Y,Z を使って
次のように作り出せる.
S ( λ ) x ( λ ) dλ ⎫
380
⎪
780
⎪
Y = k ∫ S ( λ ) y ( λ ) dλ ⎬
380
⎪
780
Z = k ∫ S ( λ ) z ( λ ) dλ ⎪
380
⎭
C = XX + YY + ZZ
X = k∫
Y
780
Y
X
Z
X
表色系(cont.)
z
CIE XYZ表色系(cont.)
z
色度(chromaticity) x,y と輝度 Y の表現
z
XYZの三刺激値 X,Y,Z を無次元化した値を x,y,z (zは従
属変数)として,(1変数少なくなった分を)Y が輝度を表す
変数として利用する.
⎫
X
x
⎧
x=
⎪
X= Y
X +Y + Z
⎪
y
⎪
Y
⎪
⎪⎪
y=
⎬ ⇒ ⎨Y = Y
X +Y + Z
⎪
⎪
1− x − y
⎪Z =
Z
Y
⎛
⎞⎪
= 1 − x − y ⎟⎪
y
⎪⎩
⎜z =
X +Y + Z
⎝
⎠⎭
表色系(cont.)
z
CMY表示色
z
z
印刷の色表現では R,G,B の補色関係にあるシアン
(C),マゼンタ(M),黄(Y) が用いられる.
RGBからCMYへの変換は次 C = 1 − R
M = 1− G
式で行われる.
Y = 1− B
z
K = min(C , M , Y )
黒(B) だけを別途取り出す場合 C ′ = C − K
M′ = M − K
には次式で変換する.
Y′ = Y − K
CMYK表示色
z
表色系(cont.)
z
マンセル表色系
z
z
A. H. Munsell が考案した.
色の三属性による表現
z 色相(色合い)(H:Hue)
ƒ
z
明度(明るさ)(V:Value)
ƒ
z
明度は黒(0)から白(10)
彩度(鮮やかさ)(C:Chroma)
ƒ
z
10の主要色相(記号)と10等分さ
れた細分(数字)により表現
彩度は無彩色(0)から色みが増
すに伴って増やす.
HV/C の順に並べる.
z 例えば 5R5/14
色の指定
z
カラーモデル
z
z
z
色を指定して作り出すた
めの表現モデル
色空間の点で表現する.
RBGカラーモデル
z
RGBを [0,1]×[0,1]×[0,1]
の空間で表現する.
色の指定(cont.)
z
HSV(HSB)カラーモデル
z
マンセル表色系を簡略化した
色の三属性による表現
z
色相 (H:Hue)
ƒ
z
彩度(S:Saturation)
ƒ
z
角度で表現
0から1で表現
明度 (V:Value B: Brightness)
ƒ
0から1で表現
色の指定(cont.)
z
HSV(HSB)カラーモデル(cont.)
VS断面に関する図は、
文献2を参照
カラーマネジメント
z
デバイスによる色の違い
を補正する手法をカラー
マネジメントと呼ぶ.
z
ディスプレイやプリンタな
どのデバイスの違い
z
z
z
インクや蛍光体の違い
色再現域の違い
色域変換
z
カラーモデルの全領域を色
再現域に対応させるための
変換.
文献
1.
2.
コンピュータグラフィックス, 前川佳徳(編著),
オーム社, 2001.
コンピュータグラフィックス 理論と実践, James
D. Foley, Steven K. Feiner, Andries van
Dam, John F. Hughes: 佐藤 義雄 (訳), オー
ム社, 2001.