キシリトール Q＆A Q1 キシリトールってなんですか？ A 天然素材の甘味料で、白樺や樫などの樹木から採れる成分(キシラン・ヘミセルロース)を原料にして、主にフィンランドで生産されています。 Q2 どのようなものに含まれていますか？ A 多くの果物や野菜に含まれています。たとえば、イチゴ 100ｇ(乾燥重量)中には 362 ㎎のキシリトールが含まれています。 Q3 キシリトールの甘さはどのくらいですか？ A 食卓用砂糖と同程度で、カロリーは砂糖の約 75％です。 Q4 キシリトールの味は？ A 口の中で溶けると、スッとした爽やかな冷涼感があります。 Q5 キシリトールの効果は？ A 齲蝕予防に役立つ効果として 2 つあります。まず 1 つは、キシリトールの甘さにより唾液を出させる効果です。唾液量が増えることにより緩衝能が高まり、歯の再石灰化を促進します。２つめはプラーク中のミュータンス菌を減少させ、酸生成を抑制する効果です。ミュータンス菌は通常、糖を取込みエネルギー源として酸を生成します。 1 この酸が齲蝕の原因となります。しかし、ミュータンス菌はキシリトールを取込むことができないため弱ってしまい、酸も生成できなくなります。 Q6 キシリトールと他の糖ではどこが違いますか？ A 糖の中にはソルビトールのような低酸生成の糖もありますが、キシリトールのように天然素材の糖で、ミュータンス菌を減少させ、酸生成を抑制するものは、他にありません。そのため、キシリトールは齲蝕抑制効果が認められています。 Q7 キシリトールガムとタブレットでは効果の違いは有りますか？ A ガムには噛むことで唾液を出す効果も期待できます。ガムを噛むことができない場合(矯正患者、幼児、お年寄りなど)は、タブレットを長時間口の中にとどめておくようにすると効果的です。 Q8 タブレット、ガム以外のお菓子だと、どんな製品が有効ですか？ A 欧米ではチョコレートグミキャンディなどがすでに販売されています。ただし口の中でとどまることが第一条件なので、ガム、タブレットなどの唾液を出し口の中に停滞する商品よりも効果は劣ります。 Q9 ガムに含まれるキシリトールの量によって効果は異なりますか？ 2 A ガムに含まれる量が多いほど予防効果は高くなります。フィンランド歯科医師会では、キシリトール製品の推薦条件として、使用されている甘味料の 50％以上がキシリトールであること、キシリトール以外の甘味料も非齲蝕原生であること、総重量のほとんどがキシリトールで占められていることが規定されています。 Q10 キシリトールガムを噛むと歯磨きは必要なくなるのですか？ A 歯磨きは必要です。歯の表面についている粘着性のネバネバした歯垢 (プラーク)は、キシリトールによって、落ちやすいサラサラのプラークになっていきます。そのため、歯磨きで簡単に取り除くことが出来るようになります。 Q11 キシリトールガムは１日にどのくらい摂ればいいのですか？ A キシリトールを甘味料として１００％使用したガムの場合、通常、１日３回食後、歯磨き前にキシリトールガムを１粒ずつ噛むと十分効果があります。カリエスリスクが高く、積極的にキシリトールガムで予防しようとする方は、１日５回毎食後と間食の後、就寝前に１粒ずつ噛むことをすすめます。 Q12 キシリトールガムは何分くらい噛めばいいのですか？ 3 A キシリトールの効果は数十秒から数分でなくなります。しかし、ガムは噛むことによって唾液を出す効果もあるので、味がなくなっても５〜１０分間噛むことをお勧めいたします。 Q13 キシリトールはどのくらいの時間摂り続けると効果が出てきますか？ A ２週間から１ヵ月程度で効果が現れると言われています。 Q14 効果が出てきた時点で摂ることをやめても、効果は続きますか？ A １〜２年摂り続けると、その後も効果が持続することがわかっていますが、1〜２ヵ月もしくはそれより短い期間での持続効果は不明です。 Q15 何歳ぐらいが最も効果的なのですか？また何歳まで効果があるのですか？ A 歯の萌出期が最も効果的です。またガムを噛むことの出来る方なら、何歳の方でも効果はあります。もっと、万能薬ではないので、なかには効果が現れない方もいます。また最近では、乳児をもつ母親がキシリトールガムを噛むことによりミュータンス菌の感染を防ぐという報告もあり、フィンランドでは、このような母親への使用を勧めています。 4 Q16 キシリトールを摂るタイミングはいつが最も効果的ですか？ A 食事、間食の直後が最も効果的です。砂糖の入ったお菓子(チョコレートなど)を食べても、そのあとキシリトールガムを噛めば、酸性になった口腔内がもとに戻るので、齲蝕になりにくくなります。 Q17 フッ素入りの歯磨剤を使用して、なおかつキシリトールガムを噛むと効果は上がりますか？ A フッ化物とキシリトールを併用すると、効果がさらに増大し、新しい齲蝕の発生を抑えます。フィンランドではキシリトール入りの歯磨材が一般に使用されています。 Q18 キシリトールガムは口腔乾燥症の方にも効果的ですか？ A 口腔乾燥症の方は、唾液量が少なく口腔内のバクテリアが流れていかないため、カリエスリスクが高くなっています。キシリトールガムを噛むと、甘さと咀嚼により唾液量が増えます。口腔内のバランスがよくなり、その結果カリエスリスクが低くなると考えられます。 Q19 キシリトールの有効期限はどのくらいですか？変質はありませんか？ A キシリトールタブレットは１年、キシリトールガムには有効期限は有り 5 ません。ただ、タブレット、ガムともに湿気を嫌いますので、長期保存には気をつけてください。 Q20 家庭での保存方法の注意点はありますか？ A キシリトールは湿気を帯びやすいので、できれば蓋のついた容器に乾燥剤などを入れて、冷所に保存してください。ただし、１００％キシリトールガムのように薬と同じ PTP 包装がしてあれば、通常の保存方法でも問題ありません。 Q21 キシリトールは安全ですか？ A 天然素材甘味料なので安全です。すでにアメリカ、カナダ、ＥＣ諸国をはじめ世界各国で認可を受けていて、ガム、キャンディなどの食品が数多く販売されています。また、FAO(世界食料農業機関)/WHO(世界保健機関) 合同の規格委員会より、「１日の許容摂取量を限定せず」という最も安全性の高いカテゴリーとして評価されています。 Q22 過剰にキシリトールを摂ってもよいのですか？また、胃腸の弱い方、食事の後、消化不良気味の方でも摂ることはできますか？ A キシリトールガムを、噛んでいて、過剰に摂ってしまうことは、ありません。胃腸の弱い方、消化不良気味の方でも問題ありません。ただ、まれ 6 に下痢が起こりやすくなることが有ります。下痢が続くようなら、一時摂取するのをやめてください。 Q23 妊婦がキシリトールを摂っても大丈夫ですか？ A 安全です。妊婦がキシリトールを摂ることによって、乳幼児へのミュータンス菌の感染が抑えられるといわれています。 Q24 キシリトールは海外ではどのくらい普及していますか？ A 食品として開発されたフィンランドでは９０％以上のガムにキシリトールが使用されています。スウェーデン、ノルウェーでも６０％以上の使用率です。 Q25 海外での齲蝕予防効果に対する評価は？ A 多くの国でその齲蝕予防効果と安全性が認められ、キシリトールを使用した食品は、歯科医師会(スウェーデン歯科医師会、フィンランド歯科医師会、アイスランド歯科医師会、イギリス歯科医師会、オランダ歯科医師会、ベルギー歯科医師会)でも推薦しています。平成１０年８月３日田所歯科医院 7